JPH07328116A - 医療用穿刺針 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 使用済みの留置針の内針や注射器の注射針を
二次感染の心配なく安全に廃棄処理させる。 【構成】 内針または注射針である針体２の基端部に伸
長可能な針ケース体２１を収縮状態で嵌装し、その基端
を針基４の先端に固結した。針ケース体２１を伸長して
針体の全体を包み込むと、テレスコープ構造の各短筒体
２２ａ・・・２２ｆは尾端の外向き突縁２３が内向き突
起２５に衝って収縮できず、伸長状態を保持するもので
ある。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は医療のため血管や胆管な
どへ経皮的に穿刺する留置用または注射用の穿刺針、詳
しくは使用後に金属製の内針または注射針を露出しない
状態で廃棄することができる機構を具えた医療用穿刺針
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】血管や胆管などに留置して輸血、輸液ま
たは脱血、排液を行なう留置針は、柔軟な細管からなる
カニューレとカニューレを経皮的に穿刺する金属製の内
針とからなり、目的部位に到達したとき内針を抜取って
カニューレを残置する構成である。

【０００３】このような留置針から抜取った内針、また
は注射器における使用後の注射針は、これらに付着した
細菌、ウイルスなどが次の被療者に感染するのを防止す
るため使い捨てとし、廃棄するのが普通である。この場
合、医師や看護婦が内針をカニューレから抜取ったとき
或いは注射針を注射筒から分離した際に誤って指などを
傷つけたり、或いはこれらを柔軟フィルムの合成樹脂袋
に入れて捨てると回収業者が指を傷付けたりして関係者
が感染する、という心配がある。

【０００４】そこで、注射器については注射針の針基を
引掛けて注射筒を引張ることにより注射針を分離する手
段をふた体に設け、分離した注射針がそのまま容器体に
落下収容されるようにした硬質の廃棄容器が提案されて
いる（特開平１−５２４８０号公報、特開平１−１３６
６６５号公報参照）。即ち、この廃棄容器を使用する
と、注射針を手に触れることなく分離することができ、
且つ収容した注射針は容器体を突き破らないので関係者
の安全を期することができる、とされている。

【０００５】しかしながら、使用を終ってから廃棄容器
に分離収容するまでの間、付着血液が触れたり指などを
傷付けたりする機会が皆無でなく、依然として感染の危
険が残っている。また、前述の留置針については内針を
カニューレから抜取り、そして廃棄のため準備した容器
に入れるまでその針基をつまみ持って扱わなければなら
ないので、付着血液が触れたり誤って指などを傷つけた
りする機会が多い。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、留置針における内針や注射器における注射
針を人体から抜取ってから廃棄容器などに収容するまで
の間、これらが露出状態で取扱われるため付着血液が触
れたり指などを傷付けたりする心配があるにもかかわら
ず、充分な安全対策が講じられていなかった、という点
である。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は前記課題を解決
し、使用済みの内針および注射針を触れることが全くな
い状態で処理することができる機能をもった医療用穿刺
針を提供することを目的とするものである。

【０００８】即ち、そのための手段として、針体の全長
またはそれよりも長大に伸長可能な針ケース体を基端を
針基の先端に固定して針体の基端部に収縮状態で嵌装
し、且つ針ケース体を伸長させたとき伸長状態を保持す
る収縮防止手段を具えさせた。

【０００９】針ケース体は数個の短筒体からなるテレス
コープ構造とするか、或いは蛇腹構造とされる。

【００１０】また、収縮防止手段は針ケース体がテレス
コープ構造の場合は前方短筒体の尾端の外向き突縁と、
これと係合して抜止めとして働く内向き突縁を先端に有
する後方短筒体の先端から少し後方に形成した外向き突
縁の戻り止めとして働く内向き突起とによって構成され
ることがある。或いは、針ケース体がテレスコープ構造
および蛇腹構造のいずれの場合であっても、針ケース体
の先端部に取付けて針体の外側周面に圧縮状態で密着し
た弾性パッキングと、針体の先端部に形成した弾性パッ
キング嵌入係止用の環状溝または針体の少なくとも先端
部分に形成した先端へ向かい大径となるテーパ外側周面
部とによって構成される場合がある。

