JPH07265731A - 電気集塵装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 電圧を変えることなく処理気体中の粉塵に対
し異なる強さの電界を作用させて粉塵を効率良く回収し
得る電気集塵装置を提供する。 【構成】 粉塵が含まれた処理気体１を案内するケーシ
ング４と、該ケーシング４内に処理気体１の流動方向と
交差する方向に向けて配置した放電極５と、処理気体１
の透過構造を有して前記放電極５と平行に配置した集塵
部材６とからなる電気集塵装置であって、前記放電極５
と集塵部材６との相互間隔ｘ，ｙ，ｚが処理気体１の流
動方向に順次狭まるように前記放電極５及び集塵部材６
を配列する。夫々の放電極５と集塵部材６との間に同一
の電圧を印荷して電気集塵装置を稼動すると、相互間隔
ｘ，ｙ，ｚに応じて異なる強さの電界が形成され、処理
気体１の流動方向に向けて集塵され易い粒子径の大きな
粉塵から順次粒子径別に集塵される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は電気集塵装置に関し、特
に粉塵を含んだ処理気体から粒子径別に集塵し得る電気
集塵装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】電気集塵装置は、放電極と集塵部材との
間に高電圧を印荷することにより両部間にコロナ放電が
発生されて荷電帯を構成し、この荷電帯に処理気体を流
すことにより処理気体に含まれる粉塵を荷電させ、この
荷電粉塵を反対電位となっている集塵部材に吸引させて
捕集するものである。

【０００３】図５は従来の電気集塵装置の一例を示した
切断平面図であり、粉塵が含まれた処理気体１を矢印方
向に案内する気体流入ダクト２及び気体排出ダクト３を
備えたケーシング４内に、前記処理気体１の流動方向と
平行に配置されて網状或いはバラ線状又はトゲトゲの突
出部を有する板状物等からなる処理気体１の透過構造を
有した放電極５と、網状或いは穴明板等の構成による構
造を有し且つ前記放電極５と平行に配置した集塵部材６
とを吊り下げ支持して電気集塵装置７の主要部を構成す
るようにしてある。

【０００４】上記構成の電気集塵装置７は、放電極５及
び集塵部材６が処理気体１の流動方向と平行に配設され
ている為に、処理気体１中の荷電された粉体が集塵部材
６に吸引されることなくそのままパスして流動し易く、
集塵効率を高め難いという問題があり、その為に電気集
塵装置７が大型化してしまう問題を有していた。

【０００５】この為、近年では、図６に示すように、ケ
ーシング４内に、処理気体１の流動方向と交差する方向
に、処理気体１の透過構造を有した放電極５及び集塵部
材６を配置した構造の電気集塵装置８が考えられてい
る。

【０００６】この電気集塵装置８によれば、放電極５と
集塵部材６がケーシング４内を流動する処理気体１と交
差する方向に配設されている為に、放電極５による粉塵
に対する印荷と、集塵部材６に対する粉塵の吸引の機会
が増大されることにより、前記図５の場合のように粉塵
がパスする作用が減少して、集塵効率を大幅に増大する
ことができる。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、一般に
電気集塵装置における集塵効率は電界の強さ（電界密
度）に比例し、また同一の電界密度では粉塵の粒子径が
大きくなるほど集塵効率が向上するという関係があるの
に対し、前述した従来の電気集塵装置８では、放電極５
と集塵部材６との相互間隔を一様に設定していた為、夫
々の放電極５と集塵部材６との間における電界密度が同
一となり、処理気体１の流動方向上流側において、集塵
され易い粒子径の大きな粉塵を多く含む大部分の粉塵が
偏って集塵され、一方、粒子径の小さな少量の粉塵が集
塵しきれずに下流側まで残ってしまう現象が起こり、な
かなか集塵しきれない粒子径の小さな少量の粉塵の為
に、放電極５及び集塵部材６を下流側に増設しなければ
ならなくなるという不具合があった。

【０００８】また、粒子径の小さな粉塵を迅速に集塵す
るべく電界密度を高めようとした場合には、印荷する電
圧を増大して放電の電界密度を高めることが考えられる
が、電圧を増加させるといっても自ずから限度があり、
容量が大きい電源装置を新たに設置して電源装置を切替
える必要が生じたり、消費電力が大幅に増大してしまう
等の問題を招くという不具合があった。

