JPH07233388A

JPH07233388A - 切削加工用油剤組成物

Info

Publication number: JPH07233388A
Application number: JP5289494A
Authority: JP
Inventors: Masao Obara; 正男小原; Hiroyasu Tamura; 裕保田村; Hiroshi Tamaru; 広志田丸
Original assignee: Yushiro Chemical Industry Co Ltd
Current assignee: Yushiro Chemical Industry Co Ltd
Priority date: 1994-02-24
Filing date: 1994-02-24
Publication date: 1995-09-05

Abstract

(57)【要約】【目的】塩素系極圧添加剤を含有しないため、廃棄焼
却において有害物質の発生が少なく、環境汚染或いは焼
却炉損傷の問題も少ないうえ、基油に塩素系等の極圧剤
のみを添加した切削加工用油剤等に比べより優れた切削
性能を有する切削加工用油剤組成物を提供する。【構成】（ａ）鉱物油（スピンドル油、マシン油等）
及び油脂（ナタネ油等）等から選ばれた少なくとも１種
の潤滑基油：１０〜９５．９重量％、（ｂ）アルカリ金
属（カリウム、ナトリウム等）及び／又はアルカリ土類
金属（カルシウム等）のスルホン酸塩及び／又は炭酸塩
（カリウムスルホネート、炭酸カルシウム等）：１０〜
７０重量％、（ｃ）チオリン酸亜鉛化合物等（ジチオリ
ン酸亜鉛等）：１０〜７０重量％、並びに（ｄ）硫黄系
極圧剤（硫化脂肪油、ポリスルフィド等）：０．１〜７
０重量％を含有する切削加工用油剤組成物。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、金属の切削加工に用い
られる油剤組成物に関し、特にブローチ、タップ等の加
工に好適な油剤組成物に関する。従って、本発明は潤滑
剤を製造する産業及び金属を切削加工する産業において
利用される。

【０００２】

【従来の技術】従来、ブローチ加工、タップ加工等の切
削加工用油剤としては種々の組成物が用いられており、
一般には、鉱物油、油脂或いは合成潤滑油等からなる基
油に、塩素系極圧剤、硫黄系極圧剤、リン系極圧剤、有
機金属化合物系の極圧剤、油性向上剤（例えば、油脂、
エステル等）、酸化防止剤、防錆剤、消泡剤、非鉄金属
防食剤等の各種添加剤が配合されている。上記の各種極
圧剤のうち、特に塩素系極圧剤、硫黄系極圧剤等は切削
性能向上の効果に優れ、且つ比較的安価なため多用され
ている。塩素系極圧剤としては、塩素化パラフィン、塩
素化脂肪酸、塩素化脂肪酸エステル等が使用されてお
り、また、硫黄系極圧剤としては、硫化脂肪油、ポリス
ルフィド等が使用されている。しかしながら、近年では
塩素系極圧剤を配合した不水溶性切削油剤を使用した場
合、焼却処理時の有害物質の発生による環境公害や焼却
炉の損傷の問題を指摘されることがある。また、塩素系
極圧剤のうち一部の塩素化パラフィンでは、毒性及び発
癌性の可能性についての懸念も生じてきている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明の切削加工用油
剤組成物は、上記欠点を克服し、更に、基油に塩素系、
硫黄系等の極圧剤のみを添加した切削油剤に比べ、より
優れた切削性能を有するものであり、塩素系極圧剤を含
有する切削油剤を焼却処理する時の有害物質の発生によ
る環境公害や焼却炉の損傷の問題が抑えられ、且つ、特
にブローチ加工、タップ加工等の加工において良好な切
削性能（工具寿命の延長）を有する、塩素系極圧剤を含
有しない切削油剤を提供することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、切削油剤
成分と切削加工における性能、特に工具寿命との関係に
ついて鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の切削加工用油剤組成物は、（ａ）鉱物
油、油脂及び合成潤滑油から選ばれた少なくとも１種の
潤滑基油、（ｂ）アルカリ金属及び／又はアルカリ土類
金属のスルホン酸塩及び／又は炭酸塩、（ｃ）チオリン
酸亜鉛化合物、チオリン酸モリブデン化合物、チオカル
バミン酸亜鉛化合物及びチオカルバミン酸亜鉛化合物か
ら選ばれた少なくとも１種の金属化合物、並びに（ｄ）
硫黄系極圧剤を含むことを特徴とする。

【０００５】上記（ａ）成分の「鉱物油」としては、灯
油、軽油、スピンドル油、マシン油、ニュートラル油、
タービン油、シリンダー油、流動パラフィン等を挙げる
ことができる。上記「油脂」としては、牛脂、豚脂、ナ
タネ油、ヤシ油、パーム油、ヌカ油及びこれらの水素添
加油等を挙げることができる。また、上記「合成潤滑
油」としては、前記油脂から得られる脂肪酸、脂肪酸と
アルコールのエステル、ポリブテン等のポリオレフィ
ン、ポリエチレングリコール、ポリオールエステル等の
ポリオール類、ポリエーテル若しくはポリエステル及び
高級アルコール等を挙げることができる。

