JPH07328659A - オゾン水の製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 溶解効率の向上を図り、高濃度オゾン水を立
ち上がり直後から供給することができるオゾン水の製造
方法の提供。 【構成】 溶解槽１０内の排ガス系１６の手前にじゃま
板１３を設け、ある一定以上の水面高さをもたせて、水
面とじゃま板との間に設定した所定の隙間を通してオゾ
ンガスを排気することにより、水に巻き込みを起こさせ
るとともに、水位とじゃま板の間の隙間が溶解槽内のガ
ス流速分布を調整し、オゾンガスの水への溶解効率を大
幅に向上させることができ、またオゾンガスをオゾンガ
スの半減期を基準にした間隔で、間欠的に槽内に吹き込
み制御することにより、溶解槽内のガス濃度を一定水準
以上に保ち、必要濃度までの立ち上がり時間を短くでき
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、溶解槽内で微細化し
た水にオゾンガスを接触させてオゾン水を製造するオゾ
ン水の製造方法の改良に係り、溶解槽底のオゾン水水面
との間に所要隙間を介して溶解槽内にじゃま板を垂設
し、上方より微細化して落下する水に水平方向からオゾ
ンガスを噴射してじゃま板の反対側から排気されるま
で、オゾンガスと水との効率のよい接触を図り、従来同
方式に比べて格段の高効率で、高濃度オゾン水を得るオ
ゾン水の製造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】オゾン水を製造する方法には、従来、図
７に示すごとく、上から下へ水を流下させる容器１内に
散気板２を配置して微細化したオゾンガスを供給し、水
にオゾンガスを溶解させる散気板方式のほか、エジェク
ター方式でオゾンガスを水流中に吸い込ませてオゾン水
を製造する方式が採られていた。

【０００３】他に、反応筒内上部に微細孔を多数穿孔し
た散水板より細流水を落下させ、散水板下方に設けた散
気球よりオゾンガスを供給して接触させ、反応筒底に溜
まったオゾン水は、細流水の落下に伴い波打ち現象が発
生してオゾンガスを巻き込み接触が促進されてオゾン水
を製造する方法（特開平２−１８４３９４号、特公平４
−５３５２９号）がある。

【０００４】また、溶解槽の上部に多数のスリットを設
けたスプレイ部より水を噴射して水微粒子を作成し、溶
解槽の対向する両側壁からオゾンガスを供給して接触さ
せ、溶解槽底に溜まったオゾン水を導出してオゾン水を
製造する方法（特開平３−１５４６９１号）が提案され
ている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】前記散気板方式はオゾ
ンガスと水の接触が悪く、オゾンの注入量の割にはオゾ
ン水濃度が上がらず、効率が低い問題がある。また、エ
ジェクター方式では、供給オゾンガス側にある程度の圧
力が必要となり、オゾン発生器が限定されるか、もしく
は大型になる問題があった。

【０００６】オゾンガスを充満させた容器内に微細化し
た水を供給し、オゾン水を製造する方法はオゾンの溶解
効率が悪く、例えば、特開平３−１５４６９１号の実施
例では、注入量が６６７ｍｇ／ｌで得られたオゾン水濃
度が２５ｐｐｍで効率３．７％とオゾンの注入量の割に
はオゾン水濃度が低い。また、規定濃度のオゾン水を製
造するためには、槽内の容積に応じて立ち上げの時間が
必要かあるいは連続的にオゾン含有ガスを供給しておく
必要があり、急な供給要求に応えられない問題がある。

【０００７】この発明は、かかるオゾン水を製造する方
法の問題点に鑑み、溶解効率の向上を図り、高濃度オゾ
ン水を立ち上がり直後から供給することができるオゾン
水の製造方法の提供を目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】発明者は、従来、溶解効
率が低いとされたオゾンガスを充満させた溶解槽内に微
細化した水を供給してオゾン水を製造する方法におい
て、オゾンガスの溶解効率を向上させ、オゾンガスと微
細化した水とが効率よく接触する方法を目的に、オゾン
ガスを溶解槽内に均一に分散し、溶解槽内にガスのスム
ーズな流れを作る構成について種々検討した結果、溶解
槽内にじゃま板を設け、ある一定以上の水面高さをもた
せて、水面とじゃま板との間に設定した所定の隙間を通
してオゾンガスを排気することにより、水に巻き込みを
起こさせるとともに、水位とじゃま板の間の隙間が溶解
槽内のガス流速分布を調整し、オゾンガスの水への溶解
効率を大幅に向上させることができることを知見し、さ
らに、オゾンガスをオゾンガスの半減期を基準にした間
隔で、間欠的に槽内に吹き込み制御することにより、溶
解槽内のガス濃度を一定水準以上に保ち、必要濃度まで
の立ち上がり時間を短くできることを知見し、この発明
を完成した。

