JPH07321378A - 熱電素子およびその製造方法 - Google Patents

熱電素子およびその製造方法

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JPH07321378A
JPH07321378A JP6115403A JP11540394A JPH07321378A JP H07321378 A JPH07321378 A JP H07321378A JP 6115403 A JP6115403 A JP 6115403A JP 11540394 A JP11540394 A JP 11540394A JP H07321378 A JPH07321378 A JP H07321378A
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JP
Japan
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substrate
thermoelectric
electrode
electrodes
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Application number
JP6115403A
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English (en)
Inventor
Akiko Miyake
章子 三宅
Hisaaki Gyoten
久朗 行天
Yasushi Nakagiri
康司 中桐
Yoshiaki Yamamoto
義明 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、ヒートサイクルに対する耐久性の
高い熱電素子及び、その製造方法を提供することを目的
とする。 【構成】 相対向するアルミナ基板4と、一部分が互い
に対向するように、アルミナ基板4の対向面に接合され
た複数の銅板電極3と、それら銅板電極3の前記対向す
る部分の間に、電気的に実質上直列接続となるようにP
型とN型が交互に配列され接合された熱電材料1,2と
を備え、アルミナ基板4よりも線膨張係数が大きい銅板
6が、アルミナ基板4の銅板電極3が接合されている面
と反対側の面の一部に固定されている構成である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば、ペルチェ効果
による加熱、冷却作用等の際の、いわゆるヒートサイク
ル条件下において使用する熱電素子及びその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、熱電素子は、温度差を与えると
電圧が発生し、逆に、通電すると温度差が発生するとい
った性質を持ち、太陽光や廃熱利用による発電や、通電
して局所部分を冷却し、センサの冷却用として、あるい
は冷蔵庫、除湿機の冷却部等に使用されている。また、
炎、海底、人体の表面等で生じる温度差を利用した発電
も今後期待されている。
【0003】以下に、従来の熱電素子について図面を用
いて、その構成と動作を説明する。
【0004】図5は、従来の熱電素子の構成を示すもの
である。
【0005】同図において、1及び2は、N型及びP型
のバルク状の熱電材料であり、金属電極7を介して、N
型熱電材料1とP型熱電材料2が交互に、電気的に直列
に接続している。金属電極7は、二枚のセラミックス基
板8に交互に接合されている。現在用いられてる熱電材
料1、2としては、室温付近で使用する場合にはBi−
Te系材料が、より高温で使用する場合にはシリコンカ
ーバイド、Fe−Si系材料等が挙げられる。セラミッ
クス基板8にはアルミナ基板が、金属電極7には銅板電
極が一般的である。また、金属電極7とセラミックス基
板8の接合部及び金属電極7と熱電材料1、2の接合部
には、通常、半田が用いられている。
【0006】以上のような構成において、この熱電素子
の両端の金属電極7間に電流を流すと、ペルチェ効果に
よって熱電材料1,2の両端に温度差が発生し、熱電素
子の表裏のセラミックス基板8に発熱側と吸熱側が生
じ、加熱、冷却等に使用することが可能となる。また、
逆に熱電素子の表裏のセラミックス基板8に温度差を与
