JPH07223271A - 曲がり管とその製造方法および装置 - Google Patents

曲がり管とその製造方法および装置

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JPH07223271A
JPH07223271A JP6079812A JP7981294A JPH07223271A JP H07223271 A JPH07223271 A JP H07223271A JP 6079812 A JP6079812 A JP 6079812A JP 7981294 A JP7981294 A JP 7981294A JP H07223271 A JPH07223271 A JP H07223271A
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layer
mold
reinforcing fiber
preform
reinforcing
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JP6079812A
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English (en)
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Shunei Sekido
俊英 関戸
Ryoichi Matsuura
良一 松浦
Tetsuyuki Kyono
哲幸 京野
Kazuhiko Nishimura
一彦 西村
Kosuke Yoshimura
康輔 吉村
Shinya Isoi
伸也 礒井
Haruo Ohara
春夫 尾原
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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  • Reinforced Plastic Materials (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 成形品表面にボイドやピンホール、樹脂流れ
不良部の発生しない製造方法および装置、それによって
成形された、優れた特性とともに安定した品質を有する
FRP製曲がり管およびラケットを提供する。 【構成】 内側に強化繊維層4を有し、外側に単糸径が
10μm以下、目付が70g/m2 以下の強化繊維の不
織布層5を有する、繊維強化プラスチック製曲がり管お
よびラケット、それらの製造方法および装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、繊維強化プラスチック
(以下、FRPと言うこともある。)製曲がり管とその
製造方法および装置に関し、とくにFRP製ラケットに
適用して最適な構造、製造方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のFRP製曲がり管、たとえばFR
P製ラケットや自転車のフレームと、その製造工程に
は、以下に述べるような種々の問題がある。従来のラケ
ットフレームの成形方法は、たとえば、強化繊維である
炭素繊維やガラス繊維の織物や一方向に引き揃えたシー
ト、あるいはその一方向性シートを斜めに又は互いに交
差させて重ねた積層シートに、エポキシ樹脂や不飽和ポ
リエステル樹脂等を含浸したプリプレグのシートを作製
し、該プリプレグシートを所定の幅に各々裁断した後、
特開平5−96030号公報に記載されているように、
裁断後の狭幅のプリプレグシートが1層づつ、樹脂又は
ゴム製のチューブ(フイルム)が被覆された芯材の周り
に巻きつけられて積層される。このようにして1層づつ
巻きつけ積層されたプリフォームが金型内に装着され、
金型を加熱しながら、芯材が抜き取られたチューブ内に
加圧媒体(たとえば圧空)を注入して加圧成形される
(一般に「内圧成形法」と呼ばれている。)。
【0003】このような内圧成形法においては、上記プ
リフォームは、金型への装着が容易なように、金型のキ
ャビティ(キャビティ)の外径よりも小さな外径に設定
される。従って、加熱成形時のチューブ内への加圧媒体
の圧力によってプリフォームはキャビティの外径まで拡
張されることになる。
【0004】しかし上記のような従来の方法では、図6
0、図61に示すように、樹脂やゴム製のチューブ20
1が被覆された芯材202の外周に、プリプレグ203
を1層づつ捲回、積層していくため、各層毎に重ね合わ
せ部分(オーバラップ部分)が発生する。最終的には金
型内での加熱、加圧成形時に各層総てが周方向拡張する
ために移動する必要があるが、重ね合わせ部分が多いた
めに完全に拡張のための移動が達成されないところが発
生し、外層が金型に到達しなかったり、到達しても本来
の加圧力を受けきれないことが原因で、ラケットフレー
ム成形品の外表面にボイドや樹脂流れ不良などの成形不
良が発生することが多い。そのため、成形品の表面品位
や強度のばらつきが大きいという問題があった。
【0005】またプリフォームの作製に当り、プリプレ
グ203を1層づつ芯材202に巻きつけていくため、
作業効率が非常に悪いという問題もあった。
【0006】また、上記のような方法では、金型内にお
いては、たとえば図62に示すような成形が行われる。
図において、204は芯材202が抜き取られた樹脂製
(たとえばナイロン製)チューブ、205は強化繊維と
マトリクス樹脂からなる繊維強化層(プリプレグ)、2
06、207は金型、208は金型合わせ面、209は
ラケットフレームのガット張設面を形成し、型抜きの際
脱型可能なように退避する中子である。
【0007】ラケットフレームは、多数の細かい曲面に
よって構成されており、かつ平板と異なり密閉された金
型内で成形されるため、金型合わせ面208から最も遠
く、かつ曲率の小さい部位に図63に示すようにボイド
及びピンホール210が生じ易いという特性を有してお
り、これらにパテ埋め処理を施さなければならないこと
が、生産性を低くする原因となっていた。
【0008】しかも、従来の強化繊維とマトリクス樹脂
からなるプリプレグに内圧を付与し加熱硬化して成形す
る方法では、プリプレグを構成する強化繊維が、内圧を
付与した時に金型内壁に密着するためにマトリクス樹脂
の流動性を低下させ、脱気性を損なう原因となってい
た。樹脂の流動性が低下し脱気性が損なわれると、上述
のようなボイド、ピンホール210が発生し易く、また
表面の品位も劣るようになる。
