JPH0726560B2 - 車両用内燃機関の部品劣化予測装置 - Google Patents

車両用内燃機関の部品劣化予測装置

Info

Publication number
JPH0726560B2
JPH0726560B2 JP1262251A JP26225189A JPH0726560B2 JP H0726560 B2 JPH0726560 B2 JP H0726560B2 JP 1262251 A JP1262251 A JP 1262251A JP 26225189 A JP26225189 A JP 26225189A JP H0726560 B2 JPH0726560 B2 JP H0726560B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fuel injection
cylinder
air
fuel
level
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP1262251A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH03124919A (ja
Inventor
伸平 中庭
Original Assignee
株式会社ユニシアジェックス
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 株式会社ユニシアジェックス filed Critical 株式会社ユニシアジェックス
Priority to JP1262251A priority Critical patent/JPH0726560B2/ja
Publication of JPH03124919A publication Critical patent/JPH03124919A/ja
Publication of JPH0726560B2 publication Critical patent/JPH0726560B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は車両用内燃機関の部品劣化予測装置に関し、詳
しくは、内燃機関の部品毎の性能低下が限界に達するま
でを予測して表示できるようした装置に関する。
〈従来の技術〉 車両用内燃機関においては、従来から所定部品や所定制
御系の故障を診断し、この故障を警告する装置について
は種々提案されており、例えばセンサが故障した場合
や、制御系が正常に動作しなくなった場合には、かかる
故障発生を自動的に診断して警告ランプを点灯させるな
どして運転者に知らせると共に、所定のフェイルセーフ
制御に移行するようにしてある。
〈発明が解決しようとする課題〉 しかしながら、信号線や電源線の断線などは、オン・オ
フ的に発生するものの、例えば酸素センサやエアフロー
メータなどのセンサ類における検出性能や、燃料噴射弁
などの動作性能などは、徐々に劣化していき、ある劣化
レベルを越えると使用に耐えないものとなってしまう傾
向を示し、然も、上記のような劣化の進行は使用時間や
走行距離等によって単純に決定されるものではなく、部
品個々のバラツキや使用環境によって大きく異なるもの
である。
従来の警報システムでは、部品が全く使用不可能になっ
た段階で警報する構成であって、使用可能範囲で劣化し
ている場合には、なんらの情報も与える構成ではなく、
仮に、使用可能であるが劣化していることを知らせるよ
う構成しても、どの程度の劣化であるのかを判断又は指
示することが困難であり、劣化が進行すれば部品交換や
部品清掃等のメンテナンスを必要とするようになること
は予測できるが、そのメンテナンスを必要とする時期が
いつになるのかが不明であるから、実際には、途中劣化
状態を警報してもメンテナンス情報としては役立てるこ
とができなかった。
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、部品の
劣化があとどのくらいで限界を越えてしまうかを表示で
きるようにして、部品が全く使用不能になる前にメンテ
ナンス情報として提供し、使用不能状態になる前に必要
な部品に対してのみメンテナンスを施すことができるよ
うにすることを目的とする。
〈課題を解決するための手段〉 そのため本発明では、第1図に示すように、内燃機関の
所定部品毎に性能低下レベルを、当該部品に関与する機
関運転状態の検出値に基づき数値化する性能低下レベル
数値化手段と、この性能低下レベル数値化手段で数値化
された性能低下レベルを部品毎に車両走行距離又は車両
走行時間をパラメータとして記憶する記憶手段と、この
記憶手段に記憶されている部品毎の性能低下レベルの変
化割合に基づきその後の性能低下レベルの進行を予測
し、該予測結果に基づいて当該部品が性能低下の限界レ
ベルに達するまでの車両走行距離又は車両走行時間を予
測演算する限界到達予測演算手段と、この限界到達予測
演算手段で予測演算された車両走行距離又は車両走行時
間を部品毎に表示する表示手段と、を含んで車両用内燃
機関の部品劣化予測装置を構成するようにした。
ここで、第1図点線示のように、前記性能低下レベル数
値化手段で数値化される性能低下レベルが所定部品に対
して複数種あるときに、性能低下レベルを示す各数値を
同一単位に変換してから、各数値の二乗値を積算した値
の平方根を演算し、該演算結果を当該部品の性能低下レ
ベルを示す数値として前記記憶手段に記憶される複数レ
ベル処理手段を設けると良い。
〈作用〉 かかる構成によると、性能低下レベル数値化手段が、内
燃機関の所定部品毎の性能低下レベルを、その部品に関
与する機関運転状態の検出値に基づき数値化し、この数
値化された性能低下レベルが記憶手段により部品毎に車
両走行距離又は車両走行時間をパラメータとして記憶さ
れる。
そして、限界到達予測演算手段は、記憶手段に記憶され
ている部品毎の性能低下レベルの変化割合に基づいて、
その後の性能低下レベルの進行を予測し、かかる予測結
果に基づいて、その部品が性能低下の限界レベルに達す
るまでの車両走行距離又は車両走行時間を予測演算す
る。ここで、予測演算された性能低下限界までの車両走
行距離又は車両走行時間は、表示手段により部品毎に表
示される。
このように、各部品の性能低下レベルを、車両走行距離
又は車両走行時間に対応させて記憶しておき、現状の性
能低下の進行割合から、あとどのくらいの走行距離又は
走行時間でその部品が限界に達するかを予測し、その予
測結果を表示するものである。
また、複数レベル処理手段は、前記性能低下レベル数値
化手段で数値化される性能低下レベルが所定部品に対し
て複数種あるときに、性能低下レベルを示す各数値を同
一単位に変換してから、各数値の二乗値を積算した値の
平方根を演算し、該演算結果を当該部品の性能低下レベ
ルを示す数値として前記記憶手段に記憶させ、同一部品
に対して複数種の性能低下レベルを示す数値がある場合
に、これらの複数種からその部品の性能低下レベルとし
て1つの数値を特定する。
〈実施例〉 以下に本発明の実施例を説明する。
一実施例のシステム構成を示す第2図において、車両に
搭載される内燃機関1には、エアクリーナ2から吸気ダ
クト3,スロットル弁4及び吸気マニホールド5を介して
空気が吸入される。吸気マニホールド5のブランチ部に
は、各気筒(本実施例では4気筒)毎に燃料噴射弁6が
設けられている。燃料噴射弁6は、ソレノイドに通電さ
れて開弁し、通電停止されて閉弁する電磁式燃料噴射弁
であって、後述するコントロールユニット12からの駆動
パルス信号により通電されて開弁し、図示しない燃料ポ
ンプF/Pから圧送されてプレッシャレギュレータP/Rによ
り所定圧力に調整された燃料を噴射供給する。
機関1の各燃焼室には、それぞれ点火栓7が設けられて
いて、これにより火花点火して混合気を着火燃焼させ
る。そして、機関1からは、排気マニホールド8,排気ダ
クト9,三元触媒10及びマフラー11を介して排気が排出さ
れる。
コントロールユニット12は、CPU,ROM,RAM,A/D変換器及
び入出力インタフェイスを含んで構成されるマイクロコ
ンピュータを備え、各種のセンサからの入力信号を受
け、後述の如く演算処理して、各気筒毎に設けられてい
る燃料噴射弁6の作動を制御する。
前記各種のセンサとしては、吸気ダクト3中に熱線式或
いはフラップ式などのエアフローメータ13が設けられて
いる。また、クランク角センサ14が設けられていて、4
気筒の場合には、クランク角180゜毎の基準角度信号REF
と、クランク角1゜又は2゜毎の単位角度信号POSとを
出力する。ここで、前記基準角度信号REFの周期、又
