JPH0726050A - 非架橋フッ素系樹脂発泡体 - Google Patents

非架橋フッ素系樹脂発泡体

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JPH0726050A
JPH0726050A JP26711693A JP26711693A JPH0726050A JP H0726050 A JPH0726050 A JP H0726050A JP 26711693 A JP26711693 A JP 26711693A JP 26711693 A JP26711693 A JP 26711693A JP H0726050 A JPH0726050 A JP H0726050A
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JP
Japan
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foam
sheet
resin
foaming
ratio
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Withdrawn
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JP26711693A
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English (en)
Inventor
Shunko Hane
俊興 羽根
Hisao Koike
尚生 小池
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 軽量性、クッション性、耐熱性、断熱性、耐
候性、耐薬品性に富み電気絶縁テープ、電線被覆材、ソ
フトガスケット、テント生地、膜構造建築の屋根材等と
して有用な発泡体を提供する。 【構成】 架橋構造をもたない結晶性、かつ熱可塑性の
フッ素系樹脂からなり、発泡倍率が2〜30倍、平均気
泡径が40μ以下の発泡体で構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は架橋構造を有せず、結晶
性でかつ熱可塑性のフッ素系樹脂からなる発泡体に関す
るものである。本発明の発泡体は軽量性、クッション
性、耐熱性、断熱性、耐候性、耐薬品性、低誘電特性を
始めとして電気特性に優れた特徴を有し、ソフトガスケ
ット、電気絶縁テープ、電線被覆材、テント生地、膜構
造建築の屋根材等広範な用途に極めて有効な発泡体であ
る。
【0002】
【従来の技術】従来からフッ素系樹脂の発泡体は種々提
案されており、例えば特公昭42−4974号公報には
ポリテトラフルオロエチレンの微粒子を焼結して得られ
空孔率60%程度の多孔体が開示されているが、この多
孔体は連続気泡構造であり、電気絶縁性が一定しないと
いう難点があった。特開昭59−11340号公報には
フッ素系樹脂に無機化合物を添加した発泡体が見られる
が、この発泡体の平均気泡径はせいぜい50μ、発泡倍
率は高々2.5倍に過ぎない。特開昭54−41969
号公報では、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合
体に該共重合体の溶融成形温度で分解する固体状発泡剤
を適用して発泡体を得ているが、この発泡体の平均気泡
径はせいぜい60μ、発泡倍率は高々2.1倍である。
特開昭57−123233号公報ではエチレン−塩化三
フッ化エチレン共重合体に核剤と有効量の発泡剤を適用
して発泡体を得ているが、この発泡体の平均気泡径はせ
いぜい100μ、発泡倍率は高々2.5倍である。米国
特許明細書第3072583号にはテトラフルオロエチ
レン−パーフルオロ−α−オレフィン共重合体に窒化ホ
ウ素を核剤として添加しフルオロメタンで発泡させた発
泡体が開示されているが、この発泡体の平均気泡径は2
5〜75μ、発泡倍率は高々2倍である。更に米国特許
明細書第3868337号には低粘度のフッ化ビニリデ
ン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体に化学発泡剤及
び加硫剤、その他添加剤を混合して加熱し、架橋反応を
生起せしめつつ発泡させた発泡体が開示されている。こ
の発泡体は発泡倍率約6倍のものが得られているが、そ
の重合体は比較的低温で低粘度を有する非晶性のエラス
トマーを対象とするものであり、基本的に本発明の対象
とする樹脂とは異なるものである。特公平3−4457
5号公報には融点より30℃高い温度における動的ずり
貯蔵弾性率と動的ずり損失弾性率の比(tanδ)が特
定の値にあるフッ素系樹脂と発泡剤とを含有する発泡性
フッ素系樹脂組成物が開示されている。このフッ素系樹
脂組成物から得られる発泡体は発泡倍率が10倍の如き
高倍率のものが得られるものの、通常樹脂のtanδを
特定の値にするため架橋構造を形成せしめている。フッ
素系樹脂における架橋構造の導入に際しては、通常架橋
反応と同時に分解反応も生起し、両者の競争反応となり
樹脂本体の熱不安定性を惹起させたり、分解反応に伴う
酸性ガスの発生を引き起こす等の問題があった。特開平
4−31446号公報にはフッ素系樹脂の発泡体の製法
が開示されているが、この製法では架橋構造の形成を要
