JPH07292027A - 被膜形成可能なキレート形成性樹脂 - Google Patents

被膜形成可能なキレート形成性樹脂

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JPH07292027A
JPH07292027A JP11444494A JP11444494A JPH07292027A JP H07292027 A JPH07292027 A JP H07292027A JP 11444494 A JP11444494 A JP 11444494A JP 11444494 A JP11444494 A JP 11444494A JP H07292027 A JPH07292027 A JP H07292027A
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resin
chelate
forming
epoxy
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JP11444494A
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English (en)
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Kazuhiro Ozaki
和洋 尾崎
Yorio Doi
依男 土居
Hideo Kogure
英雄 木暮
Jun Suzuno
純 鈴野
Satoru Maki
哲 槙
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Kansai Paint Co Ltd
Original Assignee
Kansai Paint Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 リン酸塩やクロム酸塩等の無機質表面処理剤
に代えて無公害の表面処理剤として使用でき、優れた防
食性を示す無公害な樹脂を提供する。 【構成】 アントラニル酸、N−メチルアントラニル酸
などの芳香族o−アミノカルボン酸のアミノ基と、1,
2−エポキシ基を有する化合物中の1,2−エポキシ基
との反応によって付加反応させてなるキレート形成基を
分子中に少なくとも1個有する被膜形成可能なキレート
形成性樹脂、ならびに該樹脂を酸で中和し、水溶化ない
しは水分散化してなる水性液。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は金属表面に強固な金属キ
レート錯体を形成することによって、金属の腐食を防止
できる被膜形成性樹脂、およびその製造方法、ならびに
その利用に関するものである。本発明による樹脂は、通
常の生活環境において腐食する金属の表面を改質・保護
する目的で使われる表面処理剤や防食塗料用樹脂として
利用できる。
【0002】
【従来の技術およびその課題】従来、金属の腐食を防止
するために、(1)リン酸塩やクロム酸塩などの無機質
被膜を金属素材表面に形成する表面処理剤と、(2)エ
ポキシ樹脂やフェノール樹脂などの有機質被膜を塗布す
る塗膜防食の技術が利用されてきた。
【0003】しかし、表面処理剤の場合、重金属廃液
による環境汚染公害 酸・アルカリ・シアンなどの劇
毒物の使用 複雑な工程を要する といった欠点を有
する。また、塗膜防食の場合、有機質被膜と金属との
結合力が腐食反応を完全に抑える程強固ではないといっ
た問題がある。無公害で経済的な防食技術が確立してい
ないため、毎年何兆円もの金属資源が錆びて失われてい
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の現状
に鑑み、リン酸塩やクロム酸塩等の無機質表面処理剤に
代えて無公害の表面処理剤として使用でき、かつ優れた
防食性を示す無公害な樹脂を得るために界面化学・熱力
学・電気化学・錯体化学等を総合的に応用して研究を行
なってきた。
【0005】その結果、キレート錯体を形成し得る高分
子化合物がエポキシ樹脂やフェノール樹脂等の樹脂より
遥かに強固に金属と結合することに着目し、キレート錯
体を形成し得る高分子化合物について検討を進めた。そ
の結果、芳香族カルボキシル基に対して窒素原子がオル
ト位に結合した特定のキレート形成基を1分子中に少な
くとも1個以上持たせることによって、キレート形成に
よる金属との結合エネルギーが腐食反応エネルギーを上
回ること、また金属イオンの電荷を中和できること等か
ら、この樹脂による被膜が優れた防食性を示すこと等を
見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】即ち、本発明は、下記式〔1〕で表わされ
る化合物のアミノ基と、1,2−エポキシ基を有する化
合物中の1,2−エポキシ基との反応によって付加反応
させてなることを特徴とする下記式〔2〕で表わされる
キレート形成基を分子中に少なくとも1個有する被膜形
成可能なキレート形成性樹脂を提供するものである。
【0007】
【化4】
【0008】(式中、R1 は、同一又は異なって、水素
原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基
又は炭素原子数18以下の酸素原子を含有していてもよ
い有機基を表わし、R2 は、水素原子又はメチル基を示
す。)
【0009】
【化5】
【0010】(式中、R1 は、上記と同じ意味を有し、
3 は、水素原子、メチル基又は直接結合を示す。)
【0011】また本発明は、上記キレート形成性樹脂の
水性液、および該樹脂に架橋剤を配合してなるキレート
形成性樹脂組成物などを提供するものである。
【0012】さらに本発明は、上記式〔1〕で表わされ
る化合物のアミノ基と、1,2−エポキシ基を有する化
合物中の1,2−エポキシ基との反応によって付加反応
させることを特徴とする上記キレート形成性樹脂の製造
方法を提供するものである。
【0013】本発明キレート形成性樹脂は、前記式
〔1〕で表わされる化合物のアミノ基と、1,2−エポ
キシ基を有する化合物中の1,2−エポキシ基との反応
によって付加反応させて前記式〔2〕で表わされるキレ
ート形成基を分子中に少なくとも1個導入した被膜形成
可能なキレート形成性樹脂である。
【0014】前記式〔1〕で表わされる化合物のR1
おける酸素原子を含有していてもよい有機基は、炭素原
子数18以下であり、好ましくは炭素原子数8以下であ
って、アルキル基、アルコキシアルキル基、シクロアル