【０００９】この発明は、溶解槽側面より溶解槽内にオ
ゾンガスを吹き込み、溶解槽上面側より水を微細化して
供給し、溶解槽内で微細化した水にオゾンガスを接触さ
せてオゾン水を生成し、溶解槽底にオゾン水を貯水して
必要量を導出するに際し、オゾンガス噴射口に対向する
よう少なくとも１枚のじゃま板を溶解槽上面より垂設
し、オゾンガス噴射口より最も遠い位置のじゃま板の該
噴射口とは反対側よりオゾンガスを排気するとともに、
該排気側のじゃま板下端とオゾン水水面との距離を所要
値に調整することを特徴とするオゾン水の製造方法であ
る。また、この発明は、上記の構成において、オゾンガ
スの半減期を基準にした間隔で、オゾン含有ガスを間欠
的に供給するオゾン水の製造方法を併せて提案する。

【００１０】

【作用】この発明によるオゾン水の製造方法の作用を、
図面に基づいて詳述する。図１に示すオゾン水製造装置
は、ここでは直方体からなる溶解槽１０の天井中心部に
水供給部１１を設け、図で左側壁上部にオゾンガス供給
部１２を設け、その反対側に天井より垂れ下がり溶解槽
１０内の大半を仕切るじゃま板１３が設けられている。

【００１１】水供給部１１には、図示のように矩形底面
全面に均等に散布するごとく、噴霧あるいは微細流を散
水できれば、細孔やスリットを有する球体や円盤等から
なるノズルあるいは細管を多数束ねたノズルなどの構成
が採用でき、また、溶解槽１０底部には開閉弁を有する
排水系１４が設けられ、所要高さのオゾン水１５を溜め
ることができる。また、水供給部１１のノズルは、溶解
槽１０天井に１か所設けることが望ましく、発明者の実
験ではノズルを３か所設ける場合も効率的には１か所の
ものと差がなかった。

【００１２】オゾンガス供給部１２は、ここでは溶解槽
１０側壁上部からじゃま板１３に向けて水平方向に所要
流量で噴射され、左側壁とじゃま板１３間でスワールあ
るいは乱流を起こさせるように、噴射ノズルの数、位
置、噴射方向を選定してある。また、じゃま板１３と右
側壁との間の天井部に排ガス系１６が設けられ、同系に
は排オゾンガス分解用触媒及び活性炭充填のオゾンキラ
ー１７が接続されている。

【００１３】以上の構成において、排ガス系１６の手前
にじゃま板１３を設けたことにより、オゾンガスはオゾ
ン水１５水面とじゃま板１３下端間を通り排気されるこ
ととなり、じゃま板１３長さを所要値に設定し、また、
オゾン水１５の水面高さをある一定値に保ち、該隙間を
一定値にすることにより、オゾンガスの流速分布を所要
値に調整でき、溶解槽１０内のオゾンガスを均一に分散
させるとともに、オゾンガスのスムーズな流れを作り、
オゾンガスと微細化した水を効率よく接触させることが
でき、高能率で高濃度のオゾン水を製造できる。

【００１４】この発明において、じゃま板はオゾンガス
噴射口に対向するよう少なくとも１枚のじゃま板を溶解
槽上面より垂設するが、実施例に示すごとく、少なくと
もガス排気系出口の手前にじゃま板を１枚設置すること
ことが望ましく、また、溶解槽の容積に応じてあるいは
溶解槽のガス流れ方向長さと幅の寸法比等を考慮して、
じゃま板の枚数と設置位置を選定すると良い。

【００１５】

【実施例】

実施例１ 縦１８ｃｍ、横２０ｃｍ、幅２ｃｍ、容積０．７２ｌの
直方体の溶解槽を用い、天井中央より散水し、横方向へ
ガスを流すようにして、横方向の排気側から約１／４位
置に縦長さ９ｃｍの１枚のじゃま板を垂設した前述の図
６の（Ａ）の構成からなるオゾン水製造装置にてこの発
明方法を実施した。水流量１．５ｌ／分、オゾン発生量
０．７ｇ／ｈ、ガス流量０．２ｌ／分の条件で、オゾン
水水面位置を底面から１．５ｃｍ、３ｃｍに設定してオ
ゾン水の製造を行った。また、比較のために上記構成の
オゾン水製造装置において、じゃま板を設けない以外は
同様条件でオゾン水の製造を行った。

【００１６】得られたオゾン水の濃度を測定した。図２
に示すごとく、溶解槽にじゃま板を設置することで、溶
解効率が２５〜４０％向上したことが分かる。すなわ
ち、ガス排気系出口の手前にじゃま板を設置すること
で、溶解槽内でのオゾンガスの偏りを防ぎ、溶解槽中の
底部までオゾン含有ガスが行き渡り、均一な拡散を促す
ことができ、溶解効率が向上したものと考えられる。ま
た、この発明方法において、オゾン水水面位置を底面か
ら１ｃｍ〜１０ｃｍに設定してオゾン水の製造を行った
ところ、図５に示すごとく、水面高さをある一定以上に
保持し、水面に波打ち現象を引起し、水とオゾンガスの
接触面積を増やすことで、オゾンガスの溶解効率を向上
させることが可能なことが分かる。

