JPH07330421A - 窒化硼素含有セラミックス及びその製法 - Google Patents

窒化硼素含有セラミックス及びその製法

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JPH07330421A
JPH07330421A JP6127296A JP12729694A JPH07330421A JP H07330421 A JPH07330421 A JP H07330421A JP 6127296 A JP6127296 A JP 6127296A JP 12729694 A JP12729694 A JP 12729694A JP H07330421 A JPH07330421 A JP H07330421A
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boron nitride
ceramic
ceramics
boric acid
producing
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JP6127296A
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English (en)
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Tomohito Ooyagi
智仁 大八木
Moroo Nakagawa
師夫 中川
Junji Sakai
淳次 酒井
Yukio Saito
幸雄 斉藤
Yoshiyuki Yasutomi
義幸 安富
Norihiko Okochi
敬彦 大河内
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】低摩擦かつ高強度である窒化硼素含有セラミッ
クス及びその製法を提供。 【構成】焼結体内において粒径が500nm以下である
窒化硼素微粒子を粒界または粒内の少なくとも一方に含
有していることを特徴とする窒化硼素含有セラミック
ス、及び窒化硼素が3次元網目状に分布していることを
特徴とする窒化硼素含有セラミックス。 【効果】上記の構造を有する窒化硼素含有セラミックス
は低摩擦かつ高強度であり、本発明による窒化硼素含有
セラミックスを応用することにより、長寿命かつ低摩擦
の溶融金属中軸受、及び軸受部補修頻度の低い溶融金属
めっき装置が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は低摩擦かつ高強度のセラ
ミックスおよびその製法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、セラミックスに固体潤滑性を持た
せる目的、あるいは溶融金属に対する耐食性を向上させ
る目的で、セラミックス中に窒化硼素を複合することが
試みられてきた。従来の方法は、窒化硼素粉末を出発物
質として使用し、セラミックス原料粉末に混合し、焼結
する(例えば特開昭60−21864 号)か、もしくは窒化硼
素粉末のスラリーを成形体あるいは仮焼体に含浸させ、
焼結する方法(例えば特開平5−57230号)である。しか
し、前者においては窒化硼素粉末がマトリックス中に分
散した構造を取っているため、摺動の際に窒化硼素粒子
の剥離が起こりやすく、後者においては極表面のみに窒
化硼素が分布するに留まるため、長時間の摺動により摩
擦,摩耗特性が低下しやすい。
【0003】更に、従来の窒化硼素複合法では、セラミ
ックス中で窒化硼素の粒径,分布を制御することは難し
く、窒化硼素濃度を積極的に制御する傾斜機能材の製法
として不十分である。殊に粒径に関しては、従来のいず
れの方法を持ってしても、原料として準備しうる粒径、
即ち1μm程度に留まり、ナノメータレベルの窒化硼素
粒子を含有,分散させることは不可能である。
【0004】また、溶融金属に浸漬して使用する軸受に
おいて、その摺動面の材料に窒化硼素を含有したセラミ
ックスを応用することが試みられている。これはセラミ
ックスの持つ溶融金属に対する優れた耐食性に加えて窒