件としており上記同様の問題があり、得られる発泡体の
気泡径は0.2〜5mmという粗大なものである。特公
平3−74696号公報、特開昭62−252435号
公報には架橋構造を有するフッ素系樹脂の発泡体が開示
されているが、この樹脂は樹脂中に架橋構造を形成せし
める必要があるため前述同様の難点を抱えている。ま
た、特開昭62−50340号公報には特定のメルトフ
ローレートを有するフッ素系樹脂からなり、無機化合物
の含有量が0.1重量%未満である発泡体が開示されて
いる。この発泡体は発泡倍率約10倍程度のものが得ら
れるものの平均気泡径が少なくとも300μのものであ
り、微細気泡を得ることは困難であった。
【0003】フッ素系樹脂発泡体においては、この発泡
体の発泡倍率、気泡径は使用される発泡剤の物性や発泡
時のフッ素系樹脂の溶融粘弾性に依存する処が大きい。
一方、最近オゾン層の枯渇の問題からクロロフルオロカ
ーボン類の使用が制限され、更にはハイドロクロロフル
オロカーボン類も規制されようとしている。こような状
況下では物理発泡剤としてハイドロフルオロカーボン類
への期待が高まっているが、この発泡剤はフッ素系樹脂
の中でもポリビニリデンフルオライド樹脂やエチレン・
テトラフルオロエチレン共重合樹脂のような部分フッ素
化樹脂に対する親和性が高過ぎるためか気泡が不均一で
該径が肥大化したり、連通化する傾向にあり気泡の微細
化や高独立気泡化が困難な状況にあった。
【0004】一方、微細な気泡構造を有する発泡体につ
いては従来から種々提案されている。米国特許明細書第
4473665号には微細気泡構造の発泡体製造法が開
示されているが、この方法により得られる発泡体は2〜
25μの気泡を有するものの、その発泡倍率はせいぜい
1.05〜1.4倍に過ぎない。また米国特許明細書第
4761256号には微細気泡構造の発泡体製造法が開
示されている。この方法により得られる発泡体は2〜2
5μの気泡を有するものの、その発泡倍率は1.8倍程
度である。米国特許明細書第5160674号には結晶
性樹脂からなる微細気泡構造の発泡体製造法が開示され
ている。この方法で得られる発泡体は、気泡径が100
μ以下、好ましくは5〜25μmである。この方法にお
いて用いられる結晶性樹脂は専らポリエチレン、ポリプ
ロピレンの如き結晶性の汎用樹脂を想定しており、フッ
素系樹脂については何等開示されていない。またこの製
法においては樹脂の結晶融点またはそれ以上の温度下に
樹脂を最適圧力の無機ガス等で飽和させ気泡核形成、気
泡成長を行わしめるが、その最適圧力下ですら気泡径は
5μ、気泡の個数は1cm3 当たり10の10乗個であ
る。これは計算によれば発泡倍率として3倍を越えない
ものと考えられるし、また記載されているインジェクシ
ョン成形で作られるフォームは発泡ガスとしての窒素ガ
スを最適圧力で、樹脂の最適温度下に最適時間で飽和さ
せた後発泡させたものですら高々2倍のものである。
【0005】即ち、従来の技術では架橋構造を有しない
結晶性で熱可塑性フッ素系樹脂で微細な独立気泡構造を
有し、かつ高倍率の発泡体を得ることは困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来、フッ素系樹脂か
らなる発泡体では粗大気泡構造の低倍発泡体が電線被覆
材の分野では知られているが、粗大気泡構造の故に発泡
体層を薄く出来ず、また誘電率も充分低下せしめること
が出来なかった。また微細気泡構造の高倍発泡体は架橋
構造を形成せしめることにより発泡時の樹脂の粘弾性を
適正化することにより得られているが、架橋構造を形成
することは架橋反応と分解反応の競争反応となり、分解
反応の生起が樹脂本体の耐熱性、耐薬品性、耐候性を低
下させる傾向をもたらすと共に、酸性ガスの発生等好ま
しくない問題を惹起するなどフッ素系樹脂本来の特性を
活すに至らなかった。
【0007】このようなフッ素系樹脂本来の特性及び発
泡体としての特性を活すためには、架橋構造を有しない
結晶性、かつ熱可塑性で微細気泡構造を持ち高倍発泡の
フッ素系樹脂の発泡体の開発が渇望されていた。特に、
発泡体の気泡構造を微細化することは発泡体の種々の特
性を向上させる点で極めて重要である。例えば、断熱特
性の面で気泡の微細化は熱伝導の一要素である輻射によ
る熱伝達を低減させる効果が大きく、電気特性の面で気
泡の微細化は絶縁破壊強度を向上させる。更に、気泡が
微細化することにより表面平滑性が向上し、美観と共に
ガスケットなどにおけるシール性が向上する。また発泡
体の形状を考慮すると、例えばテープ状に加工する際に
はその強度及び厚みの自由度を持たせるためにも気泡構
造は微細にする必要があり、その意味からも気泡の微細
化は極めて重要な意味を持つものである。
【0008】本発明者等は架橋構造を有しない結晶性、
熱可塑性フッ素系樹脂の発泡体について鋭意研究を重ね
た結果、従来技術では不可能と思われていた微細気泡構
造を有し、かつ独立気泡率が高く、高発泡倍率の発泡体
を開発し本発明を完成するに至った。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は架橋構造をもた
ず、結晶性、かつ熱可塑性のフッ素系樹脂からなる発泡
体で、発泡倍率が2倍以上30倍以下、平均気泡径が4
0μ以下のフッ素系樹脂発泡体である。本発明に用いら
