JPH07309952A - 主鎖の一部にアントリレン基を含有するポリシラン誘導体及びその製造方法 - Google Patents

主鎖の一部にアントリレン基を含有するポリシラン誘導体及びその製造方法

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JPH07309952A
JPH07309952A JP12969394A JP12969394A JPH07309952A JP H07309952 A JPH07309952 A JP H07309952A JP 12969394 A JP12969394 A JP 12969394A JP 12969394 A JP12969394 A JP 12969394A JP H07309952 A JPH07309952 A JP H07309952A
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carbon atoms
same
anthracene
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JP12969394A
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Hiroshi Suzuki
浩 鈴木
Akira Kuriyama
晃 栗山
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Toagosei Co Ltd
Original Assignee
Toagosei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 可視領域に発光を示し、発光効率に優れ、通
常の有機溶媒に可溶性の高分子量有機ケイ素系ポリマー
及びその製法の提供。 【構成】 式A 【化1】 (式中、R1及びR2は同一のもしくは異なる炭素数1〜6
の直鎖状アルキル基であり、かつR1及びR2の炭素数の合
計が8以内である)で表される構造単位Aと式B 【化2】 (式中、R3及びR4は同一であっても異なっていてもよ
く、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基またはア
ラルキル基である)で表される構造単位Bからなり、構
造単位A/構造単位Bのモル比(%)が0.5〜10%であ
って重量平均分子量が1,000 〜1,000,000 である、主鎖
の一部にアントリレン基を含有するポリシラン誘導体、
及びその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、発光材料、光電導性材
料、レジスト材料等として有用な新規有機ケイ素系ポリ
マー、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】有機ケイ素系高分子は、発光機能等を有
する高分子として近年注目を浴びている。例えば、有機
ポリシランは主鎖のSi-Si 結合に由来するσ−σ共役に
より発光を示すことが明らかとなっている。例えば、代
表的なポリシランであるポリ(メチル−n−プロピルシ
ラン)は340nmを極大波長とする発光スペクトルを
示し、また、ポリ(ジ−n−ヘキシルシラン)は342
nmを極大波長とする発光を示す。しかしながら、上記
ポリシランは発光波長が紫外線領域にあるため、表示素
子等の材料として応用できるものではなかった。これに
対して、2つの置換基がすべてアリール基であるポリ
(ジフェニルシラン)において、その側鎖に位置する両
方のフェニル基のパラ位にアルキル基を導入した、有機
溶媒に可溶性のポリ(ジ−p−アルキルフェニルシラ
ン)は、可視領域である400nm付近に発光極大を有
することが知られている[ケミカルレビューズ(Chemic
al Reviews) 、第89巻、第6号、第1382頁(198
9年)]。しかしながら、発光効率はかなり低いもので
あり、しかも、有機溶媒に可溶性のポリ(ジ−p−アル
