JPH0724328A - 触媒粒子およびその使用方法 - Google Patents

触媒粒子およびその使用方法

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JPH0724328A
JPH0724328A JP5168138A JP16813893A JPH0724328A JP H0724328 A JPH0724328 A JP H0724328A JP 5168138 A JP5168138 A JP 5168138A JP 16813893 A JP16813893 A JP 16813893A JP H0724328 A JPH0724328 A JP H0724328A
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JP
Japan
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metal oxide
metal
catalyst
reaction
core material
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JP5168138A
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English (en)
Inventor
Tatsuhiro Imai
井 達 裕 今
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Soken Kagaku KK
Original Assignee
Soken Kagaku KK
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明の触媒粒子は、芯材である粒子径0.
05〜5mmの樹脂粒子と、この芯材の表面に形成された
金属酸化物層と、この金属酸化物層の表面に形成された
厚さ0.01〜5μmの金属層とからなり、この樹脂粒
子と金属酸化物層を形成する金属酸化物との重量比が9
9.9:0.1〜90:10の範囲内にあり、そして、金属
層が、パラジウム、白金、ニッケル、銅および少なくと
も一種類の該金属を主成分とする合金よりなる群から選
ばれる金属成分を含有する。さらに本発明は、この触媒
粒子を使用する方法をも提供する。 【効果】 本発明の触媒粒子は、特に気液混相反応にお
ける触媒として適しており長時間その触媒活性が低下し
ないとの効果を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、粒状の形態を有する新
規な触媒粒子およびこの使用方法に関する。さらに詳し
くは本発明は、気液混相反応のように異なる相間での反
応に特に好適な触媒粒子およびこの使用方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景およびその問題点】化学反応には、
気相反応、液相反応、気液混相反応等の種々の相の反応
があり、工業的には、多くの場合、反応を効率的に行う
ため触媒が用いられている。こうした触媒を用いた反応
の内、固体触媒を用いる不均一触媒反応では、反応原料
と触媒との接触性によって反応速度等が著しく変動す
る。
【0003】一般に、化学反応は触媒と反応原料との接
触の程度が高い程全体の反応速度が大きくなることか
ら、多孔質物質に触媒を担持させて、触媒と反応原料と
の接触面積を大きくしている。こうした方法は、気相反
応、液相反応で非常に有効であり、既にシリカ、アルミ
ナ等数多くの多孔質担体が用いられている。
【0004】しかしながら、気液混相反応のように反応
系に気相と液相とが混在する系における反応では、気泡
の表面張力のために多孔質担体の深部にまで反応原料が
侵入しないために、上記のような多孔質担体を用いて単
位体積当たりの表面積を大きくしても、触媒粒子内部へ
気相の拡散が妨害され全体の反応速度はそれほど改善さ
れない。例えば特開昭58-122046号、同62-38245号公報
等には気液混相反応で使用する触媒に撥水性多孔質担体
を使用して、水滴で孔口が閉塞されないようにして、反
応性を確保した気液混相反応における触媒が開示されて
