JP3201436B2 - 高純度イソフタル酸の製造法 - Google Patents
高純度イソフタル酸の製造法Info
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- Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
Description
脂、アルキッド樹脂、耐熱性ポリアミド等のポリマー中
間原料として有用な高純度イソフタル酸の製造法に関す
る。
ジアルキルベンゼン類を液相で酸化することによって製
造される。イソフタル酸はメタジアルキルベンゼンを液
相酸化することによって製造され、特公昭60−484
97号にはメタキシレンを酢酸等の脂肪族カルボン酸溶
媒中、コバルト、マンガンおよび臭素からなる触媒の存
在下に液相酸化する方法が記載されている。また特公昭
58−24421号には、同じくコバルト触媒に酸化促
進剤としてアルデヒドを存在させて酸化する方法が記載
されている。
としてのポリマー製品に対する品質要求が厳しく、ポリ
マー原料として高純度で且つ白色度に優れたイソフタル
酸が要求されている。しかしながらこれらの酸化方法で
得られるイソフタル酸中には、3カルボキシベンズアル
デヒド(以下、3CBAと称する)をはじめとする多量
の不純物が含まれており、このままポリマーにしても色
相は優れず、高機能の用途には適さないので精製を行う
必要がある。このため特公昭51−32618号には、
このような不純物を含むイソフタル酸を精製して高純度
イソフタル酸を製造する方法として、液相酸化で得られ
たイソフタル酸の水溶液を高温でパラジュウム触媒の存
在下に水素との接触処理(以下、「接触水素化」と称す
る)する方法が記載されている。
8号の方法により、酸化で得られた粗製イソフタル酸水
溶液を水素接触処理によって精製すれば高純度イソフタ
ル酸を得ることができるが、水添精製の溶媒として水を
用いているために、結晶を分離した母液中のトルイル酸
や同伴するイソフタル酸は母液とともに排出され、収率
を上げることができない。また排水中にトルイル酸やイ
ソフタル酸が多量含まれることになるので水質汚染の原
因となり、大規模な排水処理設備が必要になる。この対
策として発明者等は先に特開平4−21653号におい
て、溶媒として含水酢酸を用いて粗イソフタル酸の接触
水素化を行い、イソフタル酸結晶を分離した後の母液を
液相酸化反応の溶媒として循環使用することを提案し
た。
れも粗イソフタル酸を用いるものであり、これを工業的
規模で実施した場合の全体の工程は、酸化反応→晶析→
分離→乾燥→再溶解→接触水素化→晶析→分離→乾燥と
多くの工程があり、これらにかかわる多大な投資、複雑
な運転制御が問題となる。本発明は、イソフタル酸製造
における製造工程を簡略化し、経済性に優れた高純度イ
ソフタル酸の製造法を提供することを目的とする。
酸製造における上記の如き課題について鋭意検討した結
果、液相酸化工程からの酸化反応流出物中に溶存してい
る酸素を除去すれば、直接接触水素化に用いることがで
き、粗イソフタル酸の晶析、分離、乾燥、再溶解工程を
省略できるようになり、イソフタル酸製造の製造工程が
著しく簡略化されることを見出し、本発明に到達した。
を液相酸化し、得られた酸化反応流出物中の溶存酸素を
除去した後、該酸化反応流出物を水素存在下170〜3
00℃の温度で活性炭に担持させた第VIII族貴金属と接
触処理することを特徴とする高純度イソフタル酸の製造
法である。
液相酸化において、液相酸化反応流出物をそのまま、或
いは新たに酢酸または水を加えて希釈して、脱酸素工程
で溶解残存している酸素を除去した後、接触水素化を行
い、イソフタル酸結晶を析出させて分離し、分離母液を
濾過処理すれば、これを液相酸化反応の溶媒として循環
使用することができる。これによりイソフタル酸の収率
が向上すると共に、分離母液中に溶解している酸化反応
の触媒成分が再利用され、また排水処理設備も著しく簡
略化されるので、工業的に有利なイソフタル酸製造プロ
セスとなる。以下、本発明を詳しく説明する。
アルキルベンゼン類を公知の液相酸化法により酸化する
ことにより得られる。液相酸化反応は通常、酢酸溶媒中
コバルトおよびマンガン等の重金属の存在下、或はこれ