は、所定時間内における単位角度信号POSの発生数を計
測することにより、機関回転速度Nを算出可能である。
また、機関1のウォータジャケットの冷却水温度Twを検
出する水温センサ15等が設けられている。
更に、排気マニホールド8の集合部(各気筒の排気通路
集合部)に空燃比センサとして公知の酸素センサ16が設
けられ、排気中の酸素濃度を介して機関1に吸入される
混合気の空燃比を検出する。また、スロットル弁4に
は、その開度TVOをポテンショメータにより検出するス
ロットルセンサ17が付設されている。
ここにおいて、コントロールユニット12に内蔵されたマ
イクロコンピュータのCPUは、第3図〜第9図にフロー
チャートとして示すROM上のプログラムに従って演算処
理を行い、空燃比学習補正を含む燃料噴射制御を実施す
ると共に、前記空燃比学習補正による補正状態に基づい
て燃料供給制御系各部の自己診断を行い、更に、本発明
にかかる部品劣化予測装置の機能として前記自己診断に
基づいて部品が性能限界にまで劣化すると予測される車
両の走行距離(又は走行時間)を求めてこれを表示す
る。
尚、本実施例において、性能低下レベル数値化手段,限
界到達予測演算手段,複数レベル処理手段としてとして
の機能は、前記第3図〜第9図のフローチャートに示す
プログラムにより達成され、また、記憶手段としては前
記コントロールユニット12に内蔵されたマイクロコンピ
ュータのRAMが相当し、更に、表示手段としては、例え
ば車両の運転席付近に設けられたデジタル表示装置(図
示省略)が相当するものとする。
次に第3図〜第9図のフローチャートを参照しつつコン
トロールユニット12内のマイクロコンピュータの演算処
理を様子を説明する。
第3図のフローチャートに示す空燃比フィードバック制
御ルーチンは、機関1の1回転(1rev)毎に実行される
ものである。
まず、ステップ1(図中ではS1としてある。以下同様)
では、酸素センサ(O2/S)16から排気中の酸素濃度に応
じて出力される検出信号(電圧)をA/D変換して入力す
る。
次のステップ2では、機関回転速度Nと基本燃料噴射量
Tpとによって複数に分割される運転状態毎に、予め空燃
比フィードバック補正係数LMDの操作量を記憶したマッ
プから操作量データを検索して求める。
前記補正係数LMDは、本実施例では比例・積分制御によ
って設定制御され、前記マップからは、リッチ制御比例
分PR,リーン制御比例分PL,積分分Iの各操作量が検索さ
れる。
ステップ3では、酸素センサ16の出力と、目標空燃比相
当のスライスレベルとを比較して、実際の空燃比が目標
に対してリッチであるかリーンであるかを判別する。
ここで、空燃比が目標に対してリッチであると判別され
ると、ステップ4へ進んでリッチ初回判別フラグfRを判
別する。前記リッチ初回判別フラグfRは、空燃比のリー
ン状態においてゼロがセットされるから、今回がリッチ
検出の初回であるときには、このステップ4でリッチ初
回判別フラグfRはゼロであると判別される。
リッチ検出の初回であるときには、ステップ5へ進んで
前回までに設定されている空燃比フィードバック補正係
数LMDの値を最大値aにセットする。
そして、次のステップ6では、後述するように過渡運転
から定常運転に移行した初回に所定値がセットされる通
常学習カウンタnl(第10図参照)がゼロであるか否かを
判別する。通常学習カウンタnlがゼロでないときには、
ステップ7へ進んでこの通常学習カウンタnlを1だけカ
ウントダウンさせ、次のステップ10で前記ステップ5で
セットされたaを前回までの積算値Σaに加算して積算
値Σaを更新すると共に、リッチ初回カウンタnRを1ア
ップさせ、更に、燃料噴射量Tiの積算値ΣTiに最新値Ti
を加算してΣTiを更新する。
即ち、前記通常学習カウンタnlは、過渡運転から定常運
転に移行した初回に所定値がセットされた後、リッチ検
出の初回毎に1ダウンされ、その都度、補正係数LMDの
最大値a及び燃料噴射量Tiが積算されると共に、リッチ
初回カウンタnRが1アップされるようになっており、通
常学習カウンタnlがカウントダウンされる間に集められ
たデータが、燃料噴射弁6の学習期間におけるデータと
比較されて、燃料噴射弁6の供給誤差量の検出が行われ
る。
尚、後述するようにリーン検出の初回においては、空燃
比フィードバック補正係数LMDの最小値b及び燃料噴射
量Tiが積算されると共に、リーン初回カウンタnLが1ア
ップされるようになっている。
一方、ステップ6で通常学習カウンタnlがゼロであると
判別されたときには、ステップ8へ進んで燃料噴射弁
(F/I)6の学習期間を判別するためのF/I学習フラグFI
lの判別を行う。ここで、F/I学習フラグFIlが0であっ
て燃料噴射弁6の気筒別学習期間であるときには、ステ
ップ9へ進んでF/I学習フラグFIlが0になってからF/I
学習(データサプリング)を禁止する期間を計測するた
めのタイマTmacc2(第10図参照)がゼロであるか否かを
判別する。
そして、タイマTmacc2がゼロでないときには、ステップ
10をジャンプしてステップ11へ進むが、タイマTmacc2が
ゼロであるときには、ステップ10へ進んでLMD最大値a
及び燃料噴射量Tiの積算を行うと共に、リッチ初回カウ
ンタnRを1アップさせる。
即ち、通常学習カウンタnlがゼロになるまでの間と、F/
I学習フラグFIlが0でかつタイマTmacc2が0であるとき
とにおいて、それぞれΣa,ΣTiが演算されると共に、nR
がカウントアップされるようになっており、通常学習カ
ウンタnlがゼロであってかつF/I学習フラグFIlが1であ
るときと、通常学習カウンタnlがゼロであってかつタイ
マTmacc2がゼロでないときには、Σa,ΣTiの積算及びnR
がカウントアップのカウントアップは行われない。これ
は、後述するリーン検出初回におけるΣb,ΣTiの積算及
びnLのカウントアップでも共通に行われる制御である。
ステップ11では、前回までの空燃比フィードバック補正
係数LMDからリーン制御比例分PLを減算して更新し、次
に、ステップ12でリッチ初回判別フラグfRに1をセット
する一方、リーン初回判別フラグfLにゼロをセットす
る。そして、空燃比のリッチ状態が継続しているときに
は、ステップ4でリッチ初回判別フラグfRが1であると
判別されることにより、ステップ13へ進む。ステップ13
では、空燃比フィードバック補正係数LMDの前回値から
積分分Iを減算して更新する。
かかる空燃比フィードバック補正係数LMDの積分制御に
よる減少で空燃比のリッチ状態が解消されて、空燃比が
リーンに反転すると、今度はステップ14へ進みリーン初
回判別フラグfLの判別を行う。
リーン初回判別フラグfLは、空燃比のリッチ状態におけ
るステップ12でゼロがセットされているので、今回がリ
ーン検出の初回であれば、このステップ14でfL=0の判
別が下される。fL=0であるときにはステップ15へ進
み、空燃比がリッチからリーンに反転する直前の空燃比
フィードバック補正係数LMDを最小値bにセットする。
そして、次のステップ16では、前記通常学習カウンタnl
(第10図参照)がゼロであるか否かを、リッチ検出初回
のときと同様にして判別する。通常学習カウンタnlがゼ
ロでないときには、ステップ17へ進んでこの通常学習カ
ウンタnlを1だけカウントダウンさせ、次のステップ20
で前記ステップ15でセットされたbを前回までの積算値
Σbに加算して積算値Σbを更新すると共に、リーン検
出カウンタnLを1アップさせ、更に、燃料噴射量Tiの積
算値ΣTiに最新値Tiを加算してΣTiを更新する。
一方、ステップ16で通常学習カウンタnlがゼロであると
判別されたときには、ステップ18へ進んで燃料噴射弁
(F/I)6の学習期間を判別するためのF/I学習フラグFI
lの判別を行う。ここで、F/I学習フラグFIlが0であっ
て燃料噴射弁6の気筒別学習期間であるときには、ステ
ップ19へ進んでF/I学習フラグFIlが0になってからF/I
学習(データサプリング)を禁止する期間を計測するた
めのタイマTmacc2(第10図参照)がゼロであるか否かを
判別する。
そして、タイマTmacc2がゼロでないときには、ステップ
20をジャンプしてステップ21へ進むが、タイマTmacc2が
ゼロであるときには、ステップ20へ進んでLMD最小値b
及び燃料噴射量Tiの積算を行うと共に、リーン初回カウ
ンタnLを1アップさせる。
即ち、上記各演算処理により、通常学習カウンタnlがゼ
ロでないときに空燃比が反転する毎に空燃比フィードバ
ック補正係数LMDの最大及び最小値データa,b及び燃料噴
射量Tiのデータが集められ、また、通常学習カウンタnl
