JPH07228063A - 被熱転写記録カード - Google Patents

被熱転写記録カード

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JPH07228063A
JPH07228063A JP6041940A JP4194094A JPH07228063A JP H07228063 A JPH07228063 A JP H07228063A JP 6041940 A JP6041940 A JP 6041940A JP 4194094 A JP4194094 A JP 4194094A JP H07228063 A JPH07228063 A JP H07228063A
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JP
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card
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JP6041940A
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Inventor
Kengo Ito
謙吾 伊東
Kaori Isaji
香織 伊佐治
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 IDカードなどのカード類において、カード
基材に直接的に予め書き込まれた情報を保護し、且つそ
の表面に昇華熱転写記録方法により銀塩写真に匹敵する
高い定着性を有する染料画像を形成できるようにする。 【構成】 カチオン染料をイオン交換反応により定着保
持することのできる層間化合物が樹脂バインダー中に分
散されてなる受容層2を、カード基材1の少なくとも片
面に形成する。この場合、受容層2の厚みを2〜10μ
mとすることが好ましい。また、カード基材1の少なく
とも片面に透明樹脂層3を形成してもよく、カード基材
1上に透明樹脂層3と受容層とを順次積層してもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、昇華熱転写記録方法に
より染料画像を形成することができる受容層を有する被
熱転写記録カードに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、テレフォンカードなどのプリペイ
ドカードやIDカードなどのカード類が広く用いられる
ようになっている。これらは、基本的に、図8に示すよ
うに、ポリ塩化ビニル、ポリエステルなどの熱可塑性樹
脂あるいは紙からなるカード基材81に、顔などのイメ
ージ情報や文字情報などの画像層82を形成し、更にそ
の上に、画像層82を保護し且つ画像層82を透視でき
るような透明樹脂層83が積層された構造を有してい
る。このような透明樹脂層83は、可撓性や材料コスト
の点から、一般的にはポリ塩化ビニルから形成されてい
る。
【0003】このようなカード類に関し、画像層82を
昇華熱転写記録方式により染料画像として形成すること
が提案されている(実開平5−31971号公報の請求
項1及び図2、実開平5−31972号公報の請求項1
及び図2、実開平5−3197373号公報の請求項1
及び図2、実開平5−31974号公報の請求項1及び
図2、実開平5−31975号公報の請求項1及び図
2)。画像層82を昇華熱転写記録方法により形成する
ことにより、顔等のイメージ情報をフルカラーで階調性
よく記録することが可能となる。この場合、染料画像を
形成する昇華性染料としては一般的に分散染料が用いら
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、IDカード
等のカード類に書き込む情報には、カード類を使用する
不特定多数の人に向けた共通の情報や当該カードを所有
する一定の範囲(例えば会社単位)に共通する情報と、
当該カードを使用する個人に固有の情報とがある。従っ
て、カード類の製造コストを低減させるために、共通す
る情報(例えば会社名)を予めカード類のカード基材に
印刷法などにより書き込んでおき、その情報を保護する
ために透明ポリ塩化ビニル層を形成し、次に個人に固有
の情報を各カード毎に書き込むという方法が考えられ
る。
【0005】この方法を図8に示した従来のカード類に
