JPH07316202A - キチンスポンジ,キチン紙,キチンフィルムの製造方法 - Google Patents

キチンスポンジ,キチン紙,キチンフィルムの製造方法

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JPH07316202A
JPH07316202A JP6136444A JP13644494A JPH07316202A JP H07316202 A JPH07316202 A JP H07316202A JP 6136444 A JP6136444 A JP 6136444A JP 13644494 A JP13644494 A JP 13644494A JP H07316202 A JPH07316202 A JP H07316202A
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糸山  光紀
Takatoshi Fujii
崇利 藤井
Toshihisa Katsumata
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 取扱いが容易でしかも安全である溶媒を用い
てキチンを溶解した後、凝固再生することによりキチン
の分子量及び脱アセチル化度を変化させずにキチン成形
物を得る。 【構成】 キチンをメチルアルコール又はエチルアルコ
ールからなるアルコールと、ハロゲン化カルシウム塩又
はハロゲン化マグネシウム塩との混合溶媒に溶解させキ
チン溶液を得、該溶液を水,エチレングリコール,クエ
ン酸水溶液,エチレンジアミン4酢酸ナトリウム水溶液
の単独若しくはこれらを混合した凝固液中で凝固再生さ
せた凝固物を凍結乾燥しキチンスポンジを、該凝固物を
水に分散させ抄紙しキチン紙を、また、該キチン溶液を
凝固浴中でフィルム状に凝固しキチンフィルムをそれぞ
れ製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、キチン成形物としての
キチンスポンジ,キチン紙,キチンフィルムの新規な製
造法に係わり、これらの成形物はキチン本来の低免疫原
性,生体適合性,生分解性等の性質を具備しているの
で、生体材料,医療用材,農業用資材,動物用飼料,そ
の他産業資材等の広範な分野に好ましく供することが出
来る。
【0002】
【従来の技術】キチンはN−アセチル−D−グルコサミ
ンが1,4−β結合している天然多糖類で、カニ,エビ
等の甲殻類,カブト虫,バッタ等の昆虫類の甲皮,菌類
の細胞壁等自然界の生物中に存在する多糖類で、セルロ
ースに匹敵する存在量を有する貴重な資源である。キチ
ンは分子中にアセトアミド基を有し、このアセトアミド
基と水酸基との水素結合が強固なために、耐薬品生が高
く、有機溶媒に溶解しにくい性質がある。このためにキ
チンを溶解させる溶媒として、従来より多くの溶媒が開
示されている。即ち、ヘキサフルオロアセトン,ヘキサ
フルオロイソプロパノール,蟻酸−ジクロル酢酸系,ジ
メチルセトアミド−リチウム系,トリクロロ酢酸−塩素
化炭化水素系等のポリハロゲン化炭化水素−ハロゲン化
カルボン酸(特開昭63−117002号),N−メチ
ルピロリドン−リチウム系(特開昭58−134101
号)等が提案されている。これら従来からの溶媒では、
脱アセチル化度が30%以下では溶解が困難で、溶解を
計るためには凍結,昇温の操作を繰り返し、溶解を行わ
せることが必要で、分子量の低下を招く欠点があり、
又、従来の溶媒は安全衛生面から取扱いが難しく、吸入
や接触により取扱者に弊害を生ずる危険性が高かった。
本出願人はこれに対処するために、脱アセチル化度30
