JPH07326308A - 着色薄膜形成用塗布液およびその塗布液により得られる着色薄膜 - Google Patents

着色薄膜形成用塗布液およびその塗布液により得られる着色薄膜

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JPH07326308A
JPH07326308A JP6117186A JP11718694A JPH07326308A JP H07326308 A JPH07326308 A JP H07326308A JP 6117186 A JP6117186 A JP 6117186A JP 11718694 A JP11718694 A JP 11718694A JP H07326308 A JPH07326308 A JP H07326308A
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colored thin
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film
colored
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JP6117186A
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Keisuke Abe
啓介 阿部
Takeshi Kawasato
健 河里
Keiko Ohashi
恵子 大橋
Yasuhiro Sanada
恭宏 真田
Kazuya Hiratsuka
和也 平塚
Takeshi Morimoto
剛 森本
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AGC Inc
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Asahi Glass Co Ltd
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  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
  • Formation Of Various Coating Films On Cathode Ray Tubes And Lamps (AREA)
  • Vessels, Lead-In Wires, Accessory Apparatuses For Cathode-Ray Tubes (AREA)
  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】窒素含有金属酸化物粒子を、塩基性水溶液から
なる溶媒中で平均一次粒径0. 1mm以下の石英製ビー
ズを用いて解膠粉砕し、必要に応じて加熱して得られる
超微粒子ゾル中のアルカリイオンを100ppm以下に
し、次いでNH3を添加して作成される着色薄膜形成用
塗布液と該塗布液により得られる着色薄膜。 【効果】長期安定性に優れ、かつスピンコート法で塗布
する際の液の流れ跡、粒子の流れ跡、膜乾燥時の粒子の
凝集、乾燥ムラ、膜厚差等が少なく、全可視光領域にお
いて均一な吸収を有する優れた着色膜、着色帯電防止
膜、着色低反射帯電防止膜を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は 着色薄膜形成用塗布
液、この塗布液を陰極線管用パネル等に塗布することに
より得られる着色薄膜、着色帯電防止膜、着色低反射
膜、着色低反射帯電防止膜、その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】帯電防止膜、着色薄膜、着色帯電防止
膜、低反射帯電防止膜、着色低反射帯電防止膜のコーテ
ィング方法は従来より光学機器においてはいうまでもな
く、民生用機器、特にTV、コンピューター端末の陰極
線管(CRT)に関し多くの検討がなされてきた。
【0003】帯電防止に関しては、ブラウン管パネル表
面を350℃程度に加熱してCVD法により酸化スズお
よび酸化インジウム等の導電性酸化物層を設ける方法が
提案されている(特開昭63−76247)。
【0004】膜の着色に関しては、水溶性フタロシアニ
ン化合物を用いる方法が提案されている(特開平1−2
75664)。また帯電防止性能をもつ着色薄膜に関し
ては、メチルバイオレットを用いた帯電防止膜の記述が
ある(特開平1−251545)。
【0005】低反射性に関しては、特開昭61−118
931号記載のようにブラウン管表面に防眩効果をもた
せるため表面に微細な凹凸を有するSiO2 層を付着さ
せたり、フッ酸により表面をエッチングして凹凸を設け
る等の方法が採られてきた。しかし、これらの方法は、
外部光を散乱させるノングレア処理と呼ばれ、本質的に
低反射層を設ける方法ではないため、反射率の低減には
限界があり、またブラウン管等においては解像度を低下
させる原因ともなっていた。
【0006】低反射帯電防止膜に関しては、イオンプレ
ーティング法による光学多層膜を設ける方法が記載され
ている(特開平3−93136)。
【0007】上述の方法のうち、CVD法による帯電防
止膜を付与させる手法は装置コストがかかることに加え
てブラウン管表面を高温に加熱するためブラウン管内の
蛍光体の脱落を生じたり、寸法精度が低下する等の問題
があった。またこの場合通常400℃程度の高温を必要
とし、低温で焼成した場合充分低抵抗な膜が得られない
欠点があった。
【0008】また上記着色薄膜の水溶性フタロシアニン
化合物を用いる方法は、有機染料を用いるため耐熱性、
耐候性に乏しく特定波長に吸収をもつため可視光全波長
領域にわたっての均一な吸収をうることが難しいという
欠点を有している。上記のメチルバイオレットを含む帯
電防止膜も同様な理由より耐熱性、耐候性に乏しく可視
光全波長領域にわたっての均一な吸収をうることが難し
い。
【0009】またイオンプレーティングによる方法は工
業的に安価とはいえずまた可視光波長領域にわたっての
均一な吸収を得られないため、陰極線管に成膜したとき
コントラストの向上も望めない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は従来技術の前
述の問題点を解決し、低温熱処理が可能な着色薄膜、帯
電防止着色薄膜、低反射帯電防止着色薄膜およびこれら
の製造方法を新規に提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、窒素含有金属
酸化物の超微粒子ゾルを含む着色薄膜形成用塗布液であ
って、前記超微粒子ゾルは、窒素含有金属酸化物粒子
を、塩基性水溶液からなる溶媒中において、平均一次粒
径0. 1mm以下の石英製ビーズを用いて解膠粉砕し、
必要に応じて加熱して得られるものであり、かつ、前記
塗布液は、該超微粒子ゾル中のアルカリイオンを100
ppm以下にし、次いでNH3 を添加して作成されたも
のであることを特徴とする着色薄膜形成用塗布液であ
る。
【0012】本発明の着色薄膜、着色帯電防止膜および
着色低反射帯電防止膜はディスプレイ用途に供されるガ
ラス物品に好ましく用いられる。
【0013】ガラス物品としての陰極線管は近年コンピ
ュータの端末表示等に使用される場合、高解像度の要求
とともにハイコントラストの要求も高まりつつある。し
かしコントラストの向上を期してガラス自体の透過率を
低下させた場合、ディスプレイの大型化に伴ってフェイ
スプレートの肉厚も厚くなっていることから、特に大型
ディスプレイでは透過率の著しい低下が問題となる。
【0014】本発明では、ガラス自体の透過率を下げる
ことなくその表面に膜を形成しこの膜で光吸収を生じさ
せることによりコントラストの向上を図る。したがっ
て、種々の肉厚をもつディスプレイ用ガラスパネルへの
適用がきわめて容易になる。陰極線管の発光スペクトル
は複数のスペクトルで構成され、発光スペクトルのバラ
ンスを崩さずにコントラストの向上を図るには、特定の
光吸収を持つ着色薄膜よりも可視領域にわたって均一の
光吸収を持つ着色薄膜が好ましい。
【0015】本発明は、特定の製造方法により調製され
た窒素含有金属酸化物を含む着色薄膜形成用塗布液を用
いることにより、可視領域、特に380〜780nmに
おいて均一な光吸収能を有する膜の構成を可能とし上記
の問題点を解決できたという新規知見に基づくものであ
る。
【0016】また、この窒素含有金属酸化物を塗布に適
用する場合は、液中では粒子がゾルとして分散する必要
がある。
【0017】従来、酸化物のゾルとしてはシリカゾル、
アルミナゾル、酸化スズゾル、チタニアゾル等が知られ
ており、その製造方法も種々の方法が提案されている。
たとえば、シリカゾルに関してはケイ酸アルカリ水溶液
の脱アルカリによる方法や、無機塩類あるいは金属アル
コキシドの加水分解による方法が公知である。
【0018】しかし、窒素含有金属酸化物のゾル液は、
窒素含有金属酸化物自体の粒子表面が酸化物の表面と異
なることから、従来、最適な解膠粉砕方法が知られてい
なかった。また、機能性薄膜へゾル液を適用した場合、
機能性薄膜の種々の特性(低反射特性、帯電防止特性、
電磁波シールド特性、着色によるコントラストの向上)
の向上を図るため、2種類以上のゾル液を混合して使う
必要が多い。
【0019】しかし、2種類以上の粒子の混合ゾルの製
造は、個々の粒子のゾル液中での表面の等電位点の相違
などからきわめて困難であり、かつ単独で製造したゾル
同士の混合も上記理由により狭い条件の範囲内でのみ可
能であり、2種類以上の粒子が均一に水あるいは有機溶
媒中に分散した窒素含有金属酸化物を含むゾル液は知ら
れていなかった。
【0020】また、この粉末を分散解膠する方法が従来
知られていなかったため、塗料等の厚膜用途には使用さ
れても、サブミクロンオーダーの薄膜への適用は著しく
困難であった。そして、陰極線菅等の表示装置の表示プ
レートへの適用については、従来の分散解膠技術ではヘ
ーズ(曇価)値が高く、不可能であった。さらに、低反
射特性を発現させるような光学薄膜を形成する必要があ
る用途に関しては数十nmオーダーでの膜厚の制御が必
須であり、ゾル液の平均粒径がサブミクロン程度または
それ以下であることが不可欠であった。
【0021】本発明では、粉砕解膠の段階より一体混合
粉砕を行い、かつ、その後の加熱解膠処理も一体解膠処
理を行うことにより、異種粒子表面の電気二重層同士の
圧迫破壊を抑制できる。本発明では、平均一次粒径0.