【0009】また、従来の内圧成形法では、後述のよう
な理由もあって、比較的低圧(例えば、圧空で12kg
/cm2 以下)が負荷されている。このため、樹脂を含
浸した強化繊維層のキャビティを形成する壁面への密着
不良が生じたり、金型内の空気が完全に抜けきれず、ボ
イドが発生したり、ある部位に樹脂量が不足する欠量が
生じたりするという問題もある。
【0010】さらに、ラケットフレーム等の曲がり管の
プリフォームに関しては、その成形方法が、上述の如
く、強化繊維の配向方向が異なるプリプレグシートを所
定の積層順に、樹脂またゴム製のチューブを被せた芯材
に手作業で1層づつ捲回する方法や、プリプレグシート
をテーブル上に積層順に並べて、樹脂またはゴム製チュ
ーブを被せた芯材を加圧加熱しながら回転させて、プリ
プレグシートを海苔巻状に捲回する方法等が一般に知ら
れている。
【0011】ところがこのようなプリフォーム成形方法
では、作業効率が悪く、作業に時間がかかり、品質も安
定しないし、自動化が難しい。ラケット製造工程にこの
ような工程が存在すると、成形されたラケットの品質が
安定しないし、製造コスト高騰の原因ともなる。
【0012】内圧成形法においては、前述の如く通常比
較的低い圧力が適用されているが、筒状フイルムの周囲
に樹脂を含浸した繊維強化シートを設けた成形基材を内
部から加圧する加圧媒体の圧力が小さいと、その表面、
特にラケットフレームのようにフレームの断面形状が軸
方向に変化するような箇所においては、通常、FRP成
形基材の金型内壁面への密着不足に起因する凹凸や残留
気泡が成形品の表面に発生し、外観品質が悪くなるとい
う問題が発生しやすい。ここで加圧媒体とは、樹脂が熱
硬化するまでの時間、繊維強化シートを金型に圧接させ
るために繊維強化シートの内側に充填される圧力伝達媒
体をいうが、具体的なものとしては、例えば特開昭56
−166862号公報においては、6kg/cm2 ・G
以上の窒素ガスが、特開昭53−9643号公報におい
ては、約30バール(30.6kg/cm2 ・G)の圧
力を有する圧空が例示されている如く、取扱いの容易
さ、汎用性から通常、気体が使用されている。
【0013】しかし、加圧媒体に気体を利用する方法
は、筒状フイルムと外部加圧装置との接続方法が容易で
あり、万一接続不良から気体が漏れた場合でも成形品を
汚す等の悪影響が少ない利点があるものの、気体は圧縮
性流体であるため30kg/cm2 を超えると取扱いに
危険が伴う上、製造設備費が高騰するという高圧成形に
起因する重大な欠点があった。従って、加圧媒体を高圧
化することにより表面欠陥の発生を抑えるという要請に
応えることが出来ないため、その対策として低圧媒体を
使用した場合には、今度は低圧に基づく表面欠陥がどう
しても発生し、この表面欠陥を後加工で修正するための
費用がコストアップにつながっていた。
【0014】そこで、圧縮性流体を使用する方法に対
し、水あるいは油等の非圧縮性流体を使用することが考
えられるが、定形性を有しない液体を漏れること無く封
じ込めることが困難であり、このような具体的手段を開
示した発明は見当たらない。また、たとえ加圧媒体に非
圧縮性流体を用いる手段が実現できたとしても、液体の
漏れが発生した場合には生産性に影響を及ぼす等の問題
を生ずる。このようなことから前記公知例の特開昭56
−166862号公報においても、筒状フイルムへの加
圧媒体の導入管であるゴム管と外部加圧装置との具体的
な接続方法が開示されていない。通常、外部加圧装置と
可撓性チューブとを接続する継手は、耐圧と漏れ防止の
ため、継手部分にいわゆるかしめ加工を採用するのであ
るが、本発明方法においては、後述するように比較的高
圧の非圧縮性流体を可撓性チューブ内に充填すること、
また、成形温度が通常120℃〜150℃であることか
ら耐熱性を有するゴム弾性体をかしめ加工する必要があ
る。しかし、かかる場合には、温度上昇時のゴムの伸び
によりかしめ力の減少が生じ、これがために非圧縮性流
体の漏れが発生し、これに対処するためかしめ力を増加
した場合には薄肉チューブの破れが問題となる。
【0015】また、内圧成形法では、繊維強化シート層
の金型への良好な密着性が要求されることから、強化繊
維層として型に沿い易い性質(良質なフィット性)をも
つことが好ましい。このような要望に沿う技術として、
強化繊維層を多重編組から構成し、それに樹脂を含浸さ
せて内圧成形する技術が知られている。この多重編組の
プリプレグの製法として特公平5−80329号公報が
知られている。
【0016】多重編組のプリプレグに関する従来技術に
おいては、無溶媒系樹脂を用いているため概して高粘度
で完全含浸しにくく、特に多重層になるにしたがい含浸
しにくくなるという問題がある。また、樹脂含浸を容易
にするため低粘度の樹脂を選択する必要があり、樹脂選
択の自由度が少なく、比較的高粘度の樹脂を用いる場合
には、それを完全含浸するため生産速度の低下で対応す
る必要がある。また、編組材料は編組組織であるため一
方向配向プリプレグに比較し概して表面不平滑であり、
成形品の表面にボイド、ピンホールなどの欠陥が発生し
易いという問題もある。また、編組プリプレグを巻取る
ためには離型紙によるセパレートが必要になる。さら
に、編組は編組時張力に応じ伸ばされた状態で組まれる
が、組織がルーズであるため伸縮性があり張力を解除す
ると伸びが回復して太くなり、編組幅、長さが安定しな
いという問題もある。
【0017】上述の特公平5−80329号公報では、
編組の伸縮性に関する問題を解決するために三軸構造の
編組で行うとしているが、三軸構造の編組は軸方向の伸
縮性は解決できるものの、反面幅方向の伸縮性も低下し
てしまうので、編組の特徴の一つである成形形状へのフ
ィット性が大きく損なわれてしまう。
【0018】FRP製曲がり管、たとえばテニスラケッ
トフレームを製造する方法として、米国特許第3,75
5,037号や特開平3−176083号公報の明細書
に記載されているような、いわゆるResin Transfefer M
oldingと呼ばれる方法が知られている。米国特許第3,
755,037号の方法は、鋼線材を集束してなるマン
ドレルに可撓性チューブを被せ、そのチューブの周りに
強化繊維のヘリカル巻き層を形成した後上記マンドレル
を引き抜いてプリフォームを形成し、そのプリフォーム
を所望のラケットフレーム形状をしたキャビティを有す
る下金型に入れ、上記ヘリカル巻き層に樹脂を付与し、
上金型を閉じた後、上記チューブ内を与圧しながら樹脂
をヘリカル巻き層に含浸すると共に成形するものであ
る。
