JPH07331648A - オールケーシング地盤改良装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 軟弱地盤などを改良するためのオールケーシ
ング地盤改良装置に関する。 【構成】 本発明のオールケーシング地盤改良装置は、
掘進方向Ａの先端円周縁部１ａに切削用ビット２を適宜
数設けたケーシングチューブ１と、このケーシングチュ
ーブに内装されたモルタル、セメントミルク、粉粒状の
改良材等の固化剤を圧送する圧送パイプ３と、この圧送
パイプと前記ケーシングチューブとの間に数基設けた固
定羽根６及び自由回転羽根６ｂとでなる撹拌羽根６と、
前記圧送パイプと前記ケーシングチューブとの間に差し
渡した多数の掘削用ビット５を備えた数枚の翼板４と、
前記圧送パイプの開口を開閉する蓋体３１と、で構成さ
れる。 【効果】 確実な断面積の改良体を構築できる。また構
築された改良体の外周面強度の向上が期待できる。障害
物があっても施工可能である。更に地盤改良の欠点であ
る側方押圧をケーシングチューブで吸収できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、軟弱地盤などを改良す
るためのオールケーシング地盤改良装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、軟弱地盤の地盤改良装置（地盤改
良機）としては、種々の装置が知られているが、その中
でも円柱状に地盤を固結（固化）させる装置がよく知ら
れている。その概要を説明すると、掘削翼及び／又は撹
拌翼を設けた掘削軸を所定の掘削機構により回転掘進さ
せ、掘削時又は引抜時に掘削軸内に設けた通路よりセメ
ントミルク等の固化剤を吐出させながら、当該固化剤と
掘削土砂（掘削土）との強制撹拌混合を介して、円柱状
に地盤を固結させることを要旨とする構成である。

【０００３】そして、これに類する技術文献としては、
次のような発明が挙げられる。（１）特開平５−１３２
９２６号の地盤改良機の混合撹拌翼装置がある。その要
旨は、掘削軸に多数の掘削翼と、共回り防止翼と、を設
け、当該共回り防止翼を介して、掘削翼等と掘削土及び
固化剤との共回り防止を図る構成であり、いわゆる掘削
土と固化剤との効率的な撹拌混合を図ることを目的とす
る。（２）特開平５−１７９６３８号の地盤の撹拌混合
処理装置がある。その要旨は、駆動軸に多数設けた撹拌
翼の放射方向自由端側に補助翼をそれぞれ回転自在に設
ける構成であり、当該補助翼に前記撹拌翼の回転方向と
逆方向に自転する力を付与することを目的とし、前記
（１）と同効を奏する。（３）特開平５−２０２５１５
号の地盤改良機がある。その要旨は、掘削軸にスクリュ
ー翼片を間欠的に設けるとともに、このスクリュー翼片
間に破砕片を備えた回転筒体を数個設ける構成であり、
スクリュー翼片で掘削及び固化剤混入の掘削土を強制的
にすくい上げ、回転筒体に導入した後、当該回転筒体の
多数の破砕片にて、前記固化剤混入の掘削土をさらに混
練・破砕して、掘削土と固化剤との均一な撹拌混合を図
ることを目的とする。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】以上で詳述した各発明
は、その構成主体が掘削軸と撹拌翼とでなる構成であ
る。それがため、地盤改良の欠点である側方押圧（土圧
荷重）に対する抵抗力が極めて弱く、かつ掘削土と未掘
削土（土壌）との境界が確定しない等の問題があり、例
えば、確実な断面積の改良体が構築（造成）されないこ
と、また改良体の外周面の強度不足が発生すること、又
は改良体造成周辺部土壌（以下、単に周辺土壌とす
る。）に障害物がある場合、施工（構築）が困難視され
ること、等の課題がある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記に鑑み、本発明は、
確実な断面積の改良体を構築すること、当該改良体の外
周面強度不足をなくすこと、周辺土壌に障害物があって
も施工可能であること、等を目的として、下記の構成を
採用する。

【０００６】即ち、本発明のオールケーシング地盤改良
装置は、掘進方向（削孔方向）の先端円周縁部に切削用
ビットを適宜数設けたケーシングチューブと、このケー
シングチューブに内装されたモルタル、セメントミル
ク、粉粒状の改良材等の固化剤を圧送する圧送パイプ
と、この圧送パイプと前記ケーシングチューブとの間に
数基設けた撹拌羽根と、前記圧送パイプと前記ケーシン
グチューブとの間に差し渡した多数の掘削用ビットを備
えた数枚の翼板と、前記圧送パイプの開口を開閉する蓋
体と、で構成される。

