JPH07316419A - ポリフェニレンエーテル/ポリフェニレンスルフィドアロイ樹脂組成物 - Google Patents

ポリフェニレンエーテル/ポリフェニレンスルフィドアロイ樹脂組成物

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JPH07316419A
JPH07316419A JP13499394A JP13499394A JPH07316419A JP H07316419 A JPH07316419 A JP H07316419A JP 13499394 A JP13499394 A JP 13499394A JP 13499394 A JP13499394 A JP 13499394A JP H07316419 A JPH07316419 A JP H07316419A
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resin
styrene
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JP13499394A
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English (en)
Inventor
Akira Takarada
彰 寶田
Takio Tasaka
多希雄 田坂
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Otsuka Chemical Co Ltd
Original Assignee
Otsuka Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 PPS樹脂とPPE樹脂にマレイン酸変性ポ
リスチレンとマレイン酸変性SEBSを、また必要に応
じてウィスカを所定量配合することにより相溶性、耐衝
撃性、耐熱変形性の優れ、各種成形品材料として極めて
有用性の高いPPS/PPE樹脂組成物を提供する。 【構成】 (A)ポリフェニレンスルフィド樹脂 10
〜90重量部 (B)ポリフェニレンエーテル樹脂 90〜10重量部 (C)酸無水物基を有するスチレン系共重合体を(A)
+(B)100重量部に対して0.1〜10重量部 (D)酸無水物基を有するスチレン系熱可塑性エラスト
マーを(A)+(B)100重量部に対して3〜15重
量部 をそれぞれ配合してなるポリフェニレンエーテル/ポリ
フェニレンスルフィドアロイ樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリフェニレンエーテル
/ポリフェニレンスルフィドアロイ樹脂組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下P
PSと略す)は、従来、主としてガラス繊維補強系にお
いて、耐熱性、難燃性、耐薬品性及び剛性に優れた樹脂
材料として、自動車部品、電気・電子部品等の射出成形
品を中心に広く使用されている。しかし、ガラス繊維等
で補強されていない非強化系においては非常に脆く、ま
たガラス転移温度が90℃と低いため耐熱性も充分でな
く各種成形品用途に利用することは非常に困難なため、
従来は、樹脂単独での使用には限界があった。さらに、
PPSには、成形時に分解ガスを発生し、金型を腐触し
たり、流動性が良好に過ぎるため、バリを発生し、バリ
取り工程を必要とするなどの問題があった。
【0003】一方、ポリフェニレンエーテル樹脂(以下
PPEと略す)は優れた機械的特性、電気的特性及び比
較的高い耐熱性を有しているが、成形加工性、耐溶剤性
に劣るという欠点をも併せ有しており、PPE単独で使
用するのは非常に困難である。
【0004】そこで、PPSとPPEをブレンドするこ
とにより両者の長所を兼ね備えた樹脂組成物を作ろうと
する試みが数多くなされてきた。
【0005】しかし、一般に、PPSとPPEを単にブ
レンドしただけでは両者の親和性が低いため、優れた機
械特性の樹脂組成物を得ることは非常に難しい。
【0006】これまでに、両者の親和性を良くするため
の方法としてPPS、PPE及びエポキシ樹脂からなる
樹脂組成物(特開昭59−164360号公報)、PP