えることにより、発電に用いることもできる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな構成の熱電素子の場合、熱電材料、金属電極、セラ
ミックス基板、及びそれらの接合部に用いられている半
田の線膨張係数がそれぞれ異なるため、ヒートサイクル
の度に各接合面に熱応力が発生する。そのため、ヒート
サイクルを繰り返すと、セラミックス基板に反りが生じ
たり、各接合部にクリープが生じる等、熱電素子の強度
が劣化し易くヒートサイクルに対する耐久性が劣るとい
った課題があった。
【0008】本発明は、従来の熱電素子のこのような課
題を考慮し、ヒートサイクルに対する耐久性の高い、す
なわち信頼性の高い熱電素子を提供すること、及びその
製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1の本発明は、相
対向する基板と、少なくとも一部分が互いに対向するよ
うに前記基板の対向面に接合された複数の電極と、それ
ら電極の前記対向する部分の間に、電気的に実質上直列
接続となるようにP型とN型が交互に配列され接合され
た熱電部材とを備え、前記基板の方が前記電極よりも線
膨張係数が大きい場合は、その基板よりも線膨張係数が
小さい板状部材が、又前記基板の方が前記電極よりも線
膨張係数が小さい場合は、その基板よりも線膨張係数が
大きい板状部材が、前記相対向する基板の内、少なくと
も一方の基板の前記電極が接合されている面と反対側の
面の全部又は一部に固定されている熱電素子である。
【0010】請求項2の本発明は、相対向する基板と、
少なくとも一部分が互いに対向するように、前記基板の
対向面に接合された複数の電極と、それら電極の前記対
向する部分の間に、電気的に実質上直列接続となるよう
にP型とN型が交互に配列され接合された熱電部材とを
備え、前記相対向する基板の内少なくとも一方の基板
と、前記電極との、各々の接合面の全部又は一部には、
凹凸部が互いに対応して形成されている熱電素子であ
る。
【0011】請求項3の本発明は、相対向する基板と、
少なくとも一部分が互いに対向するように、前記基板の
対向面に接合された複数の電極と、それら電極の前記対
向する部分の間に、電気的に実質上直列接続となるよう
にP型とN型が交互に配列され接合された熱電部材とを
備え、前記複数の電極の内少なくとも一つの電極と、前
記熱電部材とは、何れか一方が他方の全部又は一部の内
に嵌入している熱電素子である。
【0012】請求項4の本発明は、相対向する基板と、
少なくとも一部分が互いに対向するように、前記基板の
対向面に接合された複数の電極と、それら電極の前記対
向する部分の間に、電気的に実質上直列接続となるよう
にP型とN型が交互に配列され接合された熱電部材とを
備え、前記基板の前記電極との接合面、前記電極の前記
基板との接合面、及び前記電極の前記熱電部材との接合
面の内、少なくとも一つの接合面の全部又は一部に凹凸
部が形成されている熱電素子である。
【0013】請求項5の本発明は、P型とN型の熱電部
材を交互に、電気的に直列になるように、金属電極によ
って平面状に接続し、前記金属電極を交互に二枚のセラ
ミックス基板表面に接合させることで、熱電部材と金属
電極から成る平面状配列を前記セラミックス基板間に固
定した熱電素子の製造における、セラミックス基板上に
金属電極を接合する工程と、前記金属電極上に熱電部材
を接合する工程より成る製造方法において、これらの接
合の前工程として、セラミックス基板の接合表面及び金
属電極表裏の接合面のうち、少なくとも一面の表面平滑
性を低下させる工程を含む熱電素子の製造方法である。
【0014】
【作用】請求項1の本発明では、基板は、相対向し、複
数の電極は、少なくとも一部分が互いに対向するように
前記基板の対向面に接合され、熱電部材は、それら電極
の前記対向する部分の間に、電気的に実質上直列接続と
なるようにP型とN型が交互に配列され接合され、前記
基板の方が前記電極よりも線膨張係数が大きい場合は、
その基板よりも線膨張係数が小さい板状部材が、又前記
基板の方が前記電極よりも線膨張係数が小さい場合は、
その基板よりも線膨張係数が大きい板状部材が、前記相
対向する基板の内、少なくとも一方の基板の前記電極が