キル基、アラルキル基、アリール基、酸素原子を含む芳
香族炭化水素基および前記式〔1〕で表わされる化合物
中のベンゼン環と一緒になってナフタレン環を形成する
炭化水素基などが包含される。
【0015】前記式〔1〕で表わされるキレート形成基
のR1 における、アルキル基、アルコキシアルキル基、
シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、および
酸素原子を含む芳香族炭化水素基の具体例を以下に示
す。アルキル基としては、直鎖でも枝分れ鎖でもよく、
例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプ
ロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチ
ル基、2−エチルヘキシル基、n−ドデシル基およびn
−オクタデシル基など;アルコキシアルキル基として
は、例えば、2−メトキシエチル基および3−メトキシ
プロピル基など;シクロアルキル基としては、例えば、
シクロペンチル基、シクロヘキシル基および3−メチル
シクロヘキシル基など;アラルキル基としては、例え
ば、ベンジル基、4−メチルベンジル基、4−イソプロ
ピルベンジル基、フェネチル基など;アリール基として
は、例えば、フェニル基、ジフェニル基、ナフチル基、
4−メチルフェニル基などが挙げられ、酸素原子を含む
芳香族炭化水素基としては下記式で表わされる2価の基
などが挙げられる。
【0016】
【化6】
【0017】前記式〔1〕で表わされる化合物の代表例
としては、アントラニル酸、N−メチルアントラニル
酸、3−アミノ−2−ナフトエ酸、1−アミノ−2−ナ
フトエ酸、2−アミノ−1−ナフトエ酸、1−アミノア
ントラキノン−2−カルボン酸等が挙げられ、これらの
うち特にアントラニル酸、N−メチルアントラニル酸が
好ましい。これらの化合物は、1,2−エポキシ基を有
する化合物との反応にあたり、単独で、又は2種以上混
合して使用することができる。
【0018】前記1,2−エポキシ基を有する化合物と
しては、分子中に1,2−エポキシ基を1個以上有する
ものであって、この1,2−エポキシ基が前記式〔1〕
で表わされる化合物中のアミノ基との付加反応が可能な
ものであればよく、上記1,2−エポキシ基を有する化
合物としては、分子中に1,2−エポキシ基を有する低
分量から高分子量までの化合物を挙げることができる。
【0019】上記1,2−エポキシ基を有する化合物と
しては、例えばグリシジル(メタ)アクリレート、3,
4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレー
ト、アリルグリシジルエーテル等の1,2−エポキシ基
含有重合性不飽和モノマー;上記1,2−エポキシ基含
有重合性不飽和モノマーと他の重合性モノマーとの共重
合体ポリマー;脂肪族、脂環族又は単環芳香族エポキシ
化合物、ポリフェノール型エポキシ化合物、エポキシ基
含有シリコン化合物等の各種エポキシ化合物;1,2−
エポキシ基を有する、変性ポリエステル樹脂、変性アル
キド樹脂等を挙げることができる。
【0020】上記モノマー名中の「(メタ)アクリレー
ト」は「メタクリレート」又は「アクリレート」を意味
する。以下、同様。
【0021】上記共重合体ポリマーにおける、エポキシ
基含有重合性不飽和モノマーとともに共重合体を形成す
る他の重合性モノマーとしては、例えばメチル(メタ)
アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチ
ル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレ
ート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキ
シル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレ
ート等の(メタ)アクリル酸のC1 〜C18アルキルエス
テル;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒ
ドロキシプロピル(メタ)アクリレートの如き(メタ)
アクリル酸のC2 〜C8 ヒドロキシアルキルエステル及
びアリルアルコール等の水酸基含有不飽和単量体;スチ
レン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族
ビニル化合物;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリル
アミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミ
ド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエ
チルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどの第2級
もしくは第3級アミノ基を有する重合性不飽和モノマ
ー;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン
酸、マレイン酸、フマル酸などの酸基含有不飽和単量
体;酢酸ビニル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)ア
クリロニトリル、N−メチロール(メタ)アクリルアミ
ドブチルエーテル等のモノマーを挙げることができ、こ
れらはそれぞれ単独で又は2種以上併用することができ
る。
【0022】上記共重合体ポリマーを得るための、エポ
キシ基含有重合性不飽和モノマーと他の重合性モノマー
との共重合は、公知の共重合方法によって行なうことが
でき、例えば上記の成分を重合触媒及び好ましくは有機
溶剤の存在下で加熱反応させることによって行なうこと
ができる。
【0023】前記各種エポキシ化合物における脂肪族、
脂環族または単環芳香族エポキシ化合物としては具体例
として、1,2−ブチレンオキサイド、1,2−ペンチ
レンオキサイド、1,2−オクチレンオキサイド、スチ
レンオキサイド、酢酸グリシジル、ラウリン酸グリシジ
ル、CARDURA E10(カージュラE10、分岐高級脂肪
酸であるバーサティック酸のグリシジルエステル、シェ
ル化学社製)、ブチルグリシジルエーテル、オクチルグ
リシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、p−
