JPH0728056Y2 - 車両の前部車体構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、前開き式のボンネットが開閉自在に設置され
なる車両の前部車体構造に関するものである。

［従来の技術］ 従来、車体の前端部下方に設置されたフロントクロスメ
ンバと、その上方に設置されたシュラウドアッパとを車
体の上下方向に伸びるセンタステーによって連結するこ
とが行なわれている（実開昭62-94980号公報参照）。上
記センタステーはその上端部が、シュラウドアッパの中
央部前面に取付けられたボンネットロックを覆うよう
に、シュラウドアッパに取付けられることにより、上記
ボンネットロックから車体に入力される荷重を支持する
ようになっている。

［考案が解決しようとする課題］ 上記従来の前部車体構造においては、ボンネットロック
をシュラウドアッパに取付けた後、その取付部前面を覆
うようにセンタステーの上端部を取付ける必要があり、
この状態で車体の塗装を行なうと上記ボンネットロック
に塗料が付着することとなる。このボンネットロックに
塗料が付着すると、その機能が損なわれることがあるた
め、車体の塗装工程とは別工程でセンタステーの塗装を
行ない、その後に上記ボンネットロックおよびセンタス
テーをシュラウドアッパに取付ける必要があり、塗装作
業が複雑になって製造コストが高くつくという問題があ
った。また、センタステーの上部をボンネットロックよ
りも大きな幅に形成する必要があるため、車体重量の軽
減化が困難になるという問題があった。

本考案は、上記問題点を解決するためになされたもので
あり、センタステーをシュラウドアッパに取付けた状態
で塗装を行ない得るようにすることによって塗装作業を
簡略化することができるとともに、センタステーの上端
部の幅を小さくして車体重量を軽減化することができる
車両の前部車体構造を提供することを目的とする。

［課題を解決するための手段］ 本考案は、前開き式のボンネットが開閉自在に設置され
てなる車両の前部車体構造において、車体の前端部下方
に設置されたフロントクロスメンバと、その上方に設置
されたシュラウドアッパとが車体の上下方向に伸びるセ
ンタステーによって連結され、このセンタステーの上端
部の一側辺部には上記シュラウドアッパの前面に取付け
られる取付フランジ部が形成されるとともに、他側辺部
にはシュラウドアッパの前面と所定距離を置いて対向す
る支持フランジ部が形成され、この支持フランジ部と、
シュラウドアッパとの間にボンネットロックが挿入され
る間隙が設けられてなるものである。

［作用］ 上記の構成によれば、取付フランジ部を介してセンタス
テーの上端部をシュラウドアッパの前面に取付けた状態
で車体の塗装を行なうことができ、その後に支持フラン
ジ部とシュラウドアッパの前面との間にボンネットロッ
クを設置して取付けることができる。

［実施例］ 第１図は本考案に係る車両の前部車体構造の実施例を示
している。この前部車体構造は、車体の前後方向に伸び
る左右一対のフロントサイドフレーム１と、両フロント
サイドフレーム１の前端部下方に設置されたフロントク
ロスメンバ２と、その上方に設置されたシュラウドアッ
パ３と、上記フロントサイドフレーム１の後端部下方に
設置されたサスペンションクロスメンバ４とを備えてい
る。上記フロントクロスメンバ２とサスペンションクロ
スメンバ４とは車体の前後方向に伸びるセンタフレーム
５によって連結され、フロントクロスメンバ２とシュラ
ウドアッパ３とは車体の上下方向に伸びるセンタステー
６によって連結されている。そして上記前部車体の上方
には、図外の前開き式のボンネットが開閉自在に設置さ
れるようになっている。

上記センタステー６は、第２図に示すように、前壁７
と、この前壁７の側辺部から後方に突設された左右一対
の側壁8,9とを有する断面コ字状に形成され、このセン
タステー６の下端部の左右両側辺部にはフロントクロス
メンバ２の前面に取付けられる取付フランジ部10が形成
されている。また、センタステー６の上端部には、左方
の側壁８の基端部に、シュラウドアッパ３の前面に取付
けられる取付フランジ部11が形成されるとともに、右方
の側壁９の基端部に、シュラウドアッパ３の前面と所定
の間隙を置いて対向する支持フランジ部12が形成され、
上記間隙にボンネットロック13が設置されるようになっ
ている。上記センタステー６の前壁７の上部には、ボン
ネットロック13の取付部に対向する位置に抜孔14が形成
されている。

