JPH07228630A - 高結晶性ポリプロピレン組成物及びその製造方法 - Google Patents

高結晶性ポリプロピレン組成物及びその製造方法

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JPH07228630A
JPH07228630A JP2143594A JP2143594A JPH07228630A JP H07228630 A JPH07228630 A JP H07228630A JP 2143594 A JP2143594 A JP 2143594A JP 2143594 A JP2143594 A JP 2143594A JP H07228630 A JPH07228630 A JP H07228630A
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JP
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crystalline polypropylene
polymer
nucleating agent
polymerization
compound
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JP2143594A
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English (en)
Inventor
Shigeru Igai
滋 猪飼
Masanori Tamura
雅範 田村
Hiromichi Ikeuchi
博通 池内
Shinichiro Yamada
慎一郎 山田
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Ube Corp
Original Assignee
Ube Industries Ltd
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Publication date
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  • Transition And Organic Metals Composition Catalysts For Addition Polymerization (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 結晶性ポリプロピレン中に核剤ポリマーを 1
0wtppm〜10,000wtppm 含有し、該核剤ポリマーの重量平
均分子量Mwと重量平均分子量Mnとの比Mw/Mnが
3以下である高結晶性ポリプロピレン組成物、及び該核
剤ポリマーが特定のモノマーをメタロセン系重合触媒で
重合したものである高結晶性ポリプロピレン組成物の製
造方法。 【効果】 融点、結晶化温度が高く、耐熱性、機械強度
に優れた構造材料に利用でき、また、フィルムに成形し
た場合、核剤効果によって結晶が微細化して透明性が改
良できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、剛性、引張強度などの
機械物性、透明性、表面特性が優れており、かつ、成形
速度を上げることができる高結晶性ポリプロピレン組成
物及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及びその問題点】ポリプロピレンを自動
車、家電製品の構造材料として用いるためには、剛性、
耐熱性に優れ、良好な種々の機械物性を有することが要
求されている。そのためには、立体規則性、結晶化度、
融点などがより高いプロピレンポリマーを製造する必要
があり、さらに成形加工の生産性を上げるために流動性
が高いこと、結晶化温度が高いこと、結晶化速度が早い
ことなどが要求される。
【0003】これまで、高結晶性のポリプロピレンを製
造するための触媒系としては、三塩化チタンとジアルキ
ルアルミニウムクロライドとの組合せ、さらに電子供与
体を組合わせたもの、塩化マグネシウム担体にチタン化
合物及び電子供与体を担持した固体触媒成分、トリアル
キルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物、及び
第3成分としての電子供与体との組合せが知られてい
る。
【0004】また、近年、チタン、ジルコニウム、ハフ
ニウムなどのメタロセン錯体とメチルアルモキサンなど
のアルキルアルミニウムオキシ化合物又はテトラキス
(ペンタフルオロフェニル)ボレートアニオンからなる
イオン性化合物との組合せが数多く提案されており、ポ
リマーの分子量及び立体規則性の分布が狭く、優れた物
性を有するポリプロピレンが得られることが知られてい
る。
【0005】一方、上記の三塩化チタン系、塩化マグネ
シウム担持チタン系触媒を用いて製造されたポリプロピ
レンの結晶化温度、結晶化速度をさらに高めるために、
通常、タルクなどの無機系核剤を、又、カルボン酸アル
ミニウムなどの金属塩 (特開平3-220208号) 、ソルビト
ール系誘導体及び有機リン酸塩などの有機核剤を混合し
てポリプロピレン組成物を製造する。
【0006】ポリプロピレンへの核剤の混合方法として
は、一般にバンバリーミキサー、ブレンダー等が使用さ
れている。しかし、これらの方法では核剤の分散不良に
よる製品物性のバラツキ、添加後のポリプロピレン組成
物の密度の増大、成形加工機の汚染、ポリマーへの着色
などの問題を生じる。このため、例えば、特開平3-2202
08号公報には分散性を改良する方法として、プロピレン
を重合するにあたり、予め、重合系に核剤を添加する方
法が開示されている。しかし、分散性は改良されたもの
の汚染、着色の問題が依然として残る。
【0007】この問題点を解決するために、近年、高融
点核剤ポリマーに関する提案が多くなされている。さら
に、この核剤ポリマーをポリプロピレン中へ高分散さ
せ、核剤効果を高める方法として、例えば、特開昭60-1
39710 号公報、同61-151204 号公報、同62-1738 号公
報、特開平1-156305号公報、同2-169605号公報、同2-20
6605号公報、同2-272045号公報、同4-202505号公報など
には、三塩化チタン系或いは塩化マグネシウム担持チタ
ン系触媒によりプロピレン以外の高融点で結晶性ポリマ
