JPH07304705A - 高純度2,6−ナフタレンジカルボン酸の製造方法 - Google Patents

高純度2,6−ナフタレンジカルボン酸の製造方法

Info

Publication number
JPH07304705A
JPH07304705A JP1818195A JP1818195A JPH07304705A JP H07304705 A JPH07304705 A JP H07304705A JP 1818195 A JP1818195 A JP 1818195A JP 1818195 A JP1818195 A JP 1818195A JP H07304705 A JPH07304705 A JP H07304705A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
naphthalenedicarboxylic acid
water
crystals
temperature
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP1818195A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshio Fukui
良夫 福井
Tatsuto Yoshioka
達人 吉岡
Osamu Sugimoto
税 杉本
Manabu Okuyama
学 奥山
Norioki Mitsune
法興 三根
Masahiko Yamagishi
昌彦 山岸
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP1818195A priority Critical patent/JPH07304705A/ja
Publication of JPH07304705A publication Critical patent/JPH07304705A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 着色物質、重金属、臭素化合物等の含有率が
低い、高純度の2,6−ナフタレンカルボン酸を製造す
る方法の提供。 【構成】 不純物を含有する2,6−ナフタレンジカル
ボン酸の粗結晶を、溶解度パラメーター18〜35の含
酸素有機溶剤(例えば、アルコール類、ケトン類または
エーテル類)からなる群から選ばれるエントレーナーを
含有する超臨界または亜臨界状態の水に溶解し、得られ
た溶液を冷却して結晶を析出させ、該結晶を母液から分
離する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、不純物を含有する2,
6−ナフタレンジカルボン酸、特に、ジアルキルナフタ
レンを分子状酸素で酸化して得られる粗2,6−ナフタ
レンジカルボン酸を水に溶解し、晶析して高純度2,6
−ナフタレンジカルボン酸を製造する方法に関する。
2,6−ナフタレンジカルボン酸は、ポリエチレンナフ
タレート(PEN樹脂)などの高機能性樹脂の原料等と
して有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】ナフタレンジカルボン酸は、例えば、ジ
メチルナフタレンやジイソプロピルナフタレン等のジア
ルキルナフタレン類をコバルト、マンガンおよび臭素の
存在下に、分子状酸素で酸化することによって製造され
ることはよく知られている。しかし、これらの方法で得
られる粗ナフタレンジカルボン酸は、トリメリット酸等
の不純物や着色物質、さらに触媒に起因するコバルト、
マンガンおよび臭素化合物を含むために、精製工程が必
要である。
【0003】従来、ナフタレンジカルボン酸の精製方法
としては、粗ナフタレンジカルボン酸をアルカリ水溶液
に溶解し、酸化や水素化、吸着による脱色等の処理を行
った後、酸性にすることによって高純度のナフタレンジ
カルボン酸を得る方法が知られている(特開昭48−6
8554号、特開昭48−49747号、特開昭50−
105639号、特開昭50−160248号公報
等)。しかし、これらの方法は、いずれも大量のアルカ
リおよび酸を使用するため、大量の無機塩および廃水が
生じるという問題があった。これに対し、粗ナフタレン
ジカルボン酸をジメチルホルムアミド、ジメチルスルホ
キシド等の有機溶媒に溶解し、活性炭処理後、再結晶さ
せる方法(特開昭62−23074号公報)も提案され
ているが、これらの有機溶媒は沸点が高く溶媒の回収が
困難であり、また毒性が高い等の問題があった。
【0004】また、粗ナフタレンジカルボン酸をジメチ
ルアミン等の水溶液に溶解した後、アミンを留去してナ
フタレンジカルボン酸を析出させることにより精製する
方法(特開昭50−142542号公報)も提案されて
いるが、用いるアミンが水と共沸するため大量の水が一
緒に留去されること、水溶液中からアミンを完全に除去
