JPH07279275A - サイディング貼り外壁パネル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 外壁を構築するに際しての現場施工部分を少
なくして現場施工を簡略化するべく、より工業化を推し
進めたサイディング貼り外壁パネルを提供するととも
に、コストの低減化を図ることができ、しかも通気路を
確保して結露を防止したサイディング貼り外壁パネルを
提供する。 【構成】 矩形枠状に組まれてなる枠体３とこの枠体の
裏面に貼設された面材４とからなるパネル本体５と、こ
のパネル本体の表面に貼着された透湿防水シートと１
１、透湿防水シート１１の上に貼設された複数の帯板材
１２…と、これら帯板材１２…の表面に貼着された無機
質系サイディング材１３とからなり、帯板材１２…が互
いに間隔をあけて設けられているサイディング貼り外壁
パネル１０。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、木質系の壁パネルと無
機質系サイディング材とを一体化したサイディング貼り
外壁パネルに関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、住宅の構築についてはその工業化
が進み、例えば壁や床、屋根といった構成要素を予め工
場にてパネル化しておき、施工現場でこれらのパネルを
組み立てることにより、住宅を構築するといったパネル
工法が一部に採用されている。このようなパネル工法に
用いられるパネルとして、例えば壁パネルとしては、図
６に示すように縦芯材１ａ、１ａと横芯材１ｂ、１ｂと
が矩形枠状に組み立てられるとともに、この矩形枠の内
部に補強芯材２が縦横に組み込まれて枠体３とされ、さ
らにこの枠体３内にグラスウール等の断熱材（図示略）
が充填された状態で枠体３の表裏両面に合板からなる面
材４が貼着されたものが一般的である。

【０００３】また、このような木質の壁パネルを用いて
外壁を形成するには、近年、予め該壁パネルの側端面に
予め接合金物を取付けておき、そして、まず一つの壁パ
ネルを立てて固定した後、順次立てられ固定された壁パ
ネルの隣に別の壁パネルを吊り下げ、その側端面同士を
合わせることによって前記接合金物で該壁パネル間を連
結し、外壁全体を構築する。次いで、構築した外壁の外
面側に防水シートを貼着し、さらにこの上に横方向ある
いは縦方向に複数枚の胴縁を釘打ちによって取り付け、
その後これら胴縁の上に軽量気泡コンクリートなどから
なるサイディング材を釘打ちによって取り付け固定して
完成させている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
たような外壁の施工法では、防水シートの貼着や胴縁の
取り付け、さらにはサイディング材の取り付けなどが現
場施工となってしまうことから、これが工業化を損なっ
て工期の短縮化を阻む一つの原因となっている。また、
前記壁パネルでは、基本的に面材が構造材として機能し
ているが、外側の面材には胴縁やサイディング材が貼設
されることから、これらを含めた外壁全体としては十分
過ぎる構造強度を有するものとなってしまい、したがっ
て胴縁やサイディング材の強度を十分に活かせないとい
った不満があった。

【０００５】また、防水シートを壁パネルに貼着するこ
とにより、雨水等が壁パネル内に浸入することは防ぐこ
とができるものの、本来透湿性を有する合板（面材）の
外表面を非透湿性の防水シートで覆ってしまうことか
ら、冬場など室内側の面材を透過して壁パネル内に入っ
た湿気が外側にぬけられず、このため壁パネル内にて結
露が起こってしまうといった不都合を生じる恐れがあ
る。

【０００６】本発明は前記事情に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、外壁を構築するに際して
の現場施工部分を少なくして現場施工を簡略化するべ
く、より工業化を推し進めたサイディング貼り外壁パネ
ルを提供するとともに、コストの低減化を図ることがで
き、しかも通気路を確保して結露を防止したサイディン
グ貼り外壁パネルを提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明における請求項１
記載のサイディング貼り外壁パネルでは、矩形枠状に組
まれてなる枠体とこの枠体の裏面に貼設された面材とか
らなるパネル本体と、このパネル本体の表面に貼着され
た透湿防水シートと、該透湿防水シートの上に貼設され
た複数の帯板材と、これら帯板材の表面に貼着された無
機質系サイディング材とからなり、前記帯板材が互いに
間隔をあけて設けられていることを前記課題の解決手段
とした。請求項２記載のサイディング貼り外壁パネルで
は、前記帯板材が上下方向に並列して配設されてなるこ
とを前記課題の解決手段とした。請求項３記載のサイデ
ィング貼り外壁パネルでは、前記透湿防水シートがパネ
ル本体の表面から側面側にまで張り出し、かつ該側面を
覆って貼着されてなることを前記課題の解決手段とし
た。

