JPH072768Y2

JPH072768Y2 - 水洗便器

Info

Publication number: JPH072768Y2
Application number: JP1989089901U
Authority: JP
Inventors: 修松本; 祥一中村
Original assignee: 株式会社イナックス
Priority date: 1989-07-31
Filing date: 1989-07-31
Publication date: 1995-01-25
Anticipated expiration: 2004-07-31
Also published as: JPH0329573U

Description

【考案の詳細な説明】［産業の利用分野］本考案はリム通水路が両側旋回水路である水洗便器に係
り、特に洗浄水の通水音が小さくなるように改良された
水洗便器に関する。

［従来の技術］給水源に連通するリム通水路が鉢部の上縁に周設され、
このリム通水路の底壁には鉢内への射水口が複数個設け
られており、このリム通水路の便器後部側が仕切られて
おり、給水源からの洗浄水が便器の両側を通って流れる
両側旋回水路式の水洗便器は、従来から広く用いられて
いる。

ところで、この種の水洗便器においては、洗浄水がリム
通水路内に供給されると、該リム通水路内に残留してい
た空気が水と共に射水口を通過し、特有の騒音が発生す
る。

かかる気水通過に伴う騒音を低下する対策として、リム
通水路内から空気だけを選択的に抜き出そうとするもの
が提案されている。

例えば、実公昭60−32233号公報には、リム通水路の底
面の一部を上方に***させて壇部を形成し、通水初期の
段階（壇部が水没するまでの段階）において、この壇部
に設けた射水口からリム通水路内の残留空気を放出する
ことが記載されている。また、実開昭63−14679号公報
には、片側旋回のリム通水路の水路末端部において、射
水口よりも上位箇所に空気抜き孔を設けることが記載さ
れている。

［考案が解決しようとする課題］実公昭60−32233号の対策にあっては、壇部が水没する
と、もはやリム通水路の残留空気は空気単独では抜き出
し得ず、相当に多量の空気が水と共に射出口から流出
し、大きな騒音が長時間にわたって発生する。

実開昭63−14679号の対策によると、リム通水路の残留
空気は空気単独で、ほぼ十分に抜き出せる。しかしなが
ら、この対策にあっては、初期洗浄水中に巻き込まれた
気泡が水と共に射水口から流出し、騒音が発生してい
た。即ち、本考案者らが種々研究したところ、気水通過
に伴って発生する騒音には、リム通水路内に流入した洗
浄水に巻き込まれた空気が大きく影響しており、射水口
の気水通過時の騒音を低減するためには、洗浄水中の巻
き込み気泡と水とを分離し、水に先行して空気をリム通
水路外へ抜き出す必要があることが判明した。

これを詳細に説明すると次の通りである。

即ち、ロータンクやフラッシュバルブから便器の給水路
内に水が供給され始めたときにあっては、それまで空洞
状態となっていた給水路内に水が勢い良く流れ込むた
め、給水路内の空気と洗浄水の先頭部分の水とが混ざり
合い、空気を巻き込んだ気泡混合水となってリム通水路
を流れる。この気泡混合水からは、気泡が離脱しようと
するが、従来の便器は（実開昭63−14679号、実公昭60
−32233号も含めて）、リム通水路が便鉢上縁を周回す
る長さしか有しておらず、気泡混合水から気泡が十分に
離脱する以前に気泡混合水が水路末端にまで到達してし
まう。なお、第４図は気泡混合水が水路末端に到達した
状態を模式的に示す断面図であり、40はリム通水路、41
はリム通水路40の底面壁、42は射水口、43はリム通水路
40の天井壁である。第４図のように、気泡Ｂを巻き込ん
だまま気泡混合水Ｗが水路末端44に到達すると、この気
泡Ｂが水と共に射水口42を通過し、大きな騒音が発生す
る。

本考案は、上記従来の問題点を解決し、洗浄水の射水口
通過時に発生する騒音が著しく低減される水洗便器を提
供することを目的とする。

［課題を解決するための手段］本考案は、給水源に連通するリム通水路が鉢部の上縁に
周設され、このリム通水路の底壁には鉢内への射水口が
複数個設けられており、このリム通水路は給水源からの
洗浄水が便器後部側から両方向に流れる両側旋回水路で
ある水洗便器の改良に関するものである。

本考案の水洗便器は、前記リム通水路の途中部分に、洗
浄水中から気泡を分離するたの気水分離室を設け、この
気水分離室の上部と鉢部とを連結する空気孔を設けた水
洗便器であって、該気水分離室は、前記リム通水路から
便器後方へ拡張されており、該気水分離室内は、該リム
通水路に連通し便器後方へ延在する第１の室と、後部側
が該便器後方側に置いて該第１の室と連通し、前部側が
前記鉢部の上方部まで延在する第２の室とを備えてお
り、該第２の室の前部側に前記空気孔が配置されてお
り、該空気孔の近傍には、該空気孔への水の流入を阻止
するための堰状の壁部が設けられていることを特徴とす
るものである。