1mm以下の石英ビーズを用いることにより、従来の物
理的な粉砕方法では限界とされた、サブミクロンオーダ
ーまでの粉砕を可能とした。
【0022】従来、粉砕用石英ビーズは平均一次粒径
0. 2mmまでしか知られておらず、この大きさのビー
ズでは、粉砕解膠効率が悪く、特に窒素含有金属酸化物
を含むゾルの粉砕では、被粉砕物の凝集状態における平
均粒径(以下、凝集粒径という)は200nm程度まで
しか達せず、超微粒子ゾルの製造は困難であった。ま
た、石英以外、たとえばZrO2 、のビーズに関して
は、凝集粒径が同程度ならば同程度の粉砕効率が得られ
るが、繰り返し使用に対して、ZrO2 ビーズの場合、
粉砕時にビーズ表面に発生したと考えられる、クラック
のため、粉砕効率が変化し再現性に乏しい。
【0023】本発明においては、石英ビーズの場合、粉
砕時の媒質に塩基性水溶液を使用することにより、粉砕
時に絶えずビーズ自体も研磨されて、クラック等は発生
せず再現性よく高い粉砕効率が得られる。
【0024】本発明で塩基性水溶液は特に限定されず、
たとえば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、および
水酸化カリウムから選ばれる少なくとも1種を被粉砕物
に対して5重量%以上含有する塩基性水溶液などが好ま
しい。
【0025】加熱解膠処理は、粉砕後アルカリ存在下で
行い、さらには、粉砕解膠時に用いたアルカリ種をイオ
ン交換等の方法により脱アルカリした後、NH3 等の弱
塩基を添加しゾルの安定化を促進する。アルカリ種は1
00ppm以下程度にまで除去することが望ましい。脱
アルカリ後のアルカリ種が100ppmを超える場合
は、有機溶媒に対する液中の粒子の安定性が損なわれる
ことがある。
【0026】粉砕時の到達平均粒径は、ゾルの種類によ
り異なるが、凝集粒径で150nm以下程度にまで粉砕
することが好ましい。これ以上の場合、80〜150n
mの光学薄膜用ゾル液としては、好ましくない。
【0027】粉砕解膠時の加熱温度は50〜100℃程
度が好ましい。50℃未満では解膠効率が著しく劣る。
100℃超では、通常の大気圧下では不可能であり、加
圧下の加熱処理は逆に凝集を促進する場合が生じる。
【0028】粉砕解膠時の加熱時間は製造上適宜決定さ
れ、1時間程度以上とするのが好ましい。1時間未満で
は解膠が不充分なことが多い。
【0029】本発明における窒素含有金属酸化物は特に
限定されず、窒素含有チタン酸化物が好ましく、特に、
窒素を0. 1〜30重量%含有するTiOx (1.0≦
x<2)であることが好ましい。x<1では屈折率が
1.9以下となり好ましくなく、x<2.0でなければ
好ましい導電性が得られない。
【0030】酸化チタンの酸素欠損に起因して、この物
質自体導電性を有することから、この粉末を使用し塗膜
を形成した場合帯電防止能が発現される。
【0031】窒素元素を酸化物中において安定化させる
ために、長周期型周期表における3〜11族元素、たと
えば、V、Nb、Taなど、の遷移金属元素を窒素含有
チタン酸化物に対して5. 0重量%以下添加するのも好
ましい。本発明で用いる窒素含有チタン酸化物粒子は還
元処理した酸化チタンを用いる。還元処理にはN2
ス、NH3 ガス等を使用できる。
【0032】本発明における窒素含有金属酸化物は、平
均一次粒径が5〜200nmであることが好ましい。こ
れよりも小さいと、粒子の隠蔽力の点で着色性能が充分
発現されず、また、これよりも大きいと、表面の凹凸構
造が大きくなりすぎ、かつ、ヘーズが増加し、好ましく
ない。
【0033】本発明による粉砕解膠されるその他の窒素
含有金属酸化物としては特に限定されず、以下のものが
例示される。
【0034】窒素を0. 5〜25重量%含有するCr2
3-x (0<x<3)、窒素を0. 5〜30重量%含有
するZrOx (1. 0≦x<2)、窒素を0. 1〜35
重量%含有するHfOx (1. 0≦x<2)、酸素を1
〜40重量%含有するAlNx (0<x<1)、酸素を
1〜35重量%含有するSi3x (0<x<1)、酸
素を1〜28重量%含有するNbNx (0<x<1)、
TaNx (0<x<1)、VNx (0<x<1)。
【0035】窒素を0. 1〜30重量%含有するTiO
x (1≦x<2)は、これよりも窒素含有量が少ない
と、充分な着色度が得られず、これよりも窒素含有量が
多いと、赤みの色相が増加し着色薄膜に適用した場合均
一な光の吸収が得られず、好ましくない。
【0036】これらの窒素含有金属酸化物のうちでT
i、Crの窒素含有金属酸化物は黒色を呈しており、着
色材として好適に使用できる。
【0037】Zr、Hf、V、Ta、Nbの窒素含有金
属酸化物は、電気伝導率の点で導電成分または導電補肋
成分として優れる。Al、Siの窒素含有金属酸化物
は、硬度が高く、膜中での膜補強成分として好適に使用
できる。
【0038】窒素含有金属酸化物は従来黒色系の無機着
色源として塗料等に使用されている。しかし、脂肪族炭
化水素類、ハロゲン化炭化水素類、アルコール類、ケト
ン類、エーテル類、エステル類、アルコールエステル
類、ケトンエステル類、エーテルアルコール類、ケトン
エーテル類、エステルエーテル類のうちの1種以上から
なる有機溶媒で希釈した場合、塗膜の膜厚ムラや凝集沈
殿が生じたりすることがあり、塗料等の厚膜や化粧品へ
の使用は可能であったが、薄膜、特に光学薄膜等の用途
では使用できなかった。
【0039】本発明は、窒素含有チタン酸化物粒子と、
Si(OR)mn (m+n=4、m=1〜4、n=0
〜3、R=炭素数1〜4のアルキル基)で示される化合
物あるいはその加水分解物とにより、塗布後の膜厚ムラ
が生じず、かつ脂肪族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素
類、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル
類、アルコールエステル類、ケトンエステル類、エーテ
ルアルコール類、ケトンエーテル類、エステルエーテル
類のうちの1種以上からなる有機溶媒で希釈した場合で
も凝集沈殿が生じることなく、広範な塗布条件に対応で
きる着色薄膜形成用塗布液を提供する。
【0040】本発明において用いられるSn、In、S
b、Zn、Al、およびGaから選ばれる少なくとも1
種の元素の化合物としては特に限定はされず、その酸化
物などが挙げられる。具体的には、酸化スズ、SbがS
nの格子位置に置換型固溶した酸化スズ、Snがドープ
された酸化インジウム、Alがドープされた酸化亜鉛、
Gaがドープされた酸化亜鉛等の酸化物が粉砕解膠され
る。
【0041】これらの酸化物は、異元素ドーピングある
いは格子欠陥、に起因して、電子伝導性酸化物として知
られており、これらの物質を添加することにより導電
性、帯電防止性の向上が図られる。上記以外の酸化物と
しては、酸化チタン、酸化ルテニウム、酸化ニッケル、
酸化コバルト、酸化鉄などが挙げられる。
【0042】また、本発明は、前述した塗布液を用いて