【０００８】

【作用】本発明における請求項１記載のサイディング貼
り外壁パネルによれば、片側にのみ面材を貼設したパネ
ル本体の面材を貼設していない側に透湿防水シートを貼
着し、この透湿防水シート上に複数の帯板材を互いに間
隔をあけて貼設し、さらにその上に帯板材、無機質系サ
イディング材を貼設したものであるから、従来のごとく
表裏両面に面材を貼着し、さらにその上に胴縁、サイデ
ィング材を貼設する場合に比べ、面材に代えて帯板材を
用いた分コストが安くなる。また、パネル本体にサイデ
ィング材が一体化されているので、これを予め工場で組
み立てておくことにより、施工現場では単にこれを床上
に位置決め固定するだけでよく、したがって現場施工が
簡略になる。また、帯板材が互いに間隔をあけて設けら
れていることから、これら帯板材間が、外壁パネル内の
湿気が透湿防水シートを透過して外気中に拡散する際の
通気路となる。

【０００９】請求項２記載のサイディング貼り外壁パネ
ルによれば、前記帯板材が上下方向に並列して配設され
ていることから、該帯板材が上側に配置される躯体の荷
重を受ける構造材として機能するものとなる。また、外
壁パネル内の湿気が帯板材間に生じる上昇気流に同伴さ
れて外気中に拡散され易くなる。請求項３記載のサイデ
ィング貼り外壁パネルによれば、前記透湿防水シートが
パネル本体の表面から側面側にまで張り出し、かつ該側
面を覆って貼着されているので、これら外壁パネルをそ
れぞれその側面間で突き合わせた場合に、該透湿防水シ
ートがパッキン材として機能することによりパネル本体
間の水密性が確保される。

【００１０】

【実施例】以下、本発明を詳しく説明する。図１および
図２は本発明における請求項１記載のサイディング貼り
外壁パネルの一実施例を示す図であり、これらの図にお
いて符号１０はサイディング貼り外壁パネル（以下、外
壁パネルと略称する）である。この外壁パネル１０は、
矩形枠状に組まれてなる枠体３とこの枠体３の裏面に貼
設された面材４とからなるパネル本体５と、枠体３上に
貼着された透湿防水シー１１と、この透湿防水シート１
１上に貼設された複数の帯板材１２…と、これら帯板材
１２…上に貼設されたサイディング材１３とからなるも
のである。

【００１１】パネル本体５内には、図２に示すように面
材４側にグラスウール６が充填されており、これによっ
て外壁パネル１０には断熱、遮音の機能が付与されてい
る。透湿防水シート１１は、枠体３の外形よりその横幅
が大きく形成されたもので、パネル本体５の表面から側
面にまで張り出し、かつ該側面を覆って枠体３に接着等
によって貼着されたものである。また、この透湿防水シ
ート１１は、水は透過せず水蒸気は透過するミクロなポ
アを有したポリエチレンの不織布からなるもので、具体
的にはタイベック（商品名：デュポン社製）等からなる
ものである。

【００１２】帯板材１２は、面材４と同じ合板を矩形細
板状に切断して形成されたもので、互いに所定間隔をお
いて縦方向（上下方向）に並列せしめられ、透湿防水シ
ート１１上に接着等によって貼着固定されたものであ
る。ここで、帯板材１２…間の間隔としては、帯板材１
２の幅とほぼ同じ程度にしておくのが、帯板材１２…を
構造材として機能させるうえで好ましく、また、その場
合にはこれら帯板材１２…が従来の面材４一枚に対し約
半分の合板量ですむことから、その分のコストダウンが
見込まれる。

【００１３】サイディング材１３は、軽量気泡コンクリ
ート等の無機質系の材料からなるもので、内部に配筋し
て構造材として十分機能するようその強度を高めたもの
であり、その外面側に目地様の溝を縦方向に形成し、こ
れにより外観的にメリハリを付けて質感を持たせ、意匠
性を高めたものである。また、このサイディング材１３
は、面材４と同様に枠体３の外形と同一の外形を有した
もので、帯板材１２…に接着等によって貼着されたもの
である。なお、サイディング材１３の側端部には、後述
するように外壁パネル１０、１０を連結した際、縦溝を
形成してサイディング材１３、１３間の目地部が目立た
なくするように凹部が形成されている。