キルフェニルシラン)を得るためには、そのアルキル基
に比較的長鎖のn−ブチルやn−ヘキシルを導入するこ
とが必要であった。そのことによって、該ポリマーを得
るための原料モノマーの合成が非常に困難となる上に、
モノマーの反応性も落ち、生成ポリマーが数%程度の収
率でしか得られないという結果となり、発光効率の低さ
と併せて実用上充分満足できるものではなかった。ま
た、有機ケイ素系高分子に関する公報として、式
【0003】
【化5】
【0004】(式中、 Ra は炭素数2〜30のπ共役型
の2価の有機基を表し、 Rb は炭素数1〜30の炭化水
素基を表し、 Xa はハロゲン原子を表し、mは1≦m≦
2、nはn≧2を満たす数を表す)で表される含ケイ素
有機化合物(Ra として挙げられた種々の基中にアリーレ
ン基がある) を開示した特開平6−9786号公報があ
り、またこの公報中の先行技術の記載でポリ(ジシラニ
ンフェニレン)誘導体、ポリ(ジシラニレンナフチレ
ン)誘導体等が言及されている。なお、モノマーに関
し、式
【0005】
【化6】
【0006】で表される化合物が知られている(日本化
学会第68回春季大会予槁集353頁(1994))。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、可視領
域に発光を示し、発光効率に優れ、通常の有機溶媒に可
溶性の高分子量有機ケイ素系ポリマーを得ることを目的
として鋭意研究を重ねた結果、かかる目的に合致するポ
リマーを見い出し本発明を完成した。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、式A
【0009】
【化7】
【0010】(式中、R1及びR2は同一のもしくは異なる
炭素数1〜6の直鎖状アルキル基であり、かつR1及びR2
の炭素数の合計が8以内である)で表される構造単位A
と式B
【0011】
【化8】
【0012】(式中、R3及びR4は同一であっても異なっ
ていてもよく、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基
またはアラルキル基である)で表される構造単位Bから
なり、構造単位A/構造単位Bのモル比(%)が0.5〜1
0%であって重量平均分子量が1,000 〜1,000,000 であ
る、主鎖の一部にアントリレン基を含有するポリシラン
誘導体、及びその製造方法に関する。
【0013】本発明のポリシラン誘導体の一方の構造単
位である構造単位Aにおいて、R1及びR2は同一のもしく
は異なる炭素数1〜6の直鎖状アルキル基であり、かつ
R1及びR2の炭素数の合計が8以内である。好ましいR1
しくはR2は、炭素数1〜4の直鎖状アルキル基であり、
またさらに好ましくはR1及びR2のいずれか一方がメチル
基である。R1またはR2が分岐状であるか、R1またはR2
炭素数が6を越えるか、またはR1及びR2の炭素数の合計
が8を越えると、その立体障害により、後述する原料で
ある式〔1〕で表される化合物と式〔2〕で表される化
合物との、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属共存
下における反応性が低下し、本発明のポリシラン誘導体
の収率の低下につながり、工業的に不利である。R1及び
R2として具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル
基、n−ブチル基、n−ペンチル基及びn−ヘキシル基
が挙げられる。
【0014】本発明のポリシラン誘導体の他方の構造単
位である構造単位Bにおいて、R3及びR4は同一であって
も異なっていてもよく、炭素数1〜10の直鎖状または
分岐状アルキル基、アリール基またはアラルキル基であ
る。当該アルキル基は好ましくは炭素数1〜6の直鎖状
または分岐状アルキル基であり、具体的にはメチル基、
n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、se
