JPH07247960A - 密閉型圧縮機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は密閉型圧縮機のコンロッドの摺動部
の摩耗を防ぎ信頼性の高い密閉型圧縮機とすることを目
的とする。 【構成】 ピストン２と、一端に小端穴８を他端に大端
穴９を有するコンロッド７と、前記コンロッド７内を通
り、一端が前記小端穴８内面に開口し、他端が前記大端
穴９内面の前記小端穴８側に開口した給油孔１０と、前
記コンロッド７内を通り、一端が前記大端穴９内面の前
記小端穴８側と反対側に開口し、他端が前記給油孔１０
と連通した少なくとも１本の大端部給油孔２１と、前記
小端穴８に摺動自在に収納され、かつ前記ピストン２に
固定されたピストンピン１７とから構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、冷凍冷蔵装置等に使用
される往復式密閉型圧縮機に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】冷凍冷蔵装置等に使用される密閉型圧縮
機は密閉容器内に電動圧縮要素が収納されており、密閉
容器内のメンテナンスや修理ができないため、信頼性の
高いものが強く望まれている。なかでも往復型圧縮機の
ピストンピンとコンロッド小端穴との摺動部は圧縮によ
り大きな面圧を受け、厳しい摺動状態にある。そのた
め、ピストンピンとコンロッド小端穴の摺動部の潤滑不
良を防ぎ、信頼性を高める方法が従来から考案されてい
る。コンロッド小端穴への給油方法については、例えば
実公昭４７−１６８３６号公報、またコンロッド小端穴
とピストンピンとの摺動部に設けられた円周溝について
は、例えば特開平２−２７５０７２号公報に示されてい
るような密閉型圧縮機がある。

【０００３】以下、図面を参照しながら、上述した従来
の密閉型圧縮機の一例について説明する。

【０００４】図４は従来の密閉型圧縮機を示す断面図で
ある。図４において、１は内部をピストン２が往復動す
るシリンダである。３はクランク軸４を軸支する軸受で
ある。前記ピストン２は中空部５と、軸方向と直交する
方向に貫通孔６を有している。

【０００５】７は一端に小端穴８を他端に大端穴９を有
するコンロッドである。１０は前記コンロッド７内を通
り、前記小端穴８と前記大端穴９とを連通し、かつ前記
小端穴８の軸心と前記大端穴９の軸心とを通る平面上に
両端が開口する給油孔である。

【０００６】１１は前記クランク軸４に形成された偏心
部である。１２はクランク軸４内に明けられたシャフト
給油孔であり、１３は前記シャフト給油孔１２に交差連
通した偏心部給油孔であり、偏心部１１表面に設けられ
たオイル溜り１４に開口している。

【０００７】１５はクランク偏心部１１に固定された給
油管であり、前記シャフト給油孔１２に連通しており、
先端は密閉容器（図示せず）底部に貯溜したオイル１６
に浸かっている。前記コンロッド７の小端穴８はピスト
ン２の中空部５に挿入され、かつ貫通穴６及び小端穴８
にピストンピン１７が挿入されると共に、偏心部１１が
大端穴９に挿入されることにより、ピストン２とクラン
ク軸４が連結されている。１８はピストンピン１７表面
の円周方向に設けられた円周溝であり、１９はピストン
ピン１７をピストン２に固定するロッキングピンであ
る。

【０００８】以上のように構成された密閉型圧縮機につ
いて、以下その動作を説明する。クランク軸が回転する
ことにより給油管１５でオイル１６に油圧が発生し、オ
イル１６は給油管１５内及びシャフト給油孔１２を上昇
する。上げられたオイル１６の一部は偏心部給油孔１３
を通ってオイル溜まり１４に流出し、大端穴９と偏心部
１１との摺動部を潤滑する。さらに、オイル溜まり１４
のオイルの一部は給油孔１０を通って小端穴８まで流
れ、ピストンピン１７と小端穴８の摺動部を潤滑し、円
周溝１８を通ってピストン２の中空部５に流出する。

