JPH07249373A - 陰極線管の陰極構体の製造方法とそれに用いる装置 - Google Patents

陰極線管の陰極構体の製造方法とそれに用いる装置

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JPH07249373A
JPH07249373A JP3836294A JP3836294A JPH07249373A JP H07249373 A JPH07249373 A JP H07249373A JP 3836294 A JP3836294 A JP 3836294A JP 3836294 A JP3836294 A JP 3836294A JP H07249373 A JPH07249373 A JP H07249373A
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cathode
hole
electrode
cup body
ray tube
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JP3836294A
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Tadakatsu Nakahira
忠克 中平
Michio Hara
通雄 原
Takeshi Kodama
健 児玉
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 カソード基体の表面のうち、特に電子放出部
での電子放射物質の染み出しおよび汚染を効果的に抑制
し、カソード基体以外からの電子放射を防止すると共
に、カソード電極間のリークを防止し、電子放射特性に
優れた陰極構体を、短時間で作業性良く量産的に製造す
ることができる陰極線管の陰極構体の製造方法とそれに
用いる装置を提供すること。 【構成】 第2電極74に、第1ホール76と、この第
1ホール76の下方に略同心状に位置し、第1ホール7
6の内径よりも小さい第2ホール78とを形成する。カ
ソード基体46が装着されたカップ体66を、カソード
基体46の表面が下を向くように第1ホール76内に収
容し、カップ体66に対して、第1電極72を押圧し、
第1電極と第2電極との間で電流を流すことにより、カ
ップ体とカソード基体との抵抗溶接を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、陰極線管の陰極構体の
製造方法とそれに用いる装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来では、陰極線管の陰極構体を製作す
るために、図7に示すように、カソード基体2をカップ
体4内に収容した状態で、スリーブ6の外側に位置する
一対の第1電極8,8と、スリーブ6の内側に位置する
第2電極10との間で、溶接電流Iを流し、カップ体4
およびスリーブ6の上端をカシメながら抵抗溶接してい
る。第1電極8,8は、スリーブ6の上端外周を、たと
えば全周にわたり約36点でカシメながら、抵抗溶接を
行う。
【0003】カソード基体2には、電子放射物質が含浸
してある。この抵抗溶接後には、スリーブ6は、セラミ
ック製ディスクに取り付けられ、スリーブ6内にヒータ
が装着されて陰極構体が作成される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このような
従来例に係る陰極構体の製造方法では、スリーブ6の全
周を約36点でカシメながら抵抗溶接を行うため、作業
時間がかかりすぎて、量産性に向かないと言う課題を有
していた。特に、カラー陰極線管では、三原色(R,
G,B)に対応して三本のカソード基体付スリーブ6を
必要とするので、一本毎のカソード基体付スリーブ6の
製造時間の短縮が求められている。
【0005】また、第1電極8,8によりカップ体4お
よびスリーブ6の上端をカシメながら抵抗溶接するの
で、溶接が不十分になり易い。カシメおよび溶接が不十