【0019】ところが、この方法は、下金型に入れたプ
リフォームのヘリカル巻き層に樹脂を付与し、上金型を
閉じた後、樹脂をヘリカル巻き層に含浸すると共に成形
するので、閉じこめられた空気が抜けきらず、得られる
ラケットフレームの表面にクレータ状の穴やピンホール
ができやすいという問題がある。
【0020】また、特開平3−176083号公報の方
法は、可撓性チューブを中芯とし繊維強化基材からなる
クロス、スリーブ、ロービングを金型に配置した後、重
合触媒と開始剤を含む溶融したω−ラクタム類を型内に
注入し、中芯に圧力をかけながら加熱してポリアミド樹
脂をマトリクスとした中空のラケットフレームを成形す
るものである。
【0021】ところが、この方法では、型内での重合反
応が急速な反応を伴うため、開始剤量や温度の設定が難
しく、重合度、反応時間のコントロールが困難であり、
そのためボイドが発生し易いなどの問題がある。しかる
に、フレーム表面に穴やピンホールができると表面品位
が損なわれ、また、樹脂含有率に差ができると物性が低
下したり重量バランスがくずれたりして商品価値が低下
する。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
のような種々の問題点に鑑み、成形品表面にボイドやピ
ンホール、樹脂流れ不良部の発生しない製造方法および
装置、それによって成形された、優れた特性とともに安
定した品質を有するFRP製曲がり管およびラケットを
提供することにある。
【0023】また、本発明の他の目的は、上記のような
優れた品質の成形品を得るためのプリフォームとその製
造方法および装置を提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のFRP製曲がり管は、内側に強化繊維層を
配し、その強化繊維層の外側に、単糸径が20μm以下
で、目付が100g/m2 以下の不織布層を配してなる
ことを特徴とするものからなる。
【0025】また、本発明に係るFRP製ラケットは、
繊維強化プラスチック製ラケットであって、内側に強化
繊維層を配し、その強化繊維層の外側に、単糸径が20
μm以下で、目付が100g/m2 以下の不織布層を配
してなることを特徴とするものからなる。
【0026】このようなFRP製曲がり管あるいはラケ
ットにおいては、その成形段階において、不織布層は、
内圧を受けたマトリクス樹脂を金型合わせ面まで容易に
到達せしめるための流出経路として機能し、かかる樹脂
が金型合わせ面から排出される際、予形された成形基材
の内部及び表層にある気泡を抱き込むため、脱気性がよ
くなり、ボイドやピンホールの極めて少ない表面品位の
よい形成体が得られる。更に、従来のラケットフレーム
に比べて排出される樹脂の量が増加するため、成形体の
重量を軽減でき、かつ外殻層全体の繊維体積含有率を増
やすため強度を上げることもできる。したがって、外
観、表面品位の良い、かつ強度特性に優れた曲がり管や
ラケットが得られる。
【0027】ここで、不織布層の繊維の単糸径が20μ
mを越えると、不織布層の粗密が大きくなるため成形品
の表面平滑性が損なわれ、さらに樹脂の過流出につなが
る。また、繊維の目付が100g/m2 を越えると、や
はり樹脂の過流出につながり、ボイドやピンホールなど
の原因となったり、強度低下などを招く。また、目付が
大きすぎると、成形品の重量増につながるので、この面
からも上記のような低目付が好ましい。
【0028】上記強化繊維層の強化繊維としては、炭素
繊維、ガラス繊維、各種有機繊維(たとえばポリアラミ
ド繊維)を用いることができ、上記不織布層の繊維とし
ても、炭素繊維、ガラス繊維、ポリアラミド繊維等を用
いることができる。不織布層の繊維としては、繊維径が
細く、成形後の研磨時にけば立たないという点で炭素繊
維が最も好ましい。
【0029】本発明のFRP製曲がり管およびラケット
においては、強化繊維層の形態として各種用い得る。た
とえば、強化繊維層が強化繊維を一方向に引き揃えた強
化繊維の一方向引き揃え体を含んでいるもの、強化繊維
層内で、強化繊維の配列方向が少なくとも二方向に交差
しているもの、強化繊維層が強化繊維の織物層や編組層
を含んでいるもの等を用いることができる。また、これ
らの任意の組み合わせを含んでいてもよい。
【0030】このような形態の強化繊維層においては、
後述のプリフォームの項で詳しく説明するように、4組
を超えない範囲の強化繊維層を有し、各強化繊維層は複
数枚の強化繊維材の積層構成を有しているとともに横断
面がC字状をしており、かつ、下層の強化繊維層の開口
部を上層の強化繊維層が覆っていることが好ましく、こ
のような形態をとることによりプリフォームの成形が大
幅に容易化される。
【0031】さらに、上述の如く、強化繊維層として、
強化繊維の編組を含んでいる構成としてもよい。好まし
くは、この強化繊維の編組は多重編組に構成される。編
組とすることにより、編組が元々有する成形形状への良
好なフィット性が確保されつつ、同時に上記不織布層の
存在により樹脂の良好な流動性、脱気性が確保され、表
面品位の良好な成形品が得られる。
【0032】上記不織布層の不織布を構成している繊維
は、繊維長1〜30mmの短繊維であることが好まし
く、より好ましくは5〜20mmの短繊維である。繊維
長が30mmを越えると、樹脂の流動性を妨げ、逆に1
mmよりも短いと、樹脂と共に流出するおそれがある。
【0033】不織布自身の加工に用いる固着剤として
は、成形品のマトリクス樹脂にエポキシ樹脂を使用する
場合には、吸水性のできるだけ低いものが好ましい。更
に好ましくは、マトリクス樹脂と同系であることが望ま
しい。また、かかる固着剤は、成形温度において溶解も
しくは軟化するものが強化繊維層及び不織布層の拡幅性
の観点から好ましい。
【0034】また、この不織布は、製造段階ではフレー
ム成形基材の最外層に更に積層するが、不織布に用いる
繊維の剛性によりしばらく放置すると拡がってしまい、
金型セット時の噛み込みなどの原因となることがある。
そこで、不織布に樹脂を含浸し、粘着性をもたせると作
業性が良くなる。つまり、不織布層もプリプレグ化して
おくことが好ましい。
【0035】本発明に係る曲がり管やラケットのマトリ
クス樹脂としては、エポキシ樹脂や不飽和ポリエステル
樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化
性樹脂が挙げられる。また上記の如く不織布層をプリプ
レグ化して製造に供する場合には、含浸樹脂はこれらマ
トリクス樹脂と同系であることが、層間剥離強度の低下