適用する場合、会社名等の共通情報は画像層82に形成
し、個人に固有の情報はポリ塩化ビニル層等からなる透
明樹脂層83に書き込むことになる。
【0006】しかし、このような個人情報の書き込みを
昇華熱転写記録方法により行おうとしても、昇華熱転写
記録方法により移行してきた分散染料のポリ塩化ビニル
層に対する定着性は非常に低いため、実質的に昇華熱転
写記録を行うことができないという問題があった。
【0007】本発明は以上のような従来技術の課題を解
決しようとするものであり、IDカードなどのカード類
において、カード基材に直接的に予め書き込まれた情報
を保護し、且つその表面に、昇華熱転写記録方法による
染料画像を銀塩写真に匹敵する定着性で形成できるよう
にすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、染料の受容
層として、樹脂バインダー中にカチオン交換能を有する
層間化合物を分散させた層をカード基材上に形成するこ
とにより上述の目的が達成できることを見出し、本発明
を完成させるに至った。
【0009】即ち、本発明は、カチオン染料をイオン交
換反応により定着保持することのできる層間化合物が樹
脂バインダー中に分散されてなる受容層が、カード基材
の少なくとも片面に形成されていることを特徴とする被
熱転写記録カードを提供する。
【0010】また、本発明は、上述の被熱転写記録カー
ドの製造方法において、離型シートとその上に剥離可能
に形成された受容層とからなる受容層転着用シートであ
って、該受容層が、カチオン染料をイオン交換反応によ
り定着保持することのできる層間化合物が樹脂バインダ
ー中に分散されたものからなる受容層転着用シートの当
該受容層を、カード基材の少なくとも片面に重ね加熱加
圧して接着させ、その後離型シートを剥離除去すること
を特徴とする製造方法を提供する。
【0011】以下、本発明を図面を参照しながら詳細に
説明する。
【0012】図1(a)、(b)は、本発明の被熱転写
記録カードの断面図である。同図(a)の被熱転写記録
カードは、カード基材1とその上に形成された受容層2
とから構成されている。
【0013】カード基材1としては、従来からカード類
に用いられているようなカード基材と同じ素材を用いる
ことができ、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテ
レフタレートなどの熱可塑性樹脂や紙などを使用するこ
とができる。中でも、材料コスト、エンボス加工のし易
さの点からポリ塩化ビニルを使用することが好ましい。
【0014】また、カード基材1としては、同図(b)
に示すように、その表面1aに予め印刷層あるいは磁気
層Pなどを設けたものを使用してもよい。この場合、印
刷層や磁気層は、従来のカード類において使用されてい
るものを使用することができる。
【0015】受容層2は熱転写画像が形成される層であ
り且つカード基材1に予め印刷層や磁気層などが形成さ
れている場合にそれらを保護する層として機能する。こ
の受容層2としては、カチオン染料をイオン交換反応に
より定着保持することができる層間化合物が樹脂バイン
ダー中に分散しているものを使用する。
【0016】受容層2は、カード基材1の少なくとも一
方の面に設ければよく、また、図2に示すように、受容
層2をカード基材1の両面に設けてもよい。両面に設け
ることにより、被熱転写記録カードの両面に熱転写画像
を形成することができる。また、受容層2は、上述のよ
うに、予めカード基材1に形成された印刷層や磁気層P
を保護すると共に、カード基材上に熱転写画像の形成を
可能とする層なので、通常、カード類の最外層として設
けられるが、熱転写画像が形成された受容層の上に更に
ポリ塩化ビニルなどからなる保護層を設けてもよい。
【0017】本発明において受容層2に使用する層間化
合物は、その層間にイオン交換性のカチオンを有する化
合物であり、イオン交換反応によりカチオン染料を定着
保持する機能を有する。このような層間化合物として
は、特開平4−299183号公報の段落0013〜0
017に記載されているような化合物を例示することが
できる。代表的には、イオン交換能を有する粘土系層間
化合物、例えば式(1)のモンモリロナイト群鉱物を好
ましく使用することができる:
【0018】
【化1】 (X,Y)2〜310(OH)・mHO・(W1/3) (1) (式中、XはAl、Fe(III)、Mn(III)又