れるフッ素系樹脂としては、樹脂を構成する少なくとも
1モノマー成分が少なくとも1個のフッ素元素を有する
部分フッ素化樹脂及びパーフルオロ樹脂を含む。このよ
うな樹脂の例として、ポリビニルフルオライド、ポリビ
ニリデンフルオライド、ポリクロロトリフルオロエチレ
ンのような単一モノマーからなる重合体の他、ビニルフ
ルオライド、ビニリデンフルオライド、ジクロロフルオ
ロエチレン、ビニルクロライド、ビニリデンクロライ
ド、パーフルオローα−オレフィン類(例えばヘキサフ
ルオロプロピレン、パーフルオロブテン−1、パーフル
オロペンテン−1、パーフルオロヘキセン−1等)パー
フルオロブタジエン、クロロトリフルオロエチレン、ト
リクロロエチレン、テトラフルオロエチレン、パーフル
オロアルキルパーフルオロビニルエーテル類(例えばパ
ーフルオロメチルパーフルオロビニルエーテル、パーフ
ルオロエチルパーフルオロビニルエーテル、パーフルオ
ロピロピルパーフルオロビニルエーテル等)、炭素数1
〜6個のアルキルビニルエーテル、炭素数6〜8個のア
リールビニルエーテル、炭素数1〜6個のアルキルまた
は炭素数6〜8個のアリールパーフルオロビニルエーテ
ル、エチレン、プロピレン、スチレン等の中から選ばれ
た2種以上のモノマーから得られる共重合フッ素系樹脂
等が挙げられる。
【0010】本発明に用いられるフッ素系樹脂の代表的
一例を述べれば、ポリビニリデンフルオライド、ポリビ
ニルフルオライド、ビニリデンフルオライド−テトラフ
ルオロエチレン共重合体、ビニリデンフルオライド−ヘ
キサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチ
レン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−プ
ロピレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチ
レン共重合体、テトラフルオロエチレン−クロロトリフ
ルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘ
キサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチ
レン−パーフルオロメチルパーフルオロビニルエーテル
共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロエチ
ルパーフルオロビニルエーテル共重合体、テトラフルオ
ロエチレン−パーフルオロプロピルパーフルオロビニル
エーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフ
ルオロプロピレン−パーフルオロメチルパーフルオロビ
ニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキ
サフルオロプロピレン−パーフルオロエチルパーフルオ
ロビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−
ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロプロピルパー
フルオロビニルエーテル共重合体等である。
【0011】発泡適性や経済性、入手の容易さ等を勘案
すれば、好ましくは上述したポリビニリデンフルオライ
ド、ポリクロロトリフルオロエチレン、ビニリデンフル
オライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレ
ン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロ
ロトリフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチ
レン−パーフルオロアルキルパーフルオロビニルエーテ
ル共重合体類、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオ
ロプロピレン共重合体である。更に好ましくは部分フッ
素化樹脂としてポリビニリデンフルオライド、ビニリデ
ンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、
パーフルオロ樹脂としてテトラフルオロエチレン−パー
フルオロアルキルパーフルオロビニルエーテル共重合体
類がある。
【0012】本発明に用いられるフッ素系樹脂を構成す
る単量体成分の構成比は結晶性でかつ熱可塑性の性質を
示す範囲内で適宜選択される。テトラフルオロエチレン
を1構成成分とする他成分との共重合体においては、テ
トラフルオロエチレン含量の低減により結晶化度は低下
する傾向にあり非晶質体にすることも可能であるがそれ
に伴い他成分の種類によってはコストも増大する場合が
ある。また、非晶質体に近づくと耐熱性、耐薬品性が低
下する傾向にある。従って経済的理由及び物理的性質を
勘案すれば結晶性樹脂を使用することが好ましい。
【0013】本発明のフッ素系樹脂は架橋構造を有しな
い熱可塑性樹脂であり、このような架橋構造をもたず、
かつ、熱可塑性のフッ素系樹脂から微細気泡構造を有し
つつ、高倍発泡の発泡体が得られることは驚くべきこと
である。なぜなら、通常用いられるフッ素系樹脂は結晶
性であり、発泡温度近傍では樹脂の溶融粘弾性が急激に
