JPH0723839U - 内燃機関のバランサ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 内燃機関の全高の増大やシリンダ本体の下部
幅の増大を回避するとともに、バランサ錘の油中回転に
よる流体摩擦を解消し、油温上昇を防止する。 【構成】 クランク軸４により駆動されるバランサ錘１
６を回転自在に支持したバランサケース１０を、オイル
パン３の内部へ密封的に配設する。バランサケース１０
の上部にシリンダ本体２のオイルギヤラリと連通する油
管２１を配設する。油管２１に形成したベンチユリ部２
２にバランサケース１０の底部へ開口する吸込管２３を
接続する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は流体摩擦を解消した自動車用内燃機関のバランサ装置に関するもので ある。

【０００２】

【従来の技術】

バランサ装置は機関本体の振動を防止するために、船舶、農耕機械などに広く 採用されてきている。

【０００３】 ところが、自動車用内燃機関においては、バランサ装置がシリンダ本体とオイ ルパンとの間に設けられるために、内燃機関の全高の増大やシリンダ本体の下部 幅の増大を招くことになり、あまり採用されていなかつた。

【０００４】 上述のような不具合を改良するために、バランサ装置を内燃機関のオイルパン の内部に配設する提案が、実開昭58-4840 号公報や実開昭61-184144 号公報に開 示されている。しかしながら、上記公開公報に提案されているバランサ装置では 、バランサ錘がオイルパンの油中に浸漬された形で回転運動をするので、内燃機 関の流体摩擦の増大や、潤滑油の温度上昇による潤滑機能の低下を来たすという 不具合をもたらすものであつた。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

本考案の目的は上述の問題に鑑み、内燃機関の全高の増大やシリンダ本体の下 部幅の増大を回避するとともに、バランサ錘の油中回転による流体摩擦の増大お よび油温上昇を解消する内燃機関のバランサ装置を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案の構成はクランク軸により駆動されるバラ ンサ錘を回転自在に支持したバランサケースをオイルパンの内部に密封的に配設 し、上記バランサケースの上部にシリンダ本体のオイルギヤラリと連通する油管 を配設し、該油管に形成したベンチユリ部に上記バランサケースの底部へ開口す る吸込管を接続したものである。

【０００７】

【作用】

内燃機関の運転時、歯車などを介し、または上部ケースと下部ケースとの接合 部などから油がバランサケースの内部へ浸入しても、バランサケースの油は油管 のベンチユリ部を通過する油のベンチユリ効果により吸込管から油管へ導かれ、 バランサケースの外部つまりオイルパンへ排出される。よつて、バランサケース の内部に油が多量に滞留することはなく、バランサ錘の油中での回転が避けられ 、バランサ錘の回転に対する流体摩擦を減じ、油温上昇による油の潤滑機能の低 下を防止できる。

【０００８】

【実施例】

本考案に係る内燃機関のバランサ装置の一実施例を図について説明する。図１ ，２に示すように、内燃機関のシリンダ本体２は下部に、オイルパン３を取り付 けられている。オイルパン３の内部へ収容されるバランサケース１０は、上部ケ ース１０ａと下部ケース１０ｂを密封的に結合してなり、シリンダ本体２の下端 からオイルパン３の内部へ突出する複数の柱８へボルト９により支持される。

【０００９】 図３に示すように、バランサケース１０の内部の隔壁１２，１２ａと１７，１ ７ａに、軸受１３，１９によりバランサ錘１６の両端軸部１４が回転自在に支持 される。バランサ錘１６の軸部１４は隔壁１７，１７ａから延長され、互いに噛 み合う歯車７，６を結合される。歯車６は軸２０により上部ケース１０ａに回転 可能に支持された中間歯車５を介して、内燃機関のクランク軸４に取り付けられ たクランク歯車４ａに噛み合される。よつて、内燃機関の運転時、バランサ錘１ ６はクランク軸４により回転駆動され、シリンダ本体２の振動を抑止する。

【００１０】 バランサケース１０の上側内空部に配設支持された油管２１は、入口端２１ａ を図示してない管により、シリンダ本体２の内部に設けられたオイルギヤラリ（ 図示せず）へ接続される。バランサケース１０の内部で、油管２１は途中にベン チユリ部２２を形成され、出口端２１ｂはオイルパン３の内部へ突出される。吸 込管２３は下端をバランサケース１０の底部に近接して開口され、上端を油管２ １のベンチユリ部２２へ接続される。隔壁１２ａ，１７ａに設けた油路１５，１ ８は、バランサケース１０の内部へ浸入した油を吸込管２３へ誘導するためのも のである。

【００１１】 本考案の内燃機関のバランサ装置は上述のように構成されているので、内燃機 関の運転時、歯車５，６，７などを介して、または上部ケース１０ａと下部ケー ス１０ｂとの接合面などから、油がバランサケース１０の内部へ浸入しても、バ ランサケース１０の内部の油は吸込管２３から、ベンチユリ部２２を通過する油 のベンチユリ効果により油管２１へ導かれ、バランサケース１０の外部つまりオ イルパン３へ排出される。したがつて、バランサケース１０の内部に油が多量に 滞留することがないので、パランサ錘１６が回転しつつバランサケース１０の油 ２４を攪拌するような事態が避けられ、パランサ錘１６の流体摩擦が減じられ、 攪拌に伴う油温上昇による潤滑機能の低下が防止される。

【００１２】 なお、上記実施例では示さなかつたが、バランサケース１０のオイルパン３の 内部の油面よりも上方部位に、バランサケース１０が密閉される場合に内部圧力 の低下を防止するための通気孔を設けることが好ましい。

【００１３】

【考案の効果】

本考案は上述のように、クランク軸により駆動されるバランサ錘を回転自在に 支持したバランサケースをオイルパンの内部に密封的に配設し、上記バランサケ ースの上部にシリンダ本体のオイルギヤラリと連通する油管を配設し、該油管に 形成したベンチユリ部に上記バランサケースの底部へ開口する吸込管を接続した ものであるから、内燃機関の全高の増大やシリンダ本体の下部幅の増大を回避で き、バランサ錘の油中回転による流体摩擦を解消し、油温の上昇を防止すること ができ、特に自動車用内燃機関として最適なバランサ装置を提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例に係る内燃機関のバランサ装
置の一部を破断して示す正面断面図である。

【図２】同内燃機関のバランサ装置の側面断面図であ
る。

【図３】同内燃機関のバランサ装置の要部を拡大して示
す側面断面図である。

【符号の説明】

２：シリンダ本体 ３：オイルパン ４：クランク軸
１０：バランサケース １６：バランサ錘 ２１：油管 ２２：ベンチユリ部
２３：吸込管

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】クランク軸により駆動されるバランサ錘を
   回転自在に支持したバランサケースをオイルパンの内部
   に密封的に配設し、上記バランサケースの上部にシリン
   ダ本体のオイルギヤラリと連通する油管を配設し、該油
   管に形成したベンチユリ部に上記バランサケースの底部
   へ開口する吸込管を接続したことを特徴とする、内燃機
   関のバランサ装置。