化硼素の固体潤滑性を期待したものであるが、従来の窒
化硼素含有セラミックスでは摩擦係数,強度を同時に満
足したものが得られない。
【0005】また、溶融金属めっき装置においては、溶
融金属に浸漬して使用する軸受が使用されるが、軸受部
の摩耗によりガタが生じて製品の品質を低下させるため
に、例えば溶融金属が亜鉛である場合には、10日前後
でラインを停止し、軸受部の交換をしなければならない
のが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、低摩
擦かつ高強度である窒化硼素含有セラミックス及びその
製法を提供することにある。また、それらを摺動部に使
用した長寿命かつ低摩擦の溶融金属中軸受、及びこの溶
融金属中軸受を使用した軸受部補修頻度の低い溶融金属
めっき装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、優れた摺
動特性のセラミックスを開発するために、高強度セラミ
ックスに複合する窒化硼素の粒径,体積分率およびその
制御について検討を行ってきた。
【0008】その結果、体積分率が同じであれば、粒径
の小さい窒化硼素がセラミックス中に含有された方が、
強度低下が少なく、特に窒化硼素の粒径が500nm以
下であるときにその効果が著しいことを見出した。これ
は窒化硼素の粒径が微細である程、クラックの発生が少
なくなるためである。
【0009】また、同じ体積分率であれば、図1に示す
ごとく、窒化硼素が3次元網目状に分布した方が、均等
に分散している場合よりも、摩擦係数が低くなることを
見出した。これは摺動時に窒化硼素が剥離しにくくな
り、摺動部でのかみあいが減少するためである。
【0010】また、窒化硼素の粒径が500nm以下で
あるとき、あるいは窒化硼素が3次元網目状に分布して
いるときには、セラミックス中に含まれる窒化硼素の体
積分率が3から60%であるときに高強度で、かつ低摩
擦,低摩耗の材料が得られることがわかった。これは含
まれる窒化硼素の量が少なすぎれば、摩擦係数の低下に
対する効果が十分なものとならず、また多すぎれば、強
度の低下が起こるためである。
【0011】また、焼結体の表面層に粒径が500nm
以下である窒化硼素を含有させるか、あるいは窒化硼素
を3次元網目状に分布させることにより、材料全体の強
度を変化させずに摩擦摩耗特性,耐溶融金属特性を上げ
ることができる。
【0012】窒化硼素含有セラミックスのマトリックス
としては、それらが酸化物,窒化物,炭化物の少なくと
も1種を含み、特にそれらが、SiO2,Al23,Z
rO2,Si34,TiN,AlN,ZrN,Cr2N,
HfN,TaN,SiC, TiC,ZrC,Cr
32,HfC,TaC,B4C であるときに高強度でか
つ低摩擦の材料が得られる。
【0013】上記2種の窒化硼素含有セラミックスの製
法として、開気孔を有するセラミックス仮焼体を硼酸溶
液に浸漬し、溶液を含浸した後、冷却,乾燥し、アンモ
ニアあるいは水素−窒素混合ガス等の還元窒化性ガス中
で加熱して硼酸を還元窒化して窒化硼素とし、次いで本
焼成を行う方法を見出した。
【0014】本発明による窒化硼素含有セラミックスの
製造法において、セラミックス仮焼体の開気孔の体積分
率は、3〜50%であることが望ましい。これは開気孔
の体積分率が低すぎれば、硼酸溶液の含浸が困難にな
り、高すぎれば、仮焼体の扱いに必要な強度が得られな
いためである。
【0015】また、本発明による窒化硼素含有セラミッ
クスの製造法において、以下の4方法により、最終的に
得られる窒化硼素含有セラミックス中の窒化硼素の濃
度,分布を制御することができる。
【0016】(1)硼酸溶液の溶媒として水系または有
機系溶媒を1種類以上含むものを使用し、これらの溶媒
の種類,混合比,液温を変え、含有される硼酸の飽和溶
解量を変える。
【0017】(2)硼酸溶液に高分子有機物等を含有せ
しめ、溶液の粘度を調節し、仮焼体への含浸時における
溶液の含浸速度を変える。
【0018】(3)仮焼体への硼酸溶液の含浸時間を変
える。
【0019】(4)硼酸溶液の仮焼体への含浸から還元
