JPH07302950A - 導波路型固体レーザ - Google Patents

導波路型固体レーザ

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JPH07302950A
JPH07302950A JP6113491A JP11349194A JPH07302950A JP H07302950 A JPH07302950 A JP H07302950A JP 6113491 A JP6113491 A JP 6113491A JP 11349194 A JP11349194 A JP 11349194A JP H07302950 A JPH07302950 A JP H07302950A
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JP
Japan
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waveguide
substrate
type solid
state laser
ngg
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JP6113491A
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English (en)
Inventor
Yujiro Kato
雄二郎 加藤
Makoto Shimokozono
真 下小園
Naoto Sugimoto
直登 杉本
Makoto Yamada
誠 山田
Yasutake Oishi
泰丈 大石
Makoto Shimizu
誠 清水
Shoichi Sudo
昭一 須藤
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Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 0.81μmの半導体レーザで励起可能な、
1.02〜1.03μm波長領域の小型・安価で、他の
導波路型部品への結合が容易な、高出力の導波路型固体
レーザを提供する。 【構成】 導波路を形成するための基板としてGGG、
NGG、SGG、GSGGあるいはNOGの中から選ん
だ単結晶基板1を用い、下部および上部クラッド2,3
として、前記基板材料の中から選んだ単結晶膜を用い
る。ここで構成元素のGaの一部をAlまたはScで置
換し、かつGd、NdあるいはSmの一部をLaに、ま
たはNGG以外の基板材料の場合に限り、Gdあるいは
Smの一部をNdに置換し、光閉じ込め層4には前記基
板材料の単結晶膜の構成元素であるGd、Ndあるいは
Smの一部をYbまたはLuに置換する。またNGG以
外の基板材料の場合に限り、GdあるいはSmの一部を
Ndに置換する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、1μm近辺の特定の波
長の光を効率よく発振する導波路型固体レーザの構成に
関する。
【0002】
【従来の技術】1.02〜1.03μm波長領域の光源
として、小型・安価でかつ容易に他の導波路型部品への
接続が可能であるような、実用に耐える高出力の素子へ
の期待が高まりつつある。1.02〜1.03μmの波
長領域において、室温でのCW発振が実現されているも
のは、色素レーザや第2高調波を利用するものを除け
ば、現在のところ、GaAs基板上に歪み超格子等によ
り形成した半導体レーザ、Ti:Al23(チタンサフ
ァイア)レーザおよびCr:SrAlF5レーザ、そし
てYb:Y3Al512(Yb:YAG)レーザだけであ
る。
【0003】色素レーザは、当然のことながら、装置全
体が大型であるため実験室レベルでしか用いることがで
きない。また、第2高調波を用いると、効率が極端に低
下するため、高出力を実現することが困難である。
【0004】半導体レーザは、他の導波路型部品への接
続は比較的容易であり、かつ小型であるため開発が進め
られている。しかし、もともと安定に発振させるのが困
難な波長領域であるため、素子の歩留まりが低いことが
まず第一の問題である。このため、現在のところ極めて
高価である。また、長期の安定性にも課題が多く、かつ
発振を安定させるのに、反射戻り光を遮断するためのア
イソレータを必要とする。1μm近辺の光に対するアイ
ソレータは、通信波長(1.3μmあるいは1.55μ
m)用のアイソレータに用いられている磁性ガーネット
材料では挿入損失が大きくなることから、HgCdMn
Teのような特殊な半導体材料を用いて作製されている
が、大型の結晶育成が困難であり、なおかつ組成制御が
困難でもあり非常に高価なものとなっている。
【0005】Ti:Al23(チタンサファイア)レー
ザおよびCr:SrAlF5レーザは、波長可変の固体
レーザであり、それぞれ0.7〜1.1μmおよび0.
