JPH07223301A - フィルム物品 - Google Patents

フィルム物品

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JPH07223301A
JPH07223301A JP6016052A JP1605294A JPH07223301A JP H07223301 A JPH07223301 A JP H07223301A JP 6016052 A JP6016052 A JP 6016052A JP 1605294 A JP1605294 A JP 1605294A JP H07223301 A JPH07223301 A JP H07223301A
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JP
Japan
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film
group
compound
photopolymerization initiator
functional group
Prior art date
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Application number
JP6016052A
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English (en)
Inventor
Hisayuki Kashiwagi
久往 栢木
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NIPPON EE R C KK
Original Assignee
NIPPON EE R C KK
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Publication date
Application filed by NIPPON EE R C KK filed Critical NIPPON EE R C KK
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  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ポリビニルアルコール(PVA)を主成分と
するフィルムに付着性等の十分ある耐摩耗性等の優れた
保護コーティングを施す被覆組成物を提供すること。 【構成】(1)コロイダルシリカ、(2)重合性官能基
(アクリル基、エポキシ基)を有する有機ケイ素化合物
もしくはそれの部分加水分解物、(3)多官能でアクリ
ル基以外の重合可能な化合物および(4)カチオン光重
合開始剤なる被覆組成物をPVAを主成分とするフィル
ムに塗布した後、硬化させて得られることを特徴とする
フィルム物品である。また、本発明は上記組成物に、さ
らに(5)多官能でアクリル基を持つ重合可能な化合物
を添加した組成物、または、さらに(6)ラジカル光重
合開始剤を添加した組成物をフィルムに塗布した後、硬
化させて得られるフィルム物品である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は保護膜形成用の被覆組成
物をポリビニルアルコールを主成分とするフィルムに塗
布した後に得られるフィルム物品に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチック基材の耐摩耗性、耐溶剤
性、耐候性を改良する方法の一つに保護コーティングを
施す事は一般的に行われている。特に、保護コーティン
グ用塗布膜を放射線を用いて硬化させる方法は短時間で
硬化被膜を得ることができるので優れた方法である。こ
のような方法で上記保護コーティングを得るための組成
物としては、アクリル系樹脂が用いられている。しか
し、アクリル系樹脂では硬度に限界があるためアクリル
系樹脂にコロイダルシリカや有機ケイ素化合物を導入し
たシリコン系塗料も開発されている(例えば米国特許3
79836号明細書、特開平3−56514号参照)。
また、アクリル系モノマーもしくはオリゴマーと非アク
リル系モノマー(ビニルエーテル、エポキシ化合物等)
を併用するシステムについても知られている(例えば、
特開平2−269777号参照)。一方、液晶表示装置
関連機器、例えば偏光フィルムの保護フィルム等に各種
透明プラスチックが用いられている。透明プラスチック
の中でポリビニルアルコール(PVA)を主成分とする
フィルムは、光学性能、耐候性等の物性が優れており、
また、その製造方法も環境を汚染するものではない。こ
うした理由から今後PVAフィルムの液晶表示装置関連
機器等の光学的機器での利用が増えることが期待でき