らの重金属と臭素化合物の存在下、分子状酸素により行
われる。この酸化法は、例えば酢酸或は水を含む酢酸を
溶媒としてコバルトおよびマンガン等の重金属及び臭素
化合物を存在させ、温度150〜240℃、圧力10〜
30気圧で空気により行う方法が用いられる。またコバ
ルト触媒存在下、温度100〜150℃、圧力5〜20
気圧で空気により酸化反応を行う方法、或いはこれにア
セトアルデヒド等の促進剤を用いる方法を用いることも
できる。
ベンゼン類として通常メタキシレンが使用されるが、置
換基はメチル基に限定する必要はなく、エチル、プロピ
ル、i−プロピル基でも良い。またアルキル基の他に、
アルデヒド、アセチル基の場合でも酸化されればカルボ
キシル基となり、更に置換基の一つがカルボキシル基で
あってもイソフタル酸が得られるので、これらの置換基
がベンゼン核のメタの位置に有する芳香族化合物も原料
のメタジアルキルベンゼン類に含めることができる。
3CBAの濃度は500〜5000ppmの範囲とする
ことが望ましい。このために液相酸化反応は通常、主酸
化反応と後酸化反応に分け、一定の滞留時間を保つよう
にすることが行われる。本発明の方法においては、前記
酸化で得られた酸化反応流出物を接触水素化装置に導く
にあたって、後述する接触水素化条件に合わせるため
に、必要に応じて溶媒の酢酸または水を加えてイソフタ
ル酸濃度を調整する。酸化反応流出物中に残存する酸素
を除去する方法としては、一般に回分式では酸化反応終
了後に窒素等の不活性ガスを吹き込む方法が行われ、連
続式では酸化反応器から流出物を脱気槽に導入し不活性
ガスを吹き込む方法が行われる。なお不活性ガスを吹き
込んでその排出ガス中の酸素濃度が十分に(O2 が0.
05%程度に)低下していることを確認した後、次の接
触水素化工程に用いる水素の一部を吹き込むことによっ
て酸素除去を完成させることが望ましい。酸素除去を行
わない場合には精製イソフタル酸が着色し易く、また次
の接触水素化工程において3CBA濃度を十分に低下さ
せることが困難となる。
族に属する貴金属が有効で、パラジウム、白金、ルテニ
ウム、ロジウムが好ましく、特にパラジウム、白金が好
ましい。これらの金属は必ずしも単独である必要はな
く、複合させて使うことができる。触媒金属の担体とし
ては活性炭のような多孔性物質が適し、活性炭は特に椰
子殻炭が好適である。触媒金属の担体への担持量は微量
で効果を発揮するが、長期使用に活性を維持するには適
切な量が必要であり、通常 0 .1〜5重量%担持され
る。
高温条件を必要とする。処理温度は170〜300℃、
好ましくは180〜250℃である。イソフタル酸の溶
媒への溶解度が温度に大きく依存するため、低い温度で
は低濃度の溶液しか処理できず工業的に不利なので、1
70℃以上に保持する必要がある。300℃より高い温
度では副反応量の増加や酢酸の水素化分解が生じる。
タル酸濃度は10〜30重量%の範囲が好ましく、採択
した温度に対しイソフタル酸が完全に溶解している状態
とする。また反応液中の水分は 1〜50重量%となる
ように調整する。圧力は溶媒の液相を維持するに充分
で、且つ接触水素化反応に適切な水素分圧を保持する圧
力であれば良く、通常15〜50 kg/cm2 の範囲であ
る。接触水素化工程において用いられる水素量は、供給
液中に含まれる3CBAに対して少なくとも2倍モル以
上の供給が必要である。この水素は連続的に供給するこ
ともできるが、水素が必要量に対して十分な溶解量が得
られる場合には予め供給液に水素を溶解させて接触水素
化反応器に導入することもできる。処理時間は、実質的
に接触水素化反応が進行するに充分な時間であり、1〜
300分、好ましくは2〜120分の範囲である。
素化することによって、酸化反応で生成した3CBAは
m−トルイル酸に転化され、またその他着色性不純物も
酢酸に可溶性の非着色性物質に転化される。接触水素化
をした溶液は冷却することによりイソフタル酸が晶析さ
れ、次いで結晶が固液分離される。分離された結晶は洗
浄後乾燥することにより、高純度で且つ白色度の優れた
イソフタル酸が得られる。
ゼン類の液相酸化反応の溶媒として使用できる。しかし
分離母液の再使用に関しては、予め濾過処理をして接触
