JPH0729802A - 投影露光装置 - Google Patents

投影露光装置

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JPH0729802A
JPH0729802A JP5174162A JP17416293A JPH0729802A JP H0729802 A JPH0729802 A JP H0729802A JP 5174162 A JP5174162 A JP 5174162A JP 17416293 A JP17416293 A JP 17416293A JP H0729802 A JPH0729802 A JP H0729802A
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    • G03F7/00Photomechanical, e.g. photolithographic, production of textured or patterned surfaces, e.g. printing surfaces; Materials therefor, e.g. comprising photoresists; Apparatus specially adapted therefor
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    • G03F7/708Construction of apparatus, e.g. environment aspects, hygiene aspects or materials
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    • G03F7/70866Environment aspects, e.g. pressure of beam-path gas, temperature of mask or workpiece

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ペリクル等の有無に拘らず、常に所定の結像
状態でウエハ上にレチクルのパターン像を投影露光す
る。 【構成】 レチクルRにペリクル28,29が装着され
ているか否かをペリクル判別器24,25、又はバーコ
ードリーダ27等により判別し、この判別結果を主制御
装置26に入力する。主制御装置26は、ペリクル2
8,29の有無に応じてレチクルRの熱変形量を算出
し、この熱変形量からウエハW上での投影像の倍率等の
変化量を算出する。その倍率等の変化量を相殺するよう
に、駆動素子制御部23を介して投影光学系PLの投影
倍率等を補正する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば半導体集積回
路、薄膜磁気ヘッド、あるいは液晶表示デバイス等をフ
ォトリソグラフィ工程で製造する際に、レチクルのパタ
ーンを感光性の基板上に投影露光するために用いられる
投影露光装置に関し、特にレチクルに防塵膜(ペリク
ル)が張設されている場合等に適用して卓効あるもので
ある。
【0002】
【従来の技術】半導体集積回路、薄膜磁気ヘッド、ある
いは液晶表示デバイス等をフォトリソグラフィ工程で製
造する際に、照明光学系からの露光光のもとで、フォト
マスク又はレチクル(以下、「レチクル」と総称する)
のパターンの像を投影光学系を介してフォトレジストが
塗布された基板(ウエハ又はガラスプレート等)上に露
光する投影露光装置が使用されている。この種の投影露
光装置において、半導体集積回路等を高精度に基板上に
形成するためには、投影光学系の結像特性(例えば倍
率、焦点位置等)を常に所定の状態に維持して、レチク
ルのパターン像を基板上に投影露光する必要がある。
【0003】これに関して、露光中にレチクル又は投影
光学系が露光光を吸収することにより、レチクル又は投
影光学系中のレンズエレメント等が熱変形等を起こし、
これによって結像特性が変化した場合にも、最終的に得
られる半導体集積回路等の歩留まりが低下する。そこ
で、従来より、レチクル、又は投影光学系の露光光の吸
収による結像特性の変化を補正する方法が提案されてい
る。先ず、投影光学系の露光光吸収については、例えば
特開昭60−78455号公報又は特開昭63−583
49号公報において、投影光学系に入射する光量を検知
して、投影光学系の光学特性の変動を補正する機構を備
えた投影露光装置が開示されている。また、レチクルの
露光光吸収については、例えば特開平4−192317
号公報において、レチクルの熱変形量を演算によって求
め、この演算結果に応じて投影光学系の光学特性の補正
を行う機構が開示されている。
【0004】通常、レチクルの熱変形は、レチクル上に
描かれている回路パターンの遮光部材(通常クロム等の
金属膜)が露光光線を吸収し、レチクルのガラス基板
(通常石英ガラス)が熱膨張を起こすことによって生じ
る。このため、レチクルの熱膨張量を計算によって求め
るため、従来は遮光部材の材質あるいは露光光線の吸収
率、回路パターンの密度分布(パターン存在率)、光源
のパワー等の情報と、予め求めておいた熱変形の変動特
性に対応するモデルとを用いて計算を行っていた。
【0005】また、熱変形によって生ずる主な結像特性
の変化は、倍率変化(レチクル全体の熱膨張による)、
又は歪曲収差(ディストーション、レチクルの不均一な
熱膨張による)であるため、従来は例えば投影光学系内
の一部のレンズエレメントを光軸方向へ移動させるか、
又は傾斜させることにより、結像特性の変化を相殺する
ように投影光学系の結像特性を補正していた。なお、こ
の場合の倍率変化とは、投影光学系の投影倍率が変化し