はCo(III)であり、YはMg、Fe(II)、M
n(II)、Ni、Zn又はLiであり、ZはSi又は
Alであり、WはK、Na又はCaであり、HOは層
間水を示し、mは整数である)。
【0019】式(1)で表されるモンモリロナイト群鉱
物の具体例としては、XとYとの組み合わせと置換数の
相違により、モンモリロナイト、マグネシアンモンモリ
ロナイト、鉄モンモリロナイト、鉄マグネシアンモンモ
リロナイト、バイデライト、アルミニアンバイデライ
ト、ノントロナイト、アルミニアンノントロナイト、サ
ポナイト、アルミニアンサポナイト、ヘキトライト、ソ
ーコナイトなど天然物又は合成物を例示することができ
る。また、式(1)中のOH基がフッ素などのハロゲン
原子で置換されたものも使用することができる。
【0020】また、式(1)のモンモリロナイト群鉱物
の他にもカチオン交換性粘土系層間化合物として、ナト
リウムシリシックマイカ、ナトリウムテニオライト、リ
チウムテニオライトなどの雲母群鉱物を例示することが
できる。
【0021】層間化合物の粒径は、それが含有される受
容層2の透明性の点から小さいことが好ましいが、小さ
すぎると粒径を小さくする加工コストが上昇し、しかも
取扱い性が低下する。従って、層間化合物の粒径は、好
ましくは8μm以下、より好ましくは数μm程度とす
る。
【0022】なお、層間化合物については、その層間に
カチオン染料を入り込み易くさせてイオン交換反応が容
易となるように、その層間の距離を十分に確保しておく
ことが望ましい。また、層間化合物それ自体が親油性
(疎水性)の樹脂バインダーへ容易に分散するようにそ
の層間を疎水化しておくことも望ましい。従って、層間
化合物のカチオン交換性アルカリ金属カチオンやアルカ
リ土類金属カチオンを、カチオン染料とイオン交換可能
で親油性基を有する有機カチオンで予めイオン交換して
おくことが好ましい。このような有機カチオンとして
は、炭素数8以上のアルキル基を有する第4級アンモニ
ウムイオンや置換ホスホニウムイオンなどを好ましく例
示することができる。
【0023】受容層2を形成する樹脂バインダーとして
は、昇華熱転写記録用の受容層として一般に用いられて
いる熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂などの樹脂バインダー
の中から適宜選択して使用することができる。特に、樹
脂バインダーとしては、加熱により接着性を獲得するポ
リ塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂を使用することが好ま
しい。これは、本発明の被熱転写記録カードの製造につ
いて後述するように、このような熱可塑性樹脂を受容層
2の樹脂バインダーとして使用することにより、受容層
2を形成する際に、キャスト法ではなく熱圧着技術によ
り行うことが可能となるからである。
【0024】なお、層間化合物の受容層2中への配合割
合は、受容層2の保形性を確保しつつ熱転写画像を十分
に定着できるようにするために、受容層(固形分)中1
0〜90重量%、好ましくは10〜70重量%、より好
ましくは30〜50重量%とする。
【0025】また、受容層2の厚みは、薄すぎると層と
して形成しにくくなり、また、耐擦過性も低下してカー
ド基材1に予め書き込まれた印刷層や磁気層を十分に保
護できなる。更に、染料の定着性も低下する。一方、厚
みが厚すぎるとカード基材1を透視できなくなり、ま
た、膜形成コストが上昇する。従って、受容層2の厚み
は、好ましくは2〜10μm、より好ましくは3〜8μ
mとなるようにする。
【0026】受容層2には、昇華熱転写記録方法におい
て用いられるような種々の添加物を含有させることがで
きる。例えば、紫外線吸収剤を含有させれば、受容層に
形成された染料画像の耐光性を向上させることができ
る。また蛍光増白剤を含有させれば、被熱転写記録カー
ドの見た目の白さを強調することができる。その他に
も、可塑剤、安定剤などを含有させることができる。
【0027】本発明の被熱転写記録カードにおいては、
カード基材1の少なくとも片面に更に透明樹脂層を設け
ることができる。この場合、透明樹脂層としては、材料
コスト、エンボス加工のし易さ、耐候性等の点からポリ
塩化ビニルを使用することが好ましい。このような透明
樹脂層を設けた具体的な構成を図3に示す。
【0028】図3(a)は、カード基材1の片面に透明