接合されている面と反対側の面の全部又は一部に固定さ
れる。これにより、例えば、ヒートサイクルを繰り返し
てもセラミックス材料からなる前記基板に反りが生じな
い。
【0015】請求項2の本発明では、基板は、相対向
し、複数の電極は、少なくとも一部分が互いに対向する
ように、前記基板の対向面に接合され、熱電部材は、そ
れら電極の前記対向する部分の間に、電気的に実質上直
列接続となるようにP型とN型が交互に配列され接合さ
れ、前記相対向する基板の内少なくとも一方の基板と、
前記電極との、各々の接合面の全部又は一部には、凹凸
部が互いに対応して形成される。これにより、例えば、
互いに線膨張係数の異なる二種類の物質の接合面すなわ
ち、セラミックス材料からなる前記基板と金属材料から
なる前記電極の接合面に生じる熱応力を、その接合面の
前記凹凸部が互い嵌合して支える。
【0016】請求項3の本発明では、基板は、相対向
し、複数の電極は、少なくとも一部分が互いに対向する
ように、前記基板の対向面に接合され、熱電部材は、そ
れら電極の前記対向する部分の間に、電気的に実質上直
列接続となるようにP型とN型が交互に配列され接合さ
れ、前記複数の電極の内少なくとも一つの電極と、前記
熱電部材とは、何れか一方が他方の全部又は一部の内に
嵌入される。これにより、例えば、互いに線膨張係数の
異なる二種類の物質の接合面すなわち、金属材料からな
る前記電極と前記熱電部材の接合面に生じる熱応力が、
前記接合面に設けられた嵌入部によって支えられる。
【0017】請求項4の本発明では、基板は、相対向
し、複数の電極は、少なくとも一部分が互いに対向する
ように、前記基板の対向面に接合され、熱電部材は、そ
れら電極の前記対向する部分の間に、電気的に実質上直
列接続となるようにP型とN型が交互に配列され接合さ
れ、前記基板の前記電極との接合面、前記電極の前記基
板との接合面、及び前記電極の前記熱電部材との接合面
の内、少なくとも一つの接合面の全部又は一部に凹凸部
が形成される。これにより、例えば、セラミックス材料
からなる前記基板と金属材料からなる前記電極の接合面
の表面平滑性を低下させることが出来、各々の接合面の
間に介在し両者を接着させるための半田の接着強度が向
上する。
【0018】請求項5の本発明では、例えば、セラミッ
クス材料からなる前記基板の接合面と金属材料からなる
前記電極の表の接合面と裏の接合面のうち、少なくとも
一の接合面の平滑性を低下させる工程によって、半田の
接着強度が向上し、接合部の耐ヒートサイクル性の高い
熱電素子を製造することができる。
【0019】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。尚、図5と同様のものについては、同じ符
号を付した。又、下記の実施例に用いた各種部材の線膨
張係数は、実施例1において示すものと同じであるとす
る。
【0020】(実施例1)図1は、本発明にかかる一実
施例の、Bi−Te系熱電材料を用いた熱電素子の構成
を示す図であり、同図を用いて本実施例の構成を説明す
る。
【0021】図1において、本発明の基板としてのアル
ミナ基板4は、40×40×0.8mmの薄板形状を呈してお
り、その、後述する銅版電極3との接合面と反対側の表
面中央部には、30×30mm、深さ0.2mmの凹部(図示
省略)が設けられている。本発明の板状部材としての銅
板6(線膨張係数β=16.6×10-6cm/℃、1atm,25℃)
は、厚さ0.2mmの薄板形状を呈しており、アルミナ基
板4に設けられた凹部に、接着剤としての半田5(線膨
張係数β=26×10-6cm/℃、1atm,25℃)を介して接着さ
れている。又、このアルミナ基板4の裏面には、本発明
の電極としての銅板電極3(線膨張係数β=16.6×10-6
cm/℃、1atm,25℃)が半田5を介して等間隔に配列され
形成されている。銅板電極3の形状は、2×4×0.3mm
の薄板形状である。本発明の熱電部材としての、Bi−
Te系のN型及びP型熱電材料1、2は、二枚のアルミ
ナ基板4間に交互に配列されて固定され、アルミナ基板
4上の銅板電極3によって電気的に直列に接続されてい
る。N型及びP型熱電材料1、2のサイズは、1.3×1.3
×1.68mmである。これら熱電材料1、2の線膨張係数