ない場合でも、レチクルの熱膨張によって基板上に露光
される回路パターンの大きさが設計上の大きさから変化
する場合を含む概念である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】近年、半導体集積回路
等のパターンの微細化に伴い、レチクル上のパターンに
付着する異物(空気中の微小な塵等)による歩留まりの
低下が問題となっている。そこで、レチクルのガラス基
板のパターン形成面若しくは両面にそれぞれ矩形の枠
(ペリクルフレーム)を介して保護膜(所謂ペリクル)
を張設するか、又はカバーガラス等を配することによ
り、回路パターンに直接異物が付着するのを防ぐ方法が
採られている。
【0007】それらのペリクル等は、その目的から当然
レチクルのガラス基板の一面又は両面に、外部から隔離
され且つ密封された空気室を形成する。このため、レチ
クルが露光光を吸収して温度が上昇したとき、この密封
された空気室の空気が断熱材の役割を果たし、熱がレチ
クルから外部へ伝導するのを防げる。つまり、レチクル
の温度上昇が大きくなる。これにより、同一のレチクル
であってもペリクル等の有無により熱変形の状態が異な
り、結像特性の変化量が異なるという不都合がある。
【0008】ペリクル等の影響は、上記のような断熱効
果のみならず、ペリクル等を支持するペリクルフレーム
(金属製の枠)の熱膨張等によりレチクルの変形量が大
きくなる可能性もある。また、同一の投影露光装置で使
用されるレチクルの全てにペリクル等が用いられている
とは限らず、最小線幅が比較的太い粗いパターンが形成
されているレチクルには、ペリクル等が装着されない場
合もある。従って、ペリクル等が使用されているものと
して一様に取り扱うことはできない。
【0009】本発明は斯かる点に鑑み、ペリクル等の有
無に拘らず、常に所定の結像状態を維持できる投影露光
装置を供給することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明による投影露光装
置は、例えば図1に示すように、照明光(IL)でマス
ク(R)上のパターンを照明する照明光学系(1,5,
8,9)と、マスク(R)のパターンの像を所定の結像
状態で感光基板(W)上に露光する投影光学系(PL)
とを有する投影露光装置において、マスク(R)の形状
を表す形状データを入力するデータ入力手段(24,2
5、27、又は36)と、このデータ入力手段から入力
された形状データに基づき、マスク(R)の熱変形量に
応じて生じるその所定の結像状態の変化量を算出する演
算手段(26)と、この演算手段により算出された変化
量を相殺するように投影光学系(PL)の結像状態を補
正する結像状態補正手段(12,13,19,23)と
を備えたものである。
【0011】この場合、その形状データの一例は、マス
ク(R)のパターン形成面に対する異物の付着を防止す
るための保護部材(ペリクル等)の有無、及びマスク
(R)の厚さを示すデータである。また、マスク(R)
にパターン形成面に対する異物の付着を防止するための
保護部材(28〜31)が装着されている場合に、例え
ば図6に示すように、その保護部材の内部の温度を計測
するための温度計測手段(61,62)を設け、演算手
段(26)は、温度計測手段(61,62)で計測して
得られた温度情報及びそのデータ入力手段から入力され
た形状データに基づき、マスク(R)の熱変形量に応じ
て生じるその所定の結像状態の変化量を算出することが
望ましい。
【0012】
【作用】斯かる本発明によれば、マスク(R)のパター
ン像を感光基板(W)上に投影露光するに際して、先ず
そのデータ入力手段からマスク(R)の形状データ(例
えばペリクル等の保護膜の有無、ペリクル等の保護膜の
内部の温度、又はマスクのガラス基板の厚さ等の情報)
を演算手段(26)に入力する。その形状データを用い
て演算手段(26)は、マスク(R)の熱変形量を算出
した後、この熱変形量に基づいて感光基板(W)上に対
する投影像の結像状態(倍率、焦点位置等)の変化量を
算出する。これに応じて結像状態補正手段(12,1
3,19,23)が、例えば投影光学系(PL)を構成
するレンズ内の所定のレンズの光軸方向の位置若しくは
傾斜角を変える、又はマスク(R)の位置若しくは傾斜
角を変える等により、演算手段(26)により算出され
た結像状態の変化量を相殺するようにその結像状態を変
化させる。これにより、ペリクル等の保護膜の有無、又
はマスク(R)のガラス基板の厚さ等に拘らず、感光基
板(W)への投影像の結像状態が所定の状態に維持され
る。
【0013】また、例えば図6に示すように、ペリクル
等の保護部材の内部の温度を計測するための温度計測手
段(61,62)を設け、演算手段(26)が、温度計
測手段(61,62)で計測して得られた温度情報及び
そのデータ入力手段から入力された形状データに基づ
き、マスク(R)の熱変形量に応じて生じるその所定の
結像状態の変化量を算出する場合には、結像状態の変化
量がより正確に算出され、結果として結像状態が所望の
状態により安定に維持される。
【0014】
【実施例】以下、本発明による投影露光装置の一実施例
につき図面を参照して説明する。図1は本例の投影露光
装置の全体の構成を示し、この図1において、例えば超
高圧水銀ランプよりなる光源1は、フォトレジスト層を
感光させるような波長域の照明光(i線等)ILを発生
する。照明光ILとしては、超高圧水銀ランプ等の輝線
の他に、KrF若しくはArFエキシマレーザ等のレー
ザ光、あるいは金属蒸気レーザやYAGレーザの高調波
等を用いても良い。
【0015】光源1から射出された照明光(露光光)I
Lは、シャッター2及び透過率が大きなビームスプリッ