ーを生成するオレフィン、ジオレフィンなどを予備重合
し、更にプロピレンを本重合してプロピレン以外の高融
点の微細結晶ポリマーをポリプロピレン中に混在させる
提案がなされている。
【0008】また、特開平1-229056号公報には、3-メチ
ル-1- ブテン重合体を 0.05wtppm〜100,000wtppm含有す
るプロピレン重合体組成物であって、該組成物の結晶化
温度が、3-メチル-1- ブテン重合体を含有しないプロピ
レン重合体の結晶化温度よりも10℃以上高いことを特徴
とするポリプロピレン組成物が開示されている。
【0009】しかし、上記のいずれの方法においても、
核剤効果が充分とは言えず改良が求められていた。ま
た、従来の三塩化チタン系、塩化マグネシウム担持チタ
ン系触媒では核剤ポリマーの生産性が低いという問題が
ある。
【0010】
【本発明の目的】本発明の目的は、剛性、引張強度など
の機械物性、透明性、表面特性が優れており、かつ融
点、結晶化温度、結晶化度が高いため成形速度を上げる
ことができる高結晶性ポリプロピレン組成物およびその
製造方法を提供することにある。
【0011】
【問題点解決のための技術的手段】本発明は、高融点お
よび高結晶化温度を有する高結晶性ポリプロピレン組成
物、あるいは、メタロセン系重合触媒を用いて得られる
核剤ポリマーを含有する高結晶性ポリプロピレン組成物
の製造方法に関する。
【0012】本発明によれば、結晶性ポリプロピレン中
に核剤ポリマーを 10wtppm〜10,000wtppm 含有すること
を特徴とする高結晶性ポリプロピレン組成物であって、
該核剤ポリマーの重量平均分子量Mwと重量平均分子量
Mnとの比Mw/Mnが3以下であることを特徴とする
高結晶性ポリプロピレン組成物が提供される。
【0013】また、本発明によれば、結晶性ポリプロピ
レン中に核剤ポリマーを 10wtppm〜10,000wtppm含有す
る高結晶性ポリプロピレン組成物の製造方法において、
該核剤ポリマーとして、炭素数 4以上の分岐α−オレフ
ィン、ビニル基含有環状炭化水素化合物、アルケニルシ
ラン、インデン化合物、ビニルノルボルネン、ビニル基
置換芳香族化合物から選択される少なくとも一種類のモ
ノマーをメタロセン系重合触媒を用いて重合したポリマ
ーを用いることを特徴とする高結晶性ポリプロピレン組
成物の製造方法が提供される。
【0014】本発明の結晶性ポリプロピレン中に含有さ
れる核剤ポリマーは分子量分布が小さい特徴を有してお
り、重量平均分子量Mwと重量平均分子量Mnとの比M
w/Mnが 3以下である。核剤ポリマーの分子量分布が
小さいことにより、核剤作用が良好であり、結晶化温
度、融点などを高く、剛性の優れた高結晶性ポリプロピ
レン組成物を得ることができる。
【0015】本発明においては、二種以上の核剤ポリマ
ーを混合して用いてもよい。この場合、それぞれの核剤
ポリマーのMw/Mnが 3以下であればよく、混合した
後の核剤ポリマーのMw/Mnが 3を越えてもよい。
【0016】本発明の高結晶性ポリプロピレン組成物
は、結晶性ポリプロピレン中に核剤ポリマーを 10wtppm
〜 10,000wtppm、より好ましくは、 50wtppm〜5,000wtp
pm含有している。
【0017】核剤ポリマーの含有量が上記の範囲よりも
少ないと、結晶核となるポリマー粒子が少なくなり、得
られるポリプロピレン組成物の融点及び結晶化温度が充
分に向上しない。
【0018】核剤ポリマーの含有量が上記の範囲よりも
多いと、結晶化温度は上がるものの、ポリプロピレン組
成物の結晶化を阻害して結晶化度を低下させるなどの問
題がある。
【0019】該核剤ポリマーを含有しないプロピレンの
融点をTm0及び結晶化温度をTc0とし、本発明の高結晶
性ポリプロピレン組成物の融点をTm 及び結晶化温度を
Tcとしたとき、本発明においては、通常、Tc ≧Tc0
+5(℃)およびTm ≧Tm0+2(℃)である。
【0020】本発明における核剤ポリマーは、炭素数 4
以上の分岐α−オレフィン、ビニル基含有環状炭化水素
化合物、アルケニルシラン、インデン化合物、ビニルノ
ルボルネン、ビニル基置換芳香族化合物から選択される
少なくとも一種類のモノマー(以下、特定のモノマーと
いう)をメタロセン系重合触媒を用いて重合して製造で
きる。
【0021】炭素数 4以上の分岐α−オレフィンとして
は、 3位又は 4位で分岐したα−オレフィンが挙げられ
る。これらの具体例としては3-メチル-1- ブテン、3-エ
チル-1- ブテンなどの分岐1-ブテン、3-メチル-1- ペン
テン、4-メチル-1- ペンテンなどの分岐1-ペンテン、4-
メチル-1- ヘキセン、4,4-ジメチル-1- ヘキセン、4,4-
ジメチル-1- ペンテン、4-エチル-1- ヘキセン、3-エチ
ル-1- ヘキセンなどの分岐1-ヘキセンなどが挙げられ
る。
【0022】ビニル基含有環状炭化水素化合物として
は、ビニルシクロアルカン、ビニルシクロアルケンなど
が挙げられる。これらの具体例としては、ビニルシクロ
ヘキサンなどのビニルシクロアルカン、4-ビニルシクロ
ヘキセン-1、4-ビニル-2- メチルシクロヘキセン-1など
のビニルシクロアルケンが挙げられる。
【0023】アルケニルシランとしては、アルキルビニ
ルシラン、アルキルアリルシランなどが挙げられる。こ
れらの具体例としては、ビニルトリメチルシランなどの
アルキルビニルシラン、トリメチルアリルシラン、ジメ
チルジアリルシランなどのアルキルアリルシランが挙げ
られる。
【0024】インデン化合物としては、無置換あるいは
置換インデンなどが挙げられる。これらの具体例として
は、インデン、メチルインデンなどが挙げられる。
【0025】ビニル基置換芳香族化合物としては、スチ
レン、2,4-ジメチルスチレン、2,5-ジメチルスチレン、
3,5-ジメチルスチレンなどのアルキル置換スチレン、ビ
ニルナフタレン、ビニルアントラセンなどが挙げられ
る。
【0026】本発明においては、上記の特定の二種以上
のモノマーの共重合体を核剤ポリマーとして用いてもよ
い。
【0027】メタロセン系重合触媒で上記の特定モノマ
ーを重合して得られた核剤ポリマーは、分子量及び立体
規則性分布は共に狭いなどの特性を有する。又、共重合
体においては、コモノマーの組成分布が狭いなどの優れ
た特徴がある。また、ポリプロピレン組成物の融点及び
結晶化温度を高くすることができる。
【0028】スチレン及びアルキル置換スチレン等はメ
タロセン系重合触媒を用いて重合すると融点が 260℃以