t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、エチレングリ
コールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジ
グリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリ
シジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテ
ル、3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレー
ト、グリセリンジグリシジルエーテル、ジシクロペンタ
ジエンジオキサイド、2,3−エポキシ−2−エチルヘ
キサノールなどを挙げることができる。
【0024】前記各種エポキシ化合物におけるポリフェ
ノール型エポキシ化合物としては、ポリフェノール化合
物とエピクロルヒドリンとの反応によって得られる分子
量200〜4,000のものが好適に用いられる。上記
ポリフェノール化合物としては、例えばビス(4−ヒド
ロキシフェニル)−メタン、ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)−2,2−プロパン、4,4′−ジヒドロキシベ
ンゾフェノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,
1−エタン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1,
1−イソブタン、ビス(4−ヒドロキシ−tert−ブチル
−フェニル)−2,2−プロパン、ビス(2−ヒドロキ
シナフチル)メタン、1,5−ジヒドロキシナフタレ
ン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン、
4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホンなどのビス
フェノール化合物;その他、テトラ(4−ヒドロキシフ
ェニル)−1,1,2,2−エタン、フェノールノボラ
ック、クレゾールノボラック等が挙げられる。
【0025】上記ポリフェノール型エポキシ化合物はポ
リオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリ
オール、ポリアミドアミン、ポリカルボン酸、ポリイソ
シアネート化合物などと一部反応させたものであっても
よく、更にまた、ε−カプロラクトン、アクリルモノマ
ーなどをグラフト重合させたものであってもよい。
【0026】前記各種エポキシ化合物におけるエポキシ
基含有シリコン化合物としては、下記一般式〔3〕で示
されるシラン化合物、これらのシラン化合物の一種又は
二種以上の部分縮合物、及びこれらのシラン化合物とエ
ーテル化されたシラノール基を有する他のシランとの部
分共縮合物などを好適に使用することができる。
【0027】
【化7】
【0028】〔式中、Aは1,2−エポキシ基含有炭化
水素基又はグリシジルオキシアルキル基を示し、Xは水
素原子、炭素数1〜18個の炭化水素基、炭素数1〜1
8個のアルコキシル基、炭素数6〜8個のアリールオキ
シ基又は炭素数5〜8個の脂環式炭化水素オキシ基を示
す。Y及びZはそれぞれ同一又は異なって炭素数1〜1
8個のアルコキシル基、炭素数6〜8個のアリールオキ
シ基又は炭素数5〜8個の脂環式炭化水素オキシ基を示
し、Xと同一であってもよい。〕
【0029】上記Aにおける1,2−エポキシ基含有炭
化水素基は炭素原子数2〜10であることが好ましく、
グリシジルオキシアルキル基は炭素原子数4〜15であ
ることが好ましい。上記Aの好ましい例としては、γ−
グリシドキシプロピル基、β−(3,4−エポキシシク
ロヘキシル)−エチル基等が挙げられる。
【0030】上記X、Y及びZにおいて、炭素数1〜1
8個のアルコキシル基、炭素数6〜8個のアリールオキ
シ基、炭素数5〜8個の脂環式炭化水素オキシ基のう
ち、好ましいものとして、例えば、メトキシ、エトキ
シ、プロポキシ、ブトキシ、ヘキソキシ、オクトキシ、
メトキシエトキシ基等の炭素数1〜8個のアルコキシル
基、フェノキシ基、シクロヘキシルオキシ基等が挙げら
れる。
【0031】上記Xにおいて、炭素数1〜18個の炭化
水素基のうち、好ましいものとしては、メチル、エチ
ル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ヘ
キシル等の炭素数1〜6個のアルキル基;フェニル、メ
チルフェニル、エチルフェニル等の炭素数6〜8個のア
リール基;シクロペンチル、シクロヘキシル等の炭素原
子数5〜8個の脂環式炭化水素基が挙げられる。
【0032】上記一般式〔3〕で示されるシラン化合物
の代表例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメト
キシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキ
シシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エ
チルトリメトキシシランおよびβ−(3,4−エポキシ
シクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシランなどを
挙げることができる。
【0033】上記式〔3〕で示されるシラン化合物と部
分共縮合させることができるエーテル化されたシラノー
ル基を有する他のシラン化合物としては、2個以上のエ
ーテル化されたシラノール基を有するシラン化合物が使
用でき、例えばテトラエトキシシラン、メチルトリメト
キシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリ
メトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、イソブ
チルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、
ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラ
ン等のシラン化合物、及びこれらのシラン化合物の部分
共縮合物等が挙げられる。
【0034】上記式〔3〕で示されるシラン化合物の部
分(共)縮合及び上記式〔3〕で示されるシラン化合物
とエーテル化されたシラノール基を有する他のシラン化
合物との部分共縮合は、従来公知のエーテル化シラン化