【０００７】

【作用】次に、本発明の作用を説明する。図示しない駆
動装置を介してケーシングチューブ及び翼板を回転す
る。この回転により、ケーシングチューブの内外周面近
傍の土壌、障害物等を切削用ビットで掘削、切削すると
ともに、ケーシングチューブの内周の土壌、障害物等を
翼板（及び圧送パイプの周面に設けた掘削用補助ビット
を利用する場合も有り得る。）に設けた掘削用ビットを
介して掘削する。そして、通常は、当該各ビットで掘削
穴内の土壌を揉み解しながら順次地中に掘進していく。
この掘進過程で、圧送パイプの先端（限定されない。）
よりセメントミルク、モルタル、粉粒状の改良材等の固
化剤を噴出（噴射、吐出）させ、掘削土中に混入しなが
ら、順次地中に掘進していく。尚、この固化剤が混入さ
れた掘削土は、遅れて掘進する固定羽根と自由回転羽根
によりさらに撹拌、混合されて、優れた強度的を備え、
かつ所定の断面積を有する改良体（地盤改良体、地盤改
良柱、地盤改良杭等）の一部が、確実かつスムーズに構
築される。それ以後は、前述の操作及び手順が繰り返さ
れ、最終的には完成された改良体が構築される。

【０００８】尚、ケーシングチューブが地中の所定位置
に達した段階で、掘削土中に圧送パイプより固化剤を混
入する場合も当然可能である。この場合は、前述の如
く、各ビットで掘削穴内の土壌を揉み解しながら順次地
中に掘進していくとともに、ケーシングチューブ内に取
り込まれた掘削土は、固定羽根及び自由回転羽根でさら
に揉み解され、後述するように固化剤との効率的な混練
に十分可能な状況となっている。

【０００９】前述の作業及び手順により、ケーシングチ
ューブが所定の地中に達した段階で、当該ケーシングチ
ューブを、回転させながら（回転は掘削時と逆方向の回
転も有り得る。）、圧送パイプの先端から固化剤を噴出
させ、掘削土中に混入する。この固化剤が混入された掘
削土を固定羽根と自由回転羽根とで撹拌、混合して、掘
削穴全体に固化剤が混入された改良体を構築する。

【００１０】更に、前記ケーシングチューブの正回転
（例えば、時計方向）駆動と、自由回転羽根及び／又は
固定羽根の逆回転（例えば、反時計方向）動作（駆動も
含む）と、を介して、より一層の掘削、又は撹拌、混合
等を図る構築工法（造成工法）を採用することも可能で
ある。

【００１１】尚、以上で詳述し掘進及び掘削土中への固
化剤の混入、並びに各操作のタイミング、順次及び手順
は一例であり、当該説明・図例に限定されないことは勿
論であります。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を参照にして
説明する。１はケーシングチューブで、このケーシング
チューブ１の先端円周縁部１ａには多数の切削用ビット
２、・・・・・（以下、単に２とする。尚、掘削用ビッ
トも採用できる。）が設けられている。尚、切削用ビッ
ト２の刃先角度２ａは、放射方向（ケーシングチューブ
１の壁面の内外方向を云う。）を変更することも可能で
あり、図例の如く、間欠式に構成する例、又はランダム
式に構成する例等が採用されるが、要は各種地中状況に
最適な刃先角度２ａが用いられる。更にビットの形状、
寸法、材質等は自由である。

【００１３】前記ケーシングチューブ１には固化剤を圧
送する圧送パイプ３が垂設されており、この圧送パイプ
３とケーシングチューブ１との間で、かつ当該ケーシン
グチューブ１の掘進方向Ａの中空円筒先部１ｂには、数
枚の翼板４が設けられている。そして、この各翼板４の
先端（掘進方向Ａ側）には、多数の掘削用ビット５、・
・・・・（以下、単に５とする。）が垂設されている。
尚、圧送パイプ３の先端周辺部３ａに掘削用又は撹拌用
ビット（図示せず）を設ける場合もあり得る。また翼板
４の差し渡し方法は、図示の如く圧送パイプ３からケー
シングチューブ１の先端円周縁部１ａに向かって傾斜状
態に設ける構成、又は圧送パイプ３と先端円周縁部１ａ
又はケーシングチューブ１の他の部位に水平状態に設け
る構成等があり、原則として、自由である。尚、３１は
圧送パイプ３の先端開口部３ｂを開閉する蓋体である。
図中Ｂはケーシングチューブ１の回転方向の一例を示
す。