%以下でも容易に溶解し、しかも取扱いが安全な溶媒に
ついて検討し、キチン溶液として特願平4−35359
5号を出願した。
【0003】従来、公知のキチンスポンジについては、
「プロセーディングス オブ ザファースト インター
ナショナル コンフェレンス オン キチン/キトサン
(Proceedings of the First International Conferenc
e on Chitin/Chitosan) 」の第300頁に「D.キチン
スポンジ(chitin sponges)」として、セルロースビ
スコースに準じた方法で得たキチンビスコースに硫酸ナ
トリウムを混合し、該混合物を水中で凝固再生させると
同時に硫酸ナトリウムを溶出させ、キチンスポンジを得
る方法が記載されている。又、特開昭63−18670
1号公報にキチンをトリクロル酢酸とハロゲン化炭化水
素の混合物,塩化リチウムとN−メチルピロリドンの混
合物等に溶解させ、該溶液に水溶性高分子を添加させ、
水,アルコール溶液,ケトン溶液、或いはこれらのアル
カリ性溶液中で凝固再生させると同時に水溶性高分子物
質を溶出させて、その後、凍結乾燥させてキチンスポン
ジを得る方法が開示されている。
【0004】従来、公知のキチン紙については、特開昭
60−231900号公報に、キチン及びその誘導体を
蟻酸,トリクロル酢酸等に溶解させた後、該溶液を凝固
浴中に紡糸ノズルを通じて押し出し繊維状に成形させた
後、切断し、この短繊維を水に分散させて抄紙する方法
が開示されている。また、特公平4−6384号公報
に、イカ甲キチンの様なβ−キチンを水に懸濁させ、激
しく攪拌するか、凍結・解凍処理をしてゲルとし、これ
を水に分散させて抄紙する方法が開示されている。
【0005】従来、公知のキチンフィルムについては、
米国特許第2,168,374号にキチンをキチンキサ
ンテートに調製した後、硫酸酸性浴中で凝固再生させて
キチンフィルムを得る方法が開示され、又、特開昭57
−145813号公報にキチンをトリクロル酢酸と塩化
メチレンの混合溶媒に溶解した後、Tダイから有機ケト
ン類,塩素化炭化水素類,アルコール類,アミド類等の
凝固浴中に紡出して、凝固再生し、キチンフィルムを得
る方法が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術と
して開示されているキチンを溶解する溶媒の欠点、即ち
これら溶媒では脱アセチル化度が約30%以下では溶解
が困難で、又反応性が高いため分子鎖の切断と脱アセチ
ル化が生じやすい為原料キチンと脱アセチル化度、分子
量の変化のない純度の高いキチンスポンジ,キチン紙,
キチンフィルムを得ることが困難である等の欠点を解決
したものである。更に、又、キチンビスコースを得てか
らキチン成形体を得るような複雑な工程も必要でなく、
キチンを繊維化する工程も省略でき、安全な溶媒を用い
るので取扱い上の危険性が解決される。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、キチンをメチ
ルアルコール又はエチルアルコールよりなるアルコール
にハロゲン化カルシウム塩又はハロゲン化マグネシウム
塩を加えた混合溶媒に溶解させたキチン溶液を得、該溶
液を水,エチレングリコール,クエン酸水溶液,エチレ
ンジアミン4酢酸ナトリウム水溶液の単独若しくはこれ
らを混合した凝固液中で、凝固再生させて凝固物を得た
後、該凝固物を凍結乾燥して得られるキチンスポンジの
製造方法、及びキチンをメチルアルコール又はエチルア
ルコールよりなるアルコールにハロゲン化カルシウム塩
又はハロゲン化マグネシウム塩を加えた混合溶媒に溶解
させたキチン溶液を得、該溶液を水,エチレングリコー
