JPH07256067A - 選択透過膜 - Google Patents

選択透過膜

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JPH07256067A
JPH07256067A JP7975594A JP7975594A JPH07256067A JP H07256067 A JPH07256067 A JP H07256067A JP 7975594 A JP7975594 A JP 7975594A JP 7975594 A JP7975594 A JP 7975594A JP H07256067 A JPH07256067 A JP H07256067A
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polyamide
acid
cyclic structure
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JP7975594A
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Inventor
Akira Mochizuki
明 望月
Tomomichi Nakasaki
知道 中崎
Tetsuya Fukuoka
徹也 福岡
Koichi Matsushima
浩一 松島
Yukio Kiyota
由紀夫 清田
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Terumo Corp
Original Assignee
Terumo Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】含水率が8wt%以上で、かつ結晶化熱(△H
c)が30mJ/mg以下のポリアミドから選択透過膜
を構成する。 【効果】低分子量と中、高分子量の両者の分離透過性に
優れ、かつ、アミド基密度が低いため血液適合性特に補
体系に対し良好な膜となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は選択透過膜、特に医療用
分離膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、医療用分離膜、特に人工腎臓用に
工業的に供されている高分子素材はセルロースが中心で
あり、合成高分子ではポリアクリロニトリル、ポリメチ
ルメタクリレート、ポリスルホン、ポリアミドの一種で
あるトリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド、エチ
レンビニルアルコール共重合体などが挙げられる。
【0003】再生セルロース膜は血液透析に於いて好ま
しい限外瀘過速度と低分子物質の適度な溶質透過性を持
つと共に、歴史的経緯も伴って広く利用されている。し
かし、欠点としてβ−ミクログロブリンに代表される
中〜高分子量の有害物質の血中からの除去性能が不十分
な事、又、透析時に血小板の減少、白血球の一過性の減
少が認められる事やセルロースの水酸基に起因する補体
系の活性化などが知られている。
【0004】一方、前記の合成高分子からなる透析膜は
エチレンビニルアルコール共重合体膜を除いてセルロー
ス膜の欠点はほぼ改善されている。しかしこれらは基本
的に工業用材料を医療用に転用している為に、生体適合
性に劣っていたり、溶質透過性の点で不十分である。即
ちこれらの材料の多くは熱可塑性の工業材料であるため
膜とした時にエチレンビニルアルコール共重合体を除い
て含水率が数%以下で有り、従って透水性、分子量10
00以下の低分子物質の除去性能が十分でない。この問
題を回避するため、例えばポリスルホン膜では親水性ポ
リマーであるポリビニルピロリドンをブレンドすること
により膜に親水性を付与し溶質透過性能を発現させてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は新規なポリア
ミドを用いた選択透過膜、特に医療用血液浄化膜を提供
する事にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は低分子物質の
膜透過性については親水性の高い材料が好適である事か
ら、水酸基をゆうさない高分子材料の中で最も含水率の
高い材料の1つであるポリアミドに注目し鋭意検討した
結果、脂肪族ポリアミドに於いては含水率はアミド基密
度が高いほど増大するものの、同時に補体系も活性化さ