ター4を通過してフライアイレンズ等より成る第1部分
光学系5に入射する。シャッター2はシャッター駆動系
3により照明光ILの光路の閉鎖及び開放を行う。ほと
んどの照明光はビームスプリッター4を通過し、ビーム
スプリッター4で反射された一部の照明光は、光電変換
素子34の受光面に入射する(詳細後述)。
【0016】第1部分光学系5は、レチクルRをほぼ均
一な照度で照明するためのものである。第1部分光学系
5から射出された照明光ILは可変レチクルブラインド
6を通過した後、リレーレンズ及びメインコンデンサー
レンズ等からなる第2部分光学系8に入射する。可変レ
チクルブラインド6の配置面はレチクルRのパターン形
成面と共役関係にあり、駆動系7により可変レチクルブ
ラインド6を構成する複数の可動ブレードを駆動して開
口部の大きさ及び形状を変えることにより、レチクルR
の照明視野を任意に設定することができる。第2部分光
学系8を通過した照明光ILは、ミラー9でほぼ垂直下
方に折り曲げられて、回路パターンが描かれたレチクル
Rをほぼ均一な照度で照明する。
【0017】レチクルRはレチクルホルダ18に保持さ
れ、レチクルホルダ18は伸縮自在な複数(例えば3個
よりなり、図1では2個のみ図示)の駆動素子19を介
して水平面内で2次元的に移動自在に支持されたレチク
ルステージ(不図示)上に載置されている。駆動素子1
9としては、電歪素子又は磁歪素子等が使用される。レ
チクルR上にレチクルアライメント顕微鏡32が配置さ
れ、レチクルR上のアライメントマークからの光が、レ
チクルアライメント顕微鏡32を介して撮像素子33に
導かれる。撮像素子33の撮像信号を用いてアライメン
トマークの位置が検出され、この検出結果に基づいてレ
チクルRの位置決め(アライメント)が行われる。撮像
素子33の撮像信号は、レチクルRのパターンの反射率
を求めるためにも使用される。
【0018】また、レチクルRの上下面には異物付着防
止用の保護膜(以下、「ペリクル」という)28及び2
9がそれぞれ矩形の枠(以下、「ペリクルフレーム」と
いう)30及び31を介して張設されている。ペリクル
フレーム30及び31は、通常は金属製であり、使用時
にはペリクルフレーム30及び31に予め塗布された接
着剤によりレチクルRのガラス基板に張り付けられる。
【0019】図2はレチクルRの斜視図であり、この図
2に示すように、ペリクル28,29及びペリクルフレ
ーム30,31とレチクルRのガラス基板とで囲まれた
空間は、レチクルRの上下にそれぞれ密封された空気室
を形成している。図1に戻り、駆動素子制御部23が駆
動素子19の各伸縮量を制御することによって、レチク
ルRを投影光学系PLの光軸AXの方向に平行移動させ
ると共に、光軸AXに垂直な面に対して任意の角度だけ
傾斜させることが可能となっている。上記構成によって
投影光学系PLの結像特性、特に糸巻型や樽型のディス
トーションを補正することができる。なお、レチクルR
はパターン領域PAの中心点が光軸AXと一致するよう
に位置決めされる。また、レチクルRのパターンにより
反射された照明光、及び投影光学系PL側から戻された
照明光は、それぞれ第2部分光学系8及び第1部分光学
系5等を経てビームスプリッター4に戻り、ビームスプ
リッター4で反射された光束は光電変換素子35で検出
される(詳細後述)。
【0020】また、レチクルRのパターン領域PAを通
過した照明光ILは両側テレセントリックな投影光学系
PLに入射し、投影光学系PLはレチクルRの回路パタ
ーンの投影像を、表面にフォトレジスト層が形成されそ
の表面が投影光学系PLの最良結像面とほぼ一致するよ
うに保持されたウエハW上の1つのショット領域に重ね
合わせて投影(結像)する。本実施例では、投影光学系
PLを構成する一部のレンズエレメント、即ち図1中で
はレンズエレメント14、及びレンズエレメント(1
5,16)の各々を駆動素子制御部23により独立に駆
動することが可能となっており、投影光学系PLの結像
特性、例えば投影倍率、歪曲収差等を補正することがで
きる(詳細後述)。また、投影光学系PLの瞳面又はそ
の近傍の面内には可変開口絞り(図示省略)が設けられ
ており、これによって投影光学系PLの開口数NAを変
更できるように構成されている。
【0021】一方、ウエハWはウエハホルダ(θテーブ
ル)8上に真空吸着され、このウエハホルダ8はウエハ
ステージ9上に保持されている。ウエハステージ9は不
図示のモータにより投影光学系PLの最良結像面に対し
任意方向に傾斜可能で、且つ投影光学系PLの光軸方向
(Z方向)に駆動可能であると共に、ステップ・アンド
・リピート方式で2次元移動自在に構成されており、ウ
エハW上の1つのショット領域に対するレチクルRの転
写露光が終了すると、ウエハステージ9は次のショット
位置までステッピングされる。なお、ウエハステージ9
の構成等については、例えば特開昭62−274201
号公報に開示されている。ウエハステージ9の端部には
干渉計(図示省略)からのレーザビームを反射する移動
鏡(図示省略)が固定されており、ウエハステージ9の
2次元的な位置は、その干渉計によって例えば0.01
μm程度の分解能で常時検出されている。
【0022】また、ウエハステージ9上には光電変換素
子よりなる照射量モニター22がウエハW上の表面の高
さとほぼ一致する高さに設けられている。照射量モニタ
ー22は、例えば投影光学系PLのイメージフィール
ド、又はレチクルパターンの投影領域とほぼ同じ面積の
受光面を備えた光電変換素子で構成され、このウエハス
テージ9上での照明光の照射量に応じた光情報を主制御
装置26に出力する。この光情報は、レチクルのパター
ン存在率、及び照明光の入射に伴って投影光学系PLに