することができないため回収率が低いこと等の欠点があ
った。さらに、これらの欠点を改善するため、アミンと
アルコールの混合溶媒を使用する方法が提案されている
(特開平5−155807号公報)が、この方法に於い
ては、重金属等の触媒に起因する不純物の除去が十分で
は無い。
【0005】一方、コバルト、マンガンを含む不純物を
取り除くため、80〜90℃の水で洗浄する方法が提案
されている(特開平1−121237号公報)が、この
方法においても、粗結晶中に取り込まれた不純物は除去
することが出来ない。また、芳香族ポリカルボン酸の精
製法として、テレフタル酸中の不純物を超臨界状態の水
中で貴金属触媒の存在下、水素化処理する方法が知られ
ている(特公昭51−38698号公報)。さらには、
超臨界抽出において、溶解度と選択性を向上させるため
に、エントレーナーや助溶剤と呼ぶ第3成分を加える方
法も検討されている[例えば、A.K.Sunol らの論文,“E
NTRAINER SELECTION IN SUPERCRITICAL EXTRACTION”
(J.M.L.Penningerら編集 Process Technology Procee
dings, 3, “SupercriticalFluid Technology", 451〜4
64頁,Elsevier Science Publishers B.V.発行(198
5))参照]。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記し
た従来技術の問題点を解決し、不純物を含有する2,6
−ナフタレンジカルボン酸、特に、ジアルキルナフタレ
ン類を重金属塩類及び臭素化合物の存在下に分子状酸素
含有ガスで酸化して得られる2,6−ナフタレンジカル
ボン酸から、着色物質、重金属、臭素化合物等の含有率
が低い、高純度の2,6−ナフタレンジカルボン酸を製
造する方法として、亜臨界水または超臨界水に2,6−
ナフタレンジカルボン酸を溶解、晶析する方法を、さら
に改善した、高純度2,6−ナフタレンジカルボン酸の
製造法を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、不純物
を含有する2,6−ナフタレンジカルボン酸の粗結晶
を、溶解度パラメーター18〜35の含酸素有機溶剤か
らなる群から選ばれるエントレーナーを含有する超臨界
または亜臨界状態の水に溶解し、得られた溶液を冷却し
て結晶を析出させ、該結晶を母液から分離することを特
徴とする高純度2,6−ナフタレンジカルボン酸の製造
方法が提供される。
【0008】
【発明の具体的説明】本発明の方法に用いられる不純物
を含有する2,6−ナフタレンジカルボン酸の粗結晶と
しては、純度が90%以上、一般には95〜99%のも
のが用いられる。また、純度99%以上のもの、例え
ば、活性炭等で予備的に精製処理した後の2,6−ナフ
タレンジカルボン酸を処理原料とすることもできる。こ
のような粗2,6−ナフタレンジカルボン酸としては、
例えば、ジアルキルナフタレン類を脂肪族低級モノカル
ボン酸、水等の溶媒中で、コバルト、マンガンおよび臭
素の存在下に分子状酸素で酸化することによって得られ
る2,6−ナフタレンジカルボン酸の粗結晶を挙げるこ
とができる。ジアルキルナフタレン類の酸化反応により
得られる2,6−ナフタレンジカルボン酸の粗結晶は、
触媒に起因するコバルト、マンガンおよび臭素化合物
や、6−カルボキシ−2−ナフトアルデヒド、トリメリ
ット酸、核臭素化2,6−ナフタレンジカルボン酸等の
ほか構造不明の臭素化合物、さらに反応により副生した
不純物や着色物質などを含んでおり、通常は微褐色ない
し褐色を呈しているが、そのまま本発明の方法に供して
もよいし、また反応溶媒等で洗浄するなどしてから用い
ても良い。
【0009】酸化反応に触媒として用いられるコバルト
化合物およびマンガン化合物としては、例えば、コバル
ト及びマンガンのギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ
酸、マレイン酸などの脂肪族カルボン酸塩、ナフテン酸
などの脂環式カルボン酸塩、安息香酸、テレフタル酸、
ナフトエ酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族カル
ボン酸塩の他、酢酸化物、酸化物、炭酸塩、ハロゲン化
物などの無機化合物類を挙げることができる。このう
ち、酢酸塩および臭化物が好んで用いられる。臭素化合
物としては、例えば、臭化カリ、臭化アンモニウム、分
子状臭素、臭化水素等の無機臭素化合物、及び臭化メチ
ル、臭化エチル、ブロモホルム、臭化エチレン、ブロモ
酢酸などの有機臭素化合物を例示することができる。臭
素化合物の使用量は、その臭素原子の量が、脂肪族カル
ボン酸溶媒中に含まれるコバルトおよびマンガン原子の
合計モル数に対し、0.1〜10モル倍、好ましくは0.