おり、こうした提案から明らかなように、気液混相反応
における触媒の反応性は、一般的な触媒のように単に比
表面積を高くすることによっては改善されない。
【0005】近年、CODまたはBOD値を低減させる
ため溶存物質を酸化処理し、環境汚染の低減を図ろうと
する要請が強く、一般水処理等においてさえも酸化処理
した後に排水することが必要になってきている。こうし
た一般水処理における酸化処理では気液混相反応が利用
されており、しかもこの気液混相反応で著しく多量の水
を処理する必要がある。従って、こうした気液混相反応
では、より活性の高い触媒を使用することが必要である
とともに、さらにその活性をできるだけ長時間維持する
ことが必要になる。
【0006】こうした気液混相系における反応の触媒と
して、例えば、特開平4-166215号公報には、電気式脱イ
オン水製造装置から排出される電極水の処理方法の発明
が開示されている。
【0007】この方法では、イオン交換樹脂にパラジウ
ムを担持させた触媒の存在下に、水素ガスを含む陰極水
と酸素ガスを含有する陽極水とを接触させることにより
水素ガスと酸素ガスとを反応させて水処理を行ってい
る。
【0008】このような水処理では、非常に多量の水を
処理しなければならず、さらにパラジウムが高価である
ことから、触媒の活性をできるだけ長時間維持する必要
がある。
【0009】また、気液混相反応における反応性を向上
させるために、反応系における気液混合状態を改善する
方法等、種々の提案がある(特開昭53-110968号、同63-
252540号、特開平3-196832号、同4-156937号等の公報参
照)。しかしながら、これらの公報には、触媒自体の構
造を変えて反応性を改善しようとする試みは開示されて
いない。
【0010】ところで、樹脂からなる芯材としてこの芯
材上に無電解メッキ法で金属層を形成する際に、芯材の
濡れ性を向上させるために芯材上に金属酸化物層を形成
する方法およびこのような構造を有する金属被覆粒子は
既に知られている(例えば特開平4-228503号、同4-1838
04号公報参照)。
【0011】しかしながら、これらの公報において、金
属酸化物層は、金属層を形成する際の芯材の濡れ性を改
善するために設けられているのであり、さらにこれらの
金属被覆粒子は塗料、接着剤、粉末冶金、射出成形、電
磁波シールド材、分散強化材、静電複写トナー、粉体塗
料および化粧料等としての使用が提案されているだけで
あり、触媒としての用途に関しては全く検討されていな
い。
【0012】本発明者はこうした金属被覆粒子について
従来全く検討されていなかった触媒の分野において種々
検討を行った結果、樹脂芯材表面に金属酸化物層を介し
て特定の金属から形成された金属層を有する粒子が優れ
た触媒作用を有すると共に、その触媒作用が長期間維持
されるとの知見を得て本発明を完成するに至った。
【0013】
【発明の目的】本発明は、新規な形態の触媒粒子および
その触媒粒子を使用する方法を提供することを目的とす
る。さらに詳しくは本発明は、触媒活性が低下しにくく
長時間使用することができる触媒粒子およびこの触媒粒
子を使用する方法を提供することを目的としている。
【0014】
【発明の概要】本発明の触媒粒子は、芯材である平均粒
子径0.05〜5mmの樹脂粒子と、該芯材の表面に形成
された金属酸化物層と、該金属酸化物層の表面に形成さ
れた厚さ0.01〜5μmの金属層とからなり、該樹脂
粒子と金属酸化物層を形成する金属酸化物との重量比が
99.9:0.1〜90:10の範囲内にあり、そして、該
金属層が、パラジウム、白金、ニッケル、銅および少な
くとも一種類の該金属を主成分とする合金よりなる群か
ら選ばれる金属成分を含有することを特徴としている。
【0015】また、本発明の触媒粒子の使用方法は、芯
材である平均粒子径0.05〜5mmの樹脂粒子と、該芯
材の表面に形成された金属酸化物層と、該金属酸化物層
の表面に形成された厚さ0.01〜5μmの金属層とか
らなり、該樹脂粒子と金属酸化物層を形成する金属酸化
物との重量比が99.9:0.1〜90:10の範囲内にあ
り、そして、該金属層が、パラジウム、白金、ニッケ
ル、銅および少なくとも一種類の該金属を主成分とする