c−ブチル基等が挙げられる。また当該アラルキル基に
おけるアルキレン基としてはメチレン基、エチレン基等
が挙げられる。また、本発明において当該アリール基及
びアラルキル基は、当該ポリシラン誘導体を製造する後
述の重合に際し、式〔2〕で表されるシラン化合物及び
アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属と反応しない置
換基を、芳香環上に有するものをも含めるものとし、か
かる置換基としては、例えば炭素数1〜6、好ましくは
1〜4の直鎖状または分岐状アルキル基(例えばメチル
基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基等)、
炭素数1〜6、好ましくは1〜4の直鎖状または分岐状
アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基等)等が
挙げられる。当該アリール基として具体的にはフェニル
基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、
メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ナフチル基
等が挙げられる。また当該アラルキル基として具体的に
はベンジル基、トリルメチル基、キシリルメチル基、ク
メニルメチル基、フェネチル基、ジフェニルメチル基、
トリチル基、トリトリルメチル基、トリ(ジメチルフェ
ニル)メチル基、メトキシフェニルメチル基、ジエトキ
シフェニルメチル基等が挙げられる。
【0015】R3とR4の組合せは特に限定されないが、そ
れらのいずれかが炭素数1〜6、より好ましくは1〜4
の直鎖上または分岐状アルキル基特にメチル基であり、
他方が炭素数1〜6、特に1〜4の直鎖状または分岐状
アルキル基、アリール基またはアラルキル基であること
が好ましい。特に好ましいR3とR4の組合せは、一方がメ
チル基で他方が炭素数1〜4の直鎖状アルキル基または
アリール基の組合せである。
【0016】本発明のポリシラン誘導体を構成する構造
単位A/構造単位Bのモル比(%)は0.5 〜10%であ
る。当該モル比(%)が0.5 %より小さいとアントリレ
ン基の割合が少なくなりすぎ、可視領域での発光が起こ
らないか微弱すぎ、また発光効率が悪くなる。また10%
より大きいと構造単位Bの繰り返し数が十分でなく、ポ
リシランとしての機能、例えばエネルギーバンドやホー
ル(正孔)輸送性が得られない。ポリシラン部が充分な
エネルギーバンド(σ−σバンド)を形成し、かつホー
ル輸送性を有し、さらにアントリレン部のπ電子と共役
するには、当該モル比(%)が5%以下であることが好
ましく、また充分な可視発光の機能を得るには当該モル
比(%)が1%以上であることが好ましい。なお、上記
モル比(%)は後述の方法によって求められるモル比
(%)を意味する。
【0017】本発明のポリシラン誘導体の重量平均分子
量は1,000 〜1,000,000 、好ましくは2,000 〜500,000
である。重量平均分子量が1,000 未満の場合にはポリマ
ーの単離精製が困難となり、また生成したポリマーは成
形加工し難いポリマーであり、また1,000,000 を越える
場合には溶媒に溶解した場合、粘度が高くなり過ぎ、ス
ピンコートやキャスティング法等による成膜性能が悪く
なる。なお、上記重量平均分子量はGPC法(ポリスチ
レン換算)によって求められる重量平均分子量を意味す
る。本発明のポリシラン誘導体は種々の有機溶媒、特に
非プロトン性有機溶媒、例えばベンゼン、トルエン、キ
シレン、n−ヘキサン、n−オクタン、テトラヒドロフ
ラン等に溶解する。本発明のポリシラン誘導体は式
〔1〕
【0018】
【化9】
【0019】(式中、R1及びR2は同一のもしくは異なる
炭素数1〜6の直鎖状アルキル基であり、かつR1及びR2
の炭素数の合計が8以下であり、X1及びX2は同一のもし
くは異なるハロゲン原子である)で表される9,10−