ル,クエン酸水溶液,エチレンジアミン4酢酸ナトリウ
ム水溶液の単独若しくはこれらを混合した凝固液中で、
凝固再生させた後に該凝固物を水に分散させ抄紙して得
られるキチン紙の製造方法、及びキチンをメチルアルコ
ール又はエチルアルコールよりなるアルコールにハロゲ
ン化カルシウム塩又はハロゲン化マグネシウム塩を加え
た混合溶媒に溶解させたキチン溶液を得、該溶液を水,
エチレングリコール,クエン酸水溶液,エチレンジアミ
ン4酢酸ナトリウム水溶液の単独若しくはこれらを混合
した凝固液中で、フィルム状に凝固再生させた後に乾燥
して得られるキチンフィルムの製造方法である。
【0008】本発明に用いられるキチンはカニ殻,エビ
殻由来のα−キチンでもイカ甲由来のβ−キチンでも良
く、又、キチンを脱アセチル化して得たキトサンを無水
酢酸の雰囲気中でアセチル化して得られた脱アセチル化
度30%以下のアセチル化キチン及びアセチル化キトサ
ンも用いることが出来、キチンの分子量については特に
制限されず、キチンを溶解させる本発明の溶媒に完全に
溶解可能な範囲で選択される。
【0009】キチンを溶解させる混合溶媒として用いら
れるアルコールはメチルアルコール,エチルアルコール
が好適で他のアルコールは不適である。混合使用される
カルシウム塩又はマグネシウム塩はハロゲン化物であ
り、好ましくはカルシウム塩としては塩化カルシウム・
2水塩,臭化カルシウム・2水塩,ヨウ化カルシウム・
2水塩が、マグネシウム塩としては塩化マグネシウム・
6水塩が用いられる。そして本発明に用いられる混合溶
媒は飽和状態にすることが好ましい。
【0010】キチンを上述の混合溶媒に常温で攪拌し溶
解させたキチン溶液のキチン含量はキチンの分子量によ
って変化させても良いが、濃度して0.1〜10%(重
量%)の範囲で適宜決めることが出来る。そしてキチン
スポンジを得るときは該キチン溶液中に更に細孔調節剤
や、柔軟効果を付与させる第三成分を、キチン紙,キチ
ンフィルムを得ることに顔料等の第三成分をその用途に
応じて加えても良い。
【0011】本発明で用いられる凝固液は、水,エチレ
ングリコール,クエン酸水溶液,エチレンジアミン4酢
酸ナトリウム(以下EDTAナトリウムという)水溶液
の単独若しくはこれらを混合した溶液である。
【0012】キチンスポンジを得るためには、上述のキ
チン溶液を凝固浴中に加え、キチンを凝固再生させ、こ
の凝固物を水で充分に洗浄後、凍結乾燥することにより
細孔が発現しキチンスポンジが得られ、キチン紙は上述
のとごく得られた凝固物を水中に攪拌,分散させ、通常
の抄紙法に従って脱水,乾燥して得られ、この場合、キ
チンには自己接着性能があるため通常の抄紙の場合に用
いられるポリビニルアルコール等の第三成分であるバイ
ンダー材を加える必要はないので医療用途等に全く問題
が生じない。キチンフィルムは上述のキチン溶液をフィ
ルム状に上述の凝固浴中で凝固再生させ、更に充分に水
洗を行い、しかる後乾燥して得られる。キチン溶液から
の湿式成形はTダイ等からフィルム状に凝固浴中に押し
出す一般的方法が採用される。
【0013】
【実施例】以下、本発明を実施例で詳細に説明するが、
本発明はこの範囲に限定されるものではない。尚、細孔
径,キチンの脱アセチル化度,キチンの分子量及び引っ
張強力は次の測定法で求めた。
【0014】細孔径 試料を走査型電子顕微鏡で観察し、細孔径を求めた。
【0015】キチンの脱アセチル化度 試料を細かく粉砕し(200メッシュ以下)、KBr粉
末に混合し、FT−IR分光光度計で1655cm-1
吸光度と3450cm-1から、次式により推定した。
【0016】
【数1】
【0017】キチンの分子量 試料を塩化カルシウムとメチルアルコールの混合飽和溶