蓄積されるエネルギー量に対応した結像特性の変化量
(収差量)を求めるための基礎データとなる。
【0023】更に、図1中には投影光学系PLの最良結
像面に向けてピンホール、あるいはスリットの像を形成
するための結像光束を光軸AXに対して斜めに供給する
照射光学系20と、その結像光束のウエハWの表面での
反射光束をスリットを介して受光する受光光学系21と
から成る斜入射方式のウエハ位置検出系が設けられてい
る。このウエハ位置検出系の構成等については、例えば
特開昭60−168112号公報に開示されており、受
光光学系21からの検出信号によりウエハ表面の最良結
像面に対する上下方向(Z方向)の位置が検出され、こ
の検出結果に基づいてウエハWと投影光学系PLとが所
定の間隔を保つようにウエハステージ9がZ方向に駆動
される。
【0024】また、本実施例では投影光学系PLの最良
結像面が零点基準となるように、予め受光光学系21の
内部に設けられた不図示の平行平板ガラス(プレーンパ
ラレル)の角度が調整され、ウエハ位置検出系のキャリ
ブレーションが行われる。また、例えば特開昭58−1
13706号公報に開示されているような水平位置検出
系を用いる、あるいは投影光学系PLのイメージフィー
ルド内の任意の複数の位置での焦点位置を検出できるよ
うにウエハ位置検出系を構成する(例えば複数のスリッ
ト像をイメージフィールド内に投影する)ことによっ
て、ウエハW上の所定領域の最良結像面に対する傾きが
検出できるように構成されている。
【0025】更に、図1において、主制御装置26は装
置全体の総括制御を行うものであり、オペレータはコン
ソール36を介して主制御装置26に、レチクルRのペ
リクルの有無及びレチクルRのガラス基板の厚さ等の情
報を必要に応じて入力する。また、レチクルRが投影光
学系PLの直上に搬送される途中で、レチクルパターン
の脇に形成されたレチクルの名称を表すバーコードBC
を読み取るためのバーコードリーダ27が設けられてお
り、バーコードリーダ27で読み取られたレチクルの名
称の情報が主制御装置26に供給されている。
【0026】また、レチクルホルダ18の上下にそれぞ
れペリクル判別器24及び25が配置されている。ペリ
クル判別器24及び25は、例えば非接触の光電センサ
ー又は機械式のリミットスイッチ等よりなり、これらペ
リクル判別器24及び25により、それぞれレチクルR
の上面及び下面にペリクルフレーム30,31又はペリ
クル28,29が装着されているかが実際に検出され
る。この検出結果も主制御装置26に出力されている。
主制御装置26は、コンソール36から入力れた情報、
バーコードリーダ27で読み取られた情報、又はペリク
ル判別器24,25で検出された情報等に基づいて、後
述のようにレチクルの熱変形量を演算により求める。
【0027】次に、本実施例の結像状態の補正手段につ
いて説明する。この補正手段は本来、大気圧変化、温度
変化あるいは露光光吸収によって生じる投影光学系PL
自体の結像特性の変化を補正する目的で設けられたもの
である。本実施例においては、その補正手段をレチクル
の熱変形によって生ずる結像特性の変化を補正するのに
用いる。結像特性の変化には種々の態様があるが、ここ
ではレチクルの熱変形によって発生すると考えられる成
分についてのみ説明する。最初に、レチクルの熱膨張に
よって発生する倍率変化ΔM、台形歪ΔT、歪曲収差
(所謂樽型、又は糸巻型のディストーション)ΔD、及
びレチクルの撓みによって発生する像面湾曲ΔCについ
て考える。
【0028】先ず、補正機構について説明する。図1に
示すように、本実施例では駆動素子制御部23によって
レチクルR及びレンズエレメント14、レンズエレメン
ト(15,16)の各々を独立に駆動することにより、
上記の結像特性の変化を補正することが可能となってい
る。さて、レチクルRに最も近い第1群のレンズエレメ
ント14は支持部材10に固定され、第2群のレンズエ
レメント(15,16)は一体的に支持部材11に固定
されている。第3群のレンズエレメント17より下部の
レンズエレメントは、投影光学系PLの鏡筒部に固定さ
れている。なお、本実施例において投影光学系PLの光
軸AXとは、鏡筒部に固定されているレンズエレメント
の光軸を指すものとする。
【0029】支持部材10は伸縮自在な複数(例えば3
つで、図1中では2つを図示)の駆動素子12を介して
支持部材11に連結され、支持部材11は伸縮自在複数
の駆動素子13を介して鏡筒部に連結されている。駆動
素子19,12,13としては、例えば電歪素子(ピエ
ゾ素子)又は磁歪素子等が用いられ、駆動素子に与える
電圧又は磁界に応じた駆動素子の変位量を予め求めてお
く。ここでは図示していないが、駆動素子のヒステリシ
ス性を考慮し、リニアエンコーダ、容量型変位センサ
ー、又は差動トランス等の位置検出器を駆動素子に設
け、駆動素子に与える電圧又は磁界に対応した駆動素子
の位置をモニターして高精度な駆動を可能としている。
【0030】ここで、レンズエレメント14、レンズエ
レメント(15,16)の各々を光軸方向に平行移動し
た場合、その移動量に対応した変化率で投影倍率M、像
面湾曲C及び焦点位置Fの各々が変化する。レンズエレ
メント14の駆動量をx1 、レンズエレメント(15,
16)の駆動量をx2 とすると、投影倍率M、像面湾曲
C及び焦点位置Fの変化量ΔM、ΔC、ΔFの各々は、
次式で表される。
【0031】 ΔM=CM1×x1 +CM2×x2 (1) ΔC=CC1×x1 +CC2×x2 (2) ΔF=CF1×x1 +CF2×x2 (3) なお、CM1、CM2、CC1、CC2、CF1、CF2、は各変化
量のレンズエレメントの駆動量に対する変化率を表す定
数であり、ΔFは焦点位置の変化量である。