ビス(ジアルキルハロシリル)アントラセン(以下、ビ
スシリルアントラセン化合物〔1〕と称する)と、式
〔2〕
【0020】
【化10】
【0021】(式中、R3及びR4は同一であっても異なっ
ていてもよく、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基
またはアラル基であり、X3及びX4は同一のもしくは異な
るハロゲン原子である)で表されるシラン化合物(以
下、シラン化合物〔2〕と称する)とを、アルカリ金属
もしくはアルカリ土類金属の共存下に、不活性溶媒中で
反応させることにより得ることができる。ビスシリルア
ントラセン化合物〔1〕は新規化合物であり、その製法
は後述する。ビスシリルアントラセン化合物〔1〕のR1
及びR2は本発明のポリシラン誘導体に関して説明した通
りである。またX1またはX2で示されるハロゲン原子とし
ては、好ましくは塩素原子または臭素原子が挙げられ、
特に好ましくは塩素原子である。
【0022】ビスシリルアントラセン化合物〔1〕の好
ましい例としては9,10−ビス(ジメチルクロロシリ
ル)アントラセン、9,10−ビス(ジエチルクロロシ
リル)アントラセン、9,10ビス(ジn−プロピルク
ロロシリル)アントラセン、9,10−ビス(ジn−ブ
チルクロロシリル)アントラセン、9,10−ビス(メ
チルエチルクロロシリル)アントラセン、9,10−ビ
ス(メチルn−プロピルクロロシリル)アントラセン、
9,10−ビス(メチルn−ブチルクロロシリル)アン
トラセン、9,10−ビス(メチルn−ペンチルクロロ
シリル)アントラセン、9,10−ビス(メチルn−ヘ
キシルクロロシリル)アントラセン、9,10−ビス
(エチルn−プロピルクロロシリル)アントラセン、
9,10−ビス(エチルn−ブチルクロロシリル)アン
トラセン、9,10−ビス(エチルn−ペンチルクロロ
シリル)アントラセン、9,10−ビス(エチルn−ヘ
キシルクロロシリル)アントラセン、9,10−ビス
(n−プロピルn−ブチルクロロシリル)アントラセ
ン、9,10−ビス(n−プロピルn−ペンチルクロロ
シリル)アントラセンが挙げられ、特に好ましい例とし
ては9,10−ビス(ジメチルクロロシリル)アントラ
セン、9,10−ビス(メチルエチルクロロシリル)ア
ントラセン、9,10−ビス(メチルn−プロピルクロ
ロシリル)アントラセン、9,10−ビス(メチルn−
ブチルクロロシリル)アントラセン、9,10−ビス
(メチルn−ペンチルクロロシリル)アントラセン、
9,10−ビス(メチルn−ヘキシルクロロシリル)ア
ントラセンが挙げられる。
【0023】シラン化合物〔2〕のR3及びR4は本発明の
ポリシラン誘導体に関して説明した通りである。またX3
またはX4で示されるハロゲン原子としては、好ましくは
塩素原子または臭素原子が挙げられ、特に好ましくは塩
素原子である。シラン化合物〔2〕の好ましい例として
はジメチルジクロロラン、ジエチルジクロシラン、ジプ
ロピルジクロロシラン、ジブチルジクロロシラン、ジペ
ンチルジクロロシラン、ジヘキシルジクロロシラン、メ
チルエチルジクロロシラン、メチルプロピルジクロロシ
ラン、メチルブチルジクロロシラン、メチルペンチルジ
クロロシラン、メチルヘキシルジクロロシラン、エチル
プロピルジクロロシラン、エチルブチルジクロロシラ
ン、エチルペンチルジクロロシラン、エチルヘキシルジ
クロロシラン、プロピルブチルジクロロシラン、メチル
フェニルジクロロシラン、エチルフェニルジクロロシラ
ン、メチルトリルジクロロシラン、エチルトリルジクロ
ロシラン、メチルキシリルジクロロシラン、エチルキシ
リルジクロロシラン、メチルナフチルジクロロシラン、
メチルペンジルジクロロシラン、エチルベンジルジクロ
ロシラン、メチルフェネチルジクロロシラン等が挙げら
れ、特に好ましい例としてジメチルジクロロシラン、メ
チルエチルジクロロシラン、メチルn−プロピルジクロ
ロシラン、メチルn−ブチルジクロロシラン、メチルフ
ェニルジクロロシラン等が挙げられる。本発明のポリシ