樹脂層3と受容層2とを順次設けた例である。このよう
な態様は、カード基材の一方の表面1aに、予め印刷層
や磁気層が形成され、更にその保護層として透明樹脂層
3が形成されている従来のカード類を利用して容易に作
製することができる。また、これによりその印刷層や磁
気層と同一側に昇華熱転写記録方法により熱転写画像を
形成することが可能となる。
【0029】図3(b)は、カード基材1の片面に受容
層2を設け、そして受容層2と反対側のカード基材1の
面に透明樹脂層3を設けた例である。このような態様
も、図3(a)に示した態様と同様に、カード基材の一
方の表面1aに印刷層や磁気層が形成されてる従来のカ
ード類を利用して容易に作製することができる。また、
これにより、その印刷層や磁気層と反対側に昇華熱転写
記録方法で熱転写画像を形成することが可能となる。
【0030】図3(c)は、カード基材1の両面に透明
樹脂層3a、3bを設け、更に一方の透明樹脂層3a上
に受容層2を設けた例である。このような態様は、カー
ド基材の両面に印刷層や磁気層が形成され、更に透明樹
脂層3a、3bが形成されている従来のカード類を利用
して容易に作製することが可能である。
【0031】図3(d)は、カード基材1の両面に透明
樹脂層3と受容層2とが順次設けられている例である。
【0032】本発明の被熱転写記録カードは、公知の方
法により製造することができる。例えば、カード基材
に、受容層用組成物をキャスト法により塗布して乾燥す
ることにより受容層を形成して製造することができ、ま
た、熱圧着技術を利用して製造することもできる。カー
ド基材や透明樹脂層がキャスト溶媒で侵される場合があ
るので、熱圧着技術を利用して製造することが好まし
い。例えば、図1の本発明の被熱転写記録カードは、図
4に示すように、離型シート4とその上に剥離可能に形
成された受容層2とからなる受容層転着用シート5(図
4(a))の当該受容層2を、カード基材1に重ね加熱
加圧して接着させ(図4(b))、その後、図4(c)
に示すように、離型シート4を剥離除去することにより
好ましく製造することができる。
【0033】また、透明樹脂層を有する被熱転写記録カ
ードを製造する場合には、適宜、カード基材1の片面ま
たは両面の所定の位置に透明樹脂シートを配し、加熱加
圧することにより透明樹脂層を形成できる。
【0034】なお、受容層転着用シート5の離型シート
4としては、耐熱性のあるポリエステルフィルムなどを
使用することができる。
【0035】また、離型シート4上への受容層2の形成
は、トルエンやMEKなどに層間化合物と樹脂バインダ
ーとを分散させた組成物をキャスト法により離型シート
4上に塗布し乾燥することにより行うことができる。
【0036】受容層2をカード基材に接着させる際の加
熱加圧条件は、カード基材1や受容層2に使用する樹脂
バインダーの種類などに応じて適宜設定できる。例え
ば、カード基材1及び受容層2の樹脂バインダーが共に
ポリ塩化ビニル製である場合には、温度140〜160
℃、圧力30〜50kg/cm、熱圧着時間3〜5分
間という条件が好ましい。
【0037】本発明の被熱転写記録カード上に画像ある
いは文字情報を記録する方法としては、カチオン染料を
含むインクリボンなどの熱転写記録媒体を使用する公知
の昇華熱転写記録方法により好ましく行うことができ
る。そのようなカチオン染料としては、層間化合物にイ
オン交換され定着保持され得る種々のカチオン染料の中
から適宜選択して使用することができ、例えば、特開平
4−299183号公報の段落0021〜0024に記
載されているようなカチオン染料を使用することができ
る。例えば、アミン塩又は第4級アンモニウム基を有す
る、アゾ系、トリフェニルメタン系、アジン系、オキサ
ジン系、チアジン系などの水溶性染料を例示することが
できる。なお、これらの染料には、疎水性環境下に存在
する層間化合物との迅速なイオン交換反応を実現するた
めに疎水化処理を施しておくことが好ましい。このよう
な疎水化処理としては、カチオン染料のハロゲンイオン
などの対アニオンを、疎水性基を有する有機アニオン性
界面活性剤、例えばアルキルベンゼンスルホン酸塩など
のスルホン酸塩、アルキル硫酸塩などの硫酸塩、アルキ
ルエーテルカルボン酸塩などのカルボン酸塩、アルキル
リン酸塩などのリン酸エステル塩などの有機アニオンと
イオン交換しておくことを好ましく例示することができ
る。