【００１１】

【作用】針ケース体を収縮状態に保持して穿刺した針体
を人体から抜取りながら、或いは抜取ってから針ケース
体を伸長させ、収縮防止手段により針体を全長に亘り包
み込んだ状態に保持させて廃棄する。これにより、医師
や看護婦更に回収業者などに付着血液が触れ或いは指な
どを傷付ける心配なく処理することができる。

【００１２】

【実施例１】図面を参照して本発明の実施例を説明する
と、図１はテレスコープ構造の外ケース体を留置針に適
用して構成した穿刺針の一例を示しており、内針体１は
先端に穿刺刃３を有し本発明の針体を構成する内針２と
その基端を先端に埋込み固定させた硬質合成樹脂製の針
基４とからなり、カニューレ体６は内針２に隙間なく嵌
装して血管や胆管などに留置される軟質合成樹脂の細管
からなるカニューレ７とその基端の厚肉大径とされた取
付部８を取外し可能に嵌装した接手管部１０を先端に有
する硬質合成樹脂製の基体９とからなり、基体９にはシ
リコンゴムなどの高弾性材料で作られた弁部片１１が内
装されている。この弁部片１１は内針２を包んでその外
側周面に密着しているが、内針２を抜去るとその挿通孔
が自身の弾性力で塞がれるものであり、血液の流出を防
止するため普通に用いられている。

【００１３】針ケース体２１は尾端に外向き突縁２３を
有するとともに最前方となるものを除いて先端に内向き
突縁２４を有する硬質合成樹脂製の数個の短筒体２２
ａ、２２ｂ、２２ｃ、２２ｄ、２２ｅ、２２ｆからな
り、最後方となる最大径の短筒体２２ａの外向き突縁２
３が針基４の先端面に接着剤によりまたは熱溶着により
固着されている。そして、順次小径となる短筒体２２
ａ、２２ｂ、２２ｃ、２２ｄ、２２ｅ、２２ｆが互いに
嵌め合わせられた収縮状態で内針２の基端部に嵌装さ
れ、最前方となる最小径の短筒体２２ｆの先端がカニュ
ーレ体６の基体９の尾端に接着剤によりまたは熱溶着に
より固結されている。

【００１４】従って、本実施例ではカニューレ体６の基
体９が針ケース体２１の構成部品となっており、伸長し
たとき内針２の穿刺刃３が基体９の内部に位置するよう
になっている。

【００１５】針ケース体２１の最前方となる短筒体２２
ｆを除いた全ての短筒体２２ａ、２２ｂ、２２ｃ、２２
ｄ、２２ｅには、先端から少し後方に位置させて周方向
不連続に設けた凹溝によって作られた内向き突起２５が
形成されており、この内向き突起２５とその前方の短筒
体の外向き突縁２３とは互いに協力して戻り止めとして
働く収縮防止手段を構成している。

【００１６】このような構成の本実施例は、穿刺刃３を
前方へ露出させて内針２にカニューレ７を嵌装し、従っ
て針ケース体２１が収縮している図１の（Ａ）に示す状
態で目的部位である例えば血管に穿刺する。

【００１７】次に、輸血などを行なうためカニューレ７
を血管に穿刺したまま残置して内針２を抜取る。この抜
取りは針基４を引張るという従来と全く同じ手法で行な
われ、最先端が基体９に固結され最尾端が針基４に固結
されている針ケース体２１は短筒体２２ｂ、２２ｃ、２
２ｄ、２２ｅ、２２ｆが順次抜出されることによって常
に内針２を包み込んだ図１の（Ｂ）に示す状態で伸長す
る。