形成される着色薄膜を提供し、さらに、基体上に形成さ
れる多層膜において、該多層膜のうち少なくとも1層
が、前記着色薄膜であることを特徴とする多層着色薄膜
を提供する。
【0043】窒素含有金属酸化物、たとえば窒素含有チ
タン酸化物、はそれ自体導電性を有しているため、帯電
防止膜を構成する場合、導電補助成分として機能する。
【0044】着色帯電防止膜の場合は、窒素含有金属酸
化物の被膜中における含有割合は1〜80重量%が好ま
しい。窒素含有金属酸化物の量が少なすぎると着色性能
が充分ではなく、多すぎると帯電防止能および膜の透過
率が悪化し好ましくない。
【0045】本発明におけるSn、In、Sb、Zn、
Al、およびGaから選ばれる少なくとも1種の元素の
化合物は、平均一次粒径が5〜200nmであることが
好ましい。これより小さいと、粒子同士の接触抵抗が増
加し導電性粒子としてうまく機能しない。これよりも大
きいと、膜表面の凹凸構造が大きくなり、2層の着色帯
電防止膜を構成した場合、好ましい低反射特性を得難
い。
【0046】本発明に用いるSi(OR)mn (m+
n=4、m=1〜4、n=0〜3、R=炭素数1〜4の
アルキル基)で示される化合物は特に限定されず、該ア
ルコキシドの加水分解物またはコロイド粒子が用いられ
る。アルコキシドとしては、Si(OR)4 (R=炭素
数1〜4のアルキル基)で示される化合物が好ましい。
コロイド粒子としては、凝集粒径5〜200nmの粒子
が好ましい。
【0047】本発明ではSn、In、Sb、Zn、A
l、およびGaから選ばれる少なくとも1種の元素の化
合物、窒素含有金属酸化物、SiO2 よりなる凹凸構造
を有する膜を構成することにより、膜中に空気層(屈折
率=1.0)を含み、単層の着色薄膜、または着色帯電
防止膜を形成した場合、膜構成物質による屈折率と空気
層の屈折率の混合屈折率が膜全体の見掛け屈折率となり
低反射特性が発現される。
【0048】膜厚は、強度、着色性等から適宜決定さ
れ、膜厚が厚すぎると種々の特性より好ましくないこと
から、0.5μm以下がよい。
【0049】2層以上の多層膜において薄膜の光学特性
を利用し、低反射性を発現させるには、光学膜厚として
の膜厚が要求される。
【0050】一般に、薄膜の光学的性能はその膜を構成
する屈折率と膜厚で決定される。ここで一定の屈折率n
S を有する基体上に屈折率nを有する薄膜を付着させ、
屈折率n0 の溶質中より波長λの光が入射した場合のエ
ネルギー反射率Rは、光が膜中を通過する際の位相差を
ΔとするとΔ=4πnd/λ(d:膜厚)であり、Δ=
(2m+1)π、すなわち位相差Δが半波長の奇数倍の
とき、極小値をとり、このとき、数1のようになる。
【0051】
【数1】
【0052】無反射条件を満たすには、数1において、
R=0とおき、数2のようになることが必要とされる。
【0053】
【数2】
【0054】数2を2層構成に拡張した場合、数3のよ
うになる。ただし、n1 は媒質側層、n2 は基体側層の
屈折率である。
【0055】
【数3】
【0056】ここでn0 =1(空気)、nS =1.52
(ガラス)を数3に適用した場合、n2 /n1 =1.2
3となり、このときに2層構成膜の最大の低反射性が得
られる。もちろんn2 /n1 =1.23を満たさなくて
も、2層膜の屈折率がこれに近い値をとれる場合、低反
射性が得られる。したがって、基体側に設ける高屈折率
層と媒質側に設ける低屈折率層は両者の屈折率比ができ
るだけ1.23に近い値を選択するのが望ましい。
【0057】本発明の2層の低反射膜においては、上記
理由により基体側第2層の膜の屈折率は1. 5以下が好
ましい。屈折率がこれより大きいと充分な低反射性が得
られない。しかし、2層構成の低反射膜の場合、低反射
特性を向上させるため555nm波長の反射率を低減さ
せると、紫外領域近辺(380nm)または赤外領域近
辺(780nm)の反射率が未処理ガラスの反射率
(4. 5%)よりも増加し、低反射特性は向上するが膜
全体が紫色の色相を帯びるという欠点が生じる。
【0058】反射色相に関しては、商品特性上きつい色
合い(濃紫色等)は好まれず、薄い色合い(薄青色等)
が外観上好ましく、これを実現するには、可視領域にお
いて反射率を低くすることが必要である。
【0059】また、陰極線管の表面処理の場合、反射外
観は赤色系より青色系のほうが好ましい。
【0060】本発明では、基体側に第一層として凹凸構
造を構成し、その上に第2層を形成し、第一層の凹凸に
浸入させ、疑似3層構造を形成しうる。これにより2層
構造の光学計算より計算されうる分光曲線よりも紫外領
域付近、赤外領域付近での反射率が低減し、これにより
フラットな反射分光特性が得られ、外観特性が向上す
る。さらに、第2層が基体側の第一層に浸入することに
より2層膜の膜間で膜相互の投錨効果が生じ、膜の強度
も向上する。
【0061】反射防止性能を有する多層の低反射膜の構
成としては、光学設計上、反射防止をしたい波長をλと
して、1)基体側より高屈折率層および低屈折率層を光
学厚みλ/2およびλ/4で構成した低反射膜、2)基
体側より中屈折率層、高屈折率層および低屈折率層を光
学厚みλ/4、λ/2およびλ/4で順次形成した3層
の低反射膜、3)基体側より低屈折率層、中屈折率層、
高屈折率層および低屈折率層を光学厚みλ/4、λ/
4、λ/2およびλ/4で順次形成した4層の低反射膜
などが典型的な例として知られている。
【0062】本発明での凹凸構造を有する膜を使用する
場合、上記2層、3層、4層構成の光学薄膜を疑似3
層、4層、5層の光学薄膜として取り扱うとよい。
【0063】本発明の溶液では、窒素含有金属酸化物、
Si(OR)mn (m+n=4、m=1〜4、n=0
〜3、R=炭素数1〜4のアルキル基)で示される化合
物あるいはその加水分解物、およびSn、In、Sb、
Zn、Al、およびGaから選ばれる少なくとも1種の
元素の化合物の少なくとも3成分よりなり、さらにこの
溶液にNH3 を添加したものが好適に用いられる。
【0064】一般に、粒子、特に酸化物粒子表面には、
表面水酸基が存在している。本発明ではこの点に注目
し、この表面水酸基に対イオンを付与することにより粒
子表面に電気二重層を形成させ、粒子同士の凝集沈殿を
防ぎ長期安定な塗布液を合成できた。さらにこの対イオ
ンを添加し溶液を加熱することにより個々の粒子が単分
散状態に近づくため、この溶液を塗布した場合、粒子の
単分散に起因して、塗膜に凹凸構造が形成され、膜の多
孔度が向上し単層膜での反射率が見掛け上低減し低反射
となる。2層膜以上の多層膜のうちの1層を上記膜で形
成した場合、上記理由により、外観がより向上した低反
射特性が発現される。
【0065】本発明のNH3 存在下の加熱による製造に
おいて、NH3 は、窒素含有金属酸化物の粒子のみでは
なくSi(OR)mn (m+n=4、m=1〜4、n
=0〜3、R=炭素数1〜4のアルキル基)で示される
化合物あるいはその加水分解物にも影響を与える。本発
明ではNH3 存在下で加熱をすることによりSi(O
R)mn (m+n=4、m=1〜4、n=0〜3、R