【０００９】図５ａ，ｂ，ｃ，ｄは図４に示すＡ−Ａ断
面における、コンロッド７内の給油孔１０と偏心部１１
内のクランク給油孔１３及びオイル溜り１４の関係を示
す行程図である。図５のクランク軸４の１回転中におけ
るコンロッド７の給油孔１０及び偏心部１１のクランク
給油孔１３とオイル溜り１４の関係から明らかなよう
に、常にオイル１６がクランク給油孔１３及びオイル溜
り１４からコンロッド７の給油孔１０に流入可能ではな
く、図４のｃ〜ｄ間、すなわちピストン２が上死点から
下死点に至る間の吸入行程においてのみ流入可能であ
る。

【００１０】この構造により、偏心部１１がコンロッド
７の大端部９から大きな荷重を受ける圧縮行程時は偏心
部１１のオイル溜り１４の無い部分で荷重を受けること
になり、偏心部１１と大端穴９との摺動部に油膜圧力が
発生し易く金属接触による摩耗をしにくくすることがで
きる。

【００１１】上述した従来の密閉型圧縮機のコンロッド
７の小端穴８への給油方法の他に、小端穴８とピストン
ピンとに給油のための溝が何もついていないものがあ
る。

【００１２】図６は従来の密閉型圧縮機のコンロッド７
の小端穴８とピストンピン２０とに給油のための溝が何
もついていないピストン装置の断面図である。

【００１３】図６において、２０は小端穴８との摺動面
に給油のための溝が設けられていないピストンピンであ
り、かつ小端穴８にも給油のための溝は設けられていな
い。

【００１４】以上のように構成された密閉型圧縮機につ
いて、以下その動作を説明する。コンロッド７の給油孔
１０を通って小端穴８まで流れたオイル１６は、ピスト
ンピン２０と小端穴８の摺動部を潤滑する。この構造に
より、圧縮行程時に荷重を小端穴８で受ける際、小端穴
８とピストンピン２０との摺動部に円周溝１８が設けら
れているものに比べ、その溝からオイル１６が流出しな
いので、小端穴とピストンピンとの摺動部に油膜圧力が
発生し易く金属接触による摩耗をしにくくすることがで
きる。

【００１５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
の構成では、小端穴とピストンピンとの摺動部への給油
は吸入行程においてのみ行われるため、給油による摺動
部の冷却効果が小さく、摺動部の温度上昇による潤滑状
態の悪化により、小端穴の摺動部が摩耗してしまうとい
う欠点があった。

【００１６】また、小端穴とピストンピンとの摺動部へ
の給油は吸入行程においてのみしか行われないため、圧
縮行程において小端穴部の給油量不足が生じてしまう。
かつ摺動部への給油は一部分からしか行われないため、
小端穴の摺動部全周にオイルが行き渡り難く、小端穴の
摺動部に油膜切れが起こりやすくなり、金属接触によっ
て摺動部が摩耗してしまうという欠点があった。

【００１７】また、コンロッドに大きな荷重のかかる圧
縮行程時において、大端穴と偏心部との摺動部で大きな
荷重を受ける部分には給油孔の開口部があるため油膜圧
力が発生しにくく、金属接触によって大端穴の摺動部が
摩耗してしまうという欠点があった。

【００１８】本発明は従来の課題を解決するもので、ク
ランク１回転中のピストンピンと小端穴との摺動部への
給油時間を長くして給油量を増加させ、給油による摺動
部の冷却効果を大きくして摺動部の温度上昇を防ぐこと
によって、また、小端穴とピストンピンとの摺動部及び
大端穴と偏心部との摺動部の油膜圧力を発生し易くする
ことによって、摺動部の摩耗を防ぎ、信頼性の高い密閉
型圧縮機とすることを目的とする。

