JPH07328502A - 塗装ブース - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 大型化およびコストの増大を招来することな
く塗料ミストによる不具合の発生を防止すること。 【構成】 本発明では、エア噴射プレート部から噴射さ
れるエアによって塗料ミストを外部に排出するようにし
ている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、吹付塗装等の塗装作業
時に適用される塗装ブースに関するもので、詳しくは、
塗料ミストが原因となる不具合の発生を防止するように
した塗装ブースの改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、吹付塗装の際に適用される塗
装ブースには、被塗装物に付着されずに浮遊する塗料、
つまり塗料ミストによる塗装不良等の不具合を防止する
ため、その内部にウォータカーテン装置が設けられてい
る。ウォータカーテン装置は、通常、ブース側壁の内部
に上下方向に沿って配置されたガイド板を備えており、
このガイド板の表面に水流膜を形成することにより、塗
装ブースの内部において浮遊する塗料ミストをこの水流
膜に捕捉させるようにしている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
なウォータカーテン装置においては、上記ガイド板に絶
え間なく水流膜を形成しなければならないため、該ガイ
ド板の上部に大容量の貯水槽が必要になるとともに、こ
の高所に配置された貯留槽に大量の水を供給するための
大型のウォータポンプが塗装ブースの極近傍に必要とな
り、適用する塗装ブースの大型化および製造コストの著
しい増大を招来することとなる。

【０００４】本発明の目的は、上記実情に鑑みて、大型
化およびコストの増大を招来することなく塗料ミストに
よる不具合の発生を防止することのできる塗装ブースを
提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明では、ブース側壁
の内面を覆い、かつ下方に向けて漸次外方に傾斜する態
様で配設されており、下方に向けてエアを噴射する複数
のエア噴射口が上下方向に沿って段状に並設されたエア
噴射プレート部と、前記エア噴射プレート部から噴射さ
れたエアを外部に導くエア排出通路と、前記エア排出通
路の経路中に介在され、かつ内部に処理液が貯留されて
おり、該エア排出通路に導入されたエアが通過する際に
該エアに含まれる塗料を前記処理液中に捕捉する処理槽
とを備えて塗装ブースを構成している。

【０００６】

【作用】上記構成によれば、塗料ミストがエア噴射プレ
ート部から噴射されるエアと共にエア排出通路を介して
外部へ排出され、その後、処理槽を通過する際に処理液
に捕捉される。

【０００７】

【実施例】以下、一実施例を示す図面に基づいて本発明
を詳細に説明する。図１は、本発明に係る塗装ブースを
概念的に示したものである。ここで例示する塗装ブース
Ｂは、オーバーヘッドコンベアＣのハンガーＨに保持さ
れて順次搬送される被塗装体Ｗ、たとえばバンパーや燃
料タンク等の自動車用部品に対して順次吹付塗装を行う
塗装設備に適用されるもので、上記オーバーヘッドコン
ベアＣの搬送域を挟んで塗装用ガンＧに対向する側面
（以下、単に塗装対向側面ＴＢと称する）に一対の支柱
１を備えている。

【０００８】支柱１は、図１乃至図３に示すように、上
下方向に延在する角柱状を成し、下方に向かうにしたが
って漸次塗装ブースＢの外方（図１中において右方）に
傾斜する態様で上記塗装対向側面ＴＢの両側隅部に配置
されており、上記塗装用ガンＧに対向する内面にそれぞ
れプレート支持部材２を保持している。プレート支持部
材２は、上記支柱１の内面に取り付けられた取付板部２
ａと、該取付板部２ａの一端から略直角方向に屈曲さ
れ、互いに平行となる態様で上記塗装ブースＢの内方に
突設された支持板部２ｂとを有する横断面略Ｌ字状を成
しており、個々の支持板部２ｂの互いに対向する部位に
それぞれ複数の収容溝２ｃを有している。収容溝２ｃ
は、図２に示すように、それぞれ上下方向に延在する矩
形状を成し、上記塗装ブースＢの底面ＳＢとの間に９０
°未満、実施例では約８０°の角度αを確保した状態で
互いに平行に配設されているとともに、上記塗装対向側
面ＴＢに近接するにしたがって順次下方に一定距離Ｌ
（＜収容溝２ｃの全長）ずつ偏位されており、互いに隣
り合うものの下端部と上端部とが相互にオーバーラップ
した状態に配置されている。