【００１４】このような外壁パネル１０を製造するに
は、まず、図３に示すようにパネル本体５を組立て、さ
らにこのパネル本体５内にグラスウール６を充填する。
また、これとは別に、図４に示すように透湿防水シート
１１の上に帯板材１２…を接着し、さらにこれら帯板材
１１の上にサイディング材１３を接着する。ここで、透
湿防水シート１１は前述したようにその横幅がパネル本
体５の横幅より大きく形成されており、また、帯板材１
２…についてはその外側に配置されるそれぞれの外縁の
距離をパネル本体５の横幅に一致させて配置する。ま
た、サイディング材１３については、その両側縁が帯板
材１２…の外側に配置されるそれぞれの外縁の直上に合
わせて位置決めする。

【００１５】そして、このようにして接着された透湿防
水シート１１、帯板材１２…、サイディング材１３から
なる一体物を、先に用意したパネル本体５の面材４が貼
着されていない側、すなわち表面側に接着材によって貼
着し、さらに圧締してこれらを固定する。その後、透湿
防水シート１１の横幅方向に張り出した部分を、接着に
よってパネル本体５の側面に貼着し、図１および図２に
示した本発明の外壁パネル１０を得る。

【００１６】このようにして得られた外壁パネル１０に
あっては、従来のごとく表裏両面に面材を貼着し、さら
にその上に胴縁、サイディング材を貼設する場合に比
べ、面材４に代えて帯板材１２…を用いた分材料コスト
を安くすることができる。また、パネル本体５に透水防
水シート１１、帯板材１２…を介してサイディング材１
３が一体化されているので、これを予め工場で組み立て
ておくことにより、施工現場では単にこれを床上に位置
決め固定するだけでよく、したがって現場での施工性を
向上させることができる。また、帯板材１２…を互いに
間隔をあけて配設していることから、これら帯板材１２
…間が、外壁パネル１０内の湿気が透湿防水シート１１
を透過して外気中に拡散する際の通気路となり、したが
って冬場など外壁パネル１０内に流入した湿気がグラス
ウール６中にて結露することを防止することができる。

【００１７】また、帯板材１２…が上下方向に並列して
配設されていることから、該帯板材１２…が上側に配置
される躯体の荷重を受ける構造材として機能するものと
なってサイディング材１３とともに外壁パネル１０全体
の構造強度を高め、これにより外壁パネル１０は面材４
が片側にしか貼着されていないにもかかわらず構造壁と
して十分に機能するものとなる。また、帯板材１２…が
上下方向に並列して配設されていることから、外壁パネ
ル１０内の湿気が帯板材１２…間に生じる上昇気流に同
伴され、これにより外壁パネル１０内に結露が生じるの
が確実に防止される。

【００１８】また、前記透湿防水シート１１がパネル本
体５の表面から側面側にまで張り出し、かつ該側面を覆
って貼着されているので、これら外壁パネル１０を用い
て外壁を形成するにあたりそれぞれをその側面間で突き
合わせれば、該透湿防水シートがパッキン材として機能
することによってパネル本体５、５間の水密性を確保す
ることができる。

【００１９】なお、前記実施例では透湿防水シート１１
をパネル本体５の側面側にまで張り出してこれを覆うよ
うにしたが、本発明はこれに限定されることなく、パネ
ル本体５の上面側および底面側にまでも張り出してこれ
らを覆うようにしてもよく、また、パネル本体５の表面
から張り出させることなく、単にパネル本体５の表面に
のみ透湿防水シート１１を貼着するようにしてもよい。

【００２０】また、前記実施例では、外壁パネル１０と
して基本的に一枚のパネル本体５からなる矩形状のパネ
ルとしたが、本発明のサイディング貼り外壁パネルとし
ては図５に示すように複数のパネル本体５ａ、５ｂから
なる連結パネル本体７に、透湿防水シート１１、帯板材
１２、サイデング材１３を順次貼着し、全体を大型化し
た外壁パネル５０としてもよい。ここで、連結パネル本
体７は、掃き出し窓を取付けるための開口部を形成した
もので、二つの袖パネル（パネル本体５ａ）とこれらの
間に配置された小壁パネル（パネル本体５ｂ）とを一体
化した構造のものとなっている。このような外壁パネル
５０にあっては、図１に示した外壁パネル１０に比べ大
型化されているので、これを予め工場で組み立てておく
ことに一層工業化されたものとなり、したがって現場施
工をより簡略化することができる。