【００１９】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
本発明の密閉型圧縮機は、ピストンと、一端に小端穴を
他端に大端穴を有するコンロッドと、前記コンロッド内
を通り、一端が前記小端穴内面に開口し、他端が前記大
端穴内面の前記小端穴側に開口した給油孔と、前記コン
ロッド内を通り、一端が前記大端穴内面の前記小端穴側
と反対側に開口し、他端が前記給油孔と連通した少なく
とも１本の大端部給油孔と、前記小端穴に摺動自在に収
納され、かつ前記ピストンに固定されたピストンピンと
から構成されている。

【００２０】また、さらに、コンロッド内を通り、一端
が給油孔又は大端部給油孔に連通し、他端が小端穴内面
の大端穴側と反対側に開口した小端部給油孔を備えた構
成となっている。

【００２１】また、ピストンと、一端に小端穴を他端に
大端穴を有するコンロッドと、前記コンロッド内を通
り、前記小端穴の軸心と前記大端穴の軸心とを通る平面
から外れた位置で前記大端穴内面に開口し、かつ前記平
面で隔てられた２つの空間のそれぞれに少なくとも１つ
の開口部を持つ大端部給油孔と、前記コンロッド内を通
り、一端が前記大端部給油孔に連通し、他端が前記小端
穴内面に開口した給油孔と、前記小端穴に摺動自在に収
納され、かつ前記ピストンに固定されたピストンピンと
から構成されている。

【００２２】

【作用】本発明の密閉型圧縮機は上記した構成によっ
て、従来の吸入行程時に行われるピストンピンとコンロ
ッドの小端穴との摺動部への給油に加えて、圧縮行程時
にも小端穴の摺動部への給油を行うことができ、摺動部
を冷却できるため、摺動部の温度上昇による潤滑不良を
防ぎ、小端穴の摺動部を摩耗しにくくすることができ
る。

【００２３】また、一端が給油孔又は大端部給油孔に連
通し、他端が小端穴内面の大端穴側と反対側に開口した
小端部給油孔を備えた構成となっているので、ピストン
ピンが小端穴内のどの位置にある場合でも常にピストン
ピンと小端穴とのクリアランスの大きい位置から摺動部
への給油が行われ、かつ２カ所以上から給油を行うため
小端穴の摺動部の全周にオイルが行き渡りやすく、小端
穴の摺動部の油膜切れを防ぐことができ、油膜圧力の発
生を容易にできる。

【００２４】また、前記小端穴の軸心と前記大端穴の軸
心とを通る平面から外れた位置で前記大端穴内面に開口
し、かつ前記平面で隔てられた２つの空間のそれぞれに
少なくとも１つの開口部を持つ大端部給油孔と、前記コ
ンロッド内を通り、一端が前記大端部給油孔に連通し、
他端が前記小端穴内面に開口した給油孔が設けられてい
るので、大端穴の摺動部に大きな荷重のかかる圧縮行程
時において、最も大きな荷重のかかる部分、すなわち小
端穴の軸心と大端穴の軸心を含む平面上の部分には給油
孔が開口していないために油膜圧力が発生し易く、大端
穴の摺動部を摩耗しにくくすることができる。

【００２５】

【実施例】以下、本発明の密閉型圧縮機の第１の実施例
について図面を参照しながら説明する。尚、従来と同一
構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略す
る。

【００２６】図１は本発明の密閉型圧縮機の第１の実施
例を示すものである。図１において、２１はコンロッド
７内を通り、一端が大端穴９内面の小端穴８側と反対側
に開口し、他端が給油孔１０と連通した大端部 給油孔
である。

【００２７】以上のように構成された密閉型圧縮機につ
いて、以下その動作を説明する。圧縮行程において、ク
ランク軸４の偏心部１１に設けられたオイル溜まり１４
と大端部給油孔２１とが一致して連通し、オイル１６は
大端部給油孔２１、給油孔１０を通って小端穴８へと給
油される。従って、従来の吸入行程時に行われるピスト
ンピン１７とコンロッド７の小端穴８との摺動部への給
油に加えて、圧縮行程時にも小端穴８の摺動部への給油
を行うことができ、摺動部を冷却できるため、摺動部の
温度上昇による潤滑不良を防ぎ、小端穴８の摺動部を摩
耗しにくくすることができる。