合金よりなる群から選ばれる金属成分を含有する触媒粒
子の存在下に、気液混相系で、反応を行うことを特徴と
している。
【0016】本発明の触媒粒子は、上記のように樹脂粒
子の表面に金属酸化物層および金属層がこの順序で積層
された断面構造を有する。このように芯材の表面に金属
酸化物からなる薄層を形成し、さらにこの金属酸化物層
の上に金属層を形成することにより、触媒活性が経時的
に低下しにくくなる。
【0017】また、芯材として樹脂粒子を使用している
ので、この触媒粒子の比重が低くなり、移動層または流
動層のようにこの触媒を固定しないで使用する場合に
は、反応系に対する分散が非常に容易になる。
【0018】特に本発明の触媒粒子は、気液混相系にお
ける反応触媒、気液混相反応、さらに詳しくは原料系ま
たは生成系の少なくとも一方が気体または液体である気
液混相反応における触媒として有用性が高い。
【0019】
【発明の具体的説明】次に本発明の触媒粒子およびその
使用方法について具体的に説明する。本発明の触媒粒子
は、図1に示すように、芯材1、この芯材1表面に形成
された金属酸化物層2、および、この金属酸化物層2上
に形成された金属層3からなる。
【0020】本発明の触媒粒子において、芯材は樹脂か
ら形成されている。この芯材は、0.05〜5mmの範囲
内の平均粒子径を有しており、さらに0.1〜5mmの平
均粒子径を有する樹脂粒子が好ましく、0.2〜2mmの
平均粒子径を有する樹脂粒子が特に好ましい。上記のよ
うな平均粒子径を有する樹脂粒子は、曲率半径があまり
小さくならないので、この樹脂粒子表面に均一な金属層
を例えば無電解メッキ法で容易に形成することができ
る。
【0021】この芯材を形成する樹脂の例としては、
(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン/
(メタ)アクリル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプ
ロピレン系樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ポリアセター
ル樹脂、ポリカーボネート系樹脂、フェノール系樹脂、
ベンゾグアナミン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステ
ル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ウレタン系樹脂およびポ
リイミド系樹脂を挙げることができる。この有機重合体
は、架橋重合体または非架橋重合体のいずれであっても
よい。これらの中でも(メタ)アクリル系樹脂(例:メ
チルメタクリレート)およびスチレン/(メタ)アクリ
ル系樹脂のようなアクリル系樹脂が好ましい。
【0022】このように芯材として樹脂粒子を用いるこ
とにより、本発明の触媒粒子の比重が低くなり反応系へ
の分散が容易になると共に、例えば芯材としてガラスビ
ーズなど用いた場合よりも触媒活性を長時間維持するこ
とができる。
【0023】本発明の触媒粒子には、上記のような芯材
表面に金属酸化物層が形成されている。この金属酸化物
層は、通常は4価金属の酸化物から形成されており、こ
のような4価金属の酸化物の好適な例としては、酸化ス
ズ、酸化ケイ素、酸化チタンおよび酸化ジルコニウムを
挙げることができる。ここで金属酸化物としては、通常
は0.001〜1μm、好ましくは0.02〜0.1μm
の平均粒子径を有する粒子が使用される。すなわち、通
常、芯材である樹脂粒子の1/5,000,000〜1/50程
度、好ましくは1/10,000〜1/5,000程度の平均粒子
径を有する金属酸化物粒子が使用される。
【0024】この金属酸化物層は、樹脂粒子と金属酸化
物粉末とを、ボールミル等の混合機を用いて乾式混合法
(ドライブレンド法、メカノケミカル法)により形成す
ることができる。ここで乾式混合法の例としては、ハイ
ブリダイゼーションシステム(株式会社奈良機械製作所
製)、メカノフュージョンシステム(ホソカワミクロン
株式会社製)、コスモス(川崎重工業株式会社製)等の
粒子複合化装置を用いた方法を挙げることができる。こ
のような乾式混合法で樹脂粒子と金属酸化物粒子とを混