分であると、カップ体4とカソード基体2との間、また
はカップ体4とカソード基体2との間に隙間が生じ易
い。また、電子放射物質の分解・治性時あるいは陰極線
管の動作時などの熱により溶接部が外れることがある。
【0006】溶接部に隙間が生じると、陰極線管の使用
時に、スリーブ6内に装着されたヒータからの熱がスリ
ーブ6を通してカソード基体2へ良好に伝わらず、カソ
ード基体2が効率的に加熱されず、電子放射の安定性の
点で課題を有している。そこで、図8(A)に示すよう
に、カソード基体2の表面に、ろう材または金属膜12
(たとえばイリジウム、ルテニウム、モリブデン、また
はこれらの合金など)を付け、その上からカップ体4を
被せ、第1電極13および第2電極14で抵抗溶接する
方法が提案されている。第1電極13は、カップ体4の
底部に押圧され、第2電極14は、カソード基体2の表
面に面接触している。この方法によれば、抵抗溶接時
に、ろう材または金属膜12が溶融し、カソード基体2
とカップ4との接続が良好に行われる。第1電極13に
よるカップ体4への押圧は、二点あるいは三点で済み、
十分な溶接強度を得ることができる。
【0007】その後は、図8(B)に示すように、カソ
ード基体2が溶接されたカップ体4を、スリーブ6の上
端部に嵌合し、スリーブの上端の全周または数点を、レ
ーザ溶接あるいは抵抗溶接する。このような製造方法に
よれば、図7(A),(B)に示す従来例に比較し、作
業時間を大幅に低減しつつ、溶接強度を向上させること
ができる。
【0008】ところが、図8(A),(B)に示す従来
例では、第2電極14の表面にカソード基体2の全表面
が接触する構成であり、第2電極14の表面の清浄性お
よび平滑性が要求される。第2電極14の表面は、十分
に洗浄してあり、平滑化してあるが、ミクロ的に観察す
れば、多少の凹凸や汚れが存在する。また、カソード基
体2の表面も、十分に平滑化することは困難であり、カ
ソード基体2と第2電極14とを、完全な面接触状態に
することは困難である。
【0009】その状態で抵抗溶接を行うと、部分的に溶
接電流が多く流れ、カソード基体2に含まれる電子放射
物質の染み出しや、他物質による汚染が問題となってい
る。カソード基体2の表面に電子放射物質が染み出す
と、陰極線管の動作時に、カソード基体2に含まれる電
子放射物質が熱で蒸発し、グリッド孔に付着し、本来電
子放出が成されるべきでないグリッド孔からの電子放出
が生じるおそれがある。本来電子放出が成されるべきで
ない部分から電子放出が成されると、面ストレー現象
(陰極線管のパネルに一点のみ光らした場合に、その周
囲もぼやけて光る現象)が生じ、好ましくない。
【0010】また、カソード2の表面から染み出した電
子放射物質が、スリーブ6などに付着すると、陰極線管
の動作時に、リークなどが問題になる。さらに、図8に
示す従来の方法では、第2電極14の表面から、カーボ
ンあるいは第2電極14を構成する材質が、カソード基
体2の表面に付着するおそれがあり、その汚染が問題に
なる。特にカーボンがカソード基体の表面に付着する
と、カソードとしての特性が劣化する。
【0011】本発明は、このような実状に鑑みてなさ
れ、カソード基体の表面のうち、特に電子放出部での電
子放射物質の染み出しおよび汚染を効果的に抑制し、カ
ソード基体以外からの電子放射を防止すると共に、カソ
ード電極間のリークを防止し、電子放射特性に優れた陰
極構体を、短時間で作業性良く量産的に製造することが
できる陰極線管の陰極構体の製造方法とそれに用いる装
置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る陰極線管の陰極構体の製造方法は、カ
ソード基体の少なくとも表面側に電子放射物質を含浸ま
たは塗布する工程と、カソード基体の裏面側を覆うよう
に、カップ体を装着し、カップ体とカソード基体とを、
第1電極と第2電極との間で抵抗溶接する工程とを含む
陰極線管の陰極構体の製造方法であって、上記第2電極
に、第1ホールと、この第1ホールの下方に略同心状に
