JPH0729895Y2 - ピローブーツの取付構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、ヘッドレストのステーを収納して、ヘッド
レスト、シートバック間に配設されたピローブーツの取
付構造に関する。

〔従来の技術〕

たとえば、乗用車用シートに代表されるように、各種車
両のシートのシートバック上端に、着座者の頭部を支持
して、着座者頭部の安全性、安定性を確保するヘッドレ
ストが配設されている。ヘッドレストは、一般に、２本
のステーと称するパイプ状の支持ロッドを介して、たと
えば、シートバック上端に取付けられたヘッドレストホ
ルダーに、上下方向に摺動可能に装着され、ステーを摺
動させることによって、高さを調整可能に構成されてい
る。

しかし、このようなヘッドレストを上昇させると、ヘッ
ドレスト、シートバック間にステーが露出し、外観品質
を低下させる。そこで、ステーを収納し、ヘッドレス
ト、シートバック間に配設されて、ステーの露出を防止
するヘッドレストのピローブーツが提供されている。

このようなピローブーツとして、たとえば、ヘッドレス
トの昇降に伴って変化するヘッドレスト、シートバック
間の隙間に対応して伸縮するように、合成樹脂等からジ
ャバラ状に成形されたものがよく知られている。

このようなピローブーツの上端は、たとえば、ステー上
端に嵌着されたストッパによって、ピローブーツ内に収
納された押えプレートとともにヘッドレストの下面に押
しつけられて、ステーと一体的に昇降可能に取付けられ
ている。押えプレートは、たとえば、ステーに挿通され
てピローブーツ内に配設され、ピローブーツ上端を全面
的に支持可能に形成されている。

このような構成では、ステーの摺動、つまりは、ヘッド
レストの昇降に追従して、ピローブーツが伸縮されるた
め、ヘッドレストの上昇時、下降時のいずれにおいて
も、ステーの露出が防止される。

また、押えプレートによって、ピローブーツ上端が均等
に支持されるため、ヘッドレスト下面とピローブーツ上
端との間の隙間の発生が均等に防止される。

〔考案が解決しようとする課題〕 しかしながら、ストッパは、嵌合孔にステーを嵌入し、
嵌合孔周面とステーとの摩擦力のもとで、ステー上端に
保持されているにすぎない。

そのため、たとえば、嵌合孔周面とステーとの摩擦力以
上の外力が、ステーに対してピローブーツ上端を下降さ
せる力として作用すると、ストッパが、外力のもとで下
方にずれる虞れがある。

ストッパが外力によって、わずかでも下方にずれると、
押えプレートがストッパとともにずれて、ストッパ、ピ
ローブーツ上端間に隙間が生じる。しかし、押えプレー
トは、ステーに挿通され、ステーに嵌着されたストッパ
によって下方から支持されて、ピローブーツ上端ととも
にヘッドレストの下面に押しつけられて、ステー上端に
保持されているにすぎない。

そのため、ステーに対してストッパがずれると、ストッ
パ、ピローブーツ間に隙間が生じ、押えプレートの動き
の規制が解除されて、押えプレートにガタつきが生じ
る。押えプレートにガタつきが生じると、自動車走行時
の震動等によって、押えプレートがステーに接触し、異
音を発生させる。異音の発生は、着座者の快適性を低下
させるとともに、特に、ドライバーに不安感を与え、ド
ライバーの集中力を散漫化させる虞れがある。

そして、ステーに対するストッパのすれを抑制するため
には、ストッパの成形およびストッパの組付け行程に高
い精度が要求される。そのため、ストッパの成形時、組
付け時の作業が煩雑化し、作業性が低下される。

この考案は、押えプレートとステーとの接触を防止し
て、着座者の快適性の改善をはかるピローブーツの取付
構造の提供を目的としている。

〔課題を解決するための手段〕

この目的を達成するために、この考案によれば、たとえ
ば、ステーの貫通される貫通孔を有して、ピローブーツ
内に収納可能に成形された押えプレートと、ステーの嵌
合される嵌合孔を有して、押えプレートを下方から支持
可能に成形されたストッパとを具備している。

また、押えプレート、ストッパのいずれか一方に少なく
とも１つの突起を設けるとともに、他方に突起の挿入可
能な挿通孔を設け、挿通孔への突起の挿入によって、押
えプレートがステーから離反した状態で、ストッパと一
体的に結合可能に構成されている。

そして、ピローブーツ上端を押えプレートとともにヘッ
ドレスト下面に押しつけ、ステー上端にストッパを嵌
着、保持することによって、ピローブーツ上端が取付け
られている。