【0038】
【作用】本発明の被熱転写記録カードにおいて受容層に
使用する層間化合物は、一般に正八面体を基本骨格とす
る3層構造の繰り返しにより構成される層状構造を有
し、格別に処理をしていない本来の状態においては、各
層間に層間水とイオン交換性カチオンであるアルカリ金
属イオンなどを保持している。この状態が図5である。
すなわち、未処理の層間化合物11は、層間にイオン交
換性カチオンとしてナトリウムイオン12を保持してい
る。この時の層間距離をd1とする。
【0039】本発明において、層間化合物としては、前
述のようにして未処理のものよりも高いイオン交換能を
付与したものが好ましい。即ち、層間化合物11を水で
膨潤させて有機陽イオン、例えば疎水鎖を有する第4級
アンモニウムイオンを添加すると、図6に示すようイオ
ン交換が起こり、ナトリウムイオン12に代わってこの
第4級アンモニウムイオン13が層間に取り込まれる。
これにより層間距離d2は、未処理の層間化合物の層間
距離d1より大きくなり、疎水化されたカチオン染料に
対して高いイオン交換能を有するようになる。このよう
な層間化合物は、疎水鎖を有する第4級アンモニウムイ
オン13を層間に保持しているため、非水系のバインダ
ー高分子中に混合分散すると膨潤する。
【0040】本発明で使用する受容層には、好ましくは
このような膨潤した層間化合物を含有するものを使用す
る。この受容層に、疎水化されたカチオン染料で熱転写
画像を形成すると、疎水化カチオン染料は非水系の受容
層中に相溶すると同時に膨潤した層間化合物の各層間に
も入り込む。すると、第4級アンモニウムイオン13と
カチオン染料の間でイオン交換が起こり、図7に示すよ
うに、カチオン染料14が層間化合物11の層間に取り
込まれる。そして、層間化合物11の層間に取り込まれ
たカチオン染料14は、層間化合物11とイオン結合を
形成し、銀塩写真に匹敵する程度の強固さで受容層に定
着保持されることになる。
【0041】従って、こうして熱転写画像を形成した受
容層を、可塑剤を多量に含む素材に長時間接触させてお
いても、熱転写画像を構成する染料が接触した相手側の
素材に移行することを防止でき、また、熱転写画像の耐
溶剤性を飛躍的に高めることが可能となる。
【0042】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。
【0043】実施例1 表1の配合割合の各成分を均一に撹拌して受容層用樹脂
組成物を調製し、それを、離型シートとしての50μm
厚のポリエチレンテレフタレート(PET)シートに乾
燥厚で3〜7μmとなるように塗布し乾燥することによ
り、受容層転着用シートを作成した。なお、表中、親油
化クレイとしてはコープケミカル株式会社製のルーセン
タイトSS1を使用した。
【0044】
【表1】 成分名 重量部 親油化クレイ 7.5 バインダー樹脂 7.5 (デンカビニル#1000D、電気化学工業株式会社製) 紫外線吸収剤 0.75 (SEESORB706、シプロ化成株式会社製) トルエン 42.5 メチルエチルケトン 42.5
【0045】次に、カード基材としてポリ塩化ビニル
(PVC)シートを用意し、その片面に受容層転着用シ
ートの受容層を重ね、150℃、30kg/cm、5
分という条件で熱圧着した。圧力をかけたまま加熱をや
め室温まで放冷した。そして受容層転着用シートのPE
Tシートを引き剥がし、所定のカード形状に型抜きする
ことにより図1(a)の被熱転写記録カードを得た。
【0046】これとは別に、表2〜4の配合のインク層
形成用組成物を調製した。これらの組成物において使用
したカチオン染料は、疎水化されているものである。次
に、このインク層形成用組成物を、裏面に耐熱滑性層が
形成され且つ表面にプライマー層が形成されたPETフ
ィルムの当該プライマー層上に、乾燥厚で1μmとなる
ようにワイヤーバーコーターにより塗布し、120℃で
2分間乾燥することにより、イエロー、シアン、マゼン
タの各色のインクリボンを得た。
【0047】
【表2】 イエローインク層形成用組成物の配合 成分 配合量(重量部) C.I.BASIC YELLOW 28 ラウリル硫酸塩 110 ポリビニルブチラール 100 (6000CS、電気化学工業株式会社製) シリコーン樹脂 0.44 (SF8427、東レダウコーニング株式会社製) トルエン 1250 メチルエチルケトン 1250
【0048】