せやすい事が示された。しかしなが本発明者らは意外に
も特定の化学構造を導入する事によりアミド基密度が低
いにも拘わらず含水率を大きく上げることが出来ること
を見いだし、本発明に到達した。即ち、本発明は、
【0007】(1)含水率が8wt%以上、かつ結晶化
熱(△Hc)が30mJ/mg以下であるポリアミドか
らなる選択透過膜。
【0008】(2)ガラス転移点が100℃以上である
(1)記載のポリアミドからなる選択透過膜。
【0009】(3)該ポリアミドを構成する繰り返し単
位中に環状構造を有する事を特徴とする(1)、(2)
記載の選択透過膜。
【0010】(4)環状構造を有する繰り返し単位が3
0mol%以上である(1)〜(3)記載の選択透過
膜。
【0011】(5)繰り返し単位中に環状構造を誘導す
るアミン系単量体がビスアミノメチルシクロヘキサン、
4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3’
−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタ
ン、イソホロンジアミン、メタキシレンジアミンである
(1)〜(4)の選択透過膜。
【0012】(6)繰り返し単位中に環状構造を誘導す
るカルボン酸系単量体がイソフタル酸、テレフタル酸、
シクロヘキサンジカルボン酸である(1)〜(4)記載
の選択透過膜。
【0013】(7)繰り返し単位としてイミノメチレン
シクロヘキシルメチレンイミノイソフタロイルを30m
ol%以上含有するポリアミドからなる(1)〜(2)
記載の選択透過膜。
【0014】本発明のポリアミドは通常、ジカルボン酸
とジアミン及び/又はラクタム(ωーアミノカルボン
酸)の重縮合反応により合成されるが膜性能(溶質透過
性)発現のために含水率が8wt%以上であり、かつ結
晶化熱(ΔHc)が30mJ/mg以下である事が必須
である。
【0015】溶質透過性は低分子物質の膜中の拡散速度
に支配されており、膜の含水率が該性能に大きく影響を
及ぼすので、含水率は高いほど望ましい。再生セルロー
ス膜などのいわゆるゲル膜が溶質透過性に優れるのはこ
のためである。本発明に於いて優れた溶質透過性を発現
させるには含水率が8wt%以上、より好ましくは10
wt%以上あることが好ましい。
【0016】一般的にポリアミドの含水率を高めるには
親水性基であるアミド基密度を上げる事により達成出来
る。例えば脂肪族ナイロンを例にとるとNy610(含
水率約3wt%)よりはNy66(約8wt%),更に
はNy46(約13wt%)とアミド基密度の上昇に伴
い親水性が増大する。しかしこのアミド基密度の増大は
後述の比較例のごとく補体系の活性化をもたらすため、
血液適合性の面からはNy610程度の出来る限り低密
度とする事が望ましい。
【0017】本発明に用いられるポリアミドは環状構造
を有する繰り返し単位を構成要素とする為、低アミド基
密度にも拘わらず含水率は8wt%以上と大きい。この
理由は、環状構造の空間的嵩高さに伴い該ポリアミド中
の自由体積が大きくなり含水率が増大したと考えられ
る。
【0018】尚、本発明に於ける含水率とは熱プレスに
より調製した非多孔絶乾試料を室温下蒸留水中に浸漬し
平衡に達したときの重量増加分をもとの乾燥試料重量で
除したものである。
【0019】本発明に於けるもう1つの構成要素である
結晶化熱(△Hc)が30mJ/mg以下が必須である
という事は、以下に述べるように製膜過程で出来る分離
活性層の微細構造制御と維持の為である。微細構造の制
御は水の透過速度及び中高分子量物質の分画特性制御に
必須である。
【0020】Ny6,Ny66,Ny610に代表され
る脂肪族ポリアミドの結晶化熱(△Hc)は40〜70
mJ/mg程度と高く分子間凝集力が強く結晶化が容易
にかつ急速に起こる為、製膜した時に球晶構造を形成し
てしまい分離に好適な膜構造を発現できない。従って構
造発現には分子間凝集力を弱める必要がある。この分子
間凝集力の尺度として結晶化熱(ΔH)を採用し本発明
に至った。
【0021】一般的に結晶化熱(△Hc)を小さくする
方法としては2種類以上のジアミン及び/又はジカルボ
ン酸を用いる共重合化、アミド基密度を下げる、アミド
基窒素に置換基を導入するなどが挙げられる。この中で
最も容易なのは共重合化であるが、脂肪族系モノマーを
用い共重合化した場合、機械的強度が大きく低下し、膜
としての使用に耐えない。膜の機械物性を保持したまま
結晶化熱(△Hc)を小さくするには環状構造を有する