S、PPE及びエポキシ基を有するスチレン系共重合体
からなる樹脂組成物(特開平2−86652号公報)
等、エポキシ基含有化合物を添加する方法が提案されて
いる。しかし、これらの樹脂組成物においては親和性は
改善されているが、PPSの欠点である脆さが改善され
ていない。
【0007】また、脆さを改善するための方法としてP
PS、PPE、グリシジル基含有スチレン系樹脂及び熱
可塑性エラストマーからなる樹脂組成物(特開平1−2
13361号公報)、PPS、PPE、スチレン系モノ
マーとα,β−不飽和酸のグリシジルエステルの共重合
体及び酸無水物基を有するスチレンコポリマー及び/又
は酸無水物基を有するポリオレフィンからなる樹脂組成
物(特開平2−84462号公報)、PPS、PPE、
α−オレフィンとα,β−不飽和カルボン酸エステルか
らなる変性ポリオレフィン及び熱可塑性エラストマー
(特開平4−318067号公報)等において酸無水物
基などを含有するポリオレフィンや熱可塑性エラストマ
ーを添加することにより耐衝撃性を高めることが提案さ
れている。しかし、耐衝撃性の改善としては未だ十分な
ものとはいえなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、前記従
来技術では解決できなかった課題、すなわち、PPS/
PPE樹脂組成物の相溶性、耐衝撃性を共に向上させる
ため、研究を重ねた結果、極めて優れた樹脂組成物を見
いだし、本発明を完成させた。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、(A)ポリフ
ェニレンスルフィド樹脂 10〜90重量部 (B)ポリフェニレンエーテル樹脂 90〜10重量部 (C)酸無水物基を有するスチレン系共重合体を(A)
+(B)100重量部に対して0.1〜10重量部 (D)酸無水物基を有するスチレン系熱可塑性エラスト
マーを(A)+(B)100重量部に対して3〜15重
量部 をそれぞれ配合してなるポリフェニレンエーテル/ポリ
フェニレンスルフィドアロイ樹脂組成物に係る。
【0010】また、本発明は、前記樹脂組成物に、必要
に応じて(E)平均繊維径0.05〜5μm、平均繊維長
1〜500μm、アスペクト比7以上のウィスカを樹脂
100重量部に対して3〜100重量部配合してなる樹
脂組成物に係る。
【0011】本発明の(A)成分であるPPS樹脂と
は、一般式〔化1〕で示される繰り返し単位を70モル
%以上、好ましくは90モル%以上含む重合体であり、
上記繰り返し単位が70モル%未満では耐熱性が低下す
るため好ましくない。残りの30%未満である共重合成
分としては、例えば〔化2〕で示されるメタ結合、エー
テル結合、スルホン結合、ビフェニル結合、ナフチル結
合、その他、置換フェニレンスルフィド結合、三官能フ
ェニルスルフィド結合等がある。これらの結合中のフェ
ニレン基は、炭素数1〜6までのアルキル基、アルコキ
シ基、フェニル基、ニトロ基、ハロゲンで置換されたも
のであってもよい。
【0012】
【化1】
【0013】
【化2】
【0014】本発明で用いられるPPSは320℃にお
ける溶融粘度が100〜10000ポイズのものの中か
ら任意に選ぶことができ、さらにPPSの構造は、直鎖
状のもの、分岐状、架橋構造を含むもののいずれであっ
てもよく、またこれらの混合物であってもよい。中で
も、直鎖状のものは耐衝撃性と機械的強度に優れてい
る。
【0015】次に、本発明の(B)成分として用いられ
るPPE樹脂は、一般式〔化3〕で表されるものであ
る。
【0016】
【化3】
【0017】(ここで、R1、R2、R3及びR4は同一ま
たは異なって水素、ハロゲン、炭化水素、または置換炭
化水素基を示す。)
【0018】このものは、フェノール化合物、具体例と
しては、2,6−ジメチルフェノール、2,6−ジエチル
フェノール、2−メチル−6−エチルフェノール、2−
メチル−6−アリルフェノ−ル、2−メチル−6−フェ
ニルフェノ−ル、2,6−ジフェニルフェノ−ル、2,6
−ジブチルフェノ−ル、2,3,6−トリメチルフェノ−
ル、2,3,6−トリプロピルフェノール、2,6−ジメ
チル−3−エチルフェノ−ル、2,6−ジメチル−3−