上のシンジオタクチックポリマーが得られる。
【0029】また、ビニルシクロアルカン及びビニルシ
クロアルケンはメタロセン系重合触媒を用いると高い生
産性で重合体を得ることができる。
【0030】炭素数 4以上の 3位又は 4位で分岐したオ
レフィンの中で、3−メチル−1−ブテンの重合体は融
点が高いため好ましい。また、3-メチル-1- ブテンと4-
メチル-1- ペンテンとの共重合体 (共晶体) は、融点が
高くその製造コストが低いという点で好ましい。
【0031】本発明でメタロセン系重合触媒としては、
周期律表第IV又は V族遷移金属のメタロセン化合物と、
有機アルミニウム化合物及び/又はイオン性化合物の組
合せが用いられる。
【0032】周期律表第IV又は V族遷移金属としては、
チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(H
f)、バナジウム(V )などが好ましい。
【0033】そのメタロセン化合物とは、少なくとも一
個のシクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニ
ル基(例えば、メチル、ジメチル、ペンタメチルなどの
アルキル置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、
フルオレニル基)を配位子とするもの、あるいはそれら
のシクロペンタジエニル基がヒドロカルビル基(例え
ば、アルキレン基、置換アルキレン基)、ヒドロカルビ
ル珪素(例えば、シラニレン基、置換シラニレン基、シ
ラアルキレン基、置換シラアルキレン)などによって架
橋されたもの、さらにシクロペンタジエニル基が酸素、
窒素、燐原子に架橋されたもの(例えば、オキサシラニ
レン基、置換オキサシラニレン基、オキサシラアルキレ
ン基、置換オキサシラアルキレン基、アミノシリル基、
モノ置換アミノシリル基、ホスフィノシリル基、モノ置
換ホスフィノシリル基)を配位子とする、いわゆる公知
のメタロセン化合物をいずれも使用できる。
【0034】それらの具体例としては、特開昭58-19309
号公報、同60-35006号公報、同60-35007号公報、同61-1
30314 号公報、同61-264010 号公報、同61-296008 号公
報、同63-222177 号公報、同63-222178 号公報、同63-2
22179 号公報、同63-251405号公報、特開平1-66214 号
公報、同1-74202 号公報、同1-275609号公報、同1-3017
04号公報、同1-319489号公報、同2-41303 号公報、同2-
131488号公報、同3-12406 号公報、同3-139504号公報、
同3-163088号公報、同3-179006号公報、同3-185005号公
報、同3-188092号公報、同3-197514号公報、同3-207703
号公報、同5-209013号公報、特表平1-501950号公報、同
1-502036号公報、及び同5-505593号公報に記載されたも
のを挙げることができる。
【0035】本発明においては、より結晶性の特定ポリ
マーを製造できるようなメタロセン系重合触媒を用いる
ことが好ましく、それらは、特開昭61-130314 号公報、
同61-264010 号公報、同63-142004 号公報、特開平1-12
9004号公報、同1-301704号公報、同2-75605 号公報、同
3-12406 号公報、同3-12407 号公報、同4-227708号公
報、同4-227709号公報、同4-264110号公報、同4-268308
号公報、同4-300887号公報、同6-25343 号公報などに記
載されているようなメタロセン化合物を挙げることがで
きる。
【0036】これらのメタロセン化合物は、それ自体が
C2対称要素を有する錯体を形成できる架橋型、及び/又
は多置換配位子を有する。その具体例としては、ジメチ
ルシリル(2,4- ジメチルシクロペンタジエニル)(3',5'-
ジメチルシクロペンタジエニル) ジルコニウムジクロラ
イド、ジメチルシリル(2,4- ジメチルシクロペンタジエ
ニル)(3',5'-ジメチルシクロペンタジエニル) ハフニウ
ムジクロライドなどのケイ素架橋型メタロセン化合物、
エチレンビスインデニルジルコニウムジクロライド、エ
チレンビスインデニルハフニウムジクロライド、エチレ
ンビス( メチルインデニル) ジルコニウムジクロライ
ド、エチレンビス( メチルインデニル) ハフニウムジク
ロライドなどのインデニル系架橋型メタロセン化合物を
挙げることができる。
【0037】本発明でメタロセン化合物との組合せで用
いられる有機アルミニウム化合物としては、一般式、(-
Al(R)O-)n で示される直鎖状、あるいは環状重合体(R
は炭素数1〜10の炭化水素基であり、一部ハロゲン原子
及び/ 又はRO基で置換されたものも含む。n は重合度で
あり、 5以上、好ましくは10以上である)であり、具体
例としてR がそれぞれメチル、エチル、イソブチル基で
ある、メチルアルモキサン、エチルアルモキサン、イソ
ブチルエチルアルモキサンなどが挙げられる。
【0038】さらに、その他の有機アルミニウム化合物
としては、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルハロ
ゲノアルミニウム、セスキアルキルハロゲノアルミニウ
ム、アルケニルアルミニウム、ジアルキルハイドロアル
ミニウム、セスキアルキルハイドロアルミニウムなどが
挙げられる。
【0039】その具体例としては、トリメチルアルミニ
ウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミ
ニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアル
ミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、ジメチルア
ルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライ
ドなどのジアルキルハロゲノアルミニウム、セスキメチ
ルアルミニウムクロライド、セスキエチルアルミニウム
クロライドなどのセスキアルキルハロゲノアルミニウ
ム、エチルアルミニウムジクロライド、ジエチルアルミ
ニウムハイドライド、セスキエチルアルミニウムハイド
ライドを挙げることができる。これらの有機アルミニウ