そしてセンタステー６の下端部に形成された取付フラン
ジ部10をフロントクロスメンバ２の前面に接合するとと
もに、第３図に示すように、センタステー６の上端部の
一側辺部に形成された取付フランジ部11を、取付ボルト
によってシュラウドアッパ３の前面に接合した後、セン
タステー６の上端部の他側辺部に形成された支持フラン
ジ部12と、シュラウドアッパ３の前面との間にボンネッ
トロック13を挿入し、取付ボルトにより、ボンネットロ
ック13のベースプレート19の側端フランジ部15,16をシ
ュラウドアッパ３の前面に接合するとともに、上記支持
フランジ部12とボンネットロック13のベースプレート19
の前壁部17およびセーフティロックレバー20とを接合す
るように構成されている。

このようにセンタステー６の上端部を支持フランジ部12
と、シュラウドアッパ３の前面との間にボンネットヒン
ジ取付用の間隙を設け、センタステー６を車体に取付け
た後に、ボンネットロック13の取付作業を行なうように
構成したため、上記ボンネットロック13を取付ける前
に、センタステー６をフロントクロスメンバ２およびシ
ュラウドアッパ３の前面に取付けた状態で、これらを包
括して塗装作業を行なうことができる。

また、ボンネットロック13の一側辺部をセンタステー６
の側方に突出させた状態でボンネットロック13をシュラ
ウドアッパ３の前面に取付けるようにしているため、セ
ンタステー６の上部が上記ボンネットロック13の全面を
覆う大きさに形成されていた従来装置に比べてセンタス
テー６の上部の幅を小さく形成することができ、センタ
ステー６を軽量化することができる。また、センタステ
ー６の支持フランジ部12と、ボンネットロック13のベー
スプレート19の前壁部17およびセーフティロックレバー
20とを接合し、このボンネットロック13から入力される
荷重をセンタステー６によって直接支持するように構成
されているため、上記荷重を安定して支持することがで
きる。

また、上記実施例ではセンタステー６の前壁７の上部に
抜孔14が形成されているため、この抜孔14に電動工具等
を挿入して取付ボルト18を回動操作することにより、ボ
ンネットロック13のベースプレート19の側端フランジ部
15の取付作業を容易に行なうことができるという利点が
ある。

［考案の効果］ 以上説明したように本考案は、前部車体のフロントクロ
スメンバとシュラウドアッパとを連結するセンタステー
を有し、その上端部の一側辺部に、シュラウドアッパの
前面に取付けられる取付フランジ部を形成するととも
に、他側辺部に、シュラウドアッパの前面と、ボンネッ
トロック取付用の間隙を置いて対向する支持フランジ部
を形成したため、上記間隙にボンネットロックを設置す
る前に、センタステーを車体に取付けた状態で、これら
を包括して塗装することができる。したがって、上記セ
ンタステーを車体から取外した状態で塗装する必要があ
った従来技術に比べて塗装作業を簡略化することができ
る。

また、センタステーの上端部によってボンネットロック
を覆う必要がないために、センタステー上部の幅を小さ
くすることができ、これによって車体重量を軽減化でき
るという利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る車両の前部車体構造の実施例を示
す全体斜視図、第２図は上記前部車体構造の要部を示す
部分拡大斜視図、第３図はボンネットロックの取付状態
を示す平面断面図である。 ２……フロントクロスメンバ、３……シュラウドアッ
パ、６……センタステー、11……取付フランジ部、12…
…支持フランジ部、13……ボンネットロック。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】前開き式のボンネットが開閉自在に設置さ
   れてなる車両の前部車体構造において、車体の前端部下
   方に設置されたフロントクロスメンバと、その上方に設
   置されたシュラウドアッパとが車体の上下方向に伸びる
   センタステーによって連結され、このセンタステーの上
   端部の一側辺部には上記シュラウドアッパの前面に取付
   けられる取付フランジ部が形成されるとともに、他側辺
   部にはシュラウドアッパの前面と所定距離を置いて対向
   する支持フランジ部が形成され、この支持フランジ部
   と、シュラウドアッパとの間にボンネットロックが挿入
   される間隙が設けられてなることを特徴とする車両の前
   部車体構造。