水素化の触媒微粉を除去する必要がある。この濾過処理
は前記の水素接触処理後に高温の溶液状態で多孔性の濾
過材を通過させる方法が好適である。かかる濾過処理を
必要とする理由は、触媒微粉の製品への混入を防ぐこと
と、接触水素化に用いた第VIII族貴金属触媒が液相酸化
反応に強烈な阻害作用を及ぼすので再使用する分離母液
には接触水素化処理に使用した触媒金属の混入を避ける
必要があるからである。濾過処理として、開孔径 0.1
〜20μmの多孔性材料からなるフィルターを通過させ
る方法が適する。特に高温で濾過する場合、耐腐食性の
基材として炭素、セラミック、ガラス、金属などの多孔
性材料の選択が好ましい。
よって分離母液に含まれているm−トルイル酸及びイソ
フタル酸がイソフタル酸として再び回収され、イソフタ
ル酸の収率が向上すると共に、酢酸の水素化生成物であ
るアセトアルデヒド、エタノール、酢酸エチル等も酢酸
に酸化され、酢酸の損失量が減少する。またこの母液中
に溶解している酸化反応の触媒成分は接触水素化工程に
おいて還元されるので(特に臭素成分)、触媒として有
効に再使用される。すなわち本発明の方法においては、
粗イソフタル酸の分離工程が省略されて、これに使用さ
れるユーテリティが削減されるのみでなく、このように
分離母液を酸化反応に循環使用することによって、イソ
フタル酸収率の向上等があり、またイソフタル酸製造装
置からの排水量も著しく削減される。
本願はこれらの実施例により制限されるものではない。
なお3CBA濃度及びイソフタル酸の樹脂色(ハーゼ
ン)は、次のようにして測定した。 3CBA濃度・・・ポーラログラフで測定した。 樹脂色(ハーゼン) イソフタル酸:フマル酸:ネオペンチルグリコール:プ
ロピレングリコール=57:43:50:53の割合
(モル比)で重合させ、得られた樹脂のスチレン溶液
(樹脂60wt%)について樹脂色をハーゼン色数で示
す。樹脂色はハーゼン色数が小さいほど良好である。
し、原料供給口、反応生成物抜出口、空気導入口、排ガ
ス排出口、を有する耐圧チタン製のオートクレーブに、
酢酸(水分10%)100重量部、酢酸コバルト4水塩
0. 0626部、酢酸マンガン4水塩0. 185部、臭
化水素酸(47%)0. 125部を仕込んだ(触媒濃度
は溶媒重量当りコバルト147ppm、マンガン412
ppm、臭素576ppm)。次に窒素を圧入して圧力
10kg/cm2 Gに昇圧後、加熱装置で200℃に昇
温した。温度が200℃になってからこの装置にメタキ
シレンを毎分0. 223重量部の割合で、またメタキシ
レンの供給と同時に空気の送入を開始し、同時に酸化排
ガス中の酸素濃度を5%に保つように空気流量を制御し
た。このときの圧力はおおよそ16から20kg/cm
2 Gの範囲とし、反応温度を200℃になるように圧力
を調節した。50分間メタキシレンの供給を続け、供給
停止後も空気の送入を5分間続け酸化を完結させた。本
工程を終わった時点でのオートクレーブ中のイソフタル
酸とその中間体の合計量の濃度は約15%であった。
入口から窒素ガスを送入した。排ガス排出口から排出さ
れるガス中の酸素濃度が0. 05%以下になった時点で
窒素ガス送入を停止した。次に空気導入口から水素ガス
を送入した。水素ガスの送入は排出ガス中の窒素濃度が
10%以下になるまで行った。
オートクレーブを230℃まで昇温し、同時に圧力が3
0kg/cm2 Gになるように水素ガスで調節した。こ
の状態ではイソフタル酸などの反応生成物は完全に溶解
している。また溶媒の蒸気圧がおおよそ21kg/cm
2 Gであるので、水素分圧はおおよそ9kg/cm2G
である。これにより接触水素化反応に必要な水素がオー
トクレーブ中での気液平衡で溶解し次の接触水素化装置
に供給される。なおこの条件では溶媒1kg当りおおよ
そ1. 6Nリッターの水素が溶解していることになる。
加熱装置からなる流通式装置を使用した。触媒には椰子
殻活性炭(4〜8メッシュ)にパラジュウムを担持させ
た粒状パラジュウム触媒(パラジュウム0. 5wt%担
持)200mlを充填した。オートクレーブの反応生成
物排出口の弁を開けて反応生成物溶液を接触水素化装置
に1200kg/hの速度で導入した。触媒層温度を2
30℃に設定し、反応生成物溶液に溶解している水素に
