JPH07231205A - 誘電体同軸共振器及び誘電体フィルタ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】部品点数を削減し、製造工数を低減して、安価
で特性ばらつきの小さな高品質の誘電体同軸共振器及び
誘電体フィルタを提供する。 【構成】誘電体ブロック１の内部にその内周面に内導体
３が形成された共振器孔２が設けられ、誘電体ブロック
１の外面には外導体４が形成されている。そして、誘電
体ブロック１の底面であって、開放側端面１ａ側に段差
部１ｃを設け、共振器孔２内の内導体３の一部が段差部
１ｃに接するように形成されている。この段差部１ｃに
接する部分の内導体３により誘電体同軸共振器と結合基
板等の結合回路とを直接接続できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、誘電体ブロック内に共
振器孔が形成され、誘電体ブロックの外面に外導体が形
成された誘電体同軸共振器及びこの誘電体同軸共振器を
用いて構成される誘電体フィルタに関する。

【０００２】

【従来の技術】誘電体ブロック内に１個の共振器孔が形
成された従来の誘電体同軸共振器を図４に示す。なお、
以下の図において、点塗り潰し部は、誘電体ブロック及
び基板等の素地の見える部分（導体非形成部）を示す。

【０００３】図４において、誘電体ブロック１には、対
向する一対の端面１ａ、１ｂ間を貫通して１個の共振器
孔２が形成され、共振器孔２の内周面には内導体３が形
成されている。共振器孔２の一方の開口面１ａ（以下、
開放側端面と記す）を除く他の面には、外導体４が形成
されている。内導体３は、開放側端面１ａと対向する共
振器孔２の他方の開口面１ｂ（以下、短絡側端面と記
す）では外導体４と導通（短絡）され、開放側端面１ａ
では外導体４と分離（開放）されている。

【０００４】通常、誘電体同軸共振器は、容量素子、イ
ンダクタンス素子等を接続してフィルタ、トラップ等に
使用される。

【０００５】そして、このような従来の誘電体同軸共振
器を用いてフィルタを構成する場合は、例えば、図５に
示すように、入出力電極３１、アース電極３２等が形成
されたベース基板３０上に、３個の誘電体同軸共振器と
容量等を形成する結合用電極１１等が形成された結合基
板１０とを実装するとともに、各誘電体同軸共振器は、
金属製の接続端子２０を用いて結合基板１０と接続され
る。

【０００６】具体的には、接続端子２０は、略円筒状に
形成された一端側を誘電体同軸共振器の共振器孔２に圧
入して内導体３と導通し、舌片状に形成された他端側を
結合基板１０上に形成された容量等を形成する結合用電
極１１にはんだ付けして接続され、誘電体同軸共振器の
外導体４はベース基板３０のアース電極３２にはんだ付
けして接続される。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の
誘電体同軸共振器を用いてフィルタを構成する場合は、
誘電体同軸共振器と、容量やインダクタンス等を形成あ
るいは実装した結合基板等の結合回路とを接続するため
の接続端子を必要とし、しかも、接続端子を誘電体同軸
共振器に圧入し組み付ける等の作業が必要である。すな
わち、上記従来の誘電体同軸共振器を使用する場合に
は、誘電体同軸共振器の入出力のための接続部品が必ず
必要であった。したがって、部品コストが高くなり、製
造工数が多くなり製造コストが高くなるという問題があ
った。

【０００８】また、上記従来の接続端子による接続で
は、接続端子の舌片状の部分にインダクタンス成分が形
成され、このインダクタンスが特性ばらつきの原因とな
っていた。

【０００９】そこで、本発明の目的は、以上のような従
来の誘電体同軸共振器及び誘電体フィルタが持つ問題点
を解消し、部品点数を削減し、製造工数を低減して、安
価で特性ばらつきの小さな高品質の誘電体同軸共振器及
び誘電体フィルタを提供することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項１に係る発明は、誘電体ブロックの内部に共
振器孔を設け、該共振器孔の内周面に内導体を形成し、
誘電体ブロックの外面に外導体を形成してなる誘電体同
軸共振器において、前記誘電体ブロックの開放側端面側
に段差部を設け、前記内導体の一部が段差部に接するよ
うに形成されたことを特徴とするするものである。

【００１１】請求項２に係る発明は、請求項１に係る発
明において、誘電体ブロックの段差部に接する部分の内
導体と導通する接続電極を誘電体ブロックの段差部に形
成したことを特徴とするものである。