繰り返し単位を入れる事が特に有効である。これは、環
状構造に由来して高分子が剛直化し、更に立体障害によ
るアミド基間の水素結合の妨害が起こるためと考えられ
る。
【0022】結晶化熱(△Hc)を30mJ/mg以下
にしたときに膜性能が発現する理由は、分子間凝集力を
適度に抑える事により、凝固相に浸漬し製膜した時に形
成される制御された分離活性層の超微細構造が安定に保
持される為と考えられる。一方、脂肪族ポリアミドでは
分子間凝集力が強すぎ製膜時に超微細構造を制御するこ
とが難しく、球晶構造が発達し緻密化してしまい優れた
膜性能が得られない。ここでの結晶化熱(ΔH)とは示
差走査熱分析装置(DSC)を用いポリアミドを溶融状
態から5℃/minで降温して行ったときに最初に現れ
る発熱ピークの面積から得られるものである。
【0023】本発明に於いては結晶化熱(△Hc)が0
であっても、非晶性であることを示すものではない。こ
れは結晶化速度とDSCの降温速度の兼ね合いによるた
めである。
【0024】本発明の選択透過膜は医療用途に供される
事から製造工程から使用時を通じて飽和含水状態を避け
る事は出来ない。一方、ポリアミドは吸水によりガラス
転移点が大きく低下する事が知られている。本発明に使
用されるポリアミドは結晶化熱(△Hc)が0〜30m
J/mgである事が特徴で有る。これは非晶性から中程
度の結晶性のポリアミドに対応しており、通常の高結晶
性の脂肪族ポリアミドと異なりガラス転移点以上の温度
領域では機械強度を発現できない。従って、含水による
ガラス転移点の降下を考慮して本発明に用いるポリアミ
ドの乾燥時ガラス転移点は100℃以上より好ましくは
130℃以上である事が望ましい。
【0025】本発明の透過膜は滅菌され使用される事か
らオートクレーブ滅菌(121℃)が出来ることが望ま
しい。従って本発明に利用されるポリアミドとしては非
晶性であればガラス転移点が130℃以上、より好まし
くは160℃以上であることが望ましいが、EOG滅
菌、γ線滅菌を利用する場合はこの限りでは無い。
【0026】本発明において環状構造をポリアミド鎖中
に導入するには、(1)環状構造を有するジアミンと脂
肪族ジカルボン酸とを組み合わせる、(2)脂肪族ジア
ミンと環状構造を有するジカルボン酸とを組み合わせ
る、(3)環状構造を有するジアミンと環状構造を有す
るジカルボン酸とを組み合わせる、更に(4)環状構造
を有するアミノカルボン酸を用いる方法などがある。
【0027】本発明のポリアミドに於いて全繰り返し単
位に対し環状構造を有する繰り返し単位が100〜30
mol%、より好ましくは100〜50mol%の範囲
に有ることが含水率を上げ、分子間凝集力を抑える点で
望ましい。
【0028】環状構造を有するジアミン成分の具体例と
としては1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、
1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン、イソフォロ
ンジアミン、メタキシレンジアミン、パラキシレンジア
ミン、ジアミノシクロヘキサン、4、4’−ジアミノジ
シクロヘキシルメタン、4、4’−ジアミノ−3、3’
−ジメチルジシクロヘキシルメタン、4、4’−ジアミ
ノジシクロヘキシルプロパン、4、4’−ジアミノジフ
ェニルメタン、トリレンジアミン、フェニレンジアミ
ン、ジアミノジフェニルエーテルなどが挙げられる。
尚、本発明のポリアミドを合成するに当たり複数種の環
状構造を有するジアミンを利用することは自由である。
該ジアミンのうち、特にジアミノメチルシクロヘキサ
ン、イソフォロンジアミン、ジアミノジシクロヘキシル
アルカンなどのシクロヘキサン環骨格を有するジアミン
が自由体積の増大、入手のしやすさ、価格、反応性など
の点で望ましい。
【0029】環状構造を有するジカルボン酸成分の具体
例としてはシクロヘキサンジカルボン酸、イソフタル
酸、テレフタル酸、ビフェニルカルボン酸、4,4’−
ジカルボキシジフェニルエーテル、ナフタレンジカルボ
ン酸、フェニレンジプロピオン酸、p−カルボキシメト
キシプロピオン酸等が挙げられる。尚、複数種の該ジカ
ルボン酸を使用する事は自由であるが価格、純度の点で
イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボ
ン酸が望ましい。
【0030】本発明に於けるポリアミドの特徴である環
状構造を有する繰り返し単位を作る具体的な酸とアミン
の組み合わせ例を以下に記す。まず前記ジアミン群から