低下するため発泡ガスの膨張圧力に樹脂が耐えることが
出来ず、ガスの逸散が速く発泡自体が極めて困難と考え
られていた。また発泡しても気泡の合一や破泡が生じ易
く、粗大気泡や連続気泡構造になり易かった。このよう
なフッ素系樹脂の発泡不適性を改良するため、前述した
ように、通常、部分フッ素化樹脂に架橋構造を導入して
樹脂の溶融粘弾性を制御することにより発泡適性を持た
せており、架橋構造の導入し得ないパーフルオロ樹脂で
は微細気泡構造で高倍発泡のものは実質的に得られなか
った。即ち、部分フッ素化樹脂といえどもフッ素系樹脂
としての耐熱性、耐薬品性等の特性を一部犠牲にせざる
を得ないのが現状であった。架橋構造を導入した部分フ
ッ素化樹脂の場合、架橋構造を導入するための架橋反応
工程を必要とし、そのためその工程により酸性ガスが副
生するという難点があるし、また再度溶融加工すること
は困難な傾向にあるが、本発明の発泡体は架橋構造を有
しない熱可塑性樹脂から構成されるため、架橋反応工程
が不要となり発泡体製造プロセスが簡略化されると共
に、再度溶融加工ができ、一般的に高価なフッ素系樹脂
をリサイクル出来るという点で発泡体のコスト低減とい
う面だけでなし、廃棄物の減量や資源のリサイクルとい
う観点からも極めて優れている。
【0014】本発明の発泡体は発泡倍率が2倍以上30
倍以下、平均気泡径が40μ以下のものである。発泡倍
率は比重の高いフッ素系樹脂を用いた発泡体としての軽
量性や電気絶縁性としての誘電率の低減、断熱特性更に
は圧縮回復率等を勘案すればその下限は2倍以上好まし
くは4倍以上である。発泡倍率が高くなると強度、独立
気泡率が低下する傾向にあり、両者を勘案しながら適宜
選択される。通常高くて30倍、好ましくは25倍以下
である。本発明の発泡体は表層または内部層に未発泡層
を有していてもよい。特に表層に存在する時は表面平滑
性の面からその方が好ましい場合がある。未発泡層は均
一な厚みを有す必要はなく、厚さは特に限定されない。
本発明でいう発泡倍率とは発泡層と未発泡層の両者を総
合して算出されるものである。
【0015】独立気泡率は発泡体としての圧縮特性に大
きく影響するため重要である。独立気泡率が低下すると
圧縮回復率が低下し、特にソフトガスケットの用途にお
いては締め付け圧力の増大をもたらし好ましくない。ま
た気泡率の低下は気泡が破泡することによることが多
く、破泡は表層においても生じ、そのため表層が粗面状
態を呈し表面平滑性が損なわれることが多い。要は用途
を勘案して適宜選択されるものであるが、通常独立気泡
率は60%以上であり好ましくは70%以上である。
【0016】本発明の発泡体は平均気泡径が40μ以下
の均一気泡構造を有する。40μを越えると例えば電気
絶縁特性としての絶縁破壊強さが低下する傾向にあり好
ましくないし、表面熱伝達抵抗が小さくなって断熱性が
劣化したり、表面平滑性が低下する。更にテープ状とし
ての用途を勘案すると平均気泡径によりテープ厚みが制
約されることになる。何故ならテープ厚み断面方向に気
泡が何個並ぶかによりその機械的強度、例えば引張強伸
度、引裂強度が影響を受けることになる。即ち平均気泡
径が大きいとテープ厚みの自由度が失われ好ましくな
い。また粘着テープとしての用途を考えると、表面平滑
性の低下はテープ表面への粘着剤の均一塗布を阻害し美
観も損なわれる。従って好ましくは平均気泡径は30μ
以下である。平均気泡径の下限は製造上の限界からのみ
制限されるものであり通常1μ以上である。
【0017】シート状またはフィルム状発泡体の厚みを
用途に応じて特定の厚みに制御するため、シートまたは
フィルム状発泡体を1軸または2軸方向に延伸する場合
がある。この際、気泡形状は延伸倍率に応じて異方性を
示すことになる。即ち、表面に平行な切削面の気泡形
状、表面に直角でかつ延伸方向に直角な方向に切断した
面の気泡形状と平行な方向に切断した面の気泡形状が異
なる。これらは各断面方向の気泡形状における平均的な
長軸、短軸長さを測定しそれを基に気泡の平均的な体積
を計算し、体積と同一な真球状の直径が平均気泡径とみ
なされる。
【0018】本発明の発泡体は使用されるフッ素系樹脂
に応じて物理発泡剤または化学発泡剤を用いて製造され
る。特にフッ素系樹脂の中でパーフルオロ樹脂を使用し
て物理発泡剤により均一微細な気泡構造で、かつ高倍率
の発泡体が得られることは全く予想外のことであった。
何故ならパーフルオロ樹脂は極めて耐溶剤性に優れてお
り、従って物理発泡剤を樹脂中に溶解または分散するこ
とは困難と考えられ、発泡剤として機能させる量を保持
せしめることが難しいと考えられていた。更にパーフル
オロ樹脂は通常融点が250℃以上と高いため、樹脂が
軟化し発泡に適性な溶融粘弾性を示す間に発泡剤の逸散
が生じたり、また一般的に言えることであるがフッ素系
樹脂のような結晶性樹脂においては溶融粘弾性の温度依
存性が激しく、発泡適性を有する溶融粘弾性に温度制御
することは難しく、架橋構造をもたず、均一微細な気泡
で高倍率の発泡体は事実上困難と考えられていた。
【0019】本発明者等は物理発泡剤として種々検討し
た結果、炭素数8個以下でフッ素樹脂の結晶融解温度以
下の沸点を有する部分フッ素化炭化水素及び/または完
全フッ素化炭化水素を主体とし、必要により不活性無機
ガス及び/または沸点150℃以下で蒸発潜熱7.0k