【0032】また、レンズエレメント14を光軸AXに
垂直な直線が回転軸となる様に傾斜(回転)させると台
形歪ΔTが変化する。この様子を図3に示す。図3にお
いて、実線で描かれた正方形のパターンQAがレチクル
Rの投影像として、一点鎖線で示す軸AX1を回転軸と
して図1のレンズエレメント14を傾斜させると、例え
ば点線で描かれた台形状のパターンQBのようにその投
影像を歪ませることができる。
【0033】従って、台形歪ΔTは、そのレンズエレメ
ント14の傾斜角θ1 と回転軸AX1の方向とによって
決まる。説明の便宜上、その回転軸AX1の方向は所定
の方向に固定されているものとして、傾斜角θ1 及びこ
の傾斜角に対する変化率CT1を用いて、その台形歪ΔT
を次式で表す。また、その場合の像面傾斜量をΔLとし
て、変化率CT2を用いてその像面傾斜量ΔLを次のよう
に表す。
【0034】ΔT=CT1θ1 (4) ΔL=CT2θ1 (5) ところで、上述した如く図1のウエハ位置検出系20,
21は投影光学系PLの最良結像面の位置(最適焦点位
置)を零点基準として、最適焦点位置に対するウエハ表
面のずれ量を検出するものである。従って、ウエハ位置
検出系20,21に対して電気的又は光学的に適当なオ
フセット量x3 を与えると、このウエハ位置検出系2
0,21を用いてウエハ表面の位置決めを行うことによ
って、レンズエレメント14、レンズエレメント(1
5,16)の駆動に伴う焦点位置のずれを補正すること
が可能となる。このとき、上記(3)式は次式のように
表される。
【0035】 ΔF=CF1×x1 +CF2×x2+x3 (6) 同様にウエハ位置検出系20,21はウエハ表面の傾斜
量を検出し、ウエハステージの傾斜を制御して投影光学
系PLの最良結像面と一致させる機能を有している。こ
のため焦点位置と同様に、ウエハ表面の傾斜量に適当な
オフセットθ3を与えると、ウエハ位置検出系20,2
1を用いてウエハ傾斜補正を行うことにより、レンズエ
レメント14の駆動に伴う像面傾斜を補正できる。この
とき上記(5)式は次のように表せる。
【0036】ΔL=CT2θ1+θ3 (7) 同様にレチクルRを光軸方向に平行移動した場合、その
移動量に対応した変化率で歪曲収差D及び焦点位置Fの
各々が変化する。レチクルRの駆動量をx4 とすると、
歪曲収差D及び焦点位置Fの変化量ΔD及びΔFの各々
は、次式のように表される。
【0037】ΔD=DD4×x4 (8) ΔF=CF1×x1+CF2×x2+x3+CF4×x4 (9) なお、CD4、CF4は各変化量のレチクルRの駆動量に対
する変化率を表す定数である。以上のことから、(1)
式、(2)式、(4)式、(7)式、(9)式において
駆動量x1 〜x4 を設定することによって、変化量Δ
M、ΔC、ΔT、ΔD、ΔF、ΔLを任意に補正するこ
とができる。ここでは6種類の結像特性を同時に補正す
る場合について述べたが、投影光学系の結像特性の内、
レチクルの熱変形による結像特性の変化量が無視し得る
程度のものであれば、上記補正を行う必要がない。ま
た、本実施例で述べた6種類以外の結像特性が大きく変
化する場合には、その結像特性についての補正を行う必
要がある。また、本実施例では結像特性補正機構として
レチクルR及びレンズエレメントの移動により補正する
例を示したが、本実施例で好適な補正機構は他の如何な
る方式であっても良く、例えば2つのレンズエレメント
に挟まれた空間を密封し、この密封空間内の気体の圧力
を調整する方式を採用しても構わない。
【0038】次に、レチクルの熱変形に伴う結像特性の
変化に対する補正法について簡単に説明する。図1にお
いて主制御装置26は、照射量モニター22、光電変換
素子34,35、及び撮像素子33より種々の光情報を
得ると共に、駆動系7より可変レチクルブラインド6の
開口の形状及び大きさの情報を得る。そして、主制御装
置26は、レチクルRの熱変形量及び投影光学系PL自
体の結像特性の変化量を演算して算出すると共に、駆動
素子制御部23あるいはウエハ位置センサーの集光光学
系21へ制御信号を出す。また、主制御系26にはレチ
クルRの熱変形量を算出するために必要な種々のデータ
(レチクルの遮光部材の種類やパターンの密度分布等)
が記憶されている。また、熱変形量に基づいて結像状態
の変化量を演算するための数式又はテーブル等も格納さ
れている。
【0039】本実施例における結像特性の変動量の演算
方法について述べる。本実施例は、レチクルRの熱変形
に応じて発生する結像特性の変動を補正するものであ
り、本実施例では、結像特性の変動量を演算するに当た
って、先ずこのレチクルRの熱変形量を求める。以下、
その方法について説明する。レチクルRの熱変形は、該
レチクルRの温度分布に比例して発生していると考えて
よいので、熱変形量を計算するためにはレチクルRの或
る時間における温度分布が分かれば良い。例えばこの温
度分布を計算機でシミュレーションする手法として、レ
チクルRを或る有限な要素に分解し、各点の温度変化を
差分法、有限要素法等により計算する手法が知られてい
る。
【0040】例えばレチクルRの正方形の露光エリアを
4×4程度のブロックに分割する。この分割数あるいは
計算法の選択は最終的に必要な精度と、計算機の計算ス
ピード等を加味して決めればよい。レチクルRの熱吸収
はレチクルのパターンの密度によって異なるため、各ブ
ロックのパターン存在率を求める必要がある。パターン
存在率は、例えば図1のウエハステージ9上の照射量モ
ニター22での受光量によって求められる。また、レチ
クルRの遮光部材での熱吸収率を求める必要があるが、
これはレチクルRの各ブロック共通で、例えば光電変換
素子34又は35での受光量から遮光部材の反射率を求