【０００９】また、上記塗装ブースＢは、上記プレート
支持部材２の相互間にフィックスプレート３および複数
のブラインドプレート４を備えている。フィックスプレ
ート３は、図２および図３に示すように、上記プレート
支持部材２の相互間隔とほぼ同一の長さを有した矩形平
板状を成しており、該プレート支持部材２の最上部に形
成された収容溝２ｃよりも塗装ブースＢの内方側に位置
する部位に該収容溝２ｃの延在方向と平行となる状態で
ボルトＮを介して着脱可能に取り付けられている。ブラ
インドプレート４は、それぞれ上記プレート支持部材２
の相互間隔よりも長く、かつ上記収容溝２ｃよりも幅の
狭い矩形板状を成し、個々の一側両隅部にそれぞれ矩形
状の切欠を有しており、各切欠を下方に配置した状態で
それぞれの両端部を上記収容溝２ｃに貫挿することによ
り、上記塗装対向側面ＴＢを完全に覆う態様で上記プレ
ート支持部材２に着脱可能に支持されている。

【００１０】さらに、上記塗装ブースＢは、図１に示す
ように、送風ファン５と排気ファン６とを備えている。
送風ファン５は、上記塗装ブースＢの外部上方域に配置
されており、該塗装ブースＢの天面ＵＢにおける上記塗
装対向側面ＴＢと上記複数のブラインドプレート４との
間に位置する部位にエア供給通路７を介して連通されて
いる。排気ファン６は、上記塗装ブースＢの外部側方域
に配置されており、該塗装ブースＢの底面ＳＢにおける
上記複数のブラインドプレート４よりも内方に位置する
部位にエア排出通路８を介して連通されている。同図か
らも明らかなように、上記エア排出通路８は、上記塗装
ブースＢの底面ＳＢから水平方向に延在した後、上下方
向に略Ｓ字状に湾曲した状態で上記排気ファン６に接続
されており、このＳ字状に湾曲した部位に排気処理槽９
を構成している。排気処理槽９は、図４に示すように、
内部に処理液１０、実施例では水が貯留されており、該
処理液によってエア排出通路８の上流側と下流側とを分
断している。

【００１１】なお、図には明示していないが、上記フィ
ックスプレート３およびブラインドプレート４の表面、
さらに上記エア排出通路８の内壁面には、それぞれ塗装
ブースＢ内に吹き付けられる塗料に対して剥離性に富む
コーティング剤が塗布されている。また、図１中の符号
１１は、オーバーヘッドコンベアＣのハンガーＨに保持
されて順次搬送される被塗装体Ｗを塗装ブースＢの内部
へ流通させるための開口であり、外部との雰囲気の流通
を防止するために、従前から用いられている図示してい
ないエアカーテン装置によって仕切られいる。

【００１２】上記のように構成された塗装ブースＢにお
いては、その内部における上記塗装対向側面ＴＢと上記
複数のブラインドプレート４との間に該ブラインドプレ
ート４相互の間隙Ｅを介して互いに連通する室１２が構
成されることになり、上記送風ファン５および上記排気
ファン６をそれぞれ駆動した場合、エア供給通路７を介
して室１２に供給されたエアが上記ブラインドプレート
４相互間の間隙Ｅを介して内部に噴射されるとともに、
該内部に噴射されたエアがエア排出通路８を介して外部
に排出されることになる。このとき、各ブラインドプレ
ート４相互間の間隙Ｅを介して塗装ブースＢの内部に噴
射されるエアは、順次上方の間隙Ｅから噴射されるエア
によって案内されるため、塗装ブースＢの内部に無秩序
に拡散することなくブラインドプレート４の延在方向に
沿って層状に下方に案内され、直ちにエア排出通路８に
排出される。また、エア排出通路８に排出されたエア
は、図４に示すように、排気処理槽９においてその内部
に貯留された処理液１０中を通過して外部に排出される
ことになる。