2〜5モル倍の範囲である。
【0010】本発明の方法においては、粗2,6−ナフ
タレンジカルボン酸を超臨界又は亜臨界状態の水に溶解
させる際に、特定の溶解度パラメーターを有する含酸素
有機溶剤からなるエントレーナーを存在させることが重
要である。該エントレーナーを加えることにより、水に
対する2,6−ナフタレンジカルボン酸の溶解度がさら
に向上すると共に、6−カルボキシ−2−ナフトアルデ
ヒド含有率を著しく低下させるので、効率良く、高純度
2,6−ナフタレンジカルボン酸を得ることができる。
【0011】溶解度パラメーター(以下、SPと略記す
ることがある)は、純物質の凝集エネルギー密度を表す
パラメーターであり、下記式で定義される(Robert.C.R
eidet al, “The Properties of Gases and Liquids",
McGraw-Hill, Inc. 1977)。
【0012】
【数1】
【0013】また、各種の溶剤についての溶解度パラメ
ーターの値は、Allan F.M.Barton,“CRC Handbook of S
olubility Parameters and Other Cohesion Parameter
s",CRC PRESS, 96, 1988)等を参照することができる。
【0014】本発明で使用することができる含酸素有機
溶剤としては、アルコール類、ケトン類またはエーテル
類を挙げることができ、特に溶解度パラメーター19〜
30の、メタノール、エタノール、n−プロパノール、
イソプロパノール、n−ブタノール、第2ブタノール、
第3ブタノール、3−ペンタノール、第3アミルアルコ
ール、シクロヘキサノール等の脂肪族アルコール;ベン
ジルアルコール等の芳香族アルコール;アセトン、メチ
ルエチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノ
ン等のケトン類が好ましく、最も好ましいのは、炭素数
2〜5の脂肪族アルコール類、並びにメチルエチルケト
ン及びシクロヘキサノンである。一方、高温において分
解しやすいアセチルアセトン(SP=19.5)等は効
果が低いので好ましくない。
【0015】エントレーナーの含有量(水中濃度)は、
通常0.01〜40重量%、好ましくは0.1〜20重量
%である。エントレーナーの含有量が高い場合は、操作
中の該エントレーナーの損失も多くなって好ましくな
い。また、含有量が低い場合は、2,6−ナフタレンジ
カルボン酸の溶解度の実質的な向上が認められない。
【0016】本発明による粗2,6−ナフタレンジカル
ボン酸からの高純度2,6−ナフタレンジカルボン酸の
製造は、次のような手順で行われる。 (1)所定量の粗2,6−ナフタレンジカルボン酸を所
定温度で、所定量のエントレーナーを含有する超臨界ま
たは亜臨界状態の水に溶解する。超臨界または亜臨界状
態の水としては、温度は275℃以上、通常275〜3
80℃、好ましくは、300〜350℃の水を用いる。
圧力は臨界温度以下の領域においては液相を保つために
必要な飽和圧力、臨界温度以上の領域においては臨界圧
力以上の圧力であり、好ましくは飽和圧力又は臨界圧力
ないし該圧力より10kg/cm2高い圧力である。粗2,6
−ナフタレンジカルボン酸を溶解させる水の温度が低す
ぎるとその溶解度が低くなり、一方、水の温度が高すぎ
ると2,6−ナフタレンジカルボン酸の分解が起こるた
め好ましくない。
【0017】溶解に使用する水の使用量は溶解温度によ
って異なるが、粗2,6−ナフタレンジカルボン酸を完
全に溶解させることができる量(飽和溶解度)以上の
水、例えば、イソプロパノール5重量%を含有する水を
用いる場合、溶解温度が300℃のときは、粗2,6−
ナフタレンジカルボン酸1重量部に対して5重量部以上
の水が必要である。2,6−ナフタレンジカルボン酸の
高温・高圧の水に対する溶解度について、発明者らが測
定した一例を表1に示す。
【0018】
【表1】
【0019】表1に示すように、2,6−ナフタレンジ
カルボン酸の水に対する溶解度は、意外にも、水の臨界
点近傍の300℃以上の高温域において急激に上昇し、
水の臨界温度である370℃付近では30重量%以上の
2,6−ナフタレンジカルボン酸が溶解される。なお、
水の臨界温度以上においても臨界圧力以上の圧力下の水
は、臨界温度以下の水の液相と類似の性質を示すので、
溶解度の温度依存性は連続的に扱うことができる。この