【００１８】針ケース体２１を完全に伸長させると、内
針２はカニューレ７から抜出され穿刺刃３が基体２１の
内部に位置した状態となる。従って、カニューレ７を定
置させて針基４或いは基体９を持ち更に引張ると、取付
部８から接手管部１０が抜出されてカニューレ体６が分
離され、図１の（Ｃ）に示すように基体９を構成部品の
一部とする針ケース体２１が内針２を完全に包み込んだ
状態で廃棄することができる。

【００１９】本実施例では、短筒体２２ａ、２２ｂ、２
２ｃ、２２ｄ、２２ｅ、２２ｆの尾端の外向き突縁２３
は図１の（Ｃ）の拡大部分に見られるように、後方へラ
ッパ状に拡がる傾針突縁としたので、伸長させる際に内
向き突起２５に衝ると弾性的に縮小して通過するが、収
縮方向へ戻ろうとする際は内向き突起２５に衝ると更に
拡がる方向の力が働くので通過不可能となり、このため
短筒体２２ｂ、２２ｃ、２２ｄ、２２ｅ、２２ｆは後方
の短筒体２２ａ、２２ｂ、２２ｃ、２２ｄ、２２ｅの内
向き突縁２４と突起２５との間隔に相当する長さだけ長
手方向へ伸縮するがたつきをもつにとどまる。

【００２０】また、先端の内向き突縁２４は前方へ次第
に絞られる傾針突縁としたので、外向き突縁２３と面接
触して強い力で伸長させても抜出すことがない。

【００２１】

【実施例２】図２は蛇腹構造の外ケース体を注射器の注
射針に適用して構成した穿刺針の一例を示しており、先
端に穿刺刃３３を有し本発明の針体を構成する注射針３
２は、その基端を注射筒先端に接続する硬質合成樹脂製
の針基３４の先端に埋込み固定している。

【００２２】針ケース体４１は軟質合成樹脂製の蛇腹体
４２と、その先端に一体成形により或いは別体としたも
のを接着剤によりまたは熱溶着により突出形成したパイ
プ状のカバー体４３とからなり、カバー体４３の基端近
くにはシリコンゴムなどの高弾性材料で作られた弾性パ
ッキング４４が内装されている。

【００２３】そして、この針ケース体４１の蛇腹体４２
は放置状態で収縮しているように作られており、その状
態で注射針３２の基端部に嵌装され、蛇腹体４２の基端
は針基３４の先端面に接着剤によりまたは熱溶着により
固着されている。また、蛇腹体４２を伸長したとき穿刺
刃３３がカバー体４３の内部に位置するようになってい
る。

【００２４】注射針３２の穿刺刃３３に近い先端部分に
は環状溝３５が設けられており、この環状溝３５は弾性
パッキング４４を嵌入係止して蛇腹体４２を収縮させな
いように働く。従って、環状溝３５と弾性パッキング４
４とは針ケース体４１の収縮防止手段を構成する。

【００２５】このような構成の本実施例は、針ケース体
４１が収縮している図２の（Ａ）に示す状態で使用され
るものであり、弾性パッキング４４は注射針３２を包ん
でその外側周面に圧接状態で密着している。このため、
弾性パッキング４４は蛇腹体４２が不用意に伸長するの
を防止するブレーキとして働く。

【００２６】注射を終って人体から注射針３２を抜取っ
たとき、或いは抜取りながらカバー体４３を弾性パッキ
ング４４のブレーキ力にうち勝って先端方向へ引っ張る
ことにより蛇腹体４２が注射針３２を先端へ向かって次
第に包み込みながら伸長する。そして、充分に伸長する
と、図２の（Ｂ）に示すように弾性パッキング４４が環
状溝３５に嵌入係止するので、手を離しても蛇腹体４２
は収縮復元することなく伸長状態を維持し、カバー体４
３が穿刺刃３３の前方まで突出することによって、針ケ
ース体４１が注射針３２を完全に包み込んだ状態で廃棄
することができる。