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
耐摩耗性等の性能に優れるアクリル系樹脂塗料やシリコ
ン系塗料を用いる保護コーティング膜はポリビニルアル
コールフィルムに対して十分な付着性がないことがあっ
た。上記特開平2−269777号においてもポリビニ
ルアルコールフィルムに対する付着性について何ら示唆
されてない。そこで、本発明の目的はポリビニルアルコ
ールを主成分とするフィルムに付着性等の十分ある耐摩
耗性等の優れた保護コーティングを施す被覆組成物を提
供することである。また、本発明の目的は耐摩耗性等の
優れた保護コーティングを施したポリビニルアルコール
を主成分とするフィルムからなる物品を提供することで
ある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は次の
構成によって達成される。すなわち、(1)コロイダル
シリカ、(2)重合性官能基を有する有機ケイ素化合物
もしくはそれの部分加水分解物、(3)多官能でアクリ
ル基以外の重合可能な官能基を有する化合物および
(4)カチオン光重合開始剤からなる被覆組成物をポリ
ビニルアルコールを主成分とするフィルムに塗布した
後、硬化させて得られるフィルム物品、または、(1)
コロイダルシリカ、(2)重合性官能基を有する有機ケ
イ素化合物もしくはそれの部分加水分解物、(3)多官
能でアクリル基以外の重合可能な官能基を有する化合
物、(4)多官能でアクリル基を持つ重合可能な化合物
および(5)カチオン光重合開始剤からなる被覆組成物
をポリビニルアルコールを主成分とするフィルムに塗布
した後、硬化させて得られるフィルム物品、または、
1)コロイダルシリカ、(2)重合性官能基を有する有
機ケイ素化合物もしくはそれの部分加水分解物、(3)
多官能でアクリル基以外の重合可能な官能基を有する化
合物、(4)多官能でアクリル基を持つ重合可能な化合
物、(5)カチオン光重合開始剤および(6)ラジカル
光重合開始剤からなる被覆組成物をポリビニルアルコー
ルを主成分とするフィルムに塗布した後、硬化させて得
られるフィルム物品である。
【0005】(1)本発明の第一成分のコロイダルシリ
カはサブミクロンの大きさのシリカ粒子の水性もしくは
他の溶媒分散系を用いる。例えば、Nalco1057
(Nalco社製商標名、平均粒度20nm、固形分3
0%、プリポキシエタノール分散)、スノーテックスO
−40(日産化学(株)製商標名、平均粒度20nm、
固形分40%、水分散)、IPA−ST(日産化学
(株)製商標名、平均粒度20nm、固形分30%、イ
ソプロピルアルコール分散)等が用いられる。コロイダ
ルシリカはコーティング組成物中の総固形分の約25〜
80重量%、好ましくは約30〜70重量%で用いる。
コロイダルシリカがコーティング組成物中の総固形分の
約25重量%未満になると耐摩耗性が実用的な範囲に入
らなくなる程度に低下し、また、コロイダルシリカがコ
ーティング組成物中の総固形分の約80重量%を超える
とクラック発生となる不具合がある。
【0006】(2)本発明の第二成分重合性官能基を有
する有機ケイ素化合物もしくはそれの部分加水分解物と
しては、アクリル基もしくはエポキシ基を有する有機ケ
イ素化合物もしくはそれの部分加水分解物は前記官能基
を有する任意の有機ケイ素化合物もしくはその部分加水
分解物を用いることができるが、次の一般式(A)を有
するアクリロキシシランまたは一般式(B)のグリシド
キシシランもしくはそれらの部分加水分解物をまたは前
記アクリロキシシランまたはグリシドキシシランもしく
はそれらの部分加水分解物の混合物を用いることが好ま
しい。
【0007】
【化1】 ここで、R3、R4は同一または異なる1価の炭化水素基
で、ハロゲン置換された前記1価の炭化水素基、不飽和
基も含む。R3、R4は例えばメチル、エチル、プロピル
等の炭素数1〜8の低級アルキル、ビニル、アリールを
表す。また、R5は炭素数2〜8の2価の炭化水素基、
6は水素もしくは1価の炭化水素基を表し、b=1、
2、3、c=0、1、2、d=4−b−cであり、多く
の場合、b=3、c=0、d=1である。一般式(A)
を有するアクリロキシシランは、例えば3−メタクリロ
キシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプ
ロピルトリメトキシシラン、2−メタクリロキシエチル
トリメトキシシラン、2−アクリロキシエチルトリメト
キシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシ
シラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラ
ン、2−メタクリロキシエチルトリエトキシシラン、2
−アクリロキシエチルトリエトキシシランなどである。
【0008】