窒化までの過程を繰り返す。
【0020】これらの方法により、例えば、セラミック
ス中における窒化硼素に対し、傾斜的にその濃度に勾配
を設けることが可能である。
【0021】また、本発明による窒化硼素含有セラミッ
クスの製法において、仮焼体への硼酸溶液の含浸後の冷
却,乾燥過程の際、冷却および乾燥速度を調節して、析
出する硼酸の結晶径を変えることにより、最終的に得ら
れる窒化硼素含有セラミックス中の窒化硼素の粒径を制
御することができる。
【0022】本発明による窒化硼素含有セラミックス及
びその製法を溶融金属に浸漬して使用する軸受の摺動面
の材料及びその製法に応用することにより、低摩擦、か
つ長寿命である溶融金属中軸受が得られる。
【0023】本発明による溶融金属中軸受を溶融金属め
っき装置におけるシンクロール,サポートロール,絞り
ロール等のロール軸受部に使用することにより、その連
続稼働時間を延ばすことができる。
【0024】本発明の高強度・低摩耗であり、かつ溶融
金属に対する高い耐食性を有するセラミックスは、連続
溶融金属めっき用ロールの溶融金属中軸受のみならず、
これらの性質を必要とする燃焼器部品,シュラウド部
品,エンジン部品,切削工具,金属溶湯用部品,摺動部
材などにも適用可能である。
【0025】
【作用】本発明に従えば、高強度である窒化硼素含有セ
ラミックスが得られる。これは粒径が500nm以下で
ある窒化硼素をセラミックスに含有させることによっ
て、あるいは窒化硼素を3次元網目状に分布させること
によって実現する。
【0026】また、本発明に従えば、セラミックス中に
粒径が500nm以下である窒化硼素を粒界または粒内
の少なくとも一方に含有させるか、あるいは3次元網目
状に窒化硼素を分布させることが可能となる。
【0027】また、本発明に従えば、低摩擦、かつ長寿
命である溶融金属中軸受が得られ、更にその溶融金属中
軸受を溶融金属めっき装置に応用することにより、その
連続稼働時間を延ばすことができる。
【0028】
【実施例】本発明を実施例により具体的に説明する。
【0029】〔実施例1〕表1に示す主成分で構成され
る、3〜50%の開気孔を有するセラミックス仮焼体を
100℃の硼酸飽和水溶液に5分間浸漬し、その後引き
上げて大気中で放冷,乾燥した。これをアンモニアガス
中で1000℃まで加熱、3時間保持して反応させ、次
いでこれを本焼成し、気孔率2%以下の焼結体を得た。
【0030】上記焼結体のX線回折より、各々の焼結体
はセラミックスのマトリックスとh−BNからなること
を同定した。
【0031】また、焼結体の組成分析により、焼結体は
窒化硼素を体積分率で約5%含有しており、さらにSE
M−EPMAによる成分の面分析により、窒化硼素は5
00nm以下の粒径で、粒界および粒内に分散している
ことがわかった。
【0032】得られた窒化硼素含有セラミックスについ
て、曲げ強度を4点曲げ試験で、破壊靭性をビッカース
圧子圧入法で測定した。比較のため、平均粒度4μmの
窒化硼素を体積分率で5%、各セラミックスの原料分に
混合し、常圧焼結して得られた従来の製法による窒化硼
素含有セラミックスについても測定を行った。その結果
を表1に示す。本発明の製法による粒径500nm以下
の窒化硼素を含有する
【0033】
【表1】
【0034】ものの方が4点曲げ強度,破壊靭性が共に
優れる。これは本発明による窒化硼素含有セラミックス
においては窒化硼素の粒径が微細であるためにクラック
の発生が少なくなること、窒化硼素がセラミックス粒子
の粒内に存在し、粒子自体の靭性が上がることによると
考えられる。
【0035】〔実施例2〕実施例1と同様の製法で、硼
酸溶液浸漬後の乾燥,冷却過程において冷却速度のみを
変化させ、窒化珪素の体積分率が同じ(約5%)で、分
散している窒化硼素の粒径が異なる窒化硼素含有Sia
lon(Si5.5Al0.50.57.5)を作製し、窒化硼
素の平均粒径と4点曲げ破壊強度との関係を調べた。そ
の結果を図2に示す。窒化硼素の平均粒径が500nm
以上になると強度が著しく低下する。従って、BNの粒
径を500nm以下にする必要がある。