プロピルフェノール等を重合させることによって製造さ
れる。上記のフェノール化合物は、単独もしくは2種以
上を用いることができる。中でも好ましいPPE樹脂と
しては、2,6−ジメチルフェノールから得られるPP
E、及び2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリ
メチルフェノ−ルあるいは2,6−ジフェニルフェノ−
ルを共重合させてなるPPE樹脂を挙げることができ
る。また、本発明のPPEはスチレン系モノマーを共重
合させたものや、スチレン系重合体を混合させたもので
あってもよい。
【0019】本発明に用いることのできるPPE樹脂の
分子量は、目的によって好適な範囲が異なるため一概に
その範囲は定められないが、一般に30℃のクロロホル
ム溶液0.5g/dlで測定した還元粘度が0.15〜0.7
0の範囲、より好ましくは0.20〜0.60の範囲にあ
る単独重合体及び/又は共重合体が用いられる。
【0020】本発明における(A)成分と(B)成分の
配合割合は、(A):(B)=10〜90:90〜10
(重量比)、好ましくは20〜80:80〜20(重量
比)とするのがよい。(A)成分が10重量%未満の場
合には耐溶剤性の悪い組成物しか得られず、90重量%
を超えるとバリ発生が起こりやすく、また腐食性ガスを
発生しやすくなるため好ましくない。
【0021】本発明で(C)成分として用いられる酸無
水物基を有するスチレン系共重合体とは無水マレイン
酸、無水フタル酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸
などの酸無水物基含有不飽和化合物、好ましくは無水マ
レイン酸とスチレン系モノマーの共重合体及びアニリン
等との反応生成物(マレイミド)である。酸無水物基含
有不飽和化合物の反応量はスチレン系共重合体全量に対
して0.1〜30重量%の範囲とするのがよい。中で
も、酸無水物基含有不飽和化合物の含有率が1〜30重
量%の分子量10,000〜400,000の共重合体が
望ましい。
【0022】スチレン系モノマーとは水素または炭素数
1〜4のアルキル基及び/又はハロゲン原子等で置換さ
れた核置換スチレン及び/又はα−置換スチレンをい
い、その例としてはスチレン、メチルスチレン、ビニル
キシレン、ジクロロスチレン、ブロムスチレン、ジブロ
ムスチレン、p−t−ブチルスチレン、エチルスチレン、
ビニルナフタレンなどが挙げられるが、中でもスチレン
が好ましい。
【0023】(C)成分の配合量としては、(A)+
(B)100重量部に対して0.5〜15重量部、好ま
しくは1〜7重量部の範囲とするのがよい。ここで、配
合量が0.5重量部を下回るとPPS樹脂とPPE樹脂
の相溶性を充分改善することができないため好ましくな
く、15重量部を超えると機械物性、耐熱性を低下させ
るため好ましくない。
【0024】本発明で(D)成分として用いられる酸無
水物基を有するポリスチレン系熱可塑性エラストマーと
は無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸
などの酸無水物基含有不飽和化合物を含有するポリスチ
レン系熱可塑性エラストマーである。
【0025】ポリスチレン系熱可塑性エラストマーと
は、例えば、ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物の
ブロック共重合体又はブロック共重合体の水素添加物
(以下、水添ブロック共重合体と略記する)を挙げるこ
とが出来る。
【0026】ブロック共重合体を構成するビニル芳香族
化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレ
ン、ビニルトルエン、p−t−ブチルスチレン、1,1
−ジフェニルエチレン等のうちから1種又は2種以上を
選択でき、中でもスチレンが好ましい。
【0027】また、共役ジエン化合物としては、ブタジ
エン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメ
チル−1,3−ブタジエン等のうちから1種または2種
以上を選ぶことができ、中でもブタジエン、イソプレン
