JPH0728502Y2 - 空調機用等蒸気加湿器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、ビル等で使用される空調機、特に天井埋込み
式の空調機等に使用される蒸気加湿器に関し、水漏れを
防止するだけでなく、火災がおこる心配もなく安全で信
頼性があり、そのうえ希望する湿度にまで自由に相対湿
度を高めることができ、衛生的な加湿を行なうことがで
きることを特徴とするものである。

〔従来の技術〕

従来より、ビル等において一般的に普及している空調機
は、フロア据え付け用がほとんどであり、それ等は内部
に加湿器を組込んで使用されるものであつた。

上記フロア据え付用空調機には、ニクロム線を内部に有
し、絶縁物でその周囲を固め、外側を銅やステンレス等
で覆つたシーズヒータを熱源とする蒸気加湿器、発熱源
を持たない超音波加湿器及び吸水性のよい親水プラスチ
ツクや不織布等を利用して水の入つた水槽にその片面を
浸し、毛細管現象を利用して蒸発素材に水分を含ませ、
その素材間に乾いた風をあてることにより水分を蒸発さ
せる自然蒸発式加湿器が使用されていた。

しかしながら、最近は都市部を中心とした土地の高騰に
伴ない部屋等のスペースの有効利用が図られ、同時に省
エネという観点から使用する空間のみを空調するという
個別空調方法が主流になりつつあり、そのため空調機も
フロア据え付け式から天井埋込み式が主流となりつつあ
つた。

〔考案が解決しようとする課題〕

上記どちらの方式の場合も冷暖房に関しては満足の得ら
れるものであるが、加湿という点に関しては天井埋込み
方式の場合、設置される場所が天井内部という特質上、
すなわち限られた空間で、さらに天井内部には梁や建築
材等が複雑に配置されており、機器の設置スペース及び
設計上問題があるうえに加湿器の排水管の傾斜をスムー
ズにとることができない等、その設置が非常に困難とな
るものであつた。

そのため、加湿器を設けたとしても何等かの原因で故障
が起きた場合には、人目につかない場所であるため早急
な対応ができず、例えば加湿器の給水制御電磁弁が開い
たままとなり、長時間にわたつて大量の水が流れ出た時
には、空調機のドレン排水ポンプにも性能的に限りがあ
るためオーバーフローして天井内部が水びたしになると
ともにフロアに落下することになり、落下場所によつて
はその被害が甚大となるものであつた。

また、シーズヒーターを熱源とする蒸気加湿器を設けた
場合、万一断水と温度ヒユーズ、サーモスタツト等の安
全装置が故障して作動しなくなつた時には、シーズヒー
ターの表面温度が上昇しつづけることになり加湿器の周
囲の可燃物が発火することになつたり、あるいは長時間
の加湿によりヒーターの表面にスケールが付着すると熱
交換が行なわれなくなり、ニクロム線が溶断したり、ヒ
ーターそのものが内部から溶解してしまう等により火炎
が発生する危険性があり、天井内部への設置には問題が
あるものであつた。

さらに、超音波加湿器を設けた場合には、空調機から水
の微粒子を噴霧するものであるため、水の蒸発時に潜熱
が奪われ室温が低下させられたり、時には未蒸熱の霧と
なつて吹き出される欠点があつた。

しかも、水に含まれる鉱物質が蒸熱とともに析出して白
い粉状となつて室内の壁面や備品等に付着し、例えばオ
フイス等のOA機器に付着した場合にはデイスプレイのち
らつきを生じさせたり、機器の内部へ付着した場合には
誤動作や故障の原因となり、それ等をなくそうとすると
別に純水装置やイオン交換樹脂の頻繁な交換、再生を行
なう必要がありイニシアルコストやランニングコストが
必然的に高くなる欠点があつた。

また、自然蒸発式加湿器を設けた場合には、その蒸発量
は素材の表面積、風量及び吸引空気の乾燥の度合によつ
て左右されるため上記装置を大きく構成しなければ希望
する加湿量が得られないものであり、しかも、常時素材
に風を当てているため空気中のホコリや細菌が付着しや
すく不衛生であり、時には異臭の発生する欠点があつ
た。

そして、上記いずれの場合にも、加湿により室内の相対
湿度が上昇すると同時に水蒸気分圧も上昇することにな
るため徐々に蒸発しにくくなり、ある時点でバランスし
てそれ以上相対湿度（一般的には60％以上）は上昇しな
くなりそれ以上の湿度を望む場合には不向きとなるもの
であつた。

本考案は、上記事情に鑑みてなされたものであり人目に
つかぬ天井内部に設置しても水漏れが早急に防止でき、
ヒーターの溶断、溶解等がないため火炎がおこる心配が
なく安全で信頼性があり、そのうえ希望する相対湿度ま
で容易にコントロールすることができ、しかも異臭が発
生せず衛生的な加湿を行なうことのできる空調機用等蒸
気加湿器を提供することを目的とするものである。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するため、本考案は加湿器水槽部内に、
発熱体として一定温度になると抵抗値が大となり、電流
を通さなくなるセラミック半導体発熱体からなる水中ヒ
ーターが設けられ、給水制御装置として水位制御センサ
ー及びオーバーフロー検知センサーが上記加湿器水槽部
内に設けられ、さらにそれらのセンサーにより制御され
る給水制御電磁弁及び給水遮断電磁弁が給水管に設けら
れてなる構成としたものである。