=炭素数1〜4のアルキル基)で示される化合物の重縮
合反応を加速させ、溶液中にポーラスなケイ素化合物を
作り、これを膜にした場合に前記理由により、単層、お
よび多層膜での低反射特性および外観特性の向上を図る
ことができた。
【0066】生成した窒素含有金属酸化物の膜の凹凸に
関しては、凹部と凸部の間の最大差が0.5μm以下程
度が好ましく、これより大きいとヘーズが高く、かつ2
層膜形成時の低反射性が損なわれることがある。
【0067】加熱温度は30〜80℃が好ましい。30
℃未満の温度ではSi(OR)mn (m+n=4、m
=1〜4、n=0〜3、R=炭素数1〜4のアルキル
基)で示される化合物あるいはその加水分解物の重縮合
が進行しないことがある。80℃超の温度では重縮合が
進行しすぎて液の安定性が損なわれることがある。な
お、低温であっても時間をかければ必然的に重縮合が進
行するが、工業的には好ましくない。
【0068】一方、窒素含有金属酸化物は耐熱性に比較
的優れるが、長時間酸化雰囲気中で高温焼成した場合、
一部酸化退色し、それに起因して可視光域での均一な吸
収特性が損なわれ、陰極線管上に成膜した際に所定のコ
ントラスト向上効果が認められない場合がある。
【0069】本発明においては、窒素含有金属酸化物の
耐酸化性向上にSn有機酸塩やCo有機酸塩が有効であ
る。しかし、ナフテン酸第一スズ、2−エチルヘキサン
酸スズ等の有機酸スズは加水分解しやすく、水分を含む
溶媒と混合すると沈澱を生じるため、外観良好な膜を得
るためには、その溶媒、および導電性酸化物と窒素含有
チタン酸化物粒子の分散媒が限定される。また空気中の
水分とも反応する可能性があり、塗布液の安定性という
点で問題があった。本発明ではβ−ジケトンにより有機
酸スズを安定化することにより加水分解が抑制され、膜
特性が向上し、液の安定性も向上することが見いだされ
た。
【0070】本発明における有機酸塩としては、酢酸
塩、酒石酸塩、カルボン酸塩など種々の化合物が使用で
きる。溶解性、窒素含有金属酸化物に対する耐酸化性向
上効果の点から、Sn有機酸塩としては、ナフテン酸第
一スズおよび/または2−エチルヘキサン酸スズ、Co
有機酸塩としては、ナフテン酸第一コバルトおよび/ま
たは2−エチルヘキサン酸コバルトが好ましい。Sn有
機酸塩やCo有機酸塩の溶液中での含有量はそれぞれS
nO2 、Co34 換算で全固形分量に対し1〜60重
量%の範囲が好ましい。これより少ないと窒素含有チタ
ン酸化物の耐酸化性向上効果および色調が劣り、これよ
り多いと膜強度の低下が起こるため好ましくない。
【0071】本発明におけるβ−ジケトンとしては種々
のものが使用でき、特に限定されない。アセチルアセト
ンが特に好ましい。溶液中の含有量は前記有機酸塩の
0. 1〜10倍モルが好ましい。これより少ないと液の
安定性に寄与せず、これより多いと膜強度の低下が起こ
るため好ましくない。
【0072】上述の方法によって合成したゾルを利用し
た塗布液を塗布する方法としては、スピンコート法、デ
ィップコート法、スプレーコート法、ロールコーター
法、メニスカスコーター法等、種々の方法が例示でき
る。特にスピンコート法は量産性、再現性に優れ、好ま
しい。こうした方法によって、10nm〜1μm程度の
膜が形成できる。
【0073】液中に粒子を分散した溶液でスピンコート
塗布する際には、塗膜時に生じる液の流れ跡、粒子の流
れた跡、膜乾燥時の粒子の凝集、乾燥ムラ、膜厚差によ
る色ムラ等の問題があり、外観良好な膜を成膜するのは
難しい。また、塗布液の基体に対する濡れ性の善し悪
し、外気の変動による影響の受けやすさは生産性を悪く
する原因となる。
【0074】本発明は、液の流れ跡、粒子の流れた跡、
膜乾燥時の粒子凝集、乾燥ムラ、膜厚差等が少なく外観
良好にコーティングでき、さらに、基体に対する濡れ性
がよく、外気の影響を受けにくい塗布液を提供する。
【0075】本発明における塗布液は、水、炭素数1〜
4の1価アルコール類、エステルエーテル類、エーテル
アルコール類、ケトンアルコール類を含み、エステルエ
ーテル類とエーテルアルコール類の合計が0. 1〜70
重量%、およびケトンアルコール類が0. 1〜30重量
%含まれることが好ましい。
【0076】また水、炭素数1〜4の1価アルコール
類、エステルエーテル類、エーテルアルコール類、多価
アルコール類を含み、エステルエーテル類とエーテルア
ルコール類の合計が0. 1〜70重量%、および多価ア
ルコール類が0. 1〜30重量%含まれることも好まし
い。
【0077】エステルエーテル類とエーテルアルコール
類の合計量がこれより少ないと、陰極線管等にスピンコ
ートを行った場合、液の粘性が低すぎて均一な厚さの膜
が得られない。また、これより多いと、液の蒸発速度が
遅く、溶媒蒸発時に粒子の凝集等が生じる。
【0078】ケトンアルコール類または多価アルコール
類の量がこれより少ないと、溶媒の蒸発速度が速すぎる
ため、膜ムラが生じる。これより多いと、溶媒の蒸発速
度が遅くかつ液の粘度が増加するため、液の流れた跡、
および粒子の流れた跡が生じかつ膜の強度も低下し好ま
しくない。
【0079】また塗布液中のエステルエーテル類、ケト
ンアルコール類は特に限定されない。エステルエーテル
としては以下のものが例示でき、特に酢酸プロピレング
リコールモノメチルエーテルが好ましい。
【0080】酢酸エチレングリコールモノメチルエーテ
ル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸
エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジエチレ
ングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリ
コールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコール
モノブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメ
チルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエ
ーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテ
ル、CH3 COO(C24 O)3 CH3
【0081】ケトンアルコールとしては以下のものが例
示でき、特にジアセトンアルコールが好ましい。
【0082】アセトニルアルコール、ジアセトンアルコ
ール、ジヒドロキシルアセトン。
【0083】多価アルコール類は沸点が低いジオール類
が好ましい。こうしたジオールとしては以下のものが例
示できる。
【0084】エチレングリコール、1,2−プロパンジ
オール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジ
オール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオ
ール、2,3−ブタンジオール、2,4−ペンタンジオ
ール、2,5−ヘキサンジオール、2,4−へプタンジ
オール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエ
チレングリコール。
【0085】本発明では塗膜形成後、加熱および/また
は紫外線照射することにより、実用的な強度等が得られ
る。加熱温度は特に限定されず、160℃からガラス軟
化点である500℃までが好ましい。紫外線については
254nmを主波長とする紫外線または365nmを主
波長とする紫外線はエネルギーが高く有機物の分解を促
進し膜の硬化作用が高く好ましい。
【0086】本発明の着色薄膜、着色帯電防止膜、着色
低反射帯電防止膜においては着色成分として窒素含有チ
タン酸化物などの窒素含有金属酸化物を用いるので、着
色性能に関して熱安定性、耐候性に優れている。また、
特定の可視光波長に吸収を生じないため、陰極線管に適
用した場合、陰極線管内の蛍光体の発するスペクトルの
バランスを崩すことなくコントラストの向上を図れる。
また、全可視領域における均一な吸収に起因して低反射
特性も向上する。
【0087】また、本発明の塗布液にSi(OR)m
n (m+n=4、m=1〜4、n=0〜3、R=炭素数
1〜4のアルキル基)の加水分解物を加えることによ
り、溶液中の粒子の安定性が向上し、脂肪族炭化水素
類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、アルコ
ール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、アルコー
ルエステル類、ケトンエステル類、エーテルアルコール
類、ケトンエーテル類、エステルエーテル類のうちの1
種以上からなる有機溶剤で希釈した場合でも凝集沈殿を
生じることがなく、広範な塗布条件に対応できる塗布液
が得られる。
【0088】上記塗布液にSn、In、Sb、Zn、A
l、およびGaから選ばれる少なくとも1種の元素の化
合物を加えることにより、上記着色特性を維持しつつ、
帯電防止性能を持つ着色帯電防止膜用塗布液が得られ
る。
【0089】
【作用】本発明では、粒子粉砕時のアルカリ量、およ
び、粉砕に用いるビーズの種類、平均一次粒径の最適範
囲を規定することにより、従来では不可能であった、窒
素含有金属酸化物の粉砕解膠を可能とし、塗布液中の粒
子表面の表面水酸基にNH4 +の対イオンを付与すること
により粒子表面に電気二重層を形成させ、粒子同士の凝
集沈殿を防ぎ長期安定な塗布液を合成できた。
【0090】さらにこの対イオンを添加し溶液を加熱す
ることにより、個々の粒子が単分散状態に近づき、か
つ、Si(OR)mn (m+n=4、m=1〜4、n
=0〜3、R=炭素数1〜4のアルキル基)で示される
化合物の重縮合反応が加速されるため、溶液中にポーラ
スなケイ素化合物が生成し、この溶液を塗布した場合、
粒子の単分散とポーラスなケイ素化合物に起因して、塗
膜に凹凸構造が形成され、膜の多孔度が向上し単層膜で
の反射率が見掛け上低減し低反射となる。
【0091】さらには、2層の着色低反射帯電防止膜に
おいては、基体側の第1層の凹凸構造に起因して、その
上の第2層が第1層に浸入し、疑似3層構造が形成され
うる。これにより2層構造の光学計算より計算されうる
分光曲線よりも、紫外領域付近、赤外領域付近での反射
率が低減した、よりフラットな反射分光特性が得られ、
外観特性が向上する。
【0092】さらに、第2層が基体側の第一層に浸入す
ることにより、2層膜の膜間で膜相互の投錨効果が生
じ、膜の強度も向上する。
【0093】本発明の塗布液にエステルエーテル類とエ
ーテルアルコール類の合計が0.1〜70重量%、ケト
ンアルコール類を0. 1〜30重量%含有させる、ある
いは塗布液中にエーテルアルコール類とエステルアルコ
ール類の合計が0.1〜70重量%、多価アルコール類
を0.1〜30重量%含有させることにより、塗布液の
表面張力、粘性、蒸発速度等を制御し、大面積の大型デ
ィスプレイにも容易に塗布でき、液の流れ跡、粒子の流
れた跡、膜乾燥時の粒子の凝集、乾燥ムラ、膜厚差等が
少なく外観良好にコーティングできる塗布液が得られ
る。
【0094】
【実施例】本発明の塗布液及びこの塗布液を塗布して得
られた膜を、以下に実施例により具体的に説明するが、
本発明はこれらの実施例に限定されない。得られた塗布
液および膜の評価は下記のように行った。
【0095】1)液中の粒子の分散安定性評価:液合成
直後および5℃で4週間静置保存した後の液中の粒子の
凝集粒径を、大塚電子製レーザー粒径解析システムLP
A−3100により、測定した。
【0096】2)透過率の低下の評価:波長380n
m、550nm、780nmにおける未処理ガラスの透
過率を100%とした場合の、塗膜付きガラスの透過率
の減少割合を、日立製作所製スペクトロフォトメータU
−3500により測定した。
【0097】3)へ一ズ評価:スガ試験機製直読へ一ズ
コンピュータにより膜自体のへ一ズを測定した。
【0098】4)導電性評価:三菱油化製ハイレスタ抵
抗測定器により、相対湿度30%以下の雰囲気中で膜表
面の表面抵抗値を測定した。ただし、測定は帯電防止性
を有する膜のみについて行った。
【0099】5)耐擦傷性:1kg重の荷重下、消しゴ
ムで膜表面を50回往復後、その表面の傷の付きを目視
で判断した。評価基準は、○:傷が全くつかない、△:
傷が多少つく、X:多くの傷がつくか剥離、とした。
【0100】6)鉛筆硬度:1kg重の荷重下、鉛筆で
膜表面を走査し、その後目視により表面の傷が生じ始め
る鉛筆の硬度を膜の鉛筆硬度と判断した。
【0101】7)視感反射率および分光反射率:膜の3
80〜700nmの視感反射率および380nm、55
0nm、780nmの反射率を、GAMMA分光反射ス
ペクトル測定器により、測定した。
【0102】8)反射光色相:着色低反射膜、着色低反
射帯電防止膜については蛍光灯を膜面に映しその反射光
を目視で判断した。
【0103】9)塗膜面性状:塗膜形成後の膜の面性状
を目視で判断した。
【0104】なお、実施例、比較例で用いた略号はそれ
ぞれ次のものを示す。
【0105】EA:エタノール、 BA:ブタノール、 IPA:イソプロピルアルコール、 PGM:プロピレングリコールモノメチルエーテル、 DAA:ジアセトンアルコール、 BDO:2,3−ブタンジオール、 PGMA:酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテ
ル、 EOEA:2−エトキシエタノール、 EGM:エチレングリコールモノメチルエーテル、 acac:アセチルアセトナト配位子。
【0106】[実施例1]Si(OC254 のEA
溶液(酸化物換算で固形分10重量%)にSi(OC2
54 に対して、水(pH6. 5に調整した硝酸酸性
水溶液)を8mol比で添加し、80℃で2時間加熱還
流し、さらにEAで固形分5%となるように希釈した
(A液)。
【0107】窒素含有チタン酸化物(窒素を2%含有す