ム化合物は、前記の有機アルミニウムオキシ化合物と併
用することができる。
【0040】イオン性化合物としては、一般式、C+
- で示され、C+ は有機化合物、有機金属化合物、ある
いは無機化合物の酸化性のカチオン、又はルイス塩基と
プロトンからなるブレンステッド酸であり、メタロセン
配位子のアニオンと反応してメタロセンのカチオンを生
成することができる。
【0041】A- は嵩高く非配位性のアニオンであり、
メタロセンに配位せずにメタロセンカチオンを安定化す
ることができるものである。それらの具体例としては、
特開平4-253711号公報、同4-305585号公報、特公表平5-
507756号公報、同5-502906号公報に記載されたようなも
のを用いることができる。
【0042】特に、テトラキス(ペンタフルオロフェニ
ル)ボレートアニオンとトリフェニルカルボニウムカチ
オンあるいはジアルキルアニリニウムカチオンとのイオ
ン化合物が好ましい。これらのイオン化合物は、前記の
有機アルミニウム化合物と併用することができる。
【0043】本発明のメタロセン系重合触媒、即ち、メ
タロセン化合物、有機アルミニウム化合物、及び/又は
イオン化合物を無機化合物、又は有機高分子化合物に担
持して用いることができる。担体としての無機化合物と
しては、無機酸化物、無機塩化物、無機水酸化物が好ま
しく、少量の炭酸塩、硫酸塩を含有したものも採用でき
る。特に好ましいものは無機酸化物であり、シリカ、ア
ルミナ、マグネシア、チタニア、ジルコニア、カルシア
などを挙げることができる。
【0044】これらの無機酸化物は、平均粒子径が 5〜
150μ、比表面積が 2〜800m2/g の多孔性微粒子が好ま
しく、さらに、例えば 100〜 800℃で熱処理して用いる
ことができる。
【0045】有機高分子化合物としては、側鎖に芳香族
環、置換芳香族環、あるいはヒドロキシ基、カルボキシ
ル基、エステル基、ハロゲン原子などの官能基を有する
ものが好ましい。具体例としては、エチレン、プロピレ
ン、ポリブテンなどの化学変成によって前記官能基を有
するα−オレフィンホモポリマー、α−オレフィンコポ
リマー、アクリル酸、メタクリル酸、塩化ビニル、ビニ
ルアルコール、スチレン、ジビニルベンゼンなどのホモ
ポリマーあるいはコポリマー、さらにそれらの化学変成
物を挙げることができる。
【0046】これらの有機高分子化合物は、平均粒子径
が、通常 5〜 250μの球状微粒子が用いられる。担持型
触媒にすることによって、触媒の重合反応器への付着に
よる汚染を防止することができる。
【0047】メタロセン系重合触媒を用いて行う本発明
の特定のモノマーの重合方法としては、良く知られた各
種の方法を採用でき、不活性ガス中での流動床式気相重
合あるいは攪拌式気相重合、不活性溶媒中でのスラリー
重合、モノマーを溶媒とするバルク重合などが挙げられ
る。
【0048】特定のモノマーの重合は、通常、重合温度
10〜 150℃、好ましくは20〜90℃であり、重合時間は、
通常、 0.1〜10時間である。
【0049】本発明のメタロセン系重合触媒として、メ
タロセン化合物と有機アルミニウム化合物を用いる場
合、有機アルミニウム化合物のアルミニウム(Al)原子
とメタロセン化合物の遷移金属原子のモル比(Al/遷移金
属原子モル比) として、通常、10〜 100,000、好ましく
は10〜 1,000である。
【0050】本発明のメタロセン系重合触媒として有機
アルミニウム化合物に代えて、イオン性化合物を単独で
又は有機アルミニウム化合物と混合して用いてもよい。
イオン性化合物/遷移金属原子モル比は、通常、 0.1〜
50、好ましくは 0.5〜 5である。
【0051】重合は、メタロセン化合物 1ミリモル当た
り、通常、0.05〜500gまで、好ましくは 0.2〜100gまで
の特定のモノマー重合体が製造できるまで行う。重合体
の製造量は、重合時間と温度を適当に選択、制御するこ
とによって調整できる。
【0052】本発明の高結晶性ポリプロピレン組成物
は、例えば、以下の方法で製造することができる。すな
わち、 (1)メタロセン系重合触媒を用いて製造された特
定のモノマーの重合体と、別に製造された結晶性ポリプ
ロピレンとを溶融混合又は溶液混合する方法、 (2)メタ
ロセン系重合触媒を用いて特定のモノマーを重合し、続
いてプロピレンの本重合を行う連続多段重合方法、 (3)
上記の (2)の方法で得られた特定のモノマー重合体を少
量含有するポリプロピレンと、別に製造された結晶性ポ
リプロピレンとを溶融混合又は溶液混合する方法、 (4)
メタロセン系重合触媒を用いて製造された特定のモノマ
ーの重合体とプロピレン重合用の立体規則性重合触媒の
存在下にプロピレンの重合を行う方法などが挙げられ
る。
【0053】連続多段重合方法におけるプロピレンの本
重合は、特定のオレフィンの重合と同様な方法でも、あ
るいは異なった重合方法でもよい。すなわち、第一段で
メタロセン系重合触媒を用いて特定のモノマーを重合
し、未反応モノマーを除去し、引き続き、第二段でプロ
ピレン重合を行う連続多段重合法、第一段でメタロセン
系重合触媒を用いて特定のオレフィンモノマーを重合
し、未反応モノマーを除去し、引き続き、立体規則性重
合触媒を加えてプロピレン重合を行う連続多段重合法な
どによって高結晶性ポリプロピレン組成物を製造するこ
とができる。
【0054】プロピレンを重合して結晶性ポリプロピレ
ンを製造する立体規則性重合触媒としては、(A)チタ
ン含有固体触媒成分と(B)有機アルミニウム化合物成
分とを主成分とする触媒系を用いることができる。
【0055】上記の触媒系のA成分であるチタン含有固
体触媒成分としては、マグネシウム、チタン、ハロゲン
および電子供与体を必須成分として含有する固体触媒成
分、或いは三塩化チタン固体触媒成分が挙げられる。
【0056】マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電
子供与体を必須成分として含有する固体触媒成分として
は、塩化マグネシウム担体にチタン化合物及び電子供与
体を担持した固体触媒成分が挙げられる。
【0057】塩化マグネシウム担体にチタンを担持する
方法としては、例えば、 (1)ハロゲン化マグネシウム、
チタン化合物、電子供与体を共粉砕する方法、 (2)前記
三成分を不活性溶媒中で順次、あるいは二成分又は三成
分同時に反応処理する方法、(3)ハロゲン化マグネシウ
