JPH07289873A - 溶剤等の攪拌・脱泡装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、短時間で溶剤に混入した気泡を脱
泡して攪拌するとともに、種々の濃度の溶剤を攪拌，脱
泡することで、作業能率を向上することのできる溶剤等
の攪拌・脱泡装置を提供することを目的とする。 【構成】 固定軸３に回転自在に設けられたアーム体１
と、該アーム体１に回転自在に設けられた溶剤等を収容
するための容器６…と、該アーム体１を回転駆動する駆
動源ととからなり、しかも該駆動源には、前記アーム体
１が回転駆動した際、前記容器６…を自転させるための
自転手段が設けられてなることにある。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、溶剤等の攪拌・脱泡装
置、更に詳しくは、例えばレントゲン撮影等で使用され
るバリウム造影剤等の溶剤を攪拌及び脱泡するのに使用
する溶剤等の攪拌・脱泡装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、溶剤等の攪拌・脱泡装置は、容器
に配設された真空ポンプと、該容器内に設けられ、複数
の羽を有する回転翼とからなり、使用する場合は、前記
容器を真空状態にした後、バリウム造影剤等の溶剤を充
填して回転翼で攪拌することで攪拌及び脱泡を同時に行
なうものや、モーターの回転軸に攪拌用の羽を装着し、
該攪拌用の羽を容器内に充填された溶剤に中で回転する
ことにより攪拌を行うものが使用されてなる。

【０００３】また、攪拌等する溶剤の粘度が10万CP（セ
ンチポアズ）以上の高粘度液体の場合は、上記の装置で
は該高粘度液体の攪拌及び脱泡が十分に行うことができ
ないために、棒体等の部材で人為的に回転することで高
粘度液体の攪拌及び脱泡を行うべく使用してなる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の真空ポンプを用いる装置においては、容器内の隅縁
部等の攪拌が不十分で泡が溶剤内に残存するとともに、
攪拌作業前に容器内を真空にするのに多くの時間を要
し、また攪拌用の羽を使用する場合も同様に容器内の隅
縁部等の拡散が不十分であり、棒体等の部材を用いる場
合は、さらに攪拌及び脱泡の処理作業が煩雑である。即
ち、上記従来の真空ポンプ等を用いる場合は、その攪拌
及び脱泡の処理作業を確実に行うことができず、しかも
作業工程が煩雑で、作業効率が悪いという問題点があっ
た。

【０００５】しかも、従来の真空ポンプ等を用いる場合
は攪拌する速度が一定に設定されてなるために、例えば
濃度・粘度の相違する溶剤に対しては、攪拌速度の相違
する種々の装置を用いるためにコストがかかり、また溶
剤の濃度等にあった適切な速度の真空ポンプ等を準備す
るのが難しく、適切な脱泡ができないという欠点があっ
た。

【０００６】また、従来は容器内で一度に多量の溶剤を
攪拌・脱泡して作るために、残った溶剤を廃棄しなけれ
ばならないという欠点があった。

【０００７】本発明は上記問題点に鑑みて発明されたも
ので、短時間で溶剤に混入した気泡を脱泡して攪拌する
とともに、種々の濃度の溶剤を攪拌，脱泡することで、
作業能率を向上することのできる溶剤等の攪拌・脱泡装
置を提供することを課題とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、固定軸３に回転自在に設けられたアーム
体１と、該アーム体１に回転自在に設けられた溶剤等を
収容するための容器６…と、該アーム体１を回転駆動す
る駆動源とからなり、しかも該駆動源には、前記アーム
体１が回転駆動した際、前記容器６…を自転するための
自転手段が設けられてなることにある。

【０００９】また、前記自転手段には、自転量を段階的
に調整するための制御機が設けられてなることにある。

【００１０】

【作用】即ち、本発明の溶剤等の攪拌・脱泡装置を使用
する場合は、先ずアーム体１に設けられた容器６…に溶
剤を収容した後、駆動源11を作動して該アーム体１を回
転駆動することで、容器６…に収容された溶剤等を脱泡
する。この際、前記該駆動源11には自転手段が設けられ
てなるために、前記アーム体１が回転駆動した際、前記
容器６…は同様に自転することとなり、溶剤等の脱泡と
同時に攪拌を行うことができる。

【００１１】また、前記自転手段に制御機を設けること
で、自転速度を段階的に調整することができるので、溶
剤の種類，分量，比重，粘度等に応じて溶剤等の脱泡と
同時に攪拌を行うことができる。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の攪拌・脱泡装置の一実施例に
ついて図面に従って説明する。

【００１３】図１において、１は基台２に固定された固
定軸３に回転自在にベアリング４を介して嵌入された断
面視略Ｙ字状のアーム体で、該アーム体１の上部の両端
側には、前記アーム体１に回転自在に軸支した支軸５に
固定された上部開放型の一対の収納体6a，6aが設けら
れ、しかも該収納体6a，6aには溶剤を収容するための容
器６，６が収納されてなる。6b, 6bは前記容器６及び収
納体6a，6aの開口部を閉塞するための蓋体を示す。