合物の縮合方法に従って行なうことができ、一般に、酢
酸等の有機酸、塩酸等の無機酸等の酸、及び水の存在下
に常温乃至沸点以下の温度、好ましくは50〜90℃に
加熱することによって行うことができる。水の量は縮合
させる程度に応じて適宜増減させればよい。
【0035】前記1,2−エポキシ基を有する、変性ポ
リエステル樹脂、変性アルキド樹脂は例えばポリエステ
ル樹脂、アルキド樹脂中に水酸基を持たせておき、この
水酸基に1,2−エポキシ基を有するポリエポキシ化合
物を反応させて樹脂中にエポキシ基を導入する方法など
によって得ることができる。
【0036】本発明キレート樹脂において、前記式
〔1〕で表わされる化合物のアミノ基と、1,2−エポ
キシ基を有するポリマー又は化合物中の1,2−エポキ
シ基との付加反応によって導入される前記式〔2〕で表
わされるキレート形成基の代表例として下記のものを挙
げることができる。
【0037】
【化8】
【0038】本発明樹脂において、上記キレート形成基
は+2価又は+3価の金属イオンと非イオン性分子内錯
塩型の安定な6員環のキレート錯体を形成する部分であ
る。
【0039】前記キレート形成基を
【0040】
【化9】
【0041】と略記して、形成されるキレート錯体をモ
デル的に示すと下記のとおりである。
【0042】
【化10】
【0043】上記のように+3価の金属イオンに対して
は3組のキレート形成基が結合し、また+2価の金属イ
オンに対しては2組のキレート形成基が結合して、金属
イオンの電荷がカルボキシイオンによって中和された6
員環のキレート錯体を形成する。形成されたキレート錯
体は電荷が中和されており、非イオン性であるため金属
の腐食に対して腐食電流が流れにくくなり、また6員環
を形成しているため構造的に安定で優れた防食性を示
す。
【0044】本発明樹脂は、上記キレート形成基を1分
子中に少なくとも1個、好ましくは2〜700個有する
ことが必要であり、キレート形成基を1分子中に複数個
有するとキレート形成した際に樹脂被膜の3次元化が進
行し、強固なキレート結合が形成されるとともに樹脂被
膜の架橋密度も増大する。
【0045】樹脂中にキレート形成基を導入して本発明
の樹脂を製造する方法としては、例えば下記の(a)〜
(d)の方法等を挙げることができる。
【0046】(a)前記1,2−エポキシ基を有するポ
リマーの1,2−エポキシ基に前記式〔1〕で表わされ
る化合物のアミノ基を付加反応させる方法。
【0047】(b)前記1,2−エポキシ基を有する化
合物の1,2−エポキシ基に前記式〔1〕で表わされる
化合物のアミノ基を付加反応させた付加反応生成物と、
該反応生成物中に付加反応によって生成した2級の水酸
基と反応性を有するイソシアネート基等の官能基を有す
るポリマーとを反応させる方法。また前記1,2−エポ
キシ基を有する化合物が水酸基等の第1の官能基を有す
る場合には、1,2−エポキシ基を有する化合物の1,
2−エポキシ基に前記式〔1〕で表わされる化合物のア
ミノ基を付加反応させた付加反応生成物と、該反応生成
物中の第1の官能基と反応性を有する第2の官能基を有
するポリマーとを反応させる方法。
【0048】(c)前記1,2−エポキシ基含有重合性
不飽和モノマーの1,2−エポキシ基に前記式〔1〕で
表わされる化合物のアミノ基を付加反応させてなる前記
式〔2〕のキレート形成基と重合性不飽和結合とを有す
る付加反応生成物と、この反応生成物と共重合可能な他
の重合性不飽和モノマーとを共重合させる方法。
【0049】(d)前記エポキシ基含有シリコン化合物
の1,2−エポキシ基に前記式〔1〕で表わされる化合
物のアミノ基を付加反応させる方法。またこの方法によ
って得られる前記式〔2〕のキレート形成基とエーテル
化されたシラノール基とを有する化合物を部分(共)縮
合させるか、又はエーテル化されたシラノール基を有す
る他のシラン化合物と部分共縮合させる方法。
【0050】上記(a)〜(d)の方法において、1,
2−エポキシ基に前記式〔1〕で表わされる化合物のア
ミノ基を反応させる付加反応は、通常約20〜100℃
で約1〜24時間反応させることによって行なうことが
できる。前記式〔1〕で表わされる化合物のアミノ基が
活性水素を2個有する場合には、アミノ基1個に対して
1,2−エポキシ基を1個のみ付加させてもよいし、2
個付加させてもよい。
【0051】前記(b)の方法は、前記式〔2〕で示さ
れるキレート形成基と水酸基などの官能基とを有する化
合物を先ず作製し、この化合物中の官能基(キレート形
成基中のカルボキシル基は除く)をポリマー中の官能基
と反応させて高分子量化する方法である。上記(b)の
方法において、2級の水酸基や第1の官能基と反応性を
有する第2の官能基との関係は下記表1に示すとおりで
ある。第2の官能基はキレート形成基中のカルボキシル
基と反応しない、又は反応させないことが必要である。
【0052】
【表1】
【0053】前記(c)の方法において、前記式〔2〕
のキレート形成基と重合性不飽和結合とを有する付加反
応生成物と共重合させるために用いる他の重合性不飽和
モノマーとしては、前記1,2−エポキシ基含有重合性
不飽和モノマーと他の重合性モノマーとの共重合体ポリ
マーにおいて、他の重合性モノマーとして例示したモノ
マーを使用することができる。前記式〔2〕のキレート
形成基と重合性不飽和結合とを有する付加反応生成物と
他の重合性不飽和モノマーとの共重合は、公知の共重合
方法によって行なうことができ、例えば上記の成分を重
合触媒及び好ましくは有機溶剤の存在下で加熱反応させ
ることによって行なうことができる。
【0054】前記(d)の方法において、前記式〔2〕
のキレート形成基とエーテル化されたシラノール基とを
有する化合物と部分共縮合させるために使用するエーテ
ル化されたシラノール基を有する他のシラン化合物とし
ては、前記エポキシ基含有シリコン化合物の項におい
て、前記式〔3〕で示されるシラン化合物と部分共縮合
させて部分共縮合物を得るために使用される、エーテル
化されたシラノール基を有する他のシラン化合物として
例示したものが使用できる。
【0055】(d)の方法において、前記式〔2〕のキ
レート形成基とエーテル化されたシラノール基とを有す
る化合物を部分(共)縮合させるか、又はエーテル化さ
れたシラノール基を有する他のシラン化合物と部分共縮
合させる方法は、従来公知のエーテル化シラン化合物の
縮合方法に従うことができ、一般に酢酸等の有機酸、塩
酸等の無機酸等の酸、及び水の存在下に常温乃至沸点以
下の温度、好ましくは50〜90℃に加熱することによ