【０００９】更に、放電極５と集塵部材６との相互間隔
を一様に狭めて設定することにより電界密度を高めるこ
とも考えられるが、上流側においては本来集塵し易い粒
子径の大きな粉塵に対して必要以上に無駄な荷電を行う
ことになるので、電気エネルギーロスが大きくなるとい
う問題があった。

【００１０】本発明は、斯かる実情に鑑みてなしたもの
で、電圧を変えることなく処理気体中の粉塵に対し異な
る強さの電界を作用させて粉塵を効率良く回収し得る電
気集塵装置を提供することを目的としている。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明は、粉塵が含まれ
た処理気体を案内するケーシングと、該ケーシング内に
処理気体の流動方向と交差する方向に向けて配置した放
電極と、処理気体の透過構造を有して前記放電極と平行
に配置した集塵部材とからなる電気集塵装置であって、
前記放電極と集塵部材との相互間隔が処理気体の流動方
向に順次狭まるように前記放電極及び集塵部材を配列し
たことを特徴とする電気集塵装置、に係るものである。

【００１２】更に、前記ケーシング下部には、処理気体
の流動方向に分割された複数のホッパを形成するように
しても良い。

【００１３】

【作用】従って本発明では、夫々の放電極と集塵部材と
の間に例えば同一の電圧を印荷して電気集塵装置を稼動
すると、処理気体の流動方向における上流側の放電極と
集塵部材との間には、相対的に大きな相互間隔が設定さ
れることになるので、その電界密度が低められて比較的
弱い電界が形成されることになり、このような弱い電界
のもとでは、集塵され易い粒子径の大きな粉塵が処理気
体中から集塵される。

【００１４】更に、放電極と集塵部材との相互間隔が処
理気体の流動方向に順次狭まるにつれて電界密度が高め
られ、上流側の電界よりも強い電界が下流側に形成され
ることになるので、下流側に向うにつれて徐々に粒子径
の小さな粉塵が処理気体中から集塵される。ただし、電
圧は上流側或いは下流側において必要に応じ適宜増減し
て調節することも可能である。

【００１５】また、ケーシング下部に処理気体の流動方
向に分割された複数のホッパを形成し、集塵された粉塵
を払い落として各ホッパに回収するようにすれば、粉塵
を粒子径別に回収することが可能となる。

【００１６】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ説
明する。

【００１７】図１〜図３は本発明の一実施例を示すもの
で、粉塵が含まれた処理気体１を案内する気体流入ダク
ト２を一側に備え且つ集塵後の処理気体１を排出する気
体排出ダクト３を他側に備えたケーシング４の下部に、
処理気体１の流動方向に分割された複数（図示する例で
は３個）のホッパ９，１０，１１が形成されている。

【００１８】前記ケーシング４内部における入側ホッパ
９の直上位置には、処理気体１の流動方向に交差するよ
うに向けられた放電極５及び集塵部材６が比較的大きな
相互間隔ｘを隔てて交互に吊り下げ支持されており、こ
れらの放電極５及び集塵部材６によって粗粉回収ブロッ
ク１２が形成されている。

【００１９】また、前記ケーシング４内部における中間
ホッパ１０の直上位置には、前記と同様に処理気体１の
流動方向に交差するように向けられた放電極５及び集塵
部材６が前記相互間隔ｘより小さな相互間隔ｙを隔てて
交互に吊り下げ支持されており、これらの放電極５及び
集塵部材６によって中粉回収ブロック１３が形成されて
いる。

【００２０】更に、前記ケーシング４内部における出側
ホッパ１１の直上位置には、前記と同様に処理気体１の
流動方向に交差するように向けられた放電極５及び集塵
部材６が前記相互間隔ｙより小さな相互間隔ｚを隔てて
吊り下げ支持されており、これらの放電極５及び集塵部
材６によって細粉回収ブロック１４が形成されている。

【００２１】前述した粗粉回収ブロック１２、中粉回収
ブロック１３、細粉回収ブロック１４の何れの放電極５
も図２に示す如く吊り下げ支持されており、ケーシング
４内の上部において幅方向（図２における左右方向）に
向けて架設された放電極支持ビーム１５に絶縁材１６を
介して吊り下げ材１７を取付け、該吊り下げ材１７によ
り放電極５を吊り下げ支持するようにしてあり、各放電
極５は枠体５ａ内にバラ線状の電極線５ｂを配設した構
成を有している。