〔実施例〕

以下、図面を参照しながらこの考案の実施例について詳
細に説明する。

第１図、第２図に示すように、この考案に係るピローブ
ーツの取付構造10において、ピローブーツ12は、ヘッド
レスト14のステー16を収納して、ヘッドレスト、シート
バック18間に配設されている。

ピローブーツ12は、たとえば、合成樹脂等から伸縮可能
なジャバラ状に成形され、ヘッドレストのステー16の挿
通可能な挿通孔20を上端に備えるとともに、下端の開口
22がシートバック18のヘッドレストホルダー24を覆うよ
うに形成されている。このようなピローブーツ12におい
ては、ヘッドレスト14の下面から延出された一対のステ
ー16をピローブーツの挿通孔20から下端開口22に挿通す
ることによって、ステーがピローブーツに収納されてい
る。

第１図、第３図に示すように、ピローブーツ12にステー
16を収納した後、ピローブーツ内に押えプレート26が配
設されている。押えプレート26は、たとえば、ステー16
の貫通可能な貫通孔28を有して、平坦な板金等から、ピ
ローブーツ12の上端全面を支持可能に成形され、挿通孔
にステーを挿通させてピローブーツ内に収納されてい
る。

そして、押えプレート26の下方から、押えプレートを支
持し、下方への落下を防止するストッパ30が、ステー16
に嵌着されている。ストッパ30は、たとえば、ステー16
の嵌入される嵌合孔32とともに、押えプレートを支持す
るフランジ33を有して合成樹脂等から成形されている。
ストッパの嵌合孔32の周面は、嵌入されたステー16との
間に大きな摩擦力を作用させるように、たとえば、波形
状に形成されている。そして、波形状部の復帰力によっ
て生じる嵌合孔32、ステー16間の大きな摩擦力のもと
で、ステーの上端にストッパ30が保持されている。

ここで、この考案によれば、第１図、第３図を見るとわ
かるように、たとえば、ストッパ30の上面に突起34を設
けるとともに、突起の挿入可能な挿通孔36を押えプレー
ト26に形成し、押えプレート、ストッパを一体的に連結
可能に構成されている。ストッパの突起34は、たとえ
ば、貫通孔32を中心として、180°離反した２箇所に設
けられ、押えプレートの挿通孔36は、たとえば、押えプ
レート26の長手方向に形成されている。押えプレートの
挿通孔36は、第３図、第４図に示すように、たとえば、
貫通孔28を中心とする円弧に沿った長孔とすることが好
ましい。

そして、第１図に示すように、ステー16をストッパの嵌
合孔32に嵌入するとともに、ストッパの突起34を押えプ
レートの挿通孔36に挿入し、ピローブーツ12の上端がヘ
ッドレスト14の下面に押しつけられる位置までストッパ
30を押上げることによって、ピローブーツの上端が取付
けられている。

上記のように、たとえば、ストッパの突起34を押えプレ
ートの挿通孔36に挿通し、押えプレート26とストッパ30
とを一体的に連結する構成によれば、第１図、第４図に
示すように、押えプレートが、ステー16から離反した状
態で保持される。そのため、外力等の作用によって、ス
トッパ30がステー16に対して下方にずれ、ストッパによ
るヘッドレスト下面への押えプレート26の挾着力が解除
されても、押えプレートの水平方向へのずれ、ガタつき
が抑制され、ステーへの押えプレートの接触が阻止され
る。従って、ストッパ30がステー16に対して下方にずれ
ても、ステー、押えプレート26の接触に起因する異音は
発生せず、着座者、特に、ドライバーに不安感を与える
こともなく、着座者の快適性が改善される。

そして、押えプレート26のずれが防止され、押えプレー
トがピローブーツ12の上端を均等に支持するため、ピロ
ーブーツとヘッドレスト14の下面との間の隙間の発生
が、十分に防止できる。そのため、良好な外観品質が確
保できる。

また、別部材の付加やステー16への別な加工等を必要と
しないため、構成が複雑化しない。

実施例において、押えプレートの挿通孔36は、貫通孔28
を中心とする円弧に沿った長孔として形成されている
が、ストッパの突起34を挿通可能であればよく、突起の
挿通可能な丸孔としてもよい。しかし、挿通孔36を長孔
とすれば、ストッパ30の嵌入時の方向性が一方向に限定
されず、嵌着時のストッパの角度の許容公差が大きく設
定できるため、作業行程が簡素化でき、作業性が改善さ
れる。