及びこれらの組み合わせが好ましい。尚、共役ジエン化
合物を主体とする重合体ブロックは、そのブロックにお
けるミクロ構造を任意に選ぶことがでるが、例えば、ポ
リブタジエンにおいては、1,2−ビニル結合を5〜6
5%、好ましくは10〜50%有するものが好ましい。
【0028】本発明で用いる(D)成分の分子量として
は、数平均分子量で5,000〜1,000,000、好
ましくは10,000〜800,000、さらに好ましく
は30,000〜500,000の範囲にあるものがよ
く、分子量分布[重量平均分子量(Mw)と数平均分子
量(Mn)との比(Mw/Mn)]は10以下のものが
よい。
【0029】さらにブロック共重合体の分子構造は、直
鎖状、分岐状、放射状あるいはこれらの任意の組み合わ
せのいずれであってもよい。
【0030】水添ブロック共重合体とは上記のビニル芳
香族化合物と共役ジエン化合物のブロック共重合体を水
素添加することによって得られるものであり、共役ジエ
ンに基づく脂肪族二重結合は、少なくとも80%以上を
水素添加せしめ、共役ジエン化合物を主体とする重合体
ブロックを形態的にオレフィン性化合物重合体ブロック
に変換させる必要がある。
【0031】また、ビニル芳香族化合物に基づく芳香族
二重結合の水素添加率については特に制限はないが、水
素添加率を20%以下にするのが好ましい。尚、酸無水
物基含有不飽和化合物の反応量は0.01〜10重量%
の範囲とするのが適当である。
【0032】(D)成分の配合量としては、(A)+
(B)100重量部に対して3〜15重量部、好ましく
は3〜10重量部が適当である。ここで配合量が3重量
部未満であると、充分な耐衝撃性の向上が得られず、ま
た反対に15重量部を超えると剛性、熱変形温度を著し
く低下させるため、好ましくない。
【0033】本発明で(E)成分として用いられるウィ
スカは平均繊維径0.05〜5μm、平均繊維長1〜50
0μm、平均アスペクト比7以上のウィスカが好まし
い。ウィスカの平均繊維径が0.05未満であると、商
業的規模での製造が困難となるため好ましくなく、ウィ
スカの繊維径が5μmを超えると、成形品の外観や表面
平滑性を悪化させるので好ましくない。一方、平均繊維
長が1μm未満の場合は、アスペクト比が7以上あって
も補強効果(剛性向上)が小さく、また逆に平均繊維長
が500μmを超えると、樹脂組成物の流動性を悪化さ
せ成形性が悪化するため好ましくない。
【0034】本発明の(E)成分に用いられるウィスカ
としては特に制限はないが、具体例としては塩基性硫酸
マグネシウム(MgSO4・5MgO・8H2O、マグネシ
ウムオキシサルフェートウィスカ)、黒鉛(Cウィス
カ)、酸化亜鉛(ZnOウィスカ)、酸化マグネシウム
(MgOウィスカ)、炭化ケイ素(SiCウィスカ)、窒
化ケイ素(Si34ウィスカ)、チタン酸カリウム(K2
O・nTiO2ウィスカ)、ホウ酸アルミニウム(9Al2
3・B23)、ホウ酸マグネシウム(2MgO・B
23)、βケイ酸カルシウム(CaO・SiO2)、ムラ
イトウィスカ、チタン酸アルミン酸ウィスカ等を挙げる
ことができる。これらは単独で、もしくは2種以上を混
合して用いることができる。これらのウィスカは用途分
野に応じて、選択するのが望ましい。例えば、当ポリマ
ーアロイ樹脂の低誘電率、低誘電正接を生かすには、ホ
ウ酸アルミニウム、ホウ酸マグネシウム、β−ケイ酸カ
ルシウムの各ウィスカを1種単独でまたは2種以上混合
して用いると高周波帯域での高速通信に適した低誘電
率、低誘電損失回路基板材料が得られる。
【0035】又、電気伝導性あるいは帯電防止を付与す
るには、黒鉛、酸化亜鉛の各ウィスカをまた場合によっ
ては導電性カーボンを気相蒸着した黒色のあるいは酸化
スズ及び酸化アンチモンからなる導電性金属酸化物皮膜
を形成した白色〜灰白色のチタン酸カリウムウィスカを
1種単独でまたは2種以上混合して用いることが有効で
ある。
【0036】これらウィスカの中でも、樹脂との混練
性、濡れ性の点でチタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウ
ム及びホウ酸マグネシウムが適しており、特に当アロイ
樹脂への適用性及び補強性能、価格の点からはチタン酸