を防ぐ観点から好ましい。
【0036】不織布へ樹脂を含浸させておく場合には、
余り多くする必要はなく、たとえば不織布と含浸樹脂の
比率が3:7(重量比)の時、作業性が良好であった。
これ以上多くても、不織布に含浸された樹脂は成形時に
大部分が流出してしまうので無駄となる。
【0037】不織布層の繊維の向きとしては、実質的に
一方向に配向されていることが好ましい。成形基材を金
型セットし、内圧成形を行う際の樹脂や空気の逃げ方向
に、この繊維の配向方向を合わせることも可能となる。
この繊維の配向方向は、特に意図しなくても、不織布製
造段階で自然に達成し得る。すなわち、不織布の製造
は、通常、周回するベルト上に短繊維を散布するが、ベ
ルトが一定方向に速度をもっているため、ベルト上に堆
積される短繊維も、あるい程度ベルト走行方向に配列
し、実質的に方向性をもつ不織布となるからである。
【0038】上述の如き不織布層を有する曲がり管やラ
ケットフレームの構成としては、たとえば図1に示すよ
うになる。図1は、本発明によるラケットフレームの層
構成を示しており、最内層に樹脂(たとえばナイロン)
やゴム製の内圧成形用のチューブ1(筒状フイルム)、
その外側に強化繊維2とマトリクス樹脂3からなる繊維
強化層4、最外層にマトリクス樹脂が含浸された不織布
層5の構成を有する。
【0039】不織布層の厚さとしては、特に限定されな
いが、0.05〜0.2mmであることが、前述の樹脂
の流動性確保、ボイド等の発生防止、さらには成形品の
軽量化の観点から好ましい。また、不織布層における繊
維の体積含有率は、5〜30%であることが好ましい。
目付を100g/m2 以下にしたのと同じ理由で、繊維
体積含有率が高すぎると、樹脂の流動性が損なわれると
ともに、成形品の重量増大を招く。逆に低すぎると、不
織布層存在の効果が損なわれる。
【0040】不織布層は、曲がり管やラケットの長さ方
向全長にわたって配されていてもよく、長さ方向に部分
的に設けられていてもよい。たとえば、不織布層がラケ
ットのグリップ以外の部分全長にわたって配されていて
もよく、フレームのヨーク近傍に配されていてもよい。
とくにフレームとヨーク接合部周りは、成形の際ボイド
やピンホールが発生し易い部位であるので、効果が大き
い。
【0041】また、不織布層は、曲がり管やラケットフ
レームの周方向に全周にわたって配されていてもよく、
部分的に、たとえばラケットフレームの周方向にガット
用溝部以外の部分に配されていてもよい。
【0042】また、不織布層としては、複数層積層され
た構成を採ることもできる。さらに、不織布層は、いわ
ゆるスパイラル巻きではなく、所定幅の不織布シートを
曲がり管やラケットフレームの周方向に巻いて設けるこ
とが好ましい。これによって、工程を簡素化できるとと
もに、不織布シートのオーバラップ部分を小さくし、表
面平滑性を向上できる。
【0043】さらに、ラケットのフレームおよび/また
はヨークの強化繊維層の内側に、少なくとも部分的にハ
ニカム体や木材からなる芯材を配することもできる。こ
のような芯材の配設により必要な部位を部分的にさらに
補強でき、強度特性の向上をはかることができる。
【0044】また、本発明に係る曲がり管は、上記のよ
うな不織布層を持たない、特定の強化繊維層を有するも
のにも構成できる。すなわち、本発明に係る曲がり管
は、4組を超えない範囲の強化繊維層を有し、各強化繊
維層は複数枚の強化繊維材の積層構成を有しているとと
もに横断面がC字状をしており、かつ、下層の強化繊維
層の開口部を上層の強化繊維層が覆っていることを特徴
とするものからなる。このような曲がり管においては、
強化繊維材が、例えば、強化繊維の一方向引揃え体また
は織物からなる。
【0045】上記のようなFRP製曲がり管やラケット
は、次のようなプリフォームを用いて製造されることが
好ましい。すなわち、本発明に係るFRP製曲がり管あ
るいはラケット成形用プリフォームは、4組を超えない
範囲の強化繊維層を有し、各強化繊維層は複数枚の強化
繊維材の積層構成を有しているとともに横断面がC字状
をしており、かつ、下層の強化繊維層の開口部を上層の
強化繊維層が覆っていることを特徴とするものからな
る。この強化繊維層は、プリプレグ化されていることが
好ましい。
【0046】すなわち、従来のプリフォームにあって
は、たとえば図64に示すように、たとえばナイロンチ
ューブ211を被覆した芯材212に、強化繊維シート
あるいはプリプレグ213を一枚づつ順次捲回して、プ
リフォーム214を作製していた。したがって、作業性
が悪く、手間がかかるとともに品質も安定しなかった。
【0047】本発明に係るプリフォームは上述の如き構
成を有し、たとえば図2、図3に示すように構成されて
いる。図において、11、12は、筒状フイルム14
(たとえばナイロンチューブ)が被覆された芯材13上
に、互いに幅方向両側部位にてオーバラップ領域を有す
るように捲回された4組を超えない範囲(図示例では2
組)の、複数枚の強化繊維材またはプリプレグの積層構
成を有しているとともに横断面がC字状をしている強化
繊維層またはプリプレグシートを示している。そして、
下層の強化繊維層またはプリプレグシートの開口部を上
層の強化繊維層またはプリプレグシートが覆っている。
プリフォーム15としては、芯材13が抜き取られた状
態にて内圧成形に供される。
【0048】図3に示したようなプリフォーム15は、
ラケットフレームの成形に供する場合には、たとえば図
4に示すように、オーバラップ部分にガット穴16およ
びガット張設用の溝17がくるようにすることが好まし
い。
【0049】また、図3に示した態様の他、たとえば図
5に示すように、筒状フイルム21が被覆された芯材2
2の上に捲回される強化繊維シートあるいはプリプレグ
シート23、24のオーバラップ領域を更に大きくした
プリフォーム25とすることもできる。
【0050】なお、図3、図5に示した態様では、2つ
の強化繊維シートあるいはプリプレグシートを捲回する
ようにしたが、必要に応じてこの上に更に同様にシート
を捲回してもよい。但し、捲回層数が余り多くなると、
従来の一層づつ捲回する場合との差が小さくなるので、
その場合には、捲回するシートを形成する強化繊維層あ
るいはプリプレグ層の積層枚数を増やし、合計で4組を
超えない範囲とすればよい。
【0051】このようなプリフォームは、たとえば次の
ような方法で形成される。すなわち、本発明に係るプリ
フォームの製造方法は、芯材に被せた筒状フイルムの上
に、少なくとも、その筒状フイルムの全周長よりも短い