【００２８】以上のように本実施例の密閉型圧縮機は、
ピストン２と、一端に小端穴８を他端に大端穴９を有す
るコンロッド７と、前記コンロッド７内を通り、一端が
前記小端穴８内面に開口し、他端が前記大端穴９内面の
前記小端穴８側に開口した給油孔１０と、前記コンロッ
ド７内を通り、一端が前記大端穴９内面の前記小端穴８
側と反対側に開口し、他端が前記給油孔１０と連通した
少なくとも１本の大端部給油孔２１と、前記小端穴８に
摺動自在に収納され、かつ前記ピストン２に固定された
ピストンピン１７とから構成されているので、圧縮行程
時にも小端穴８の摺動部への給油を行うことができ、摺
動部を冷却できるため、摺動部の温度上昇による潤滑不
良を防ぎ、小端穴８の摺動部を摩耗しにくくすることが
できる。

【００２９】尚、本実施例では大端部給油孔の数を１つ
としたが、２つ以上ある場合でも同様の効果が得られ
る。また、本実施例では大端部給油孔の大端穴９への開
口部を１つとしたが、２つ以上ある場合でも同様の効果
が得られる。

【００３０】次に、本発明の密閉型圧縮機の第２の実施
例について図面を参照しながら説明する。尚、従来例及
び第１の実施例と同一構成については、同一符号を付し
て詳細な説明を省略する。

【００３１】図２は本発明の密閉型圧縮機の第２の実施
例を示すものである。図２において、２２はコンロッド
８内を通り、一端が給油孔１０又は大端部給油孔２１に
連通し、他端が小端穴８内面の大端穴９側と反対側に開
口した小端部給油孔である。

【００３２】以上のように構成された密閉型圧縮機につ
いて、以下その動作を説明する。ピストンピン２０の小
端穴８に対する相対位置は、クランク１回転中において
荷重のかかる方向から考えて次のようになる。吸入行程
においてはコンロッド７がピストン２を引張ることにな
るため、ピストンピン２０は小端穴８内において大端穴
９側と反対側に寄った所に位置しており、圧縮行程にお
いては圧縮の荷重を受けるため、ピストンピン２０は大
端穴９側に寄っている。また、大端部給油孔２１が設け
られていることにより、ほぼクランク１回転中にわたり
給油孔１０にはオイル１６が供給され続けている。

【００３３】従って、吸入行程においてオイル１６はオ
イル溜まり１４から給油孔１０を通ってピストンピン２
０と小端穴８とのクリアランスの大きい大端穴９側へ主
に流入する。また圧縮行程においてはオイル１６はオイ
ル溜まり１４から、大端部給油孔２１、給油孔１０、小
端部給油孔２２を通って、ピストンピン２０と小端穴８
とのクリアランスの大きい大端穴９側と反対側から主に
流入する。

【００３４】すなわちクランク１回転中においてピスト
ンピン２０と小端穴８とのクリアランスの大きい側から
常に給油が行われ、かつ２カ所以上から給油を行うため
小端穴８の摺動部の全周にオイル１６が行き渡りやす
く、小端穴８の摺動部の油膜切れを防ぐことができ、油
膜圧力の発生を容易にできる。

【００３５】以上のように本実施例の密閉型圧縮機は、
第１の実施例での効果に加えて、コンロッド８内を通
り、一端が給油孔１０又は大端部給油孔２１に連通し、
他端が小端穴８内面の大端穴９側と反対側に開口した小
端部給油孔２２を備えた構成となっているので、クラン
ク１回転中においてピストンピン２０と小端穴８とのク
リアランスの大きい側から常に給油が行われ、かつ２カ
所以上から給油を行うため小端穴８の摺動部の全周にオ
イル１６が行き渡りやすく、小端穴８の摺動部の油膜切
れを防ぐことができ、油膜圧力の発生を容易にできる。