【0036】また、マトリックスとして表1に示すセラ
ミックスを使用した際にも同様の結果が得られた。
【0037】〔実施例3〕表2に示す主成分で構成され
る、3〜50%の開気孔を有するセラミックス仮焼体を
100℃の硼酸飽和水溶液に5分間浸漬、その後引き上
げて大気中で放冷し、次いでこれをアンモニアガス中、
1000℃で5時間加熱し、反応させた。この浸漬から
加熱,反応までの一連の過程を5回繰り返した後、本焼
成し、気孔率2%以下の焼結体を得た。
【0038】
【表2】
【0039】上記焼結体のX線回折より、各々の焼結体
はセラミックスのマトリックスとh−BNからなること
が分かった。また焼結体の組成分析により、焼結体は窒
化硼素を体積分率で10〜15%含有していることがわ
かった。
【0040】また、得られた焼結体のSEM−EPMA
による観察,成分の面分析により、窒化硼素は焼結体中
で3次元網目状に分布していることが観察された。
【0041】得られた窒化硼素含有セラミックスについ
て、曲げ強度を4点曲げ試験で、大気中における摩擦係
数を回転円盤法で測定した。比較のため、平均粒度4μ
mの窒化硼素を体積分率で15%、セラミックス原料粉
に混合し、常圧焼結して得られた従来の窒化硼素含有セ
ラミックスについても測定を行った。その結果を表2に
示す。本発明による窒化硼素含有セラミックスの方が4
点曲げ強度が優れる。この理由は実施例1と同様であ
る。また、摩擦係数についても本発明による窒化硼素含
有セラミックスの方が低くなっている。これは本発明に
よる窒化硼素含有セラミックスにおいては、窒化硼素が
3次元網目状かつ連続に分布しているために、摺動時に
窒化硼素が剥離しにくくなり、摺動部でのかみあいが減
少することによると考えられる。
【0042】〔実施例4〕実施例3と同様の製法で、浸
漬から加熱,窒化反応までの一連の過程の繰り返しの回
数のみを変化させ、分散している窒化硼素の粒径が同じ
で、窒化珪素の体積分率のみが異なる窒化硼素含有Si
alonを作製し、窒化硼素の体積分率と4点曲げ破壊
強度、および摩擦係数との関係を調べた。その結果を図
3に示す。含まれる窒化硼素の量が3%以下では、摩擦
係数の低下に対する効果が十分なものとならず、また6
0%以上であれば、強度の著しい低下が起こる。従っ
て、窒化珪素含有量は、3〜60%が望ましい。
【0043】また、マトリックスとして表1に示すセラ
ミックスを使用した際にも同様の結果が得られた。
【0044】〔実施例5〕実施例1と同様の製法で、浸
漬する硼酸飽和水溶液の温度を変化させて、窒化硼素含
有Sialonを作製し、硼酸溶液の温度と最終的に得
られる窒化硼素含有Sialon中での窒化硼素の体積
分率との関係を調べた。その結果を図4に示す。硼酸飽
和水溶液の温度を変化させることによって、窒化硼素の
体積分率を変化させることができる。
【0045】また、マトリックスとして表1に示すセラ
ミックスを使用した際にも同様の結果が得られた。
【0046】〔実施例6〕実施例1と同様の製法で、浸
漬する硼酸飽和水溶液の水を水−エタノールの混合溶媒
に変え、その混合比を変化させ、混合比と最終的に得ら
れる窒化硼素含有Sialon中での窒化硼素の体積分
率との関係を調べた。その結果を図5に示す。硼酸溶液
の溶媒を変化させることによって、窒化硼素の体積分率
を変化させることができる。
【0047】また、マトリックスとして表1に示すセラ
ミックスを使用した際にも同様の結果が得られた。
【0048】〔実施例7〕実施例1と同様の製法で、浸
漬する硼酸飽和水溶液にポリビニルアルコール(PV
A)を加え、その添加量を変化させて、窒化硼素含有S
ialonを作製し、PVAの添加量と最終的に得られ
る窒化硼素含有Sialon中での窒化硼素の分布との
関係を調べた。窒化硼素含有Sialon中での窒化硼
素の分布は、SEM−EPMAによる観察,成分の面分
析により調べた。その結果を図6に示す。PVAの添加
量を変化させることによって、窒化硼素の分布を変化さ
せることができる。
【0049】また、このようにして得られた表面層にの
み窒化珪素を含有するセラミックスにおいては窒化珪素