って行うことができる。水の量は縮合させる程度に応じ
て適宜増減させればよい。
【0056】これら(d)の方法によって得られる本発
明樹脂は、エーテル化されたシラノール基を有してお
り、この基が空気中の水分と反応し、加水分解してシラ
ノール基を形成し架橋反応していく、いわゆる湿気硬化
型となり得る。
【0057】また、上記(a)、(b)又は(c)の方
法で得られた樹脂についても樹脂中にエーテル化された
シラノール基を導入することによって湿気硬化型とする
ことができる。樹脂中にエーテル化されたシラノール基
を導入するには、例えば樹脂中にアルコール性水酸基を
存在させておき、この水酸基にエーテル化されたシラノ
ール基を有するモノイソシアネート化合物を例えば錫系
触媒の存在下に両者を約20〜100℃で約1〜10時
間反応させるなどの方法が利用できる。上記エーテル化
されたシラノール基を有するモノイソシアネート化合物
の代表例としては、例えばγ−イソシアナトプロピルト
リメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリエト
キシシラン等が挙げられる。
【0058】本発明樹脂は、上記(a)〜(d)の方
法、これらの変性方法以外の方法によって得られたもの
であってもよい。
【0059】本発明樹脂は、被膜形成能を有しているこ
とが必要であり、数平均分子量が約500〜500,0
00の範囲が好ましく更に好ましくは約1,000〜2
00,000の範囲内にあることが適当である。また本
発明樹脂は分子中に上記したキレート形成基を少なくと
も1個有することが必要であり、樹脂1,000g 中に
該キレート形成基を0.2〜3.5モル更には0.3〜
3.0モル有することが好ましい。
【0060】本発明樹脂では、基体樹脂としては、上記
した様に各種のものを用いることができるが、被膜形成
性などの点からアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリ
エステル系樹脂、アルキド系樹脂、ケイ素含有樹脂が好
ましい。
【0061】本発明樹脂は、有機溶剤で希釈して用いて
もよいし、また樹脂中のアミノ基の量を、例えばアミン
価が30〜180となるように調節し、アミノ基を酸、
例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸などの有機酸
や、例えば塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸で中和し、
カオチン化することによって水中に分散乃至は溶解させ
て用いてもよい。また樹脂中にカルボキシル基などの酸
基の量を、例えば酸価が30〜130となるように調節
し、酸基を有機アミン、アンモニア等の塩基で中和し、
アニオン化することによって水中に分散乃至は溶解させ
て用いてもよい。上記、樹脂をカオチン化する場合、樹
脂中へ導入するアミノ基はキレート形成基となる式
〔1〕で示される化合物によるものであってもよいし、
式〔1〕の化合物とこの化合物以外のアミノ基含有化合
物との両者によるものであってもよい。
【0062】式〔1〕で示される化合物以外のアミノ基
含有化合物としては、脂肪族、脂環族もしくは芳香−脂
肪族系の第1級もしくは第2級アミン(これらはエポキ
シ基と反応してアミノ基を形成しうる)、第3級アミノ
アルコールとジイソシアネートとの反応によって得られ
る第3級アミノモノイソシアネート(これは樹脂中の水
酸基と反応して該樹脂にアミノ基を導入しうる)および
第2級もしくは第3級アミノ基を有する重合性不飽和モ
ノマー(例えば前記(c)の方法において共重合により
樹脂中にアミノ基を導入しうる)等が挙げられる。
【0063】上記の第1級もしくは第2級アミンの例と
しては例えば次のものを挙げることができる: (イ)メチルアミン、エチルアミン、n−もしくはiso
−プロピルアミン、モノエタノールアミン、n−もしく
はiso −プロパノールアミンなどの第1級モノアミン; (ロ)ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジ−n−
または−iso −プロパノールアミン、N−メチルエタノ
ールアミン、N−エチルエタノールアミンなどの第2級
モノアミン; (ハ)エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ヒド
ロキシエチルアミノエチルアミン、エチルアミノエチル
アミン、メチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノ
エチルアミン、ジメチルアミノプロピルアミンなどの第
1級もしくは第2級のポリアミン等が挙げられる。
【0064】これらの第1級もしくは第2級アミンは、
樹脂中にエポキシ基がある場合、このエポキシ基とその
まま反応させてもよいが、一般には上記のアミンのうち
第1級アミンやN−ヒドロキシアルキル第2級アミンを
使用する場合には、このものを予めケトン、アルデヒド
もしくはカルボン酸と例えば、100〜230℃程度で
加熱反応させてアルジミン、ケチミン、オキサゾリンも
しくはイミダゾリンに変性し、このものを使用すること
が好ましい。これらの第1級アミン、第2級アミン、変
性したアミンと樹脂中のエポキシ基との反応は、例え
ば、約80〜約200℃の温度で、約2〜約5時間加熱
することによって行なうことができる。
【0065】また樹脂中に重合性不飽和基がある場合に
は、第1級アミンを該重合性不飽和基に付加させること
によってもアミノ基を導入することができる。この付加
反応は、両者を例えば酸触媒の存在下に約20〜100
℃で約1〜24時間反応させることによって行なうこと
ができる。
【0066】また、アミノ基含有化合物として第3級ア
ミノモノイソシアネートを用いる場合、例えば、30〜
120℃程度の温度において樹脂中のアルコール性水酸
基と反応させ赤外吸収スペクトル測定によりイソシアネ
ート基の吸収が完全になくなるまで反応を行なえばよ
い。
【0067】また、第2級もしくは第3級アミノ基を有
する重合性不飽和モノマーを用いてアミノ基を導入する
には、例えば前記(c)の方法において、式〔2〕で示
されるキレート形成基と重合性二重結合とを有する化合
物と共重合させる、他の重合性不飽和モノマーの一部又
は全部として第2級もしくは第3級アミノ基を有する重
合性不飽和モノマーを使用すればよい。
【0068】上記、樹脂をアニオン化する場合、樹脂中
へ導入する酸基としては、カルボキシル基、スルホン酸