【００３６】尚、本実施例では、ピストンピン２０と小
端穴８に給油のための溝が無い場合を説明したが、ピス
トンピン２０あるいは小端穴８に給油のための溝が設け
られている場合でも同様の効果が得られる。

【００３７】次に、本発明の密閉型圧縮機の第３の実施
例について図面を参照しながら説明する。尚、従来例、
第１及び第２の実施例と同一構成については、同一符号
を付して詳細な説明を省略する。

【００３８】図３は本発明の密閉型圧縮機の第３の実施
例を示すものである。図３において、２３はコンロッド
内を通り、小端穴８の軸心と大端穴９の軸心とを通る平
面から外れた位置で前記大端穴９内面に開口し、かつ前
記平面で隔てられた２つの空間のそれぞれに少なくとも
１つの開口部を持つ大端部給油孔であり、２４はコンロ
ッド内を通り、一端が前記大端部給油孔２３に連通し、
他端が前記小端穴８内面に開口した給油孔である。

【００３９】以上のように構成された密閉型圧縮機につ
いて、以下その動作を説明する。大端部給油孔２３が大
端穴９の軸心に対してほぼ対向する位置に開口している
ため、第１の実施例と同様にクランク１回転中に渡って
ピストンピン２０と小端穴８との摺動部へ常に給油が行
われる。また、大端穴９の摺動部に大きな荷重のかかる
圧縮行程時において、大端穴９の摺動部のうち最も大き
な荷重のかかる部分は、小端穴８の軸心と大端穴９の軸
心を含む平面付近でかつ小端穴８側の部分である。その
大端穴９の最も大きな荷重のかかる部分には給油孔２３
が開口していないために油膜圧力が発生し易く、大端穴
９と偏心部１１の金属接触を防ぎ、大端穴９の摺動部を
摩耗しにくくすることができる。

【００４０】以上のように本実施例の密閉型圧縮機は、
ピストン２と、一端に小端穴８を他端に大端穴９を有す
るコンロッド７と、前記コンロッド７内を通り、前記小
端穴８の軸心と前記大端穴９の軸心とを通る平面から外
れた位置で前記大端穴９内面に開口し、かつ前記平面で
隔てられた２つの空間のそれぞれに少なくとも１つの開
口部を持つ大端部給油孔２３と、前記コンロッド８内を
通り、一端が前記大端部給油孔２３に連通し、他端が前
記小端穴８内面に開口した給油孔２４と、前記小端穴８
に摺動自在に収納され、かつ前記ピストン２に固定され
たピストンピン１７とから構成されているので、第１の
実施例での効果に加えて、大端穴９の摺動部に大きな荷
重のかかる圧縮行程時において、最も大きな荷重のかか
る部分に油膜圧力が発生し易く、大端穴９の摺動部を摩
耗しにくくすることができる。

【００４１】

【発明の効果】以上説明したように本発明は、ピストン
と、一端に小端穴を他端に大端穴を有するコンロッド
と、前記コンロッド内を通り、一端が前記小端穴内面に
開口し、他端が前記大端穴内面の前記小端穴側に開口し
た給油孔と、前記コンロッド内を通り、一端が前記大端
穴内面の前記小端穴側と反対側に開口し、他端が前記給
油孔と連通した少なくとも１本の大端部給油孔と、前記
小端穴に摺動自在に収納され、かつ前記ピストンに固定
されたピストンピンとから構成されているので、圧縮行
程時にも小端穴の摺動部への給油を行うことができ、摺
動部を冷却できるため、摺動部の温度上昇による潤滑不
良を防ぎ、小端穴の摺動部を摩耗しにくくすることがで
きる。