位置し、第1ホールの内径よりも小さい第2ホールとを
形成し、上記カソード基体が装着されたカップ体を、カ
ソード基体の表面が下を向くように上記第1ホール内に
収容し、カップ体に対して、上記第1電極を押圧し、第
1電極と第2電極との間で電流を流すことにより、カッ
プ体とカソード基体との抵抗溶接を行うことを特徴とす
る。
【0013】本発明に係る陰極線管の陰極構体の製造装
置は、少なくとも表面側に電子放射物質が含浸または塗
布されたカソード基体の裏面側を覆うように、カップ体
を装着し、カップ体とカソード基体とを、第1電極と第
2電極との間で抵抗溶接する陰極線管の陰極構体の製造
装置であって、上記第2電極には、上記カソード基体が
装着されたカップ体が、カソード基体の表面が下を向く
ように入り込む第1ホールと、この第1ホールの下方に
略同心状に位置し、第1ホールの内径よりも小さい第2
ホールとが形成してある。
【0014】上記第2電極に形成された第2ホールの内
径は、カソード基体の表面のワーキングエリアの外径よ
りも大きく設定してあることが好ましい。上記第2電極
に形成された第2ホールの内径は、上記カソード基体の
外径よりも0.2mm以上小さく設定してあることが好ま
しい。
【0015】上記第2電極は、上記第1ホールが形成さ
れた絶縁性板材と、上記第2ホールが形成された導電性
板材とが張り合わされて構成してあることが好ましい。
【0016】
【作用】本発明に係る製造装置を用いて陰極構体を製造
すれば、カソード基体表面のうち、電子放射部に相当す
るワーキングエリアは、第2電極に形成された第2ホー
ルの領域内に位置するので、第2電極に接触することは
ない。したがって、その部分に抵抗溶接のための電流が
流れることはなくなり、ワーキングエリアで電子放射物
質が染み出すことはなくなる。また、ワーキングエリア
が、第2電極からの汚染物質により汚染されることもな
い。
【0017】抵抗溶接のための電流は、第1電極、カッ
プ体、カソード基体、カソード基体の表面におけるワー
キングエリアの周囲を通して、第2電極へ流れ、カップ
体とカソード基体とは、良好に抵抗溶接され、その溶接
強度も十分である。カソード基体のワーキングエリアに
おいて電子放射物質の染み出しがなくなることから、電
子放射物質の蒸発によるカソード基体以外部分への電子
放射物質の付着がなくなり、カソード基体以外部分から
の電子放射はかなり少なくなる。また、同様な理由から
カソード電極間リークも少なくなる。特に、第1グリッ
ドの電子ビーム通過孔(グリッド孔)へ電子放射物質が
付着すると、グリッドの電界が変化することからカット
オフ電圧が変化し、ホワイトバランスが崩れるという課
題を有するが、本発明ではそれがなくなる。
【0018】また、カソード基体の表面におけるワーキ
ングエリアの汚染がなくなることから、汚染による電子
放射特性の劣化もなくなる。電子放射物質の染み出しお
よび他物質における汚染は、カソード基体表面のワーキ
ングエリア以外部分でもかなり少なくなる。
【0019】本発明に係る方法の抵抗溶接は、カップ体
の底の数点溶接で、十分な接合強度を得ることができる
ので、大幅な作業時間の短縮が可能であり、量産性に優
れている。
【0020】
【実施例】以下、本発明に係る陰極線管の陰極構体の製
造方法とそれに用いる装置を、図面に示す実施例に基づ
き、詳細に説明する。まず、陰極線管(CRT)および
それに用いる陰極構体の全体構成について説明する。
【0021】図5に示すように、CRT20は、パネル
ガラス22と、ファンネルガラス24とを有し、これら
がフリットガラス26で融着され、内部が高真空に維持
されている。ファンネルガラス24のネック部28に、
電子銃30が内蔵してある。パネルガラス22の内面に
は、蛍光面32が形成してあり、その背面にアパーチャ
グリル34が装着してある。また、ネック部28の外周
には、偏向ヨーク36が装着してあり、電子銃30から
放出・制御・加速・集束された3本の電子ビームは、偏
向ヨーク36によって偏向されることにより、蛍光面3
2の全面を走査するようになっている。