【００１４】７は前記アーム体１の固定軸３側の下端部
分に固着された公転用歯車を示す。８，８は前記公転用
歯車７の上方で前記アーム体１にベアリング９を介して
外嵌された一対の駆動用のプーリーで、該駆動用のプー
リー８，８の下端側には歯車10が一体的に固定されてな
る。

【００１５】11は前記公転用歯車７に螺合し、駆動用モ
ーター（図示せず）に連結された駆動用歯車で、該駆動
用歯車11には前記固定軸３を中心として180 度対向した
位置に前記歯車10に螺合された自転用歯車12が連設され
てなる。

【００１６】13は前記自転用歯車12に連結された制御用
のパウダーブレーキで、該パウダーブレーキ13にかける
電圧を増加することで前記自転用歯車12の回転数を段階
的に減少し前記公転用歯車７に固着された該アーム体１
の回転数に対して、前記自転用歯車12の回転数を減少
し、前記パウダーブレーキ13の電圧を減少することで前
記自転用歯車12の回転数を段階的に増加し、前記アーム
体１の回転数に対して、前記自転用歯車12の回転数を段
階的に増加すべく構成されてなる。

【００１７】14, 14は前記容器６，６の固定された支軸
５，５にそれぞれ外嵌された自転用プーリーで、該自転
用プーリー14, 14と前記駆動用のプーリー８，８とには
ベルト体15が架設されてなる。

【００１８】16は前記駆動用モーター11の外周に設けら
れ、該アーム体１の回転量を検知する公転用センサーを
示し、17は前記パウダーブレーキ13に外周に設けられ、
該自転用歯車12の回転量を検知する自転用センサーを示
し、18は前記基台２に設けられ、アーム体１等の作動時
の振動を検知する振動センサーを示す。

【００１９】以上のようにして攪拌・脱泡装置19は構成
され、次に該装置19を使用して溶剤の攪拌及び脱泡をす
る場合について説明する。

【００２０】先ず、パウダーブレーキ13にかける電圧を
０にして自転用歯車12をフリーの状態にした後、アーム
体１に設けられた容器６，６に処理用の混合溶剤を収容
せしめ、その後該容器６，６を収納体6a, 6aに収納して
開口部を蓋体6b, 6bで閉塞し自転用モーターを作動して
駆動用歯車11を回転する。この際、自転用歯車12がフリ
ーの状態なので前記歯車10は該自転用歯車12を回転させ
ながら前記アーム体１に従って回転することとなるの
で、該自転用歯車12と一体的に設けられた駆動用のプー
リー８，８も該アーム体１に従って回転し、該駆動用の
プーリー８，８と自転用プーリー14, 14とに架設された
ベルト体15は回転駆動することができず、前記容器６，
６は自転することなく該アーム体１のみ回転することと
なる。

【００２１】従って、前記容器６，６内の溶剤は、前記
アーム体１の回転による遠心力により比重の重い溶剤が
容器６，６の内周面の外側に押圧されながら移動すると
ともに、該溶剤中に混入された気泡が容器の内方向に押
し出されて溶剤の脱泡を行うことができることとなる。

【００２２】次に、攪拌・脱泡を同時に行う場合は、前
記パウダーブレーキ13に電圧を加えて自転用歯車12の回
転数を制限して前記アーム体１の回転数に比し前記自転
用歯車10に螺合された歯車10の回転数を減少する。これ
により、前記歯車10に一体的に設けられた駆動用のプー
リー８，８の回転数を減少させ、前記アーム体１の回転
数に比し減少した回転数がベルト体15を介して自転用プ
ーリー14, 14に伝達され、前記容器６，６を自転させる
ことととなる。

【００２３】従って、前記容器６，６内の溶剤は前記ア
ーム体１の回転により脱泡されるとともに、容器６，６
の自転により溶剤にラセン状の移動を生じさせて該溶剤
の攪拌を行うことができることとなる。しかも、前記容
器６，６の自転数は前記パウダーブレーキ13にかける電
圧量により段階的に調整することができるので、収納す
る溶剤の性質，粘度等に応じてその攪拌及び脱泡を的確
に行うことができるのである。

