JPH0732113Y2 - 筆記具 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、他の筆記具の部品との
互換性があって部品の共通化が可能な筆記具に関するも
のである。

【０００２】

【従来技術とその問題点】筆記具の軸筒にクリップを固
着する構造は種々のものが知られ、かつ実用化されてい
る。ノック式のボールペンやシャープペンシルのよう
に、軸筒の尾端開口からノック部材が突出する場合は、
軸筒の内部を有効に利用する必要があるので、クリップ
の基端部に円環状の固着部を一体に形成し、装飾用の鍔
部を有する固定筒をクリップの円環状の固着部に挿通し
た状態で軸筒の尾端開口に嵌着し、クリップの固着部を
固定筒の鍔部と軸筒の尾端縁で挟圧保持することが多
い。かかるクリップの固着構造を採用すると、クリップ
固着用部材が軸筒内部に突出せず、固定筒の内部を有効
に利用することができる。このとき、固定筒を軸筒に確
実に固定してクリップが脱落しないようにするために、
固定筒の外周面に係止突起を形成するとともに、軸筒の
内周面に係止孔を形成し、係止突起を係止孔に係合させ
ている。なお、軸筒の内周面に係止突起を形成し、固定
筒の外周面に係止孔を形成してもよい。

【０００３】また、軸筒は意匠的要素の大きな部品であ
るので、クリップを取り付けない場合でも、軸筒の尾端
や先端に装飾用のリングを取り付けることがある。その
ときは、前記の固定筒と同様な構造のものを軸筒の尾端
開口や先端開口に嵌着し、鍔部をリングとして利用する
が、この場合も固定筒の外周面と軸筒の内周面に係止突
起と係止孔を形成し、係止突起を係止孔に係合させるこ
とが多い。

【０００４】このように、係止突起を係止孔に係合させ
るためには、固定筒と軸筒の係止突起と係止孔は、組み
立てたときに同じ位置になるように形成されなければな
らない。従って従来は、係止突起と係止孔の位置は、そ
の筆記具専用に個々に設計されており、互換性がなかっ
た。また、クリップを取り付ける場合において、筆記具
によってはクリップの固着部の縦巾が異なるので、この
場合も個々に設計されており、互換性がなかった。従っ
て、部品の共通化が進まず、コスト低減の障害になって
いた。

【０００５】

【考案の目的】そこで本考案は、軸筒と固定筒あるいは
クリップの互換性があって部品の共通化が可能な筆記具
を提供することを目的とする。

【０００６】

【考案の構成とその作用】本考案の構成は、装飾用の鍔
部を有する固定筒がクリップの円環状の固着部に挿通さ
れて軸筒の尾端開口に嵌着され、クリップの固着部が固
定筒の鍔部と軸筒の尾端縁で挟圧された筆記具におい
て、固定筒の外周面又は軸筒の内周面には係止突起が形
成され、軸筒の内周面又は固定筒の外周面には第１係止
孔が形成されるとともに、この第１係止孔からクリップ
の固着部の縦巾に等しい距離だけ先方に第２係止孔が形
成され、係止突起が第１係止孔に係合したことを特徴と
するものである。

【０００７】すなわち、軸筒の内周面には、クリップを
取り付ける場合に固定筒の係止突起が係合する第１係止
孔からクリップの固着部の縦巾に等しい距離だけ先方に
第２係止孔が形成されているので、クリップを取り付け
ない場合は、固定筒の係止突起は第２係止孔に係合す
る。従って、固定筒の鍔部が装飾用リングとなるが、軸
筒と固定筒はクリップを有する筆記具と同じものを使用
することができ、部品を共通化できる。なお、軸筒の内
周面に係止突起を形成し、固定筒に第１係止突起および
第２係止突起を設けても同じ効果を得ることができる。

【０００８】また、クリップの固着部の縦巾が異なる筆
記具間においても、軸筒の内周面又は固定筒には軸線方
向の位置が異なる複数個の係止孔を形成し、クリップの
固着部の縦巾に応じて係止突起がいずれかの係止孔に係
合するようにすると、軸筒と固定筒を共通化できる。

【０００９】

【実施例】以下に図面に示す実施例に基いて本考案を具
体的に説明する。図１において、合成樹脂製の軸筒１の
尾端縁から所定位置に第１係止孔 11 と第２係止孔 12
が形成されている。第１係止孔 11 と第２係止孔 12 を
貫通する透孔にして軸筒１に化粧外筒を被せた二重構造
にしてもよい。クリップ２は、その基端側に円環状の固
着部 21 が一体に成形されている。この固着部 21 の内
径は軸筒１の内径に等しい。ここで、固着部 21 の縦巾
をＬとすると、第１係止孔 11 と第２係止孔12 の距離
もＬである。同じく合成樹脂製の固定筒３は、その外径
が軸筒１および固着部 21 の内径に等しいが、一端に装
飾リングの役目をする鍔部 31 が形成され、外周面の所
定位置に係止突起 32 が形成されている。係止突起 32
は、先方が傾斜しており、１個の鋸歯と同じ形状をして
いる。なお、固定筒３に第１係止孔 11 と第２係止孔 1
2 を形成し、軸筒１に係止突起 32 を形成してもよい
が、この場合は、係止突起 32 は、尾端側が傾斜した鋸
歯状になる。