βは、c軸方向(図中、横方向に対応)では、β=22×
10-6cm/℃、1atm,25℃であり、a軸方向(図中、縦方向
に対応)では、β=13×10-6cm/℃、1atm,25℃である。
なお、銅板電極3と熱電材料1、2の接合には半田5が
用いられている。以上の構成による、熱電素子の厚さは
約4mmであった。
【0022】以上の構成による熱電素子の有用性を調べ
るために次のような実験を行った。
【0023】尚、以下に述べる実験は、空気中の水分の
付着による素子の劣化を防ぐために、素子の側面をシリ
コン性シール剤でシールしてから行った。
【0024】まず、熱電素子の耐ヒートサイクル性を調
べた。
【0025】すなわち、40℃〜90℃のヒートサイクルを
繰り返し、熱電素子の抵抗値の変化を検証した。測定
は、熱電素子の抵抗値の増加率が5%に達するまで繰り
返した。その結果、従来の熱電素子の耐ヒートサイクル
2000〜3000回に対し、本実施例の熱電素子は4000回以上
であり、耐久性が2倍程度向上したことを確認した。
【0026】次に、アルミナ基板4の表面に銅板6を接
着したことによる、熱電素子の熱電性能への影響を調べ
た。
【0027】すなわち、ヒーターを用いて熱電素子の表
裏に温度差を発生させて、熱電素子の吸熱量Qcを測定
した。その結果、本実施例の熱電素子の吸熱量は、従来
の熱電素子の吸熱量18W(低温側5℃、高温側30℃、温
度差ΔT=25℃のとき)とほぼ同等であった。
【0028】以上のように本実施例によれば、熱電素子
の両側に設けられたアルミナ基板4表面の少なくとも一
部に銅板6を接着することにより、アルミナ基板4の熱
膨張による反りを防ぐことができ、従来の熱電素子と同
等の熱電性能を維持したまま、ヒートサイクルに対する
耐久性を従来の2倍程度に向上させることができる。
【0029】(実施例2)図2は、本発明にかかる他の
実施例の、Bi−Te系熱電材料を用いた熱電素子の構
成を示す図であり、同図を用いて本実施例の構成を説明
する。ここで、図1と機能的に同様のものは、同じ符号
を付した。
【0030】図2に示すように、40×40×0.6mmのア
ルミナ基板4上の銅板電極3との接合面側の表面には、
切削加工により、幅0.4mm、深さ0.1mmの凹部が等間
隔に形成されている。一方、銅板電極3(2×4×0.3m
m)のアルミナ基板4側の全表面には、アルミナ基板4
上の上記凹部と対応するように凸部が形成されている。
接合部において、これら凸部と凹部が、確実にかみ合う
ように、銅板電極3がアルミナ基板4に嵌入され、その
接合には半田5が用いられている。尚、図2は、上記凸
部と凹部の接合部等に介在する半田5の表示を明確にす
るために、半田5の厚みを誇張して表示している。又、
上記凸部、凹部は、本発明の凹凸部に対応している。
【0031】このアルミナ基板4二枚の間に、実施例1
と同様に、N型及びP型熱電材料1、2が固定されてい
る。以上の構成による、熱電素子は厚さ約4mmであっ
た。
【0032】以上の構成による熱電素子の有用性を調べ
るために実施例1と同様の方法で次のような実験を行っ
た。
【0033】まず、熱電素子の耐ヒートサイクル性を調
べた結果、従来の熱電素子の耐ヒートサイクル2000〜30
00回に対し、本実施例の熱電素子は3500回以上であり、
耐久性が2倍程度向上したことを確認した。
【0034】次に、アルミナ基板と銅板電極の接合面の
形状を変えたことによる、熱電素子の熱電性能への影響
を調べた。すなわち、熱電素子の表裏の温度差が25℃の
ときの、熱電素子の吸熱量Qcを測定した。その結果、
本実施例の熱電素子の吸熱量は、従来の熱電素子の吸熱
量18Wとほぼ同等であった。
【0035】以上のように本実施例によれば、金属電極
の凸部をセラミックス基板の凹部に嵌入する構成によっ
て、金属電極と基板の接合面に生じる熱応力を支えるた
め、接合の強度を向上させることができる。すなわち、
ヒートサイクルに対する熱電素子の耐久性を向上させる
ことができる。
【0036】(実施例3)図3は、本発明にかかる更に
他の実施例の、Bi−Te系熱電材料を用いた熱電素子
の構成を示す図であり、同図を用いて本実施例の構成を
説明する。ここで、図1と機能的に同様のものは、同じ
符号を付した。
【0037】図3に示すように、銅板電極3(2×4×0.