際、エントレーナーが存在することにより、2,6−ナ
フタレンジカルボン酸の溶解度がさらに向上し、例えば
イソプロパノール5重量%を含有する水の場合の溶解度
は、250℃で4.2重量%、300℃では18.0重量
%であり、溶解度の急上昇領域は275℃以上の温度領
域に低下する。
【0020】一般に、超臨界流体の分子は、空気中に浮
かぶ風船のようなものであって、界面に存在する固体や
液体の分子を集団で包み込むこと(溶質−水のクラスタ
形成)によって流体中に持ち上げる。従って、持ち上げ
られた分子を超臨界流体中に分散させることができるの
である。超臨界状態の水に溶解させるとは、このような
状態にすることを意味する。
【0021】(2)2,6−ナフタレンジカルボン酸を
溶解させた後、得られた溶液を液相を保つために必要な
飽和圧力以上の圧力下で溶解温度よりも5℃、好ましく
は10℃以上低い温度、一般には275℃以下、一般に
は270〜80℃、好ましくは250〜160℃の範囲
に冷却して2,6−ナフタレンジカルボン酸の結晶を析
出させる。2,6−ナフタレンジカルボン酸の回収率を
高くするためには温度は低い方がよいが、不純物に対す
る溶解度を十分に保つために、通常は80℃以上とする
ことが好ましい。冷却の方法は、例えば溶媒の一部をフ
ラッシュさせたり、低温の水と熱交換する等の方法が使
用できる。
【0022】(3)不純物が溶解した母液から2,6−
ナフタレンジカルボン酸の結晶を分離する。分離は、通
常、前記(2)の冷却析出温度と同じ温度又はそれ以下
の温度で行われ、一般に275℃以下、具体的に275
℃〜80℃、好ましくは250℃〜160℃の範囲であ
る。分離の方法としては、沈降分離、遠心分離、ろ過等
の方法、または母液を同圧力の純粋な水で置換した後、
上記の分離方法または置換水の蒸発等の方法で水を除去
する。
【0023】上記(1)〜(3)からなる溶解・晶析操
作は、連続式および回分式いずれの方式でも実施可能で
ある。また、必要に応じて該操作を数回繰り返す多段溶
解・晶析を行っても良い。得られた高純度2,6−ナフ
タレンジカルボン酸の結晶は、その後、必要に応じて、
水または他の溶媒で洗浄を行っても良い。このようにし
て、本発明の方法では不純物含量が極めて少ない、例え
ば、臭素含有率10ppm以下の高純度2,6−ナフタレン
ジカルボン酸を製造することができる。分離後の母液は
蒸留等の処理により不純物を分離して再使用することが
できる。
【0024】
【作用】一般的に、超臨界状態では、温度および圧力の
変動により溶解度が急に変化することは知られている
が、2,6−ナフタレンジカルボン酸の場合これほどに
急激な溶解度の変化が起こることは予想されていなかっ
た。臨界点以下の温度から臨界点にかけての2,6−ナ
フタレンジカルボン酸の溶解度の急激な変化は、2,6
−ナフタレンジカルボン酸の融点と水の臨界点がほとん
ど同じであるために起こる特異な現象であると推測され
る。一方、ジアルキルナフタレン類を重金属塩類及び臭
素化合物の依存下に分子状酸素含有ガスで酸化して得ら
れる2,6−ナフタレンジカルボン酸の粗結晶に含まれ
る着色物質、触媒に起因する不純物等に対しては、80
〜275℃の温度に於いても十分大きい溶解度が維持さ
れている。従って、この2,6−ナフタレンジカルボン
酸−水系の持つ溶解度の特異的に大きな温度依存性、お
よび超臨界水または亜臨界水の持つ大きな溶解力を利用
することにより、粗2,6−ナフタレンジカルボン酸の
晶析精製が非常に容易に行われる。
【0025】上記(1)で述べた溶質−水のクラスタ形
成は、溶質−水分子間の分子間相互作用に由来してお
り、分子の形状、大きさ、極性、溶解度パラメーター等
に影響される。本発明の方法により、従来の方法では分
離が十分行えなかった臭素化合物、殊に臭素化ナフタレ
ンジカルボン酸が良好に分離される理由は、低温域にお
いてはナフタレンジカルボン酸同士の相互作用が大き
く、ナフタレンジカルボン酸同士でクラスタを形成して
おり、臭素化ナフタレンジカルボン酸もこのクラスタに
取り込まれる形となって分離が困難であったものが、超
臨界水または亜臨界水中のような低密度域においては溶
質−水のクラスタ形成が支配的になり、従って、ナフタ
レンジカルボン酸−水および臭素化ナフタレンジカルボ
ン−水のクラスタがそれぞれ別に形成されるため、それ
ぞれの溶解度に差が生じて分離可能になるものと考えら
れる。この際、水と2,6−ナフタレンジカルボン酸と
