JPH0725922U - 排ガスの集塵装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】排気ガスを、一旦水槽中に気泡状に噴出させて
水中を通過させた後、フィルターを通過させることによ
り、集塵効率の向上とフィルターの熱損傷を防ぎ、集塵
装置の耐久性を向上させる。 【構成】底部に水槽部を形成した有底の集塵室と、該集
塵室内の水槽部に排ガスを導き、これを水中に拡散させ
るための多数の小孔を有する排ガス導入管と、水槽部の
上方であって集塵室の全面もしくはその一部を覆うべく
設置された１段または２段以上のフィルターとからな
る。 これにより排気ガス中に含まれるカーボン等の粉
塵や金属酸化物等の不純物を完全に除去でき、公害防止
に寄与できるとともに、高温の排気ガスによるフィルタ
ーの損傷をなくして排気ガス集塵装置の耐久性を著しく
向上させるとともに、残留金属の急激な酸化による火災
発生を防止することができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、たとえば金属溶解炉内に付着した不純物を取り除く際に、ブロアー により吸引された排ガス等を清浄化するために用いられる集塵装置に関し、集塵 効率を高めるとともに、とくに高温排ガスによるフィルターの熱劣化をなくして 耐久性を向上させ、あわせて残存金属が急激に酸化して火災を発生させる危険を なくすことを目的とする。

【０００２】

【従来の技術】

たとえば実験室等において使用されるところの、鉄やアルミ等の金属を真空中 において溶解させるための溶解炉内に付着したカーボン等の粉塵、あるいは常圧 にてセラミックの溶解あるいは合成に用いられるセラミック溶解炉内に付着した 金属酸化物等の不純物を取り除く場合、炉内にブロアーのノズル先端を差し込ん でこれらを吸引し、これをバグフィルターあるいはフィルターを用いた濾過式の 集塵機を通過させ、または重力沈降を利用したサイクロン方式の集塵機にて除塵 後、高温の排気ガスのみを大気中に放出させるようにして処理することがおこな われている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上記した従来の方法のうち、バグフィルターあるいはフィルタ ーを用いた濾過式の集塵機を通過させる方式による場合においては、微細粒子の 粉塵は除去可能である反面、排ガスの温度が摂氏３００度をこえるためにフィル ターが熱劣化を起こしやすく、装置の耐久性の面において著しく劣るために実用 的ではなかった。

【０００４】 また集塵機を停止した際に残存する金属アルミ等がフィルター上において急激 に酸化して火災を引き起こす危険もあった。 しかも重力沈降を利用したサイク ロン方式の集塵機を用いる場合においても、カーボン等の粉塵や金属酸化物等の 不純物の粒径が１００ミクロン以下で、しかも比重が小さいところから除去が困 難であり、結局排気ガスとともに、そのほとんどが大気中に放出されるので公害 の問題も発生する等十分なものではない。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

そこで本考案にあっては、上記した従来技術における種々の課題を解決し、排 気ガス中に含まれるカーボン等の粉塵や金属酸化物等の不純物を完全に除去する ことができるとともに、高温の排ガスによるフィルターの損傷をなくして耐久性 を向上させるようにしたものであって、具体的には底部に水槽部を形成した有底 の集塵室と、該集塵室内の水槽部に排ガスを導きこれを水中に拡散させるための 多数の小孔を有する排ガス導入管と、水槽部の上方であって集塵室の全面もしく はその一部を覆うべく設置された１段または２段以上のフィルターとからなる排 ガスの集塵装置に関する。

【０００６】

【作用】

金属の溶解や合成に用いられる炉内にブロアーのノズル先端を差し込んで粉塵 や不純物を吸引し、これを排ガス導入管により水槽部内に導き、該導入管の多数 の小孔より水中に多数の気泡として放出する。 水中に放出された排気ガス中に 含まれているカーボン・金属等の粉塵や金属酸化物等の微細な不純物は、その大 部分が水中において水に吸着されると同時に排気ガス自体の温度が低下し、順次 水中から水面上に浮上して、その上方部に設置されているフィルターを通過し、 このフィルターによって残留粉塵や不純物を完全に除去する。

【０００７】 なおこの場合において、フィルターの構成が一段ではなく複数段に形成されて いる場合においては、これらのフィルターを順次通過することにより、排気ガス 中の残留粉塵や不純物をより完全に除去することができる。 また残留金属粉も 水中を通過して湿潤化することにより酸化の進行が緩やかとなり、集塵装置を停 止してもフィルター上においてにわかに発火することがなくなる。

【０００８】

【実施例】

以下において本考案の具体的な内容を図１の実施例をもとに説明すると、１は 有底の集塵室、２は集塵室１の底部に形成された水槽部、６は該水槽部２に導か れる排ガス導入管、１３は第１段フィルター、１７は第２段フィルター、２２は 天井フィルターをあらわす。 有底の集塵室１は全体を方形の箱状に形成され、 その底部より一定の高さまで水を収容できるように水槽部２が形成されており、 しかも集塵室１の水槽部２には、水を補給するための、途中に開閉バルブ４を介 在させた給水パイプ３が臨ませてあるとともに、水位計５が集塵室１における水 槽部２の内壁面に取り付けられている。

【０００９】 排ガス導入管６は、金属の溶解や合成に用いられる炉内にブロアーのノズル先 端を差し込んで粉塵や不純物を吸引し、これを上記集塵室１内の水槽部２に導く とともに、排ガスを多数の細かい気泡状にして水槽部２内に噴出させるために、 その先端の端末部を閉塞するとともに、水槽部２内に位置する部分の左右の側面 に一定間隔毎に開設された多数の噴出孔８が設けられている。 なお図中におい て７は吸気バルブをあらわす。