【００１４】尚、圧送パイプ３とケーシングチューブ１
との長手方向Ｌには適宜間隔で固定羽根６ａ又は自由回
転羽根６ｂの組合せ（それぞれ個別の組合せも可）でな
る撹拌羽根６が設けられており、この一例では、固定羽
根６ａは圧送パイプ３に固定され、自由回転羽根６ｂは
圧送パイプ３に回転自在に設けられている。尚、固定羽
根６ａと自由回転羽根６ｂとの組合せ、組合せ順序、間
隔、基数、又は設けられる放射方向の位置、同基数等は
原則として自由である。また固定羽根６ａ及び／又は自
由回転羽根６ｂをケーシングチューブ１の内壁面１ｃに
設ける場合も有り得る。また固定羽根６ａを圧送パイプ
３とケーシングチューブ１間に差し渡し固定する場合も
有り得る。更に撹拌羽根６の先端部位等に補助撹拌翼
（図示せず）を設ける場合も有り得る。尚、ケーシング
チューブ１に対して、圧送パイプ３が回転自在に設けら
れる構成では、翼板４の中心部位に設けたスリーブ７に
圧送パイプ３が挿入される構成とする。またケーシング
チューブ１の内壁面１ｃに個別に突起羽根（図示せず）
を設けることもできる。

【００１５】

【発明の効果】本発明は、以上で詳述した如く、切削用
ビット及び掘削用ビットを有するケーシングチューブに
圧送パイプを内装し、このケーシングチューブと圧送パ
イプとの間に撹拌羽根を設ける構成であるので、下記の
効果を有する。

【００１６】（１）確実な断面積の改良体を構築でき
る。

【００１７】（２）構築された改良体の外周面強度の向
上が期待できる。

【００１８】（３）障害物があっても施工可能である。

【００１９】（４）地盤改良の欠点である側方押圧をケ
ーシングチューブで吸収できる。

【００２０】（５）効率的な撹拌混合が図れる。

【００２１】（６）ケーシングチューブに突起羽根を取
り付け、圧送パイプを逆回転させ、かつケーシングチュ
ーブを正回転させることにより、撹拌効果をよくするこ
とも可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】全体の断面図である。

【図２】ケーシングチューブと翼板並びに切削用ビット
等の関係を拡大して示す断面図である。

【図３】改良体の構築（造成）開始時の状況を示す模式
図である。

【図４】改良体の構築（造成）途中の状況を示す模式図
である。

【図５】改良体の構築（造成）終了時の状況を示す模式
図である。

【図６】ケーシングチューブと圧送パイプの他の一例を
示す要部の断面図である。

【符号の説明】

１ ケーシングチューブ １ａ 先端円周縁部 １ｂ 中空円筒先部 １ｃ 内壁面 ２ 切削用ビット ２ａ 刃先角度 ３ 圧送パイプ ３ａ 先端周辺部 ３１ 蓋体 ４ 翼板 ５ 掘削用ビット ６ 撹拌羽根 ６ａ 固定羽根 ６ｂ 自由回転羽根 ７ スリーブ Ａ 掘進方向 Ｂ 回転方向 Ｌ 長手方向

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 掘進方向の先端円周縁部に切削用ビット
   を適宜数設けたケーシングチューブと、 このケーシングチューブに内装されたモルタル、セメン
   トミルク、粉粒状の改良材等の固化剤を圧送する圧送パ
   イプと、 この圧送パイプと前記ケーシングチューブとの間に数基
   設けた撹拌羽根と、 前記圧送パイプと前記ケーシングチューブとの間に差し
   渡した多数の掘削用ビットを備えた数枚の翼板と、 前記圧送パイプの開口を開閉する蓋体と、 で構成されるオールケーシング地盤改良装置。
2. 【請求項２】 請求項１の撹拌羽根は、圧送パイプに設
   けた固定羽根及び／又は自由回転羽根にて構成されてい
   ることを特徴とする請求項１のオールケーシング地盤改
   良装置。
3. 【請求項３】 請求項１の数枚の翼板は、ケーシングチ
   ューブ及び／又は圧送パイプに傾斜状に設けられている
   構成の請求項１のオールケーシング地盤改良装置。