るTiOx (1. 0≦x<2))14gとSbが15重
量%ドープされた酸化スズ粉6gと水酸化カリウム1g
とを蒸留水50ccに添加し、これを容積170ccの
サンドミルコンテナに平均一次粒径0. 1mmの石英ビ
ーズとともに投入し2時間粉砕処理を行い、さらに蒸留
水を加えて酸化物換算で固形分4. 0%に希釈した後、
液温70℃で1時間加熱解膠処理を行った。
【0108】この液にイオン交換樹脂(SK1B、三菱
化成製)70gを添加し1時間混合撹拌しK+ 濃度を1
8ppmにまで低減させ、さらにNH3 を添加して溶液
のpHを7. 5に調整し、限外濃縮装置により固形分を
20%に調整し、さらにEAで固形分5%まで希釈した
(B液)。
【0109】B液:A液=8:2の重量比となるように
両液を混合した後、この液を50℃で1時間加熱処理
し、EA:PGM:DAA=5. 3:71.6:20の
重量比の混合溶媒で固形分1. 2%まで希釈し着色帯電
防止膜用コート液とした。
【0110】[実施例2]窒素含有チタン酸化物(窒素
を2%含有するTiOx (1. 0≦x<2))8gとA
lが5重量%ドープされた酸化亜鉛8gと水酸化カリウ
ム1gとを蒸留水50ccに添加し、これを容積170
ccのサンドミルコンテナに平均一次粒径0. 1mmの
石英ビーズとともに投入し1時間粉砕処理を行い、さら
に蒸留水を加えて酸化物換算で固形分8. 0%に希釈し
た後、液温90℃で1時間加熱解膠処理を行った。
【0111】この液にイオン交換樹脂(同前)70gを
添加し1時間混合撹拌し、K+ 濃度を12ppmにまで
低減させ、さらにNH3 を添加して溶液のpHを7. 5
に調整し、限外濃縮装置により固形分を20%に調整
し、さらにEAで固形分5%まで希釈した(C液)。
【0112】A液:C液=1:9の重量比となるように
両液を混合した後この液を70℃で0. 5時間加熱処理
し、EA:PGM:BDO=5. 3:71.6:20の
重量比の混合溶媒で固形分1. 2%まで希釈し着色帯電
防止膜用コート液とした。
【0113】[実施例3]窒素含有チタン酸化物(窒素
を10%含有するTiOx (1. 0≦x<2))14g
とGaが8重量%ドープされた酸化亜鉛6gと水酸化カ
リウム1gとを蒸留水50ccに添加し、これを容積1
70ccのサンドミルコンテナに平均一次粒径0. 1m
mの石英ビーズとともに投入し1時間粉砕処理を行い、
さらに蒸留水を加えて酸化物換算で固形分4. 0%に希
釈した後、液温70℃で1時間加熱解膠処理を行った。
【0114】この液にイオン交換樹脂(同前)70gを
添加し1時間混合撹拌しK+ 濃度を18ppmにまで低
減させ、さらにNH3 を添加して溶液のpHを7. 5に
調整し、限外濃縮装置により固形分を20%に調整し、
さらにEAで固形分5%まで希釈した(D液)。
【0115】D液:A液=5:5の重量比となるように
両液を混合し、EA:PGM:BDO=5. 3:71.
6:20の重量比の混合溶媒で固形分1. 2%まで希釈
し着色帯電防止膜用コート液とした。
【0116】[実施例4]窒素含有チタン酸化物(窒素
を10%含有するTiOx (1. 0≦x<2))10g
とITO粉末(Sn/In(mol比)=10/90、
平均一次粒径30nm)10gと水酸化リチウム1gと
を蒸留水50ccに添加し、これを容積170ccのサ
ンドミルコンテナに平均一次粒径0. 1mmの石英ビー
ズとともに投入し1時間粉砕処理を行い、さらに蒸留水
を加えて酸化物換算で固形分4. 0%に希釈した後、液
温70℃で1時間加熱解膠処理を行った。
【0117】この液にイオン交換樹脂(同前)70gを
添加し1時間混合撹拌しLi+ 濃度を25ppmにまで
低減させ、さらにNH3 を添加して溶液のpHを7. 5
に調整し、限外濃縮装置により固形分を20%に調整
し、さらにEAで固形分5%まで希釈した(E液)。
【0118】E液:A液=5:5の重量比となるように
両液を混合した後この液を60℃で0. 5時間加熱処理
し、EA:PGM:BDO=5. 3:71.6:20の
重量比の混合溶媒で固形分1. 2%まで希釈し着色帯電
防止膜用コート液とした。
【0119】[実施例5]Sbが15重量%ドープされ
た酸化スズ20gと水酸化カリウム1gを蒸留水50c
cに添加し、これを容積170ccのサンドミルコンテ
ナに平均一次粒径0. 1mmの石英ビーズとともに投入
し1時間粉砕処理を行い、さらに蒸留水を加えて酸化物
換算で固形分3. 5%に希釈した後、液温90℃で1時
間加熱解膠処理を行った。
【0120】この液300ccにイオン交換樹脂(同
前)50gを添加し脱アルカリ処理を行い固形分25%
に濃縮した後、EAで固形分5%まで希釈した(F
液)。
【0121】A液:B液:F液=2:3:2の重量比と
なるように三液を混合した後、5%NH3 水溶液を混合
液100gに対して0. 2g添加し、40℃で2時間加
熱処理し、その後IPA:PGMA:EOEA:DAA
=40:30:20:10の重量比の混合溶媒で固形分
1. 2%まで希釈し着色帯電防止膜用コート液とした。
【0122】[実施例6]窒素含有チタン酸化物(窒素
を7%含有するTiOx (1. 0≦x<2))20gと
水酸化カリウム1gを蒸留水50ccに添加し、これを
容積170ccのサンドミルコンテナに平均一次粒径
0. 1mmの石英ビーズとともに投入し1時間粉砕処理
を行い、さらに蒸留水を加えて酸化物換算で固形分3.
5%に希釈した後、液温90℃で1時間加熱解膠処理を
行った。
【0123】この液にイオン交換樹脂(同前)50gを
添加し脱アルカリ処理を行いさらに、NH3 を添加して
pH6. 5に調整したのち固形分20%に濃縮した、そ
の後EAで固形分5%まで希釈した(G液)。
【0124】A液:G液:F液=2:3:2の重量比と
なるように三液を混合し、50℃で2時間加熱処理し
た。その後IPA:PGMA:EOEA:DAA=4
0:30:20:10の重量比の混合溶媒で固形分1.
2%まで希釈し着色帯電防止膜用コート液とした。
【0125】[比較例1]銅フタロシアニンブルー0.
02gをA液40gに添加し酸化物換算で1. 4重量%
になるようにEA:BA=3:2の重量比の混合有機溶
媒で希釈し塗布液とした。
【0126】[比較例2]黒色酸化鉄25gと界面活性
剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)6gを蒸
留水100ccに添加しホモジナイザで1時間粉砕処理
を行い、さらに超音波分散器にて20時間分散を行っ
た。これに蒸留水を加えて酸化物換算で固形分10. 0
%に希釈した後さらにEAで固形分5%まで希釈した
(T1 液)。
【0127】T1 液:C液=8:2の重量比となるよう
に両液を混合した後、EA:BA:PGMA:DAA=
15:13:60:20の重量比の混合有機溶媒で固形
分1. 2%となるように希釈し、塗布液とした。
【0128】[比較例3]四三酸化コバルト20gと水
酸化カリウム1gを蒸留水50ccに添加し、これを容
積170ccのサンドミルコンテナに平均一次粒径0.