合することにより樹脂粒子表面に連続性の高い金属酸化
物層を形成することができる。
【0025】さらに、樹脂と金属酸化物を不均一に溶融
混練し、その後に粉砕すると金属酸化物が表面に固定さ
れた樹脂粒子が得られる。上記の方法の他、金属酸化物
が水およびモノマーに不溶もしくは難溶の場合には、こ
の金属酸化物粒子を水性溶媒に分散させ、この水性溶媒
中にモノマーを入れて懸濁重合することにより、金属酸
化物が分散安定剤として作用するため、重合させながら
表面に金属酸化物が固定された樹脂粒子が得られる。こ
のように重合させることにより、金属酸化物は、その界
面作用により殆どが樹脂粒子表面に薄層を形成して固定
され、均一な金属酸化物層を形成する。
【0026】特に本発明では粒子複合化装置で形成され
た金属酸化物層、および、懸濁重合の際に金属酸化物を
配合して重合させることにより形成された金属酸化物層
が好ましい。
【0027】このように樹脂芯材上に金属酸化物層を介
して金属層を形成することにより、触媒活性を長時間維
持することができる。しかも例えば無電解メッキ法によ
り均一性の高い金属層を容易に形成することができる。
【0028】本発明の触媒粒子は、上記の金属酸化物層
上に金属層を有している。この金属層は、触媒作用を有
する金属により形成されており、金属酸化物層における
金属とは別の金属である。
【0029】このような触媒作用を有する金属として、
パラジウム、白金、ニッケル、銅およびこれらの金属を
主成分として含有する合金を挙げることができる。すな
わち、この金属層は、パラジウム、白金、ニッケルまた
は銅のいずれかの金属単独で形成されていてもよいし、
これらの金属の合金であってもよい。さらに、この金属
層には、触媒作用が損なわれない範囲内で、他の成分が
含有されていてもよい。ここで、上記金属または合金と
共に金属層を形成することができる他の成分の例として
は、B、P、Co、Fe、Ag、Au、Rh、Ru、C
r、Cd、Pb、Sn、Zn、W、InおよびIrを挙
げることができる。このような他の成分は、金属層に通
常は25重量%以下、好ましくは13重量%以下、さら
に好ましくは4重量%以下の量で含有されることができ
る。
【0030】この金属層は、例えば真空蒸着法、スパッ
タリング法、PVDおよびCVD法等により形成するこ
とができるが、特に本発明では無電解メッキ法により形
成することが好ましい。
【0031】無電解メッキ法は、金属イオンを含有する
水溶液に還元剤を加えて加温乃至加熱することにより電
流を流すことなく金属を析出させる方法であり、この無
電解メッキ法により形成された金属層は非常に均一性が
高くなる。
【0032】金属層は、0.01〜5μmの平均層厚を
有しており、さらにこの平均層厚が0.1〜1.5μmの
範囲内にあることが好ましい。また、この金属層を形成
する金属と前記金属酸化物層を形成する金属酸化物との
重量比は99.9:0.1〜90:10の範囲内にある。金
属と金属酸化物とを上記のような量で用いることによ
り、触媒の活性が長時間維持される。
【0033】この金属層は、前述のようにして芯材の表
面に金属酸化物層を形成した後、通常は感応化処理およ
び活性化処理を施し、次いで無電解メッキ法により金属
層を形成する。ここで感応化処理は被メッキ物を塩化第
1スズ塩酸溶液等に浸漬する処理であり、活性化処理は
感応化処理した被メッキ物を塩化パラジウム塩酸溶液等
に浸漬する処理である。
【0034】こうして感応化処理および活性化処理が施
された被メッキ体、即ち金属酸化物層が形成された芯材
を、室温〜90℃の範囲内の温度に維持された無電解メ
ッキ液中に投入して、攪拌下に10分〜24時間反応さ
せることにより、金属層を形成することができる。
【0035】本発明の触媒粒子は、上記のように芯材と
して樹脂粒子を用いているので、比重が低くなり、反応
系への触媒粒子の分散が容易になる。さらにこのように
芯材として樹脂粒子を用い、さらに金属酸化物層を介し
て触媒となる金属層を形成することにより、触媒粒子の
活性を長時間維持することができる。本発明の触媒粒子
において触媒活性の低下が少なく、その活性が長時間維
持されることについての機構は明確ではないが、後述す
るように実施例と比較例との対比から明らかなように、