媒に溶解し、ウベローデ型の粘度計で還元粘度を算出
し、次式より分子量を算出した。
【0018】
【数2】
【0019】キチン紙,キチンキチンフィルムの引っ張
り強力 試料を10mm×20mmの大きさに採取し、該試料をテンシロ
ンに装着し、100mm/minの速度で引っ張り、試料が破断
した際の強力から引っ張り強力を求めた。
【0020】《実施例1》約400gの塩化カルシウム
・2水塩を400mlのメチルアルコールに加え、3時
間程度加熱還流した。該溶液を室温まで冷却後不溶物を
濾別除去し、塩化カルシウムとメチルアルコールの飽和
混合溶媒を得た。紅ズワイガニ由来のキチン(80mesh p
ass,脱アセチル化度13.0%,分子量350,00
0)3.0gを上記混合溶媒300mlに加え、室温で
攪拌し溶解し、不溶物を濾別除去して透明で粘調なキチ
ン溶液を得た。得られたキチン溶液を10cm×10c
mのガラス板に1.5mmの厚さでキャストした後、水
の中に該ガラス板を1時間浸漬させて凝固再生させた。
ガラス板より剥離し、水で充分に洗浄した。このキチン
の再生物を液体窒素で急速に凍結後、室温にて真空乾燥
してキチンスポンジを得た。得られたキチンスポンジの
厚さは1.2mm,細孔径は平均0.25μmであり、
スポンジのキチンの脱アセチル化度は12.9%,分子
量は350,000で、原料とほとんど変化はなかっ
た。
【0021】《実施例2》実施例1と同様にして得られ
たキチン溶液を10cm×10cmのガラス板に1.0
mmの厚さでキャストした後、5%クエン酸ナトリウム
水溶液とエチレングリコール(混合比率1/1)の混合
溶液中に該ガラス板を1時間浸漬させて凝固再生させ
た。ガラス板より剥離し、水で充分に洗浄した。このキ
チンの再生物を液体窒素で急速に凍結後、室温にて真空
乾燥してキチンスポンジを得た。得られたキチンスポン
ジの厚さは0.8mm,細孔径は平均0.25μmであ
り、スポンジのキチンの脱アセチル化度は13.0%,
分子量は350,000で、原料とほとんど変化はなか
った。
【0022】《実施例3》実施例1と同様にして得られ
た塩化カルシウムとメタノールの飽和混合溶媒300m
lにキトサン(分子量20,000,脱アセチル化度8
0%)をアセチル化して得られた再生キチン(分子量2
1,000,脱アセチル化度5%)30gを溶解し透明
で粘調なキチン溶液を得た。該キチン溶液を10cm×
10cmのガラス板に1.5mmの厚さでキャスト後、
5%EDTAナトリウム水溶液に1時間浸漬し、ガラス
から剥離し水で充分に洗浄後凍結乾燥機中で徐々に凍結
後(−35℃/2時間)、真空乾燥してキチンスポンジ
を得た。得られたキチンスポンジの厚さは1.2mm,
細孔径は平均0.2μm、スポンジのキチンの脱アセチ
ル化度は4.9%,分子量は20,000で、原料とほ
とんど変化はなかった。
【0023】《実施例4》約400gの臭化カルシウム
・2水塩を400mlのエチルアルコールに加え、3時
間程度加熱還流した。該溶液を室温まで冷却後不溶物を
濾別除去して、臭化カルシウムとエチルアルコールの飽
和混合溶媒を得た。紅ズワイガニ由来のキチン1.50
g(80mesh pass,脱アセチル化度13%,分子量35
0,000)を上記混合溶媒300mlに溶解し、不溶
物を濾別除去して透明で粘調なキチン溶液を得た。該キ
チン溶液を10cm×10cmのガラス板に1.0mm
の厚さでキャストした後、5%クエン酸溶液に静かに1
時間浸漬させた。生じた凝固再生物をガラス板から剥離
して水で充分に洗浄後実施例2と同様な条件で凍結乾燥
し、キチンスポンジを得た。このキチンスポンジの厚さ
は0.6mm,細孔径は平均0.5μm、スポンジのキ