【００１０】 さらに第１段フィルター１３は、水槽部の上方であって集塵室の全面を覆うべ く設置されており、しかも端部には集塵室１の側面方向に必要に応じて引き出し が可能であるように、引き出し用の把手１４が取り付けられている。 また第２ 段フィルター１７は、上記した第１段フィルター１３の上方部に一定の間隔を介 在させて、同じく集塵室１の全面を覆うべく設置されており、しかも端部には集 塵室１の側面方向に必要に応じて引き出しが可能であるように、引き出し用の把 手１８が取り付けられている。 さらに天井フィルター２２は上記した第２段フ ィルター１７の上方部に一定の間隔を介在させるとともに、天井を覆う天井板２ １の開口部にはめ込まれている。

【００１１】 なお上記した各フィルターについては、必ずしも複数段の構成とする必要はな く、フィルターの集塵能力如何によっては一段限りの構成とし、また複数段の構 成とする場合においても、各フィルターがすべて集塵室の全面を覆うように設置 される必要がなく、その一部であってもよい。 なお図中において９は排水バル ブ１０を備えた排水管、１１は水槽部２の上面と第１段フィルター１３との間の 空間部に位置させて設けられたところの、開閉バルブ１２を備えた排気管、１５ は第１段フィルター１３と第２段フィルター１７との中間に位置させて設けられ たところの、開閉バルブ１６を備えた排気管、１９は第２段フィルター１７と天 井フィルター２２との中間に位置させて設けられたところの、開閉バルブ２０を 備えた排気管をそれぞれあらわす。

【００１２】 上記した構成において、金属の溶解や合成に用いられる炉内にブロアーのノズ ル先端を差し込んでカーボン等の粉塵や金属酸化物等の不純物を吸引し、これを 排ガス導入管６により水槽部２内に導き、該導入管３の多数の噴出孔８より水中 に多数の気泡として放出する。 水中に放出された排気ガス中に含まれているカ ーボン等の粉塵や金属酸化物等の微細な不純物は、その大部分が水中において水 に吸着されると同時に排気ガス自体の温度が低下し、順次水中から水面上に浮上 する。

【００１３】 排ガス中の粉塵や金属酸化物等の含有量が比較的少なく、水槽部２においてそ れらの殆どが除去されている場合においては、バルブ１２を開いて排気管１１よ り外方に排気する。 また水槽部２での粉塵や金属酸化物の除去が不完全である 場合においては、バルブ１２を閉じた状態においてさらに第１段フィルター１３ を通過させ、バルブ１６を開いて排気管１５より外方に排気する。

【００１４】 さらに必要に応じてバルブ１２．１６を閉じるとともに、第２段フィルター１ ７を通過させ、バルブ２０を開いて排気管１９、および天井フィルター２２を通 過させることによって粉塵や金属酸化物を完全に除去した状態にて外方に排気す ることもできる。 水槽部２内の水はバルブ１０を開いて排水管９より適宜外方 に排出するとともに、バルブ１０を閉じるとともに、給水パイプ３のバルブ４を 開いて水位計５により水槽部２内が満水になるまで給水パイプ３より水を供給す る。 また第１段フィルター１３および第２段フィルター１７についても、その 汚れの程度に応じて把手１４．１８により １の側面方向に引き出して別のフィ ルターに交換し、また天井フィルター２２についても同様にその汚染の程度に応 じて同じく交換するものとする。

【００１５】

【考案の効果】

本考案は上記した通り、底部に水槽部を形成した有底の集塵室と、該集塵室内 の水槽部に排ガスを導きこれを水中に拡散させるための多数の小孔を有する排ガ ス導入管と、水槽部の上方であって集塵室の全面もしくはその一部を覆うべく設 置された１段または２段以上のフィルターとから構成されているものであるため に、排気ガス中に含まれるカーボン等の粉塵や金属酸化物等の不純物を完全に除 去することができ、公害防止に寄与するところが大きいばかりでなく、高温の排 気ガスによるフィルターの損傷をなくして排ガス集塵装置の耐久性を著しく向上 させることができる。

【００１６】 またとくに排ガス中に含まれる残留金属粉も水中を通過して湿潤化することに より酸化の進行が緩やかとなるために、集塵装置を停止してもフィルター上に残 留した金属粉が発火して火災を発生させる危険を完全に防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例である排ガス集塵装置の概略
の構成をあらわした要部斜視図。

【符号の説明】

１ 集塵室 ２ 水槽部 ３ 給水パイプ ４ 開閉バルブ ５ 水位計 ６ 排ガス導入管 ７ 吸気バルブ ８ 噴出孔 ９ 排水管 １０ 排水バルブ １１ 排気管 １２ 開閉バルブ １３ 第１段フィルター １４ 把手 １５ 排気管 １６ 開閉バルブ １７ 第２段フィルター １８ 把手 １９ 排気管 ２０ 開閉バルブ ２１ 天井板 ２２ 天井フィルター

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】底部に水槽部を形成した有底の集塵室と、
   該集塵室内の水槽部に排ガスを導きこれを水中に拡散さ
   せるための多数の小孔を有する排ガス導入管と、水槽部
   の上方であって集塵室の全面もしくはその一部を覆うべ
   く設置された１段または２段以上のフィルターとからな
   る排ガスの集塵装置。