より接触水素化反応を行われた。接触水素化反応が行わ
れた反応生成物は100℃の晶析器に移してイソフタル
酸結晶を析出させ、酢酸で洗浄しながら濾過分離後乾燥
し、製品のイソフタル酸155重量部を得た。この結
果、原料のメタキシレンに対するイソフタル酸の収率は
93モル%であり、高純度で白色度の優れたイソフタル
酸が得られた。
成物を抜き出し、100℃の晶析器に移してイソフタル
酸結晶を析出させ、酢酸で洗浄しながら濾過分離後乾燥
し、製品イソフタル酸157重量部を得た。
略して[接触水素化工程]を行い、製品イソフタル酸1
55部を得た。
ぞれのイソフタル酸についての分析結果を以下に示す。 実施例1 比較例1 比較例2 3CBA ppm 20 220 60 樹脂色ハ−ゼン 30 50 40
工程における粗イソフタル酸の晶析、分離、乾燥、再溶
解の各工程が省略されるので、イソフタル酸の製造装置
の簡略化を図ることができ、省力化および使用ユーテリ
ティの節減が図られる。また液相酸化反応の副成生物で
ある3CBAが接触水素化処理により還元されてトルイ
ル酸となるので、水素接触処理後の分離母液を液相酸化
反応に循環使用することによりトルイル酸が酸化されて
イソフタル酸になるのでイソフタル酸の収率が向上す
る。更に本発明の方法において水素接触処理後の分離母
液は液相酸化反応に循環使用されるので、分離母液中の
酸化触媒成分が有効に再利用されることになり、またイ
ソフタル酸製造装置における排水処理費用が削減され
る。従って本発明の方法により高機能化用途の不飽和ポ
リエステル樹脂、アルキッド樹脂、耐熱性ポリアミド等
のポリマー原料となるカラー品質の優れた高純度イソフ
タル酸が工業的に有利に製造され、本発明の工業的意義
が大きい。
Claims (2)
- 【請求項1】メタジアルキルベンゼン類を液相酸化し、
得られた酸化反応流出物中の溶存酸素を除去した後、該
酸化反応流出物を水素存在下170〜300℃の温度で
活性炭に担持させた第VIII族貴金属と接触処理すること
を特徴とする高純度イソフタル酸の製造法。 - 【請求項2】メタジアルキルベンゼン類を液相酸化し、
溶存酸素を除去した液相酸化反応流出物を活性炭に担持
させた第VIII族貴金属触媒と接触処理した後、イソフタ
ル酸結晶を析出させて分離し、分離母液を濾過処理した
のちメタジアルキルベンゼン類の液相酸化反応の溶媒と
して循環使用する請求項1の高純度イソフタル酸の製造
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30251392A JP3201436B2 (ja) | 1992-11-12 | 1992-11-12 | 高純度イソフタル酸の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30251392A JP3201436B2 (ja) | 1992-11-12 | 1992-11-12 | 高純度イソフタル酸の製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06157401A JPH06157401A (ja) | 1994-06-03 |
JP3201436B2 true JP3201436B2 (ja) | 2001-08-20 |
Family
ID=17909872
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP30251392A Expired - Lifetime JP3201436B2 (ja) | 1992-11-12 | 1992-11-12 | 高純度イソフタル酸の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3201436B2 (ja) |
-
1992
- 1992-11-12 JP JP30251392A patent/JP3201436B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06157401A (ja) | 1994-06-03 |
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