cal/mole以上を有する化合物を添加した発泡剤
を使用することにより架橋構造をもたず、均一微細な気
泡構造で、かつ高倍率の発泡体が得られることを発見し
た。
【0020】部分フッ素化炭化水素及び完全フッ素化炭
化水素の一例を挙げればヘキサフルオロエタン、ペンタ
フルオロエタン、テトラフルオロエタン、トリフルオロ
エタン、ジフルオロエタン、フルオロエタン、テトラフ
ルオロメタン、トリフルオロメタン、ジフルオロメタ
ン、フルオロメタン、パーフルオロシクロブタン、ヘキ
サフルオロブタン、パーフルオロプロパン、パーフルオ
ロブタン、パーフルオロペンタン、パーフルオロヘキサ
ン、パーフルオロヘプタン等であり、それらは単独また
は2種以上組み合わせて使用することが出来る。またこ
れら主成分とする他の揮発性有機化合物、例えばプロパ
ン、ブタン、ペンタンや塩化メチル、塩化メチレン、塩
化エチル、塩化エチレンなどとの混合物として用いても
よい。また上記の部分フッ素化炭化水素、完全フッ素化
炭化水素にフッ素系アルコールを添加して使用しても良
い。フッ素系アルコールの一例を挙げれば、トリフルオ
ロエタノール、テトラフルオロプロパノール、ペンタフ
ルオロプロパノール等である。使用される各発泡剤混合
割合は安全性、経済性、入手のし易さ、フッ素系樹脂の
発泡性等を勘案して適宜選択して使用される。
【0021】上記の物理発泡剤は必要によりフッ素系樹
脂に対して不活性な無機ガス及び/または沸点150℃
以下で蒸発潜熱7.0kcal/mole以上を有する
化合物を添加して使用され、その方が気泡径の微細化、
高独立気泡率化に好ましい場合が多い。不活性無機ガス
としての一例を挙げれば、空気、窒素、酸素、アルゴ
ン、ヘリウム、炭酸ガスなどであり、沸点150℃以下
で蒸発潜熱7.0kcal/mole以上を有する化合
物としては水、メタノール、エタノール、n−プロパノ
ール、i−プロパノール、n−ブタノール、トルエン、
O−キシレン、P−キシレン等である。これらの化合物
の沸点が150℃を越えたり、蒸発潜熱が7.0kca
l/mole未満であるとフッ素系樹脂の発泡時に蒸発
潜熱が有効に寄与しないためか独立気泡率が低下する傾
向にあり好ましくない。これらの添加物が気泡径の微細
化や高独立気泡率化に有効な理由は明確ではないが、発
泡に際して一種の気泡核として機能したり大きな蒸発潜
熱により発泡時の気泡膜の冷却・固定化に有効に作用し
気泡の融合や連通化を阻止しているのではないかと考え
られる。またこれらの添加物が樹脂との相互作用のため
か発泡時における発泡温度近傍での溶融粘弾性の急激な
低下をある程度緩和して、樹脂に良好な発泡適性を賦与
しているのではないかと考えられる。特に後者の添加物
が有効に機能するという事実は驚くべき発見である。何
故なら通常フッ素系樹脂はその特性として溌水、溌油性
を有することが一大特徴と考えられており、上記化合物
をフッ素系樹脂に適用することは通常考えられないこと
であった。本発明者らは物理発泡剤に上記化合物を添加
することにより、気泡径の微細化や高独立気泡率化に有
効であることを発見した。
【0022】上述の無機ガス及び/または沸点150℃
以下で蒸発潜熱7.0kcal/mole以上を有する
化合物は物理発泡剤をフッ素系樹脂に含浸する前或いは
含浸した後または含浸と同時に該樹脂中に導入される。
製造工程簡略化の面からは含浸と同時に行うことが好ま
しい。化学発泡剤としてはその分解温度が使用されるフ
ッ素系樹脂の融点よりも高いものであればよく、例えば
ヒドラゾジカルボン酸ジエステル、5−フェニルテトラ
ゾール、5−フェニルテトラゾール塩、トリヒドラジノ
トリアジン、塩基性炭酸塩、炭酸塩などが使用される。
【0023】上記発泡剤の中で、揮発性の物理発泡剤が
フッ素系樹脂への均一分散が容易で、気泡径も小さくな
る傾向にあり発泡後の分解残基が残らないため発泡体に
不純物を含有しないという点で好ましい。本発明の発泡
体は上述の発泡剤を使用して種々の方法により製造され
る。物理発泡剤を使用する場合の方法を例示すれば、耐
圧容器内にシート状、フィルム状、繊維状等に成形され
た樹脂や射出、ブローまたは圧縮成形による樹脂成形品
を入れ、気体状または液体状の発泡剤を注入し、密閉加
圧下で加熱して樹脂に発泡剤を含浸せしめた後、加熱発
泡する含浸発泡方法、押出成形機の出口側に設けられた
注入装置から溶融した樹脂に発泡剤を圧入して冷却しな
がら押出成形する押出発泡方法等が適宜用いられる。発
泡気泡径の大きさや発泡シート、発泡フィルムの表面平
滑性を考慮すると含浸発泡方法が好ましい。
【0024】前述の無機ガス及び/または沸点150℃
以下で蒸発潜熱7.0kcal/mole以上を有する
化合物等を併用する場合には、含浸発泡方法に好適であ
る。無機ガス及び/または沸点150℃以下で蒸発潜熱
7.0kcal/mole以上を有する化合物の種類や
樹脂に導入する量は、樹脂及び物理発泡剤の種類、樹脂
の物理発泡剤及び添加物の保持性、発泡時の気泡の大き
さや発泡倍率を勘案して適宜選択される。元来、後者の
化合物はフッ素系樹脂及び本発明で使用される物理発泡
剤に対する親和性が低く、樹脂に含浸される量は多くな
いがそれでも本発明の発泡体を得るに適当な量として、
通常物理発泡剤の量に対して少なくとも0.001重量
%、好ましくは0.005重量%、更に好ましくは0.