がゼロであっても、F/I学習フラグFIlが0であってかつ
0になってから所定時間以上経過していれば、同様に空
燃比フィードバック補正係数LMDの最小及び最大値デー
タa,b及び燃料噴射量Tiのデータが集められると共に、
リッチ・リーンの反転回数nR,nLがカウントアップされ
る。
ここで、通常学習カウンタnlがゼロでないときに集めら
れたデータが通常燃料制御時のものであり、F/I学習フ
ラグFIlがゼロのときに集められたデータが燃料噴射弁
6の気筒別学習(特定気筒の空燃比フィードバック補正
係数LMDのみを所定値Zで補正して燃料供給が制御され
る)時のものである。
ステップ21では、前回までの空燃比フィードバック補正
係数LMDにリッチ制御比例分PRを加算して更新し、次の
ステップ22でリッチ初回判別フラグfRに0をセットする
一方、リーン初回判別フラグfLに1をセットする。
そして、空燃比のリーン状態が継続しているときには、
ステップ14でリーン初回判別フラグfLが1であると判別
されることにより、ステップ23へ進む。ステップ23で
は、空燃比フィードバック補正係数LMDの前回値に積分
分Iを加算して更新する。
ここで、リッチ・リーンの検出初回では、更に、ステッ
プ24以降の演算処理が行われる。ステップ24では、F/I
学習フラグFIlを判別し、F/I学習フラグFIlが1である
ときにはステップ25へ進む。そして、ステップ25では、
通常学習カウンタnlを判別し、ゼロでないときにはその
まま終了させ、ゼロであるときには、ステップ26へ進
む。
ステップ26では、リッチ・リーンの反転回数をカウント
するnR,nLがそれぞれ8であるか否かを判別する。nR=n
L=8であると判別されたときには、通常学習カウンタn
lが所定値からカウントダウンされる間における空燃比
の反転回路が規定数になったことを示すため、ステップ
27以降へ進んでF/I学習前の空燃比フィードバック補正
係数LMDを学習する。
即ち、本実施例では、過渡運転から定常に移行してから
所定時間Tmaccが経過すると、その時点から通常学習カ
ウンタnlが所定値からカウントダウンされ、通常学習カ
ウンタnlがゼロになるまでの間において、空燃比フィー
ドバック補正係数LMDのピーク値a,bや燃料噴射量Tiのデ
ータが集められるものであり、ここで集められたデータ
と、次に行う燃料噴射弁6の気筒別学習時において集め
られるデータとが比較されて、その結果に基づいて燃料
噴射弁6の供給特性誤差が検出されるようになってお
り、nR=nL=8は通常学習カウンタnlがゼロになるまで
の間のデータ集めが終了していることを示す。
ステップ27では、F/I学習フラグFIlにゼロをセットし、
次のステップ28では通常学習カウンタnlがゼロになるま
での間においてカウントアップされたnR,nLをゼロリセ
ットする。
そして、ステップ29では、通常学習カウンタnlがゼロに
なるまでの間においてサンプリングされたΣaとΣbと
から、空燃比フィードバック補正係数LMDの中心値の平
均値(Σa/8+Σb/8)/2を求め、更に、この平均値に運
転状態毎に学習されている空燃比学習補正係数KBLRCを
乗算した値を、空燃比フィードバック補正係数LMDの初
期値▲▼φ(F/I学習前の値)とする。
前記空燃比学習補正係数KBLRCは、燃料噴射弁6の気筒
別学習に関わる制御が行われているとき以外で、空燃比
フィードバック補正係数LMDなして得られるベース空燃
比が目標空燃比になるように学習されるものであり、吸
入空気流量Qで区分される運転条件毎に学習記憶され
る。
次のステップ30では、通常学習カウンタnlがゼロになる
までの間においてサンプリングされたΣaとΣbとをゼ
ロリセットし、更に、次のステップ31では、ΣTiをゼロ
リセットする。
一方、ステップ26でnR=nL=8でないと判別されたとき
には、燃料噴射弁6の気筒別学習に関わる演算処理を行
わない通常の制御状態であるから、ステップ32以降にお
いて空燃比学習補正係数KBLRCの学習設定を行う。
ステップ32では、nR=nL=0であるか否か判別し、ゼロ
でないときには本ルーチンをそのまま終了させ、ゼロで
あるときにはステップ33へ進んで吸入空気流量Qに対応
して記憶されているマップからKBLRCを検索して求め
る。
次のステップ34では、補正係数LMDの上下ピークである
a,bの最新値から求められる補正係数LMDの中心値(a+
b)/2と、マップから検索して求めた空燃比学習補正係
数KBLRCとを、所定値Mに基づいて以下の式を従い加重
平均して、空燃比学習補正係数KBLRCを求める。
そして、ステップ35では、KBLRCマップデータの書き換
えを行う。
一方、ステップ24でF/I学習フラグFIlがゼロであると判
別されたときには、燃料噴射弁6の気筒別学習が行われ
る状態であって、後述するように特定1気筒の燃料噴射
弁6の供給特性誤差を検出するために、該特定1気筒の
空燃比フィードバック補正係数LMDのみが所定値Zで補
正される。また、この状態においても、通常学習カウン
タnlがゼロでないときと同様にしてΣa,Σb,ΣTiなどの
データが集められると共に、空燃比の反転をカウントす
るnR,nLがゼロからカウントアップされる。
従って、次のステップ38では、nR=nL=8であるか否か
の判別を行い、燃料噴射弁6の学習を開始してから空燃
比が所定回数以上反転したか否かを判別する。ここで、
nR=nL=8でないと判別されたときには、燃料噴射弁6
の学習において集められたデータの数が少ないから、そ
のまま終了させるが、nR=nL=8であるときには、所定
数のデータが集められたことを示すため、ステップ39以
降へ進む。
ステップ39では、F/I学習フラグFIlがゼロの状態でカウ
ントアップされたnR及びnLをゼロリセットする。
ステップ40では、F/I学習フラグFIlがゼロであって特定
1気筒の空燃比フィードバック補正係数LMDのみが所定
値Zで補正したときに、実際の空燃比の目標空燃比に制
御するために用いられた補正係数Aregを、以下の式に従
って演算する。
即ち、この補正係数Aregは、通常学習カウンタnlゼロで
ないときに空燃比制御のために用いた▲▼φと同
等のものであり、特定1気筒の空燃比フィードバック補
正係数LMDのみを所定値Zで補正した結果、各気筒の平
均空燃比を目標空燃比に制御するために必要とされた基
本燃料噴射量Tpの補正係数である。
次のステップ41では、ステップ40での演算に用いた燃料
噴射弁6の学習時におけるデータであるΣa,Σbをゼロ
リセットする。
また、ステップ42では、Σa,Σbの積算と同時に積算し
て得られた燃料噴射量Tiの積算値ΣTiを、サンプリング
数である16で除算してF/I学習時における平均値mTiにセ
ットする。
そして、次のステップ43では、以下の式に従って、特定
1気筒の空燃比フィードバック補正係数LMDのみを所定
値Zで補正したときの空燃比フィードバック補正の結果
から、前記所定値Zを逆算して求める。
X← ▲▼φ/{Areg×F/I数−▲▼φ(F/I数−
1)} 即ち、各燃料噴射弁6の供給特性誤差を検出するに当た
って、特定1気筒の空燃比フィードバック補正係数LMD
にのみ所定値Z(1.16)を乗算して燃料噴射量Tiを演算
させ、特定1気筒のみを前記所定値Zによる燃料噴射量
Tiの下で燃料制御させ、この結果が予測通りに空燃比フ
ィードバック補正制御に表れるか否かによってその燃料
噴射弁6の供給特性誤差を検出するものであり、上記X
(所定値Zの逆算値)の演算式は次のようにして導かれ
る。
特定1気筒のみの燃料を補正すると、その気筒単独で空
燃比フィードバック補正すると仮定すれば、燃料補正前
の空燃比補正係数▲▼φに対して補正係数が▲
▼φ/Zになれば、所定値Zによる空燃比フィードバ
ック補正係数LMDの補正がキャンセルされて空燃比は目
標空燃比に戻るはずである。一方、空燃比フィードバッ
ク補正係数LMDが所定値Zで補正されないその他の気筒
に関しては燃料の補正が行われないので、それぞれの気
筒単独でフィードバック補正を実施したとしても、空燃
比補正係数▲▼φは変化しない。ところで、酸素
センサ16の検出に基づく空燃比フィードバック補正は、
全気筒の平均空燃比を目標空燃比に制御するものである
から、特定1気筒のみの空燃比フィードバック補正係数
LMDを補正したときの空燃比補正係数▲▼(空燃
比フィードバック補正係数LMDと空燃比学習補正係数KBL
RCとを乗算した補正係数)は、各気筒の平均値として求
められるはずである。
従って、特定1気筒のみの燃料を所定値Zで補正したと
きに、空燃比を目標空燃比に制御するのに必要となる空