幅の第1の強化繊維シートを捲回し、この第1の強化繊
維シートの上に、第2の強化繊維シートを、捲回された
前記第1の強化繊維シートの開口部を覆うように捲回す
ることを特徴とする方法からなる。ここで、第1の強化
繊維シートおよび第2の強化繊維シートは、通常、それ
ぞれ強化繊維材が複数枚積層されたものからなる。
【0052】また、第1の強化繊維シートおよび第2の
強化繊維シートがプリプレグ化されていることが好まし
い。
【0053】たとえば、図6に示すように、複数枚の強
化繊維シートあるいはプリプレグシート26を所定枚数
積層し、該積層により形成された強化繊維シートあるい
はプリプレグシート27を図7に示すように所定幅に切
断して第1の強化繊維シートあるいは第1のプリプレグ
シート、および第2の強化繊維シートあるいは第2のプ
リプレグシートを作製する。
【0054】そして図8に示すように、たとえばナイロ
ンチューブ28が被覆された芯材29上に、まず第1の
強化繊維シートあるいはプリプレグシート30を捲回
し、その開口部31を覆いかつ開口部31の両側で第1
の強化繊維シートあるいはプリプレグシート30とオー
バラップするように、第2の強化繊維シートあるいはプ
リプレグシート32を捲回することにより、図5に示し
たようなプリフォームが形成される。
【0055】上記のような、いわゆる2分割構成のプリ
フォームにおいては、従来のように1層毎に積層して構
成する場合に比べ、金型成形時に移動する層間が合計2
箇所しかないことから、成形が容易で、つまり内圧負荷
時に両強化繊維シートあるいはプリプレグシートが容易
に膨張、移動し、移動不良が極めて少なく、成形不良が
殆ど発生しない。また、芯材への捲回回数も内、外積層
体の2回だけで済むため、作業時間が短く、高効率であ
る。また捲回する回数が少ないことと、捲回されるプリ
プレグ等が既に多層に積層されたものであるため、剛性
が高く捲回作業の機械化、即ち自動化が容易となる。な
お、上記例は、2組の強化繊維シートあるいはプリプレ
グシートからなる、2分割構成の例を説明したが、成形
性や作業性改善の点、および機械化の点から、4組の構
成でも効果は充分にある。
【0056】上記のように形成されたプリフォームの外
側には、前述の如く、不織布層が設けられていることが
好ましい。不織布層としては、その繊維の単糸径が20
μm以下、目付が100g/m2 以下であることが好ま
しい。このような不織布層が設けられたプリフォーム
は、たとえば図9に示すような構成を有する。
【0057】上述のような、いわゆる2分割構成のプリ
フォームは、次のような装置を用いて形成できる。すな
わち、本発明に係る管状プリフォームの製造装置は、筒
状フイルムを被せた芯材とその芯材上に設けた強化繊維
のプリプレグシートとを保持するとともに、プリプレグ
シートを芯材の外形に沿って芯材の上下面に押圧する、
上下方向に移動可能な上下一対の第1のプレス手段と、
プリプレグシートを芯材の外形に沿って折り曲げ、折り
曲げられたプリプレグシートを芯材の側面に押圧する、
左右方向に移動可能な左右一対の第2のプレス手段とを
有していることを特徴とするものからなる。ここで、第
2のプレス手段は、たとえば上下二段に設けられてい
る。
【0058】たとえば図5に示した形態のプリフォーム
は、図10〜図20に示すように、上下プレス板41、
42と、左右に上下二段に設けられたプレス板43、4
4、45、46とを有する装置を用いて次のように形成
される。
【0059】なお、使用するナイロンチューブ被覆芯材
47は、断面が四角形であって、テーパがかかっていて
はならない。また、上下プレス板41、42の幅は、芯
材47の横幅より狭い必要があり、左右プレス板43〜
46の高さは、芯材47の厚みよりも大きい必要があ
る。
【0060】また、各プレス板は、プリプレグの折曲げ
動作時、所定の位置に順次移動する。本実施態様ではプ
レス板の移動は、電動モータによっているが、流体圧を
利用したシリンダ等、他の手段を使用することもでき
る。また、プリプレグシートは、表面にタック性がある
ため、プレス板に接着してしまうことのないように、プ
レス板の表面にテフロンコーティング等の難粘着処理を
行うことが望ましい。さらに、折曲げ動作時、プリプレ
グシートがずれないように保持するために、上下プレス
板のプレス面の複数箇所に吸着パッドを埋め込んで、必
要時にプリプレグを吸着することも効果的である。
【0061】また、プリプレグ折曲げ時には、プリプレ
グが芯材47にしっかりと接着するためのタック性と、
折曲げた後、プリプレグシートが剥がれて元の状態に戻
ってしまわないようなドレープ性が必要であるので、装
置内の雰囲気温度をプリプレグの折曲げに最適な温度に
保つための加温設備を設けてある(図示略)。この加温
装置は、電熱ヒータを上下プレス板のプレス面に埋め込
むように構成してもよい。
【0062】図10〜図20に示した成形工程は、人ま
たは機械的手段によりプリプレグ折曲げ部に積層プリプ
レグおよびチューブ被覆芯材47を配置する工程と、配
置後、作業者が装置のスタートボタンを押すことによ
り、装置が自動動作を行い、6個のプレス板が順次移動
して、プリプレグを折曲げ、芯材に捲回する工程からな
る。
【0063】まず、図10に示すように、下プレス板4
2が中心点よりも上の位置まで上昇する。次に、下プレ
ス板42の上に、プリプレグシート48、チューブ被覆
芯材47を順次配置する。
【0064】次に、図11に示すように、上プレス板4
1が下降して、プリプレグ48と芯材47をプレスす
る。次に、右下、左下プレス板46、45が中心点に向
かって前進する。このとき図12に示すように、上下プ
レス板41、42がプリプレグ48と芯材47を挟んだ
まま下降して、プリプレグ48を折曲げる。そして、図
13に示すように、右下、左下プレス板46、45が、
中心点に向かって前進して芯材47を挟み、プリプレグ
48を90度折曲げ、プレスする。次に上プレス板41
が上昇する。
【0065】次に、図14に示すように、右上、左上プ
レス板44、43が中心点まで前進し、プリプレグ48
を略C型に折曲げ、下プレス板42が上昇してプレス
し、C型を定着させる。
【0066】次に、図15に示すように、右上、左上プ
レス板44、43が後退し、芯材47の上に次のプリプ
レグ49を配置する。
【0067】次に、図16に示すように、上プレス板4
1が下降してプリプレグ49と芯材47を挟む。そして
右下、左下プレス板46、45が後退する。
【0068】次に、図17に示すように、上下プレス板
41、42が芯材47とプリプレグ48、49を挟んだ