【００２１】

【発明の効果】以上説明したように、本発明における請
求項１記載のサイディング貼り外壁パネルは、片側にの
み面材を貼設したパネル本体の面材を貼設していない側
に透湿防水シートを貼着し、この透湿防水シート上に複
数の帯板材を互いに間隔をあけて貼設し、さらにその上
に無機質系サイディング材を貼設したものであるから、
従来のごとく表裏両面に面材を貼着し、さらにその上に
胴縁、サイディング材を貼設する場合に比べ、面材に代
えて帯板材を用いた分材料コストを安くすることができ
る。

【００２２】また、パネル本体に透水防水シート、帯板
材を介してサイディング材が一体化されているので、こ
れを予め工場で組み立てておくことにより、施工現場で
は単にこれを床上に位置決め固定するだけでよく、した
がって現場での施工性を向上させ、工期の短縮化を図る
ことができる。また、帯板材を互いに間隔をあけて配設
していることから、これら帯板材間が、サイディング貼
り外壁パネル内の湿気が透湿防水シートを透過して外気
中に拡散する際の通気路となり、したがって冬場など外
壁パネル内に流入した湿気がグラスウール中にて結露す
ることを防止することができる。

【００２３】請求項２記載のサイディング貼り外壁パネ
ルは、帯板材が上下方向に並列して配設されたものであ
るから、該帯板材が上側に配置される躯体の荷重を受け
る構造材として機能するものとなり、サイディング材と
ともに外壁パネル全体の構造強度を高めるものとなる。
したがって、このような構成によりサイディング貼り外
壁パネルは、面材が片側にしか貼着されていないにもか
かわらず構造壁として十分に機能するものとなる。ま
た、帯板材を上下方向に並列して配設しているので、外
壁パネル内の湿気を帯板材間に生じる上昇気流に同伴さ
せることができ、これによりサイディング貼り外壁パネ
ル内に結露が生じるのを確実に防止することができる。

【００２４】請求項３記載のサイディング貼り外壁パネ
ルは、透湿防水シートがパネル本体の表面から側面側に
まで張り出し、かつ該側面を覆って貼着されたものであ
るから、これら外壁パネルを用いて外壁を形成するにあ
たり、それぞれをその側面間で突き合わせることによ
り、該透湿防水シートをパッキン材として機能させるこ
とによりパネル本体間の水密性を確保することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のサイディング貼り外壁パネルの一実施
例を示す斜視図。

【図２】図１に示したサイディング貼り外壁パネルの横
断面図。

【図３】パネル本体にグラスウールを充填した状態を示
す斜視図。

【図４】透湿防水シート、帯板材、サイディング材を一
体化した状態を示す斜視図。

【図５】サイディング貼り外壁パネルの他の実施例を示
す分解斜視図。

【図６】従来の壁パネルの一例を示す斜視図。

【符号の説明】

３ 枠体 ４ 面材 ５、５ａ、５ｂ パネル本体 ７ 連結パネル本体 １０、５０ サイデイング貼り外壁
パネル １１ 防水シート １２ 帯板材 １３ サイディング材

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 矩形枠状に組まれてなる枠体とこの枠体
   の裏面に貼設された面材とからなるパネル本体と、この
   パネル本体の表面に貼着された透湿防水シートと、該透
   湿防水シートの上に貼設された複数の帯板材と、これら
   帯板材の表面に貼着された無機質系サイディング材とか
   らなり、前記帯板材が互いに間隔をあけて設けられてい
   ることを特徴とするサイディング貼り外壁パネル。
2. 【請求項２】 請求項１記載のサイディング貼り外壁パ
   ネルにおいて、前記帯板材が上下方向に並列して配設さ
   れてなることを特徴とするサイディング貼り外壁パネ
   ル。
3. 【請求項３】 請求項１又は２記載のサイディング貼り
   外壁パネルにおいて、前記透湿防水シートがパネル本体
   の表面から側面側にまで張り出し、かつ該側面を覆って
   貼着されてなることを特徴とするサイディング貼り外壁
   パネル。