JPH07310871A - 流体用配管における管接続構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来の管接続構造における、耐負荷性の問
題、作業性の問題、シール性の問題を一挙に解消し得る
手段を提供する。 【構成】 導管Ｐの接当部の両端面形状を、一方が管軸
方向へ窪む環状溝Ａ１からなり、他方が前記環状溝Ａ１
へ嵌め込み自在な環状突起Ａ２からなる印籠决り形状と
なし、且つ、導管Ｐの接当部の外周面の夫々に、管径方
向へ窪む外周溝Ｂ１，Ｂ２を形成しておき、前記環状溝
Ａ１に前記環状突起Ａ２を嵌め込みつつ導管Ｐを管軸方
向に連続させるように配置すると共に、前記外周溝Ｂ
１，Ｂ２に嵌め込み自在な鍔部１ａ，１ｂを幅方向両端
側内周部に備える締付リング１を、その鍔部１ａ，１ｂ
を前記外周溝Ｂ１，Ｂ２に嵌め込みつつ縮径変形させて
締め付ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、流体用配管における管
接続構造に関し、更に詳しくは、管内を流体が通流する
配管設備の構成要素として、導管の複数個を管軸方向に
連続させるように配置した上で、それらのうちの隣り合
う導管の接当部同士を一体的に接続してある流体用配管
における管接続構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】前記配管設備としては、例えば、ゴミ輸
送用の空気輸送管の複数個を、管軸方向に連続させるよ
うに配置した上で、それらのうちの隣り合う空気輸送管
の接当部同士を一体的に接続してあるものが挙げられ
る。この配管設備においては、前記空気輸送管内を各種
ゴミが空気の流れに乗って通流するようになるが、前記
各種ゴミの中には、砂等の硬い粉体が少なからず含まれ
ているため、それら硬い粉体を含む通流体が前記空気輸
送管内を通流してその内周部に接触すると、前記空気輸
送管はその内周部で摩耗を受けるようになる。そこで、
前記摩耗に耐える空気輸送管としては、ＳＴＰＹ４００
（ＪＩＳ規格）等の炭素鋼鋼管、高Ｃｒ鋳鉄管、ベイナ
イト鋳鉄管、Ｃｒ−Ｍｏ鋼管、Ｃｒ−Ｎｉ−Ｍｏ鋼管
等、管内通流体に対する耐摩耗性を備えた各種鉄鋼管
（即ち、鋼管又は鋳鉄管）が採用されている。尚、これ
ら鉄鋼管は、前記空気輸送管以外の各種流体用配管にお
いても、同様に採用されている。そして、前記鉄鋼管よ
りなる導管の複数個を、管軸方向に連続させるように配
置した上で、それらのうちの隣り合う導管の接当部同士
を一体的に接続する従来の手段としては、前記接当部同
士を直接的に突合せ溶接する溶接継手、又は、前記接当
部の夫々にフランジを予め形成しておき、それらフラン
ジの突合せ部をボルト・ナットで締結するフランジ継手
が採用されていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記溶
接継手によって前記接当部同士が接続されている場合に
は、前記接当部同士が固定状態に接続されているため、
前記導管を接続する前記継手の両側に不均等な外力がか
かるという現象が生じたときに、前記継手による接続部
が、前記不均等な外力に対応しきれずに破損することが
ある、という耐負荷性の問題があった。なぜなら、前記
導管にはあまり変形能がないので、前記不均等な外力が
かかったときには、その不均等な外力の影響がもろに前
記接続部に及ぶようになり、その影響を受けた前記固定
状態の接続部が耐えきれずに破損に至ることがあるから
である。また、現場での溶接作業が面倒である等、作業
性の問題もあった。一方、前記フランジ継手によって前
記接当部同士が接続されている場合には、前記接当部同
士が平面的な面接当の状態で固定接続されているため、
その接続部に曲げモーメントがかかったときの変形能に
乏しく、そのモーメント負荷に耐えきれないことがあ
る、という耐負荷性の問題があった。また、現場でのフ
ランジの突合せ部をボルト・ナットで締結する作業が面
倒である等、作業性の問題もある上、前記面接当の部分
のシールを確実に実施しておかないと、その部分でのシ
ール性が問題となり易い等、シール性の問題もあった。
本発明は、このような実情に着目してなされたものであ
り、上述した、耐負荷性の問題、作業性の問題、シール
性の問題を一挙に解消し得る手段を提供することを目的
としている。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明に係る流体用配管
における管接続構造（以下、単に管接続構造という）の
特徴構成は、管内を流体が通流する配管設備の構成要素
として、導管の複数個を管軸方向に連続させるように配
置した上で、それらのうちの隣り合う導管の接当部同士
を一体的に接続してある流体用配管における管接続構造
であって、前記接当部の両端面形状を、一方が管軸方向
へ窪む環状溝からなり、他方が前記環状溝へ嵌め込み自
在な環状突起からなる印籠决り形状となし、且つ、前記
接当部の外周面の夫々に、管径方向へ窪む外周溝を形成
しておき、前記環状溝に前記環状突起を嵌め込みつつ、
前記導管の複数個を管軸方向に連続的に並べて配置する
と共に、前記外周溝に嵌め込み自在な鍔部を幅方向両端
側内周部に備える締付リングを、その鍔部を前記外周溝
に嵌め込みつつ、縮径変形させて締め付けてある点にあ
る。