825〜1.01μmの発振が可能である。これら波長
可変固体レーザにおける問題点の一つは、これらを励起
するのに大型のガスレーザを用いる必要があることであ
る。Ti:Al23(チタンサファイア)レーザは、ア
ルゴンレーザにより励起する。Cr:SrAlF5レー
ザでは、クリプトンレーザを用いる。さらに、これらの
レーザからの出射光を他の導波路型部品に効率よく結合
するには、さまざまの工夫が必要であり、小型で安価と
いう要求を全く満たせない。
【0006】Yb:Y3Al512(Yb:YAG)レー
ザは、最近1.03μmでの室温連続発振が確認された
有望なレーザであるが、発振させるには0.943ある
いは0.968μmの外部励起光が必要である。このよ
うな外部励起光は、前述の波長可変固体レーザを用いる
か、特殊な半導体レーザを用いるかの2者択一である。
波長可変固体レーザには、前述の問題があり、小型・安
価の要求に耐えない。また、励起に半導体レーザを用い
るのであれば、最初から所望の波長域の半導体レーザを
用いるほうが利点が多く、問題にならない。さらに、現
在報告されているレーザは、バルク結晶であり、他の導
波路型部品との接続の観点から、望ましくは、導波路型
固体レーザにしたい。この点に関しても、(1)基板入
手の困難性、(2)結晶成長を一般的な液相成長で行な
うと、成長後、融剤を冷却する際に融剤が膨潤して白金
製の坩堝を破壊すること、(3)YAGは、極めて硬度
が高く、導波路加工が困難であること、(4)YAG基
板には現在のところ、中心付近に結晶性の不良なコアが
存在すること、等障害が多い。
【0007】
【本発明が解決しようとする課題】このように、従来型
のレーザにおいては、1.02〜1.03μm波長領域
の光源として、小型・安価でかつ容易に他の導波路型部
品への接続が可能であるような、実用に耐える高出力の
素子の実現は困難であった。
【0008】本発明の目的は、上記問題点を解決すべ
く、基板材料、クラッド材料およびコア材料を適宜選択
することにより、安価な0.81μmの半導体レーザで
の励起が可能な、1.02〜1.03μm波長領域の光
源として、小型・安価でかつ容易に他の導波路型部品へ
の接続が可能であるような、実用に耐える高出力の素子
として機能する導波路型固体レーザを提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上述のような課題を解決
するため、本発明による導波路型固体レーザは、導波路
を形成するための基板としてGd3Ga512(GG
G)、Nd3Ga512(NGG)、Sm3Ga512(S
GG)、Gd3Sc2Ga512(GSGG)あるいは
(GdCa)3(GaMgZr)512(NOG)の中か
ら選ばれる単結晶基板を用い、下部クラッドおよび上部
クラッドとして、前記基板材料の中から選ばれる単結晶
膜であって、構成元素であるGaの一部をAlあるいは
Scで置換し、かつ希土類元素Gd、NdあるいはSm
の一部をLaに、またはNGG以外の基板材料の場合に
限り、GdあるいはSmの一部をNdに置換したものを
用い、光を閉じ込めるコア層として、前記基板材料の中
から選ばれる単結晶膜であって、構成元素である希土類
元素Gd、NdあるいはSmの一部をYbに、またはN
GG以外の基板材料の場合に限り、GdあるいはSmの
一部をNdに置換したものを用いることを特徴とする。
【0010】また、本発明による第二の導波路型固体レ
ーザは、導波路を形成するための基板としてGd3Ga5
12(GGG)、Nd3Ga512(NGG)、Sm3
512(SGG)、Gd3Sc2Ga512(GSGG)
あるいは(GdCa)3(GaMgZr)512(NO
G)の中から選ばれる単結晶基板を用い、下部クラッド
および上部クラッドとして、前記基板材料の中から選ば
れる単結晶膜であって、構成元素であるGaの一部をA
lあるいはScで置換し、かつ希土類元素Gd、Ndあ
るいはSmの一部をLaに、またはNGG以外の基板材
料の場合に限り、GdあるいはSmの一部をNdに置換
したものを用い、光を閉じ込めるコア層として、前記基