チンの脱アセチル化度は13.2%,分子量は350,
000でともに原料とほとんど変化はなかった。
【0024】《実施例5》実施例4と同様にして得られ
たキチン溶液を10cm×10cmのガラス板に1.0
mmの厚さでキャストした後、10%エチレングリコー
ル水溶液に該ガラス板を1時間浸漬させて凝固再生させ
た。該凝固再生物をガラス板から剥離し水で充分に洗浄
後、凍結乾燥して、キチンスポンジを得た。得られたキ
チンスポンジの厚さは0.7mm,細孔径は平均0.4
μm、スポンジのキチンの脱アセチル化度は13.0
%,分子量は340,000でともに原料とほとんど変
化はなかった。
【0025】《比較例1》実施例1で用いたキチン3g
をトリクロロ酢酸と塩化メチレン(混合比率1/1)の
混合溶媒100mlに5℃で攪拌溶解し、キチン溶液を
得た。該キチン溶液を実施例1と同様の操作でガラス板
にキャストし、エタノールに1時間浸漬させて凝固再生
させた。該凝固再生物をガラス板から剥離し水で充分に
洗浄後、実施例1と同様に凍結乾燥して、キチンスポン
ジを得た。得られたキチンスポンジの厚さは1.5m
m,細孔径は平均0.2μm、スポンジのキチンの脱ア
セチル化度は23.0%,分子量は150,000で脱
アセチル化度が高くなり、分子量低下が著しかった。
【0026】《実施例6》実施例1と同様にして、透明
で粘調なキチン溶液を得た。該キチン溶液100mlを
500mlの水に攪拌下で静かに注いで凝固再生させ
た。生じた沈殿を濾取し、水で充分に洗浄後200ml
の水に分散させた。この分散液を濾紙をひいた濾過器に
注ぎ吸引濾過した。過剰の水分を除いた後に、室温で1
晩乾燥して、キチン紙を得た。得られたキチン紙の目付
は58.3g/m2 で、引っ張り強力は1.75gであ
った。又、キチン紙のキチンの脱アセチル化度は13.
3%,分子量は340,000でともにほとんど原料と
変化はなかった。
【0027】《実施例7》実施例6と同様にして得たキ
チン溶液100mlを500mlの5%EDTAナトリ
ウム水溶液に攪拌下で静かに注いで凝固再生させ、生じ
た沈殿を濾取した。該沈殿物を水で充分に洗浄後200
mlの水に分散させた。該分散液を濾紙をひいた濾過器
に注ぎ吸引濾過した。過剰の水分を除いた後に、室温で
1晩乾燥して、キチン紙を得た。得られたキチン紙の目
付は60.3g/m2 で、引っ張り強力は1.55gで
あった。又、キチン紙のキチンの脱アセチル化度は1
3.0%,分子量は340,000でともにほとんど原
料と変化はなかった。
【0028】《実施例8》実施例6と同様にして得られ
た塩化カルシウムとメチルアルコールの飽和混合溶媒3
00mlにキトサン(分子量20,000,脱アセチル
化度80%)をアセチル化して得られた再生キチン(分
子量21,000,脱アセチル化度5%)30gを溶解
し透明で粘調なキチン溶液を得た。該キチン溶液を5%
EDTAナトリウム水溶液に攪拌下で静かに注ぎ込み、
生じた沈殿を濾取した。沈殿を水で充分に洗浄後濾紙で
濾取し、50℃で5時間乾燥して、キチン紙を得た。得
られたキチン紙の目付は110.5g/m2 で、引っ張
り強力は3.55g、キチン紙のキチンの脱アセチル化
度は4.9%,分子量20,000で原料と変化はなか
った。
【0029】《実施例9》実施例4と同様にして、臭化
カルシウムとエチルアルコールの飽和混合溶媒を得た。
紅ズワイガニ由来のキチン3.0g(80mesh pass,脱
アセチル化度13%,分子量350,000)を上記混
合溶媒300mlに溶解し、不溶物を濾別除去して透明
で粘調なキチン溶液を得た。該溶液50mlを300m
lの5%クエン酸溶液に攪拌下で静かに注ぎ込み凝固再