カリウムが最適である。
【0037】本発明で用いられるウィスカには、PPS
/PPE樹脂組成物との濡れ性を高めるため、シラン系
カップリング剤、チタネート系カップリング剤などのカ
ップリング剤で表面処理を施してもよい。
【0038】(E)成分を配合する場合に、その配合量
としては、(A)+(B)+(C)+(D)100重量
部に対して3〜100重量部とするのがよい。配合量が
3重量部を下回ると補強効果が充分発揮されず、また、
配合量が100重量部を超えると成形を困難にするため
好ましくない。
【0039】本発明のPPS/PPE樹脂組成物には、
必要に応じて染料、顔料、滑剤、充填剤、結晶化核剤、
熱安定剤、難燃剤、光安定剤、発泡剤を適宜適量配合す
ることが出来る。
【0040】さらに本発明においては、必要に応じて、
本発明の目的を阻害しない範囲で、ガラス繊維、炭素繊
維、アラミド繊維などの繊維強化材及び/又はマイカな
どの鱗片状強化材を配合することが出来る。
【0041】本発明のPPS/PPE樹脂組成物の製造
方法としては、特に限定されるものではないが、一般的
には押出機を使用して(A)、(B)、(C)、(D)
の各成分及び必要に応じて顔料等の各種添加剤を配合し
てタンブラーミキサー等によりブレンドしたものを溶融
混練し、必要に応じて(E)成分を所定量途中供給し
て、混練押出してペレット化する方法が好適に採用でき
る。
【0042】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例を挙げてさ
らに詳しく説明する。本発明はこれらの実施例により何
ら限定されるものではない。なお、以下の実施例におい
て、単に部とある場合は、重量部を意味する。
【0043】本実施例及び比較例においての評価は下記
により行った。 (1)機械的物性の評価 射出成形機(日精樹脂社製 商品名 FS−150N)
にて、シリンダー温度300℃、射出圧力600kg/c
m2 、金型温度120℃にてJIS試験片を成形し、一
日放置したのち物性測定を行った。 (2)耐熱変形性の評価 上記(1)で成形した曲げ試験片を使用し18.5kgf/
cm2荷重における熱変形温度で評価した。 (3)相溶性の評価 上記(1)で得られた試験片をクロロホルム中に3時間
浸漬してPPEを溶解させて、SEMによりPPEの分
散径を測定し、下記の基準により評価した。○:分散径
1μm未満、△:分散径1μm以上〜5μm未満、×:分
散径5μm以上 (4)誘電特性の評価 1MHzにおいてはインピーダンスアナライザー(YO
KOGAWA HEWLET PACKARD製)を用
い、JIS K−6911に準じた方法で、GHz帯にお
いてはネットワークアナライザー 8510C(HEW
LET PACKARD)を用い空洞共振法にて測定し
た。
【0044】実施例1〜2 PPS樹脂としてトープレンT−4P〔(株)トープレ
ン製 商品名〕、PPE樹脂としてポリ(2,6−ジメ
チルフェニレンエーテル)のホモポリマー〔旭化成工業
(株)製 商品名 PPE P101M〕、酸無水物を
有するスチレン系共重合体としてマレイン酸変性ポリス
チレン(MTC ARCO社製 商品名ダイラークD−
332)、酸無水物基を有するスチレン系熱可塑性エラ
ストマーとしてマレイン酸変性SEBS〔旭化成工業
(株)製 商品名 タフテックM1911(酸価=2mg
CH3ONa/g、S/EB=30/70)〕、M191
3(酸価=10mgCH3ONa/g、S/EB=30/7
0)、M1943(酸価=10mgCH3ONa/g、S/
EB=20/80)を用いて、シリンダー温度300℃
にて押出混練してペレットを製造した。
【0045】得られたPPS/PPE樹脂組成物につい
て機械的性質、耐熱変形性を評価した。また、比較のた
め、マレイン酸変性ポリスチレン、マレイン酸変性SE
BSの両方を添加していないもの(比較例1)、マレイ
ン酸変性ポリスチレンのみを添加したもの(比較例
2)、マレイン酸変性SEBSだけを添加しているもの
(比較例3)を製造し、これらの比較例についても実施
例と同様に評価した。結果を表1〜2に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】表1〜2より、PPS/PPE混合系にマ