板材料の中から選ばれる単結晶膜であって、構成元素で
ある希土類元素Gd、NdあるいはSmの一部をLu
に、またはNGG以外の基板材料の場合に限り、Gdあ
るいはSmの一部をNdに置換したものを用いることを
特徴とする。
【0011】本発明の導波路型固体レーザは、図1にそ
の構成の概念図を示す構造を有している。
【0012】1は導波路型固体レーザを形成するための
ガーネット単結晶基板であり、GGG、NGG、SG
G、GSGGおよびNOGの中から選ばれた一種を用い
る。2は下部クラッド、3は上部クラッドであり、前記
単結晶基板材料の中から選ばれた単結晶膜であって、次
のような元素置換を行なったものである。光を閉じ込め
るためのコア4に比較してわずかに屈折率が小さくなる
よう制御するために、Gaの一部をAlあるいはScに
置き換え、格子定数を基板とほぼ同一の値に制御するた
めに希土類元素であるGd、NdあるいはSmの一部を
Laに、またはNGG以外の基板を用いる場合に限りG
dあるいはSmの一部をNdに置換した。
【0013】4は光を閉じ込めるためのコアであり、前
記単結晶基板材料の中から選ばれた単結晶膜であって、
次のような元素置換を行なったものである。希土類元素
の一部をYbとNdの組み合わせ、またはLuとNdの
組み合わせ、またはその両者で置換し、格子定数を基板
とほぼ同一の値に制御するために必要に応じてLaをさ
らに添加し、また必要に応じてCaおよび/またはMg
を添加した結晶膜を用いる。5および6は、1.02〜
1.03μmの波長域に対するミラーであり、通常は誘
電体膜を用いる。このようにして、導波構造を実現し、
活性イオンとしては、YbイオンあるいはLuイオンを
用いる。
【0014】
【作用】本発明の導波路型固体レーザの動作を説明する
と以下のようになる。AlGaAsで構成される極く一
般的な発光波長0.81μmの半導体レーザからの光を
誘電体ミラー5を通してコア層4に結合させる。コア層
4には、ネオジム(Nd3+)イオンが存在し、この光を
吸収する。また、コア層4には、イッテルビウムイオン
(Yb3+)あるいは4価のルテチウム(Lu4+)イオン
が存在し、ネオジムが吸収したエネルギーの伝達に預か
る。エネルギーの伝達を受けたイッテルビウムイオンお
よびルテチウムイオンは、反転分布を形成し、1.02
〜1.03μmの波長の光を誘導放出する。この誘導放
出をミラー5と6の間で共振・増幅することにより1.
02〜1.03μmのレーザ光が端面から出射する。
【0015】本発明による導波路型固体レーザのコア層
は、希土類元素としてネオジムを含有することから、基
底準位から45/2への吸収遷移により、安価な0.81
μm波長のAlGaAs半導体レーザによる励起が可能
である。45/2から43/2準位へ非発光で遷移したネオ
ジムイオンから双極子間相互作用により自動的に3価の
イッテルビウムイオンあるいは4価のルテチウムイオン
への非発光でのエネルギー伝達があり、イッテルビウム
あるいはルテチウムの25/2準位における1μm近辺の
誘導放出を行なうべく反転分布の形成が可能である。
【0016】ネオジムを活性イオンとして用いる従来の
固体レーザにおいては、吸収・発光の効率を考慮して、
ネオジムイオンの含有量を増大することにより生ずる濃
度消光を回避すべくネオジムの含有量を希土類全体のお
よそ1%前後に選択していた。しかし、本発明において
のネオジムイオンの果たす役割は、それ自体が発光する
ことではなく、0.81μmの励起光を効率よく吸収
し、近傍のイッテルビウムイオンあるいはルテチウムイ
オンにエネルギーを伝達することである。すなわち、含
有量としては、むしろそれ自体の発光が生じにくい程度
以上が望ましく、希土類元素全体の1%以上に選ぶべき
である。
【0017】なお、それぞれの置換する元素の占有率と
しては、ネオジムは希土類元素全体の1%以上、イッテ
ルビウムは高々40%以下、ルテチウムは30%以下程
度が望ましい。また、ガリウムに関しては極くわずかか
ら100%まで許容される。
【0018】ルテチウムイオンを活性イオンとして用い