ラン誘導体は上記ビスシリルアントラセン化合物〔1〕
と上記シラン化合物〔2〕とを、アルカリ金属もしくは
アルカリ土類金属、特に好ましくはアルカリ金属の共存
下に、不活性溶媒中で反応させることにより得られる
が、アルカリ金属としてはリチウム、ナトリウム、カリ
ウム等が挙げられ、リチウム、ナトリウムが好ましく、
ナトリウムが特に好ましい。アルカリ土類金属としては
マグネシウム、カルシウム等が挙げられる。
【0024】原料として用いるビスシリルアントラセン
化合物〔1〕とシラン化合物〔2〕の最適な割合は、両
原料の反応性によって異なるので、目的とするポリシラ
ン誘導体の構造単位A/構造単位Bのモル比(%)を設
定した上で、実験的に所要量を確認して使用することが
望ましい。またアルカリ金属またはアルカリ土類金属の
使用割合は、ビスシリルアントラセン化合物〔1〕及び
シラン化合物〔2〕の合計量1モルを基準として2〜5
モルが好ましい。2モル未満では反応生成物の収率の低
下につながり、5モルを越えても、それに見合う効果が
期待できず不経済であり、また過剰のアルカリ金属また
はアルカリ土類金属の量が増加するため、その後処理が
困難となる。不活性溶媒としては非プロトン性溶媒が好
適であり、具体例としてはベンゼン、トルエン、キシレ
ン、n−ヘキサン、n−オクタン、テトラヒドロフラン
等が挙げられる。不活性溶媒は、シラン化合物〔2〕の
濃度が100mmol/L 〜1mol/Lとなる程度に用いるのが好適
である。
【0025】反応温度は好ましくは0℃以上で反応溶媒
の沸点以下である。反応は不活性ガス雰囲気下で行うの
が好ましい。反応時間は使用する反応溶媒や反応温度に
より変化するが、反応は通常24時間以内で終了する。
反応終了後、反応液を濾過して副生成物の金属塩を除
き、濾液をメタノール等の貧溶媒中に滴下して生成物を
沈澱させることにより、目的のポリシラン誘導体を得る
ことができる。上記ポリマーの製造原料の一つであるビ
スシリルアントラセン化合物〔1〕も新規化合物であっ
て、例えば、式〔3〕
【0026】
【化11】
【0027】で表される9,10−ジリチオアントラセ
ンまたは式〔4〕
【0028】
【化12】
【0029】(式中、X5はハロゲン原子である。)で表
されるグリニャール試薬、すなわち9,10−ジマグネ
シウムハロゲノアントラセンと、式〔5〕
【0030】
【化13】
【0031】(式中、R1及びR2は前記と同様であり、X6
は化合物〔1〕のX1またはX2と同義である)で表される
ジアルキルジハロシランとを、不活性溶媒中不活性ガス
雰囲気下において反応させることにより、容易にしかも
高収率で得ることができる。X5で示されるハロゲン原子
としては、好ましくは塩素原子または臭素原子が挙げら
れる。X6で示されるハロゲン原子としては、好ましくは
塩素原子または臭素原子が挙げられ、特に好ましくは塩
素原子である。不活性溶媒としては非プロトン性有機溶
媒が好適であり、具体例としてはジエチルエーテル、テ
トラヒドロフラン、n−ヘキサン、n−オクタン、n−
ペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ
る。不活性ガスとしてはアルゴン、窒素等が挙げられ
る。不活性溶媒は、9,10−ジリチオアントラセン
〔3〕または9,10−ジマグネシウムハロゲノアント
ラセン〔4〕の濃度が100mmol/L 〜2mol/Lとなる程度に
用いるのが好適である。ジアルキルジハロシラン〔5〕
と9,10−ジリチオアントラセン〔3〕または9,1
0−ジマグネシウムハロゲノアントラセン〔4〕との反
応割合は、9,10−ジリチオアントラセン〔3〕また
は9,10−ジマグネシウムハロゲノアントラセン
〔4〕に対し、ジアルキルジハロシラン〔5〕が2〜1
0当量であるのが好ましく、更に好ましくは2〜6当量
である。反応温度は−30〜70℃が好ましく、更に好
ましくは0〜50℃であり、最適には10〜50℃であ
る。なお反応温度が低すぎる場合にはビスシリルアント