ム、あるいはハロゲン化マグネシウムと電子供与体と
を、エーテル又はアルコールなどの極性溶媒の溶液に、
チタン化合物を添加して固体触媒成分を沈殿させる方
法、 (4)ハロゲン化マグネシウム、チタン化合物、電子
供与体を極性溶媒に溶解した溶液から不活性溶媒を添加
して固体触媒成分を沈殿させる方法などによって製造す
ることができる。
【0058】前記、 (1)及び (2)の方法において使用す
るハロゲン化マグネシウムの調製も種々の方法が知られ
ている。例えば、エーテルあるいは不活性炭化水素溶媒
中の有機マグネシウム化合物に、適当な有機又は無機ハ
ロゲン化剤を添加する方法、ハロゲン化マグネシウムの
エーテル又はアルコールなどの極性溶媒に溶解した溶液
に不活性溶媒を添加して活性化担体を得る方法などが挙
げられる。前記マグネシウム含有固体触媒成分の電子供
与体としては、酸性プロトンを有しない有機化合物のル
イス塩基が好ましく、特に好ましくは芳香族ジカルボン
酸エステル、例えば、ジブチルフタレート、ブチルエチ
ルフタレート、ヘキシルブチルフタレート、ジヘプチル
フタレートを挙げることができる。
【0059】前記マグネシウム含有固体触媒成分の電子
供与体としては、酸性プロトンを有しない有機化合物の
ルイス塩基が好ましく、特に好ましくは芳香族ジカルボ
ン酸エステル、例えば、ジブチルフタレート、ブチルエ
チルフタレート、ヘキシルブチルフタレート、ジヘプチ
ルフタレートを挙げることができる。
【0060】本発明においては、特開昭60-152511 号公
報、同61-31402号公報、同62-81405号公報に記載の触媒
固体成分が、本発明の効果を達成する上で特に好まし
い。これら記載の製造方法によれば、ハロゲン化アルミ
ニウムとシリケートなどの有機ケイ素化合物を反応さ
せ、さらに、マグネシウム化合物を反応させて固体を析
出させる。得られた白色系の固体を、電子供与体及びハ
ロゲン化チタン化合物と接触処理する。
【0061】(A)チタン含有固体触媒成分としては、
上記のマグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与
体を必須成分として含有する固体触媒成分の他に、三塩
化チタン(TiCl3)固体触媒成分を用いることができる。
【0062】三塩化チタン固体触媒成分としては、四塩
化チタン(TiCl4)を種々の方法で還元したもの、例え
ば、四塩化チタンを有機アルミニウム化合物で還元して
得られたβ型三塩化チタンを、さらに錯化剤で処理、及
び四塩化チタンで処理したもの、四塩化チタンを金属ア
ルミニウムで還元したもの(1mol のTiCl3 に対して 1/3
mol のAlCl3 を含有する共晶体) など、あるいはこれら
をボールミル処理/電子供与体処理したものなどを挙げ
ることができる。
【0063】上記の触媒系のB成分である有機アルミニ
ウム化合物成分としては、トリアルキルアルミニウム、
ジアルキルハロゲノアルミニウム、セスキアルキルハロ
ゲノアルミニウム、アルケニルアルミニウム、ジアルキ
ルハイドロアルミニウム、セスキアルキルハイドロアル
ミニウム、有機アルミニウムオキシ化合物などが挙げら
れる。
【0064】その具体例としては、トリメチルアルミニ
ウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミ
ニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアル
ミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、ジメチルア
ルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライ
ド、ジイソプロピルアルミニウムクロライド、ジイソブ
チルアルミニウムクロライドなどのジアルキルハロゲノ
アルミニウム、セスキメチルアルミニウムクロライド、
セスキエチルアルミニウムクロライドなどのセスキアル
キルハロゲノアルミニウム、エチルアルミニウムジクロ
ライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、セスキエ
チルアルミニウムハイドライドを挙げることができる。
【0065】有機アルミニウムオキシ化合物は、一般
式、(-Al(R)O-)n で示される直鎖状、あるいは環状重合
体(R は炭素数1〜10の炭化水素基であり、一部ハロゲ
ン原子及び/ 又はRO基で置換されたものも含む。n は重
合度であり、 5以上、好ましくは10以上である)であ
り、具体例としてR がそれぞれメチル、エチル、イソブ
チル基である、メチルアルモキサン、エチルアルモキサ
ン、イソブチルエチルアルモキサンなどが挙げられる。
【0066】マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電
子供与体を必須成分として含有する固体触媒成分と組合
せて用いる場合は、上記の有機アルミニウム化合物成分
のうち、トリアルキルアルミニウムが好適である。ま
た、三塩化チタン固体触媒成分と組合せて用いる場合
は、上記の有機アルミニウム化合物成分のうち、ジアル
キルハロゲノアルミニウムが好適である。
【0067】上記の(A)成分と(B)成分からなる触
媒系に、必要に応じてさらに(C)成分として電子供与
体成分を組合せて用いてもよい。電子供与体成分として
は、シリケート化合物が好適に用いられる。
【0068】シリケート化合物としては、R1 m R2 n Si(O
R3)4-m-nで示されるシリケート化合物を用いることがで
きる。R1、R2及びR3は炭素数 1〜12のアルキル基、シク
ロアルキル基、アリール基などの炭化水素基であり、各
々は同一でも又異なっていてもよい。R1は、炭素数 3〜
8の分岐アルキル基又はシクロアルキル基であることが
好ましい。R3としては、メチル基、エチル基が好まし
い。 mは通常 0、 1、 2又は 3であり、 2であることが
特に好ましい。 nは 0又は 1である。
【0069】シリケート化合物の具体例としては、t-ブ
チルメチルジメトキシシラン、t-ブチルエチルジメトキ
シシラン、t-ブチルプロピルジメトキシシラン、ジ -t-
ブチルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシ
ラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、ジシク
ロヘキシルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメト
キシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシ
ラン、テトラ -n-プロポキシシラン、テトラ -n-ブトキ
シシラン、テトラ−イソペントキシシラン、テトラ -n-
ヘキソキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチル
トリエトキシシラン、メチルトリ -n-ブトキシシラン、
メチルトリイソペントキシシラン、メチルトリ -n-ヘキ
ソキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ
イソプロポキシシラン、エチルトリイソペントキシシラ
ン、n-ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリエト
キシシラン、イソペンチルトリエトキシシラン、イソペ
ンチルトリ -n-ブトキシシラン、ジメチルジエトキシシ
ラン、ジメチルジ -n-ブトキシシラン、ジメチルジイソ
ペントキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチ
ルジイソペントキシシラン、ジイソブチルジイソペント
キシシラン、ジ -n-ブチルジエトキシシラン、ジイソブ
チルジイソペントキシシラン、トリメチルメトキシシラ
ン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルイソブトキ
シシラン、トリエチルイソプロポキシシラン、トリ -n-
プロピルエトキシシラン、トリ -n-ブチルエトキシシラ
ン、トリイソペンチルエトキシシラン、フェニルトリエ
トキシシラン、フェニルトリイソブトキシシラン、フェ
ニルトリイソペントキシシラン、ジフェニルジエトキシ
シラン、ジフェニルジイソペントキシシラン、ジフェニ
ルジオクトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、
トリフェニルエトキシシラン、トリフェニルイソペント
キシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、ベンジルト
リブトキシシラン、ジベンジルジエトキシシラン、シク
ロペンチルトリメトキシシラン、2-メチルシクロペンチ
ルトリメトキシシラン、2,3-ジメチルシクロペンチルト
リメトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシラ
ン、トリシクロペンチルエトキシシランなどが挙げられ
る。
【0070】特に、t-ブチルメチルジメトキシシラン、
t-ブチルエチルジメトキシシラン、t-ブチルプロピルジ
メトキシシラン、ジ -t-ブチルジメトキシシラン、ジイ
ソプロピルジメトキシシランなどのt-ブチル基やジイソ
プロピル基などの分枝炭化水素基含有メトキシシラン
類、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、ジシクロ
ペンチルジメトキシシランなどのシクロヘキシル基含有
メトキシシラン類などが好ましい。
【0071】さらに、上記のチタン含有固体触媒成分と
有機アルミニウム化合物成分とを主成分とする触媒系を
用いて、プロピレンを重合する方法としては、良く知ら
れた各種の方法を採用でき、不活性ガス中での流動床式
気相重合あるいは攪拌式気相重合、不活性溶媒中でのス
ラリー重合、モノマーを溶媒とするバルク重合などが挙
げられる。
【0072】プロピレン重合は、通常、重合温度10〜15
0 ℃、好ましくは20〜90℃であり、重合時間は通常0.1
〜10時間である。
【0073】有機アルミニウム化合物のアルミニウム
(Al)原子とチタン含有固体触媒成分のチタン(Ti)原子
のモル比(Al/Ti原子モル比) として、通常、 0.5〜1,00
0 、好ましくは 1〜 100である。
【0074】重合触媒の第三成分として、電子供与体成
分、特にシリケート化合物を用いる場合は、シリケート
化合物のシラン(Si)原子と有機アルミニウム化合物のア
ルミニウム(Al)原子のモル比(Si/Al原子モル比) とし
て、通常、0.01〜1 、好ましくは 0.1〜0.5 である。
【0075】重合は、チタン含有固体触媒成分 1g 当た
り、通常、 0.1〜100gまで、好ましくは 0.1〜10g まで
の結晶性ポリプロピレンが製造できるまで行う。重合体
の製造量は、重合時間と温度を適当に選択、制御するこ
とによって調整できる。
【0076】重合系に、分子量調節剤として水素、ジエ
チル亜鉛などを使用することもできる。
【0077】また、プロピレン重合の際、あるいは重合
の後にさらにプロピレンと他のオレフィン、例えばエチ
レン、ブテン-1、4-メチルペンテン-1、ヘキセン-1、オ
クテン-1などの非環状モノオレフィン、シクロペンテ
ン、シクロヘキセン、ノルボルネンなどの環状モノオレ
フィン、ジシクロペンタジエン、5-エチリデン-2- ノル
ボルネン、あるいは1,5-ヘキサジエンなどの非共役ジオ
レフィンを共重合、或いはブロック共重合することがで
きる。後者の方法で得られるプロピレンブロック共重合
体からは、本発明の特定のオレフィンのポリマーと溶融
混合することによって耐衝撃強度にも優れた構造材料を
製造することができる。
【0078】結晶性ポリプロピレンと特定のモノマーの
ポリマーとの溶融混合の方法としては、良く知られたオ
レフィンポリマーの溶融混合の方法を採用できる。さら
に、溶融混合時には、熱、光安定剤、酸化防止剤、帯電
防止剤、難燃剤、無機フィラーなどの添加材が通常配合
される。溶液混合の方法としては、両ポリマーをキシレ
ン、o−ジクロルベンゼン、デカリン、テトラリンなど
の良溶媒に加熱溶解した後、アルコール、ケトンなどの
貧溶媒を加えてポリマーを析出させる。
【0079】本発明の高結晶性ポリプロピレン組成物
は、メタロセン系重合触媒で得られた特定のモノマーの
重合体からなる核剤ポリマー及びプロピレン重合用触媒
の存在下に、プロピレンを重合して製造することもでき
る。
【0080】上記の方法においては、特定のモノマーの
重合体をポリプロピレン中に高分散するために、特定の
モノマーの重合体を、o-ジクロルベンゼン、デカリン、
テトラリン等の不活性溶媒に溶解したのち、急冷するこ
とによって、或いは、ミル等の粉砕機によって微細化し