選ばれる少なくとも一つ以上の環状構造を有するジアミ
ンと炭素数4以上の脂肪族ジカルボン酸の組み合わせが
挙げられる。具体的な炭素数4以上のジカルボン酸とし
てはアジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン
酸、ドデカン二酸などが挙げられるが、アゼライン酸、
セバシン酸がアミド基密度のコントロールの点で好まし
い。次に、前記環状構造を有するジカルボン酸群から選
ばれる少なくとも一つ以上のジカルボン酸とヘキサメチ
レンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ビ
ス(3ーアミノプロピル)エーテルなどの脂肪族ジアミ
ンの組み合わせ、又、前記環状構造を有するジカルボン
酸群及びジアミン群からそれぞれ少なくとも一つ以上の
ジカルボン酸及びジアミンを組み合わせることにより得
られる。更にp−アミノメチルシクロヘキサンカルボン
酸、4−メチル安息香酸などの環状構造を有するアミノ
カルボン酸(ラクタム)を用いる事により環状構造を有
する繰り返し単位を作ることが出来るが、これら4つの
方法を組み合わせることは自由である。
【0031】これらのアミン、カルボン酸から作られる
繰り返し単位の構造の好適な代表例としてはイミノメチ
レンシクロヘキシルメチレンイミノイソフタロイルが挙
げられる。
【0032】本発明のポリアミドに於いて環状構造を有
さない繰り返し単位は全繰り返し単位に対し0〜30m
ol%であるが、該単位は通常のダイマー酸を含むアジ
ピン酸、セバシナ酸などの脂肪族ジカルボン酸と脂肪族
ジアミンの組み合わせ、及び/又はカプロラクタム、ラ
ウロラクタムなどの脂肪族ラクタム(ω−アミノカルボ
ン酸)から得られる。
【0033】本発明に於けるポリアミドの分子量として
は5、000〜100、000が望ましく、更には8
0、00〜50、000が望ましい。5、000以下で
は共重合体の機械物性が十分でなく、又、100、00
0以上では粘度が高くなりすぎ取り扱いが困難となる。
【0034】本発明に於けるポリアミドの全末端基数の
5〜100mol%を炭素数1〜22の炭化水素基で封
止されている事は自由である。これにより熱安定性の向
上が期待される事がある。該炭化水素基としては炭素数
1〜22、より好ましくは6〜22のものであり具体的
にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキ
シル基、オクチル基、ノニル基、ウンデシル基、ドデシ
ル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、エイコシル
基、ドコシル基のような脂肪族炭化水素基、シクロヘキ
シル基、アルキルシクロヘキシル基、シクロヘキシルア
ルキル基のような脂環式炭化水素基、フェニル基、トル
イル基、ナフチル基、ベンジル基、β−フェニルエチル
基のような芳香族炭化水素基などが挙げられる。これら
の末端封止用炭化水素基は、ポリアミドの製造時に該炭
化水素基を有するモノカルボン酸、及び/又はモノアミ
ンを使用することによって導入される。
【0035】本発明に於けるポリアミドの合成法として
は通常のポリアミドの合成法が利用でき、例えば Sc
hoten−Baumann反応を利用した界面重縮合
反応や溶液重合、溶融重縮合が挙げられるが、工業的な
観点からは溶融重縮合法が最適と考えられる。
【0036】本発明のポリアミドを使った選択透過膜の
製法は公知の方法が利用できる。例えば、該ポリアミド
を適当な溶剤に溶解し、該溶液をガラス板のような平滑
な平板上に流延した後、溶剤を溜去する(乾式法)か、
非(貧)溶剤中に浸漬することにより重合体を析出させ
る(湿式凝固法)か、又は両者を組み合わせたいわゆる
乾湿式法により膜とする事が出来る。又、これらの方法
を用い中空糸膜とすることも出来る。該ポリアミドを溶
解する溶剤としてはジメチルスルホキシド、N−メチル
ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトア
ミド、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、クレゾー
ル、ヘキサフルオロプロパノール、蟻酸、硫酸、メタン
スルホン酸、燐酸などが挙げられるが、結晶化熱(△H
c)が小さいため従来の脂肪族系ポリアミドと異なり一
般有機溶媒に溶解できる事が特徴である。該重合体の溶
解濃度は好ましくは5〜40wt%、より好ましくは1