まま下降する。その後、右上、左上プレス板44、43
が中心点に向かって前進する。
【0069】次に、図18に示すように、上下プレス板
41、42が芯材47とプリプレグ48、49を挟んだ
まま上昇して、プリプレグ49を折曲げる。そして、図
19に示すように、右上、左上プレス板44、43が、
中心点に向かって前進して芯材47を挟み、プリプレグ
49を90度折曲げ、プレスする。次に、下プレス板4
2が下降する。
【0070】さらに、図20に示すように、右下、左下
プレス板46、45が中心点まで前進し、プリプレグ4
9を略C型に折曲げ、上プレス板41が下降してプレス
し、C型を定着させる。プレス板を後退させて成形され
たプリフォームを取り出すと、図5に示したようなプリ
フォームとなる。
【0071】ここで、さらに、プリプレグシートを捲回
する場合には、次のプリプレグシートを装置内に配置し
て、今までの工程を繰り返せば良い。また、上記工程
は、一例であって、プレス板の移動順序、位置等を成形
するプリフォームに合わせて変更することも可能であ
る。
【0072】上記のような装置を用いてプリフォームを
形成すれば、装置内に積層プリプレグシート、チューブ
被覆芯材を順次配置することにより、装置内の6つのプ
レス板が順次移動して、半自動的に積層プリプレグシー
トをチューブ被覆芯材に捲回でき、かつ捲回回数も原則
として2回でよいので、品質の安定した長尺プリフォー
ムを効率よく、短時間で成形することができる。
【0073】本発明に係るプリフォームは、上記のよう
な2分割構成のプリフォームの他、編組を用いた構成と
することもできる。
【0074】すなわち、本発明に係るFRP製曲がり管
あるいはラケット成形用プリフォームは、強化繊維から
なる編組層と、この編組層の外側に配した不織布層とを
有していることを特徴とするものからなる。
【0075】この編組層はプリプレグ化されていること
が好ましい。また、編組層としては、多重の編組から構
成することもできる。
【0076】ここで、上記不織布層の不織布を構成して
いる繊維の単糸径が20μm以下で、目付が100g/
2 以下であることが好ましい。
【0077】上記編組プリフォームの製造方法を、たと
えば図21に示した製造装置を参照して説明する。編組
機51、52、53を多重連(本例では3連)で用い
て、気密性膨張管54(たとえばナイロンチューブ)の
上に強化繊維の繊維束55を多重編組し、該編組56を
樹脂液57に浸漬して樹脂を含浸し、加熱乾燥装置5
8、水冷ターンロール59、60、加熱乾燥装置61を
通して溶媒を乾燥し、水冷ターンロール62を通した
後、その上に不織布63を上下から貼付し、カレンダー
装置64でプレスした後、該多重層編組プリプレグ65
を巻取る方法である。
【0078】上記のような方法、装置においては、編組
角度(軸線方向を0°として)10°〜60°の範囲で
各層同一角度又は各層異なる角度で編組し、繊維体積含
有率は40〜70%(樹脂体積含有率30〜60%)と
することが好ましい。
【0079】また、気密性膨張管58としては、ナイロ
ン、ポリエステル、ポリプロピレン、シリコーン、ゴム
系等、通常使用される任意のポリマー材料が使用でき
る。また、図示の如く、気密性膨張管54の外に、繊維
束又はテープ状布帛66(織布、不織布)を同時に通
し、その上に多重編組することもできる。
【0080】含浸する樹脂としては、エポキシ、不飽和
ポリエステル、ビニルエステル、フェノール、他の通常
使用される熱硬化性樹脂が使用できる。また、強化繊維
としては、炭素繊維、ガラス繊維、ポリアラミド繊維、
他の通常複合材料の強化繊維に使用し得る繊維が使用で
き、同種繊維又は異なる繊維のハイブリッド構成の両方
が可能である。
【0081】不織布としては、炭素繊維、ガラス繊維、
ポリアラミド繊維、他の通常の繊維からなる不織布又は
プリプレグが使用できる。
【0082】このような方法においては、樹脂含浸を容
易にするため、溶媒稀釈により含浸用樹脂の粘度を調整
することが好ましい。粘度調整により、多重層であって
も容易に完全含浸ができる。また、溶媒系であるため樹
脂配合組成の制約はなく、溶媒可溶の原材料を自由に選
択使用することができる。
【0083】また、編組表面に不織布を配置することに
より、FRP成形の際のボイド、ピンホール等の表面欠
陥をほとんどなくすことができる。また、編組表面に貼
付する不織布を何も加工していない不織布そのもの、又
は片面にだけ樹脂を塗布したプリプレグにすることによ
り、離型紙によるセパレートが不要になり、使用時の取
り扱い性も良好となる。
【0084】さらに、従来の問題点であった編組の寸法
安定性を解決するためには編組の伸びを抑えればよい。
そのための手段として、編組組織とは別に中芯に伸びを
抑える繊維束又はテープ状布帛66を挿入することによ
り、編組の寸法安定性を確保するとともに編組の成形形
状へのフィット性を損なわず軸方向の補強材として作用
させ、三軸編組と同様の効果を得ることができる。
【0085】このような編組プリフォームの連続製法に
おいては、高生産性、省人化、均質性、樹脂完全含浸容
易、樹脂原材料の選択幅大、成形材料の設計自由度大、
取り扱い性良好、寸法安定性良好、成形品の表面品位良
好、後修正加工省略、高品質、低コスト等の種々の効果
が得られる。
【0086】なお所定形状の曲がり管やラケット用プリ
フォームを形成するに際し、管状プリフォーム内の少な
くとも一部にハニカム体や木材からなる芯材を配してお
くこともできる。たとえばラケットフレームについて
は、図22や図23に示すように、フレーム71、72
の内部にハニカム体73、74を配してサンドウィッチ
構造としたものである。これにより、ガット張力による
座屈の防止(ガット引抜き強度の増大)、軽量化を図っ
たり、剛性を高めることができる。ハニカム体73、7
4を配する位置は、対ガット引抜き強度の場合は外側に
(図22)、対剛性向上の場合は横断面上下にする(図
23)。
【0087】また、ラケットのヨーク部についても同様
に構成できる。すなわち、従来のヨークは、ウレタン発
泡体の両面にEVA(エチレンビニルアルコール)シー
トなどの発泡材料を配し、それにプリプレグを巻きつ
け、フレーム成形時の加熱(EVA発泡)・硬化により
成形させるものが主流であった。しかし、この方法では
内圧が十分かからないことや、コアとなるウレタン発泡
体に補強効果がほとんど無いために、FRP層を厚くす
る必要があり重量増につながっていた。
【0088】そこで、図24、図25に示すように、ヨ
ーク75、76の内部にハニカム体77、78を配し、