基、リン酸基などが挙げられる。
【0069】これらの酸基を樹脂中に導入するには、例
えば、樹脂中にエポキシ基を有せしめ、このエポキシ基
に対して過剰モル量の上記酸基を有する多塩基酸を反応
させることによって行なうことができる。多塩基酸とし
ては、例えば(無水)フタル酸、イソフタル酸、テレフ
タル酸、ヘキサヒドロフタル酸、コハク酸、グルタル
酸、アジピン酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、(無
水)トリメリット酸、ピロメリット酸などが挙げられ
る。
【0070】樹脂中に酸基を導入する他の方法として
は、例えば前記(c)の方法において、キレート形成基
と重合性二重結合とを有する化合物と共重合させる、他
の重合性不飽和モノマーの一部又は全部として上記酸基
を有する酸基含有不飽和単量体を使用する方法などが挙
げられる。
【0071】また本発明樹脂は、該樹脂中に上記したキ
レート形成基以外に水酸基等の反応性基を存在させて、
この反応性基と反応する架橋剤と併用することができ
る。例えば上記反応性基が水酸基である場合には、架橋
剤として、公知のポリイソシアネート化合物、ブロック
化したポリイソシアネート化合物や、アミノプラスト樹
脂、即ち尿素、メラミン、ベンゾグアナミン等の含窒素
化合物とホルムアルデヒドなどのアルデヒド類との縮合
物や、この縮合物の低級アルキルエーテル化物(アルキ
ル基の炭素数は1乃至4)等を使用して、常温で又は加
熱によって架橋させることができる。また樹脂中に水酸
基を存在させて、この水酸基の一部に、ジイソシアネー
ト化合物のうちの一方のイソシアネート基をブロック化
した化合物を反応させて樹脂中にブロック化イソシアネ
ート基を導入することによって、自己架橋性を有する樹
脂とすることができる。
【0072】また、本発明樹脂中に重合性不飽和基を存
在させておき、この樹脂と重合性不飽和ビニル単量体と
を併用し、必要に応じて、光重合開始剤を配合すること
によって、電子線や紫外線などの活性光線の照射によっ
て硬化する組成物を得ることもできる。重合性不飽和ビ
ニル単量体としては、従来公知のビニル単量体が使用で
き、例えば、前記(c)の方法における、他の重合性不
飽和モノマーとして例示したものや、エチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパント
リ(メタ)アクリレートなどの多官能性モノマーが挙げ
られる。樹脂中への重合性不飽和基の導入は、樹脂中に
エポキシ基を存在させておき、このものにカルボキシル
基含有重合性不飽和化合物を付加させる方法等が使用で
きる。
【0073】本発明樹脂は有機溶剤系、水系(カオチン
系、アニオン系)のいずれにもすることができ、これら
の系において、単独で、又は架橋剤、ビニルモノマー等
と併用し、さらに必要に応じて顔料、表面調整剤、酸化
剤等を配合することによって金属の表面処理剤や防食用
塗料等として使用できる。これらの表面処理剤や防食用
塗料等は基材上にスプレー塗装、ハケ塗り、ロール塗
装、浸漬塗装、カオチン電着塗装、アニオン電着塗装、
浸漬自動析出、シルクスクリーン印刷等の方法に従い乾
燥膜厚で通常0.1〜50μm となるように塗布され、
ついで乾燥、硬化される。表面処理剤として用いる場
合、乾燥膜厚0.1〜5μm 程度が好ましく、防食用塗
料として使用する場合、乾燥膜厚1〜50μm 程度が好
ましい。塗布される基材としては、鉄、亜鉛、銅、アル
ミニウム等の金属、これらの金属表面にリン酸塩処理や
クロメート処理などの表面処理を施したものなどが挙げ
られる。
【0074】
【発明の効果】本発明樹脂は、鉄、亜鉛、銅、アルミニ
ウム等の腐食によって+2価又は+3価の金属イオンを
発生する金属に対して優れた防食性を付与することがで
き、しかも無公害である。このため、本発明樹脂は、金
属の表面処理剤又は防食用塗料用として極めて有用であ
る。
【0075】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
する。なお、以下、「部」および「%」は特に断わらな
い限り、重量基準によるものとする。
【0076】実施例1 フラスコ中にプロピレングリコールモノメチルエーテル
214.0部、エピコート828〔油化シェルエポキシ
(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ
当量186〕186.0部およびN−メチルアントラニ
ル酸75.6部を仕込み、60℃で5時間加熱撹拌し
た。次いで、このものに2,2′−イミノジエタノール
52.6部とプロピレングリコールモノメチルエーテル
52.6部とを加え、さらに60℃で3時間加熱撹拌を
行なった後、室温まで冷却して固形分50%のキレート
形成性樹脂溶液を得た。得られたキレート形成性樹脂
は、数平均分子量630、アミン価170であり、1分
子当り、キレート形成基を1個、水酸基を4個有する。
【0077】実施例2 フラスコ中にプロピレングリコールモノメチルエーテル
254.6部、エピコート828を186.0部および
アントラニル酸68.6部を仕込み、60℃で5時間加
熱撹拌した。次いで、このものに2,2′−イミノジエ
タノール52.6部とプロピレングリコールモノメチル
エーテル52.6部とを加え、さらに60℃で3時間加
熱撹拌を行なった後、室温まで冷却して固形分50%の
キレート形成性樹脂溶液を得た。得られたキレート形成
性樹脂は、数平均分子量616、アミン価80であり、
1分子当り、キレート形成基を1個、水酸基を4個有す
る。
【0078】実施例3 フラスコ中にプロピレングリコールモノメチルエーテル
323.1部、エピコート828を186.0部および
アントラニル酸131.1部を仕込み、60℃で8時間
加熱撹拌した後、室温まで冷却して固形分50%のキレ
ート形成性樹脂溶液を得た。得られたキレート形成性樹
脂は、分子量634、アミン価177であり、1分子当
り、キレート形成基を2個、水酸基を2個有する。
【0079】実施例4 フラスコ中にプロピレングリコールモノメチルエーテル
288.9部、エピコート828を186.0部および
アントラニル酸102.9部を仕込み、60℃で8時間
加熱撹拌した後、室温まで冷却して固形分50%のキレ
ート形成性樹脂を得た。得られたキレート形成性樹脂
は、分子量634と分子量509のものの1:1(モル
比)混合物であり、アミン価は140であって、1分子
当り、平均してキレート形成基を1.5個、水酸基を
1.5個、エポキシ基を0.5個有する。