【００１０】しかして、固定筒３を軸筒１および固着部
21 に挿入すると、その過程で軸筒１と固定筒３が僅か
に弾性変形し、係止突起 32 が軸筒１の内周面を摺動し
ながら前進して第１係止孔 11 に係合する。従って、固
着部 21 は軸筒１の尾端縁と固定筒３の鍔部 31 によっ
て挟圧され、クリップ２はしっかりと保持される。な
お、軸筒１内にはボールペンやシャープペンシルなどの
機構部品が内蔵されるが、その図示は省略してある。

【００１１】次に、図２に示すように、クリップを使用
しない場合は、軸筒１の尾端開口に固定筒３を直接挿入
する。この過程で係止突起 32 は第１係止孔 11 に係合
するが、係止突起 32 の先方が傾斜しているので、固定
筒３を更に挿入すると、係止突起 32 は第１係止孔 11
から抜けて第２係止孔 12 に係合する。このとき、第１
係止孔 11 と第２係止孔 12 の距離が固着部 21 の縦巾
に等しいので、固定筒３の鍔部 31 は軸筒１の尾端縁に
衝合し、鍔部 31 が装飾リングの役目をする。なお、図
３に示すように、固定筒３を軸筒１の先端開口から挿入
しても良く、この場合は固定筒３に先口４を固定する。
このように、クリップ２の有無にかかわらず同じ軸筒１
と固定筒３を使用することかできる。つまり、軸筒１と
固定筒３に他の筆記具と互換性を持たせることができ
る。

【００１２】また、固着部 21 の縦巾が異なるクリップ
２を取り付けるときは、図示しないが、クリップの種類
だけ係止孔を設け、どのクリップを使用しても係止突起
がいずれかの係止孔に係合するようにすると、クリップ
２の固着部 21 の縦巾寸法にかかわらず軸筒１と固定筒
３を共通化できる。

【００１３】

【考案の効果】以上説明したように、本考案は、装飾用
の鍔部を有する固定筒がクリップの円環状の固着部に挿
通されて軸筒の尾端開口に嵌着され、クリップの固着部
が固定筒の鍔部と軸筒の尾端縁で挟圧された筆記具にお
いて、固定筒の外周面又は軸筒の内周面に係止突起を形
成し、軸筒の内周面又は固定筒の外周面には複数個の係
止孔を形成し、クリップの固着部の縦巾が異なったり、
クリップを使用しない場合に、係止突起がいずれかの係
止孔に係合するようにしたので、軸筒と固定筒は他の筆
記具との互換性があって部品の共通化が可能な筆記具と
なる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案実施例の断面図である。

【図２】本考案実施例を他の筆記具に適用した説明図で
ある。

【図３】本考案実施例を他の筆記具に適用した説明図で
ある。

【符号の説明】

１ 軸筒 ２ クリップ ３
固定筒 ４ 先口 １１ 第１係止孔 １２
第２係止孔 ２１ 固着部 ３１ 鍔部 ３２
係止突起

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 装飾用の鍔部を有する固定筒がクリップ
   の円環状の固着部に挿通されて軸筒の尾端開口に嵌着さ
   れ、クリップの固着部が固定筒の鍔部と軸筒の尾端縁で
   挟圧された筆記具において、 固定筒の外周面又は軸筒の内周面には係止突起が形成さ
   れ、軸筒の内周面又は固定筒の外周面には第１係止孔が
   形成されるとともに、この第１係止孔からクリップの固
   着部の縦巾に等しい距離だけ先方に第２係止孔が形成さ
   れ、該係止突起が該第１係止孔に係合したことを特徴と
   する筆記具。
2. 【請求項２】 装飾用の鍔部を有する固定筒がクリップ
   の円環状の固着部に挿通されて軸筒の尾端開口に嵌着さ
   れ、クリップの固着部が固定筒の鍔部と軸筒の尾端縁で
   挟圧された筆記具において、 固定筒の外周面又は軸筒の内周面には係止突起が形成さ
   れるとともに、軸筒の内周面又は固定筒の外周面には軸
   線方向の位置が異なる複数個の係止孔が形成され、クリ
   ップの固着部の縦巾に応じて該係止突起がいずれかの係
   止孔に係合することを特徴とする筆記具。