燃比補正係数▲▼は、 となる。
ここで、特定1気筒のみの空燃比フィードバック補正係
数LMDを所定値Zで補正したときに、空燃比を目標空燃
比に制御するために必要とした空燃比補正係数Aregとし
てステップ40で求められるから、このAregを前記式の▲
▼に代入して所定値Zを逆算することができ、こ
の逆算式が前述のXの演算式であり、所定値Zで補正し
た気筒の燃料噴射弁6が正常であれば、所定値Zと、こ
の所定値Zを前記式で逆算して求めた値であるXとは略
同じになるはずであるが、両者に差が生じたときには燃
料補正した気筒の燃料噴射弁6では、所定値Zによる補
正に見合った燃料が精度良く噴射されないことを示し、
前記差に応じて当該気筒における供給特性誤差量が検出
される。
従って、次のステップ44では、ステップ43において演算
されたXと、実際に燃料噴射量Tiの補正に用いた所定値
Z(本実施例では1.16)との差Y(←1.16(Z)−X)
を演算する。このYが、学習した気筒の燃料噴射弁6の
供給特性誤差率に相当し、燃料噴射弁6が所期の量より
も少ない燃料した噴射しないときには、Xが所定値Zよ
りも小さくなるから、この場合Yはプラスの値となり、
Yは誤差率ではあるがその気筒で補正すべき値であると
見做すことができる。
ステップ44で今回燃料補正した気筒の供給特性誤差に相
当するYを演算したので、次のステップ45ではF/I学習
フラグFIlに1をセットし、次のステップ46ではΣTiを
ゼロリセットする。
更に、ステップ47では、ステップ40において求めた空燃
比補正係数Aregと、燃料噴射弁6の学習前の通常燃料制
御状態で求めた初期値▲▼φとが略等しいか否か
を判別する。空燃比補正係数Aregは、特定1気筒の燃料
を補正したときのデータであるから、初期値▲▼
φに対して変化するのが正常であり、特定1気筒の燃料
を補正したのに空燃比補正係数が変化しないときには、
その気筒の燃料噴射弁6の駆動制御が、回路の断線や短
絡によって不可能な状態であると推測される。
このため、ステップ47で▲▼φ=Aregであると判
別されたときには、燃料の補正を行った気筒の燃料噴射
弁6の異常であるから、ステップ48でF/I学習を行った
補正気筒のナンバーncylを判別し、ステップ49〜52で補
正した気筒の燃料噴射弁6が異常(NG)であることを、
例えば車両のダッシュボード上等に表示する。
一方、ステップ47で▲▼φ=Aregでないと判別さ
れたときには、供給特性誤差があるものの直ちに燃料噴
射弁6の異常を判別することができないので、ステップ
53〜ステップ59において今回検出された供給特性誤差率
Yを燃料噴射量mTiに対応させて気筒別に記憶させる。
ステップ53では、F/I学習のため燃料を補正する気筒の
ナンバーがセットされるncylが1であるか否かを判別
し、ncylが1であるときには、ステップ44で求めた誤差
率Yを、ステップ42で求められる平均燃料噴射量mTiに
対応して#1気筒の誤差率Y1を記憶するマップのデータ
として記憶させる。
ステップ53でncylが1でないと判別されると、ステップ
55でncylが2であるか否かを判別し、ncyl=2であると
きにはステップ56へ進み、平均燃料噴射量mTiに対応し
て#2気筒の誤差率Y2を記憶するマップのデータとして
ステップ44で求めた誤差率Yを記憶させる。
更に、ステップ55でncyl=2でないと判別されると、ス
テップ57でncylが3であるか4であるかを判別し、ncyl
が3であるときにはステップ58で#3気筒の誤差率Y3マ
ップへのYの記憶を行い、ncylが4であるときにはステ
ップ59で#4気筒の誤差率Y4マップへのYの記憶を行
う。
このように、気筒別に検出した誤差率Yを、各気筒別に
燃料噴射量mTiに対応させて記憶させれば、各気筒の燃
料噴射弁6の誤差率Y1〜Y4が、燃料噴射量Tiの変化に対
してどのように変化しているかを判別でき、これに基づ
いて各気筒で所期の燃料供給制御を行わせるためには、
どのような補正を各気筒の燃料噴射量Tiの演算に施せば
良いかを判断でき、また、各気筒の燃料噴射弁6の異常
(劣化度合い)を診断する材料とすることもできる。
第4図のフローチャートに示すルーチンは、燃料噴射量
演算ルーチンであり、10ms毎に実行される。まず、ステ
ップ61では、スロットル弁4の開度TVO,機関回転速度N,
吸入空気流量Q等を入力する。
次のステップ62では、機関回転速度Nと吸入空気流量Q
と、更に、後述する第7図のフローチャートで設定され
る空気漏れ補正値ΔQと、に基づいて各気筒共通の基本
燃料噴射量Tp{←K×(Q+ΔQ)Q/N;Kは定数}を演
算する。尚、前記空気漏れ補正値ΔQは、エアフローメ
ータ13の下流測で機関吸気系に漏れ入り、エアフローメ
ータ13で検出されない漏れ空気量分を補正するためのも
のである。
ステップ63では、単位時間当たりの開度変化率ΔTVO
が、略ゼロであるか否かを判別する。ΔTVOが略ゼロで
あって、略一定の開度であるときには、ステップ64にお
いてΔTVOと同様にして求められる機関回転速度Nの変
化率ΔNが略ゼロであるか否かを判別する。
このステップ64で変化率ΔNが略ゼロであると判別され
たときには、機関1の定常運転状態であると見做してス
テップ65へ進む。
一方、ΔTVOとΔNとの少なくとも一方が略ゼロでなく
変動しているときには、機関1が過渡運転状態であると
見做してステップ67へ進む。
ステップ67では、過渡運転から定常運転に移行してから
の経過時間を計測するタイマTmaccに所定値をセットす
る。そして、過渡運転から定常運転に移行すると、ステ
ップ65で前記タイマTmaccがゼロであるか否かの判別が
なされ、ゼロでないときにはステップ66へ進んでタイマ
Tmaccが1だけカウントダウンされる。
従って、前記タイマTmaccがゼロになるのは、機関1の
定常運転が判別されてから、ステップ67でセットされる
所定値と本ルーチンの実行周期とに応じた所定時間が経
過してからであり、機関1の定常運転が判別されていて
も前記タイマTmaccがゼロになるまでの間は、過渡運転
時の空燃比変動が影響するため、前記タイマTmaccがゼ
ロとなる過渡運転から所定時間以上経過した安定定常運
転時にのみ、F/I学習が行われるようになっている(ス
テップ69)。
次のステップ68では、通常噴射制御用の各気筒共通の有
効噴射量Teと、燃料噴射弁6の学習用(誤差検出用)の
有効噴射量Tedmyとを以下の式に従って演算する。
Te←2×Tp×LMD×COEF×KBLRC×PRFP Tedmy← 2×Tp×(LMD×1.16)×COEF×KBLRC×PRFP ここで、Tpは本ルーチンのステップ62で演算した基本燃
料噴射量、LMDは前記第3図のフローチャートで演算さ
れた空燃比フィードバック補正係数、KBLRCは同じく第
3図示のルーチンで運転条件別に学習された空燃比学習
補正係数である。また、PRFPは後述する第7図のフロー
チャートで設定される燃料供給系補正値であり、燃料ポ
ンプF/PやプレッシャレギュレータPRの異常によって燃
料噴射弁6に圧送される燃料の圧力が所期値でなくなっ
たときに、この圧力異常を補償し得るものである。更
に、COEFは、水温センサ15で検出される冷却水温度Twを
主とする機関運転状態に基づいて設定される各種補正係
数である。
上記演算式において、通常の有効噴射量Teに対し、燃料
噴射弁(F/I)6の学習用の有効噴射量Tedmyの演算式で
は、空燃比フィードバック補正係数LMDに所定値Z=1.1
6を乗算してあり、この有効噴射量Tedmyを、前記F/I学
習フラグFIlがゼロである燃料噴射弁6の学習期間にお
いて特定1気筒のみに適用することで、強制的に1気筒
の燃料噴射量Tiを変化させて、その影響が表れる空燃比
フィードバック補正係数LMDの変化を監視することで、
有効噴射量Tedmyを適用した気筒の燃料噴射弁6の供給
特性誤差を検出するものである。
ステップ69では、前記タイマTmaccがゼロであるか否か
を判別する。このタイマTmaccがゼロでないときには、
機関1が過渡運転状態であるか安定した定常運転状態で
はないため、ステップ70へ進む。
ステップ70では、機関1の過渡運転を判別するための過
渡フラグFaccに1をセットする。次のステップ71では、
F/I学習フラグFIlに1をセットして、F/I学習を禁止す
る。
更に、ステップ72では、通常学習カウンタnlに所定値16
をセットすると共に、リッチ・リーンの反転回数をカウ
ントするnR,nLをゼロリセットし、更に、空燃比フィー
ドバック補正係数LMDのピーク値を積算するΣa,Σb及
び燃料噴射量Tiを積算するΣTiをゼロリセットする。