25mmの石英ビーズとともに投入し1時間粉砕処理を
行い、さらに蒸留水を加えて酸化物換算で固形分4. 0
%に希釈した後、液温70℃で1時間加熱解膠処理を行
った。
【0129】この液にイオン交換樹脂(同前)50gを
添加し1時間混合撹拌しK+ 濃度を10ppmにまで低
減させ、さらにNH3 を添加して溶液のpHを7に調整
し、限外濃縮装置により固形分を20%に調整し、さら
にEAで固形分5%まで希釈した(T2 液)。
【0130】T2 液:A液=8:2の重量比となるよう
に両液を混合した後、EA:BA:PGMA:DAA=
15:13:60:20の重量比の混合有機溶媒で固形
分1. 2%となるように希釈し、塗布液とした。
【0131】[比較例4]F液:A液=5:5となるよ
うに両液を混合した(T3 液)。銅フタロシアニンブル
ー0. 02gをT3 液40gに添加し、酸化物換算で
1. 2重量%になるようにIPA:PGMA:EOE
A:DAA=40:30:20:10の重量比の混合溶
媒で固形分1. 2%まで希釈し、着色帯電防止膜用コー
ト液とした。
【0132】[比較例5]Sbが15重量%ドープされ
た酸化スズ20gと水酸化カリウム1gを蒸留水50c
cに添加し、これを容積170ccのサンドミルコンテ
ナに平均一次粒径0. 1mmの石英ビーズとともに投入
し1時間粉砕処理を行い、さらに蒸留水を加えて酸化物
換算で固形分3. 5%に希釈した後、液温90℃で1時
間加熱解膠処理を行った。
【0133】この液300ccにイオン交換樹脂(同
前)50gを添加し脱アルカリ処理を行い固形分25%
に濃縮した後、EAで固形分5%まで希釈した(H
液)。
【0134】C液:H液=5:5の重量比となるように
両液を混合し、その後IPA:PGMA:EOEA:D
AA=40:30:20:10の重量比の混合溶媒で固
形分1. 2%まで希釈しコート液とした。
【0135】[実施例7]Si(OC254 のEA
溶液(酸化物換算で固形分20重量%)にSi(OC2
54 に対して、水(pH3.0に調整した塩酸酸性
水溶液)を8mol比で添加し、80℃で2時間撹拌し
た後、水:EA:PGMA:IPA:DAA=5. 3:
22.5:38:23:10の重量比の溶媒で固形分
0.9重量%に希釈した(P液)。
【0136】実施例1によって得られた着色帯電防止膜
用塗布液をプラウン管パネル表面に100rpmの回転
速度で60秒間塗布し、その後60℃で5分間乾燥した
後、この上にP液を100rpmの回転速度で60秒間
塗布し、その後180℃で30分間加熱し低反射帯電防
止着色膜を得た。
【0137】[実施例8]実施例2によって得られた着
色帯電防止膜用塗布液をプラウン管パネル表面に100
rpmの回転速度で60秒間塗布し、その後250℃で
5分間加熱した後、この上にP液を100rpmの回転
速度で60秒間塗布し、その後250℃で30分間加熱
し低反射着色膜を得た。
【0138】[実施例9]実施例3によって得られた着
色帯電防止膜用塗布液をプラウン管パネル表面に100
rpmの回転速度で60秒間塗布し、その後40℃で5
分間乾燥した後、この上にP液を100rpmの回転速
度で60秒間塗布し、その後200℃で30分間加熱し
低反射着色膜を得た。
【0139】[実施例10]実施例4によって得られた
着色帯電防止膜用塗布液をプラウン管パネル表面に10
0rpmの回転速度で60秒間塗布し、その後254n
mを主波長とする紫外線を10分間照射した後、この上
にP液を100rpmの回転速度で60秒間塗布し、そ
の後200℃で30分間加熱し低反射帯電防止着色膜を
得た。
【0140】[実施例11]実施例5によって得られた
着色帯電防止膜用塗布液をプラウン管パネル表面に10
0rpmの回転速度で60秒間塗布し、その後40℃で
1分間乾燥した後、この上にP液を100rpmの回転
速度で60秒間塗布し、その後160℃で30分間加熱
し低反射帯電防止着色膜を得た。
【0141】[実施例12]実施例6によって得られた
着色帯電防止膜用塗布液をプラウン管パネル表面に10
0rpmの回転速度で60秒間塗布し、その後365n
mを主波長とする紫外線を15分間照射した後、この上
にP液を100rpmの回転速度で60秒間塗布し、そ
の後180℃で30分間加熱し低反射帯電防止着色膜を
得た。
【0142】[実施例13]Ti(OC372 (a
cac)2 をEAに固形分15%となるように溶解し、
その後、水(pH2. 8に調整した塩酸酸性水溶液)を
Ti(OC372 (acac)2 に対して8mol
比で添加し、室温下で24時間撹拌した。
【0143】この液をEAで固形分5%に希釈した。そ
して、この液をさらにEA:BA:EGM:DAA=
5:3:60:20の重量比の混合有機溶媒で固形分
0. 75%となるように希釈した(A3 液)。
【0144】実施例1によって得られた着色帯電防止膜
用塗布液をプラウン管パネル表面に100rpmの回転
速度で60秒間塗布し、室温下で5分間静置した後、こ
の上にA3 液を100rpmの回転速度で60秒間塗布
し、その後250℃で5分間加熱しさらに、この上にP
液を100rpmの回転速度で60秒間塗布し、その後
370℃で5分間加熱し低反射帯電防止着色膜を得た。
【0145】[実施例14]Zr(OC492 (a
cac)2 をEAに固形分15%となるように溶解し、
その後、水(pH2. 8に調整した塩酸酸性水溶液)を
Zr(OC492 (acac)2 に対して8mol
で比添加し、室温下で24時間撹拌した。
【0146】この液をEAで固形分5%に希釈した。そ
の後、EA:EGM:DAA=70:30:10の重量
比の混合有機溶媒で固形分0. 7%となるように希釈し
た(O3 液)。
【0147】実施例5によって得られた着色帯電防止膜
用塗布液をプラウン管パネル表面に100rpmの回転
速度で60秒間塗布し、室温下で5分間静置した後、こ
の上にO3 液を100rpmの回転速度で60秒間塗布
し、その後200℃で5分間加熱し、さらにこの上にP
液を100rpmの回転速度で60秒間塗布し、その後
370℃で5分間加熱し低反射帯電防止着色膜を得た。
【0148】[実施例15]CH3 Si(OC25
3 のEA溶液(酸化物換算で固形分10重量%)にCH
3 Si(OC253 に対して、水(pH2. 5に調
整した塩酸酸性水溶液)を8mol比で添加し、2時間
80℃で加熱還流し、さらにEAで固形分5%ととなる
ように希釈し、さらに水:EA:PGMA:IPA:D
AA=5. 3:22.5:38:23:10の重量比の
溶媒で0. 8%に希釈した(C2 液)。
【0149】実施例1によって得られた着色帯電防止膜
用塗布液をプラウン管パネル表面に100rpmの回転
速度で60秒間塗布し、室温下で5分間静置した後、こ
の上にC2 液を100rpmの回転速度で60秒間塗布
し、その後200℃で60分間加熱し低反射帯電防止着
色膜を得た。
【0150】[比較例6]比較例1で得られた塗布液を
プラウン管パネル表面に100rpmの回転速度で60
秒間塗布し、60℃で10分間加熱した後、この上にP
液を100rpmの回転速度で60秒間塗布し、その後
160℃で5分間加熱し膜を得た。
【0151】[比較例7]比較例2で得られた塗布液を
プラウン管パネル表面に100rpmの回転速度で60
秒間塗布し、60℃で10分間加熱した後、この上にP
液を100rpmの回転速度で60秒間塗布し、その後
350℃で5分間加熱し膜を得た。
【0152】[比較例8]比較例5で得られた塗布液を
プラウン管パネル表面に100rpmの回転速度で60
秒間塗布し、60℃で10分間加熱した後、この上にP
液を100rpmの回転速度で60秒間塗布し、その後
160℃で10分間加熱し膜を得た。
【0153】実施例1〜15、比較例1〜8の結果を表
1〜表3に示す。
【0154】
【表1】
【0155】
【表2】
【0156】
【表3】
【0157】
【発明の効果】本発明の塗布液は窒素含有酸化物を含み
かつ溶媒を選択することにより、長期安定性に優れ、ス
ピンコート法で塗布する際の液の流れ跡、粒子の流れ
跡、膜乾燥時の粒子の凝集、乾燥ムラ、膜厚差等が少な
く、全可視光領域において均一な吸収を有する優れた着