〔作用〕

電源コード（19）から加湿運転の信号が入力されると水
位制御センサー（７）の接点がONしているので電磁弁格
納箱（２）内の給水制御電磁弁（４）が開き、一次側給
水管（１）から二次側給水管（５）を介して止め金具
（６）で止められた上蓋（13）で上面開口部を覆われた
加湿器水槽部（16）に給水が行なわれる。

そして、給水が上記加湿器水槽部（16）内の所定の水位
に達すると空焚防止センサー（11）の接点がONになり、
水中ヒーター（15）に通電され加湿が始まる。

さらに、給水が続けられ所定の水位になると水位制御セ
ンサー（７）の接点がOFFになり、給水制御電磁弁
（４）が閉じられ、給水が停止させる。

その後、加湿運転により加湿器水槽部（16）内の水位が
減少すれば再び水位制御センサー（７）の接点がONにな
り給水制御電磁弁（４）が開いて給水され、所定水位に
なると切れる。加湿運転中はこの動作を繰り返して自動
的に水位を保ち続けるものである。

また、上記加湿器水槽部（16）内で発生した蒸気は、加
湿器水槽部（16）の上蓋（13）の外側に設けられた加湿
管（10）を通つて加湿ノズル（23）から空調機（ａ）の
フアン（図示せず）によつて加湿する場所となる各室等
に放出される。

なお、電磁弁格納箱（２）内の給水遮断電磁弁（３）
は、加湿運転中は開いたままの状態であるが給水制御電
磁弁（４）が故障したり、水位制御センサー（７）が何
等かの原因により故障して接点がONの状態になり、加湿
器水槽部（16）内の水位が上昇して上蓋（13）の内側に
設けられたオーバーフロー検知センサー（９）がONにな
つた場合に通電されて閉じられるものである。同時に加
湿運転は停止され、異常発生を知らせる信号で外部へ知
らせるものである。

また、何等かの原因で加湿器水槽部（16）内の水が減少
した場合には空焚防止センサー（11）が作動して運転が
停止させられる。万一空焚防止センサー（11）が故障し
ても水中ヒーター（15）に通電が行われている場合には
過昇温度防止用サーモスタツト（14）がOFFになり運転
が停止させられるものである。

さらに上記過昇温度防止用サーモスタツト（14）も故障
した場合には、水中ヒーター（15）への通電は停止され
ず空焚きの状態となる。しかし前述のように自己温度制
御機能を有するセラミツク半導体発熱体を内部に組み込
んだ水中ヒーター（15）を使用し、水の沸騰点以上で、
周囲に位置する木材、紙、樹脂等の可燃物が発火しない
点以下のキーユリー点を持たせて使用するため火災の発
生はおこらないものであり極めて安全である。

さらに外部への異常を知らせる信号は制御盤（20）に設
けられた故障個所表示LEDランプ（22）によつてどこの
個所に異常が発生したのかを一目で判読できるように異
常個所表示を行なうようにすれば保守点検が素速やく適
確に行なうことができるものである。

なお、加湿器水槽部（16）からの漏水はドレンパン（1
7）内の漏水検知センサー（12）により、加湿ノズル（2
3）からの漏水はドレンパン（24）内の漏水検知センサ
ー（12）により検知して給水遮断電磁弁（３）を閉じる
よう構成されている。

〔実施例〕

以下に本考案の一実施例を図面にもとづいて詳細に説明
する。

まず図面実施例では、電磁弁格納箱（２）、加湿器水槽
部（16）、制御盤（20）及び空調機（ａ）に分かれた構
成とされているが、これは取れ付け工事を容易にするた
めであり、これ等は一体に構成しても良いものである。
例えば図示したように上記加湿器水槽部（16）を空調機
（ａ）の近くに設置して加湿ノズル（23）だけを上記空
調機（ａ）に差し込んでもよいものであり、空調機
（ａ）の側板に取り付けてもよいものである。

そして、発生させた蒸気が正常に室内へ拡散するように
空調機（ａ）のフアン（図示せず）が回転している時だ
けしか加湿運転されないように構成されるものであり、
そのうえ切換えスイツチを設けて冬期暖房時の運転だけ
に限らず、随時加湿が行なえるようにしたり、自動湿度
調節器を設けてON,OFF制御、時分割制御も自由に行える
ものである。

まず、電磁弁格納箱（２）について述べると、内部には
後に述べる加湿器水槽部（16）内のオーバーフロー検知
センサー（９）がONになつた場合に閉じる給水遮断電磁
弁（３）及び水位制御センサー（７）がONになつた場合
に開き給水を行う給水制御電磁弁（４）が設けられ、さ
らに一次側給水管（１）及び二次側給水管（５）が連結
されている。