【０００６】上記（ｂ）成分としては、「アルカリ金属
のスルホン酸塩」、「アルカリ土類金属のスルホン酸
塩」、「アルカリ金属の炭酸塩」及び「アルカリ土類金
属の炭酸塩」の４種類のうち少なくとも１種を用いるこ
とができる。上記（ｂ）成分のアルカリ金属としては、
カリウム、ナトリウム、アルカリ土類金属としては、カ
ルシウムから選ばれた少なくとも１種が適当であり、
「スルホン酸塩」としてはカリウムスルホネート、ナト
リウムスルホネート、カルシウムスルホネート等、「炭
酸塩」としては炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カ
ルシウムが好適である。

【０００７】上記（ｃ）成分としては、「チオリン酸亜
鉛化合物」、「チオリン酸モリブデン化合物」、「チオ
カルバミン酸亜鉛化合物」及び「チオカルバミン酸モリ
ブデン化合物」の４種類の金属化合物のうち少なくとも
１種を使用できる。具体的には、ジチオリン酸亜鉛、ジ
チオカルバミン酸モリブデン等が挙げられる。上記
（ｂ）成分及び（ｃ）成分の含有量は、切削加工用油剤
組成物を１００重量部とした場合に、各々、１〜８０重
量部の範囲が適当であり、特に２〜６０重量部の範囲が
切削性能がより優れており好適である。この含有量が１
重量部未満では、切削加工において工具寿命の延長効果
が十分ではなく、含有量が８０重量部を越えてもそれ以
上の効果が得られず不経済である。

【０００８】また、上記（ｄ）成分としては、硫化脂肪
油、硫化脂肪酸、ポリスルフィド及び硫黄粉末等を用い
ることができる。この（ｄ）成分の含有量は０．０５〜
８０重量部の範囲が適当であり、特に０．１〜６０重量
部の範囲ではより優れた切削性能が実現され好適であ
る。この含有量が０．０５重量部未満では、切削加工に
おいて工具寿命の延長効果が十分ではなく、８０重量部
を越えてもそれ以上の効果が得られない。

【０００９】

【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明を詳細
に説明する。 (1) 油剤組成物の調製表１、表２に各実施例及び表３に各比較例の切削加工用
油剤組成物の組成を示す。

【００１０】

【表１】

【００１１】

【表２】

【００１２】

【表３】

【００１３】尚、表１、表２及び表３において、各実施
例、比較例の組成成分の配合を示す数値は全て重量部を
表す。各成分は具体的には下記の通りである。 1) カリウムスルホネート：日本ルブリゾール工業株式
会社製、商品名「ＬＺＯＳ８７９３１Ａ」 2) ナトリウムスルホネート：日本ルブリゾール工業株
式会社製、商品名「ＬＺ５３１８」 3) カルシウムスルホネートＡ：ウイトコケミカル社
製、商品名「ＳＡＣＩ１００」 4) カルシウムスルホネートＢ：日本ルブリゾール工業
株式会社製、商品名「ＬＺ５２８３」 5) 炭酸カリウム：和光純薬工業株式会社製（平均粒径
０．１μｍ以下） 6) 炭酸ナトリウム：和光純薬工業株式会社製（平均粒
径０．１μｍ以下） 7) 炭酸カルシウム：和光純薬工業株式会社製（平均粒
径０．１μｍ以下） 8) ジチオリン酸亜鉛：日本クーパー株式会社製、商品
名「ＨＩＴＩＣＥ６８２」 9) ジチオカルバミン酸モリブデン：旭電化工業株式会
社製、商品名「サクラルーブ１００」 10) 硫化脂肪油：大日本インキ化学工業株式会社製、
商品名「ＤＡＩＬＵＢＥＧＳ２１０」 11) ポリスルフィド：日本チオケミカル株式会社製、
商品名「ＴＯＰＳ」

【００１４】(2) 性能試験表１、表２及び表３の各実施例、比較例の性能を明らか
にするため以下の性能試験を行った。性能試験の方法及
び条件を下記に示し、各実施例の結果を表４に、比較例
の結果を表５に示す。加工の種類：ブローチ加工工具：一枚刃サーフェイスブローチ（ＳＫＨ５５）試験機：高速ブローチ試験機（不二越製）切り込み：０．０８ｍｍ／回切削長さ：５０ｍｍ／回油剤供給量：４リットル／ｍｉｎ性能評価：工具寿命、即ち最大逃げ面磨耗幅０．３ｍｍ
に到達するまでの切削長さ（ｍ）で評価した。条件Ａ：被削材；ＳＵＳ３０４（硬さＨｂ３２０）、切
削速度；１．０ｍｍ／ｍｉｎ条件Ｂ：被削材；Ｓ４５Ｃ（硬さＨｂ２１０）、切削速
度；６．０ｍｍ／ｍｉｎ