【０００５】

【作用】上記特徴構成を備えた管接続構造によれば、前
記印籠决り形状の係合関係（即ち、前記環状溝に前記環
状突起を嵌め込むという係合関係）を利用して前記導管
の複数個を管軸方向に連続するように配置すると共に、
前記締付リングの鍔部を前記外周溝に嵌め込みつつ、そ
の締付リングを縮径変形させて締め付けてあるため、前
記印籠决り形状の係合関係及び前記締付リングの鍔部の
前記外周溝への嵌まり込みの相乗効果によって、前記管
接続構造におけるシール性が実用的レベルで確保される
ようになる上、前記管接続構造の両側に不均等な外力が
かかったとしても、前記締付リングの締め付け状態の緩
和及び前記印籠决り形状の係合関係の緩和が適当に生
じ、それらの緩和によって前記不均等な外力に対応でき
るようになる。また、前記管接続構造を実現させるの
に、従来の溶接継手のように現場での溶接作業が必要に
なるわけでなく、従来のフランジ継手のように現場での
面倒なボルト・ナット締結作業が必要になるわけでな
く、前記締付リングを一部で締め付けるという単純な現
場作業で済むようになる。

【０００６】

【発明の効果】従って、本発明の管接続構造によれば、
従来の溶接継手やフランジ継手で発生していた、耐負荷
性の問題、作業性の問題、シール性の問題が一挙に解消
されるようになり、もって、本発明の目的が達成される
ようになる。

【０００７】また、上記特徴構成を備えた上、前記環状
溝とその環状溝に嵌め込まれた前記環状突起との間に、
リング状のガスケットを介装してある管接続構造によれ
ば、そのガスケットの存在が、前記シール性を一層向上
させるようになり、従来のシール性の問題がより確実に
解消されるようになる。

【０００８】また、上記特徴構成を備えた上、前記締付
リングの両鍔部の内側各端面を内径側開きのテーパー面
に夫々形成し、且つ、前記鍔部を嵌め込ませる前記外周
溝夫々の一方側壁面に、前記嵌め込みの状態で前記テー
パー面に面接触自在なテーパー面を形成し、それら両テ
ーパー面を、前記締付リングの締付時に面接触させるよ
うになっている管接続構造によれば、前記両テーパー面
が前記締付リングの締付時に面接触して楔作用が生じ、
その楔作用によって前記接当部同士が相互に接近させら
れるため、前記ガスケットが一層押圧されてそのガスケ
ットによるシール効果が一層向上するようになり、従来
のシール性の問題がより一層確実に解消されるようにな
る。

【０００９】また、上記特徴構成を備えた上、前記外周
溝とそれら外周溝に夫々嵌め込まれた前記鍔部との間
に、リング状のガスケットを夫々介装してある管接続構
造によれば、前記締付リングの締付力によって前記両ガ
スケットが確実に押圧されて、それらガスケットによる
シール効果が確実に生じるようになり、もって、従来の
シール性の問題が極めて確実に解消されるようになる。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。

【００１１】〔第１実施例〕（請求項１に対応） 図１には、本発明に係る管接続構造の第１実施例の要部
の縦断面図が示されており、図２には、その全体的な横
断面図が示されている。図中、Ｐは、管内を各種のゴミ
が空気の流れに乗って通流する空気輸送管（前記導管の
一例）である。前記各種ゴミの中には、砂等の硬い粉体
が少なからず含まれているため、それら硬い粉体を含む
通流体が前記空気輸送管Ｐ内を通流してその内周部に接
触すると、前記空気輸送管Ｐはその内周部で摩耗を受け
るようになる。そこで、前記空気輸送管Ｐの素材として
は、前記摩耗に耐えられる素材の一例としてのＣｒ−Ｍ
ｏ鋼管が採用されている。