めることにより求められる。
【0041】光源1がエキシマレーザ光源等のパルス光
源で、且つ各パルス発光毎にパワーがばらつくときは、
同時に光電変換素子34により各パルス光毎のパワーを
測定してやればよい。これらの情報は上記の様に直接計
測する代わりに、バーコードリーダ27又はコンソール
36から直接主制御装置26に入力してやってもよい。
以上によりレチクルRの各ブロックが吸収する熱量が求
まる。次に各ブロック間の熱の移動量を計算する。つま
り温度の高い部分から低い部分へ熱が移動していく過程
を主制御装置26で計算する。
【0042】また、レチクルRでは各ブロック間だけで
はなく、レチクルホルダ18及びレチクルRの上下の空
間にも熱が逃げていく。各ブロックの温度はこれらの熱
の移動量を逐次計算していくことにより求めることがで
きる。通常ディジタル計算機では、繰り返し計算を行う
ことにより解を求めていく方法が採られる。このとき、
時間的なレチクルRの熱吸収の情報を得るために、シャ
ッター駆動系3又は光電変換素子34からの情報を繰り
返し計算毎に得て計算を行う。各ブロックの温度よりレ
チクルRの熱変形量が求まる。これにより、レチクルR
上の各点がどのように移動したかが求まる。
【0043】次に、前記の補正機構により倍率変化Δ
M、台形歪ΔT、歪曲収差ΔD、及び像面湾曲ΔCの各
成分を補正したときに誤差が最も小さくなるような補正
量を求め、この補正量で補正を行う。補正量の計算は例
えば最小自乗法、あるいは誤差の最大点が最小になる方
法等にて行う。さて、上記の熱伝導の計算を行うには、
予めレチクルRの各ブロック間の熱の授受、あるいはレ
チクルホルダー18及びレチクルRの周辺の空間へ逃げ
る熱の特性を示すパラメータを求めておく必要がある。
これらのパラメータは、レチクルRのガラスの材質ある
いは周囲の空気の流れによって決まる数値であり、実験
的又はシミュレーション計算によって予め求めておくも
のである。これらのパラメータは主制御装置26内のメ
モリに記憶されている。
【0044】さて、以上の説明はレチクルRに防塵膜と
してのペリクルが装着されていない場合についてのもの
であった。しかし、同一パターンで同一材質のレチクル
であっても、ペリクルの有無によって前記特性の内、レ
チクルRの上下の空間へ逃げていく熱量が異なる。つま
り、同じエネルギーの照明光で露光しても、ペリクルの
有無によって温度の上昇量に差が出て、レチクルの熱変
形による結像特性の変化量も異なる。
【0045】図4はペリクル付きのレチクル及びペリク
ルが無いレチクルを模式的に示し、この図4を参照して
ペリクルの有無の影響について説明する。通常、投影露
光装置は、高精度に温度調節され且つ清浄な空気が常に
循環するシステムになっている。特に、レチクル及びウ
エハ等の周囲は異物の付着を防ぐため、図4(a)及び
(b)のように横方向から空気が吹き付けられている。
このため、ペリクルが無い図4(a)の場合、レチクル
Rの表面から直接熱が奪われて行くことになる。しか
し、図4(b)のペリクル付きのレチクルRの場合、熱
はペリクル28及び29の表面から奪われて行くのみで
ある。しかも、ペリクル28,29とレチクルRのガラ
ス基板との間の空間は断熱性の良好な空気で満たされて
いるため、熱が逃げて行く効率はペリクル28,29が
無い場合に比べて極めて小さい。
【0046】別の言い方をすれば、レチクルRのガラス
基板の表面にとって、ペリクル28,29が無いときに
は、装置で設定された温度で流れている空気との間の熱
伝達が生じるが、ペリクル付きのレチクルの場合は、暖
められた、しかも流れていない空気との間の熱伝達が生
じる。熱伝達は一般に両者の温度差に比例し、相手の気
体の流速が速いと熱伝達はより効率的に行われる。この
ため、図4(b)のようなペリクル付きのレチクルRの
場合の方が、図4(a)のようなペリクルが無いレチク
ルRと比べて、熱伝達の効率が悪いことになる。また、
レチクルRの温度上昇は、露光光から吸収する熱量と、
外部へ逃げていく熱量とのバランスにより決まる。従っ
て、ペリクル付きのレチクルの場合は、逃げていく熱量
が少ないので、ペリクル無しのレチクルに比べてより高
い温度でバランスがとれることになる。このことは、ペ
リクル付きのレチクルRの方が熱変形量が大きくなるこ
とを示している。
【0047】実験によれば、ペリクル付きのレチクルの
方が、ペリクル無しのレチクルに比べて熱変形量が約
1.5〜2倍程度になることが確認されている。ペリク
ルの有無は同一の投影露光装置に使用されるレチクル全
てに共通ではなく、コスト及び使い勝手の面から例えば
パターンの粗いレチクルにはペリクルを付けることな
く、パターンの細かいレチクルにはペリクルを付けると
いった使用法が採られる。このため、主制御装置26に
は何らかの手段により、ペリクルの有無を知らせ、レチ
クルの熱変形量計算のパラメータを変更する必要があ
る。本実施例では、図1に示すように、レチクルRの上
下に例えば非接触の光電センサー、あるいは接触式のス
イッチ等よりなるペリクル判別器24及び25を配し、
ペリクル判別器24及び25により検出したペリクルの
有無の情報を主制御装置26に伝える構成としている。
【0048】但し、レチクルRへのペリクルの有無の情
報は、オペレータがコンソール36から主制御装置26
に入力してもよい。図1のペリクル28,29は、レチ
クルRの上下面に張設されているが、通常、レチクルR
のガラス基板の厚さが十分ある場合には、ペリクルはレ
チクルRの下面(パターン形成面)にしか取り付けられ
ない。そこで、ペリクル判別器24,25をレチクルR
の上下面の両方に設け、ペリクルの有無の他に、ペリク
ルの個数をも判別することが望ましい。また、ペリクル