る場合、カルシウムおよび/またはマグネシウムを添加
すると発光効率が向上する。カルシウムおよびマグネシ
ウムは、通常は3価の価数を有するイオンが占有する位
置に2価の価数を取りつつ置換するため、そのままで
は、電気的に中性を保つことができない。すなわち、電
気的中性を保つべくルテチウムの大部分が価数を通常の
3価から4価へと変化する。このような価数制御の手法
を、一般的に電価補償と称している。4価の価数を有す
るルテチウムイオンが増大することで、固体レーザの効
率は飛躍的に向上する。なお、通常の3価の価数を有す
るルテチウムイオンは、赤外領域の発光には一切関与し
ない。添加されるカルシウムまたはマグネシウムのそれ
ぞれ単独の添加量、添加されるカルシウムとマグネシウ
ムの合計の添加量は、ルテチウムと同量であることが望
ましい。
【0019】本発明の導波路型固体レーザの下部・上部
クラッドはガリウムを含有する。このガリウムの一部を
アルミニウムあるいはスカンジウムに置換することによ
り、ガリウムと他のアルミニウムあるいはスカンジウム
との構成比に従って屈折率を制御し、導波路構造とする
ことが可能である。
【0020】本発明による導波路型固体レーザの持つ利
点には、上述の励起用光源が低価格以外にもあり、これ
をさらに説明すると以下のようになる。
【0021】まず、誘導放出の原理に希土類イオンの蛍
光を利用しているため、波長安定性に優れることが挙げ
られる。たとえ、反射戻り光があったとしても、安定性
に問題はなく、アイソレータ不要であり、低価格化が図
れる。材料にガーネット結晶を用いているため、熱的・
化学的に安定であり、長寿命のレーザである。非常に小
型のレーザであり、励起用光源を別にすると、全長約1
0mm、厚さ約0.5mm、幅はハンドリングが容易な
範囲内で1〜5mm程度に選べる。
【0022】導波路型レーザであるため、当然のことな
がら、他の導波路型デバイスとの結合は容易である。作
製に用いる5種類のガーネット結晶基板は、入手が容易
で、価格も比較的やすく、生産・制御技術が進んでいる
ため、YAG基板の中心部にあるようなコアは見られな
い。液相エピタキシャル成長法による結晶成長技術も完
成しており、YAG結晶のような融剤の膨潤も見られな
い。また、YAG結晶よりも加工性に優れており、導波
路の加工が容易であるとともに、大量生産が可能となり
一層の低価格化が図れる。
【0023】本発明は、以上のことにより、基板材料、
クラッド材料およびコア材料を適宜選択することによ
り、安価な0.81μmの半導体レーザでの励起が可能
な、1.02〜1.03μm波長領域の光源として、小
型・安価でかつ容易に他の導波路型部品への接続が可能
であるような、実用に耐える高出力の素子として機能す
る導波路型固体レーザを提供することが可能である。
【0024】
【実施例】以下に、本発明を具体的実施例に基づいて説
明するが、本発明は、これらの実施例に限定されないこ
とはもちろんである。表4、表5、表6には、それぞれ
実施例1、2、3における導波路型固体レーザの各層の
材料をまとめて示した。
【0025】
【実施例1】基板結晶にGGG、NGG、SGG、GS
GGおよびNOGを用いて、クラッド材料としてガリウ
ムの一部をアルミニウムに置換し、基板との格子定数差
を打ち消すために希土類の一部をランタンに置換した結
晶膜を用い、コア層にイッテルビウム、ルテチウム、ネ
オジムおよびランタンを含有するガーネット結晶膜を用
いた導波路型固体レーザを作製し、特性の評価を行なっ
た。
【0026】直径が約2インチで厚さ約0.4mmのG
GG、NGG、SGG、GSGGおよびNOG単結晶基
板{(111)方位}を用意して、それぞれの基板上に
酸化鉛と酸化硼素を融剤とする液相エピタキシャル成長
法により約950℃の温度で約10μmの厚さに下部ク
ラッド層結晶膜を成長した。この際、1.02〜1.0
3μmにおける屈折率を基板よりも約0.02だけ小さ
くなるようにガリウムの一部をアルミニウムに置換し、
アルミニウムに置換することにより生ずる基板と結晶膜
との格子定数の差を打ち消すために、希土類元素の一部