つぎに、加湿器水槽部（16）について説明すると、本考
案ではセラミツク半導体からなる発熱体（PTC）を有す
る水中ヒーター（15）が使用される。

該水中ヒーター（15）は温度の変化に応じて抵抗値が変
化する特性をもち、一定の温度になると抵抗値が大きく
なり、電流を通さなくなるという自己電流制御作用を有
し、常に一定の温度に保つように働く自己温度制御機能
を有するものである（特開昭62−200672号公報、実開昭
62−144090号公報参照）。

したがつて、従来のニクロム線ヒーターのようにサーモ
スタツト等の温度調整器が不要で、しかも異常な温度上
昇や、溶断及び溶解等の心配がなく、小型軽量で構造的
にも簡単である等の利点を有するものである。

さらに加湿器水槽部（16）の内部には水位制御センサー
（７）、空焚防止センサー（11）、手動復帰型の過昇温
度防止用サーモスタツト（14）及びオーバーフロー検知
センサー（９）が設けられる。

上記水位制御センサー（７）は加湿器水槽部（16）の内
部の水位を一定に保つもので、電磁弁格納箱（２）内の
給水制御電磁弁（４）を開閉制御する。

また、空焚防止センサー（11）は水位が到達するとONに
なり、水中ヒーター（15）に通電を行い、何らかの事情
で水位がその位置より下がると水中ヒーター（15）への
通電を遮断するものである。

また、過昇温度防止用サーモスタツト（14）は何らかの
事情で水中ヒーター（15）の過熱が続いた場合にOFFと
なる安全装置であり、手動リセツトボタンを押さないと
復帰しないタイプとすれば保守点検を行つた後にリセツ
トボタンを押さないかぎり、再び発熱運転されることが
なく安全である。

オーバーフロー検知センサー（９）は沸騰した水の飛沫
がかからないようにカバー（８）で周囲を囲まれ、上部
に空気の抜け口（9b）が設けられ、下部に水中に没する
パイプ（9a）を設けた構成としている。

したがつて、スケールが付着せず、スムースに作動する
ものである。

上記加湿器水槽部（16）の下方には漏水した場合の受け
皿であるドレンパン（17）が設けられている。

該ドレンパン（17）の内部には吸湿性の良い材料、例え
ばスポンジ状のもの等につつまれた漏水検知センサー
（12）が設けられており、加湿器水槽部（16）から漏水
があると、それを検知して上記給水遮断電磁弁（３）を
閉じるように構成されている。

上記制御盤（20）には電磁弁格納箱（２）及び加湿器水
槽部（16）からの電気配線コード（18）が連結され、故
障個所表示LEDランプ（22）が設けられている。

図中（19）は電源コード、（21）は上記故障個所表示LE
Dランプ（22）の一つが点灯したときに接続し、外部に
おいて故障表示を行う出力部である。（25）は湿度セン
サーである。

空調機（ａ）部には加湿水槽部（16）からの加湿管（1
0）が連結され、その先端に加湿ノズル（23）が構成さ
れる。

さらに、内部には必要に応じてドレンパン（24）及び漏
水検知センサー（12）が設けられる。

なお、上記水位制御センサー（７）、空焚防止センサー
（11）及びオーバーフロー検知センサー（９）等の代り
に電極棒を用いたフロートレス、レベルスイツチ等他の
手段を用いても良いものであり、しかも補給水の水処理
を行なうとスケールの沈澱や付着が抑えられ、保守を行
なう回数も少なくすることが可能となり、機器への信頼
性が一層高まるものである。

したがつて本考案の蒸気加湿器は天井埋込み式空調機に
限定することなく安全性、信頼性の高い空調機用蒸気加
湿器として幅広く使用できるものである。

〔考案の効果〕

以上のごとく本考案は、ヒーターの溶断、溶解等がない
ため火災のおこる心配がなく極めて安全で信頼性があ
り、そのうえ希望する相対湿度まで容易にコントロール
することができ、しかも異臭等が発生せず衛生的な加湿
を行なうことができるものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので概略構成図であ
る。 （３）……給水遮断電磁弁、（４）……給水制御電磁
弁、（７）……水位制御センサー、（９）……オーバー
フロー検知センサー、（11）……空焚防止センサー、
（12）……漏水検知センサー、（14）……過昇温度防止
用サーモスタツト、（15）……水中ヒーター、（16）…
…加湿器水槽部、（22）……故障個所表示LEDランプ、
（23）……加湿ノズル、（ａ）……空調機。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】加湿器水槽部内に、発熱体として一定温度
   になると抵抗値が大となり、電流を通さなくなるセラミ
   ック半導体発熱体からなる水中ヒーターが設けられ、給
   水制御装置として水位制御センサー及びオーバーフロー
   検知センサーが上記加湿器水槽部内に設けられ、さらに
   それらのセンサーにより制御される給水制御電磁弁及び
   給水遮断電磁弁が給水管に設けられてなることを特徴と
   する空調機用等蒸気加湿器。