また、ストッパの嵌入孔32の周面を波形状に形成してい
るが、これに限定されず、ステー16の嵌合可能な径の嵌
合孔であれば、周面を平坦な形状としてもよい。しか
し、嵌合孔32の周面を波形状とすれば、ステー16の嵌合
によって波形状部が弾性変形し、それに伴う復帰力のも
とで、嵌合されたステーとの間に大きな摩擦力が作用す
るため、ステーに対するストッパ30のずれが十分に抑制
される。そのため、ストッパ30の成形作業時において、
さほど高い精度は要求されず、作業行程が簡素化でき、
この点においても、作業性が改善される。なお、実施例
においては、第１図に示すように、嵌合孔32の下部を波
形状としているが、部分的な波形状に限定されず、嵌合
孔の全面を波形状としてもよい。

また、波形状に限定されず、他の形状の突起をストッパ
の嵌合孔32の周面に形成する構成としてもよい。

更に、実施例においては、突起34をストッパ30に、挿通
孔36を押えプレート26にそれぞれ設けて構成されてい
る。しかし、押えプレート26、ストッパ30が一体的に連
結されればよいため、これに限定されず、これとは逆
に、押えプレート26の下面に、切り起こし等からなる突
起を設けるとともに、ストッパ30の上面に、突起の挿通
可能な挿通孔を設ける構成としてもよい。

また、実施例において、ストッパの突起34、押えプレー
トの挿通孔36は、180°離反した２箇所にそれぞれ設け
られている。しかし、突起34、挿通孔36の数、形状およ
び位置等は図示の構成に限定されない。たとえば、１箇
所または３箇所以上に、突起34、挿通孔36を設ける構成
としてもよい。

なお、実施例においては、ストッパの突起34を押えプレ
ートの挿通孔36に挿通することによって、押えプレート
26がステー16から離反した状態で、ストッパ30と一体的
に結合されている。しかし、ステー16、押えプレート26
が接触不能に離反、隔離できればよいため、これに限定
されず、たとえば、第５図ないし第７図に示すように、
ステー16の嵌入可能な嵌合孔132を有するストッパの突
出部40によって、押えプレート126をステーから隔離す
る構成としてもよい。

このような構成のピローブーツの取付構造110におい
て、押えプレート126は、たとえば、ストッパの突出部4
0の挿通可能な挿通孔42を有して形成されている。そし
て、ストッパの嵌合孔132にステー16を嵌入するととも
に、ストッパの突出部40を押えプレートの挿通孔42に挿
入し、ピローブーツ12の上端がヘッドレスト14の下面に
押しつけられる位置までストッパ130を押上げることに
よって、ピローブーツの上端が取付けられる。

ここで、第６図、第７図に示すように、ストッパの突出
部40の回りに、たとえば、等間隔に離反された４個の突
起44を設け、突起の弾性変形に伴う復帰力によって、突
出部が押えプレートの挿通孔42に大きな摩擦力のもとで
嵌合される構成とすることが好ましい。このような構成
では、ストッパ130、プレート126が大きな摩擦力のもと
で、一体的に結合されるため、押えプレートの挿通孔42
からの、ストッパの突出部40の離脱が防止されるととも
に、ストッパに対する押えプレートのガタつきが確実に
防止できる。

上記のように、この考案のピローブーツの取付構造110
によれば、第５図、第７図に示すように、嵌合孔132を
有するストッパの突出部40が押えプレートの挿通孔42に
挿通されて、押えプレート126、ストッパ130が一体的に
結合され、突出部によって、押えプレートがステー16か
ら隔離されている。つまり、外力等によって、ストッパ
130が、ステー16に対して下方にずれても、押えプレー
ト126とステー16との接触は十分に阻止される。そのた
め、ピローブーツの取付構造110においても、押えプレ
ート126とステー16との接触に起因する異音の発生が防
止でき、着座者の快適性が十分に改善される。

実施例において、突出部40の回りの突起44は、等間隔離
反された４箇所に形成されているが、突起の数、形状お
よび位置等は図示の構成に限定されない。

なお、この考案のピローブーツの取付構造は、車両用シ
ートに適するとはいえ、これに限定されず、他のシート
に応用してもよい。

上述した実施例は、この考案を説明するためのものであ
り、この考案を何等限定するものでなく、この考案の技
術範囲内で変形、改造等の施されたものも全てこの考案
に包含されることはいうまでもない。

〔考案の効果〕

上記のように、この考案に係るピローブーツの取付構造
によれば、対応する挿通孔への突起の挿通によって、押
えプレートが、ステーから離反した状態で、ストッパと
一体的に結合され、結合されたストッパ、押えプレート
によって、ピローブーツ上端が、ヘッドレスト下面に押
しつけられるように保持されている。そのため、ストッ
パがステーに対して下方にずれても、押えプレートがス
テーから確実に離反され、ステー、押えプレートの接触
に起因する異音の発生が防止できる。従って、着座者、
特に、ドライバーの集中力を散漫化させることもなく、
着座者の快適性が改善される。