の双方に親和性のあるエントレーナーが存在することに
より、エントレーナー分子を仲立ちとしてクラスターが
形成され、その結果溶解度が更に大きくなる。さらに、
アルコール類のように超臨界水中で還元性を示す物質の
存在により、アルデヒド類の還元が起こり、6−カルボ
キシ−2−ナフトアルデヒド等の不純物が水に溶解しや
すい物質に転化していると推測される。即ち、本発明の
方法では、溶解温度条件は超臨界または亜臨界状態であ
ることが必須である。従って、本発明の方法により、従
来特に分離が困難であった臭素化合物とアルデヒド類と
が同時且つ容易に分離されることは予期し難いことであ
る。
【0026】
【実施例】以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的
に説明する。 (参考例)蒸留冷却器、ガス導入管、原料送液ポンプ、
背圧調整器及び誘導撹拌機を有する5Lチタン製オート
クレーブに、酢酸2050g、酢酸コバルト・四水塩
0.80g(3.2ミリモル)、酢酸マンガン・四水塩
3.93g(16.0ミリモル)、臭化カリウム0.95
g(7.98ミリモル)を仕込み、窒素で反応系内を置
換し、背圧調整器で系内の圧力が25kg/cm2Gとなるよ
うにした。内温が200℃になるまで加熱し、液相部よ
り空気を12NL/分で、気相部より窒素を19NL/
分で、内圧が25kg/cm2Gに保たれるように供給した。
系内が安定したところで、2,6−ジメチルナフタレン
/酢酸=1/2(重量比)の溶液600gを2時間かけ
て連続供給した。2,6−ジメチルナフタレンの供給終
了後、系内を200℃、25kg/cm2Gに保ったまま1時
間空気の供給を続けた。反応終了後、オートクレーブを
室温まで冷却し、析出した固形物を濾過、回収し、温水
600g及びメタノール600gで洗浄した。固形物を
乾燥して淡黄色の固体255gを得た。この粗2,6−
ナフタレンジカルボン酸の収率は92%であり、液体ク
ロマトグラフィー純度は97.7%であった。
【0027】実施例1 350℃の恒温槽中の300ccのステンレス製オート
クレーブに、参考例で得た2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸の粗結晶25g及び5重量%メタノール(SP=2
9.7)水溶液を液満になるまで(約160g)仕込
み、350℃、170kg/cm2Gの条件下に1.5時間保ち
粗結晶をメタノール水溶液に溶解させた。次に、恒温槽
の温度を約3時間かけて250℃に低下させて2,6−
ナフタレンジカルボン酸の結晶を析出させた後、背圧弁
で圧力を同圧力に保ちながら、オートクレーブに250
℃の純水をポンプで2.0ml/分で約4時間フィード
してオートクレーブ内の液相を同温度、同圧力の純水に
置換した。温度、圧力を常温、常圧に戻し、オートクレ
ーブ中の結晶を濾過、乾燥して、高純度2,6−ナフタ
レンジカルボン酸の結晶13.5gを得た。得られた結
晶の分析結果を、用いた粗結晶の値と共に表2に示す。
なお、6−カルボキシ−2−ナフトアルデヒドの分析は
液体クロマトグラフィーを、Co及びMnの分析は誘導
結合プラズマを、Brについては蛍光X線(乾式炭化/
抽出を行いAgBrとして分析)をそれぞれ使用した。
色相は、試料1gを25%メチルアミン水溶液10ml
に溶解し、10mmの石英セルを用いて400nmおよ
び500nmの波長の吸光度を測定した値によって評価
した。
【0028】実施例2 350℃の恒温槽中の300ccのステンレス製オート
クレーブに、参考例で得た2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸の粗結晶25g及び5重量%イソプロパノール(S
P=23.4)水溶液を液満になるまで(約160g)
仕込み、350℃、170kg/cm2Gの条件下に1.5時間
保ち粗結晶をイソプロパノール水溶液に溶解させた。次
に、恒温槽の温度を約3時間かけて250℃に低下させ
て2,6−ナフタレンジカルボン酸の結晶を析出させた
後、背圧弁で圧力を同圧力に保ちながら、オートクレー
ブに250℃の純水をポンプで2.0ml/分で約4時
間フィードしてオートクレーブ内の液相を同温度、同圧
力の純水に置換した。温度、圧力を常温、常圧に戻し、
オートクレーブ中の結晶を濾過、乾燥して、高純度2,
6−ナフタレンジカルボン酸の結晶12.7gを得た。