一方、ステップ69でタイマTmaccがゼロであると判別さ
れたときには、ステップ73へ進んで前記過渡フラグFacc
の判別を行う。前記過渡フラグFaccは、Tmacc≠0であ
るときに1がセットされているので、Tmacc=0となっ
た初回においては、このステップ73でFacc=1であると
判別されてステップ74へ進むことになる。
ステップ74では、通常学習カウンタnlに所定値16を改め
てセットし、次のステップ75では、過渡フラグFaccにゼ
ロをセットする。
そして、次のステップ76では、学習を行う気筒ナンバー
を指定するncylが4であるか否かを判別し、ncylが4で
あるときにはステップ77でncylをセットして、#1気筒
の燃料噴射弁6についての学習が行われるようにし、ま
た、ncylが4でないときには、ステップ78でncylを1ア
ップさせて#2,#3,#4気筒のいずれかの燃料噴射弁6
について学習が行われるようにする。従って、燃料噴射
弁6の学習を行う気筒は、タイマTmaccがゼロになった
初回、即ち、安定定常運転の検出初回毎に順次切り換え
られるようになっている。
次のステップ79では、通常学習カウンタnlがゼロである
か否かを判別する。通常学習カウンタnlがゼロでないと
きには、ステップ80でタイマTmacc2に所定値200をセッ
トし、また、通常学習カウンタnlがゼロであるときに
は、ステップ81で前記タイマTmacc2がゼロであるか否か
を判別して、ゼロでないときにはステップ82へ進んでタ
イマTmacc2を1ダウンさせる。
前記通常学習カウンタnlが所定値からカウントダウンさ
れてゼロになるまでの間に、有効噴射量Teに基づく通常
燃料制御状態におけるΣa,Σb等のデータが求められ、
次に特定1気筒の燃料噴射弁6のみが前記有効噴射量Te
dmyに基づいて制御されて、このF/I学習期間において新
たにΣa,Σb等のデータが求められるが、前記有効噴射
量Tedmyを使い出した所期状態では、空燃比フィードバ
ック補正係数LMDが安定しないので、前記タイマTmacc2
で計測される時間においてはF/I学習期間におけるΣa,
Σb等のデータの収集が禁止されるようにしてある(第
10図参照)。
次に第5図のフローチャートに示すルーチンに従って行
われる燃料噴射量の気筒別学習補正について説明する。
このルーチンは、バックグラウンドジョブ(BGJ)とし
て実行されるものであり、まず、ステップ101では、燃
料噴射量mTiに対応して気筒別に記憶されている燃料噴
射弁6の供給特性誤差率Y1〜Y4(ステップ53〜ステップ
59参照)の絶対値が、燃料噴射量Tiの増大変化に対して
単調減少しているか否かを判別するためのフラグである
fプラス及びfマイナスをゼロリセットし、更に、誤差
率Y1〜Y4のマップアドレスを指定するiをゼロリセット
する。
そして、次のステップ102では、アドレスiが7以下で
あるか否かを判別し、i<7であるときには、ステップ
103へ進む。
ステップ103では、#1気筒の燃料噴射弁6の学習を行
ったときの誤差率Y1が燃料噴射量mTiに対応して記憶さ
れているマップから、燃料噴射量mTi格子のアドレスi
に記憶されているデータを読み出し、その値をy1(i)
にセットする。
また、ステップ104では、Y1のマップにおいてステップ1
03におけるアドレスiの次のアドレスi+1に記憶され
ているデータを読み出し、その値をy1(i+1)にセッ
トする。
次のステップ105では、アドレスiがゼロであるか否か
を判別し、ステップ101からステップ102へ進んだ初回で
アドレスiがゼロであるときには、ステップ106へ進
む。ステップ106では、ステップ103で求めたアドレスi
=0における#1気筒の燃料噴射弁6の誤差率であるy1
(0)と、次のアドレスi=1におけるy(1)とを比
較する。
そして、y1(0)が大きいときには、ステップ107へ進
んでステップ101でゼロリセットされているfプラス1
をセットし、y1(1)が大きいときには、ステップ108
へ進んでステップ101でゼロリセットされている。fマ
イナスに1をセットする。
ここで設定されるfプラス及びfマイナスで表されるy1
の変化の様子が、アドレスiを増やしていったときにも
継続するかによって、後述するように誤差Y1の要因が判
別されて、それに見合った補正項が設定される。
次のステップ113では、アドレスiが1アップされるた
め、アドレスiがゼロの状態でステップ106へ進んだと
きには、ここでアドレスiが1に設定される。
ステップ113でアドレスiを1アップさせると、再びス
テップ102に戻り、アドレスiが7未満であるからステ
ップ103及びステップ104での演算処理が繰り返される
が、ステップ105でアドレスiがゼロでないと判別され
ることにより、今度はステップ109へ進む。
ステップ109では、アドレスiがゼロであるときに設定
されたfプラスが1であるかゼロであるか否かを判別
し、fプラスが1であるときには、ステップ110へ進ん
でy1(i)−y1(i+1)をBregにセットする。また、
fプラスが0であってfマイナスが1であるときには、
ステップ111へ進んで、y1(i+1)−y1(i)をBreg
にセットする。
そして、ステップ112では前記Bregの正負を判別し、Bre
gが正であるときにはステップ113へ進んでアドレスiを
1アップさせ、再びステップ102〜ステップ104での演算
処理を繰り返す。
即ち、誤差率y1(i)の絶対値が燃料噴射量Tiの増大変
化に対応して単調減少するときには、例えばfプラスが
1であればy1(i)−y1(i+1)は常時正であり、f
マイナスが1であればy1(i+1)−y1(i)が常時正
となるはずである。従って、ステップ112でBregが正で
あるとは判別されているときには、誤差率y1(i)の絶
対値が燃料噴射量Tiの増大変化に対応して単調減少して
いることを示す。
Bregが正であれば、アドレスiをステップ113で1アッ
プさせて再びステップ102へ戻り、アドレスiが7にア
ップされるまで、Bregが正であることを確認する。
誤差率y1(i)の絶対値が燃料噴射量Tiの増大変化に対
応して単調減少していることが、アドレスiが7になる
まで継続して判別されると、今度はステップ102からス
テップ115へ進む。
ステップ115では、燃料噴射量Tiを演算するときに用い
るバッテリ電圧による補正分Tsを、#1気筒用に一定量
だけ補正する補正分n1を以下の式に従って演算する。
燃料噴射量Tiは、燃料噴射弁6の開弁時間msとして設定
され、誤差率Yφ,Y1〜Y4のマップにおいては、アドレ
スiがゼロのときの燃料噴射量Tiが0.5msで、以後アド
レスiが1増える毎に0.5msずつ増えるようにしてあ
る。従って、(i+1)×0.5msは、アドレスiに対応
する燃料噴射量Tiとなり、この燃料噴射量Tiに対応する
#1気筒の燃料噴射弁6における誤差率y1(i)に相当
する。
また、#1気筒用の燃料を一定量だけ補正すれば、燃料
噴射量Tiの多いときにはこの補正による効果が表れず、
燃料噴射量Tiが少ないときにこの補正効果がより表れる
ことになり、一定量の補正に過不足があれば、燃料噴射
量Tiが少ないときほど燃料制御の誤差が大きくなる。通
常の燃料噴射量Tiの演算においては、駆動電源であるバ
ッテリの電圧変化により燃料噴射弁6を有効開弁時間
(開閉弁遅れ時間)の変化を補正するための補正分Tsを
有効噴射量Teに加算するようにしているが、燃料噴射弁
6の劣化によってこの一定補正量である補正分Tsに過不
足が発生すると、前述のように燃料噴射量Tiが少ないと
きほど燃料供給誤差率が大きくなるから、誤差率y1
(i)の絶対値が燃料噴射量Tiの増大変化に対応して単
調減少しているときには、この補正分Tsの過不足が原因
であると見做すことができる。
ここで、誤差率y1(i)×燃料噴射量Tiが、上記補正分
Tsの過不足分に相当し、上記n1の演算式では、各アドレ
スiにおいて演算されるTsの過不足分が平均されるよう
になっている。
一方、ステップ112で、Bregが負であると判別された場
合には、アドレスiがゼロであるときの変化方向に対し
て変化したことを示し、誤差率y1(i)の絶対値が単調
減少変化を示すとは言えないため、アドレスiが7にな
るまで変化傾向を確認することなく、ステップ114へ進
む。
ステップ114では、#1気筒用の燃料噴射量Tiを演算す
るに当たって有効噴射量Te(基本燃料噴射量Tp)を一定
割合で補正するための補正係数m1を以下の式に従って演
算する。
誤差率y1(i)の絶対値が燃料噴射量Tiの増大変化に応
じて単調減少せず、略一定であるときには、有効噴射量