0〜30wt%である。該溶剤に塩化カルシウム、塩化
リチウム、塩化マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、
尿素、尿素誘導体などの逆浸透膜、限外瀘過膜の製造時
に利用される有機又は無機の化合物等を添加する事は自
由である。又、ポリビニルピロリドン等の相溶性のある
ポリマーを添加する事も自由である。湿式凝固法に於け
る凝固浴溶液としては水、メタノール、エタノール、プ
ロパノール、エチレングリコール、グリセリンなどのア
ルコール類、アセトン、ジオキサンなど、及びこれらの
溶剤の混合溶液、更には前記の該ポリアミドを溶解する
溶剤に該非(貧)溶剤を混合し溶解能を低下せしめた混
合溶液などが利用できる。尚、この凝固溶液中に塩化カ
ルシウム、尿素などの有機又は無機の化合物等の第三成
分を添加溶解せしめておく事は自由である。
【0037】
【実施例】本発明を更に具体的に説明するために実施例
を以下に示す。また、本明細書において示す物性、膜性
能は以下の測定方法、試験方法に従い求めた。
【0038】i.結晶化熱△Hc 示差走査熱分析装置を用い10℃/minで融点+20
℃又は250℃まで昇温し、これを3分間保持した後、
5℃/minの速度で降温し、結晶化に伴う発熱ピーク
より求めた。
【0039】ii.UFR 直径43mmに打ち抜いた本発明の平膜を図1に示すよ
うなセルに装着し、37℃、150mmHgの加圧下で
蒸留水の膜透過量を求めUFRを算出した。
【0040】iii.ビタミンB12透過性 蒸留水及び濃度5mmg/dlのビタミンB12(V
12)水溶液(各50ml)が直径43mmの平膜を介
して接するようにセルにセットし、撹拌下30分、50
分での両室のVB12濃度を360nmの吸光度から求め
る。この濃度から次式(1)に基づきVB12透過性
(P’)を求めた。
【0041】
【数1】
【0042】△C(t1),△C(t2) : t分後の
セル各室の溶質濃度 A : 膜面積 V1,V2 : 溶質液の体積 t1,t2 : 測定時間
【0043】iv.補体(C3a)産生量の測定 直径300〜400μmの熔融紡糸を糸長3cm,表面
積が14000mm2となるように糸数を合わせる。該
糸束をガラス試験管に入れ、ここにクエン酸ナトリウム
加血漿2.8mlを加え37℃1時間インキュベート
し、ついで血漿部分のみをバイアル瓶に移し直ちに−8
0℃で冷凍する。該試料中のC3a量の測定はRIA法
にて測定した。
【0044】v.ポリアミド合成 本発明に用いるポリアミドの1つであるポリイミノメチ
レン−1,3−シクロヘキシルメチレンイミノイソフタ
ロイル(NyBI)の合成法を例示する。イソフタル酸
(I)1059g,1,3−ジアミノメチルシクロヘキ
サン(B)906gを水2000gに溶解し、pH調整
を行い撹拌機付きオートクレーブに仕込み、窒素置換後
加熱し、内圧が15kgf/cm2まで上昇したら内圧
を保持したまま水を溜出させる。水の蒸発が収まったと
ころで250℃、13kgf/cm2加圧下で2時間反
応を継続した。この後、内圧をゆっくり抜き更に450
mmHgで15分間減圧反応を行った後、窒素加圧し目
的とするポリアミドを取り出した。本発明に用いるその
他のポリアミドも基本的には同様な操作にて合成した。
【0045】(実施例1〜6、比較例1〜4)本発明の
ポリアミド及び従来のポリアミドの含水率、ガラス転移
点(Tg)、結晶化熱(△Hc)及び補体(C3a)の
産生量を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】表1において、 1).Bは1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン 2).Iはイソフタル酸 3).6はヘキサメチレンジアミン 4).Tはテレフタル酸 5).Cは4,4'−ジアミノ−3,3'−ジメチルジシクロ
ヘキシルメタン 6).Mはメタキシレンジアミン 7).4はテトラメチレンジアミン 8).6はアジピン酸 9).10はセバシン酸 10).変成Ny6Tはポリ2,4−トリメチルヘキサメチ
レンテレフタルアミド
【0048】この結果より本発明のポリアミドは含水率
が高いにも拘わらず補体産生量が低く、血液適合性に優
れる事が分かる(ブランク試験:265ng/ml)。
【0049】(実施例7〜12、比較例5〜8)表1の
実施例1〜6のポリアミドをジメチルスルホキシド(D
MSO)に(実施例7〜12)、比較例1〜4の脂肪族
ポリアミドを蟻酸に(比較例5〜8)、ポリマー濃度が