【0080】実施例5 フラスコ中にプロピレングリコールモノメチルエーテル
133.1部、EX−830〔ナガセ化成工業(株)
製、ポリオキシエチレン型エポキシ樹脂、エポキシ当量
262〕262.0部およびアントラニル酸131.1
部を仕込み、60℃で8時間加熱撹拌した。次いで、こ
のものにエピコート828を93.0部およびプロピレ
ングリコールモノメチルエーテル359.0部を加え、
さらに60℃で8時間加熱撹拌を行なった後、室温まで
冷却して固形分50%のキレート形成性樹脂溶液を得
た。得られたキレート形成性樹脂は、分子量1,94
4、アミン価100であり、1分子当り、キレート形成
基を4個、水酸基を6個有する。
【0081】実施例6 フラスコ中にプロピレングリコールモノメチルエーテル
173.1部、EX−841〔ナガセ化成工業(株)
製、ポリオキシエチレン型エポキシ樹脂、エポキシ当量
382〕382.0部およびアントラニル酸131.1
部を仕込み、60℃で8時間加熱撹拌した。次いで、こ
のものにエピコート828を93.0部およびプロピレ
ングリコールモノメチルエーテル439.1部を加え6
0℃で8時間加熱撹拌を行なった後、室温まで冷却して
固形分50%のキレート形成性樹脂溶液を得た。得られ
たキレート形成性樹脂は、分子量2,424、アミン価
90であり、1分子当り、キレート形成基を4個、水酸
基を6個有する。
【0082】実施例7 フラスコ中に酢酸ブチル337.2部、エピコート82
8を186部、N−メチルアントラニル酸151.2部
を仕込み、60℃で5時間加熱撹拌を行ない、固形分5
0%の付加物溶液を得た。この付加物は分子量643、
アミン価170であり、1分子中にキレート形成基2個
と水酸基2個とを有する。別に、フラスコ中に酢酸ブチ
ル100部を仕込み120℃に保持した。この中にイソ
シアナトエチルメタクリレート13.8部、エチルメタ
クリレート50.9部、N,N−ジメチルアクリルアミ
ド35.3部および2,2′−アゾビスイソブチロニト
リル10部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了
後、さらに120℃で1時間熟成を行ない、固形分50
%のイソシアネート基含有樹脂溶液を得た。この樹脂
は、重量平均分子量約1,500であって、1分子中に
平均して1.2個のイソシアネート基を有する。前記固
形分50%の付加物溶液643部を60℃に保持し、こ
の中に、上記固形分50%のイソシアネート基含有樹脂
溶液1,500部を2時間かけて滴下し、さらに60℃
で1時間保持して固形分50%のキレート形成性樹脂溶
液を得た。得られた樹脂は、数平均分子量約2,30
0、アミン価46であり、1分子中に平均してキレート
形成基を2個、水酸基を0.8個有する。
【0083】実施例8 フラスコ中に酢酸ブチル20.5部、グリシジルメタク
リレート10部およびN−メチルアントラニル酸10.
5部を加え、60℃で5時間加熱撹拌を行ない、重合性
不飽和二重結合を1個、水酸基を1個有するグリシジル
メタクリレートとN−メチルアントラニル酸との付加物
溶液を得た。別のフラスコ中に酢酸ブチル100部を仕
込み、120℃に保持した中に、上記で得た付加物溶液
41部、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート5部、
n−ブチルメタクリレート85部および2,2′−アゾ
ビスイソブチロニトリル10部の混合溶液を1時間かけ
て滴下し、次いで100℃で1時間熟成した後、室温ま
で冷却して固形分50%のキレート形成性樹脂溶液を得
た。得られた樹脂は数平均分子量約2,800、アミン
価32であり、1分子中に平均して、キレート形成基を
2個、水酸基を3個有する。
【0084】実施例9 フラスコ中にγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ラン237部、N−メチルアントラニル酸151.2部
および酢酸ブチル388.2部を仕込み、60℃で5時
間加熱撹拌し固形分50%のキレート形成性樹脂溶液を
得た。得られた樹脂は分子量388、アミン価140で
あり、1分子中にキレート形成基1個、水酸基1個およ
びメトキシシリル基3個を有する。
【0085】実施例10 アセトン400部と水4部との混合溶液中に、実施例1
で得た固形分50%のキレート形成性樹脂溶液100
部、ギ酸4部およびノイゲンEA152(第一工業製薬
(株)製、ノニオン型界面活性剤)0.25部を混合、
溶解し、このものに水2,600部を徐々に添加し、均
一に混合した。次いで脱溶剤を行ない、減量分を水で加
えて、固形分濃度約1.6%の表面処理組成物Aを得
た。
【0086】実施例11 アセトン400部と水4部との混合溶液中に、実施例2
で得た固形分50%のキレート形成性樹脂溶液100
部、固形分約60%のメチルエチルケトオキシムブロッ
ク化4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシア
ネート)の溶液28部、ギ酸4部およびノイゲンEA1
52を0.33部を混合、溶解し、このものに水3,6
00部を徐々に添加し、均一に混合した。次いで脱溶剤
を行ない、減量分を水で加えて、固形分濃度約1.6%
の表面処理組成物Bを得た。
【0087】実施例12 アセトン400部と水4部との混合溶液中に、実施例3
で得た固形分50%のキレート形成性樹脂溶液100
部、固形分約60%のレゾール型フェノール樹脂15
部、ノイゲンEA152を0.3部およびアミンブロッ
ク化したパラトルエンスルホン酸溶液(パラトルエンス
ルホン酸濃度10%)4.7部を添加、溶解し、このも
のを水3,200部中に撹拌しながら徐々に加え均一に
混合した。次いで脱溶剤を行ない、減量分を水で加え、
20%酒石酸水溶液でpH約4.5に調整し表面処理組成
物Cを得た。
【0088】実施例13 実施例4で得た固形分50%のキレート形成性樹脂10
部にエタノール90部を加え、均一に撹拌して固形分5
%の表面処理組成物Dを得た。
【0089】実施例14 実施例10において、実施例1で得たキレート形成性樹
脂溶液のかわりに実施例5で得たキレート形成性樹脂溶
液を用いる以外は実施例10と同様に行なって固形分濃
度約1.6%の表面処理組成物Eを得た。
【0090】実施例15 実施例10において、実施例1で得たキレート形成性樹
脂溶液のかわりに実施例6で得たキレート形成性樹脂溶
液を用いる以外は実施例10と同様に行なって固形分濃
度約1.6%の表面処理組成物Fを得た。