【0022】電子銃30は、たとえば図6に示す陰極構
体(カソード)40と、グリッド群(図4には、第1グ
リッド42のみ図示)とで構成される。本実施例の陰極
構体40は、三本のカソード基体付スリーブ44R,4
4G,44Bを有する。各スリーブ44R,44G,4
4Bには、その先端部に、加熱されることにより熱電子
を発生する電子放射物質を有するカソード基体(BM)
46が装着してある。各カソード基体付スリーブ44
R,44G,44Bは、スリーブ本体45の先端に、後
述する方法でカソード基体46が溶接固定されることに
より製造される。
【0023】各カソード基体付スリーブ44R,44
G,44Bは、絶縁性ディスク48に形成された三つの
開口部50内をそれぞれ挿通するように配置される。絶
縁性ディスク48は、たとえばセラミック製ディスクで
構成される。セラミックとしては、たとえばフォルステ
ライト、ステアタイト、アルミナなどを用いることがで
きる。
【0024】各スリーブ44R,44G,44Bの後端
側外周には、金属細線をV字形状に曲折してある一対の
Vタブ52,54の一端がそれぞれ溶接してある。Vタ
ブ52,54の他端は、それぞれ絶縁性ディスク48の
背面に固定してある三対の金属ピン56,58に対して
溶接などで接続してある。金属ピン56,58は、絶縁
性ディスク48に対してガラスなどにより融着固定して
ある。三対の金属ピン56,58から、それぞれ赤
(R),緑(G),青(B)の信号が入力される。
【0025】絶縁性ディスク48の背面には、金属ピン
56,58以外に、一対のヒータレスト60,60を固
定するための4本のヒータレスト固定用金属ピン62
が、上記金属ピン56,58と同様な手段で融着固定し
てある。これら金属ピン62に対して、ヒータレスト6
0,60が溶接されることにより、ヒータレスト60,
60は、絶縁性ディスク48に対して固定される。ヒー
タレスト60,60には、各スリーブ44R,44G,
44Bの内部に装着されたヒータ64(図4参照)の電
源端子がそれぞれ接続される。すなわち、このヒータレ
スト60,60に対して、所定の電圧を印加すること
で、各スリーブ44R,44G,44Bの内部に装着さ
れたヒータ64が加熱される。
【0026】次に、カソード基体付スリーブについて説
明する。カラー陰極線管の場合には、一本の電子銃につ
いて、カソード基体付スリーブは、R,G,B用に三本
準備される。各カソード基体付スリーブは、同一構成な
ので、以下の説明では、一本のカソード基体付スリーブ
44について説明する。
【0027】図4に示すように、カソード基体付スリー
ブ44は、スリーブ本体45と、その先端部にカップ体
66を介して溶接されたカソード基体46とを有する。
カソード基体46は、たとえばタングステン(W)など
の高融点金属で構成される多孔質焼結体で構成され、そ
の多孔質焼結体に、Ba,Ca,Alなどで構成される
電子放射物質が溶融含浸してある。
【0028】スリーブ本体45は、たとえば直径1〜2
mm、厚さ10〜30μm、長さ6〜7mmのNiあるいは
Ni−Crなどの高融点金属製筒体などで構成される。
カップ体66は、たとえばW,Niなどの高融点金属で
構成される。カソード基体46の底面(カップ体66で
覆われる側)には、カソード基体46とカップ体66と
の溶接接合を強固にするためのロウ材または金属膜68
が成膜してある。金属膜68としては、イリジウム(I
r)、ルテニウム(Ru)、モリブデン(Mo)、ある
いはこれらの合金などの薄膜を用いることができる。こ
れらの薄膜の膜厚は、特に限定されないが、たとえば1
00〜1000nm程度である。
【0029】また、カソード基体46の表面には、仕事
関数を下げて、より低温での電子放射を実現するための
仕事関数低下膜70が成膜してあることが好ましい。仕
事関数低下膜70としては、Irなどの白金系金属を用
いることが好ましい。スリーブ本体45の内部には、前
述したように、ヒータ64が内蔵される。ヒータ64
は、たとえば純タングステン線、あるいはタングステン
に2〜3%のレニウム(Re)をドープしたタングステ