生させ、生じた沈殿を濾取した。沈殿を充分に水洗後濾
紙上で濾取し、室温で1晩乾燥して、キチン紙を得た。
得られたキチン紙の目付は58.3g/m2 で、引っ張
り強力は1.45gであった。又キチン紙のキチンの脱
アセチル化度は13.2%,分子量350,000でと
もにほとんど原料と変化はなかった。
【0030】《実施例10》実施例8と同様にして得ら
れたキチン溶液50mlを10%エチレングリコール水
溶液300mlに攪拌下で注ぎ込み凝固再生し、、生じ
た沈殿を濾取後充分水洗し、室温で1晩乾燥し、キチン
紙を得た。得られたキチン紙の目付は63.8g/m2
で、引っ張り強力は2.65gであった。又、キチン紙
のキチンの脱アセチル化度は13.0%,分子量は34
0,000でともにほとんど原料と変化はなかった。
【0031】《比較例2》実施例6で用いたキチン3g
をトリクロロ酢酸と塩化メチレン(混合比率1/1)の
混合溶媒100mlに5℃で溶解し、キチン溶液を得
た。該キチン溶液をエチルアルコール300mlに攪拌
下で静かに注いで凝固再生し、生じた沈殿を濾取後充分
水洗し、室温で1晩乾燥し、キチン紙を得た。得られた
キチン紙の目付は58.6g/m2 で、引っ張り強力は
0.8g、キチン紙のキチンの脱アセチル化度は23.
0%,分子量は150,000で引っ張り強度が低く、
脱アセチル化度が高くなり又分子量低下が著しかった。
【0032】《実施例11》実施例1と同様にして、透
明で粘調なキチン溶液を得た。得られたキチン溶液を1
0cm×10cmのガラス板に15mmの厚さでキャス
トした後、水の中に該ガラス板を1時間浸漬させて凝固
再生させた。ガラス板より剥離し、水で充分に洗浄した
後に室温で1晩風乾してキチンフィルムを得た。得られ
たキチンフィルムの厚さは25μm,引っ張り強力は
1.75kg、フィルムのキチンの脱アセチル化度は1
2.9%,分子量は350,000で、原料とほとんど
変化はなかった。
【0033】《実施例12》実施例11と同様にして得
られたキチン溶液を10cm×10cmのガラス板に1
5mmの厚さでキャストした後、5%クエン酸ナトリウ
ム水溶液とエチレングリコール(混合比率1/1)の中
に該ガラス板を1時間浸漬させて凝固再生させた。ガラ
ス板より剥離し、水で充分に洗浄した後に50℃で5時
間熱風乾燥してキチンフィルムを得た。得られたキチン
フィルムの厚さは30μm,引っ張り強力は2.0k
g、フィルムのキチンの脱アセチル化度は13.0%,
分子量は350,000で、原料とほとんど変化はなか
った。
【0034】《実施例13》実施例11と同様にして得
られた塩化カルシウムとメチルアルコールの飽和混合溶
媒300mlにキトサン(分子量20,000,脱アセ
チル化度80%)をアセチル化して得られた再生キチン
(分子量21,000,脱アセチル化度5%)30gを
溶解し透明で粘調なキチン溶液を得た。該キチン溶液を
10cm×10cmのガラス板に15mmの厚さでキャ
スト後、5%EDTAナトリウム水溶液に1時間浸漬
し、ガラス板から剥離し水で充分に洗浄後室温で1晩乾
燥してキチンフィルムを得た。得られたキチンフィルム
の厚さは40μm,引っ張り強力は3.55kg、フィ
ルムのキチンの脱アセチル化度は4.9%,分子量は2
0,000で、原料とほとんど変化はなかった。
【0035】《実施例14》実施例4と同様にして透明
で粘調なキチン溶液を得た。このキチン溶液を10cm
×10cmのガラス板に10mmの厚さでキャストした
後、5%クエン酸溶液に静かに1時間浸漬して凝固再生
させた。ガラス板より剥離し、水で充分に洗浄後実施例
12と同様に乾燥し、キチンフィルムを得た。このキチ