ラセン化合物〔1〕の収率が低下する恐れがある。反応
時間は反応温度、反応溶媒等により変化するが、反応は
通常24時間以内で終了する。
【0032】上記でX1とX2とが異なるビスシリルアント
ラセン化合物〔1〕を得る場合には、例えば、X6がX1
あるジアルキルジハロシラン〔5〕とX6がX2であるジア
ルキルジハロシラン〔5 〕の混合物を用いるとか、両化
合物を時間をずらして9,10−ジリチオアントラセン
〔3〕または9,10−ジマグネシウムハロゲノアント
ラセン〔4〕と順次反応させる等の手段を取ることがで
きる。上記反応による反応液から、生成したビスシリル
アントラセン化合物〔1〕を取得するには、副生したハ
ロゲン化リチウムまたはハロゲン化マグネシウムの沈澱
を濾過、デカンテーション等により反応液から除去した
後、反応溶媒を例えば減圧留去し、残渣をペンタン等の
不活性溶媒から再結晶する等の方法により精製すればよ
い。取得されるビスシリルアントラセン化合物〔1〕は
黄色の固体である。なお、ビスシリルアントラセン化合
物〔1〕は次の重合のためには必ずしも精製してなくて
もよく、例えば上記で反応溶媒を減圧留去した後の段階
で重合に供してもよい。
【0033】また、ビスシリルアントラセン化合物
〔1〕の製造に用いるジアルキルジハロシラン〔5〕
と、生成したビスシリルアントラセン化合物〔1〕と反
応させるシラン化合物〔2〕とが同一の化合物の場合に
は、ビスシリルアントラセン化合物〔1〕の製造時に、
アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属を共存させると
共に、ジアルキルジハロシラン〔5〕をビスシリルアン
トラセン化合物〔1〕の製造のみならず、次のポリマー
の製造にも十分な量用いることにより、一つの反応系に
おいて本発明のポリシラン誘導体を得ることができる。
【0034】
【実施例】以下、参考例及び実施例に基づいて本発明を
具体的に説明する。実施例中、重量平均分子量及び数平
均分子量はGPC法(ポリスチレン換算)によって、ま
た構造単位のモル比(%)及び発光効率は以下に記述す
る方法によって求めた。 (1)構造単位のモル比(%) 下記〜の手順により算出する。 アントラセンについての標準吸光度を次の通り求め
る。所定モル量のアントラセンをクロロホルム溶媒に溶
解した標準溶液を調製して、そのUV吸光のλmaxに
おけるモル吸光度を測定し、これを標準吸光度とする。 目的生成物中の構造単位Aのモル数を次の通り求め
る。標準溶液と同一溶媒でかつ同モル濃度(ポリマー全
体の数平均分子量から換算)の目的生成物(ポリマー)
溶液を調製し、UV吸光におけるアントラセンに帰属さ
れるλmaxのモル吸光度を測定し、先の標準吸光度で
除することにより、目的生成物中におけるアントリレン
基のモル数を求める。この値は構造単位Aのモル数に等
しい。
【0035】目的生成物中の構造単位Aの重量を下式
により算出する。 構造単位Aの重量=(原料に用いたビスシリルアントラ
セン化合物〔1〕からハロゲン原子X1及びX2を差し引い
た構造単位Aの分子量)×(構造単位Aのモル数) 目的生成物中の構造単位Bのモル数を下式により算出
する。 構造単位Bのモル数=(モル吸光度の測定に用いた目的
生成物の重量−構造単位Aの重量)/(原料に用いたシ
ラン化合物〔2〕からハロゲン原子X3およびX4を差し引
いた構造単位Bの分子量) 目的生成物中の構造単位A/構造単位Bのモル比
(%)を下式により算出する。 構造単位A/構造単位B〔モル比(%)〕=(で求め
た構造単位Aのモル数)×100/(で求めた構造単
位Bのモル数) (2)発光効率 クロロホルム中、標準物質として式
【0036】
【化14】
【0037】で表されるAlq3(発光効率10.1%)を用い
て測定した。 参考例1 攪拌装置及び外部冷却外套を備えた反応器に9,10−
ジブロモアントラセン2.11g(mmol) を入れ、系内を真空
脱気後、乾燥アルゴン雰囲気にした。脱水精製したジエ
ルチルエーテル30mlを加え、n−ブチルリチウム(1.