3mm)は、N型及びP型の熱電材料1、2との接合面
(1.3×1.3mm)の周囲に、高さ0.2mmのリブを有し
ており、40×40×0.6mmのアルミナ基板4の片面に、
半田5を介して等間隔に配列されて形成されている。熱
電材料1、2は銅板電極3上のリブ間に半田5を介して
嵌入され、アルミナ基板4二枚の間に固定されている。
尚、熱電材料1、2の接合面の先端周辺部と銅板電極3
上のリブの内側側面部との隙間にも、半田5が介在して
いる(図示省略)。但し、図3は、半田5の厚みを誇張
して表示している。以上の構成による、熱電素子の厚さ
は約4mmであった。
【0038】以上の構成による熱電素子の有用性を調べ
るために実施例1、2と同様の方法で次のような実験を
行った。
【0039】まず、熱電素子の耐ヒートサイクル性を調
べた結果、従来の熱電素子の耐ヒートサイクル2000〜30
00回に対し、本実施例の熱電素子は3500回以上であり、
耐久性が2倍程度向上したことを確認した。
【0040】次に、熱電材料と銅板電極の接合面の形状
を変えたことによる、熱電素子の熱電性能への影響を調
べた。その結果、本実施例の熱電素子の吸熱量Qcは、
従来の熱電素子の吸熱量18W(温度差ΔT=25℃のと
き)とほぼ同等であった。
【0041】以上のように本実施例によれば、熱電材料
と金属電極の接合部において、熱電材料を金属電極に設
けたリブ間に嵌入して固定することにより、接合面に生
じる熱応力を支え、接合の強度を向上させることができ
る。すなわち、ヒートサイクルに対する熱電素子の耐久
性を向上させることができる。尚、本実施例が、アルミ
ナ基板を持たない、いわゆるスケルトンタイプの熱電素
子にも適用可能であることは言うまでもない。
【0042】(実施例4)図4は、本発明にかかる別の
実施例の、Bi−Te系熱電材料を用いた熱電素子の構
成を示す図であり、同図を用いて本実施例の構成を述べ
ながら、本発明にかかる一実施例の電熱素子の製造方法
について説明する。ここで、図1と機能的に同様のもの
は、同じ符号を付した。
【0043】まず、40×40×0.6mmのアルミナ基板4
表面に、サンドブラスト処理を10秒間施し、平滑性を低
下させた。銅板電極3(2×4×0.3mm)表面および裏
面に対しても、同様のサンドブラスト処理を行い、その
後、表面および裏面全面に金メッキ処理を行った。この
金メッキ処理は、半田5の濡れ性(すなわち、半田の乗
り具合い)向上のためのものである。これらの銅板電極
3は、アルミナ基板4上に等間隔に半田5を介して形成
した。
【0044】次に、これらの銅板電極3上に半田5を印
刷法によって塗布し、半田5上にN型及びP型熱電材料
1、2を構成することで、二枚のアルミナ基板4間に熱
電材料1、2を固定した。その後、リフロー炉内で280
℃の熱処理によって半田付けを行い、厚さ約4mmの熱
電素子とした。
【0045】以上の構成による熱電素子の有用性を調べ
るために実施例1と同様の方法で次のような実験を行っ
た。
【0046】まず、熱電素子の耐ヒートサイクル性を調
べた結果、従来の熱電素子の耐ヒートサイクル2000〜30
00回に対し、本実施例の熱電素子は4000回以上となり、
耐久性が2倍程度向上したことを確認した。
【0047】次に、アルミナ基板と銅板電極の表面状態
を変えたことによる、熱電素子の熱電性能への影響を調
べた。すなわち、熱電素子の表裏の温度差が25℃のとき
の、熱電素子の吸熱量Qcを測定した。その結果、本実
施例の熱電素子の吸熱量は、従来の熱電素子の吸熱量18
Wとほぼ同等であった。
【0048】以上のように本実施例によれば、セラミッ
クス基板と金属電極の表面の平滑性を、サンドブラスト
法によって低下させ、半田との接着面積を大きくするこ
とによって、接合面の強度を向上させることができる。
すなわち、ヒートサイクルに対する熱電素子の耐久性を
向上させることができる。
【0049】以上のように上記実施例によれば、セラミ