【００１５】

【表４】

【００１６】

【表５】

【００１７】(3) 実施例の効果表４の結果によれば、成分（ａ）及び成分（ｂ）のうち
のスルホネート並びに成分（ｃ）及び成分（ｄ）を含有
する実施例１、５、６、スルホネートに代えて炭酸塩を
使用した実施例７、成分（ｂ）としてスルホネートと炭
酸塩を併用した実施例２〜４では、使用した具体的な化
合物の種類によらず、いずれの場合も優れた切削性能が
発揮されていることが分かる。また、成分（ｃ）、成分
（ｂ）及び成分（ｄ）の含有量がそれぞれ非常に少ない
実施例８、９、１０、成分（ａ）、（ｂ）、（ｃ）いず
れもが少量である実施例１１、更に、成分（ｃ）、成分
（ｂ）及び成分（ｄ）がそれぞれ非常に多い実施例１
２、１３、１４のように、各成分の含有量が非常に少な
いか、或いは多い場合にも、優れた切削性能が実現され
ていることが分かる。

【００１８】一方、成分（ａ）に塩素系極圧剤のみを配
合した比較例１、３、成分（ａ）に塩素系と硫黄系の極
圧剤を併用した比較例２、４、及び成分（ａ）に成分
（ｃ）と塩素系極圧剤を用いた比較例５では、いずれの
場合も各実施例に比べてかなり切削性能が劣っているこ
とが分かる。また、比較例５では成分（ａ）と成分
（ｃ）及び塩素系極圧剤を使用しているが、その性能は
劣っており、この結果から成分（ｂ）と硫黄系極圧剤の
使用が必須であることが分かる。以上の結果より、本発
明の油剤組成物では、潤滑基油と所定のスルホネート等
及びチオリン酸亜鉛化合物等並びに硫黄系極圧剤を必須
成分として含有することにより、切削性能が大きく向上
していることが分かる。

【００１９】尚、本発明においては、前記具体的実施例
に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範
囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、
任意成分として各種の添加剤、例えば防錆剤、酸化防止
剤、消泡剤、非鉄金属防食剤等を適宜添加することがで
きる。

【００２０】

【発明の効果】本第１発明の切削加工用油剤組成物は、
塩素系極圧添加剤を含有せずに優れた切削性能を示すの
で、廃棄焼却において有害物質を発生することが少なく
環境汚染或いは焼却炉損傷の問題が少ない。また、基油
に塩素系等の極圧剤のみを添加した切削加工用油剤に比
べより優れた切削性能を有する。また、第２発明の特定
量の（ｂ）成分、第３発明の特定量の（ｃ）成分、第４
発明の特定量の（ｄ）成分及び第５発明の特定のアルカ
リ金属又はアルカリ土類金属を使用した場合には、特に
切削性能に優れた油剤組成物が得られる。

フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号庁内整理番号ＦＩ技術表示箇所Ｃ１０Ｍ 135:10 135:18 125:22 135:06 135:20） 125:24 139:00 ＺＣ１０Ｎ 10:02 10:04 10:12 30:06 40:22

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】（ａ）鉱物油、油脂及び合成潤滑油から
選ばれた少なくとも１種の潤滑基油、（ｂ）アルカリ金
属及び／又はアルカリ土類金属のスルホン酸塩及び／又
は炭酸塩、（ｃ）チオリン酸亜鉛化合物、チオリン酸モ
リブデン化合物、チオカルバミン酸亜鉛化合物及びチオ
カルバミン酸モリブデン化合物から選ばれた少なくとも
１種の金属化合物、並びに（ｄ）硫黄系極圧剤を含むこ
とを特徴とする切削加工用油剤組成物。
【請求項２】上記切削加工用油剤組成物を１００重量
部とした場合に、上記（ｂ）成分の含有量は１〜８０重
量部である請求項１記載の切削加工用油剤組成物。
【請求項３】上記切削加工用油剤組成物を１００重量
部とした場合に、上記（ｃ）成分の含有量は１〜８０重
量部である請求項１又は２記載の切削加工用油剤組成
物。
【請求項４】上記切削加工用油剤組成物を１００重量
部とした場合に、上記（ｄ）成分の含有量は０．０５〜
８０重量部である請求項１、２又は３記載の切削加工用
油剤組成物。
【請求項５】上記（ｂ）成分において、アルカリ金属
はカリウム又はナトリウムであり、アルカリ土類金属は
カルシウムである請求項１、２、３又は４記載の切削加
工用油剤組成物。