［作用］本考案の水洗便器において、ロータンク又はフラッシュ
バルブ等を経て洗浄水がリム通水路に供給されると、こ
の洗浄水は便器後部側から二手に分れてリム通水路内を
便器前方部へ向って流れる。そして、このリム通水路か
ら気水分離室に流入する。

この気水分離室は、前記リム通水路の途中部分に設けら
れており、該リム通水路から便器後方へと拡張されてい
る。この気水分離室に連設されている２本のリム通水路
は、それぞれ該気水分離室内の第１の室に連通されてお
り、この双方の第１の室は一つの第２の室に連通されて
いる。リム通水路に沿って二手に別れた洗浄水の先頭部
分が気水分離室に到達するまでは、リム通水路内及び気
水分離室内の残留空気は、気水分離室の空気孔や洗浄水
によって被われていない射水口から抜け出る。この空気
孔は気水分離室の第２の室の前部側に設けられており、
鉢部上方において鉢内に臨んでいる。該空気孔の近傍に
は、該空気孔への水の流入を阻止するための堰状の壁部
が設けられている。該壁部は気水分離室の天井面よりも
低く立設されているので、該壁部の上方の間隙によって
気水分離室内部と前記空気孔の外部とが連通されてい
る。従って、洗浄水の先頭部分が気水分離室に流入する
と、気水分離室内の残留空気は前記の空気孔から抜け出
る。

この気水分離室は十分に大きな容積とされており、該気
水分離室内に流入した洗浄水の先頭部分同志は、気泡が
全て又は殆ど水中から離脱するのに十分な時間が経過し
た後に衝突する。そして、洗浄水中から離脱した空気
は、両先頭部分の間にはさまれて残存する空気と共に空
気孔から放出される。この空気孔は気水分離室の前部側
に前記壁部で仕切られて設けられているので、該気水分
離室が水で満たされ、この壁部を水が越えるまで、空気
だけが空気孔から抜き出される。

このように、先頭部分からも気泡が離脱された洗浄水が
射水口から水洗便器鉢部に流出される。

なお、洗浄水の先頭部分がリム通水路内を流れていると
きでも、リム通水路の射水口からは洗浄水が鉢部に向っ
て流出する。しかしながら、洗浄水の先頭部分は高速で
リム通水路を流れるので、この洗浄水先頭部分はリム通
水路の途中箇所では射水口からほとんど流出しない。そ
して、先頭部分に後続する、気泡を殆ど含まない水がリ
ム通水路の射水口から流出する。なお、上記の通り、こ
の洗浄水先頭部分は気水分離室内に流入して気泡が分離
された後、射水口から流出する。

このようにして、気泡を全く又は殆ど含まない水が射水
口から流出するようになり、洗浄水の射水口通過時の発
生音が著しく小さくなる。

［実施例］以下、図面を参照して実施例を説明する。第１〜３図
は、本考案の一実施例に係る水洗便器１の構成図であ
り、第３図は平面図、第２図は第３図のII−II線断面
図、第１図（ａ）は第２図のＩ−Ｉ線断面図である。第
１図（ｂ）は同（ａ）のＢ−Ｂ線の拡大断面図である。

この水洗便器１は密結型と称される洋風便器であり、前
方側に便鉢２が設けられ、後部側にロータンク（図示
略）の載置部３が設けられている。便鉢２の上縁を周回
するようにリム通水路４が設けられており、このリム通
水路４の底面壁には多数の射水口５が間隔をおいて設け
られている。リム通水路４は、便鉢２の全周にわたって
連通しており、このリム通水路４は両側旋回形式となっ
ている。リム通水路４の始端側は、便器の一方の側壁部
に沿って後方に向って延在する給水路７を介して洗浄水
の導入口８に連通している。

便器１の他方の側壁部に沿って延在するように気水分離
室10が設けられている。本実施例では、この気水分離室
10は便器外面壁11、内面壁12及び後面壁13によって囲ま
れている。また。気水分離室には二枚の仕切壁14a、14b
がリム通水路４の内周壁4iに連なるように設けられてお
り、気水分離室10内は、３つの室10A、10B、10Cに分割
されている。

内面壁12と仕切壁14aとの間の一方の第１の室10Aは便器
後部側のリム通水路４（4r）を介して前記給水路７に連
通されている。また、仕切壁14bと外面壁11との間の他
方の第１の室10Cは、便器前部側のリム通水路４（4f）
を介して前記給水路７に連通している。仕切壁14a、14b
の間の第２の室10Bは、空気孔９を介して、便鉢２に連
通している。この空気孔９を囲むように堰状の壁部（以
下「囲壁」ということがある。）9Aが室10Bの底面から
立設されている。第１図（ｂ）に示す通り、この囲壁9A
は、気水分離室10の天井壁10aよりも低い高さとなって
おり、該囲壁9Aの上端と天井壁10aとの間には通気用間
隙9Bが形成されている。

なお、第１の室10A及び10Cと第２の室10Bとは、便器１
の最も後部側の部分（最後尾空室）10Dにおいて相互に
連通している。

前記給水路７の底面壁には開口15が開設されており、こ
の開口15はトラップ部20のゼット孔16に水路17を介して
連通している。18はロータンク固定用ボルトの挿通孔、
19は便座及び便蓋の固定用ボルトの挿通孔である。