ン合金線などの電熱線で構成される。
【0030】このカソード基体付スリーブ44の前面側
には、図5に示す電子銃30の一部を構成するグリッド
群が配置される。図4では、第1グリッド42の一部の
み図示してある。次に、本発明の実施例に係る陰極線管
の陰極構体の製造方法の要部であるカソード基体46と
カップ体66との溶接接合方法およびそれに用いる装置
について説明する。
【0031】本実施例の方法では、まず、図1に示す多
孔質焼結体で構成されるカソード基体46に、Ba,C
a,Alなどで構成される電子放射物質を溶融含浸させ
る。溶融含浸させるための条件としては、特に限定され
ないが、たとえば1800℃の温度で電子放射物質を溶
融させ、それにカソード基体46を約3分程度浸漬させ
る。
【0032】次に、このカソード基体46の裏面に、ロ
ウ材あるいは金属膜68を成膜する。このロウ材または
金属膜68は、前述したように、カソード基体46とカ
ップ体66との溶接接合を強固にするために形成され、
その膜厚は、特に限定されないが、1000〜1000
0オングストロームである。
【0033】次に、カソード基体46の裏面側を覆うよ
うに、カップ体66を装着し、それを、図1に示す第2
電極74に形成された第1ホール76内に、カソード基
体46の表面が下を向くように嵌合させる。第2電極7
4には、第1ホール76の下方に略同心状に位置し、第
1ホール76の内径よりも小さい第2ホール78が形成
してある。
【0034】図2に示すように、第2電極74には、量
産性の観点から、適当なピッチで、多数の第1ホール7
6およびそれと略同心の第2ホール78が形成してある
ことが好ましい。第1ホール76の中心間距離である適
当なピッチとしては、図1に示す第1電極72の作業性
などの観点から決定され、特に限定されないが、たとえ
ば5mm程度である。
【0035】図3に示すように、第2電極74には、第
1ホール76と第2ホール78とが形成され、それらの
段部80の平坦性が要求される。図1に示すように、段
部80の表面に、カソード基体46の表面が接触するか
らである。そこで、第2電極74は、図3に示すよう
に、第1ホール76が形成された第1板材82と、第2
ホール78が形成された第2板材84とが張り合わされ
て形成されることが好ましい。段部80の平坦性加工が
容易になるからである。なお、第1ホール76と第2ホ
ール78との同心度は、必ずしも厳密である必要はな
く、少なくとも、段部80の片側領域sが、少なくとも
0.1mm以上となるように同心度が決定される。
【0036】また、図1に示す第1電極72からカップ
体66、ロウ材または金属膜68、カソード基体46お
よびカソード基体46の表面外周部を通して、第2電極
74へ、矢印Iaのように抵抗溶接電流が都合良く流れ
るように、図3に示す第1板材82は、絶縁性板材(た
とえばセラミック材)であることが好ましい。当然のこ
とながら、第2板材84は、高融点金属などで構成され
る導電性板材で構成される。図3に示す第1板材82が
絶縁性を有することが好ましいのは、抵抗溶接時の放電
によるカップ体66の破損などを低減するためである。
【0037】図3に示す第1ホール76の内径Daは、
図1に示すカップ体66の外径よりも、好ましくは0.
03〜0.1mm、さらに好ましくは0.05〜0.08
mm程度大きいことが好ましい。また、第1ホール76の
深さtaは、図1に示すカソード基体付カップ体66の
軸方向長さと略同等、あるいはカップ体66の底面が第
1ホール76から突き出る程度の深さ、あるいは引っ込
む程度の深さに設定される。好ましくは、第1ホール7
6の深さtaは、図1に示すカップ体66の底面が第1
ホール76から約0.1mm程度突き出る程度の深さに設
定される。溶接後のカップ体66の取り出しの容易性の
ためである。具体的には、第1ホール76の深さta
は、約0.7mm程度に設定させる。第2電極74の総厚
さTは、特に限定されないが、第1ホール76の深さt
aの約二倍以上程度に設定される。具体的には、約1.