17wt%になるよう室温或は加温下溶解し、静置脱泡
しドープ液とした。該ドープ液をガラス板上に一定の厚
さに流延し、直ちに表2に示す5℃の凝固液中に30分
間浸漬し凝固させ、続いて流水下膜中に残留する溶媒を
除去して厚さ40〜70μmの湿式平膜を得た。得られ
た膜の透水量(UFR)及びビタミンB12の透過性を測
定した。また実施例7、8、9の電子顕微鏡による膜断
面構造写真を図2、3、4に、さらに比較例5、6、7
の電子顕微鏡による膜断面構造写真を図5、6、7に示
した。
【0050】
【表2】
【0051】表2において、 1).D/HはDMSO/水,M/Hはメタノール/水 2).UFRの単位は ml/h・mmHg・m2 3).VB12の単位は 10-4cm/min
【0052】(実施例13〜18)ポリアミドとしてN
yBIを用い17wt%DMSOを調製した。ここに無
機塩及び低分子化合物を第三成分としてNyBIに対し
表3に示した量を添加し、実施例7と同様の湿式平膜を
得た。この膜の性能を表3に示した。また実施例14、
16、18の電子顕微鏡による膜断面構造写真を図8、
9、10に示した。
【0053】
【表3】
【0054】(実施例19)ポリアミドとしてNyBI
を17wt%になるようにDMSO/DMAc(ジメチ
ルアセトアミド)混合溶媒(2/1)に溶解し、ここに
ポリビニルピロリドン(K90)をNyBIに対し20
量部添加溶解しドープ液とした。該ドープ液をガラス板
上にキャストし凝固液(DMSO/水=2/8)中に投
入する事により湿式膜を得た。該膜のUFRは490m
l/h・mmHg・m,VB12の透過係数は147×
10-4cm/minであった。また、電子顕微鏡による
膜断面構造を図11に示した。
【0055】
【発明の効果】以上述べてきたように本発明に使われる
ポリアミドは含水率が8wt%以上で、かつ結晶化熱
(△Hc)が30mJ/mg以下であるため含水率が高
く分子間凝集力が低く、選択透過膜とした時に従来のポ
リアミド、ポリスルホン、ポリメチルメタクリレートな
どから作られた膜では達成できなかった低分子量と中、
高分子量の両者の分離透過性に優れ、かつ、アミド基密
度が低いため血液適合性特に補体系に対し良好な膜とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の選択透過膜のUFRの測定方法を示す
概略図である。
【図2】本発明の一実施例の電子顕微鏡による膜断面構
造写真を示す図である。
【図3】本発明の他の実施例の電子顕微鏡による膜断面
構造写真を示す図である。
【図4】本発明の他の実施例の電子顕微鏡による膜断面
構造写真を示す図である。
【図5】従来の選択透過膜の一比較例の電子顕微鏡によ
る膜断面構造写真を示す図である。
【図6】従来の選択透過膜の他の比較例の電子顕微鏡に
よる膜断面構造写真を示す図である。
【図7】従来の選択透過膜の他の比較例の電子顕微鏡に
よる膜断面構造写真を示す図である。
【図8】本発明の他の実施例の電子顕微鏡による膜断面
構造写真を示す図である。
【図9】本発明の他の実施例の電子顕微鏡による膜断面
構造写真を示す図である。
【図10】本発明の他の実施例の電子顕微鏡による膜断
面構造写真を示す図である。
【図11】本発明の他の実施例の電子顕微鏡による膜断
面構造写真を示す図である。
【符号の説明】
1,1’ セル 2 Oリング 3 平膜 4 メッシュ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松島 浩一 神奈川県足柄上郡中井町井ノ口1500番地 テルモ株式会社内 (72)発明者 清田 由紀夫 神奈川県足柄上郡中井町井ノ口1500番地 テルモ株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】含水率が8wt%以上、かつ結晶化熱が3
    0mJ/mg以下であるポリアミドからなる選択透過
    膜。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004006991A1 (ja) 2002-07-12 2004-01-22 Kuraray Co., Ltd. 多孔質膜
WO2018110338A1 (ja) * 2016-12-13 2018-06-21 三菱瓦斯化学株式会社 物品、非晶性ポリアミド樹脂、物品の強度向上方法

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