01重量%使用される。その上限は物理発泡剤を樹脂に
含浸する際の発泡剤中への飽和溶解度や得られる発泡体
の発泡倍率、気泡の微細化、独立気泡率の状態をみなが
ら適宜決定される。
【0025】含浸発泡方法で樹脂に含浸する物理発泡剤
の量や押出発泡方法で溶融樹脂に注入する物理発泡剤の
量は樹脂の発泡倍率、気泡径、独立気泡率などを考慮し
適宜選択される。含浸発泡方法で物理発泡剤を樹脂に含
浸する温度は発泡剤の物理諸特性及び発泡に必要な適正
量を考慮して決められる。物理発泡剤の含浸量は温度、
時間、該発泡剤と樹脂の親和性により決まるものであ
り、少なくとも樹脂100重量部に対して1重量部を必
要とする。また樹脂の形状保持の観点から含浸温度は樹
脂の融点以下に設定され、通常20〜300℃、好まし
くは25〜250℃、更に好ましくは30〜200℃が
適用される。
【0026】含浸発泡方法において、物理発泡剤が含浸
された樹脂の加熱温度及び時間は発泡剤の種類、発泡体
の所望の倍率、発泡体の所望する独立気泡率、気泡径な
どを勘案して適宜選択されるが、通常、樹脂の融点より
高い温度が適用され、好ましくは融点より10℃高い温
度であり、時間は1秒から120秒である。化学発泡剤
を使用する場合の方法の一例を示せば、化学発泡剤とフ
ッ素系樹脂とを樹脂の溶融温度以上発泡剤の分解温度以
下で溶融混練し、混練物をシート状、フィルム状、繊維
状等に成形した後発泡剤の分解温度以上に加熱する方法
が好ましい。
【0027】上述で例示した発泡方法により発泡体の発
泡倍率が所定の値に達しない場合は、発泡体に再度物理
発泡剤を含浸して加熱発泡することができる。この際使
用される物理発泡剤は上述した物理発泡剤や無機ガスで
あり、これらは単独または混合して使用される。発泡剤
の種類、発泡剤の含浸量は再発泡させた発泡体の発泡倍
率、気泡径、独立気泡率を勘案して決定される。再発泡
時の加熱温度、加熱時間は通常上述した含浸発泡の条件
から選択して適用される。
【0028】以下に実施例を示すが本発明はこれら実施
例に限定されるものではない。
【0029】
【実施例】各測定値は次のようにして求めた。 (1)フッ素樹脂の融点 ASTM D 3159−73に記載の方法で測定し
た。 (2)発泡倍率 サンプルの重量と水浸法で求めた体積とから計算した発
泡体の密度と樹脂の密度から次式により算出した。
【0030】発泡倍率={樹脂密度(g/cm3 )}/
{発泡体密度(g/cm3 )} (3)独立気泡率 ASTM D 2856に記載のエアピクノメーター法
による連続気泡率の差分として計算した。 (4)平均気泡径 サンプルの厚み断面を25倍に拡大し、ランダムに選ん
だ20個以上の気泡の長径及び短径を測定し、これらの
平均値で示した。 (5)表面熱伝達抵抗 発泡体シートを200mm×200mmの大きさに切断
し、その裏面と表面に熱電対を貼り付け、ASTM C
236に準じた方法により、サンプルを通じて流れる熱
量Qa(Kcal/h)、高温側の空気温度(θH)及
び高温側のサンプル表面温度(θHS)を測定し、次式
により求めた。
【0031】表面熱伝達抵抗(m2 ・h・℃/kca
l)=(θH−θHS)×0.04/Qa (6)誘電率測定 横河ヒューレッドパッカー社製YHP−4192Aを使
用して、周波数1メガヘルツにて測定した。 (7)絶縁破壊強度比 ASTM D149に記載の方法に準じ、1Kv/se
cで昇圧して絶縁破壊強さを測定し、次式により基材樹
脂との比を求めた。
【0032】絶縁破壊強度比(%)=発泡体の絶縁破壊
強さ(Kv/mm)/基材樹脂の絶縁破壊強さ(Kv/
mm) (8)表面平滑性 発泡体シートをレザーで切断し、切断面を50倍に拡大
し、ランダムに選んだシート表面の断面を観察し、表面
に接する直線と発泡体表面との最大距離とを測定し、以
下の基準で評価した。
【0033】○: 10μ以下 △: 10μより大きく50μ以下 ×: 50μより大きい (9)圧縮回復率 JIS K6301に記載の圧縮試験法で50%圧縮歪
みを与え、荷重を除いた10分後の厚さを測定し、次式
により求めた。
【0034】圧縮回復率=試験片の試験後の厚さ(m
m)/試験片の元の厚さ(mm) (10)再溶融性 発泡体シートを切り刻み、発泡前のシート作製時と同じ
温度により再度プレス製膜する。その時の着色及び均一
溶融性により判断した。 ○: 無色、均一溶融 △: 着色、不均一溶融
【0035】
【実施例1】フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピ
レン共重合樹脂〔密度1.76g/cm3 、融点150
℃〕を使用してホットプレスにて厚み0.25mmのシ
ートを作成した。このシート1.5gを耐圧容器に入れ
た後、水2000ppmを含有するテトラフルオロエタ
ンをこの容器に圧入しシートがテトラフルオロエタンの