【００１２】請求項３に係る発明は、請求項１または請
求項２に記載の誘電体同軸共振器を少なくとも１個用い
たことを特徴とする誘電体フィルタである。

【００１３】

【作用】上記の構成による誘電体同軸共振器を用いて、
フィルタ等を構成する場合は、誘電体ブロックの段差部
に接する部分の内導体、またはこの内導体と導通する誘
電体ブロックの段差部に形成された接続電極と、結合基
板上に形成された結合用電極等とを直接接続することが
できる。したがって、誘電体同軸共振器と基板等とを接
続するための接続端子等の別の部品が不要となる。

【００１４】

【実施例】以下、本発明をその実施例を示す図面に基づ
いて具体的に説明する。図において、従来例と同一部分
については同一符号を付す。

【００１５】本発明の第１の実施例である誘電体同軸共
振器を図１に示す。図１は、誘電体同軸共振器の外観斜
視図である。

【００１６】図１に示すように、本実施例の誘電体同軸
共振器は、略直方体形状の誘電体ブロック１を貫通して
１個の共振器孔２が形成され、共振器孔２の内周面には
内導体３が形成されている。誘電体ブロック１の底面
（図において上面）であって、共振器孔２の一方の開口
面である開放側端面１ａ側には、段差部１ｃが設けら
れ、共振器孔２内に形成された内導体３の一部が段差部
１ｃに接するように形成されている。

【００１７】開放側端面１ａ及び段差部１ｃを除く誘電
体ブロック１の外面には外導体４が形成されている。内
導体３は、開放側端面１ａ側では、外導体４と分離（開
放）され、短絡側端面１ｂでは外導体４と導通（短絡）
されている。

【００１８】そして、上記実施例の誘電体同軸共振器を
用いてフィルタを構成する場合は、図２に示すように、
入出力電極３１及びアース電極３２等が形成されたベー
ス基板３０上に、例えば３個の誘電体同軸共振器と結合
用電極１１等が形成された結合基板１０とを実装して構
成される。

【００１９】具体的には、誘電体同軸共振器の段差部１
ｃに結合基板１０の一部を装着し、各誘電体同軸共振器
の段差部１ｃに接する部分の内導体３と結合基板１０上
に形成された結合用電極１１とをはんだ付けして、各誘
電体同軸共振器と結合基板１０が接続固定される。そし
て、ベース基板３０上に形成されたアース電極３２と各
誘電体同軸共振器の底面の外導体４とをはんだ付けし、
結合基板１０の下面に形成された結合用電極等（図示せ
ず）とベース基板３０上に形成された入出力電極３１等
とをはんだ付けして一体化された誘電体フィルタが構成
される。

【００２０】なお、図示しないが、結合基板１０の下面
にも結合用電極、アース電極等が形成されており、これ
らの電極により結合用の容量等が形成されている。ま
た、これらの電極により形成される結合用ＬＣ素子に代
えて、コンデンサ等の容量素子、コイル等のインダクタ
ンス素子を結合基板上に実装したものでもよい。

【００２１】また、ベース基板３０の下面にも入出力電
極３１及びアース電極３２等が形成されており、表面実
装できるように構成されている。

【００２２】以上説明したように、従来の誘電体同軸共
振器では、基板との接続に接続端子を用いていたが、本
実施例の誘電体同軸共振器は、実装面となる底面の段差
部に内導体の一部が接して形成されており、この段差部
に接する内導体と結合基板上に形成された結合用電極と
を直接接続できるようにしたことを特徴とするものであ
る。

【００２３】このため、本実施例の誘電体同軸共振器を
用いれば、接続端子等の別個の接続部品を使用せずに、
誘電体同軸共振器を結合基板に直接接続することがで
き、フィルタ等を構成することができる。

【００２４】次に、本発明の第２の実施例である誘電体
同軸共振器を図３に示す。図３は、誘電体同軸共振器の
外観斜視図である。

【００２５】図３に示すように、本実施例の誘電体同軸
共振器は、第１の実施例の図１で示したものと同様に、
誘電体ブロック１の底面（図において上面）であって、
共振器孔２の一方の開口面である開放側端面１ａ側に
は、段差部１ｃが設けられ、共振器孔２内に形成された
内導体３の一部が段差部１ｃに接するように形成されて
いる。

【００２６】そして、本実施例の誘電体同軸共振器で
は、段差部１ｃに接する部分の内導体３の周囲に接続電
極５を形成している。この接続電極５は、内導体３と導
通し、外導体４と分離されて形成されている。他の構成
については、図１に示したものと同様の構成であり、そ
の説明を省略する。