【００１７】実施例２ 実施例１の条件において、図６の（Ｂ）に示すごとく、
排ガス系１６の手前のじゃま板１３以外に、溶解槽の横
方向の中央底側よりじゃま板１８を立設し、さらにじゃ
ま板１８とオゾンガス供給部１２との中央に天井側から
じゃま板１９を垂設した構成からなるオゾン水製造装置
にて、オゾン水水面位置を底面から３ｃｍに設定してこ
の発明方法を実施した。図３に得られたオゾン水の濃度
測定結果を示すごとく、６ｐｐｍとじゃま板を設けない
先の比較例に対して約１７％向上している。実施例１の
図６の（Ａ）に示すじゃま板１３が１枚のものに比べて
効果が低下しているが、幅が狭く容積が小さな溶解槽に
おいては、溶解槽の中央に板を設置することが水の噴射
の妨げになっており、結果として水とオゾンガスとの接
触効率を悪くしており、中央のじゃま板１８を除くと効
率が上昇するものと予想される。

【００１８】実施例３ 図６の（Ａ）に示すオゾン水製造装置にて、実施例１の
条件において、オゾン水水面位置を底面から３ｃｍ、オ
ゾン水の規定濃度を６ｐｐｍに設定し、１０分間オゾン
ガスを供給した後、１０分間停止する間欠運転を行った
ところ、得られたオゾン水の濃度測定結果を図４に示す
ごとく連続運転時の立ち上げ時間が不要となり、常時一
定濃度のオゾン水を供給することが可能となった。

【００１９】

【発明の効果】この発明は、溶解槽内にじゃま板を設
け、ある一定以上の水面高さをもたせて、水面とじゃま
板との間に設定した所定の隙間を通してオゾンガスを排
気することにより、オゾンガスを溶解槽内に均一に分散
し、溶解槽内にガスのスムーズな流れを作り、水とオゾ
ンガスの接触面積を増大させることができ、溶解効率が
大幅に向上したことにより、同じオゾン注入量でも高濃
度のオゾン水を供給することができ、溶解槽をコンパク
トにすることができる。また、オゾンガス溶解効率の向
上に伴い、同じオゾン注入量でも従来と比較して、排オ
ゾンガス量がかなり抑えられ、その結果、触媒及び活性
炭を充填したオゾンキラーをコンパクトにすることがで
きた。従来、槽内にオゾン含有ガスを充満させてオゾン
水を製造する当該方式は、槽内にオゾン含有ガスが充満
するまでの時間、規定濃度のオゾン水を製造することが
できず、立ち上がりまでに時間を要し、急な供給要求に
答えるにはオゾン含有ガスを連続的に供給する必要があ
ったが、オゾンガスの半減期を基準にした間隔で、オゾ
ン含有ガスを間欠的に供給することで、槽内には、常に
ある一定のオゾン含有ガスがあり、立ち上がりから規定
濃度のオゾン水を供給することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の方法を実施するためのオゾン水製造
装置の構成を示す説明図である。

【図２】オゾン水水面位置と得られたオゾン水の濃度と
の関係を示すグラフである。

【図３】じゃま板の数と得られたオゾン水の濃度との関
係を示すグラフである。

【図４】この発明による間欠運転の時間と得られたオゾ
ン水の濃度との関係を示すグラフである。

【図５】オゾン水水面高さと得られたオゾン水の濃度と
の関係を示すグラフである。

【図６】（Ａ），（Ｂ）はこの発明の方法を実施するた
めのオゾン水製造装置の構成例を示す説明図である。

【図７】従来のオゾン水製造装置の構成を示す説明図で
ある。

【符号の説明】

１ 容器 ２ 散気板 １０ 溶解槽 １１ 水供給部 １２ オゾンガス供給部 １３，１８，１９ じゃま板 １４ 排水系 １５ オゾン水 １６ 排ガス系 １７ オゾンキラー

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 溶解槽側面より溶解槽内にオゾンガスを
   吹き込み、溶解槽上面側より水を微細化して供給し、溶
   解槽内で微細化した水にオゾンガスを接触させてオゾン
   水を生成し、溶解槽底にオゾン水を貯水して必要量を導
   出するに際し、オゾンガス噴射口に対向するよう少なく
   とも１枚のじゃま板を溶解槽上面より垂設し、オゾンガ
   ス噴射口より最も遠い位置のじゃま板の該噴射口とは反
   対側よりオゾンガスを排気するとともに、該排気側のじ
   ゃま板下端とオゾン水水面との距離を所要値に調整する
   ことを特徴とするオゾン水の製造方法。
2. 【請求項２】 オゾンガスの半減期を基準にした間隔
   で、オゾン含有ガスを間欠的に供給することを特徴とす
   る請求項１記載のオゾン水の製造方法。