このように構成された水洗便器１において、ロータンク
から洗浄水が供給されると、この洗浄水は給水路７から
便器前方に向って流れ、その一部は開口15、水路17を経
て、ゼット孔16からトラップ部20に噴出される。洗浄水
の残部はリム通水路４に流れ込み、二手に別れる。一方
の洗浄水は、まず、該リム通水路４を便器前方に向って
流れ、次いで、便器後方に向って流れて、気水分離室10
の第１の室10Cに流れ込む。二手に別れた洗浄水のうち
他方のものは、便器後部側のリム通水路４（4r）から気
水分離室10の第１の室10Aに流れ込む。このようにして
該気水分離室10内の第１の室10A、10Cに流れ込んだ洗浄
水は、便器１の最後方の部分10Dにおいて合流し、第２
の室10Bの前部側10tに向って流れる。

この洗浄水の先頭部分には、多量の気泡が混合している
が、洗浄水がリム通水路４及び気水分離室10を流れる間
に気泡が十分に水から離脱し、洗浄水の先頭部分が第２
の室10Bの前部側10tに達した段階では、洗浄水には気泡
はほとんど含まれないものとなっている。そして、空気
は間隙9Bから空気孔９を通って便鉢２内に抜け出す。こ
のため、リム通水路４の全周に渡って設けられている射
水口５からは気泡を全く、又は、ほとんど含まない水が
射水されようになり、射水口の水通過音がきわめて小さ
なものとなる。

なお、洗浄水の先頭部分は高速でリム通水路４内を流れ
るので、気泡を多量に含む、この先頭部分の洗浄水は、
リム通水路４の途中箇所では射水口５からほとんど流出
しない。洗浄水の先頭部分が第２の室10Bの前部側10tに
達すると、この先頭部分の水は該前部側10t部分の射水
口５（5t）から流出するが、気水分離室10を通過した洗
浄水には気泡はほとんど含まれておらず、洗浄水先頭部
分が射水口5tを通過しても射水されても騒音は殆ど発生
しない。

洗浄水の先頭部分がリム通水路４内に存在する段階にあ
っては、該先頭部分に後続する部分の水が射水口５から
流出する。この後続部分の水には気泡は殆ど含まれてお
らず、射水口５を通過して射水されても騒音が発生しな
い。

このように、本実施例にあっては、洗浄水の射水口通過
音がきわめて小さいという効果が奏される。

なお、ロータンクからの水の供給が停止した後も、気水
分離室10に滞留した水が徐々に便鉢２内に流出するの
で、この水がトラップ水の補給水として使用するという
効果も奏される。

上記実施例では、給水源がロータンクとされているが、
本考案はハイタンクやフラッシュバルブ付給水管などを
給水源とするのにも適用できる。

上記実施例は、所謂サイホンゼット式の洋風便器に関す
るものであるが、本考案はその他の各種の形式の洋風便
器にも適用できる。また気水分離室を設置できる大きさ
のものであれば、和風便器にも適用しても良い。

また、上記実施例では、気水分離室10が便器の一方の側
壁に沿って後方に延在されているが、図示以外の箇所に
設けても良い。

［効果］以上の通り、本考案の水洗便器によると、洗浄水に巻き
込まれた気泡が洗浄水から分離され、空気が単独で空気
孔から抜け出すようになるので、洗浄水の射水口通過音
が著しく小さなものとなる。

なお、ロータンク等の給水源からの水の供給が停止した
後も、延長水路に滞留した水が徐々に便鉢内に流出する
ので、この水がトラップ水の補給水として作用するとい
う効果も奏される。

【図面の簡単な説明】

第１図は実施例を示す断面図、第２図は同縦断面図、第
３図は平面図である。第４図は従来例の水路内の状態を
示す模式的な縦断面図である。１……水洗便器、２……便鉢、４……リム通水路、５…
…射水口、６……仕切壁、７……給水路、10……気水分
離室。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】給水源に連通するリム通水路が鉢部の上縁
に周設され、このリム通水路の底壁には鉢内への射水口
が複数個設けられており、このリム通水路は給水源から
の洗浄水が便器後部側から両方向に流れる両側旋回水路
である水洗便器において、前記リム通水路の途中部分に洗浄水中から気泡を分離す
るための気水分離室を設け、この気水分離室の上部と鉢
部とを連結する空気孔を設けた水洗便器であって、該気水分離室は、前記リム通水路から便器後方へ拡張さ
れており、該気水分離室内は、該リム通水路に連通し便
器後方へ延在する第１の室と、後部側が該便器後方側に
置いて該第１の室と連通し、前部側が前記鉢部の上方部
まで延在する第２の室とを備えており、該第２の室の前部側に前記空気孔が配置されており、該空気孔の近傍には、該空気孔への水の流入を阻止する
ための堰状の壁部が設けられていることを特徴とする水
洗便器。