【化2】 ここで、R7、R8は同一または異なる1価の炭化水素基
で、ハロゲン置換された前記1価の炭化水素基、不飽和
基も含む。R7、R8は例えばメチル、エチル、プロピ
ル、ビニル、アクリルを表す。また、R9は炭素数2〜
8の2価の炭化水素基を表し、e=1、2、3、f=
0、1、2、g=4−e−fであり、多くの場合、e=
3、f=0、g=1である。一般式(B)のグリシドキ
シシランは、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメ
トキシシラン、2−グリシドキシエチルトリメトキシシ
ラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、
2−グリシドキシエチルトリエトキシシランなどであ
る。本発明の前記第二成分はコロイダルシリカ固形分に
対して0.05〜1.5倍の重量、好ましくは0.1〜
0.5倍で用いられる。
【0009】(3)本発明の第三成分である多官能でア
クリル基以外の重合可能な官能基を有する化合物として
は、例えばグリシジルエーテル、アリルエーテル、ビニ
ルエーテル、脂環式ポリエポキシドが用いられるが、さ
らに具体的には、例えば、トリメチロールプロパントリ
グリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジル
エーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエー
テル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテ
ル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、グリシジ
ルメタクリレート、グリシジルエーテル、トリメチロー
ルプロパントリグリシジルエーテル、エチレングリコー
ルジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジ
グリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリ
シジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテ
ルなどのグリシジルエーテル類、1,1,2,2,−テ
トラアリルオキシエタン、トリアリルシアヌレート、ジ
エチレングリコールジアリルエーテル、マレイン酸ジア
リルエーテル、アジピン酸ジアリルエーテル、ジエチレ
ングリコールビスアリルカーボネート、アリルグリシジ
ルエーテルなどのアリルエーテル、ジエチレングリコー
ルジビニルエーテル、リエチレングリコールジビニルエ
ーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、
ジプロピレングリコールジビニルエーテル、トリプロピ
レングリコールジビニルエーテル、1,4−ジビニルオ
キシブタン、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテ
ル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルなど
のビニルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメ
チル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルポキシレー
ト、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペ
ートなどの脂環式ジエポキシドなどである。この第三成
分はコロイダルシリカ固形分に対して0.1〜2倍の重
量で用いられるが、好ましくは0.2〜1.5倍の重量
で用いられる。
【0010】(4)本発明の第四成分として用いること
もある多官能でアクリル基を持つ重合可能な化合物は、
例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ト
リメチロールプロパントリエトキシトリアクリレート、
トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジ−トリ
メチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリス
リトールモノヒドロキシトリアクリレート、ペンタエリ
スリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトー
ル(モノヒドロキシ)ペンタアクリレート、1,6−ヘ
キサンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオー
ルジアクリレート、エチレングリコールジアクリレー
ト、ジエチレングリコールジアクリレート、テトラエチ
レングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコ
ールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリ
レート、ポリ(ブタンジオール)ジアクリレート、ポリ
エチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレング
リコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ
メタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレ
ート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレ
ングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコ
ールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメ
タクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレー
ト、ポリ(ブタンジオール)ジメタクリレート、ポリエ
チレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレング
リコールジメタクリレート、ビスフェノールAジアクリ
レートなどである。この第四成分はコロイダルシリカ固
形分に対して0〜3倍の重量で用いられるが、好ましく
は0.2〜2倍の重量で用いられる。
【0011】(5)本発明の第五成分であるカチオン光
重合開始剤は次式 (R10−C64n+MQh - の化合物が用いられる。ここで、Xはヨウ素(I)、リ
ン(P)、硫黄(S)から選ばれるラジカルであり、M
は金属もしくはメタロイド、Qはフッ素(F)、塩素
(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)から選ばれるハ
ロゲンラジカルであり、R10は水素もしくは炭素数1〜
12の1価の炭化水素基を表し、h=4、5、6、n=
2、3である。例えば、MQh -とししては多種類のイオ
ン種を用いることができるが、SbF6 -、AsF6 -、B
4 -、PF6 -から選ばれるものが好ましい。本発明のカ
チオン光重合開始剤は、例えばテトラフルオロボレー
ト、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアー
セネートおよびヘキサフルオロアンチモネートのジフェ
ニルイオドニウム塩、テトラフルオロボレート、ヘキサ
フルオロホスフェート、ヘキサフルオロアーセネートお
よびヘキサフルオロアンチモネートのトリフェニルスル
ホニウム塩などであり、市販品としてはイルガキュア−
261{日本チバガイギー(株)製の(1−6−η−ク
メン)(η−シクロペンタジエニル)鉄(1+)六フッ
化リン酸(1−)の商品名}またはサイラキュアーUV
I−6970{ユニオン・カーバイド日本(株)製の4
−4’ビス〔ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルス
ルフォニオ〕フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオ
ロアンチモネートの商品名}またはSP−150{旭電
化工業(株)製の4−4’ビス〔ジ(β−ヒドロキシエ
トキシ)フェニルスルフォニオ〕フェニルスルフィド−
ビス−ヘキサフルオロフォスフェート}などが好ましく
用いられる。この第五成分は溶液固形分に対して0.1
〜6重量%で添加されるが、好ましくは0.3〜4%の
重量で用いられる。本発明の上記第五成分であるカチオ
ン光重合開始剤は紫外線による架橋反応の開始剤として
有効である。また、基材との接着性付与に効果を生じる
上記カチオン光重合開始剤は本発明の組成物中に重合性
の化合物が存在していても電子線照射を用いて重合性の
化合物を硬化させる場合には次の第六成分を用いない
で、単独で使用できる。
【0012】(6)本発明の第六成分であるラジカル光
重合開始剤は第二成分である有機ケイ素化合物類、第三
成分の多官能で非アクリル基を持つ重合可能な化合物ま
たは第四成分である多官能でアクリル基を持つ重合可能
な化合物を用いる場合のように重合性化合物が組成物中
に存在に、重合性のフリーラジカル基を付加反応または
架橋反応させるために有用な化合物である。本発明の第
六成分であるラジカル光重合開始剤はフィルム物品の硬
度を向上させることができる。本発明のカチオン光重合
開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、1−ヒドロ
キシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキ
シ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2
−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,4,
6−トリメチルベンゾイルジフェニル−フォスフィンオ
キサイド、2,2−ジエトキシアセトフェノン3,
3’,4,4’−テトラ−(t−ブチルパーオキシカル
ボニル)ベンゾフェノンが好ましく用いられる。より具
体的にはダロキュアー1173(日本チバガイギー
(株)製の2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル
プロパン−1−オン)などを用いる。この第六成分は溶
液固形分に対して 0〜10重量%で添加されるが、好
ましくは0.3〜6倍の重量で用いられる。上記第五成
分のカチオン光重合開始剤を光重合開始剤中の10〜1
00重量%の量で用い、残りを第六成分のラジカル光重
合開始剤を添加して、これらの光重合開始剤の組み合わ
せで用いることが好ましい。
【0013】(7)さらに、本発明の組成物中には任意
成分として耐摩耗性向上、接着性向上を図るために単官
能でアクリル基、グリシジル基、アリル基、ビニル基を
持つ重合可能な化合物を添加することもできる。例え
ば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキ
シエチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリ
レート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、テトラ
ヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリ
ルメタクリレート、メチルアクリレート、メチルメタク
リレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレー
ト、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、
グリシジルメタクリレート、n−ブチルグリシジルエー
テル、フェニルグリシジルエーテル、アリルアルコー
ル、アリルシンナメート、アリルシクロヘキサン、フェ
ニルアリルエーテル、ビニルアセテート、4−ヒドロキ
シブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、プ
ロペニルエーテルプロピレンカーボネート、酸酸ビニル
などが用いられる。この第七成分は溶液固形分に対して
0〜20重量%で添加されるが、好ましくは0〜10倍
の重量で用いられる。
【0014】また、本発明の組成物中には硬化被膜のレ
ベリング剤、滑性付与剤としてポリオキシアルキレンと
ポリジメチルシロキサンの共重合体およびポリオキシア
ルキレンとフルオロカーボンとの共重合体のいずれかを
用いることもできる。該成分の使用量はフィルム形成性
成分の総量の0.01〜7重量部である。さらに、周知
の酸化防止剤、耐候性付与剤、紫外線吸収剤、つや消し
剤、界面活性剤、カップリング剤、チキソトロピック剤
を添加しても良い。本発明の上記組成物は紫外線または
電子線等の放射線により硬化され、PVAを主体とする
フィルムに透明な耐摩耗性のある保護膜を形成させるこ
とができる。また、分散染料、二色性色素、例えばアン
トラキノン系、アゾ系、ヨウ素分子等の染料化合物を添
加したPVAを主体とする偏光フィルムの直接保護膜と
してコーティングすることができる。
【0015】本発明の実施において、上記光硬化性コー
ティング組成物は、好ましくは、先ず、コロイド状シリ
カと上記シランを十分な量の水と混合シランの加水分解
生成物が形成されこれがコロイド状シリカとシランとの
反応を促進するのを確実にすることによって調整する。
この混合物を室温でコロイド状シリカとシランとの反応
が完了するのに十分な時間、一般的には、約1〜約20
時間撹拌する。次いで、多官能性のアクリル基以外の重
合性官能基を有する化合物またはその混合物、その他の
重合性化合物、放射線感応性開始剤、および必要に応じ
ての任意の他の上記した添加剤を加え、混合物を一般に
均質なコーティング組成物を調整するように十分に撹拌
する。さらに、コーティング組成物の粘度を減じること
を望むららば、アルコールのような有機溶媒を調整物中
に任意に含有させ得る。本発明の組成物はPVAを主体
とするフィルムの少なくとも一方の表面上に流動法、ハ
ケ塗り法、スプレー法、ディッピング法、スピンコート
法、バーコート法、ロールコート法等の塗布方法で塗布
する。
【0016】また、上記組成物をPVAを主体とするフ
ィルムに塗布した後、硬化させるのであるが、その方法
には次のような硬化方法を用いることができる。例え