5mm程度である。
【0038】第2ホール78の内径Dbは、図4に示す
カソード基体46の表面の中央部に位置するワーキング
エリア(電子放射部)86よりも大きく設定される。ワ
ーキングエリア86は、第1グリッド42のグリッド孔
(電子ビーム通過孔)88の内径領域に、ドライブ率を
乗算した値で定義され、グリッド孔88の内径が0.3
〜0.7mmであれば、エリア86は、直径0.1〜0.
7mmの領域である。
【0039】また、図3に示すように、段部80の領域
は、片側領域sで約0.1mm以上必要とすることから、
第2ホール78の内径Dbは、CRTの種類にもよる
が、一般には、0.7〜0.9mm程度が好ましい。この
場合、カソード基体46の外径は、約1.15mmであ
る。
【0040】図1に示すように、カソード基体46が装
着されたカップ体66を、カソード基体46の表面が下
を向くように、第2電極74の第1ホール76内に嵌合
した後には、第1電極72を、カップ体66の底面に接
触させ、その部分を約1〜2Kg/cm 2で押圧し、第
1電極72と第2電極74との間で矢印Iaに示すよう
に抵抗溶接用電流を流す。抵抗溶接時のワット数は、特
に限定されないが、たとえば10〜20ワットである。
抵抗溶接時には、カップ体66の酸化を防止するため
に、Arなどの不活性ガスをカップ体66に対して吹き
付けることが好ましい。
【0041】第1電極72によるカップ体66の底面に
対する接触は、2〜3の数点で良い。第2電極74に
は、図2に示すように、多数の第1ホール76が形成し
てあるので、これら第1ホール76内に同時に多数のカ
ソード基体付カップ体66を収容し、逐次抵抗溶接する
ことにより量産性を上げることができる。また、第1電
極72を第1ホール76の数およびピッチに対応して設
け、多数のカソード基体付カップ体66を同時に抵抗溶
接することもできる。
【0042】本実施例に係る第1電極72および第2電
極74を用いて抵抗溶接を行えば、カソード基体46表
面のうち、電子放射部に相当するワーキングエリア86
は、第2電極74に形成された第2ホール78の領域内
に位置するので、第2電極74に接触することはない。
したがって、その部分に抵抗溶接のための電流が流れる
ことはなくなり、ワーキングエリア86で電子放射物質
が染み出すことはなくなる。また、ワーキングエリア8
6が、第2電極74からの汚染物質により汚染されるこ
ともない。
【0043】抵抗溶接のための電流は、矢印Iaで示す
ように、第1電極72、カップ体66、ロウ材または金
属膜68、カソード基体46、カソード基体46の表面
におけるワーキングエリア86の周囲を通して、第2電
極74へ流れ、カップ体66とカソード基体46とは、
良好に抵抗溶接され、その溶接強度も十分である。
【0044】その後、図4に示すように、カソード基体
付カップ体46を、スリーブ本体45の上端部に嵌合
(必要に応じてカシメる)し、スリーブ本体45の上端
周囲から抵抗溶接あるいはレーザ溶接する。その前後
に、カソード基体46の表面には、図4に示す仕事関数
低下膜70を成膜する。
【0045】その後、図4に示すように、スリーブ本体
45の内部に、ヒータ64を配置し、このカソード基体
付スリーブ44を、図6(図6では、カソード基体付ス
リーブ44R,44G,44B)に示すように、絶縁性
ディスク48に取り付け、ヒータレスト60、金属ピン
56,58などを取り付けて、陰極構体40を製作す
る。
【0046】本実施例では、図4に示すカソード基体4
6のワーキングエリア86において電子放射物質の染み
出しがなくなることから、電子放射物質の蒸発によるカ
ソード基体46以外部分への電子放射物質の付着がなく
なり、カソード基体46以外部分からの電子放射はかな
り少なくなる。また、同様な理由からカソード電極間リ
ークも少なくなる。特に、第1グリッド42の電子ビー
ム通過孔(グリッド孔88)へ電子放射物質が付着する
と、グリッドの電界が変化することからカットオフ電圧
が変化し、ホワイトバランスが崩れるという課題を有す
るが、本実施例ではそれがなくなる。
【0047】また、カソード基体46の表面におけるワ
ーキングエリア86の汚染がなくなることから、汚染に
よる電子放射特性の劣化もなくなる。電子放射物質の染