ックス基板表面の少なくとも一部に、線膨張係数の大き
い物質から成る端板を接着することにより、ヒートサイ
クルを繰り返してもセラミックス基板に反りが生じな
い、信頼性の高い熱電素子が実現できる。また、互いに
線膨張係数の異なる二種類の物質の接合面である、セラ
ミックス基板と金属電極の接合面、または金属電極と熱
電材料の接合面において、一方を他方に嵌入させること
によって、接合面に生じる熱応力を支えるため、耐ヒー
トサイクル性の高い熱電素子が構成できる。また、セラ
ミックス基板の接合表面と金属電極表裏の接合面のう
ち、少なくとも一面の平滑性を低下させることによっ
て、半田の接着強度が向上し、接合部の耐ヒートサイク
ル性の高い熱電素子を製造することができる。
【0050】尚、上記実施例では、板状部材として、銅
板6を用いる場合について説明したが、これに限らず、
例えば、線膨張係数β=25×10-6cm/℃のアルミニウ
ム、β=13×10-6cm/℃のニッケル、β=16.4×10-6cm/
℃のステンレス等、セラミックス基板に対しては、線膨
張係数が10×10-6cm/℃以上の板状部材が望ましい。
【0051】又、上記実施例では、板状部材としての銅
板6は、アルミナ基板4表面の一部に接着されている場
合について説明したが、これに限らず、例えば、基板の
表面全面に固定してももちろんよい。
【0052】又、上記実施例では、板状部材としての銅
板6は、アルミナ基板4表面の一部に凹部を設けてその
凹部にはめ込まれて接着されている場合について説明し
たが、これに限らず、例えば、基板の表面に設けられた
上記凹部を利用することなく、基板の表面に固定しても
もちろんよい。
【0053】又、上記実施例では、金属電極の凸部をセ
ラミックス基板の凹部に嵌入する場合について説明した
が、これに限らず、例えば、セラミックス基板に設けた
凹部に、板状の電極を埋め込むことも可能である。
【0054】又、上記実施例では、熱電材料を銅板電極
に設けたリブ間に嵌入して固定する場合について説明し
たが、これに限らず、例えば、銅板電極の表面に、熱電
材料の接合面と同形状の凹部を設け、熱電材料を固定し
てもよいし、あるいは、熱電材料の接合面に、凹部を設
けて、この凹部に対応するように銅板電極の接合面に凸
部を設けることにより、その凸部を凹部に嵌入して半田
等を介在させて電熱材料を固定するようにしてもよい。
ここで、後者の場合、上述した電熱材料の使い方とは異
なり、c軸方向と、a軸方向の設定の仕方を逆にした方
が、線膨張係数の関係から、接合強度の向上等に関し、
より一層効果的である。すなわち、c軸方向は、図3
中、縦方向に対応し、a軸方向は、図3中、横方向に対
応する。
【0055】又、上記実施例では、銅板電極にサンドブ
ラスト処理を行った後、金メッキを施したが、これに限
らず、例えば、サンドブラスト処理の前工程に金メッキ
を行うことも可能であるし、あるいは、メッキ処理を施
さない場合があってももちろんよい。
【0056】又、上記実施例では、アルミナ基板の片面
と銅板電極の両側の表面の平滑性を、サンドブラスト法
によって低下させる場合について説明したが、これに限
らず、例えば、サンドブラスト処理をアルミナ基板のみ
に行った場合にも、あるいは、銅板電極のどちらか一方
の面のみに行った場合についても、同様の改善効果が見
られ、耐ヒートサイクル性を1.5倍以上向上させること
ができた。
【0057】又、表面平滑性を低下させる方法について
は、サンドブラスト法のほかに、エッチング処理も可能
である。
【0058】
【発明の効果】以上述べたところから明らかなように、
本発明は、ヒートサイクルに対する耐久性の高い熱電素
子を提供することが出来るという長所を有する。
【0059】又、本発明は、ヒートサイクルに対する耐
久性の高い熱電素子の製造方法を提供することが出来る
という長所を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における、銅板を接着したア