液相に浸漬出来るようにした。容器を70℃の恒温水槽
に入れ、24時間保持した後、シートを耐圧容器より取
り出し重量を測定したところ1.63gであった。シー
ト中の水分は450ppmであった。テトラフルオロエ
タン含浸シートを、遠赤外ヒーターを備えた温度190
℃の加熱炉中に15秒保持した。シートは発泡してお
り、その密度は0.21g/cm3 、発泡倍率は8.4
倍であった。独立気泡率は95%であり、その断面を顕
微鏡にて観察し平均気泡径を測定したところ15μであ
った。発泡シートの誘電率を測定したところ1.3であ
り、発泡前のシートの誘電率7.7に比較して著しく低
下していた。得られた発泡シートの特性を表1に示す。
発泡シートを細かく切断し、240℃で再度プレスによ
る溶融製膜を試みたところ無色、半透明の均一な溶融シ
ートが得られた。
【0036】
【実施例2】実施例1で使用した厚み0.25mmのシ
ートを耐圧容器に入れテトラフルオロエタンに浸漬し7
0℃で24時間保持した。耐圧容器からテトラフルオロ
エタンのみを取り出した後窒素ガスで10kg/cm3
に加圧して室温で24時間保持した。その後シートを耐
圧容器から取り出し実施例1と同じ設備、条件にて加熱
した。シートは発泡しており、その密度は0.24g/
cm3 であり発泡倍率は7.3倍であった。また独立気
泡率は90%であり、平均気泡径は20μであった。得
られた発泡シートの特性を表1に示す。
【0037】
【比較例1】実施例1でシートをテトラフルオロエタン
に70℃、24時間浸漬後、耐圧容器から取り出し直ち
に実施例1と同じ設備、条件にて加熱した。耐圧容器か
ら取り出し直後のシート中の水分は0.5ppmであっ
た。シートは発泡しており発泡倍率は7.5倍であっ
た。独立気泡率は75%であり、平均気泡径は100μ
であった。得られた発泡シートの特性を表1に示す。
【0038】
【比較例2】実施例1においてシートをテトラフルオロ
エタンに25℃、24時間浸漬した後シートを取り出し
重量を測定したところ1.51gであり、シート中の水
分は0.1ppmであった。シートを実施例1と同じ設
備、条件にて加熱し、発泡させた。
【0039】発泡シートの倍率は1.6倍であり、独立
気泡率は60%、平均気泡径は60μであった。発泡シ
ートの誘電率は4.7であり、発泡前のシートに比較し
て誘電率の低下は認められるものの、誘電率2台を示す
一般的なフッ素系樹脂に比較して大きな値であった。得
られた発泡シートの特性を表1に示す。
【0040】
【比較例3】実施例1で使用した厚み0.25mm、重
量1.5gのシートを使用して、500kVの電子線を
照射し架橋処理した。シートから酸性ガスの発生が認め
られたため、シートを水洗し酸性成分の定量を試みたと
ころシート1g当たり0.5mgのフッ化水素を検出し
た。このシートをジクロロジフルオロメタンに耐圧容器
内にて浸漬し、75℃、50時間保持した後耐圧容器か
ら取り出した。シートの重量は1.55gであった。こ
のシートを実施例1と同じ設備、条件にて加熱し発泡さ
せた。発泡シートの倍率は8.1倍であり独立気泡率は
93%、平均気泡径は23μであった。得られた発泡シ
ートの特性を表1に示す。該発泡シートを細かく切断
し、240℃で再度プレスによる溶融製膜を試みたが樹
脂が褐変し均一な溶融シートが得られなかった。
【0041】
【実施例3】実施例1で厚み1.1mm、重量1.5g
のシートを使用して同じ条件にて発泡を試みた。得られ
た発泡シートの倍率は8.1倍、独立気泡率は92%、
平均気泡径は15μであった。得られた発泡シートの特
性を表1に示す。発泡シートを細かく切断し、240℃
で再度プレスによる溶融製膜を試みたところ無色、半透
明の均一な溶融シートが得られた。
【0042】
【実施例4】実施例3で得られた発泡シートを耐圧容器
に入れ、窒素ガスを圧力18kg/cm3 で圧入し室温
で24時間保持した。この発泡シートを耐圧容器から取
り出し実施例1と同じ設備、条件にて加熱した。発泡シ
ートは再発泡しており、発泡倍率は23倍になってい
た。独立気泡率は83%、セル径は25μであった。得
られた発泡シートの特性を表1に示す。
【0043】
【比較例4】実施例4で窒素ガスの圧力を25kg/c
3 にして同様に発泡を試みた。発泡シートは再発泡し
ており、発泡倍率は33倍、独立気泡率は55%、平均
気泡径は32μであった。得られた発泡シートの特性を
表1に示す。
【0044】
【実施例5】実施例3でメタノールを1000ppm含
有するテトラフルオロエタンを使用して耐圧容器中でシ
ートを70℃、24時間浸漬した。浸漬後のシートの重
量は1.65gであった。シート中のメタノールは50
0ppmであった。このシートを加熱炉中で190℃、
15秒保持して発泡させた。発泡シートは発泡倍率7.