0g) のヘキサン(9.8ml) 溶液を徐々に反応器に供給し、
アルゴン雰囲気下、10〜30℃で3時間攪拌を行い、
9,10−ジリチオアントラセンを製造した。攪拌装置
及び外部冷却外套を備えた別の反応器に、ジエチルエー
テル10ml及びジメチルジクロロシラン4.0g(31mmo
l)を入れ、アルゴン雰囲気下、常温において、上記で得
た9,10−ジリチオアントラセン含有反応混合物を内
容物に滴下し、10〜30℃で20時間攪拌を行い反応
させた。副生した塩化リチウムを濾別し、反応溶媒を減
圧留去した後、n−ペンタンから再結晶することによ
り、9,10−ビス(ジメチルクロロシリル)アントラ
センを黄色固体として得た。収率は70%であった。
【0038】この化合物の塩素含有量を分析した結果、
塩素含有量が19.40重量%であり、計算値の19.
51重量%と良く一致した。またこの化合物の赤外吸収
スペクトル (KBr 法による) を測定した結果、125
0,1440cm-1 (Si−CH3)で吸収を示した。また、 1
H 核磁気共鳴スペクトル(重クロロホルム(7.25ppm) を
標準として測定した) を図1に示す。図1よりケミカル
シフトδ(ppm) は8.5〜7.4(9,10−置換アン
トラセン),0.7(Si−CH3)であり、また、MSスペ
クトルで測定した結果、m/z 362(M + ) であり、取得し
た化合物が、9,10−ビス(ジメチルクロロシリル)
アントラセンであることを示している。
【0039】参考例2 攪拌装置及び外部冷却外套を備えた反応器に、ジエチル
エーテル10ml及びメチルn−プロピルジクロロシラン
5.0g(32mmol)を入れ、アルゴン雰囲気下、10〜3
0℃において、実施例1と同様の操作で製造した9,1
0−ジリチオアントラセンを内容物に滴下した。滴下終
了後、室温において20時間攪拌を行い反応を完結さ
せ、副生した塩化リチウムを濾別し、反応溶媒を減圧留
去した後、n−ペンタンから再結晶することにより、
9,10−ビス(メチルn−プロピルクロロシリル)ア
ントラセンを黄色固体として得た。収率は65%であっ
た。この化合物の塩素含有量を分析した結果、塩素含有
量が16.54 重量%であり、計算値の16.90 重量%と良く
一致した。またこの化合物の 1H 核磁気共鳴スペクトル
( 重クロロホルム(7.25ppm) を標準として測定した) を
図2に示す。図2よりケミカルシフトδ(ppm)は8.5 〜
7.5(9,10−置換アントラセン),1.54(-Si-CH2-CH2
-)、1.09(-Si-CH3) 、1.03 (-CH2-CH2-CH3 ) であり、ま
たMSスペクトルで測定した結果、m/z 418(M + ) であ
り、取得した化合物が9,10−ビス(メチルn−プロ
ピルクロロシリル)アントラセンであることを示してい
る。
【0040】実施例1アントリレン基含有メチルn−プロピルポリシランの合
アルゴン雰囲気中で500mlの容器にナトリウム4.6
g及びトルエン160mlを仕込んだ。次に系内をトルエ
ンの沸点まで加熱し、還流雰囲気でナトリウムを溶融さ
せ、激しく攪拌してナトリウムを細かく分散させた。そ
の後攪拌しながら内容物温度を溶媒の沸点付近に保ち、
参考例2で得られた9,10−ビス(メチルn−プロピ
ルクロロシリル)アントラセン3mmol(1.26g)及
び20倍モル量のメチルn−プロピルジクロロシラン
(9.42g)の混合物を徐々に滴下した。滴下終了
後、溶媒の沸点付近で3時間反応させた。重合反応終了
後、室温まで冷却し、副生した塩化ナトリウム及び過剰
の金属ナトリウムを濾別した後、濾液をメタノールに滴
下してポリマーを沈澱させた。沈澱ポリマーを分取、乾
燥させることにより、R1=メチル基、R2=n−プロピル
基である構造単位AとR3=メチル基、R4=n−プロピル
基である構造単位Bからなる目的ポリマー2.12g
(収率34.2%)を黄色固体として得た。本ポリマー
は重量平均分子量(Mw) が335,000 の成分と9,600 の成
分からなるバイモーダルの分子量分布を示した(図
3)。本ポリマー全体の数平均分子量(Mn)は4,500であ