レイン酸変性ポリスチレン、マレイン酸変性SEBSの
両方を添加することにより、相溶性、耐衝撃性、強度、
剛性、熱変形温度の優れたPPS/PPE樹脂組成物が
得られることがわかる。
【0049】実施例1,2はPPS/PPE混合比5/
5においてマレイン酸変成ポリスチレンをそれぞれ5重
量部、2重量部、マレイン酸変成SEBSをそれぞれ8
重量部、6重量部を添加することにより相溶性が優れ、
ノッチ付IZOD衝撃値が改良されたPPS/PPE樹
脂組成物が得られることを示している。
【0050】両者を無添加のもの(比較例1)は相溶性
が全く見られないのに対し、両者のいずれか一方だけを
添加したもの(比較例2、3)は、ある程度相溶性は良
くなっているが、ノッチ付IZOD衝撃値が極めて低い
ままで実用性に乏しい。また、実施例1の樹脂組成物の
誘電特性は、誘電率については1MHz〜12GHzにお
いて2.7〜3.0(1MHzで2.95、3GHzで2.8
4、12GHzで2.74)と大差ないが誘電正接におい
ては1MHzにおいて0.012であったものがGHz帯
になると、一桁小さくなり(3GHzにおいて0.001
7、12GHzにおいて0.0025)高周波領域におい
て極めて誘電特性に優れることが判明した。
【0051】実施例3〜7及び比較例7〜10 PPS、PPE、マレイン酸変性ポリスチレン及びマレ
イン酸変性SEBSは実施例2と同様のもの、ウィスカ
にチタン酸カリウム(大塚化学株式会社製 商品名 T
ISMO D−102、平均繊維径0.4μm、平均繊維
長15μm、アスペクト比37.5)を用い、このウィス
カを途中供給して実施例1と同様に混練しペレットを製
造し、実施例1と同様に評価した。結果を表3〜4に示
す。
【0052】
【表3】
【0053】
【表4】
【0054】実施例3〜5はPPS/PPE比が7/
3、5/5、3/7のそれぞれに無水マレイン酸変性ポ
リスチレンを5重量部と無水マレイン酸変性SEBSを
6重量部加えた場合についてである。本発明の範囲内で
PPS/PPEの配合比を変えてもノッチ付IZOD衝
撃値は向上しており、本発明の目的を達成していること
がわかる。実施例6,7はマレイン酸変性SEBSのマ
レイン酸変性率及びS/EB比を変えた場合についてで
ある。マレイン酸変性SEBSとしてタフテックM19
13を使用しているが、この場合もノッチ付IZOD衝
撃値は向上しており、本発明の目的を達成していること
がわかる。マレイン酸変性ポリスチレンのかわりにエポ
キシ変性ポリスチレン(比較例7)を使った場合及びマ
レイン酸変性SEBSの量が本発明の範囲より少ない場
合(比較例8)には、ノッチ付IZOD衝撃値の向上が
殆どないことがわかる。またマレイン酸変性SEBSの
量が本発明の範囲より多い場合(比較例9)はノッチ付
IZOD衝撃値の向上は認められるが、熱変形温度や曲
げ特性を大きく低下させており本発明の目的を達成して
いるとは言い難い。
【0055】実施例8〜11 PPS、PPE、マレイン酸変性ポリスチレン及びマレ
イン酸変性SEBSは、実施例2と同じものを使用し、
ウィスカとして、ケイ酸カルシウムウィスカ(NYCO
社製 商品名NYGLOS I−10013 アミノシ
ラン処理品)、ホウ酸アルミニウムウィスカ(四国化成
工業株式会社製 商品名アルボレックスY 表面処理な
し)、黒鉛ウィスカ(昭和電工株式会社製 商品名 V
GCF表面処理なし)、酸化亜鉛ウィスカ(松下アムテ
ック株式会社製 商品名パナテトラ0511 表面処理
なし)を使用し、実施例3〜7と同様にウィスカを途中
供給する方式にてペレットを製造し、物性評価を行っ
た。結果をまとめて表5に示す。
【0056】
【表5】
【0057】表5からわかるように、ケイ酸カルシウム
ウィスカ及びホウ酸アルミニウムウィスカの場合は誘電
率が3.5以下に維持されたまま、誘電正接は0.000
1以下と実施例1よりも更に低い誘電正接となってお
り、情報通信用回路基盤材料として極めて有望な材料で
あることがわかる。殊に、今後発展の期待される高周波
領域における材料として期待される。
【0058】また、黒鉛ウィスカ、酸化亜鉛ウィスカに
ついては、体積固有抵抗値が109〜1011Ωcmが得ら