得られた結晶の分析結果を粗結晶の値と共に表2に示
す。
【0029】実施例3 350℃の恒温槽中の300ccのステンレス製オート
クレーブに、参考例で得た2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸の粗結晶25g及び5重量%第3ブタノール(SP
=19.6)水溶液を液満になるまで(約160g)仕
込み、350℃、170kg/cm2Gの条件下に1.5時間保
ち粗結晶を第3ブタノール水溶液に溶解させた。次に、
恒温槽の温度を約3時間かけて250℃に低下させて
2,6−ナフタレンジカルボン酸の結晶を析出させた
後、背圧弁で圧力を同圧力に保ちながら、オートクレー
ブに250℃の純水をポンプで2.0ml/分で約4時
間フィードしてオートクレーブ内の液相を同温度、同圧
力の純水に置換した。温度、圧力を常温、常圧に戻し、
オートクレーブ中の結晶を濾過、乾燥して、高純度2,
6−ナフタレンジカルボン酸の結晶13.4gを得た。
得られた結晶の分析結果を粗結晶の値と共に表2に示
す。
【0030】実施例4 350℃の恒温槽中の300ccのステンレス製オート
クレーブに、参考例で得た2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸の粗結晶25g、及びイソプロパノール5重量%と
トルエン(SP=18.3)0.02重量%を含有する水
溶液を液満になるまで(約160g)仕込み、350
℃、170kg/cm2Gの条件下に1.5時間保ち粗結晶をイ
ソプロパノール水溶液に溶解させた。次に、恒温槽の温
度を約3時間かけて250℃に低下させて2,6−ナフ
タレンジカルボン酸の結晶を析出させた後、背圧弁で圧
力を同圧力に保ちながら、オートクレーブに250℃の
純水をポンプで2.0ml/分で約4.5時間フィードし
てオートクレーブ内の液相を同温度、同圧力の純水に置
換した。温度、圧力を常温、常圧に戻し、オートクレー
ブ中の結晶を濾過、乾燥して、高純度2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸の結晶12.9gを得た。得られた結晶
の分析結果を粗結晶の値と共に表2に示す。
【0031】参照例 350℃の恒温槽中の300ccのステンレス製オート
クレーブに、参考例で得た2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸の粗結晶25g及び水を液満になるまで(約160
g)仕込み、350℃、170kg/cm2Gの条件下に1.5
時間保ち粗結晶を水に溶解させた。次に、恒温槽の温度
を約3時間かけて250℃に低下させて2,6−ナフタ
レンジカルボン酸の結晶を析出させた後、背圧弁で圧力
を同圧力に保ちながら、オートクレーブに250℃の純
水をポンプで2.0ml/分で約4時間フィードしてオ
ートクレーブ内の液相を同温度、同圧力の純水に置換し
た。温度、圧力を常温、常圧に戻し、オートクレーブ中
の結晶を濾過、乾燥して、2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸の結晶13.4gを得た。得られた結晶の分析結果
を粗結晶の値と共に表2に示す。
【0032】
【表2】
【0033】実施例5 実施例2において、5重量%イソプロパノール水溶液に
代えて、表3に示す有機溶剤5重量%を用いたこと及び
表3に示した6−カルボキシ−2−ナフトアルデヒド含
有量の2,6−ナフタレンジカルボン酸の粗結晶を使用
したこと以外は実施例2と同様にして、高純度2,6−
ナフタレンジカルボン酸を得た。得られた結晶の量
(g)、並びに6−カルボキシ−2−ナフトアルデヒド
の含有量(ppm)および低減率(%)を表3に示す[該
アルデヒドの低減率(%)は下記式により算出したもの
である]。なお、いずれの場合も、Co、Mnの含有量
は0.1ppm以下であり、Brの含有量は10ppm以下で
あった。
【0034】
【数2】
【0035】
【表3】
【0036】比較例 実施例2において、イソプロパノール水溶液に代えて、
表4に示す有機溶剤5重量%を含む水溶液を液満になる
まで(約160g)仕込んだ以外は実施例2と同様にし
て、高純度2,6−ナフタレンジカルボン酸を得た。得
られた結晶の量並びに6−カルボキシ−2−ナフトアル
デヒドの含有量(ppm)および低減率(%)を表4に示
す。なお、いずれの場合も、Co、Mnの含有量は0.