【００２４】尚、上記実施例では、容器の自転数を段階
的に調整するための制御機としてパウダーブレーキを用
いたが、本発明の制御機はこれに限定されるものでな
く、例えば、図２に示すように、歯車10に螺合された歯
車体20と、該歯車体20を挿通しブレーキとクラッチギア
ーとの設けられた回転軸21と、該回転軸21に連結された
伝達用プーリー22と該伝達用プーリー22にベルト体23を
介して連結された自転用モーター24とから構成すること
により、クラッチ及びブレーキをオフの状態にすること
で前記歯車体20がフリーの状態で回転して容器6,6 の自
転を０回転にし、ブレーキをオフでクラッチをオンの状
態にすることで、自転用モーター24の回転量が回転軸21
を介して歯車体20に伝動され、歯車10をアーム体１の回
転方向とは逆向きに回転することができるので、アーム
体１の回転数に対して容器６の自転数を増加することが
できる。従って、例えば、バリウム造影剤の攪拌及び脱
泡をする場合は、先ず、アーム体１の回転を毎分250
回、容器６，６の自転を800 回を３分間、次にアーム体
１の回転を毎分1000回、容器６，６の自転を800 回を３
分間、次にアーム体１の回転を毎分1000回、容器６，６
の自転を0 回を３分間とあらかじめ設定しておき、その
後容器６，６にバリウム造影剤を収容して、前記公転及
び自転の設定に沿って攪拌及び脱泡を行うことで、確実
にバリウム造影剤の攪拌及び脱泡を行うことができるこ
ととなる。

【００２５】しかも、前記アーム体１と容器６との回転
数及び自転数は自在に設定することができるので、種々
の比重等の相違する溶剤に対応して攪拌及び脱泡を行う
ことができることとなる。

【００２６】又、上記実施例では、アーム体１に一対の
容器６，６を設けることで構成したが、本発明の容器
６，６の個数はこれに限定されるものでなく、例えばア
ーム体１を正面視略十字上に形成することで４個の容器
６…を設けることも可能である。

【００２７】更に、上記実施例では、容器６と容器６の
収容体6aとを別体に構成したが、容器６と収容体6aとを
一体的に形成することも可能である。

【００２８】

【発明の効果】叙上の様に、本発明の溶剤等の攪拌・脱
泡装置は、固定軸に回転自在に設けられたアーム体と、
該アーム体に設けられた容器と、該アーム体を回転駆動
する駆動源と、該駆動源に設けられた容器を自転するた
めの自転手段とから構成することにより、従来の真空ポ
ンプを用いた装置や、棒体等の部材を使用する場合のよ
うに容器内の隅縁部等の攪拌が不十分で泡が溶剤内に残
存したり、処理効率が低下するようなことなく作業効率
を著しく向上することができるという効果がある。

【００２９】しかも、制御機により容器の自転数を段階
的に変化させることができるので、従来のように溶剤に
応じて種々の回転数の相違する容器を揃える必要がなく
１台の装置で種々の溶剤を攪拌及び脱泡することがで
き、コストを低減することができるという利点がある。

【００３０】さらに、容器に必要量のみの溶剤を収容し
て短時間で該溶剤の攪拌及び脱泡ができ、従来のよう
に. 度に多量の溶剤を作るような無駄がなく、且つその
つど所定量の溶剤のみ攪拌及び脱泡できるので経済的で
あるとともに、衛生的に溶剤の攪拌及び脱泡ができると
いう利点がある。

【００３１】また、制御機を、アーム体の回転数に対し
て容器の自転数を段階的に減少する減少用制御機で構成
することにより、１台の駆動源により簡易に構成するこ
とができ、少ない部品点数で簡易に制御機を構成するこ
とができる利点がある。

【００３２】さらに、制御機を、アーム体の回転数に対
して容器の自転数を段階的に増加する増加用制御機で構
成することにより、溶剤の比重が高く、溶剤の粘度が10
万cp以上の場合であっても、容器の自転量がアーム体の
回転量より多いために容易に攪拌することができるとい
う利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の攪拌・脱泡装置の一実施例を示す断面
図。

【図２】制御機の他実施例を示す断面図。

【符号の説明】

１…アーム体 ３…固定軸 ６…容器 11…駆動源 13…減少用制御機 24…増加用制御機

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 公文代 敏男 京都市山科区西野大手先町８番地の12 株 式会社アイ・ケイ・エス内

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 固定軸(3) に回転自在に設けられたアー
   ム体(1) と、該アーム体(1) に回転自在に設けられた溶
   剤等を収容するための容器(6) …と、該アーム体(1) を
   回転駆動する駆動源とからなり、しかも該駆動源には、
   前記アーム体(1) が回転駆動した際、前記容器(6) …を
   自転させるための自転手段が設けられてなることを特徴
   とする溶剤等の攪拌・脱泡装置。
2. 【請求項２】 前記自転手段には、自転数を段階的に調
   整するための制御機が設けられてなる請求項１記載の溶
   剤等の攪拌・脱泡装置。
3. 【請求項３】 前記制御機が、前記アーム体(1) の回転
   数の範囲内で容器の自転数を段階的に増減する段階的制
   御機(13)である請求項２記載の溶剤等の攪拌・脱泡装
   置。
4. 【請求項４】 前記制御機が、前記アーム体(1) の回転
   数に対して容器の自転数を増加する増加用制御機(24)で
   ある請求項２記載の溶剤等の攪拌・脱泡装置。