【0091】実施例16 実施例12において、実施例3で得たキレート形成性樹
脂溶液のかわりに実施例8で得たキレート形成性樹脂溶
液を用いる以外は実施例12と同様に行なって表面処理
組成物Gを得た。
【0092】試験例1〜7 実施例10〜16で得た表面処理組成物A、B、C、
D、E、F、Gのそれぞれの液中に、表1に示すように
冷延鋼板、鉄−亜鉛合金メッキ鋼板、アルミニウム板の
各種素材を浸漬し引上げた後、乾燥させて表面処理膜を
形成した。表面処理膜の乾燥膜厚はいずれも約0.5μ
m であった。それぞれの表面処理膜上にエポキシ・メラ
ミン系塗料白色(表1では「EP/ME」と略記す
る。)を乾燥膜厚が約40μm となるように塗布し、1
40℃で30分間焼付け硬化させた。
【0093】試験例8 実施例7で得たキレート形成性樹脂溶液をプライマー組
成物Hとして、表1に示すように各種素材上にバーコー
タにて乾燥膜厚が約3μm となるように塗布し、60℃
で20分間乾燥させてプライマー膜を形成した。このプ
ライマー膜上にSDホルス白〔関西ペイント(株)製、
合成樹脂調合ペイント白色(表1では「SD」と略記す
る。)〕を乾燥膜厚が約100μm となるように塗装
し、室温で5日間乾燥させた。
【0094】試験例9 実施例9で得たキレート形成性樹脂溶液を表面処理組成
物Iとして、この液中に表1に示すように各種素材を浸
漬し引上げた後、乾燥させて表面処理膜を形成した。表
面処理膜の乾燥膜厚は約0.5μm であった。この表面
処理膜上に、アレステック100ホワイト〔関西ペイン
ト(株)製、高度加工用ポリエステル樹脂系塗料、白色
(表1では「AT」と略記する。)〕をバーコータにて
乾燥膜厚が約18μm となるように塗装し、素材到達温
度が225℃となる条件にて60秒間焼付け硬化させ
た。
【0095】比較試験例1〜3 素材にキレート形成性表面処理を行なうかわりにリン酸
亜鉛処理板(例1)、クロム酸処理板(例2)又は無処
理板(例3)を使用し、この上に上塗塗料として、試験
例1〜7で用いたエポキシ・メラミン系塗料を乾燥膜厚
が約40μm となるように塗布し、140℃で30分間
焼付け硬化させた。
【0096】上記試験例1〜9および比較試験例1〜3
で得た塗装板について耐塩水噴霧試験を行なった。試験
結果を表2に示す。
【0097】試験方法 耐塩水噴霧試験(SST):塗板にクロスカットを入れ
JIS Z 2371に準じて試験を行なった。試験時
間は1,000時間とした。試験後の塗板のクロスカッ
ト部の片側の剥離幅および発錆幅のうちの最大長さによ
って評価し、この長さを表示した。
【表2】
フロントページの続き (72)発明者 鈴野 純 神奈川県平塚市東八幡4丁目17番1号 関 西ペイント株式会社内 (72)発明者 槙 哲 神奈川県平塚市東八幡4丁目17番1号 関 西ペイント株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式〔1〕で表わされる化合物のアミ
    ノ基と、1,2−エポキシ基を有する化合物中の1,2
    −エポキシ基との反応によって付加反応させてなること
    を特徴とする下記式〔2〕で表わされるキレート形成基
    を分子中に少なくとも1個有する被膜形成可能なキレー
    ト形成性樹脂。 【化1】 (式中、R1 は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲ
    ン原子、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基又は炭素原子
    数18以下の酸素原子を含有していてもよい有機基を表
    わし、R2 は、水素原子又はメチル基を示す。) 【化2】 (式中、R1 は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲ
    ン原子、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基又は炭素原子
    数18以下の酸素原子を含有していてもよい有機基を表
    わし、R3 は、水素原子、メチル基又は直接結合を示
    す。)
  2. 【請求項2】 キレート形成樹脂の基体部分が、アクリ
    ル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル樹脂、アルキ
    ド系樹脂又はケイ素含有樹脂である請求項1記載のキレ
    ート形成性樹脂。
  3. 【請求項3】 アミン価を30〜180としてなる請求
    項1記載のキレート形成性樹脂を酸で中和し、水溶化な
    いしは水分散化してなるキレート形成性樹脂の水性液。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のキレート形成性樹脂に架
    橋剤を配合してなることを特徴とするキレート形成性樹
    脂組成物。
  5. 【請求項5】 下記式〔1〕で表わされる化合物のアミ
    ノ基と、1,2−エポキシ基を有する化合物中の1,2
    −エポキシ基との反応によって付加反応させることを特
    徴とする請求項1記載のキレート形成性樹脂の製造方
    法。 【化3】 (式中、R1 は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲ
    ン原子、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基又は炭素原子
    数18以下の酸素原子を含有していてもよい有機基を表
    わし、R2 は、水素原子又はメチル基を示す。)
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CN115430406A (zh) * 2022-09-15 2022-12-06 浙江蓝景科技有限公司杭州分公司 一种聚合物微孔材料的制备工艺及应用

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CN115430406A (zh) * 2022-09-15 2022-12-06 浙江蓝景科技有限公司杭州分公司 一种聚合物微孔材料的制备工艺及应用
CN115430406B (zh) * 2022-09-15 2024-04-05 浙江蓝景科技有限公司杭州分公司 一种聚合物微孔材料的制备工艺及应用

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