をランタンに置換する操作も同時に行なった。この際、
成長温度が変化すると、それぞれの元素の偏析係数が変
化するため、屈折率差および格子定数差に関しては、導
波構造が実現できることおよびガーネット結晶の成長が
可能であることが重要であり、少々のずれは問題になら
ない。
【0027】ちなみに、NGGを基板に用いた場合の一
例を示すと、原料のモル比は、PbO:B23:Nd2
3:La23:Ga23:Al23=87:7:2:
0.1:3.7:0.2であった。
【0028】次に、下部クラッドまで形成したそれぞれ
の結晶基板上に、コア層となるイッテルビウム、ルテチ
ウム、ネオジムおよびランタンを含有するガーネット結
晶膜を下部クラッドと同様液相エピタキシャル成長法に
より、約980℃の温度で約5μmの厚さに成長させ
た。なお、NGGを基本とするとネオジムの含有率が多
すぎるため、イッテルビウムおよびルテチウムイオンへ
の効率的なエネルギー伝達ができない。そのためNGG
基板を用いる場合には、コア層は、SGGを基本として
サマリウムの一部をイッテルビウム、ルテチウム、ネオ
ジム、ランタンで置換することにより、NGG基板との
格子整合を図った結晶を用いた。なお、屈折率は、NG
GとSGGでは大差ない。また、希土類元素の置換によ
る屈折率変化は小さいので、これらコア層の屈折率は、
基板と同等であり、クラッド層よりもおよそ0.02だ
け大きい。添加元素のうち発光に関与するのは、イッテ
ルビウム、ルテチウム、ネオジムであり、ランタンは単
に格子整合を取るためだけの役割を果たす。イッテルビ
ウム、ルテチウム、ネオジムの含有量は、合計して希土
類元素の高々10%以下程度とした。
【0029】次に、コア層まで成長した基板に対して、
膜上にコアリッジを加工するためのマスクをフォト工程
により形成し、イオンビームエッチングを行なって幅約
5μm・高さ約5μmの直線状のコアリッジを形成し
た。
【0030】コアリッジの形成まで行なった基板上に、
下部クラッド層と同一の成長条件で約15μmの厚さに
上部クラッド層を成長させることによりコアの断面が5
μm×5μmの導波路構造を形成した。
【0031】最後に、これらの導波路を長さ約10mm
に切断して端面を研磨した後、端面に1.02〜1.0
3μmに対するミラーを形成して導波路型レーザの作製
を終わった。これらの導波路型固体レーザは、図1にそ
の概念図を示す構造を有している。
【0032】これらのレーザの特性を表1に示す。な
お、励起には、0.81μmの半導体LDを用いた。こ
れらの導波路型固体レーザは、出力300mW以上でも
安定であった。
【0033】 表1 各導波路型レーザの特性 基板材料 GGG NGG SGG GSGG NOG 発振しきい値 4 16 8 10 9 (mW) スロープ効率 70 40 50 48 55 (%) 発振波長 1.023 1.025 1.024 1.028 1.024 (μm)
【0034】この表からわかるように、これらの導波路
型固体レーザは高性能であった。
【0035】
【実施例2】実施例1に対して、GGG、SGG、GS
GGおよびNOGの各基板結晶を用いて、クラッドの屈
折率制御を行なうのにガリウムの一部をスカンジウムに
置換し、スカンジウム置換により若干小さくなる格子定
数を引き戻して基板に整合させるのに希土類元素の一部
をネオジムに置換した結晶膜とし、コアは実施例1と同
様とした導波路型固体レーザを作製して特性評価を行な
った。これらの導波路型固体レーザの特性を表2に示
す。
【0036】 表2 各導波路型レーザの特性 基板材料 GGG SGG GSGG NOG 発振しきい値 8 15 18 20 (mW) スロープ効率 58 40 41 38 (%) 発振波長 1.023 1.024 1.028 1.024 (μm)
【0037】この表からわかるように、本実施例のレー
ザの特性は実施例1と同等であることから、スカンジウ
ムとネオジムの役割は、実施例1におけるアルミニウム
およびランタンの役割と同等である。また、これらの導
波路型固体レーザの性能は、出力200mW以上におい
ても十分であった。
【0038】