の粒径は500nm以下であり、従来法のものに比べ、
強度の低下が少ないことが確認された。
【0050】また、含浸から窒化までの過程を繰り返す
ことにより、さらに高濃度の窒化硼素を含浸した表面層
を形成することが可能であり、これについても、従来法
のものに比べ、強度の低下が少ないことが確認された。
【0051】また、実施例3と同様の実験方法で、表面
層の厚みと摩擦係数との関係を調べたところ、表面層が
1mm以上で、実施例3と同様の効果が得られた。
【0052】また、マトリックスとして表1に示すセラ
ミックスを使用した際にも同様の結果が得られた。
【0053】〔実施例8〕実施例1と同様の製法で、硼
酸飽和水溶液への浸漬時間を変化させて、窒化硼素含有
Sialonを作製し、浸漬時間と最終的に得られる窒
化硼素含有Sialon中での窒化硼素の分布との関係を調べ
た。窒化硼素含有Sialon中での窒化硼素の分布
は、SEM−EPMAによる観察,成分の面分析により
調べた。その結果を図7に示す。硼酸飽和水溶液への浸
漬時間を変化させることによって、窒化硼素の分布を変
化させることができる。
【0054】また、このようにして得られた表面層にの
み窒化珪素を含有するセラミックスにおいては窒化珪素
の粒径は500nm以下であり、従来法のものに比べ、
強度の低下が少ないことが確認された。
【0055】また、含浸から窒化までの過程を繰り返す
ことにより、さらに高濃度の窒化硼素を含浸した表面層
を形成することが可能であり、これについても、従来法
のものに比べ、強度の低下が少ないことが確認された。
【0056】また、実施例3と同様の実験方法で、表面
層の厚みと摩擦係数との関係を調べたところ、表面層が
1mm以上で、実施例3と同様の効果が得られた。
【0057】また、マトリックスとして表1に示すセラ
ミックスを使用した際にも同様の結果が得られた。
【0058】〔実施例9〕本発明によって考案された、
窒化硼素含有Sialonを摺動面に使用した金属浴中
すべり軸受を図8の模式図に示す構成の溶融亜鉛めっき
装置のシンクロール,サポートロールの軸受部に応用し
た実施例を以下に示し、従来使用されてきた耐食合金,
サーメット,グラファイト,Sialonを摺動面に使
用した例と比較する。
【0059】軸受部は、図9に示すように、摺動面に使
用される材料を軸受部の摺動面に組込んだ。
【0060】軸部は、図10に示すように、摺動面に使
用される材料をスリーブ状にし、ロール軸に嵌合した。
【0061】以上の構造で構成された軸,軸受を溶融亜
鉛めっき装置のシンクロール,サポートロールの軸受に
設置し、操業した。
【0062】摺動面に使用される材料を耐食合金、ある
いはサーメットとした場合には溶食が激しく、またグラ
ファイトとした場合には摩耗が激しく、共にロールにガ
タが生じ、均一なめっき層を形成できず、10日程度で
軸受部の交換を余儀なくされた。Sialonとした場
合には、軸と軸受の摺動面でかみあいが起こってしま
い、ロールが滑らかに作動しなかった。これらに対し
て、本発明による窒化硼素含有Sialonを摺動面に
使用した材料の場合には、ロールが滑らかに作動し、か
つ軸,軸受部の摩擦係数は0.1 以下、摩耗量は15μ
m以下で、40日間の連続運転においても問題が生じな
かった。
【0063】また、溶融金属を溶融アルミニウム,溶融
アルミニウム−亜鉛としても同様の結果が得られた。
【0064】
【発明の効果】以上詳述したように、粒径が500nm
以下である窒化硼素を粒界または粒内の少なくとも一方
に含有している窒化硼素含有セラミックス、または、窒
化硼素が3次元網目状に分布している窒化硼素含有セラ
ミックスにおいて、従来の窒化硼素含有セラミックスよ
りも優れた強度特性,摩擦特性が得られる。また、上記
の構造を有する窒化硼素含有セラミックスは、仮焼体に
硼酸溶液を含浸し、次いで乾燥することによってセラミ
ックス中に硼酸を分散させた後、これを窒化還元し、硼
酸を窒化硼素にしてから焼成を行う方法によって得られ
る。また、上記のセラミックスを溶融金属中軸受の摺動
面の材料として使用することにより、低摩擦かつ長寿命