【００２２】また、何れの集塵部材６も図３に示す如く
吊り下げ支持されており、ケーシング４内の上部におい
て幅方向（図３における左右方向）に向けて架設された
集塵部材支持ビーム１８に吊り下げ材１９を介して網目
状の集塵部材６を前記放電極５と平行に吊り下げ支持す
るようにしてあり、各集塵部材６は放電極５を挟んで配
置されるようになっている。

【００２３】尚、図中２０はケーシング４の外部に設け
られたモータの駆動によりクランク機構或いはハンマー
等により槌打ち棒２１を介して前記放電極５及び集塵部
材６を振動させ、放電極５及び集塵部材６に付着した粉
塵を除去する為の槌打ち装置、２２は放電極５に対応し
て設けられる槌打ち装置２０の槌打ち棒２１とケーシン
グ４の貫通部との絶縁を図る為に設けた絶縁材である。

【００２４】図４は前記した槌打ち装置２０の一例を示
す正面図であって、放電極５及び集塵部材６に固定され
ている槌打ち棒２１は、ケーシング４を密に、しかも摺
動可能に貫通してケーシング４の外に突出している。槌
打ち棒２１の先端にはカラー部２３が一体的に形成され
ていて、カラー部２３とケーシング４外面との間には、
スプリング２４が設けられている。このため槌打ち棒２
１は、スプリング２４によってケーシング４から突出す
る方向に付勢され、カラー部２３が槌打ちカム２５に押
し付けられるようになっている。

【００２５】槌打ちカム２５は回転シャフト２６に固着
されていて、回転シャフト２６と共に槌打ちカム２５が
時計方向に回転すると、槌打ちカム２５のカラー部２３
に当接する箇所は次第に大径になり、スプリング２４の
力に抗してカラー部２３、槌打ち棒２１、放電極５また
は集塵部材６を、一体的にケーシング４の内方に向けて
移動させるようになる。

【００２６】槌打ちカム２５がさらに時計方向に回転を
続けると、槌打ちカム２５のカラー部２３に当接する箇
所は急激に小径になり、カラー部２３、槌打ち棒２１、
放電極５または集塵部材６は、スプリング２４の力によ
って急速にケーシング４から突出する方向に移動する。
槌打ちカム２５が回転を継続することにより、放電極５
または集塵部材６は左右に振動されることになる。２７
はカバーである。

【００２７】而して、各ブロック１２，１３，１４ごと
に放電極５と集塵部材６との間に同一の電圧を印荷して
電気集塵装置を稼動すると、粗粉回収ブロック１２にお
ける放電極５と集塵部材６との間には、比較的大きな相
互間隔ｘを隔てたことにより電界密度が低められて比較
的弱い電界が形成されることになり、このような弱い電
界のもとでは、集塵され易い粒子径の大きな粗粉のみが
処理気体１中から集塵される。

【００２８】また、中粉回収ブロック１３における放電
極５と集塵部材６との間には、相互間隔ｘより小さな相
互間隔ｙを隔てたことにより電界密度が高められて前記
粗粉回収ブロック１２の電界よりも強い電界が形成され
ることになり、前記粗粉回収ブロック１２にて粗粉を集
塵された後の処理気体１中から集塵され易い中粉のみが
集塵される。

【００２９】更に、細粉回収ブロック１４における放電
極５と集塵部材６との間には、相互間隔ｙより小さな相
互間隔ｚを隔てたことにより電界密度が高められて前記
中粉回収ブロック１３の電界よりも更に強い電界が形成
されることになり、前記中粉回収ブロック１３にて中粉
を集塵された後の処理気体１中に残存した粒子径の小さ
な細粉が集塵される。

【００３０】尚、夫々のブロック１２，１３，１４に集
塵された粉塵は、自重で落下したり、槌打ち装置２０の
槌打ち棒２１により払い落とされてホッパ９，１０，１
１に夫々回収される。