み出しおよび他物質における汚染は、カソード基体46
表面のワーキングエリア以外部分でもかなり少なくな
る。
【0048】本実施例に係る方法の抵抗溶接は、カップ
体66の底の数点溶接で、十分な接合強度を得ることが
できるので、大幅な作業時間の短縮が可能であり、量産
性に優れている。なお、本発明は、上述した実施例に限
定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変す
ることができる。
【0049】たとえば、上記実施例では、カラーCRT
用陰極構体について説明したが、白黒CRT用陰極構体
に対しても本発明を同様に適用することができる。その
場合には、単一のカソード基体付スリーブ44を、絶縁
性ディスクに配置すれば良い。
【0050】また、上記実施例の方法では、カソード基
体46にカップ体66を抵抗溶接した後、カップ体66
をスリーブ本体45に抵抗溶接あるいはレーザ溶接する
ように構成したが、本発明では、カップ体66にスリー
ブ本体45を溶接した後、カップ体66に対してカソー
ド基体46を上記方法で抵抗溶接しても良い。
【0051】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、基体金属表面において、特にワーキングエリアで電
子放射物質が染み出すことはなくなる。また、ワーキン
グエリアが、第2電極からの汚染物質により汚染される
こともない。電子放射物質の染み出しおよび他物質にお
ける汚染は、カソード基体表面のワーキングエリア以外
部分でもかなり少なくなる。たとえば、カソード基体の
全面で観察すれば、電子放射物質の染み出しおよび他物
質における汚染は、従来では、50%であったのに対
し、本発明では、約3%にすることができることが確認
された。また、カソード基体の表面におけるワーキング
エリアでは、電子放射物質の染み出しおよび他物質にお
ける汚染は、従来では30%であったのに対し、本発明
では0%にすることができることが確認された。
【0052】抵抗溶接のための電流は、第1電極、カッ
プ体、カソード基体、カソード基体の表面におけるワー
キングエリアの周囲を通して、第2電極へ流れ、カップ
体とカソード基体とは、良好に抵抗溶接され、その溶接
強度も十分である。カソード基体のワーキングエリアに
おいて電子放射物質の染み出しがなくなることから、電
子放射物質の蒸発によるカソード基体以外部分への電子
放射物質の付着がなくなり、カソード基体以外部分から
の電子放射はかなり少なくなる。また、同様な理由から
カソード電極間リークも少なくなる。特に、第1グリッ
ドの電子ビーム通過孔(グリッド孔)へ電子放射物質が
付着すると、グリッドの電界が変化することからカット
オフ電圧が変化し、ホワイトバランスが崩れるという課
題を有するが、本発明ではそれがなくなる。また、同様
な理由から、面ストレー現象も低減することができる。
【0053】また、カソード基体の表面におけるワーキ
ングエリアの汚染がなくなることから、汚染による電子
放射特性の劣化もなくなる。本発明に係る方法の抵抗溶
接は、カップ体の底の数点溶接で、十分な接合強度を得
ることができるので、大幅な作業時間の短縮が可能であ
り、量産性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の一実施例に係る陰極構体製造の
ための抵抗溶接方法を示す概略断面図である。
【図2】図2は図1に示す実施例で用いる第2電極の平
面図である。
【図3】図3は図1,2に示す第2電極に形成された第
1ホールおよび第2ホールの要部断面図である。
【図4】図4は抵抗溶接後のカソード基体と第1グリッ
ドとの位置関係を示す概略断面図である。
【図5】図5は陰極線管の概略図である。
【図6】図6(A)は陰極構体の概略半断面図、同図
(B)は同図(A)に示すB−B線に沿う底面図であ
る。
【図7】図7(A),(B)はそれぞれ従来例に係るカ
ソード基体の抵抗溶接方法を示す平面図および側面側断
面図である。
【図8】図8(A),(B)はそれぞれ従来例に係るカ
ソード基体の抵抗溶接方法を示す第1工程図および第2
工程図である。
【符号の説明】