たものを、後のプロピレン重合時に添加使用することが
好ましい。
【0081】
【発明の効果】本発明の高結晶性ポリプロピレン組成物
は、融点、結晶化温度が高く、従って、耐熱性、機械強
度に優れた構造材料に利用できる。また、フィルムに成
形した場合、核剤効果によって結晶が微細化して透明性
が改良できる。
【0082】
【実施例】実施例において「M.I.」とは、ASTM D-1238
に従って2.16kg/cm2の荷重下に 230℃で測定した重合体
の溶融指数である。
【0083】融点、結晶化温度は、DSC (セイコー電
子工業製 SSC-5200 DSC-220C)を用いて測定した。測定
方法は、室温から 230℃まで10℃/min. の速度で昇温
し、そのまま 5分間保持したのちに 230℃から40℃まで
5℃/ 分の速度での降温し、結晶化温度を測定した。そ
の後更に、40℃から230 ℃まで10℃/min. の速度で昇温
し、融点を測定した。
【0084】重量平均分子量Mwと重量平均分子量Mn
は、ウォーターズ製 150CV型GPCを用い、o-ジクロル
ベンゼン溶媒、カラムSHODEX AT-80M ×2 、溶媒 145
℃、試料濃度 0.03wt%、流速 1.0mL/min. の条件で測定
し、分子量分布Mw/Mnを算出した。
【0085】アイソペンタッド分率(mmmm)% は、日本電
子工業製 EX-400 を用い、TMS を基準として、温度 130
℃、o-ジクロルベンゼン溶媒で測定した13C-NMR スペク
トルから、Macromolecules 1975 年、第 8巻、687 頁の
記載に基づいて帰属した13C-NMR スペクトルから算出し
た。
【0086】
【実施例】
実施例1 〔メタロセン触媒によるポリ3-メチル-1- ブテンの合
成〕10L の反応容器に15M の3-メチル-1- ブテンを含有
するトルエン溶液を 5L 、2M/L のメチルアルモキサン
のトルエン溶液を 10mL 、Chemistry letter、1989年、
1853頁に記載の方法で合成したジメチルシリル(2,4-ジ
メチルシクロペンタジエニル)(3', 5'- ジメチルシクロ
ペンタジエニル) ジルコニウムジクロライドを10μM 含
有するトルエン溶液 20mL 導入した。反応溶液の温度を
40℃に制御し、2 時間重合を行った。濾過、分離、乾燥
したポリマーは、融点が 295℃であった。分子量分布M
w/Mnは、2.3 であった。
【0087】〔ポリプロピレン組成物の調製〕特願平 5
-120219 の実施例1に記載の方法で製造した結晶性ポリ
プロピレン (ペンタッド分率=97.0%、M.I.=10)を100 重
量部、上記ポリ3-メチル-1- ブテンをO.1 重量部(1,000
wtppm)を200 ℃で、ブラベンダーを用いて10分間溶融混
合した。得られたポリプロピレン組成物の融点は166.5
℃、結晶化温度は 126.7℃であった。
【0088】実施例2 実施例1のポリプロピレン組成物の調製において、ポリ
-3- メチル-1- ブテンを 0.2重量部(2,000wtppm)使用し
た以外は、同様の操作を行った。得られたポリプロピレ
ン組成物の融点は 166.8℃、結晶化温度は 127.0℃であ
った。
【0089】実施例3 実施例1のポリプロピレン組成物の調製において、ポリ
-3- メチル-1- ブテンを 0.8重量部(8,000wtppm)使用し
た以外は、同様の操作を行った。得られたポリプロピレ
ン組成物の融点は 166.7℃、結晶化温度は 127.2℃であ
った。
【0090】実施例4 〔シリカ担持メタロセン触媒によるポリ-3- メチル-1-
ブテンの合成〕トルエン 1L 、シリカ100g、 2M/L のメ
チルアルモキサンのトルエン溶液を 10mL混合して、60
℃で2 時間加熱処理を行った。濾過、分離、トルエン30
0mLで3 回洗浄した後、再び、トルエン 1L を加え、さ
らに10mMのジメチルシリル(2,4- ジメチルシクロペン
タジエニル)(3', 5'- ジメチルシクロペンタジエニル)
ジルコニウムジクロライドを含有するトルエン溶液100m
Lを加えて加熱処理した。濾過、分離、トルエン300mL
で 3回洗浄し、担持触媒を得た。ジルコニウムの担持量
は、0.5 重量% であった。
【0091】この担持触媒100mg をメタロセン触媒成分
として用いた以外は、実施例1と同様に3-メチルブテン
-1の重合を行ってポリマーを合成した。濾過、分離、乾
燥したポリマーは、融点が 295℃であった。分子量分布
Mw/Mnは、2.6 であった。
【0092】〔ポリプロピレン組成物の調製〕ポリ3-メ
チル-1- ブテンを O.2重量部(2,000wtppm)用いた以外
は、実施例1と同様にポリプロピレン組成物を調製し
た。組成物の融点は 166.8℃、結晶化温度は127.0 ℃で
あった。
【0093】比較例1 ブレンドに使用した結晶性ポリプロピレン (ペンタッド
分率=97.0%、M.I.=10)の融点は 164.2℃、結晶化温度は
119.3℃であった。
【0094】実施例5 〔シリカ担持メタロセン触媒によるポリプロピレン組成
物の合成〕実施例2と同様に3-メチルブテン-1の重合を
行い、濾過、分離した後、トルエン300mL で5 回洗浄し
た。一方、 2L のオートクレーブに 2mMのメチルアルモ
キサンを含有するトルエン溶液1mL 導入し、液体プロピ
レン 1.2L を加え、溶液の温度を30℃に設定した後、前
記のメタロセン触媒含有のポリ3-メチル-1- ブテンが80
mg封入されたガラスアンプルを破砕することによってプ
ロピレンの重合を開始し、10分間重合を行った。得られ
たポリプロピレンは、2.5 重量% のポリ-3-メチル-1-
ブテンを含有していた。
【0095】〔ポリプロピレン組成物の調製〕結晶性ポ
リプロピレン (ペンタッド分率=97.0%、M.I.=10)を100
重量部、上記ポリ3-メチル-1- ブテン含有ポリプロピレ
ンを10重量部、200 ℃で、ブラベンダーを用いて10分間
溶融混合した。ポリプロピレン組成物の融点は 163.8
℃、結晶化温度は128.2 ℃であった。ポリ3-メチル-1-
ブテンの含有量は、2,280wtppmであった。
【0096】比較例2 実施例2の方法によって調製したシリカ担持メタロセン
触媒を用い、実施例3の重合条件でプロピレンのホモ重
合を行った。結晶性ポリプロピレンの M.I. は6.8、ペ
ンタッド分率は 94.8%、融点は 161.5℃、結晶化温度