樹脂芯材および金属酸化物層が互いに共同することによ
り触媒活性が低下しにくくなっていることがわかる。
【0036】本発明の触媒粒子は、表面にある金属層を
形成する金属の種類によって種々の反応に対する触媒活
性を有し、液相反応、気相反応のような単一相での触
媒、特に酸化触媒として使用することができるが、特に
異なる相間で進行する反応の触媒として好適である。こ
のような異なる相間で進行する反応の例としては、原料
系または生成系の少なくとも一方が気体または液体であ
る気液混相反応を挙げることができる。さらに本発明の
触媒粒子は、このような気液混相反応における酸化触媒
として有用性が高い。
【0037】こうした気液混相反応の例としては、水処
理における酸化反応、水素または窒素化合物の酸化処
理、溶存二酸化炭素の固定反応、燃料電池用石油の改
質、溶存ガスの酸化処理反応、アルデヒド類の酸化反
応、アルコール類の酸化反応およびアルコール類の脱水
素反応を挙げることができる。これらの中でも本発明の
触媒粒子は、水処理における酸化反応、水素または窒素
化合物の酸化処理、溶存二酸化炭素の固定反応、燃料電
池用石油の改質および溶存ガスの酸化処理反応における
酸化触媒としての有用性が高い。
【0038】図2に窒素化合物であるヒドラジンを含有
する水の酸化処理の例を示す。タンク11からヒドラジ
ンを含有する処理水を送液ポンプ12で下端部から処理
塔13に導入する。これとは別に空気をブロア14で同
様に処理塔13の下端部から導入し、処理塔13内で処
理水と空気とを混合する。この処理塔13内には、アク
リル系樹脂芯材の表面に酸化ケイ素層およびパラジウム
層がこの順序で積層された本発明の触媒粒子が充填され
ており、この触媒粒子と前記処理水および空気とは気液
混相状態で接触する。この処理水と空気とは上昇流で触
媒粒子と接触することが好ましい。このように処理する
ことにより、ヒドラジンは酸化分解されて窒素と水とに
なり、排水口15から排出される。なお、このヒドラジ
ンの酸化分解における平均滞留時間は通常は0.1〜5
分間、反応温度は通常は30〜80℃である。
【0039】上記ヒドラジンを含有する水の酸化処理の
例で示すような気液混相反応において、本発明の触媒粒
子の触媒活性は非常に長時間維持される。すなわち、芯
材として樹脂粒子を使用せずに、例えばガラスビーズ等
の表面に金属酸化物層を形成し、この金属酸化物層上に
金属層を設けた粒子、または、樹脂粒子の表面に直接金
属層を形成した粒子等では、反応開始当初の触媒活性が
非常に短時間で低下するが、本発明の触媒粒子は触媒活
性が低下しにくく、上記のような粒子の2倍以上の触媒
能力を有するものが多い。
【0040】本発明の触媒粒子は、ヒドラジンの酸化処
理に限らず、種々の気液混相反応において上記の例と同
等の効果を奏する。例えば上記図2において、ヒドラジ
ンを含有する処理水の代わりに、タンク11内に水素ガ
スが溶存している液を投入することにより水素を酸化処
理することができ、また燃料電池用石油原料を投入する
ことにより燃料電池用石油の改質を行うことができ、さ
らに二酸化炭素が溶存している海水を投入することによ
り二酸化炭素の固定・改質を行うことができ、ガス吸収
スクラバーでガスを吸収した液を投入することによりこ
のガスを酸化処理することができる。
【0041】また、本発明の触媒粒子を用いて濡れ壁塔
の内壁材を形成することにより、この濡れ壁塔における
ガスの吸収および酸化を同時に行うことができる。さら
に、本発明の触媒粒子は、通常1.2〜2.5g/cm3程度
の比重を有しており、この比重は処理液の比重と近似し
ているため、例えばこの触媒を気液混合相流における移
動層もしくは流動層で使用する際に触媒粒子と処理液と
を有効に接触させることができる。
【0042】
【発明の効果】本発明の触媒粒子では、樹脂粒子からな
る芯材およびこの芯材表面に金属酸化物層を有し、この
金属酸化物層の上に金属層が形成されているので、異な
る相が相接する相間における反応、特に気液混相におけ
る酸化反応において、有効な触媒活性が長期期間維持さ
れる。
【0043】また、この触媒粒子は、芯材が樹脂粒子か
らなるので、比重が低く、反応させようとする液体と近