ルミナ基板を用いた熱電素子の断面図
【図2】本発明の実施例2における、凹部を持つアルミ
ナ基板と凸部を持つ銅板電極を用いた熱電素子の断面図
【図3】本発明の実施例3における、表面に突起を持つ
銅板電極を用いた熱電素子の断面図
【図4】本発明の実施例4における、表面の平滑性を低
下させたアルミナ基板及び銅板電極を用いた熱電素子の
断面図
【図5】従来の熱電素子の断面図
【符号の説明】
1 N型熱電材料 2 P型熱電材料 3 銅板電極 4 アルミナ基板 5 半田 6 銅板 7 金属電極 8 セラミックス基板
フロントページの続き (72)発明者 山本 義明 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 相対向する基板と、 少なくとも一部分が互いに対向するように前記基板の対
    向面に接合された複数の電極と、 それら電極の前記対向する部分の間に、電気的に実質上
    直列接続となるようにP型とN型が交互に配列され接合
    された熱電部材とを備え、 前記基板の方が前記電極よりも線膨張係数が大きい場合
    は、その基板よりも線膨張係数が小さい板状部材が、又
    前記基板の方が前記電極よりも線膨張係数が小さい場合
    は、その基板よりも線膨張係数が大きい板状部材が、前
    記相対向する基板の内、少なくとも一方の基板の前記電
    極が接合されている面と反対側の面の全部又は一部に固
    定されていることを特徴とする熱電素子。
  2. 【請求項2】 相対向する基板と、 少なくとも一部分が互いに対向するように、前記基板の
    対向面に接合された複数の電極と、 それら電極の前記対向する部分の間に、電気的に実質上
    直列接続となるようにP型とN型が交互に配列され接合
    された熱電部材とを備え、 前記相対向する基板の内少なくとも一方の基板と、前記
    電極との、各々の接合面の全部又は一部には、凹凸部が
    互いに対応して形成されていることを特徴とする熱電素
    子。
  3. 【請求項3】 相対向する基板と、 少なくとも一部分が互いに対向するように、前記基板の
    対向面に接合された複数の電極と、 それら電極の前記対向する部分の間に、電気的に実質上
    直列接続となるようにP型とN型が交互に配列され接合
    された熱電部材とを備え、 前記複数の電極の内少なくとも一つの電極と、前記熱電
    部材とは、何れか一方が他方の全部又は一部の内に嵌入
    していることを特徴とする熱電素子。
  4. 【請求項4】 相対向する基板と、 少なくとも一部分が互いに対向するように、前記基板の
    対向面に接合された複数の電極と、 それら電極の前記対向する部分の間に、電気的に実質上
    直列接続となるようにP型とN型が交互に配列され接合
    された熱電部材とを備え、 前記基板の前記電極との接合面、前記電極の前記基板と
    の接合面、及び前記電極の前記熱電部材との接合面の
    内、少なくとも一つの接合面の全部又は一部に凹凸部が
    形成されていることを特徴とする熱電素子。
  5. 【請求項5】 P型とN型の熱電部材を交互に、電気的
    に直列になるように、金属電極によって平面状に接続
    し、前記金属電極を交互に二枚のセラミックス基板表面
    に接合させることで、熱電部材と金属電極から成る平面
    状配列を前記セラミックス基板間に固定した熱電素子の
    製造における、セラミックス基板上に金属電極を接合す
    る工程と、前記金属電極上に熱電部材を接合する工程よ
    り成る製造方法において、これらの接合の前工程とし
    て、セラミックス基板の接合表面及び金属電極表裏の接
    合面のうち、少なくとも一面の表面平滑性を低下させる
    工程を含むことを特徴とする熱電素子の製造方法。
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