40… 陰極構体 42… 第1グリッド 44… カソード基体付スリーブ 45… スリーブ本体 64… ヒータ 66… カップ体 68… 金属膜 70… 仕事関数低下膜 72… 第1電極 74… 第2電極 76… 第1ホール 78… 第2ホール 80… 段部 82… 第1板材(絶縁性板材) 84… 第2板材(導電性板材)

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カソード基体の少なくとも表面側に電子
    放射物質を含浸または塗布する工程と、 カソード基体の裏面側を覆うように、カップ体を装着
    し、カップ体とカソード基体とを、第1電極と第2電極
    との間で抵抗溶接する工程とを含む陰極線管の陰極構体
    の製造方法であって、 上記第2電極に、第1ホールと、この第1ホールの下方
    に略同心状に位置し、第1ホールの内径よりも小さい第
    2ホールとを形成し、 上記カソード基体が装着されたカップ体を、カソード基
    体の表面が下を向くように上記第1ホール内に収容し、
    カップ体に対して、上記第1電極を押圧し、第1電極と
    第2電極との間で電流を流すことにより、カップ体とカ
    ソード基体との抵抗溶接を行う陰極線管の陰極構体の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 上記第2電極に形成された第2ホールの
    内径は、カソード基体の表面のワーキングエリアの外径
    よりも大きく設定してある請求項1に記載の陰極線管の
    陰極構体の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記第2電極に形成された第2ホールの
    内径は、上記カソード基体の外径よりも0.2mm以上小
    さく設定してある請求項1または2に記載の陰極線管の
    陰極構体の製造方法。
  4. 【請求項4】 上記第2電極は、上記第1ホールが形成
    された絶縁性板材と、上記第2ホールが形成された導電
    性板材とが張り合わされて構成してある請求項1〜3の
    いずれかに記載の陰極線管の陰極構体の製造方法。
  5. 【請求項5】 少なくとも表面側に電子放射物質が含浸
    または塗布されたカソード基体の裏面側を覆うように、
    カップ体を装着し、カップ体とカソード基体とを、第1
    電極と第2電極との間で抵抗溶接する陰極線管の陰極構
    体の製造装置であって、 上記第2電極には、上記カソード基体が装着されたカッ
    プ体がカソード基体の表面が下を向くように入り込む第
    1ホールと、この第1ホールの下方に略同心状に位置
    し、第1ホールの内径よりも小さい第2ホールとが形成
    してある陰極線管の陰極構体の製造装置。
  6. 【請求項6】 上記第2電極に形成された第2ホールの
    内径は、カソード基体の表面のワーキングエリアの外径
    よりも大きく設定してある請求項5に記載の陰極線管の
    陰極構体の製造装置。
  7. 【請求項7】 上記第2電極に形成された第2ホールの
    内径は、上記カソード基体の外径よりも0.2mm以上小
    さく設定してある請求項5または6に記載の陰極線管の
    陰極構体の製造装置。
  8. 【請求項8】 上記第2電極は、上記第1ホールが形成
    された絶縁性板材と、上記第2ホールが形成された導電
    性板材とが張り合わされて構成してある請求項5〜7の
    いずれかに記載の陰極線管の陰極構体の製造装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015049995A1 (ja) * 2013-10-02 2015-04-09 ウシオ電機株式会社 ショートアーク型放電ランプおよびショートアーク型放電ランプ用の陰極の製造方法

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WO2015049995A1 (ja) * 2013-10-02 2015-04-09 ウシオ電機株式会社 ショートアーク型放電ランプおよびショートアーク型放電ランプ用の陰極の製造方法

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