【００２７】そして、上記実施例の誘電体同軸共振器を
用いてフィルタを構成する場合は、、第１の実施例の図
２で説明したように、誘電体同軸共振器の段差部１ｃに
結合基板１０の一部を装着し、各誘電体同軸共振器の段
差部１ｃに接する部分の内導体３と結合基板１０上に形
成された結合用電極１１とをはんだ付けして、各誘電体
同軸共振器と結合基板１０が接続固定される。そして、
ベース基板３０上に形成されたアース電極３２と各誘電
体同軸共振器の底面の外導体４とをはんだ付けし、結合
基板１０の下面に形成された結合用電極等（図示せず）
とベース基板３０上に形成された入出力電極３１等とを
はんだ付けして一体化された誘電体フィルタが構成され
る。

【００２８】このように本実施例の誘電体同軸共振器に
おいても、接続端子等の別個の接続部品を使用せずに、
誘電体同軸共振器を結合基板に直接接続することがで
き、フィルタ等を構成することができる。

【００２９】この場合は、内導体と導通する接続電極が
形成されているので、はんだ付け面積が大きくなり、第
１の実施例に係る誘電体同軸共振器に比べ、より安定し
たはんだ付け強度が得られ、誘電体同軸共振器と結合基
板の接合はより強固なものとなる。

【００３０】なお、接続電極の形状、寸法は、本実施例
に示すものに限定されることはなく、誘電体同軸共振器
の寸法、特性、基板上の結合用電極等の寸法等を考慮し
て、適宜設定すればよい。

【００３１】また、上記各実施例では、誘電体同軸共振
器の内導体または接続電極と結合基板上に形成された各
電極との接続、誘電体同軸共振器とベース基板との接続
及び結合基板とベース基板との接続をはんだ付けによる
接続で説明したが、これに限ることはなく、導電性接着
剤または銀ペースト等の他の導電部材で接続してもよ
い。

【００３２】また、上記実施例では、ベース基板上に誘
電体同軸共振器と結合基板とを配置した誘電体フィルタ
にて説明したが、必ずしもベース基板を必要とするもの
ではなく、結合基板に入出力電極を設け、誘電体同軸共
振器と結合基板とで一体化された誘電体フィルタを構成
してもよい。

【００３３】また、上記実施例では、基板上に３個の誘
電体同軸共振器を実装した例で説明したが、これに限る
ものではなく、基板上に１個、２個または４個以上の誘
電体同軸共振器を実装したトラップまたはフィルタにも
本発明の誘電体同軸共振器を使用することができる。

【００３４】

【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る誘電
体同軸共振器を用いて、フィルタ等を構成する場合、誘
電体同軸共振器の段差部に接する部分の内導体、または
この内導体と導通する接続電極により、誘電体同軸共振
器と結合基板等の結合回路とを直接接続することができ
る。すなわち、従来の誘電体同軸共振器において、その
入出力のために必要であった接続端子等の接続部品を用
いることなく、フィルタ等を構成することができる。

【００３５】さらに、接続端子を使用しないので、接続
端子によるインダクタンス成分も発生することがなく、
ばらつきの小さな安定した特性のフィルタを得ることが
できる。

【００３６】したがって、本発明によれば、部品点数を
削減することができ、よって、部品コスト、製造コスト
を大幅に低減でき、安価で特性ばらつきの小さな高品質
の誘電体同軸共振器及び誘電体フィルタを得ることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例に係る誘電体同軸共振器
の外観斜視図である。

【図２】本発明の図１に示す誘電体同軸共振器を基板に
実装してフィルタを構成する状態を示す分解斜視図であ
る。

【図３】本発明の第２の実施例に係る誘電体同軸共振器
の外観斜視図である。

【図４】従来の誘電体同軸共振器の外観斜視図である。

【図５】従来の図４に示す誘電体同軸共振器を基板に実
装してフィルタを構成する状態を示す分解斜視図であ
る。

【符号の説明】

１ 誘電体ブロック １ｃ 段差部 ２ 共振器孔 ３ 内導体 ４ 外導体 ５ 接続電極 １０ 結合基板 ３０ ベース基板

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 誘電体ブロックの内部に共振器孔を設
   け、該共振器孔の内周面に内導体を形成し、誘電体ブロ
   ックの外面に外導体を形成してなる誘電体同軸共振器に
   おいて、 前記誘電体ブロックの開放側端面側に段差部を設け、前
   記内導体の一部が段差部に接するように形成されたこと
   を特徴とする誘電体同軸共振器。
2. 【請求項２】 前記誘電体ブロックの段差部に接する部
   分の内導体と導通する接続電極を誘電体ブロックの段差
   部に形成したことを特徴とする請求項１に記載の誘電体
   同軸共振器。
3. 【請求項３】 請求項１または請求項２に記載の誘電体
   同軸共振器を少なくとも１個用いたことを特徴とする誘
   電体フィルタ。