は、 120.1℃であった。
【0097】実施例6 〔高結晶性ポリプロピレン組成物の製造〕2Lのオートク
レーブに、特願平 5-120219 の実施例に記載の固体触媒
成分 7.9mgを封入した硝子アンプルを取り付けた後、ト
リエチルアルミニウム 2.1mM、t-ブチルエチルジメトキ
シシラン 0.35mM 、ポリ-3- メチル-1- ブテンの o- ジ
クロルベンゼンスラリー (あらかじめ、実施例1で合成
したポリ-3- メチル-1-ブテン 255mgを 15mL の o- ジ
クロルベンゼンに加熱溶解し、 -50℃に急冷して粒子を
微細化したもの) を添加したあと、水素を 2.0kg/cm2
続いて、液体プロピレン 1.2L を導入した。その後、オ
ートクレーブ内を10℃に冷却し、攪拌開始とともに硝子
アンプルを破砕し、10分間予備重合した。引き続き、70
℃に昇温し、1 時間重合を行った。得られたポリプロピ
レンの収量は 250g であり、ポリ-3- メチル-1- ブテン
1,000wtppm を含有していた。又、M.I.は35、ペンタッ
ド分率は96.9% 、融点は 165.6℃、結晶化温度は 127.4
℃であった。
【0098】比較例3 実施例6のプロピレン重合において、ポリ3-メチル-1-
ブテンを添加しなかった以外は同様の操作を繰り返し
た。得られたポリプロピレンの M.I. は31、ペンタッド
分率は97.2% 、融点は 164.3℃、結晶化温度は 119.5℃
であった。
【0099】実施例7 〔高結晶性ポリプロピレン組成物の製造〕2L のオート
クレーブに、メチルアルモキサン(2M/L トルエン溶液)
2.5 mM、実施例 1に示したシリカ担持メタロセン触媒(Z
r=0.004mM)、続いて、ポリ-3- メチル-1- ブテンの o-
ジクロルベンゼンスラリー (あらかじめ、実施例4で合
成したポリ-3- メチル-1- ブテン 120mgを 15mL の o-
ジクロルベンゼンに加熱溶解し、 -50℃に急冷して粒子
を微細化したもの) を導入し、20℃で60分間攪拌した。
その後、液体プロピレン 1.2L を導入し40℃で60分間重
合を行った。得られたポリプロピレンの収量は120g、M.
I.は35、ペンタッド分率は95.4% 、融点は 163.4℃、結
晶化温度は 129.5℃であった。ポリ3-メチル-1- ブテン
の含有量は、2,280wtppmであった。
【0100】比較例4 実施例7のプロピレン重合において、ポリ-3- メチル-1
- ブテンを添加しなかった以外は同様の操作を行った。
得られたポリプロピレンの M.I. は31、ペンタッド分率
は95.7% 、融点は 161.5℃、結晶化温度は 122.5℃であ
った。
【0101】実施例8 500mLのガラスフィルター付きセパラブルフラスコに、
トルエン 250mL、メチルアルモキサン 5mM、3-メチル-1
- ブテン 40g及び実施例2で用いたシリカ担持メタロセ
ン触媒(Zr=0.04mM) を仕込み、15℃で10分間重合を行っ
た。重合後、液相を濾過、分離したのち、5mM/250mL の
濃度のメチルアルモキサンのトルエン溶液で洗浄した。
続いて、メチルアルモキサン 5mMを含むトルエン溶液25
0mL を添加してスラリー化した。このスラリーから Zr=
0.004mM となる量を硝子アンプルに封入した。次に、 2
L-オートクレーブにアンプルを取り付け、メチルアルモ
キサン(2M/L トルエン溶液) 2.5 mM、液体プロピレン
1.2L を導入し、40℃、60分間重合を行った。得られた
ポリプロピレンの収量は100g、ポリ-3- メチル-1- ブテ
ンの含有量は100wtppmであり、ペンタッド分率は95.5%
、融点は 163.2℃、結晶化温度は 126.3℃であった。
【0102】比較例5 実施例 3において、3-メチル-1- ブテンの重合を行わ
ず、プロピレンの重合のみを行った。得られたポリプロ
ピレンのペンタッド分率は 95.3%、融点は 161.4℃、結
晶化温度は、 121.5℃であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 慎一郎 千葉県市原市五井南海岸8番の1 宇部興 産株式会社千葉研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶性ポリプロピレン中に核剤ポリマー
    を 10wtppm〜10,000wtppm 含有する高結晶性ポリプロピ
    レン組成物であって、該核剤ポリマーの重量平均分子量
    Mwと重量平均分子量Mnとの比Mw/Mnが3以下で
    あることを特徴とする高結晶性ポリプロピレン組成物。
  2. 【請求項2】 結晶性ポリプロピレン中に核剤ポリマー
    を 10wtppm〜10,000wtppm 含有する高結晶性ポリプロピ
    レン組成物の製造方法において、該核剤ポリマーとし
    て、炭素数 4以上の分岐α−オレフィン、ビニル基含有
    環状炭化水素化合物、アルケニルシラン、インデン化合
    物、ビニルノルボルネン、ビニル基置換芳香族化合物か
    ら選択される少なくとも一種類のモノマーをメタロセン
    系重合触媒系を用いて重合して得られるポリマーを用い
    ることを特徴とする高結晶性ポリプロピレン組成物の製
    造方法。
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JP2143594A Pending JPH07228630A (ja) 1994-02-18 1994-02-18 高結晶性ポリプロピレン組成物及びその製造方法

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006063158A (ja) * 2004-08-25 2006-03-09 Tokyo Univ Of Agriculture & Technology 含ケイ素シクロアルカン構造を有するオレフィン系共重合体及びその製造方法
WO2007017360A1 (en) * 2005-08-08 2007-02-15 Basell Poliolefine Italia S.R.L. Process for the nucleation of polypropylene resins

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