フレーム30,31だけがレチクルRに接着され、ペリ
クル28,29だけが無い場合も考えられるので、ペリ
クル判別器24,25では、ペリクル28,29そのも
のの有無を判別するようにしてもよい。
【0049】投影露光装置の中にはレチクルRへの塵等
の異物の付着の状態を検査する異物検査装置が装備され
ているものもあり、更にレチクルRに装着されたペリク
ルへの異物の付着状態を検査できるものもある。斯かる
異物検査装置では、当然ペリクルの有無は判別できる
か、又は何らかの方法でオペレータがペリクルの有無を
入力してやる方式となっているため、その異物検査装置
からペリクルの有無の情報を主制御装置26が受け取っ
てもよい。ペリクルの有無による特性の差は予め実験等
によって求めておき、この結果を主制御装置26内に記
憶しておけば良い。
【0050】また、ペリクルの中には、図5に示すよう
に、ペリクルフレーム30及び31の一部にそれぞれ通
気穴51及び53が穿設してあり、ここからの異物の進
入を防ぐためフィルター部材52及び54が設けられて
いるものもある。この通気穴51,53の目的はペリク
ル28,29の周囲の大気圧の変化によりペリクル2
8,29が内側又は外側へ膨らむのを防ぐためである。
この通気穴51,53の大きさ及びフィルター部材5
2,54を空気が通過するときの抵抗等により、僅かな
がらでも通気穴51,53から熱の出入りが考えられ
る。そこで、必要に応じて、この通気穴51,53及び
フィルター部材52,54の情報を主制御装置26に入
力してやればよい。以上よりペリクルの有無による熱伝
達特性の差に対しても、良好にレチクルの熱変形に対す
る補正を行うことができる。
【0051】上述の例では間接的にペリクルの有無の情
報から補正を行う方法を示したが、ペリクル内部の温度
を直接測定する方法も考えられる。図6はペリクル2
8,29の内部の温度を直接計測する場合を示し、この
図6において、ペリクルフレーム30及び31に形成さ
れた貫通孔を介してペリクル28及び29の内側にそれ
ぞれ温度センサー61及び62が導かれている。これら
温度センサー61及び62で実際に計測されたレチクル
Rの上下面の近傍の温度の情報が主制御装置26に供給
されている。
【0052】逆に、ペリクルが無い場合に、レチクルR
の上下面の温度を測定しても、温度制御されて一定温度
に保たれた空気と、レチクルRにより暖められた空気と
が混じり合って温度が揺らいでいるので、温度計測を行
う意味は無い。これに対して、ペリクルの内部は密封さ
れた空間で、しかも対流等でペリクル内部がほぼ均一な
温度となっていると考えられる。そこで温度測定をする
意味がある。前述したように、レチクルRのガラス基板
と、ペリクル内部の空気との間の熱伝導はその温度差に
比例するため、ペリクル内部の温度を測定すると上記の
熱伝達量が推定でき、主制御装置26内部の計算をより
正確に行える利点がある。また、レチクルR内の非等方
的な変形(例えば台形歪)を考えずに等方的な歪、例え
ば倍率、歪曲収差のみを考えるのであれば、直接ペルク
ル内の空気の温度と、ウエハ上に投影される像の結像特
性の変化量との間の関係付けを行ってもよい。この方法
によれば、主制御装置26内部で複雑な計算を行う必要
がない。
【0053】今までの例は、ペリクル28,29の内部
の温度を問題としてきたが、ペリクルフレーム30,3
1はレチクルRのガラス面に直接接着されているため
に、接着力が強い場合にはペリクルフレーム30,31
の伸縮がレチクルR自体の伸縮に効いてくることもあり
有る。このため、接着に用いた接着剤あるいは接着法
(接着時の圧力、温度等)も情報として主制御装置26
に入力し、ペリクルフレーム30,31の伸縮が効くか
否かを判断するようにしてもよい。また、ペリクルフレ
ーム30,31の伸縮が効く場合、その材質により膨張
率が異なるためペリクルフレーム30,31の材質又は
膨張率を入力する必要がある。通常、ペリクルフレーム
30,31は金属製であるため、ペリクルフレーム3
0,31の熱膨張率はレチクルRのガラス基板に比べて
大きく、ペリクルフレーム30,31に追従してレチク
ルRの膨張量が大きくなることが考えられる。また、ペ
リクル28,29も通常透過率の大きな材質で作られて
いるが、ペリクル28,29そのものが露光光を吸収
し、ペリクル28,29とレチクルRとの間の空気層を
熱する働きをする可能性もある。そこで必要に応じて、
ペリクル28,29の材質、透過率、又は厚さ等をペル
クル情報として主制御装置26に入力し、このペリクル
情報を使用してレチクルRの熱変形量を算出してもよ
い。
【0054】また、当然ながらレチクルRのガラス基板
の材質、厚さ等も熱膨張に効くため、これらガラス基板
の情報を主制御装置26に入力し、これらの情報を使用
する必要がある。通常、レチクルRのガラス基板として
は光の透過率が良く且つ熱膨張率の小さい石英ガラスが
用いられるが、価格等の面から他の材質を用いることも
考えられる。逆に、本実施例のようにレチクルRの熱変
形量に起因する結像特性の変化に対する補正機能がある
装置においては、レチクルRのガラス基板として廉価な
ガラスを使用することができるとも言える。また、レチ
クルRのガラス基板が厚いと熱容量が大きくなり、一般
的に熱伝導の時定数も大きくなり、レチクルRの熱膨張
量は同一の照明光のエネルギーに対して小さくなる。そ
こで、レチクルRのガラス基板の厚さの情報は、レチク
ルRの熱変形量を算出する上で有効な情報である。
【0055】なお、上述実施例では全て、図1の主制御
装置26の内部での計算を基に補正を行っていたが、例
えばレチクルアライメント顕微鏡32の撮像素子33で
レチクルR上に描かれたアライメントマークの位置を実