【００１２】前記空気輸送管Ｐの複数個は、管軸方向に
連続するように配置された上で、それらのうちの隣り合
う空気輸送管Ｐの接当部同士が本発明の管接続構造によ
って一体的に接続されている。

【００１３】前記管接続構造について具体的に説明する
に、先ず、前記接当部の両端面形状が、一方が管軸方向
へ窪む環状溝Ａ１からなり、他方が前記環状溝Ａ１へ嵌
め込み自在な環状突起Ａ２からなる印籠决り形状に形成
されている。そして、前記接当部の外周面の夫々には、
管径方向へ窪む外周溝Ｂ１，Ｂ２が形成されている。更
に、前記外周溝Ｂ１，Ｂ２に嵌め込み自在な鍔部１ａ，
１ｂを幅方向両端側内周部に備えると共に、径方向にお
いて二分割された継ぎ目の一方が枢支ボルト・ナット１
ｄにて枢支連結され、且つ、前記継ぎ目の他方が締付ボ
ルト・ナット１ｅで締付・解除自在に連結された締付リ
ング１が準備される。そして、前記環状溝Ａ１に前記環
状突起Ａ２を嵌め込みつつ、前記空気輸送管Ｐの複数個
が管軸方向に連続するように配置されると共に、前記締
付リング１の鍔部１ａ，１ｂを、前記接当部外周面の外
周溝Ｂ１，Ｂ２に嵌め込みつつ、前記締付リング１を縮
径変形させてその締付リング１を締め付けることによ
り、前記管接続構造を完成させるようにする。

【００１４】このような本発明の管接続構造によれば、
前記印籠决り形状の係合関係を利用して空気輸送管Ｐの
複数個を管軸方向に連続するように配置すると共に、締
付リング１の鍔部１ａ，１ｂを外周溝Ｂ１，Ｂ２に嵌め
込みつつ、その締付リング１を縮径変形させて締め付け
てあるため、前記印籠决り形状の係合関係及び前記締付
リング１の鍔部１ａ，１ｂの外周溝Ｂ１，Ｂ２への嵌ま
り込みの相乗効果によって、前記管接続構造におけるシ
ール性が実用的レベルで確保されるようになる上、前記
管接続構造の両側に不均等な外力がかかったとしても、
前記締付リング１の締め付け状態の緩和及び前記印籠决
り形状の係合関係の緩和が適当に生じ、それらの緩和に
よって前記不均等な外力に対応できるようになる。

【００１５】尚、上記実施例においては、前記締付リン
グ１が径方向二分割タイプであったが、前記締付リング
１は、径方向三分割以上の等分割タイプであってもよ
い。

【００１６】〔第２実施例〕（請求項２に対応） 以下の各実施例を示す各図面において従来例と同一の符
号で表示した部分は、同一又は相当の部分を示してい
る。図３には、本発明に係る流体用配管における管接続
構造の第２実施例が示されている。この第２実施例にお
いては、上記第１実施例における環状溝Ａ１と、その環
状溝Ａ１に嵌め込まれた環状突起Ａ２との間に、リング
状のガスケット２が介装されている。この管接続構造に
よれば、前記ガスケット２の存在が、前記シール性の一
層の向上に寄与するようになる。

【００１７】〔第３実施例〕（請求項３に対応） 図４には、本発明に係る流体用配管における管接続構造
の第３実施例が示されている。この第３実施例において
は、上記第２実施例における締付リング１の両鍔部１
ａ，１ｂの内側各端面を内径側開きのテーパー面に夫々
形成し、且つ、前記鍔部１ａ，１ｂを嵌め込ませる外周
溝Ｂ１，Ｂ２夫々の一方側壁面に、前記嵌め込みの状態
で前記テーパー面に面接触自在なテーパー面を形成し、
それら両テーパー面を、前記締付リング１の締付時に面
接触させるようにしてある。この管接続構造によれば、
前記両テーパー面が前記締付リング１の締付時に面接触
して楔作用が生じ、その楔作用によって前記接当部同士
が相互に接近させられるため、前記ガスケット２が一層
押圧されてそのガスケット２によるシール効果が一層向
上するようになる。