ば、予め、熱を加えて溶媒を蒸発させた後、硬化処理を
行うか、硬化処理した後に、熱を加えるポストキュア
ー、あるいは、光による硬化処理と熱処理を同時に行う
こともできる。硬化処理は紫外線、電子線などの光照射
により行うことができる。光照射は例えばメタルハライ
ドランプを10cmの位置から照射して行うがこれに限
定されず、水銀ランプにより硬化できるものであれば、
その光源波長は制限されない。
【0017】PVAを主体とするフィルムとしては、ポ
リビニルアルコール単独、エチレン・ビニルアルコール
樹脂、エチレン・酢酸ビニル・ビニルアルコール樹脂、
ポリビニルアルコール・ポリ塩化ビニルの混合物、ポリ
ビニルアルコール・酢酸ビニルの混合物、ポリビニルア
ルコール・アクリルエステル変性品、その他、尿素、メ
ラミン、フェノール等の初期縮合物を添加し硬化促進剤
を加えた熱硬化性樹脂の併用品、その他、各種性能を改
善するために変性品を用いることができる。上記フィル
ムの添加剤としては、可塑剤、消泡剤、耐水化剤、増量
剤を含む物品、具体例はポリビニルアルコール製造メー
カーのカタログに記載されている。PVAを主体とする
フィルムの中のPVA含有率は50%〜100%、好ま
しくは70%〜100%が望ましい。PVA含有率が5
0%未満ではPVAの優れた物性(透明性、耐熱性、耐
薬品性、酸素不透過性、機械的特性)を生かすことが出
来ない。PVAを主体とするフィルムは各種グレードの
物が市販品として入手可能であるが、成膜性、膜強度、
接着性等を考慮して以下の範囲内のPVAを用いること
が好ましい。 PVAの平均重合度 200〜2500 4%水溶液の粘度/20℃で 3〜150cps ケン化価度 70〜99.9% また、フィルムは一軸延伸、二軸延伸したものでも使用
可能である。
【0018】
【作用】本発明によれば、重合可能な官能基を有する有
機ケイ素化合物が水存在下で部分加水分解し、その結果
得られたシラノール基が、コロイダルシリカ表面のシラ
ノール基と反応し、一方、重合可能な官能基が有機成分
と相溶性を有するため、コロイダルシリカをコーティン
グ液中もしくは硬化して得られる塗膜中に安定して存在
させうる。さらに、ポリビニルアルコール表面のOH基
が、重合可能な官能基を有する有機ケイ素化合物もしく
はそれの部分加水分解物の官能基あるいはシラノール
基、アクリル基以外の重合可能な官能基を有する化合物
の官能基(グリシジル基、ビニル基、アリル基)が、カ
チオン光重合開始剤存在下で反応し、付着性が得られる
ことがフィルムとコーティング塗膜との密着性の向上に
貢献し、また、ラジカル光重合開始剤存在下で、多官能
アクリル基を有する化合物が重合、架橋反応することで
鉛筆硬度に優れた塗膜がえられたものと考えられる。
【0019】
【実施例】以下、本発明の一実施例を説明する。 実施例1 Nalco1057を30g、3−メタクリロキシプロ
ピルトリメトキシシラン(A−174)を2gおよび蒸
留水1.3gを混合し1時間撹拌した。その混合液を撹
拌しながら、トリメチロールプロパントリアクリレート
(#295)を3.4g、テトラアリルオキシエタンを
1.2gを加え1時間撹拌した。次に、ダロキュアー1
173を0.6g、サイラキュアーUVI6970を
0.2g、レベリング剤としてフローラッドFC430
(スリーエム社製のフッ素系アルキルエステル界面活性
剤)を0.2g添加し、遮光した状態でさらに1時間撹
拌した。 上記混合液を室温で48時間熟成した。ポリ
ビニルアルコールを主成分とする市販のフィルム{クラ
レポバール;(株)クラレ製;PVA−HCから成るフ
ィルム(厚み50μm);揮発分8.5%以下、酢酸ソ
ーダ2.5%以下、ケン化度99.85モル%以上、粘
度25.0±3.5cps(4%20℃)、PVA含有
率90.0%}にバーコーターにて、上記混合液を塗布
し、メタルハライドランプ(160W/cm)を10c
mの位置から照射し硬化させた。この時のコンベアース
ピードは80cm/分である。得られた塗膜の外観は無
色透明であった。付着性は100/100、鉛筆硬度は
4Hであった。
【0020】なお、クロスハッチ試験(ゴバン目試験J
ISK5400に準拠した)による付着性テストは塗膜
をクロスカットした後、ニチバン(株)製セロテープT
−240(商品名)を用いてクロスハッチ試験を行い塗
膜の付着状況から判定した。また、鉛筆硬度はJIS規
格に基づき試験を行った(1kg荷重)。以下、同様な
方法で実施例2〜17および比較例1〜4についての実
験を行い結果を表1〜4に示す。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
【表3】
【0024】
【表4】
【0025】なお、上記表1〜表4中の略号については
下記の通りである。 1057 :コロイダルシリカ、30%
固形分、分散溶媒プロポキシエタノール(NALCO