際に観察し、その位置の変化よりレチクルRの熱変形量
を実測し、この結果に基づいて補正することも可能であ
る。この場合でも、レチクルRの内部の熱変形量は分か
らないため、そのような実測と主制御装置26の内部で
の計算とを組み合わせてもよい。また、レチクルRのア
ライメントマークを観察するために、図1のようにレチ
クルアライメント顕微鏡32の照明系でアライメントマ
ークを照明する必要があり、この照明光でウエハW上の
フォトレジストが感光する可能性がある。そこで、露光
動作中にはレチクルRの熱変形量の実測を行うことはで
きない。このため、例えばウエハ交換毎にレチクルRの
熱変形量を測定し、その間は計算により補間していく方
法も考えられる。
【0056】また、ペリクル付きのレチクルを使う投影
露光装置と、ペリクル付きのレチクルを使わない投影露
光装置とがはっきり分かれて使用される場合、個々の投
影露光装置では、どちらか一方に固定されたパラメータ
を用いてレチクルの熱変形量を計算すればよい。また、
両者の中間のパラメータを用いて計算されたレチクルの
熱変形量でも制御誤差が許容できるときには、それら2
種類の投影露光装置においてそれぞれその中間のパラメ
ータを使用してレチクルの熱変形量を算出しても良い。
【0057】また、上述実施例では、レチクルRへの異
物の付着を防止するために防塵膜としてのペリクルが使
用されているが、ペリクルの代わりにカバーグラスを使
用する場合には、そのカバーグラスの有無の情報等を主
制御装置26に入力し、主制御装置26はその情報から
レチクルRの熱変形量を算出すれば良い。このように本
発明は上述実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱し
ない範囲で種々の構成を取り得る。
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、マスクの形状データ
(防塵膜の有無等の情報)が入力され、この形状データ
に基づいてマスクの熱変形量、ひいては結像状態の変化
量が算出され、この結像状態の変化量を相殺するように
結像状態が補正されるため、ペリクル等の有無に拘ら
ず、常に所定の結像状態で感光基板上にマスクのパター
ンを投影露光できる利点がある。
【0059】また、その形状データが、マスクのパター
ン形成面に対する異物の付着を防止するための保護部材
の有無、及びそのマスクの厚さを示すデータである場合
には、そのマスクの熱変形量を正確に算出できる。ま
た、マスクの保護部材の内部の温度を計測するための温
度計測手段を設け、演算手段が、その温度計測手段で計
測して得られた温度情報及びデータ入力手段から入力さ
れた形状データに基づき、そのマスクの熱変形量に応じ
て生じる所定の結像状態の変化量を算出する場合には、
マスクの熱変形量をより正確に算出できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による投影露光装置の一実施例の全体を
示す概略構成図である。
【図2】図1のペリクル付きのレチクルを示す斜視図で
ある。
【図3】実施例の結像特性補正機構による投影像の歪み
の補正の一例を示す図である。
【図4】照明光吸収によりレチクルに蓄積された熱の空
気への放出状態を模式的に示す図である。
【図5】ペリクル付きのレチクルのペリクルフレームに
通気孔が形成されている場合の構成を示す断面図であ
る。
【図6】ペリクル付きのレチクルのペリクル内部の空気
の温度を測定する場合の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 光源 R レチクル PL 投影光学系 W ウエハ 12,13,19 駆動素子 20 ウエハ位置センサーの照射光学系 21 ウエハ位置センサーの受光光学系 22 照射量モニター 23 駆動素子制御部 24,25 ペリクル判別器 26 主制御装置 27 バーコードリーダ 28,29 ペリクル 30,31 ペリクルフレーム 36 コンソール

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 照明光でマスク上のパターンを照明する
    照明光学系と、前記マスクのパターンの像を所定の結像
    状態で感光基板上に露光する投影光学系とを有する投影
    露光装置において、 前記マスクの形状を表す形状データを入力するデータ入
    力手段と、 該データ入力手段から入力された前記形状データに基づ
    き、前記マスクの熱変形量に応じて生じる前記所定の結
    像状態の変化量を算出する演算手段と、 該演算手段により算出された変化量を相殺するように前
    記投影光学系の結像状態を補正する結像状態補正手段
    と、を備えたことを特徴とする投影露光装置。
  2. 【請求項2】 前記形状データが、前記マスクのパター
    ン形成面に対する異物の付着を防止するための保護部材
    の有無、及び前記マスクの厚さを示すデータであること
    を特徴とする請求項1記載の投影露光装置。
  3. 【請求項3】 前記マスクにパターン形成面に対する異
    物の付着を防止するための保護部材が装着されている場
    合に、前記保護部材の内部の温度を計測するための温度
    計測手段を設け、前記演算手段は、前記温度計測手段で
    計測して得られた温度情報及び前記データ入力手段から
    入力された前記形状データに基づき、前記マスクの熱変
    形量に応じて生じる前記所定の結像状態の変化量を算出
    することを特徴とする請求項1又は2記載の投影露光装
    置。
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