れており、帯電防止効果があることが確認され、電気製
品、帯電防止治具への応用が期待できる。
【0059】尚、実施例8〜11の機械特性、耐熱変形
性のデータから判るように、これらのウィスカについて
も、曲げ特性の改善と共に、IZOD衝撃値も向上して
おり、本発明の樹脂組成物には、種類を問わず各種のウ
ィスカを使用できることが実証された。
【0060】
【発明の効果】本発明においてはPPS樹脂とPPE樹
脂にマレイン酸変性ポリスチレンとマレイン酸変性SE
BSを、また必要に応じてウィスカを所定量配合するこ
とにより相溶性、耐衝撃性、耐熱変形性の優れ、各種成
形品材料として極めて有用性の高いPPS/PPE樹脂
組成物を得ることができた。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年6月29日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正内容】
【0044】実施例1〜2 PPS樹脂としてトープレンT−4P〔(株)トープレ
ン製 商品名〕、PPE樹脂としてポリ(2,6−ジメ
チルフェニレンエーテル)のホモポリマー〔旭化成工業
(株)製 商品名 PPE P101M〕、酸無水物を
有するスチレン系共重合体としてマレイン酸変性ポリス
チレン(MTC ARCO社製 商品名ダイラークD−
332)、酸無水物基を有するスチレン系熱可塑性エラ
ストマーとしてマレイン酸変性SEBS〔旭化成工業
(株)製 商品名 タフテックM1911(酸価=2mg
CH3ONa/g、S/EB=30/70)〕、M191
3(酸価=10mgCH3ONa/g、S/EB=30/7
用いて、シリンダー温度300℃にて押出混練
してペレットを製造した。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正内容】
【0056】
【表5】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0057
【補正方法】変更
【補正内容】
【0057】表5からわかるように、ケイ酸カルシウム
ウィスカ及びホウ酸アルミニウムウィスカの場合は誘電
率が3.5以下に維持されたまま、誘電正接は0.001
以下と実施例1よりも更に低い誘電正接となっており、
情報通信用回路基材料として極めて有望な材料である
ことがわかる。殊に、今後発展の期待される高周波領域
における材料として期待される。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ポリフェニレンスルフィド樹脂
    10〜90重量部 (B)ポリフェニレンエーテル樹脂 90〜10重量部 (C)酸無水物基を有するスチレン系共重合体を(A)
    +(B)100重量部に対して0.1〜10重量部 (D)酸無水物基を有するスチレン系熱可塑性エラスト
    マーを(A)+(B)100重量部に対して3〜15重
    量部 をそれぞれ配合してなるポリフェニレンエーテル/ポリ
    フェニレンスルフィドアロイ樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 (E)平均繊維径0.05〜5μm、平均
    繊維長1〜500μm、アスペクト比7以上のウィスカ
    を(A)+(B)+(C)+(D)100重量部に対し
    3〜100重量部配合した請求項1の組成物。
  3. 【請求項3】 (E)成分であるウィスカがケイ酸カル
    シウムウィスカ、塩基性硫酸マグネシウムウィスカ、黒
    鉛ウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、酸化マグネシウムウィ
    スカ、炭化ケイ素ウィスカ、窒化ケイ素ウィスカ、チタ
    ン酸カリウムウィスカ、ホウ酸アルミニウムウィスカ、
    及びホウ酸マグネシウムウィスカからなる群から選ばれ
    る少なくとも1種である請求項2の組成物。
  4. 【請求項4】 (E)成分がチタン酸カリウムウィスカ
    である請求項3の組成物。
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