Te(基本燃料噴射量p)を一定割合で補正することによ
り、この誤差率を解消することができる。
即ち、例えば、燃料噴射弁6の複数ある噴孔のうち1つ
が詰まると、誤差率y1(i)は、燃料噴射量Tiの増大に
対して略一定であり、燃料噴射量Ti(開弁時間)に対す
る実際の噴射量は、第12図に示すように変化するので、
この噴孔の詰まりによる供給特性誤差を補償するために
は、有効噴射量Teに補正係数を乗算して、第12図におけ
る燃料噴射量Ti(パルス巾)に対する実際噴射量の傾き
を見掛け上補正すれば良い。
ところで、誤差率y1(i)は、#1気筒の有効噴射量Te
に所定値Zを乗算したのに、実際には所定値Z−誤差率
y1(i)だけ乗算したときと同じ結果になったことを示
すものであるから、所望の燃料量を実際に得るには、1
+誤差率y1(i)を有効噴射量Teに乗算すれば良く、各
アドレスiにおけるy1(i)を平均した値に1を加算し
て#1気筒の有効噴射量Te(基本燃料噴射量Tp)を補正
するための補正係数m1を設定するようにしてある。
このように、#1気筒の燃料噴射弁6の学習を行ったと
きに求めた供給特性誤差率Y1に基づいて、#1気筒の燃
料噴射量Tiを一定量で補正する補正分n1と、基本燃料噴
射量Tpを一定割合で補正する補正係数m1とが学習される
と、同様にして#2,#3,#4気筒用の補正項であるn2〜
n4,m2〜m4の学習設定が、前記ステップ101〜ステップ11
4と同様にしてステップ116〜ステップ118でそれぞれ実
行される。
ここで、学習設定された補正項n1〜n4,m1〜m4(気筒別
補正値)は、第6図のフローチャートに示す燃料供給制
御ルーチンでの気筒別燃料噴射量Ti演算に用いられ、気
筒別に燃料噴射弁6の供給特性誤差Y1〜Y4に応じて学習
補正された燃料噴射量Tiに従って燃料噴射供給が制御さ
れる。
第6図のフローチャートに示すルーチンは、クランク角
センサ14から4気筒の場合180゜毎の基準角度REF信号が
出力される毎に実行される。
まず、ステップ131では、今回の基準角度信号REFが#1
気筒の燃料供給開始時期に対応するものであるか否かを
判別し、#1気筒用のものであるときには、ステップ13
2へ進む。
ステップ132では、F/1学習フラグFIlを判別し、F/1学習
フラグFIlが1であって燃料噴射弁6の学習を行わない
時期であるときには、ステップ135へ進み、前記ステッ
プ68で演算された通常噴射用の各気筒共通の有効噴射量
Te(=2×Tp×LMD×COEF×KBLRC×PRFP)と、#1気筒
用に学習設定された補正項m1,n1と、バッテリ電圧に基
づき全気筒共通に設定される補正分Tsとにより以下の式
に従って#1気筒用の燃料噴射量(燃料供給量)Tiを演
算する。
Ti←Te×m1+Ts+n1 一方、ステップ132で、F/I学習フラグFIlがゼロである
と判別されたときには、特定1気筒の燃料噴射量Ti演算
に有効噴射量Tedmy(=2×Tp×LMD×1.16)×COEF×KB
LRC×PRFP)を用いて、この気筒の燃料噴射弁6の供給
特性誤差を検出する時期であるから、ステップ133へ進
んでncylが1であるか否かを判別し、今回のF/I学習で
#1気筒の燃料噴射弁6を学習する順番であるかを判別
する。
ここで、ncylが1であれば、#1気筒の燃料噴射量Ti演
算に前記有効噴射量Tedmyを用いて#1気筒の空燃比を
強制的にずらし、この結果が予測通りに空燃比フィード
バック補正係数LMDの変化に表れるか否かを監視するの
で、ステップ134では、有効噴射量Tedmyを用い以下の式
に従って#1気筒用の燃料噴射量Tiを演算する。
Ti←Tedmy×m1+Ts+n1 このように、F/Iの学習期間であるか、また、かかる学
習で#1気筒が指定されているかによって、#1気筒用
の燃料噴射量Tiをステップ134又はステップ135で演算す
ると、ステップ136では、上記で演算された燃料噴射量T
iに相当するパルス巾をもつ駆動パルス信号を、#1気
筒の燃料噴射弁6に対して出力して、#1気筒に対する
燃料の噴射供給を実施する。
また、ステップ131で、今回の基準角度信号REFが、#1
気筒の噴射開始時期に対応するものでないと判別された
ときには、ステップ137へ進んで今回の基準角度信号REF
が#2気筒の噴射開始時期に対応するものであるか否か
を判別する。
そして、今回の基準角度信号REFが#2気筒の噴射開始
時期に対応するときには、前記#1気筒の噴射開始時期
であるときと同時に、F/Iの学習時間であるか、また、
かかる学習で#2気筒が指定されているかによって(ス
テップ138,139)、#2気筒用の燃料噴射量Tiをステッ
プ140又はステップ141で演算し、演算された燃料噴射量
Tiに相当するパルス巾をもつ駆動パルス信号をステップ
142で#2気筒の燃料噴射弁6に対して出力する。
更に、ステップ137で今回の基準角度信号REFが#2気筒
の噴射開始時期に相当するものでないと判別されると、
ステップ143へ進んで今度は#3気筒の噴射開始時期に
相当するかを判別する。
今回が#3気筒の噴射開始時期であれば、同様にF/Iの
学習期間であるか、また、かかる学習で#3気筒が指定
されているかを判別して(ステップ144,145)、ステッ
プ146又はステップ147で#3気筒用の燃料噴射量Tiを演
算し、ステップ148で#3気筒の燃料噴射弁6に対して
該燃料噴射量Ti相当のパルス巾をもつ駆動パルス信号を
出力する。
また、ステップ143で#3気筒の噴射開始時期でないと
判別されたときには、今回の噴射開始時期は残る#4気
筒であるから、同様にF/Iの学習期間であるか、また、
かかる学習で#4気筒が指定されているかを判別して
(ステップ149,150)、ステップ151又はステップ152で
#4気筒用の燃料噴射量Tiを演算し、ステップ153で#
4気筒の燃料噴射弁6に対して該燃料噴射量Ti相当のパ
ルス巾をもつ駆動パルス信号を出力する。
このように、各気筒毎に燃料噴射弁6の供給特性誤差率
Y1〜Y4を検出し、この誤差率Y1〜Y4が解消されるように
補正項n1〜n4,m1〜m4(気筒別補正値)を設定し、各気
筒の供給誤差率Y1〜Y4に応じた燃料噴射量Tiに基づいて
各気筒毎の燃料噴射量Tiが制御されるので、各気筒の燃
料噴射弁6に供給特性のバラツキがあっても、各気筒の
空燃比をそれぞれ目標空燃比付近に制御することがで
き、空燃比の気筒間バラツキによる排気性状の悪化や特
定気筒での失火の発生等を回避できるものである。
次に第7図のフローチャートに示すルーチンに従い、基
本燃料噴射量Tpの演算において吸入空気流量Qに加算補
正された空気漏れ補正値ΔQと、有効噴射量Teの演算で
基本燃料噴射量Tpの補正係数として用いられた燃料供給
系補正値PRFPの設定制御を説明する。
このルーチンは、機関1が1回転する毎に実行されるも
のであり、まず、ステップ181では、タイマTmaccがゼロ
であるか否かの判別を行う。前記タイマTmaccは、前記
第4図のフローチャートに示すルーチンにおいて、過渡
運転時に所定値がセットされ、ゼロであるときに安定し
た定常運転状態であることを示すものである。
ここで、タイマTmaccがゼロでないと判別されたときに
は、ステップ182へ進んで定常初回判別フラグFtrmに1
をセットし、そのまま本ルーチンを終了させる。
一方、タイマTmaccがゼロであると判別されたときに
は、ステップ183へ進んで前記定常初回判別フラグFtrm
の判別を行う。前記フラグFtrmは、前述のようにタイマ
Tmaccがゼロでないときには、1がセットされているか
ら、今回の判別が初回であるときには、このステップ18
3でフラグFtrmが1であれ、次のステップ184へ進む。
ステップ184では、前記フラグFtrmにゼロをセットし、
ステップ183でフラグFtrmがゼロであると判別されたと
きには、そのまま本ルーチンを終了させるので、ステッ
プ184以降の処理が行われるのは、タイマTmaccがゼロで
あると判別された初回のみとなる。
ステップ184でフラグFtrmにゼロをセットすると、次の
ステップ185では最近に演算された燃料噴射量Tiを、そ
の演算要素と共に読み込む。ここで、読み込まれる燃料
噴射量Tiは、どの気筒に対応する補正値m1〜m4,n1〜n4
を用いたものであっても良い。
そして、次のステップ186では、今回ステップ185で読み
込んだ燃料噴射量Tiの演算式及び前回(今回とは異なる
運転条件において)ステップ185で読み込んだ燃料噴射
量Tiの演算式それぞれにおいて、空気漏れ補正値ΔQ及
び燃料供給系補正系PRFPのみを未知数とし、また、空燃
比フィードバック補正係数LMDを基準値1に仮定し、更