色膜、着色帯電防止膜、着色低反射帯電防止膜を提供す
ることができる。
【0158】本発明の着色膜、着色帯電防止膜、着色低
反射帯電防止膜は低温熱処理が可能であり、全可視光領
域において均一な吸収を有するため低反射特性が優れ
る。また、窒素含有チタン酸化物自体は導電性を有する
ため、帯電防止能を発現することができる。
【0159】本発明の着色膜は、膜の多孔度が向上し単
層膜での反射率が見掛け上低減し低反射となり、特に、
2層の着色低反射帯電防止膜においては、基体側の第1
層の凹凸構造に起因して、その上の第2層が第1層に浸
入し、疑似3層構造が形成されうる。これにより2層構
造の光学計算より計算されうる分光曲線よりも、紫外領
域付近、赤外領域付近での反射率が低減した、よりフラ
ットな反射分光特性が得られ、外観特性が向上する。
【0160】さらに、第2層が基体側の第1層に浸入す
ることにより、2層膜の膜間で膜相互の投錨効果が生じ
膜の強度も向上する。
【0161】本発明は生産性に優れ、真空を必要としな
いので装置も比較的安価なものでよい。特にCRTのパ
ネルフェイス面等の大面積の基体にも充分適用でき、量
産も可能であるため、工業的価値は非常に高い。
【0162】また、本発明の着色膜はきつい色合い(濃
紫色等)ではなく、一般的に好まれる薄い色合い(薄青
色等)を発現できる。また、本発明の着色膜は、陰極線
管の表面に用いられる青色系の着色膜として好適に使用
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C01G 33/00 A 35/00 Z 37/00 G02B 1/10 H01J 29/88 (72)発明者 真田 恭宏 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社中央研究所内 (72)発明者 平塚 和也 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社中央研究所内 (72)発明者 森本 剛 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社中央研究所内

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】窒素含有金属酸化物の超微粒子ゾルを含む
    着色薄膜形成用塗布液であって、前記超微粒子ゾルは、
    窒素含有金属酸化物粒子を、塩基性水溶液からなる溶媒
    中において、平均一次粒径0. 1mm以下の石英製ビー
    ズを用いて解膠粉砕し、必要に応じて加熱して得られる
    ものであり、かつ、前記塗布液は、該超微粒子ゾル中の
    アルカリイオンを100ppm以下にし、次いでNH3
    を添加して作成されたものであることを特徴とする着色
    薄膜形成用塗布液。
  2. 【請求項2】前記塩基性水溶液が、水酸化リチウム、水
    酸化ナトリウム、および水酸化カリウムから選ばれる少
    なくとも1種を被粉砕物に対して5重量%以上含有する
    塩基性水溶液であることを特徴とする請求項1の着色薄
    膜形成用塗布液。
  3. 【請求項3】前記窒素含有金属酸化物の金属が、Ti、
    Cr、Zr、Hf、Al、Si、Nb、Ta、およびV
    から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請
    求項1の着色薄膜形成用塗布液。
  4. 【請求項4】前記窒素含有金属酸化物が、窒素含有チタ
    ン酸化物であることを特徴とする請求項1の着色薄膜形
    成用塗布液。
  5. 【請求項5】前記窒素含有チタン酸化物が、窒素を0.
    1〜30重量%含有するTiOx (1.0≦x<2)で
    あることを特徴とする請求項4の着色薄膜形成用塗布
    液。
  6. 【請求項6】前記窒素含有チタン酸化物が、平均一次粒
    径5〜200nmの粒子であることを特徴とする請求項
    4の着色薄膜形成用塗布液。
  7. 【請求項7】前記塗布液が、Si(OR)mn (m+
    n=4、m=1〜4、n=0〜3、R=炭素数1〜4の
    アルキル基)で示される化合物あるいはその加水分解物
    を含むことを特徴とする請求項1の着色薄膜形成用塗布
    液。
  8. 【請求項8】前記塗布液は、Sn、In、Sb、Zn、
    Al、およびGaから選ばれる少なくとも1種の元素の
    化合物を含むことを特徴とする請求項1の着色薄膜形成
    用塗布液。
  9. 【請求項9】前記Sn、In、Sb、Zn、Al、およ
    びGaから選ばれる少なくとも1種の元素の化合物が、
    平均一次粒径5〜200nmの酸化物粒子であることを
    特徴とする請求項8の着色薄膜形成用塗布液。
  10. 【請求項10】前記塗布液が、Sn有機酸塩および/ま
    たはCo有機酸塩を含むことを特徴とする請求項1の着
    色薄膜形成用塗布液。
  11. 【請求項11】前記Sn有機酸塩が、ナフテン酸第一ス
    ズおよび/または2−エチルヘキサン酸スズであること
    を特徴とする請求項10の着色薄膜形成用塗布液。
  12. 【請求項12】前記Co有機酸塩が、ナフテン酸第一コ
    バルトおよび/または2−エチルヘキサン酸コバルトで
    あることを特徴とする請求項10の着色薄膜形成用塗布
    液。
  13. 【請求項13】前記塗布液が、β−ジケトンを含むこと
    を特徴とする請求項1の着色薄膜形成用塗布液。
  14. 【請求項14】前記塗布液が、水、炭素数1〜4の1価
    アルコール類、エステルエーテル類、エーテルアルコー
    ル類、およびケトンアルコール類を含み、かつ、エステ
    ルエーテル類とエーテルアルコール類の合計が0. 1〜
    70重量%、およびケトンアルコール類が0. 1〜30
    重量%含まれることを特徴とする請求項1の着色薄膜形
    成用塗布液。
  15. 【請求項15】前記塗布液が、水、炭素数1〜4の1価
    アルコール類、エステルエーテル類、エーテルアルコー
    ル類、および多価アルコール類を含み、かつ、エステル
    エーテル類とエーテルアルコール類の合計が0. 1〜7
    0重量%、および多価アルコール類が0. 1〜30重量
    %含まれることを特徴とする請求項1の着色薄膜形成用
    塗布液。
  16. 【請求項16】基体上に形成される着色薄膜の製造方法
    において、請求項1〜15いずれか1項の着色薄膜形成
    用塗布液を基体上に塗布した後、加熱および/または紫
    外線照射することにより、該着色薄膜を形成することを
    特徴とする着色薄膜の製造方法。
  17. 【請求項17】請求項1〜15いずれか1項の着色薄膜
    形成用塗布液を塗布した後、加熱および/または紫外線
    照射することにより形成される着色薄膜であって、膜自
    体の光の吸収によって、380〜780nmの可視光波
    長領域において透過率が均一に低下するものであること
    を特徴とする着色薄膜。
  18. 【請求項18】前記着色薄膜の表面の構造は、凹凸構造
    を有しており、かつこの凹凸構造の凹部と凸部の間の最
    大差が500nm以下であることを特徴とする請求項1
    7の着色薄膜。
  19. 【請求項19】基体上に形成される多層膜において、該
    多層膜の少なくとも1層は、請求項17または18の着
    色薄膜であることを特徴とする多層膜。
  20. 【請求項20】前記多層膜は、基体側から、請求項17
    または18記載の着色薄膜、その上に屈折率が1. 50
    以下の屈折率を有する膜の順に形成されたものであるこ
    とを特徴とする請求項19の多層膜。
  21. 【請求項21】請求項17または18記載の着色薄膜が
    形成されたものであることを特徴とするガラス物品。
  22. 【請求項22】請求項17または18記載の着色薄膜が
    形成されたものであることを特徴とする陰極線管。
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