ガット79、80の張力による座屈を防止する。ハニカ
ム体77、78を配する位置は、ハニカム体が外側の殻
に接することを基本とし、発泡材料を併用して成形する
とよい。発泡材料に粉末や粒状のものを用いれば内側
(打球面側)の殻にも接するサンドウィッチ構造とする
ことができる。
【0089】次に、プリフォームの賦形について説明す
る。上記のように形成された長尺のプリフォームは、曲
がり管、たとえばラケット形状に合わせて、FRPへの
成形前に予め賦形される。
【0090】たとえば、ラケット用成形基材をラケット
成形用金型のキャビティ内に装着する前に、実質的にキ
ャビティの形状をした型、たとえば、キャビティの形状
に沿う形状の凸部を有する型(たとえば木型)を用い、
成形基材に張力を付与しつつ、一対の押し付けローラに
より成形基材を前記凸部の外周に押し付け、成形基材を
前記凸部の形状に沿う形状に賦形する方法である。
【0091】より具体的には、図26に示すように、筒
状フイルム81上に所定のプリプレグや強化繊維シート
82等を捲回し、さらには必要に応じて前述の如き不織
布層(図示略)を被覆した長尺のプリフォーム83を、
長さ方向両外側に向けて張力を付与(保持)しつつ、予
めヨーク部用プリフォーム84が装着された凸部85を
有する型86の凸部85に沿わせて賦形する方法であ
る。
【0092】この賦形は、たとえば図27に示すような
自動賦形機90を用いて行うことができる。図において
は、91は両側に設けられたプリフォームガイドであ
り、一対の張力保持機構92により、プリフォーム83
にその賦形時に張力が付与(保持)される。93は一対
の押し付けローラを示しており、エア又は油圧シリンダ
94によってプリフォーム83を左右対称に、木型86
の凸部85の外周に押し付けていく。
【0093】まず、図27に示したように、真直偏平な
プリフォーム83をプリフォームセット位置に配置す
る。そして、H型のヨーク部プリフォーム84を型86
のヨーク部セット位置に配置する。この時、型86と押
し付けローラ93は、初期位置にある。張力保持ローラ
92がプリフォーム83を挟んで張力保持する。
【0094】次に図28に示すように、型86が前進し
て、プリフォーム83にあたり、押し付けローラ93が
プリフォーム83を型86の凸部85に押し付けていく
ことにより、プリフォーム83を凸部85に合わせて折
曲げる。
【0095】型86がさらに前進し、図29に示すよう
に、押し付けローラ93がヨーク部セット位置に配置さ
れたヨーク部プリフォーム84にプリフォーム83を押
し付けて接着する。
【0096】そして、図30に示すように、グリップ部
付け根部で、プリフォーム83が重なり、押し付けロー
ラ93で押さえてグリップ付け根を強く接着した後、押
し付けローラ93の押し付け力を押し付け力切り替え機
構(図示略)により弱くする。
【0097】型86がさらに前進することにより、図3
1に示すように、プリフォーム83が押し付けローラ9
3に挟まれながら移動して、グリップ部95が接着され
る。
【0098】型86が行端まで移動して停止する(図3
2)。型86からプリフォーム83を取り出し、押し付
けローラ93、型86が初期位置に復帰する。賦形され
たプリフォームは、人が、接着部にプリプレグをまいて
補強した後、金型に投入されて、加圧加熱成形される。
【0099】なお、上記においては、押し付けローラ9
3の押し付け力は切り替え機構(たとえばエアシリンダ
の駆動圧力の切り替え)により、切り替えられるが、こ
れは、グリップ部接着工程までは、プリフォーム83の
しわの発生を防ぎ、ヨーク部84を強く接着するため、
ローラの押し付け力を強くし、グリップ部接着工程で
は、グリップ部付け根部が張力により剥がれるのを防ぐ
ため、ローラの押し付け力を弱くするためである。
【0100】また、押し付けローラ93のエアシリンダ
94の取り付け角度は、トップ部付近のしわの防止、ヨ
ーク部及びグリップ部の接着力向上のため、機軸96に
対して、45〜90°の範囲内であることが望ましい。
この角度を45°、75°、90°で比較したところ、
45°ではヨーク部、グリップ部付近で押し付けローラ
93がプリフォーム83を型に押し付ける方向に力が十
分作用しない。また、90°では、押し付けローラ93
がプリフォーム83の押し付けを開始する位置が後退す
るため、トップ部でのプリフォーム内周側でのしわの発
生防止の機能を果たさない。トップ部でのしわの発生防
止、ヨーク部、グリップ部の接着力向上のためには、7
0〜80°が最も適している。
【0101】なお、押し付けローラ93の押し付け機構
としては、図示したエアシリンダ以外の機構でも構わな
い。シリンダの直線往復運動の他に、機構は複雑になる
が、リンク機構により押し付けローラの押し付け方向を
型のカーブに合わせて変化させても良い。さらに、ロー
ラの表面はテフロンコーティング等の難粘着処理を行う
ことが望ましい。
【0102】張力保持機構92は、一対の張力保持機構
92が、機軸96に対して対称に、プリフォームセット
位置に配置されている。より詳細な機構として、図33
に示すように、固定ローラ97と移動ローラ98からな
り、エアシリンダ99で移動ローラ98を移動させ、プ
リフォーム83を挟んで張力を保持する。固定ローラ9
7、移動ローラ98とも、バンドブレーキ100で回転
力を規制することにより、張力を調整できる。
【0103】型86としては、長方形の板の上にラケッ
トフレームの形状をした凸部85(ガット面の形状をし
た楕円部とヨーク部以降グリップ付け根までの三角部)
が突設された構造になっている。図26に示したよう
に、楕円部と三角部の間にH型のヨーク部プリフォーム
84をセットできるようになっている。
【0104】この型86は、装置の機軸上にあり、プリ
フォームセット位置の手前から賦形の終了する行端ま
で、機軸上を移動する。駆動は、モータの回転運動をボ
ールねじで直線運動に変換しているが、他の駆動方法で
も可能である。型86のプリフォーム83が当たる面に
は、難粘着処理(テフロンコーティング等)を行うこと
が望ましい。そうしないと、賦形後、プリフォーム83
を型86から取り出すのが困難になり、形が崩れるおそ
れがある。
【0105】また、ヨーク部付近は、実際のラケットフ
レームでは、凹んでいるが、その形状のままで型を作成
すると、プリフォーム83にかかる張力のため、一度接
着されたプリフォーム83とヨーク部プリフォーム84
が剥がれてしまうおそれがある。そのため、型の形状
は、少し形を崩して、ヨーク部付近が直線状(図34)