に、気筒別補正値m1〜m4,n1〜n4を気筒毎に補正値に代
えてそれぞれの平均値FIn←(m1+m2+m3+m4)/4,Tsln
←(n1+n2+n3+n4)/4を代入し、空気漏れ補正値ΔQ
及び燃料供給系補正値PRFPのみを未知数とする2つの方
程式を作る。
ここで、2つの方程式を連立方程式として、2つの方程
式に共通して適合するように、換言すれば、2つの異な
る運転条件にそれぞれ適合する空気漏れ補正値ΔQ及び
燃料供給系補正値PRFPを求める。
従って、空燃比フィードバック補正係数LMDによって基
本燃料噴射量Tpの補正を行っているときには、かかる空
燃比フィードバック補正係数LMDによる補正が、前記空
気漏れ補正値ΔQ及び燃料供給系補正値PRFPに分担さ
れ、それまで空燃比フィードバック補正係数LMDによっ
て目標空燃比が得られていたものが、補正係数LMDなし
でも目標空燃比が得られるように、空気漏れ補正値ΔQ
及び燃料供給系補正値PRFPが設定される。空気漏れ発生
時と燃圧異常時とでは空燃比ずれの傾向が、第13図及び
第14図に示すように異なり、一方が吸入空気流量Qに対
する加算補正項で他方がこれに対する乗算補正項である
ことから、上記のように2つの異なる運転条件で連立方
程式を設定すれば、空気漏れと燃圧異常とにそれぞれ対
応した補正値を運転条件とは無関係に一律に設定できる
ものである。具体的には、空気漏れが発生すると、運転
条件とは関係なく一定量の補正値ΔQが要求されること
になり、また、燃圧異常があれば一定割合だけ基本燃料
噴射量Tpを補正する必要が発生するため、異なる運転条
件の下で連立方程式を立てれば、これらの補正要求に見
合った補正値ΔQ,PRFPが設定されるものである。
尚、上記のように定常運転検出の初回にのみ、空気漏れ
補正値ΔQ及び燃料供給系補正値PRFPを求めるための燃
料噴射量Tiの演算式を読み込むようにすれば、略同一の
運転条件の下での燃料噴射量Tiに基づいて連立方程式が
立てられることが回避できる。
次のステップ187では、今回上記ステップ186で連立方程
式を解くことによって求めた空気漏れ補正値ΔQ及び燃
料供給系補正値PRFPそれぞれを前回までの値と加重平均
し、その結果を燃料噴射量Tiの演算に用いる最終的なデ
ータとして設定する。
空気漏れ補正値ΔQ及び燃料供給系補正値PRFPの加重平
均演算は、例えば下記に示すような式に従って行い、こ
こで用いる加重重み(今回データに対する重み付け)X
を比較的小さくして、空気漏れ補正値ΔQ及び燃料供給
系補正値PRFPの更新が緩慢に行われるようにすることが
好ましい。
ΔQ←ΔQOLD(1.0−X)+ΔQnew・X PRFP←PRFPOLD(1.0−X)+PRFPnew・X これは、空気漏れ補正値ΔQ及び燃料供給系補正値PRFP
が、空燃比フィードバック補正係数LMDの変化に応答性
良く追従すると、学習補正係数KBLRCの学習機会が失わ
れ、吸入空気流量Q等の変化に応じて目標空燃比を得る
ための補正値が異なるときなどには、前記空気漏れ補正
値ΔQ及び燃料供給系補正値PRFPが大きく変化してしま
い制御の安定性を欠くと共に、これらの補正値が所期の
補正にのみ使われないためにこれらの補正値に基づく自
己診断の精度が悪化してしまうためである。
前記空気漏れ補正値ΔQ及び燃料供給系補正値PRFPが上
記のようにして良好に学習設定されれば、エアフローメ
ータ13で検出できない漏れ空気が存在しても、その分を
一定量加算して補正することができると共に、例えばプ
レッシャレギュレータの故障によって所期圧力よりも高
い圧力の燃料が燃料噴射弁6に供給されるようになった
場合には、基本燃料噴射量Tpを所定割合だけ減少させて
圧力上昇に見合った駆動パルスを燃料噴射弁6に与えて
所望の燃料を噴射させることができる。
次に、上記のようにして各要因別(部品別)に補正値が
設定されれば、各気筒毎に設けられた燃料噴射弁6や、
プレッシャレギュレータ又は燃料ポンプを劣化の度合
い、更に、吸気系への漏れ空気量の増大度合いを、前記
各種補正値による補正度合いから数値化して特定できる
ため、第8図のフローチャートに示すルーチンで上記性
能レベルの低下度合いを部品毎に設定する。
第8図のフローチャートに示すルーチンは、バックグラ
ウンドジョブ(BGL)として実行されるものであり、ま
ず、ステップ191では、プレッシャレギュレータや燃料
ポンプ等の燃圧制御系の部品に関わる燃料供給系補正値
PRFPから基準値である1.0を減算して、PRFPによる補正
度合いをゼロを基準としてその絶対値が増大するほど補
正度合いが大きいものとして設定する。前記補正度合い
は、プレッシャレギュレータや燃料ポンプ等の燃圧制御
系における性能レベルを所期状態をゼロとし、劣化が進
行するとその絶対値が大きくなって表すことになる。
また、次のステップ192では、前記空気漏れ補正値ΔQ
を、アイドル運転時の吸入空気流量Qで除算することに
より、前記燃圧制御系の性能レベルと同様に、濡れQの
性能レベルを空気漏れがないときにはゼロとし、漏れ量
が増大するに従ってその絶対値が大きくなるようにして
設定する。
更に、ステップ193〜196では、各気筒毎(#1気筒〜#
4気筒)に燃料噴射弁6の噴射特性変化を補正すべく設
定された気筒別補正値m1〜m4,n1〜n4に基づき、各気筒
の燃料噴射弁6の性能レベルを設定する。ここで、前記
補正値m1〜m4は、前記燃料供給系補正値PRFPと同様に1
を基準値とする補正値であるのに対し、補正値n1〜n4は
ゼロを基準とするものであるから、これらを同じ単位に
変換して等価の値とするために、補正値m1〜m4から基準
値1を減算して補正値m1〜m4に基づく性能レベルを設定
すると共に、前記補正値n1〜n4を電圧補成分Tsで除算し
た値から1を減算して補正値n1〜n4に基づく性能レベル
を設定する。
これにより、各気筒毎に補正値m1〜m4に基づく性能レベ
ルと、補正値n1〜n4に基づく性能レベルとがそれぞれ設
定されることになって、各燃料噴射弁6の性能レベルを
1つを数値に特定できないので、各性能レベルを表す数
値を二乗した値の総和の平方根を求め、この演算結果を
当該気筒の性能レベル←{(m1〜m4−1)+(n1〜n4
/Ts−1)1/2とする。
複数の性能レベルが1つの部品(本実施例では燃料噴射
弁6))に対して設定されるときに、例えば複数の性能
レベルを平均化処理してしまうと、1つの劣化要因が使
用許容を越えるほど進行していても、他の劣化要因が進
行していない場合には、その部品については使用限度を
越える劣化はないと数値化されてしまうので、上記のよ
うに、各性能レベルの二乗値の総和を求め、該総和の平
方根がその部品の性能レベルを表すものとして、少なく
とも劣化の進行が最も速い要因による性能低下以上とし
てその部品の性能低下が決定されるようにする。
上記のようにして部品毎にその性能レベル(劣化進行度
合い)が特定されると、第9図のフローチャートに示す
ルーチンでは、その部品が使用限度に達するまでの走行
距離又は走行時間を予測演算して表示する。
バックグラウンドジョブとして実行される第9図のフロ
ーチャートに示すルーチンでは、まず、ステップ201
で、内燃機関1が搭載されている車両の走行距離l(又
は走行時間)を演算する。
そして、次のステップ202では、前記走行距離l(又は
走行時間)をパラメータとして第8図のフローチャート
で設定された各性能レベルを記憶させる(第11図参
照)。
ステップ203では、最近の単位走行距離(単位走行時
間)における各性能レベルの変化量Cを演算する。
ステップ204では、前記ステップ203で演算した変化量C
から各性能レベルが予め設定されている使用可能レベル
(劣化限界レベル)を越えるまでに要すると予測される
走行距離L(又は走行時間)を演算する。即ち、性能レ
ベルの最近の変化傾向から、その部品の性能レベルが使
用限界に達するまでの走行距離L(又は走行時間)を予
測するものである。尚、上記のように2点間の変化から
その後の変化を予測するのではなく、3点以上の情報か
らその後の性能レベルの変化を曲線近似して予測するよ
うにしても良い。
このようにして、部品毎に使用限界に達するまでの走行
距離L(又は走行時間)が予測演算されると、次のステ
ップ205ではその結果を部品毎に例えば車両のダッシュ
ボード上に部品に表示し、部品毎にメンテナンスを必要
とする時期が近づいているか、又は、殆ど所期状態と変
わらぬ性能を維持して今後長期間に渡ってメンテナンス
を必要としないかが明確に判別できるようにする。この
ようにして、部品毎に正常に使用できる走行距離L(又
は走行時間)が表示されれば、その部品が全く故障して