ンフィルムの厚さは15μm,引っ張り強力は1.35
kg、フィルムのキチンの脱アセチル化度は13.2
%,分子量は350,000で、ともに原料とほとんど
変化はなかった。
【0036】《実施例15》実施例14と同様にして得
られたキチン溶液を10cm×10cmのガラス板に1
5mmの厚さでキャストした後、10%エチレングリコ
ール水溶液に該ガラス板を1時間浸漬させて凝固再生さ
せた。ガラス板より剥離し、水で充分に洗浄した後室温
にて1晩乾燥して、キチンフィルムを得た。得られたキ
チンフィルムの厚さは35μm,引っ張り強力は2.0
4kg、フィルムのキチンの脱アセチル化度は13.0
%,分子量は340,000で、ともにほとんど原料と
変化はなかった。
【0037】《比較例3》実施例1で用いたキチン3g
をトリクロロ酢酸と塩化メチレン(混合比率1/1)の
混合溶媒100mlに5℃で溶解し、キチン溶液を得
た。該キチン溶液を実施例11と同様の操作でガラス板
にキャストし、エチルアルコールに1時間浸漬させて凝
固再生させた。ガラス板から剥離して水で充分に洗浄
後、実施例11と同様の操作を経て、キチンフィルムを
得た。得られたキチンフィルムの厚さは25μm,引っ
張り強力は0.8kg,フィルムのキチンの脱アセチル
化度は23.0%,分子量は150,000で引っ張り
強度が低く、脱アセチル化度が高くなり、分子量低下が
著しかった。
【0038】
【発明の効果】本発明のキチンスポンジ,キチン紙,キ
チンフィルムを得る製造方法は、その製造時に従来のキ
チンを溶解させる溶媒に比較して取扱いが安全でしかも
取扱いが容易な薬品を用いており、又、溶解時のキチン
の分子量低下及び脱アセチル化度の上昇がないため、従
来にない高純度のキチンスポンジ,キチン紙,キチンフ
ィルムを得ることができる。又、本発明によって得られ
るキチンスポンジ,キチン紙,キチンフィルムは、キチ
ン溶解時に蟻酸、トリクロル酢酸,ジメチルアセタミド
等の有害な溶媒を使用せず、エチルアルコール又はメチ
ルアルコールと塩化カルシウム等の塩類のみを使用する
ため、成形物に残留する安全性に問題となる薬品がほと
んどなく、医療用材料として人体等に使用しても危険性
はなく、又キチンの持つ低免疫原性,生体適合性,生分
解性等の優れた性質を保持するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D21H 13/30 // A61L 15/00 27/00 V

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 キチンをメチルアルコール又はエチルア
    ルコールからなるアルコールと、ハロゲン化カルシウム
    塩又はハロゲン化マグネシウム塩との混合溶媒に溶解さ
    せキチン溶液を得、該溶液を水,エチレングリコール,
    クエン酸水溶液,エチレンジアミン4酢酸ナトリウム水
    溶液の単独若しくはこれらを混合した凝固液中で凝固再
    生させて凝固物を得た後、該凝固物を凍結乾燥すること
    を特徴とするキチンスポンジの製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の凝固物を水に分散させて
    抄紙することを特徴とするキチン紙の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のキチン溶液を請求項1
    に記載の凝固液中でフィルム状に凝固再生させた後、乾
    燥することを特徴とするキチンフィルムの製造方法。
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