【実施例3】実施例1に対して、クラッド材料は同一と
して、コア層にルテチウム、ネオジムおよびランタンに
加えてカルシウムおよびマグネシウムを添加した結晶膜
を用いて導波路型固体レーザを作製した。なお、イッテ
ルビウムは加えていない。コア層の屈折率および格子定
数を基板材料と同等にしたことは言うまでもない。カル
シウムおよびマグネシウムは2価のイオンであり、電価
補償を行なうためにルテチウムの4価イオンが増大して
いることが蛍光寿命の測定から確認できた。これらの導
波路型固体レーザの特性を表3に示す。
【0039】 表3 各導波路型レーザの特性 基板材料 GGG NGG SGG GSGG NOG 発振しきい値 6 20 12 14 11 (mW) スロープ効率 65 34 45 42 43 (%) 発振波長 1.023 1.025 1.024 1.028 1.024 (μm)
【0040】この表からわかるように、これらの導波路
型固体レーザは高性能であった。また、出力300mW
以上でも安定であった。
【0041】以上述べたように、本発明の導波路型固体
レーザにおいては、基板/クラッド/コアとも同じ材料
系を用いることが望ましい。それは、格子定数が相互に
近いため、格子整合が取りやすく、その結果高品質の単
結晶膜が得られること、および屈折率が相互に近いた
め、屈折率の制御により導波路構造が作りやすいことに
よる。
【0042】しかし、本発明の効果は同じ材料系同士を
組み合わせた場合のみ現われるわけではない。NGG基
板上にSGGのコアを形成する実施例で示されたよう
に、異なる材料系を組み合わせても高性能の導波路型固
体レーザが得られることが示されている。異なる材料系
を組み合わせることにより設計の自由度が増す利点があ
る。
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【発明の効果】導波路型固体レーザを構成する材料とし
て、GGG、NGG、SGG、GSGG、NOG等のガ
ーネット結晶を用いているため、熱的・化学的に安定で
長寿命である。クラッドを構成する元素であるGaの一
部をAlあるいはScに置換することにより、コアより
も屈折率を低くして、レーザ構造を導波路型としている
ため、コアに光が閉じ込められる。また、クラッド中に
LaあるいはNdを添加し、クラッドを構成する結晶膜
の格子定数を基板と格子整合するように制御するため、
高品質な結晶膜が得られる。誘導放出の原理として希土
類の蛍光を用いているため、反射による戻り光や外部か
らの光学的擾乱があっても、安定な動作を行なう。その
ため、アイソレータ等の光学部品が不要で、非常に小型
にできる。励起光を吸収するための元素としてNdを用
いているため、0.8μm帯に発振波長をもつAlGa
As半導体レーザによる励起が可能である。発光に関与
する元素としてYbあるいはLuを用いているため、
0.98〜1.03μmの光を発振させることができ
る。
【0050】コア層にLaを添加するコアを構成する結
晶膜の格子定数と基板のそれとを整合させることができ
るため、格子不整合による結晶膜の品質低下を防ぐこと
ができ、高効率なレーザができる。
【0051】発光に関与する元素をLuとした場合、コ
アにCaあるいはMgを添加すると、電価補償により、
0.98〜1.03μmの光を発光する4価のLu4+
イオンが増加し、高効率なレーザとなる。望ましくは、
CaとMgの合計量がLuの添加量と同じになるよう添
加すると効果が上がる。
【0052】希土類元素のNdは発光元素としてではな
く励起光を吸収する元素として用いているため、その添
加量は希土類全体の1%以上が望ましい。それにより、
Ndイオンは発光することなく、吸収した光エネルギー
を近傍にあるYbイオンやLuイオンに伝達する。Nd
イオン濃度が1%より少ないとNdイオン自体が発光
し、目的とする0.98〜1.03μmの発振波長が得
られない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による導波路型固体レーザの構成の概念
図。