【００２７】この実施例によると、針ケース体４１は環
状溝３５と弾性パッキング４４との係合によりがたつく
ことなく伸長状態を維持する。

【００２８】図３は蛇腹構造の外ケース体４１を弾性パ
ッキング４４と協働して伸長状態に保持するため針体側
に設けた収縮防止手段の異なる実施例を示すものであっ
て、注射針５１をほぼ全長に亘って先端へ向かい大径と
なる先太り形状とし、そのテーパ外側周面部５２に圧接
した弾性パッキング４４が先端へ移動するに伴って次第
に圧縮され摩擦力を増大するようにしたものである。

【００２９】もっとも、収縮防止機能は針ケース体４１
が注射針５１を完全に包み込んだとき働けばよいので、
テーパ外側周面部５２を注射針５１の先端部分のみに形
成してもよい。

【００３０】尚、テレスコープ構造の針ケース体２１を
注射針３２に適用し、蛇腹構造の針ケース体４１を留置
針１に適用することができることは言うまでもない。ま
た、これらにおける針基４，３４、短筒体２２ａまたは
蛇腹体４２，基体９またはカバー体４３の互いの固結は
ねじ結合、ルアー結合などの機械的手段によってもよい
ことは勿論である。

【００３１】

【発明の効果】以上のように、針ケース体を収縮状態で
針体の基端部に嵌装するとともに、伸長して針体の全長
を包み込んだとき収縮を防止する手段を具えた本発明に
よると、留置針の内針および注射器の注射針のいずれに
おいても完全に包み込んで触れることが全くない状態で
廃棄することができる。このため、医師や看護婦更に回
収業者などの関係者に付着血液が触れ或いは指などを傷
付ける、という心配が完全に解消され二次感染のおそれ
なく処理することができるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第一の実施例を示す縦断面図。

【図２】本発明の第二の実施例を示す縦断面図。

【図３】第二の実施例の変形例を示す部分図。

【符号の説明】

２ 内針， ４ 針基， ２１，４１ 針ケース体，
２２ａ，２２ｂ，２２ｃ，２２ｄ，２２ｅ，２２ｆ 短
筒体， ２３ 外向き突縁， ２４ 内向き突縁， ２
５ 内向き突起， ３２ 注射針， ３４ 針基， ３
５ 環状溝，４２ 蛇腹体， ４４ 弾性パッキング，

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 針体の全長またはそれよりも長大に伸長
   可能な針ケース体が基端を針基の先端に固定して前記針
   体の基端部に収縮状態で嵌装されており、且つ前記針ケ
   ース体を伸長させたとき伸長状態を保持する収縮防止手
   段が具えられていることを特徴とする医療用穿刺針。
2. 【請求項２】 針ケース体が数個の短筒体からなるテレ
   スコープ構造である請求項１記載の医療用穿刺針。
3. 【請求項３】 針ケース体が蛇腹構造である請求項１記
   載の医療用穿刺針。
4. 【請求項４】 針ケース体が数個の短筒体からなるテレ
   スコープ構造であり、収縮防止手段が前方短筒体の尾端
   の外向き突縁と、これと係合し抜止めとして働く内向き
   突縁を先端に有する後方短筒体の先端から少し後方に形
   成され前記外向き突縁の戻り止めとして働く内向き突起
   とからなる構成である請求項１記載の医療用穿刺針。
5. 【請求項５】 収縮防止手段が針ケース体の先端部に取
   付けられ針体の外側周面に圧縮状態で密着した弾性パッ
   キングと、前記針体の先端部に形成され前記弾性パッキ
   ングを嵌入係止する環状溝とからなる構成である請求項
   １記載の医療用穿刺針。
6. 【請求項６】 収縮防止手段が針ケース体の先端部に取
   付けられ針体の外側周面に圧縮状態で密着した弾性パッ
   キングと、前記針体の少なくとも先端部分に形成された
   先端へ向かって大径となるテーパ外側周面部とからなる
   構成である請求項１記載の医療用穿刺針。