【表3】 マゼンタインク層形成用組成物の配合 成分 配合量(重量部) C.I.BASIC RED 22 ラウリル硫酸塩 80 ポリビニルブチラール 100 (6000CS、電気化学工業株式会社製) シリコーン樹脂 0.32 (SF8427、東レダウコーニング株式会社製) トルエン 1250 メチルエチルケトン 1250
【0049】
【表4】 シアンインク層形成用組成物の配合 成分 配合量(重量部) C.I.BASIC BLUE 75 ラウリル硫酸塩 150 ポリビニルブチラール 100 (6000CS、電気化学工業株式会社製) シリコーン樹脂 0.60 (SF8427、東レダウコーニング株式会社製) トルエン 1250 メチルエチルケトン 1250 得られたインクリボンを用いてカード用ビデオプリンタ
ーで本実施例の被熱転写記録カードの受容層に熱転写画
像を形成し、得られた熱転写画像の定着性を以下に示す
ように試験し、評価した。
【0050】定着試験1)〜3) 1) 可塑剤を多量に含有する人工皮革(ポリ塩化ビニ
ル製)に、被熱転写記録カードの受容層を接触させて1
4日間放置し、染料が人工皮革に移行し、そのため熱転
写画像が損なわれた否かを目視にて評価した。その結果
を表5に示す。表中、“○”は、染料が人工皮革に移行
せず、熱転写画像に変化が見られなかった場合を示し、
“×”は、染料が人工皮革に移行し、熱転写画像に変化
が見られた場合を示している。
【0051】2) 被熱転写記録カードの受容層にトル
エンを付着させ、染料がトルエンに溶け出し、そのため
熱転写画像が損なわれた否かを目視にて評価した。その
結果を表5に示す。表中、“○”は、染料がトルエンに
溶け出さず、熱転写画像に変化が見られなかった場合を
示し、“×”は、染料がトルエンに溶け出し、熱転写画
像に変化が見られた場合を示している。
【0052】3) 被熱転写記録カードの受容層にシア
ノアクリレート系の瞬間接着剤を付着させ、染料が接着
剤に溶け出し、そのため熱転写画像が損なわれた否かを
目視にて評価した。その結果を表5に示す。表中、
“○”は、染料が接着剤に溶け出さず、熱転写画像に変
化が見られなかった場合を示し、“×”は、染料が接着
剤に溶け出し、熱転写画像に変化が見られた場合を示し
ている。
【0053】
【表5】 定着試験1) 定着試験2) 定着試験3) (人工皮革) (トルエン) (瞬間接着剤) 実施例1 ○ ○ ○ 2 ○ ○ ○ 3 ○ ○ ○ 4 ○ ○ ○ 5 ○ ○ ○ 比較例1 × × × 表5から明らかなように、本実施例の被熱転写記録カー
ドの受容層に形成された熱転写画像の定着性はすぐれた
ものであった。
【0054】実施例2 カード基材と、受容層転着シートの受容層側面との間
に、透明なポリ塩化ビニルシートを挟み込んで熱圧着す
る以外は実施例1と同様にして、図3(a)に示す様な
被熱転写記録カードを得た。
【0055】得られた被熱転写記録カードの受容層に形
成された熱転写画像の定着性を実施例1と同様に試験
し、評価した。その結果を表5に示す。表5から明らか
なように本実施例の被熱転写記録カードに形成された熱
転写画像の定着性はすぐれたものであった。
【0056】実施例3 受容層転着シートと反対側のカード基材の表面に、透明
なポリ塩化ビニルシートを重ねて熱圧着する以外は実施
例1と同様にして、図3(b)に示す様な被熱転写記録
カードを得た。
【0057】得られた被熱転写記録カードの受容層に形
成された熱転写画像の定着性を実施例1と同様に試験
し、評価した。その結果を表5に示す。表5から明らか
なように本実施例の被熱転写記録カードに形成された熱
転写画像の定着性はすぐれたものであった。
【0058】実施例4 カード基材の両面に、透明なポリ塩化ビニルシートを重
ねて熱圧着する以外は実施例1と同様にして、図3
(c)に示す様な被熱転写記録カードを得た。
【0059】得られた被熱転写記録カードの受容層に形
成された熱転写画像の定着性を実施例1と同様に試験
し、評価した。その結果を表5に示す。表5から明らか
なように本実施例の被熱転写記録カードに形成された熱
転写画像の定着性はすぐれたものであった。
【0060】実施例5 カード基材の両面において、カード基材の表面と受容層
転着シートの受容層側面との間に透明なポリ塩化ビニル
シートを挟み込んで熱圧着する以外は実施例1と同様に
して、図3(d)に示す様な被熱転写記録カードを得
た。
【0061】得られた被熱転写記録カードの受容層に形