【符号の説明】 1 導波路を形成するためのガーネット結晶基板 2 下部クラッド 3 上部クラッド 4 コア層 5 ミラー 6 ミラー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 誠 東京都千代田区内幸町1丁目1番6号 日 本電信電話株式会社内 (72)発明者 大石 泰丈 東京都千代田区内幸町1丁目1番6号 日 本電信電話株式会社内 (72)発明者 清水 誠 東京都千代田区内幸町1丁目1番6号 日 本電信電話株式会社内 (72)発明者 須藤 昭一 東京都千代田区内幸町1丁目1番6号 日 本電信電話株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導波路を形成するための基板としてGd3
    Ga512(GGG)、Nd3Ga512(NGG)、S
    3Ga512(SGG)、Gd3Sc2Ga512(GS
    GG)あるいは(GdCa)3(GaMgZr)5
    12(NOG)の中から選ばれる単結晶基板を用い、下部
    クラッドおよび上部クラッドとして、前記基板材料の中
    から選ばれる単結晶膜であって、構成元素であるGaの
    一部をAlあるいはScで置換し、かつ希土類元素G
    d、NdあるいはSmの一部をLaに、またはNGG以
    外の基板材料の場合に限り、GdあるいはSmの一部を
    Ndに置換したものを用い、光を閉じ込めるコア層とし
    て、前記基板材料の中から選ばれる単結晶膜であって、
    構成元素である希土類元素Gd、NdあるいはSmの一
    部をYbに、またはNGG以外の基板材料の場合に限
    り、GdあるいはSmの一部をNdに置換したものを用
    いることを特徴とする導波路型固体レーザ。
  2. 【請求項2】前記コア層においてNdの占有率は希土類
    元素全体の1%以上であり、Ybの占有率は希土類元素
    全体の40%以下であることを特徴とする請求項1記載
    の導波路型固体レーザ。
  3. 【請求項3】コア層にLaを添加することを特徴とする
    請求項1又は2記載の導波路型固体レーザ。
  4. 【請求項4】導波路を形成するための基板としてGd3
    Ga512(GGG)、Nd3Ga512(NGG)、S
    3Ga512(SGG)、Gd3Sc2Ga512(GS
    GG)あるいは(GdCa)3(GaMgZr)5
    12(NOG)の中から選ばれる単結晶基板を用い、下部
    クラッドおよび上部クラッドとして、前記基板材料の中
    から選ばれる単結晶膜であって、構成元素であるGaの
    一部をAlあるいはScで置換し、かつ希土類元素G
    d、NdあるいはSmの一部をLaに、またはNGG以
    外の基板材料の場合に限り、GdあるいはSmの一部を
    Ndに置換したものを用い、光を閉じ込めるコア層とし
    て、前記基板材料の中から選ばれる単結晶膜であって、
    構成元素である希土類元素Gd、NdあるいはSmの一
    部をLuに、またはNGG以外の基板材料の場合に限
    り、GdあるいはSmの一部をNdに置換したものを用
    いることを特徴とする導波路型固体レーザ。
  5. 【請求項5】前記コア層においてNdの占有率は希土類
    元素全体の1%以上であり、Luの占有率は希土類元素
    全体の30%以下であることを特徴とする請求項4記載
    の導波路型固体レーザ。
  6. 【請求項6】コア層にCaあるいはMgのいずれか一方
    あるいは両方を添加することを特徴とする請求項4また
    は5記載の導波路型固体レーザ。
  7. 【請求項7】Caおよび/またはMgの添加量は合計し
    て、Luと同量であることを特徴とする請求項6記載の
    導波路型固体レーザ。
  8. 【請求項8】コア層にLaを添加することを特徴とする
    請求項4から7記載のいずれかの導波路型固体レーザ。
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