である溶融金属中軸受が得られる。また、上記溶融金属
中軸受を溶融金属めっき装置のシンクロール,サポート
ロール等のロール軸受部に使用することにより、軸受部
補修頻度の低い溶融金属めっき装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である窒化硼素含有セラミッ
クスの2次元模式図。
【図2】本発明の他の実施例である窒化硼素含有Sia
lonにおける、窒化硼素の平均粒径と4点曲げ破壊強
度との関係図。
【図3】本発明の他の実施例である窒化硼素含有Sia
lonにおける、窒化硼素の体積分率と4点曲げ破壊強
度、及び摩擦係数との関係図。
【図4】本発明の他の実施例である窒化硼素含有Sia
lon中での窒化硼素の体積分率との関係図。
【図5】本発明の他の実施例である窒化硼素含有Sia
lon中での窒化硼素の体積分率との関係図。
【図6】本発明の他の実施例である窒化硼素含有Sia
lon中での窒化硼素の分布との関係図。
【図7】本発明の他の実施例である窒化硼素含有Sia
lon中での窒化硼素の分布との関係図。
【図8】本発明の他の実施例である溶融金属めっき装置
の概要を示す模式図。
【図9】本発明の他の実施例であるシンクロール,サポ
ートロールの軸受部を示す、軸に垂直な面での断面図。
【図10】本発明の他の実施例であるシンクロール,サ
ポートロールの軸部を示す、軸に垂直な面での断面図。
【符号の説明】
1…窒化硼素粒子、2…マトリックス粒子、3…めっき
浴槽、4…めっき浴、5…シンクロール、6…シンクロ
ール軸受、7…サポートロール、8…サポートロール軸
受、9…ワイピングノズル、10…ストリップ、11…
スナウト、12…軸受の摺動面に使用される材料、13
…軸受支持部、14…軸の摺動面に使用される材料、1
5…軸。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C04B 35/48 35/56 35/565 35/58 101 D G 35/584 35/583 35/581 41/87 D C23C 2/00 F16C 33/24 A 7123−3J C04B 35/14 35/48 C 35/56 M S 101 D 101 X 35/58 102 E 102 X 103 Z 104 N (72)発明者 斉藤 幸雄 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 安富 義幸 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 大河内 敬彦 茨城県勝田市堀口832番地の2 株式会社 日立製作所素形材事業部内

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】焼結体内の粒界または粒内の少なくとも一
    方に窒化硼素微粒子を分散させたことを特徴とする窒化
    硼素含有セラミックス。
  2. 【請求項2】焼結体内において粒径が500nm以下で
    ある窒化硼素微粒子を粒界または粒内の少なくとも一方
    に含有していることを特徴とする窒化硼素含有セラミッ
    クス。
  3. 【請求項3】焼結体内において窒化硼素が3次元網目状
    に分布していることを特徴とする窒化硼素含有セラミッ
    クス。
  4. 【請求項4】請求項1,2あるいは3に記載の該窒化硼
    素含有セラミックスに含有される窒化硼素の体積分率が
    3から60%であることを特徴とする窒化硼素含有セラ
    ミックス。
  5. 【請求項5】焼結体表面層において粒径が500nm以
    下である窒化硼素微粒子を粒界または粒内の少なくとも
    一方に含有していることを特徴とする窒化硼素含有セラ
    ミックス。
  6. 【請求項6】焼結体表面層において窒化硼素が3次元網
    目状に分布していることを特徴とする窒化硼素含有セラ
    ミックス。
  7. 【請求項7】請求項5または6に記載の該焼結体表面層
    が1mm以上であることを特徴とする窒化硼素含有セラミ
    ックス。