り、また本ポリマーの構造単位A/構造単位Bのモル比
(%)は1.5%であった。また本ポリマーは発光スペ
クトルによれば455nmに発光を示した。
【0041】実施例2アントリレン基含有メチルフェニルポリシランの合成 メチルn−プロピルジクロロシランの代わりにメチルフ
ェニルジクロロシラン、及び参考例2で得られた9,1
0−ビス(メチルn−プロピルクロロシリル)アントラ
センを用いて実施例1と同様の仕込量、条件、手順でR1
=メチル基、R2=n−プロピル基である構造単位AとR3
=メチル基、R4=フェニル基である構造単位Bからなる
黄色のポリマーを合成した。ポリマー収量は3.94g
(収率47.8%)であった。本ポリマーはMwが 415,0
00の成分と6,200 の成分からなるバイモーダルの分子量
分布を示した(図4)。本ポリマー全体のMnは3,500 で
あり、また本ポリマーの構造単位A/構造単位Bのモル
比(%)は3.5%であった。また本ポリマーは発光ス
ペクトルによれば480nmに発光を示した。さらに本ポ
リマーの発光効率はAlq3の1.5 倍で15%であった。
【0042】
【発明の効果】本発明のポリシラン誘導体は発光波長が
可視領域に存在し、かつ発光効率が大であるので、表示
素子等の電子材料としての応用が可能であり、有機溶
媒、好ましくは非プロトン性有機溶媒、特にベンゼン、
トルエン、キシレン等の無極性芳香族系溶媒に可溶なの
でフィルムに成形しやすく従って電子材料への成形が容
易であると共に、当該ポリマー自体の物性を測定するに
好都合であり、かつ高分子なのでフィルムに成形でき
る。従ってかかる本発明のポリシラン誘導体は発光材
料、光電導体、フォトレジスト、光記憶材料等として用
い得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例1の9,10−ビス(ジメチルクロロシ
リル)アントラセンの 1H 核磁気共鳴スペクトルを示
す。
【図2】参考例2の9,10−ビス(メチルn−プロピ
ルクロロシリル)アントラセンの1H核磁気共鳴スペクト
ルを示す。
【図3】実施例1で得られたポリマーの分子量分布を示
す。
【図4】実施例2で得られたポリマーの分子量分布を示
す。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式A 【化1】 (式中、R1及びR2は同一のもしくは異なる炭素数1〜6
    の直鎖状アルキル基であり、かつR1及びR2の炭素数の合
    計が8以内である)で表される構造単位Aと式B 【化2】 (式中、R3及びR4は同一であっても異なっていてもよ
    く、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基またはアラ
    ルキル基である)で表される構造単位Bからなり、構造
    単位A/構造単位Bのモル比(%)が0.5〜10%であっ
    て重量平均分子量が1,000 〜1,000,000 である、主鎖の
    一部にアントリレン基を含有するポリシラン誘導体。
  2. 【請求項2】 式〔1〕 【化3】 (式中、R1及びR2は同一のもしくは異なる炭素数1〜6
    の直鎖状アルキル基であり、かつR1及びR2の炭素数の合
    計が8以下であり、X1及びX2は同一のもしくは異なるハ
    ロゲン原子である)で表される9,10−ビス(ジアル
    キルハロシリル)アントラセンと、式〔2〕 【化4】 (式中、R3及びR4は同一であっても異なっていてもよ
    く、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基またはアラ
    ルキル基であり、X3及びX4は同一のもしくは異なるハロ
    ゲン原子である)で表されるシラン化合物とを、アルカ
    リ金属もしくはアルカリ土類金属の共存下に不活性溶媒
    中で反応させることを特徴とする請求項1記載のポリシ
    ラン誘導体の製造方法。
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