似した比重を有する。従って、例えば本発明の触媒粒子
を用いることにより、処理物質と触媒粒子とを有効に接
触させることができる。
【0044】本発明の触媒粒子は、特に気液混相におけ
る反応触媒として有用性が高い。
【0045】
【実施例】次に実施例を示して本発明を説明するが、本
発明はこれにより限定されるものではない。
【0046】
【製造例1】攪拌装置、温度計および窒素ガス導入管を
有するステンレス製の容量5リットルの重合容器中に、
水1400重量部を仕込んだ。次いでこの水にポリビニ
ルアルコール3.3重量部を溶解させた後、この溶液に
ベンゾイルパーオキサイド6重量部を溶解させたメチル
メタクリレート600重量部を添加し、ゆっくりとした
一定の攪拌条件下で75℃で5時間加熱し、懸濁重合を
完了させた。
【0047】得られた懸濁液を、遠心脱水後、水洗乾燥
して平均粒子径200μmのポリメチルメタクリレート
粉体を得た。
【0048】
【製造例2】製造例1において、水1400重量部の代
わりに、水1400重量部および酸化ケイ素18重量部
を仕込んだ以外は同様にして懸濁重合を行い、平均粒子
径200μmの粉体を得た。
【0049】得られた粉体を走査型電子顕微鏡で観察し
たところ、粒子表面が酸化ケイ素で被覆されたポリメチ
ルメタクリレート粉体であった。
【0050】
【製造例3】製造例1で得られたポリメチルメタアクリ
レート粉体100gと酸化ケイ素3gとを市販の容量5
00ccポリ瓶に入れ、ポリ瓶の回転数が60ppmにな
るように回転速度を調節し、60分間処理した。
【0051】得られた粉体を走査型電子顕微鏡で観察し
たところ、製造例1で得られたのと同様の酸化ケイ素で
被覆されたポリメチルメタクリレート粉体であった。
【0052】
【比較例1】製造例1で得られた粉体を塩化第1すず塩
酸溶液に浸漬し、感応化処理を施した後、塩化パラジウ
ム塩酸溶液に浸漬し、活性化処理を施した。
【0053】次いで、処理粉体50gを、塩化パラジウ
ム32g、25%アンモニア水400g、エチレンジア
ミン四酢酸二ナトリウム68g、ヒドラジン5.8gお
よびイオン交換水600gからなるメッキ液で、40℃
で1時間かけて無電解メッキを行った。その後、遠心脱
水し、水洗乾燥してパラジウムメッキ粒子を得た。得ら
れたメッキ粒子のパラジウム層の厚さは、1.1μmで
あった。
【0054】得られた粉体を用いて、図2に示すヒドラ
ジン分解能測定装置により、ヒドラジンの分解速度を測
定したところ、表1に示すように、反応開始直後のヒド
ラジン分解速度は高かったが、触媒活性が短時間で低下
して24時間経過後では実用的に有効な触媒活性は示さ
なくなった。結果を表1に示す。
【0055】
【実施例1】製造例2で得られた粉体を塩化第1すず塩
酸溶液に浸漬し、感応化処理を施した後、塩化パラジウ
ム塩酸溶液に浸漬し、活性化処理を施した。
【0056】次いで、処理粉体50gを、塩化パラジウ
ム32g、25%アンモニア水400g、エチレンジア
ミン四酢酸二ナトリウム68g、ヒドラジン5.8gお
よびイオン交換水600gからなるメッキ液で、40℃
で1時間かけて無電解メッキを行った。
【0057】その後、遠心脱水し、水洗乾燥してパラジ
ウムメッキ粒子を得た。得られたメッキ粒子のパラジウ
ム層の厚さは、1.1μmであった。得られた粉体を用
いて、図2に示すヒドラジン分解能測定装置により、ヒ
ドラジンの分解速度を測定したところ、表1に示すよう
に、24時間経過の触媒活性と28日経過後の触媒活性
との間に殆ど差がなく、長期間この触媒を使用すること
ができた。結果を表1に示す。
【0058】
【実施例2】製造例3で得られた粉体を塩化第1すず塩
酸溶液に浸漬し、感応化処理を施した後、塩化パラジウ
ム塩酸溶液に浸漬し、活性化処理を施した。
【0059】次いで、処理粉体50gを、塩化パラジウ
ム32g、25%アンモニア水400g、エチレンジア
ミン四酢酸二ナトリウム68g、ヒドラジン5.8gお
よびイオン交換水600gからなるメッキ液で、40℃
で1時間かけて無電解メッキを行った。
【0060】その後、遠心脱水し、水洗乾燥してパラジ
ウムメッキ粒子を得た。得られたメッキ粒子のパラジウ
ム層の厚さは、1.1μmであった。得られた粉体を用