9倍で独立気泡率94%、平均気泡径20μであった。
得られた発泡シートの特性を表1に示す。
【0045】
【実施例6】テトラフルオロエチレンとパーフルオロア
ルキルパーフルオロビニルエーテルの共重合体〔ダイキ
ン製、ネオフロンPFA、密度2.15g/cm3 、融
点308℃〕を使用して、ホットプレスにて厚み1mm
のシートを作成した。このシート1.5gを耐圧容器に
入れた後、テトラフルオロエタンを圧入して浸漬し95
℃、24時間保持した。容器からシートを取り出し、重
量を測定したところ1.55gであり、シート中の水分
は60ppmであった。シートを遠赤外ヒーターを備え
た加熱炉中で400℃、35秒加熱したところ、発泡倍
率5.1倍の発泡シートが得られた。独立気泡率は85
%であり、平均気泡径は20μであった。発泡シートの
誘電率は1.17であり発泡前シートの誘電率2.1に
比較して著しく低下していた。得られた発泡シートの特
性を表1に示す。発泡シートを細かく切断し、370℃
で再度プレスによる溶融製膜を試みたところ無色、半透
明の均一な溶融シートが得られた。
【0046】
【実施例7】実施例6のシートを使用し、耐圧容器中に
て水を飽和溶解させたパーフルオロヘキサンに浸漬し7
0℃、24時間保持した。その後シートを真空乾燥し再
度パーフルオロヘキサンとペンタフルオロプロパノール
の混合物(重量比7:3)に70℃、24時間含浸し
た。含浸後のシート重量は1.58gであった。実施例
6と同じ設備、条件にて加熱したところ発泡倍率5.6
倍の発泡シートが得られた。独立気泡率91%、平均気
泡径35μであった。得られた発泡シートの特性を表1
に示す。
【0047】
【比較例5】実施例6のシートを使用し、耐圧容器中に
シートと1,2−ジクロロ−1,1,2,2,−テトラ
フルオロエタンを入れ75℃、4日間加熱保持した。そ
の後耐圧容器よりシートを取り出し実施例6と同じ条件
にて加熱した。シートは発泡しており、発泡倍率は4.
1倍であり独立気泡率は52%、平均気泡径は0.3m
mであった。得られた発泡シートの特性を表1に示す。
【0048】
【実施例8】実施例6で得られた発泡シートを用いて、
シートを耐圧容器に入れ、テトラフルオロエタンを圧入
し50℃で24時間保持した。発泡シートを耐圧容器か
ら取り出し実施例6と同じ設備、条件にて加熱した。発
泡シートは再発泡しており発泡倍率10倍、平均気泡径
30μ、独立気泡率80%であった。得られた発泡シー
トの特性を表1に示す。
【0049】
【比較例6】実施例8でテトラフルオロエタンを圧入し
た耐圧容器を95℃で24時間保持した後、同様に加熱
して再発泡させたところ発泡倍率35倍、平均気泡径4
0μ、独立気泡率53%の発泡シートが得られた。得ら
れた発泡シートの特性を表1に示す。
【0050】実施例1〜8、比較例1〜6で得られた発
泡シートの物性と特性を表1、2に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【発明の効果】本発明の発泡体は架橋構造を有しない結
晶性でかつ熱可塑性のフッ素系樹脂からなり、かつ、高
発泡倍率、高独立気泡率、微細気泡構造を有するため軽
量性、クッション性、耐熱性、耐候性、断熱性、耐薬品
性に極めて優れ、機械特性を利用してのソフトガスケッ
ト、電気特性を利用しての電気絶縁テープ、電線被覆材
耐候性、断熱性を利用してのテント生地、膜構造建築の
屋根材など各種用途に有効に利用される。更に、熱安定
性に優れた非架橋構造の熱可塑性樹脂を基体としている
ため樹脂のリサイクルが可能であるという環境への負荷
が少ない発泡体である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 架橋構造をもたず、結晶性、かつ熱可塑
    性のフッ素系樹脂からなる発泡体で、発泡倍率が2倍以
    上30倍以下、平均気泡径が40μ以下のフッ素系樹脂
    発泡体。
  2. 【請求項2】 独立気泡率が60%以上である請求項1
    記載の非架橋フッ素系樹脂発泡体。
  3. 【請求項3】 発泡倍率が4倍以上、独立気泡率が70
    %以上である請求項2記載の非架橋フッ素系樹脂発泡
    体。
  4. 【請求項4】 平均気泡径が30μ以下1μ以上である
    請求項1記載の非架橋フッ素系樹脂発泡体。
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