【００４２】また更に本発明は、コンロッド内を通り、
一端が給油孔又は大端部給油孔に連通し、他端が小端穴
内面の大端穴側と反対側に開口した小端部給油孔を備え
た構成となっているので、クランク１回転中においてピ
ストンピンと小端穴とのクリアランスの大きい側から常
に給油が行われ、かつ２カ所以上から給油を行うため小
端穴の摺動部の全周にオイルが行き渡りやすく、小端穴
の摺動部の油膜切れを防ぐことができ、油膜圧力の発生
を容易にできる。

【００４３】また本発明は、ピストンと、一端に小端穴
を他端に大端穴を有するコンロッドと、前記コンロッド
内を通り、前記小端穴の軸心と前記大端穴の軸心とを通
る平面から外れた位置で前記大端穴内面に開口し、かつ
前記平面で隔てられた２つの空間のそれぞれに少なくと
も１つの開口部を持つ大端部給油孔と、前記コンロッド
内を通り、一端が前記大端部給油孔に連通し、他端が前
記小端穴内面に開口した給油孔と、前記小端穴に摺動自
在に収納され、かつ前記ピストンに固定されたピストン
ピンとから構成されているので、第１の実施例での効果
に加えて、大端穴の摺動部に大きな荷重のかかる圧縮行
程時において、最も大きな荷重のかかる部分に油膜圧力
が発生し易く、大端穴の摺動部を摩耗しにくくすること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例を示す密閉型圧縮機のピ
ストン装置の断面図

【図２】本発明の第２の実施例を示す密閉型圧縮機のピ
ストン装置の断面図

【図３】本発明の第３の実施例を示す密閉型圧縮機のピ
ストン装置の断面図

【図４】従来の密閉型圧縮機のピストン装置の縦断面図

【図５】（ａ）は図４に示すＡ−Ａ断面における給油孔
とクランク給油孔及びオイル溜りの関係を示すピストン
の下死点の状態を示す断面図 （ｂ）は同（ａ）に相当する圧縮工程を示す断面図 （ｃ）は同（ａ）相当のピストンの上死点の状態示す断
面図 （ｄ）は同（ａ）相当の吸入工程を示す断面図

【図６】従来の別の密閉型圧縮機のピストン装置の断面
図

【符号の説明】

２ ピストン ７ コンロッド ８ 小端穴 ９ 大端穴 １０ 給油孔 １７ ピストンピン ２０ ピストンピン ２１ 大端部給油孔 ２２ 小端部給油孔 ２３ 大端部給油孔 ２４ 給油孔

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ピストンと、一端に小端穴を他端に大端
   穴を有するコンロッドと、前記コンロッド内を通り、一
   端が前記小端穴内面に開口し、他端が前記大端穴内面の
   前記小端穴側に開口した給油孔と、前記コンロッド内を
   通り、一端が前記大端穴内面の前記小端穴側と反対側に
   開口し、他端が前記給油孔と連通した少なくとも１本の
   大端部給油孔と、前記小端穴に摺動自在に収納され、か
   つ前記ピストンに固定されたピストンピンとからなる密
   閉型圧縮機。
2. 【請求項２】 コンロッド内を通り、一端が給油孔又は
   大端部給油孔に連通し、他端が小端穴内面の大端穴側と
   反対側に開口した小端部給油孔を備えた請求項１記載の
   密閉型圧縮機。
3. 【請求項３】 ピストンと、一端に小端穴を他端に大端
   穴を有するコンロッドと、前記コンロッド内を通り、前
   記小端穴の軸心と前記大端穴の軸心とを通る平面から外
   れた位置で前記大端穴内面に開口し、かつ前記平面で隔
   てられた２つの空間のそれぞれに少なくとも１つの開口
   部を持つ大端部給油孔と、前記コンロッド内を通り、一
   端が前記大端部給油孔に連通し、他端が前記小端穴内面
   に開口した給油孔と、前記小端穴に摺動自在に収納さ
   れ、かつ前記ピストンに固定されたピストンピンとから
   なる密閉型圧縮機。