【００１３】したがって、上記塗装ブースＢによれば、
被塗装体Ｗに対して吹付塗装を施す際に上述した送風フ
ァン５および排気ファン６を駆動すれば、該被塗装体Ｗ
に付着されずに浮遊する塗料ミストがブラインドプレー
ト４相互間の間隙Ｅを介して塗装ブースＢの内部に噴射
されるエアとともにエア排出通路８へ排出されるため、
塗料ミストが原因となる塗装不良等の不具合の発生を防
止することが可能となる。また、エアとともにエア排出
通路８に排出された塗料は、排気処理槽９の処理液１０
を通過する際に該処理液１０中に捕捉されるため、外気
汚染の原因となることもない。

【００１４】しかも、水よりも抵抗の小さいエアの噴射
によって塗料ミストを塗装ブースＢの外部に排出するよ
うにしているため、比較的小型の送風ファン５および排
気ファン６を塗装ブースＢから十分離隔した位置に配置
すればよく、適用する塗装ブースＢの大型化や製造コス
トの増大を抑制することができるとともに、塗装ブース
Ｂ内の騒音を低減することができるようになる。

【００１５】さらに、ブラインドプレート４の表面、フ
ィックスプレート３の表面およびエア排出通路８の内壁
面にそれぞれコーティングを施しているため、塗料ミス
トによるこれらの汚損を可及的に防止することが可能で
あり、また上記各プレート３，４に塗料ミストが付着し
た場合にもこれらプレート３，４が着脱可能であるた
め、その洗浄作業を容易に行うことが可能である。

【００１６】因に、排気処理槽９で捕捉された塗料は、
適宜時期に図示していない分離槽に供給され、処理液１
０から取り除かれて廃棄されることになる。

【００１７】なお、上記実施例では、オーバーヘッドコ
ンベアのハンガーに保持されて順次搬送される被塗装体
に対して順次吹付塗装を行う塗装設備に適用される塗装
ブースを例示しているが、本発明はこれらに限定されな
い。たとえばフロアコンベアによって搬送される被塗装
体や停止状態にある被塗装体に対して塗装を行う場合の
塗装ブースにももちろん適用することができる。

【００１８】また、上記実施例では、複数のプレートを
オーバーラップさせた状態に配置することによってエア
噴射プレート部を構成しているが、エア噴射口が段状に
形成された一枚のプレートによってエア噴射プレート部
を構成することも可能である。なお、複数のプレートに
よってエア噴射プレート部を構成する場合、上記実施例
においては、これら複数のプレートの両端部を支柱に取
り付けられたプレート支持部材の収容溝に貫挿保持させ
るようにしているが、たとえば支柱の内面に階段状の段
部を形成し、この段部に順次プレートを取り付けるよう
にしても構わない。

【００１９】さらに、上記実施例では、処理液として水
を例示しているが、水以外の処理液を適用してももちろ
んよい。

【００２０】

【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る塗装
ブースによれば、エア噴射プレート部から噴射されるエ
アによって塗料ミストを外部に排出するようにしている
ため、比較的小型のエア供給手段を用意すればよく、適
用する塗装ブースの大型化およびコストの増大を可及的
に抑えることが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る塗装ブースの一実施例を概念的に
示した断面図である。

【図２】図１に示した実施例で適用されるエア噴射プレ
ート部の要部を示した拡大図である。

【図３】図２における矢視 III 図である。

【図４】図１に示した実施例で適用される処理槽を概念
的に示した拡大図である。

【符号の説明】

１…支柱 ２…プレート支持部材 ３…フィックスプレート ４…ブラインドプレート ８…エア排出通路 ９…処理槽 １０…処理液 Ｂ…塗装ブース Ｅ…ブラインドプレート相互間隙 ＴＢ…ブース側壁

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ブース側壁の内面を覆い、かつ下方に向
   けて漸次外方に傾斜する態様で配設されており、下方に
   向けてエアを噴射する複数のエア噴射口が上下方向に沿
   って段状に並設されたエア噴射プレート部と、 前記エア噴射プレート部から噴射されたエアを外部に導
   くエア排出通路と、 前記エア排出通路の経路中に介在され、かつ内部に処理
   液が貯留されており、該エア排出通路に導入されたエア
   が通過する際に該エアに含まれる塗料を前記処理液中に
   捕捉する処理槽とを備えたことを特徴とする塗装ブー
   ス。