【００１８】〔第４実施例〕（請求項４に対応） 図５には、本発明に係る流体用配管における管接続構造
の第４実施例が示されている。この第４実施例において
は、上記第１実施例における外周溝Ｂ１，Ｂ２とそれら
外周溝Ｂ１，Ｂ２に夫々嵌め込まれた前記鍔部１ａ，１
ｂとの間に、リング状のガスケット３，４を夫々介装し
てある管接続構造によれば、前記締付リング１の締付力
によって前記両ガスケット３，４が確実に押圧されて、
それらガスケット３，４によるシール効果が確実に生じ
るようになる。

【００１９】〔別実施例〕上述の各実施例においては、
前記空気輸送管Ｐの素材がＣｒ−Ｍｏ鋼管であったが、
その素材として、前記Ｃｒ−Ｍｏ鋼管以外にも、ＳＴＰ
Ｙ４００（ＪＩＳ規格）等の炭素鋼鋼管、高Ｃｒ鋳鉄
管、ベイナイト鋳鉄管、Ｃｒ−Ｎｉ−Ｍｏ鋼管等、前記
摩耗に耐えられる各種鉄鋼管を採用してもよい。

【００２０】また、上述の各実施例は、本発明の管接続
構造の採用によってゴミ輸送用の配管設備が構成された
ものであったが、他の管を接続する管接続構造において
も、本発明の管接続構造を採用することができるのはい
うまでもない。

【００２１】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の管接続構造の第１実施例を示す縦断面
図

【図２】その横断面図

【図３】本発明の管接続構造の第２実施例の要部を示す
縦断面図

【図４】本発明の管接続構造の第３実施例の要部を示す
縦断面図

【図５】本発明の管接続構造の第４実施例の要部を示す
縦断面図

【符号の説明】

１ 締付リング １ａ，１ｂ 鍔部 ２，３，４ ガスケット Ａ１ 端面環状溝 Ａ２ 環状突起 Ｂ１，Ｂ２ 外周溝 Ｐ 導管

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 管内を流体が通流する配管設備の構成要
   素として、導管（Ｐ）の複数個を管軸方向に連続させる
   ように配置した上で、それらのうちの隣り合う導管
   （Ｐ）の接当部同士を一体的に接続してある流体用配管
   における管接続構造であって、 前記接当部の両端面形状を、一方が管軸方向へ窪む環状
   溝（Ａ１）からなり、他方が前記環状溝（Ａ１）へ嵌め
   込み自在な環状突起（Ａ２）からなる印籠决り（いんろ
   うじゃくり）形状となし、且つ、前記接当部の外周面の
   夫々に、管径方向へ窪む外周溝（Ｂ１),（Ｂ２）を形成
   しておき、前記環状溝（Ａ１）に前記環状突起（Ａ２）
   を嵌め込みつつ、前記導管（Ｐ）の複数個を管軸方向に
   連続させつつ配置すると共に、前記外周溝（Ｂ１),（Ｂ
   ２）に嵌め込み自在な鍔部（１ａ),（１ｂ）を幅方向両
   端側内周部に備える締付リング（１）を、その鍔部（１
   ａ),（１ｂ）を前記外周溝（Ｂ１),（Ｂ２）に嵌め込み
   つつ、縮径変形させて締め付けてある流体用配管におけ
   る管接続構造。
2. 【請求項２】 前記環状溝（Ａ１）と、その環状溝（Ａ
   １）に嵌め込まれた前記環状突起（Ａ２）との間に、リ
   ング状のガスケット（２）を介装してある請求項１記載
   の流体用配管における管接続構造。
3. 【請求項３】 前記締付リング（１）の両鍔部（１ａ),
   （１ｂ）の内側各端面を内径側開きのテーパー面に夫々
   形成し、且つ、前記鍔部（１ａ),（１ｂ）を嵌め込ませ
   る前記外周溝（Ｂ１),（Ｂ２）夫々の一方側壁面に、前
   記嵌め込みの状態で前記テーパー面に面接触自在なテー
   パー面を形成し、それら両テーパー面を、前記締付リン
   グ（１）の締付時に面接触させるように構成されている
   請求項１又は請求項２記載の流体用配管における管接続
   構造。
4. 【請求項４】 前記外周溝（Ｂ１),（Ｂ２）と、それら
   外周溝（Ｂ１),（Ｂ２）に夫々嵌め込まれた前記鍔部
   （１ａ),（１ｂ）との間に、リング状のガスケット
   （３),（４）を夫々介装してある請求項１記載の流体用
   配管における管接続構造。