しまう前に予測でき、不用意な故障の発生を回避できる
と共に、メンテナンスを真に必要としている部品につい
てのみメンテナンスを施すことができる。
尚、前記ステップ205における表示は常時行う必要はな
く、例えば運転者のスイッチ操作によって任意に読み出
せるようにしたり、所定の走行距離l(又は走行時間)
毎に表示させるようにしても良い。また、部品毎の性能
低下レベルを数値化するに当たっては、本実施例に示し
た補正値を用いたものに限定されるものではなく、例え
ば酸素センサ16の劣化を補正する補正値が設定されるも
のでは、この補正値を用いて性能低下レベルを数値化す
ることができ、また、必ずしも補正値を用いて性能低下
レベルを特定しなくとも、機関運転状態の検出値から当
該部品の劣化度合い(検出誤差や動作誤差等)を数値化
できるものであれば、本実施例と同様にして使用限度に
達するまでの走行距離や走行時間を予測演算できる。
〈発明の効果〉 以上説明したように、本発明によると、内燃機関の部品
が使用限度に到達すると予測される車両走行距離又は走
行時間が性能低下の変化予測に基づいて予測演算されて
表示されるので、この表示に基づき各部品の劣化状況
(性能低下レベル)を把握して、的確なメンテナンスを
施すことができるようになり、不容易な故障の発生によ
る運転性の悪化を防止できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の構成を示すブロック図、第2図は本発
明の一実施例を示すシステム概略図、第3図〜第9図は
それぞれ同上実施例における制御内容を示すフローチャ
ート、第10図は同上実施例における制御特性を説明する
ためのタイムチャート、第11図は各部品毎に設けられる
性能低下レベルのマップを示す線図、12図〜第14図はそ
れぞれ要因別に空燃比ズレの状態を示す線図である。 1……機関、6……燃料噴射弁、12……コントロールユ
ニット、13……エアフローメーター、14……クランク角
センサ、16……酸素センサ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内燃機関の所定部品毎に性能低下レベル
    を、当該部品に関与する機関運転状態の検出値に基づい
    て数値化する性能低下レベル数値化手段と、 該性能低下レベル数値化手段で数値化された性能低下レ
    ベルを部品毎に車両走行距離又は車両走行時間をパラメ
    ータとして記憶する記憶手段と、 該記憶手段に記憶されている部品毎の性能低下レベルの
    変化割合に基づきその後の性能低下レベルの進行を予測
    し、該予測結果に基づいて当該部品が性能低下の限界レ
    ベルに達するまでの車両走行距離又は車両走行時間を予
    測演算する限界到達予測演算手段と、 該限界到達予測演算手段で予測演算された車両走行距離
    又は車両走行時間を部品毎に表示する表示手段と、 を含んで構成したことを特徴とする車両用内燃機関の部
    品劣化予測装置。
  2. 【請求項2】前記性能低下レベル数値化手段で数値化さ
    れる性能低下レベルが所定部品に対して複数種あるとき
    に、性能低下レベルを示す各数値を同一単位に変換して
    から、各数値の二乗値を演算した値の平方根を演算し、
    該演算結果を当該部品の性能低下レベルを示す数値とし
    て前記記憶手段に記憶させる複数レベル処理手段を設け
    たことを特徴とする請求項1記載の車両用内燃機関の部
    品劣化予測装置。
JP1262251A 1989-10-09 1989-10-09 車両用内燃機関の部品劣化予測装置 Expired - Lifetime JPH0726560B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1262251A JPH0726560B2 (ja) 1989-10-09 1989-10-09 車両用内燃機関の部品劣化予測装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1262251A JPH0726560B2 (ja) 1989-10-09 1989-10-09 車両用内燃機関の部品劣化予測装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH03124919A JPH03124919A (ja) 1991-05-28
JPH0726560B2 true JPH0726560B2 (ja) 1995-03-29

Family

ID=17373181

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1262251A Expired - Lifetime JPH0726560B2 (ja) 1989-10-09 1989-10-09 車両用内燃機関の部品劣化予測装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0726560B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5305053A (en) * 1992-05-14 1994-04-19 Brother Kogyo Kabushiki Kaisha Image forming apparatus
JP5003054B2 (ja) * 2006-08-15 2012-08-15 いすゞ自動車株式会社 触媒劣化量検出方法及び触媒劣化量検出装置
JP2011132862A (ja) * 2009-12-24 2011-07-07 Diesel United:Kk ディーゼル機関のピストンリング摺動状態監視方法

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6319498A (ja) * 1986-07-08 1988-01-27 Nissan Motor Co Ltd 車両用部品メンテナンス警告装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH03124919A (ja) 1991-05-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4487745B2 (ja) センサ応答特性検出装置
EP0423376B1 (en) Error detection device for each cylinder in fuel supply control device for internal combustion engine, learning device for each cylinder and diagnostic device for each cylinder
JP2916831B2 (ja) 空燃比制御装置の診断装置
JPH0758054B2 (ja) 内燃機関の燃料供給制御装置における学習補正装置及び自己診断装置
JP2005273636A (ja) 酸素センサ劣化診断装置
JPH0416757A (ja) 酸素センサの劣化診断装置
JPH0472438A (ja) 内燃機関の空燃比制御装置における空燃比センサ劣化診断装置
JPH0726560B2 (ja) 車両用内燃機関の部品劣化予測装置
JP2010150953A (ja) 内燃機関の失火診断装置
JP3780539B2 (ja) 酸素濃度センサの劣化検出装置
JP2543762B2 (ja) 内燃機関の燃料供給制御装置
JP2657713B2 (ja) 電子制御燃料噴射式内燃機関の燃料リーク診断装置
JP4037485B2 (ja) エンジンの触媒劣化診断装置
JP3052756B2 (ja) 内燃機関の制御装置
JPH04318250A (ja) 内燃機関の燃料供給装置における自己診断装置
JP3346138B2 (ja) 内燃機関の失火検出装置
JPH0598945A (ja) 内燃機関における触媒コンバータ装置の劣化診断装置
JPH09324691A (ja) 内燃機関の燃料噴射制御装置
JP2543763B2 (ja) 内燃機関の燃料供給制御装置
JP2853178B2 (ja) エンジンの空燃比検出装置
JP2646403B2 (ja) 電子制御燃料噴射式内燃機関の燃料リーク診断装置
JPH0620102Y2 (ja) 内燃機関の熱線質量流量計の劣化検出装置
JPH01106949A (ja) 内燃機関の学習制御装置
JP2001271696A (ja) エンジンの触媒劣化診断装置
JP2592327B2 (ja) 内燃機関の燃料供給制御装置