いて、図2に示すヒドラジン分解能測定装置により、ヒ
ドラジンの分解速度を測定したところ、表1に示すよう
に、24時間経過の触媒活性と28日経過後の触媒活性
との間に殆ど差がなく、長期間この触媒を使用すること
ができた。結果を表1に示す。
【0061】
【比較例2】実施例1において、製造例2で得られた粉
体の代わりに、市販のガラスビーズ(平均粒子径0.2m
m)を用いた以外は同様にして触媒粒子を製造した。
【0062】この触媒粒子を用いて実施例1と同様にし
てヒドラジンの分解速度を測定したが、反応開始直後の
分解速度もそれほど高くはなく、さらに24時間後には
比較例1の分解速度以下になったので、この段階で反応
を中止した。結果を表1に示す。
【0063】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の触媒粒子の断面形状を模式的
に示す断面図である。
【図2】 図2は本発明の触媒粒子を用いたヒドラジン
含有水の処理装置の例を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1・・・芯材 2・・・金属酸化物層 3・・・金属層 11・・・タンク 12・・・ポンプ 13・・・処理装置 14・・・ブロア 15・・・排出口

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芯材である粒子径0.05〜5mmの樹脂
    粒子と、該芯材の表面に形成された金属酸化物層と、該
    金属酸化物層の表面に形成された厚さ0.01〜5μm
    の金属層とからなり、該樹脂粒子と金属酸化物層を形成
    する金属酸化物との重量比が99.9:0.1〜90:10
    の範囲内にあり、そして、該金属層が、パラジウム、白
    金、ニッケル、銅および少なくとも一種類の該金属を主
    成分とする合金よりなる群から選ばれる金属成分を含有
    することを特徴とする触媒粒子。
  2. 【請求項2】 芯材がアクリル系樹脂粒子であることを
    特徴とする請求項第1項記載の触媒粒子。
  3. 【請求項3】 金属酸化物が4価金属の酸化物であるこ
    とを特徴とする請求項第1項記載の触媒粒子。
  4. 【請求項4】 金属酸化物が、酸化スズ、酸化ケイ素、
    酸化チタンおよび酸化ジルコニウムよりなる群から選ば
    れる少なくとも一種類の金属酸化物であることを特徴と
    する請求項第1項または第3項記載の触媒粒子。
  5. 【請求項5】 金属層が、無電解メッキ法により形成さ
    れた層であることを特徴とする請求項第1項記載の触媒
    粒子。
  6. 【請求項6】 芯材である粒子径0.05〜5mmの樹脂
    粒子と、該芯材の表面に形成された金属酸化物層と、該
    金属酸化物層の表面に形成された厚さ0.01〜5μm
    の金属層とからなり、該樹脂粒子と金属酸化物層を形成
    する金属酸化物との重量比が99.9:0.1〜90:10
    の範囲内にあり、そして、該金属層が、パラジウム、白
    金、ニッケル、銅および少なくとも一種類の該金属を主
    成分とする合金よりなる群から選ばれる金属成分を含有
    する触媒粒子の存在下に、気液混相系で、反応を行うこ
    とを特徴とする触媒粒子の使用方法。
  7. 【請求項7】 気液混相系における反応が、水処理にお
    ける酸化反応、水素または窒素化合物の酸化処理、溶存
    二酸化炭素の固定反応、燃料電池用石油の改質、また
    は、溶存ガスの酸化処理反応のいずれかであることを特
    徴とする請求項第6項記載の触媒粒子の使用方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10309477A (ja) * 1997-05-05 1998-11-24 Akzo Nobel Nv 触媒の製造方法
JP2005013983A (ja) * 2003-06-24 2005-01-20 Rohm & Haas Electronic Materials Llc 触媒組成物および析出方法

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