そして、貫通孔を中心とする円弧に沿った長孔状に挿通
孔を形成すれば、ステーへの嵌着時におけるストッパの
方向性が単一化されず、大きな公差が得られるため、作
業行程が簡素化でき、作業性が改善される。

更に、ストッパの嵌合孔の周面を波形状に形成すれば、
嵌合されたステーとの間に大きな摩擦力が作用するた
め、ステーに対するストッパのずれが十分に抑制され
る。そのため、ストッパの成形作業時において、さほど
高い精度は要求されず、作業行程が簡素化でき、この点
においても、作業性が改善される。

また、ステーの嵌合孔を有するストッパの突出部を挿通
可能な挿通孔を押えプレートに形成し、ストッパの突出
部によって、押えプレートをステーから隔離する構成と
してもよい。このような構成においても、ストッパのず
れに伴う、押えプレートとステーとの接触が十分に阻止
されため、押えプレート、ステーの接触に起因する異音
の発生が防止でき、着座者の快適性が十分に改善され
る。

そして、押えプレートの挿通孔への突出部の挿入によっ
て弾性変形する突起を、ストッパの突出部の回りに設け
る構成とすれば、突起の弾性変形に伴う復帰力によっ
て、突出部が押えプレートの挿入孔に大きな摩擦力のも
とで嵌合される。そのため、押えプレートの挿入孔から
の、ストッパの突出部の離脱が防止されるとともに、ス
トッパに対する押えプレートがガタつきが確実に防止で
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この考案に係るピローブーツの取付構造の概
略縦断面図、 第２図は、ピローブーツの装着されたシートの一部破断
の概略斜視図、 第３図は、押えプレート、ストッパの分解斜視図、 第４図は、結合された押えプレート、ストッパの平面
図、 第５図ないし第７図は、この考案の別実施例を示し、 第５図は、ピローブーツの取付構造の概略縦断面図、 第６図は、押えプレート、ストッパの分解斜視図、 第７図は、結合された押えプレート、ストッパの平面図
である。 10,110:ピローブーツの取付構造、12:ピローブーツ、1
4:ヘッドレスト、16:ステー、26,126:押えプレート、2
8:貫通孔、30,130:ストッパ、32,132:嵌合孔、34:突
起、36:挿通孔、40:突出部、42:挿通孔、44:突起。

Claims (5)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ヘッドレストのステーを収納して、ヘッド
   レスト、シートバック間に配設されたピローブーツの取
   付構造において、 ステーの貫通される貫通孔を有して、ピローブーツ内に
   収納可能に成形された押えプレートと、 ステーの嵌入される嵌合孔を有して、押えプレートを下
   方から支持可能に成形されたストッパと、 を具備し、 押えプレート、ストッパのいずれか一方に少なくとも１
   つの突起を設けるとともに、他方に突起の挿入可能な挿
   通孔を設け、挿通孔への突起の挿入によって、押えプレ
   ートがステーから離反した状態で、ストッパと一体的に
   結合され、 ピローブーツ上端が、ストッパ、押えプレートによっ
   て、ヘッドレスト下面に押しつけられて保持されたこと
   を特徴とするピローブーツの取付構造。
2. 【請求項２】挿通孔が、貫通孔を中心とする円弧に沿っ
   た長孔状に形成された請求項１記載のピローブーツの取
   付構造。
3. 【請求項３】ヘッドレストのステーを収納して、ヘッド
   レスト、シートバック間に配設されたピローブーツの取
   付構造において、 ステーの嵌合される嵌合孔を突出部に有して成形された
   ストッパと、 ストッパの突出部の挿入可能な挿通孔を有して、ピロー
   ブーツ内に収納可能に成形された押えプレートと、 を具備し、 押えプレートの挿通孔への、ストッパの突出部の嵌入に
   よって、押えプレートがステーから隔離された状態で、
   ストッパと一体的に結合され、 ピローブーツ上端が、ストッパ、押えプレートによっ
   て、ヘッドレスト下面に押しつけられて保持されたこと
   を特徴とするピローブーツの取付構造。
4. 【請求項４】押えプレートの挿通孔への、ストッパの突
   出部の挿入によって弾性変形する突起を、ストッパの突
   出部の回りに設けた請求項３記載のピローブーツの取付
   構造。
5. 【請求項５】ストッパの嵌合孔の周面が、波形状に形成
   された請求項１ないし４のいずれか記載のピローブーツ
   の取付構造。