  8. 【請求項8】請求項5,6または7のいずれかに記載の
    該焼結体表面層に含有される窒化硼素の体積分率が3か
    ら60%であることを特徴とする窒化硼素含有セラミッ
    クス。
  9. 【請求項9】請求項1から8のいずれかに記載の該窒化
    硼素含有セラミックスが酸化物,窒化物あるいは炭化物
    の少なくとも1種を有することを特徴とする窒化硼素含
    有セラミックス。
  10. 【請求項10】請求項9に記載の該酸化物,該窒化物あ
    るいは該炭化物がSiO2,Al23,ZrO2,Si
    34,TiN,AlN,ZrN,Cr2N,HfN,Ta
    N,SiC,TiC,ZrC,Cr32,HfC,Ta
    CあるいはB4C の少なくとも1種を有することを特徴
    とする窒化硼素含有セラミックス。
  11. 【請求項11】開気孔を有するセラミックス仮焼体を硼
    酸溶液に浸漬し、溶液を含浸する含浸工程と、該含浸工
    程で得られたセラミックス仮焼体を冷却,乾燥した後、
    アンモニアあるいは水素−窒素混合ガス等の還元窒化性
    ガス中で加熱して硼酸を還元窒化して窒化硼素とする還
    元工程と、該還元工程後に本焼成を行う焼成工程とを有
    することを特徴とする窒化硼素含有セラミックスの製
    法。
  12. 【請求項12】請求項11に記載の該開気孔を有するセ
    ラミックス仮焼体の開気孔が体積分率で3〜50%であ
    ることを特徴とする窒化硼素含有セラミックスの製法。
  13. 【請求項13】請求項11あるいは12に記載の該窒化
    硼素含有セラミックスの製法であって、該硼酸溶液の溶
    媒として水系または有機系溶媒を1種類以上含む溶媒を
    使用することにより、窒化硼素含有セラミックス中の窒
    化硼素の濃度を制御することを特徴とする窒化硼素含有
    セラミックスの製法。
  14. 【請求項14】請求項11,12あるいは13のいずれ
    かに記載の該窒化硼素含有セラミックスの製法であっ
    て、該硼酸溶液に高分子有機物等を含有せしめ、溶液の
    粘度を調節し、仮焼体への含浸時における溶液の含浸速
    度を変えることにより、窒化硼素含有セラミックス中の
    窒化硼素の濃度及び分布を制御することを特徴とする窒
    化硼素含有セラミックスの製法。
  15. 【請求項15】請求項11,12,13あるいは14の
    いずれかに記載の前記窒化硼素含有セラミックスの製法
    であって、該仮焼体への硼酸溶液の含浸の際、含浸時間
    を変えることにより、窒化硼素含有セラミックス中の窒
    化硼素の濃度及び分布を制御することを特徴とする窒化
    硼素含有セラミックスの製法。
  16. 【請求項16】請求項11,12,13,14あるいは
    15のいずれかに記載の窒化硼素含有セラミックスの製
    法であって、該仮焼体への硼酸溶液の含浸から還元窒化
    までの過程を繰り返すことにより、窒化硼素含有セラミ
    ックス中の窒化硼素の濃度及び分布を制御することを特
    徴とする窒化硼素含有セラミックスの製法。
  17. 【請求項17】請求項11,12,13,14,15あ
    るいは16のいずれかに記載の窒化硼素含有セラミック
    スの製法であって、該仮焼体への硼酸溶液の含浸後の冷
    却,乾燥過程の際、冷却および乾燥速度を調節して、析
    出する硼酸の結晶径を変えることにより、最終的に得ら
    れる窒化硼素含有セラミックス中の窒化硼素の粒径を制
    御することを特徴とする窒化硼素含有セラミックスの製
    法。
  18. 【請求項18】請求項1から10のいずれかに記載の該
    窒化硼素含有セラミックスを溶融金属に浸漬して使用す
    る軸受の摺動面に用いることを特徴とする溶融金属中軸
    受。
  19. 【請求項19】請求項18に記載の該溶融金属中軸受を
    用いた溶融金属めっき装置。
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