【００３１】従って上記実施例によれば、粗粉回収ブロ
ック１２、中粉回収ブロック１３、細粉回収ブロック１
４の順に相互間隔ｘ，ｙ，ｚを狭めて設定したことによ
って、電圧を変えることなく処理気体１中の粉塵に対し
異なる強さの電界を作用させて粒子径別に集塵すること
ができるので、従来の如く集塵し難い粒子径の小さな少
量の粉塵の為に、放電極５及び集塵部材６を下流側に増
設しなければならなくなるという不具合を解消すること
ができて必要最小限の放電極５及び集塵部材６により効
率良く集塵を行うことができ、しかも集塵し易い粒子径
の大きな粉塵に対して必要以上に無駄な荷電を行うこと
がなくなるので電気エネルギーロスも最小限に抑制する
ことができる。

【００３２】また、処理気体１中の粉塵を粗粉、中粉、
細粉として粒子径別に集塵して各ホッパ９，１０，１１
に回収することができるので、処理気体１中の粉塵を分
級する目的で使用することもできる。

【００３３】尚、本発明の電気集塵装置は、上述の実施
例にのみ限定されるものではなく、ケーシング内に配置
される放電極及び集塵部材は必ずしも図示した実施例の
如くブロック別に相互間隔を狭めて設定する必要はな
く、個々の放電極及び集塵部材について連続的に相互間
隔が狭まるように設定しても良いこと、更に、放電極及
び集塵部材は必ずしも交互に配置する必要はなく、例え
ば１枚の放電極の前後を２枚の集塵部材で挟んだものを
１セットとして複数セット連なるようにしても良いこ
と、また、放電極と集塵部材との間に印荷する電圧は必
要に応じ処理気体の流動方向の任意の位置で適宜増減し
て調節することも可能であること、また、単に集塵だけ
を目的として使用する場合にはケーシング下部のホッパ
を１個にまとめても良いこと、放電極がバラ線状の電極
線以外の形状のものでも良く、集塵部材が網目状以外の
ものでも良いこと、その他、本発明の要旨を逸脱しない
範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。

【００３４】

【発明の効果】上記した本発明の電気集塵装置によれ
ば、下記の如き種々の優れた効果を奏し得る。

【００３５】（Ｉ）放電極と集塵部材との相互間隔が処
理気体の流動方向に順次狭まるように前記放電極及び集
塵部材を配列したことによって、電圧を変えることなく
処理気体中の粉塵に対し異なる強さの電界を作用させて
粒子径別に集塵することができるので、必要最小限の放
電極及び集塵部材により効率良く集塵を行うことがで
き、しかも集塵し易い粒子径の大きな粉塵に対して必要
以上に無駄な荷電を行うことがなくなるので電気エネル
ギーロスも最小限に抑制することができる。

【００３６】（ＩＩ）ケーシング下部に処理気体の流動
方向に分割された複数のホッパを形成した構成を採用す
れば、処理気体中の粉塵を粒子径別に集塵して各ホッパ
に回収することができるので、処理気体中の粉塵を分級
する目的で電気集塵装置を使用することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す切断側面図である。

【図２】図１のＩＩ−ＩＩ矢視図である。

【図３】図１のＩＩＩ−ＩＩＩ矢視図である。

【図４】図２及び図３の槌打ち装置の一例を示す正面図
である。

【図５】従来の電気集塵装置の一例を示す切断平面図で
ある。

【図６】従来の電気集塵装置の他の例を示す切断平面図
である。

【符号の説明】

１ 処理気体 ４ ケーシング ５ 放電極 ６ 集塵部材 ９ 入側ホッパ １０ 中間ホッパ １１ 出側ホッパ ｘ 相互間隔 ｙ 相互間隔 ｚ 相互間隔

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 粉塵が含まれた処理気体を案内するケー
   シングと、該ケーシング内に処理気体の流動方向と交差
   する方向に向けて配置した放電極と、処理気体の透過構
   造を有して前記放電極と平行に配置した集塵部材とから
   なる電気集塵装置であって、前記放電極と集塵部材との
   相互間隔が処理気体の流動方向に順次狭まるように前記
   放電極及び集塵部材を配列したことを特徴とする電気集
   塵装置。
2. 【請求項２】 ケーシング下部に処理気体の流動方向に
   分割された複数のホッパを形成したことを特徴とする請
   求項１に記載の電気集塵装置。