製) 0−40 :コロイダルシリカ、40%
固形分、分散溶媒水(日産化学(株)製) A−174 :3−メタクリロキシプロピ
ルトリメトキシシラン(日本ユニカー(株)製) A−187 :3−グリシドキシプロピル
トリメトキシシラン(日本ユニカー(株)製) テトラアリルオキシエタン:東京化成工業(株)製 トリアリルシアヌレート :東京化成工業(株)製 TRIAM−501 :ジエチレングリコールジア
リルエーテル(和光純薬工業(株)製) CR−39 :ジエチレングリコールビス
アリルカーボネート(徳山曹達(株)製) アジピン酸ジアリル :東京化成工業(株)製 マレイン酸ジアリル :東京化成工業(株)製 アリルグリシジルエーテル:東京化成工業(株)製 TMP−TG :トリメチロールプロパント
リグリシジルエーテル(阪本薬品工業(株)製) 40E :エチレングリコールジグリ
シジルエーテル(共栄社化学(株)製) CHVE :シクロヘキサンジメタノー
ルジビニルエーテル(アイエスピー・ジャパン(株)
製) DVE−3 :トリエチレングリコールジ
ビニルエーテル(アイエスピー・ジャパン(株)製) ♯295 :トリメチロールプロパント
リアクリレート(大阪有機化学工業(株)製) AD−TMP :ジ−トリメチロールプロパ
ンテトラアクリレート(新中村化学工業(株)製) M−360 :トリメチロールプロパンE
O変性(n−2)トリアクリレート(東亜合成化学工業
(株)製) M−350 :トリメチロールプロパンE
O変性(n−1)トリアクリレート(東亜合成化学工業
(株)製) M−310 :トリメチロールプロパンP
O変性(n−1)トリアクリレート(東亜合成化学工業
(株)製) 4160 :ネオペンチルグリコールア
ルコキシジアクリレート(サンノプコ(株)製) 酢酸ビニル :電気化学工業(株)製 ダロキュアー1173 :2−ヒドロキシ−2−メチ
ル−1−フェニルプロパン−1−オン(日本チバガイギ
ー(株)製) UV16970 :4−4’ビス[ジ(βヒド
ロキシエトキシ)フェニルスルフォニオ]フェニルスル
フィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネート(ユニオ
ン・カーバイド日本(株)製) SP−150 :4−4’ビス[ジ(βヒド
ロキシエトキシ)フェニルスルフォニオ]フェニルスル
フィド−ビス−ヘキサフルオロフォスフェート(旭電化
工業(株)製) イルガキュアー261 :(1−6−η−クメン)
(η−シクロペンタジエニル)鉄(1+)六フッ化リン
酸(1−)(日本チバガイギー(株)製)
【0026】実施例と比較例との結果から分かるように
本発明の成分(3)の非アクリル化合物が無い場合(比
較例1)、本発明の成分(5)のカチオン光重合開始剤
が無い場合(比較例2)、本発明の成分(4)のアクリ
ル化合物が無い場合(比較例3)および本発明の成分
(2)のシランが無い場合(比較例4)に比較して本発
明の実施例は優れた塗膜性能が得られている。
【0027】
【発明の効果】ポリビニルアルコールを主成分とするフ
ィルムへの付着性に優れ、しかも鉛筆硬度に優れた塗膜
が得られた。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)コロイダルシリカ、(2)重合性
    官能基を有する有機ケイ素化合物もしくはそれの部分加
    水分解物、(3)多官能でアクリル基以外の重合可能な
    官能基を有する化合物および(4)カチオン光重合開始
    剤からなる被覆組成物をポリビニルアルコールを主成分
    とするフィルムに塗布した後、硬化させて得られること
    を特徴とするフィルム物品。
  2. 【請求項2】 (1)コロイダルシリカ、(2)重合性
    官能基を有する有機ケイ素化合物もしくはそれの部分加
    水分解物、(3)多官能でアクリル基以外の重合可能な
    官能基を有する化合物、(4)多官能でアクリル基を持
    つ重合可能な化合物および(5)カチオン光重合開始剤
    からなる被覆組成物をポリビニルアルコールを主成分と
    するフィルムに塗布した後、硬化させて得られることを
    特徴とするフィルム物品。
  3. 【請求項3】 (1)コロイダルシリカ、(2)重合性
    官能基を有する有機ケイ素化合物もしくはそれの部分加
    水分解物、(3)多官能でアクリル基以外の重合可能な
    官能基を有する化合物、(4)多官能でアクリル基を持
    つ重合可能な化合物、(5)カチオン光重合開始剤およ
    び(6)ラジカル光重合開始剤からなる被覆組成物をポ
    リビニルアルコールを主成分とするフィルムに塗布した
    後、硬化させて得られることを特徴とするフィルム物
    品。
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