1ppm以下であり、Brの含有量は10ppm以下であっ
た。
【0037】
【表4】
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、高純度の2,6−ナフ
タレンジカルボン酸を簡単なプロセスで、容易に製造す
ることが出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 奥山 学 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社四日市総合研究所内 (72)発明者 三根 法興 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社四日市総合研究所内 (72)発明者 山岸 昌彦 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社四日市総合研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不純物を含有する2,6−ナフタレンジ
    カルボン酸の粗結晶を、溶解度パラメーター18〜35
    の含酸素有機溶剤からなる群から選ばれるエントレーナ
    ーを含有する超臨界または亜臨界状態の水に溶解し、得
    られた溶液を冷却して結晶を析出させ、該結晶を母液か
    ら分離することを特徴とする高純度2,6−ナフタレン
    ジカルボン酸の製造方法。
  2. 【請求項2】 結晶を母液から分離するときの温度が8
    0〜270℃である請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記粗結晶を水に溶解させるときの温度
    が275〜380℃である請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記含酸素有機溶剤が、アルコール類、
    ケトン類およびエーテル類からなる群から選ばれるもの
    である請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記エントレーナーの含有量が0.01
    〜40重量%である請求項1記載の方法。
JP1818195A 1994-03-15 1995-02-06 高純度2,6−ナフタレンジカルボン酸の製造方法 Pending JPH07304705A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1818195A JPH07304705A (ja) 1994-03-15 1995-02-06 高純度2,6−ナフタレンジカルボン酸の製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6-44024 1994-03-15
JP4402494 1994-03-15
JP1818195A JPH07304705A (ja) 1994-03-15 1995-02-06 高純度2,6−ナフタレンジカルボン酸の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07304705A true JPH07304705A (ja) 1995-11-21

Family

ID=26354826

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1818195A Pending JPH07304705A (ja) 1994-03-15 1995-02-06 高純度2,6−ナフタレンジカルボン酸の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07304705A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5292934A (en) Method for preparing aromatic carboxylic acids
EP1497252B1 (en) Method of removing iron contaminants from liquid streams during the manufacture and/or purification of aromatic acids
JP3729284B2 (ja) 高純度テレフタル酸の製造方法
EP0021747B1 (en) Process for the preparation of terephthalic acid
EP0265137B1 (en) Purifying terephthalic acid
EP0601177B1 (en) Method for preparing aromatic carboxylic acids
DE69413946T2 (de) Verfahren zur Herstellung von hochreiner 2,6-Naphthalindicarbonsäure
EP0457606B1 (en) Process for producing highly pure isophthalic acid
EP1971566A1 (en) A process for preparing high purity terephthalic acid
US4675438A (en) Direct continuous flow integration of production and purification of high purity iso- or terephthalic acid
EP0083224B1 (en) Process for producing aromatic polycarboxylic acid with high purity
JPH07173100A (ja) 高純度2,6−ナフタレンジカルボン酸の製造方法
US4754060A (en) Process for producing naphthalenedicarboxylic acid together with trimellitic acid
JPH07304705A (ja) 高純度2,6−ナフタレンジカルボン酸の製造方法
JP2924104B2 (ja) 高純度イソフタル酸の製造方法
JP3879781B2 (ja) 高純度2,6−ナフタレンジカルボン酸の製造方法
JP2001226323A (ja) 安息香酸ベンジルの回収方法
JP4207273B2 (ja) ナフタレンジカルボン酸の製造法
JPH09208518A (ja) 高純度ナフタレンジカルボン酸の製造法
JP3826960B2 (ja) 高純度ナフタレンジカルボン酸の製造方法
JP3757989B2 (ja) ナフタレンジカルボン酸の精製方法
JPH1180074A (ja) 高純度2,6−ナフタレンジカルボン酸の製造法
JP3201436B2 (ja) 高純度イソフタル酸の製造法
JPH09151160A (ja) 単環芳香族カルボン酸の精製方法
JPH04279549A (ja) 精製テレフタル酸の製造方法