成された熱転写画像の定着性を実施例1と同様に試験
し、評価した。その結果を表5に示す。表5から明らか
なように本実施例の被熱転写記録カードに形成された熱
転写画像の定着性はすぐれたものであった。
【0062】比較例1 CPカード用生カード(大日本印刷株式会社製)を用意
し、このカードの表面に形成された熱転写画像の定着性
を実施例1と同様に試験し、評価した。その結果を表5
に示す。表5から明らかなように本比較例の被熱転写記
録カードに形成された熱転写画像の定着性は著しく低い
ものであり、実用に供しうるものではなかった。
【0063】
【発明の効果】本発明によれば、IDカードなどのカー
ド類において、カード基材に直接的に予め書き込まれた
情報を保護し、且つその表面に昇華熱転写記録方法によ
り銀塩写真に匹敵する定着性を有する染料画像を形成で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の被熱転写記録カードの断面図である。
【図2】本発明の被熱転写記録カードの断面図である。
【図3】本発明の被熱転写記録カードの断面図である。
【図4】本発明の被熱転写記録カードの製造工程図であ
る。
【図5】未処理の層間化合物の構造の説明図である。
【図6】第4級アンモニウムイオンで置換された層間化
合物の構造の説明図である。
【図7】カチオン染料でイオン交換された層間化合物の
構造の説明図である。
【図8】従来のカードの断面図である。
【符号の説明】
1 カード基材 2 受容層 3 透明樹脂層

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カチオン染料をイオン交換反応により定
    着保持することのできる層間化合物が樹脂バインダー中
    に分散されてなる受容層が、カード基材の少なくとも片
    面に形成されていることを特徴とする被熱転写記録カー
    ド。
  2. 【請求項2】 受容層がカード基材の少なくとも片面の
    最外層として形成されている請求項1記載の被熱転写記
    録カード。
  3. 【請求項3】 受容層の厚みが1〜10μmである請求
    項1又は2記載の被熱転写記録カード。
  4. 【請求項4】 カード基材と受容層との間に透明樹脂層
    が形成されている請求項1〜3のいずれかに記載の被熱
    転写記録カード。
  5. 【請求項5】 カード基材の片面に透明樹脂層と受容層
    とが順次形成され、カード基材の他面にも透明樹脂層が
    形成されている請求項4記載の被熱転写記録カード。
  6. 【請求項6】 カード基材の両面に透明樹脂層と受容層
    とが順次形成されている請求項4記載の被熱転写記録カ
    ード。
  7. 【請求項7】 カード基材の片面に受容層が形成され、
    他面に透明樹脂シート層が形成されている請求項1〜3
    のいずれかに記載の被熱転写記録カード。
  8. 【請求項8】 カード基材として、その表面に予め印刷
    層又は磁気層が形成されているものを使用する請求項1
    〜7のいずれかに記載の被熱転写記録カード。
  9. 【請求項9】 離型シートとその上に剥離可能に形成さ
    れた受容層とからなる受容層転着用シートであって、該
    受容層が、カチオン染料をイオン交換反応により定着保
    持することのできる層間化合物が樹脂バインダー中に分
    散されたものからなる受容層転着用シートの当該受容層
    を、カード基材の少なくとも片面に重ね加熱加圧して接
    着させ、その後離型シートを剥離除去することを特徴と
    する請求項1記載の被熱転写記録カードの製造方法。
JP6041940A 1994-02-15 1994-02-15 被熱転写記録カード Pending JPH07228063A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003011529A (ja) * 2001-07-02 2003-01-15 Sony Corp 熱転写用印画紙の保護シート及び熱転写用印画紙パック
WO2004078480A1 (ja) * 2003-03-03 2004-09-16 Oji Paper Co., Ltd. 熱転写受容シート

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