または外側に膨らんでいる形状にすることが好ましい。
各接着部の位置が正しければ、カーブの曲率が実際と多
少異なっていても問題ない。
【0106】押し付けローラ93の押し付け力は、たと
えば、エアシリンダ94の駆動圧力を電磁弁(図示略)
で切り替えることにより切り替えることができる。たと
えば大きい方の圧力を、押圧力にて、4kgf/cm2
程度とし、小さい方の押圧力を2kgf/cm2 程度に
設定すればよい。
【0107】従来は人手により、樹脂製又はゴム製のチ
ューブを被覆した芯材に、プリプレグを複数枚捲回して
作成した真直偏平なプリフォームを、ラケットフレーム
の形状をした木型に巻きつけ、ヨーク部、グリップ部を
接着していた。このような方法では、プリフォームを型
にあわせて曲げる時、内周側にしわが発生しやすいの
で、プリフォームの両端を引っぱりながら曲げる必要が
ある。したがって、作業者が疲れる、人の力では強い張
力をかけられない、張力が一定しない、等の問題があっ
た。また、常温では、プリフォームの柔軟性が低く、人
の力では型に合わせて曲げるのが大変であるため、型に
合わせて曲げやすいように、ホットプレートでプリフォ
ームを加熱して、プリフォームを柔らかくしていた。そ
のため、プリフォームが柔らかいので、折曲げ時や、型
から取り出す時に形が崩れやすい、取扱が面倒(粘着性
が高い)なので不良品が出やすい、等の問題も生じてい
た。さらに、時間がかかる、作業効率が悪い、また人手
によるため、画一的でなく、品質上ばらつきが生じる、
等の問題もあった。
【0108】前述の如き自動賦形装置、方法とすること
により、常温(25〜35度)でもある程度剛性のある
プリフォームの両端を、張力保持機構により強い力で引
っ張りながら型に合わせて曲げることができ、プリフォ
ームの内周側のしわの発生を防ぐことができる。
【0109】また、押し付けローラでプリフォームを型
に押し付けながら賦形することにより、プリフォーム内
周側のしわの発生を防ぐことができ、さらにヨーク部、
グリップ部の接着も好ましい状態にて行うことができ
る。
【0110】また、常温でプリフォームを賦形するの
で、プリフォームの粘着性は高くないがプリフォームに
剛性がある程度あるので、一度賦形すると形崩れがしに
くく、十分に所望のラケットの形を保持できる。
【0111】さらに、品質の安定、収率の向上、成形時
間の短縮、省人化、作業効率の向上等が可能となる。
【0112】次に、本発明に係るFRP製曲がり管およ
びラケットのFRP成形品の製造方法について説明す
る。まず、本発明に係るFRP製曲がり管あるいはラケ
ットの製造方法は、筒状フイルムを被せた可撓性チュー
ブを強化繊維のプリプレグで被覆してなる成形基材を金
型のキャビティに入れ、金型を加熱するとともに前記可
撓性チューブ内を30kg/cm2 ・G以上に加圧して
前記成形基材を金型に圧接することを特徴とする方法か
らなる。
【0113】このプリプレグの上には、単糸径が20μ
m以下で、目付が100g/m2 以下の不織布が巻きつ
けらていることが好ましい。
【0114】このような方法は、いわゆる一般に内圧成
形法と呼ばれるものの一種であるが、負荷圧力が30k
g/cm2 ・G以上と通常圧力に比べはるかに高いの
で、本明細書では特に「高圧成形法」と呼ぶ。
【0115】すなわち、従来技術の項で述べたように、
従来は主として圧縮性流体(たとえば空気)を用い、比
較的低圧での内圧成形であった。上記本発明に係る高圧
成形法は、たとえば一端が閉塞され他端に外部の加圧装
置から非圧縮性流体からなる加圧媒体を導入するための
継手が接続された可撓性チューブを用いて、漏れのない
状態で可撓性チューブを膨張させ、成形基材を膨張させ
て成形するものである。
【0116】このような方法は、次のような装置を用い
て実施される。すなわち、本発明に係るFRP製曲がり
管あるいはラケットの製造装置は、可撓性チューブに被
せた筒状フイルムを強化繊維のプリプレグで被覆してな
る成形基材が入れられるキャビティを有する金型と、前
記可撓性チューブ内に非圧縮性流体からなる30kg/
cm2 ・G以上の加圧媒体を供給する加圧媒体供給手段
とを有していることを特徴とするものからなる。
【0117】ここで、前記可撓性チューブとしては、そ
の材質は熱硬化製樹脂の硬化温度に加熱しても成形時の
力では破断が生じない程度の強度を有する耐熱性のもの
であることが好ましく、具体的には硬度80(JIS
A)以下のシリコンゴム、フッ素ゴムが好ましく、十分
な伸びを得るためには更に硬度40(JISA)のシリ
コンゴムチューブがより好ましい。また、チューブ断面
形状は、可能ならば成形品断面形状と近似した形状のも
のを用いるのが成形後チューブを抜き去るのに好都合で
ある。また、チューブの外形寸法は、成形後に成形品か
らチューブを容易に引き抜くことができる寸法のもの、
具体的にはチューブの限界伸び率を考慮して、金型内壁
断面積の50〜80%程度のものが好ましい。
【0118】チューブの一方の端部を閉塞する方法とし
ては、製造時に一端部を閉塞状態に成形する方法の他、
接着する方法、両端解放のチューブの一端部を例えばワ
イヤ等で絞り込む方法や、折り曲げ状態で金型にセット
して合わせ面の押圧力で閉塞する方法等が挙げられる。
一方、可撓性チューブの他方の端部は、かしめ部分のチ
ューブを二重構造とすることによりかかる部分の剛性を
向上させると共に、チューブの肉厚を加工前の肉厚に対
して40〜70%、より好ましくは50〜60%になる
ようにするのが好ましい。この二重構造とするための補
強部材としては、シリコンゴム、フッ素ゴム、硬質ゴ
ム、金属製ブレード等が好ましい。
【0119】そして、チューブ内に充填する非圧縮性流
体としては、熱硬化樹脂の硬化温度で気化せず、かつ、
長期間使用時に物性の劣化が生じないものが好ましい。
具体的には、例えば、タービン油、シリコンオイル等を
用いることができ、これらの中で安価で入手し易いター
ビン油が好ましい。これら非圧縮性流体により、可撓性
チューブ内を少なくとも30kg/cm2 ・G以上の圧
力、好ましくは70〜100kg/cm2 ・Gの圧力ま
で加圧する。かかる圧力、特に少なくとも30kg/c
2 ・G以上の圧力に加圧する理由は、発明者らにおい
て実施した表面凹部の塗装後における視覚テスト結果に
基づく。すなわち、アルミ板表面に直径0.1mmから
1.0mmまで針状物を押し付けることにより0.1m
m刻みの凹部を設け、当該アルミ板を塗装後肉眼で観察
できる凹部の大きさを調べたところ、直径0.3mm以
下のものはほとんど表面品位に影響がないが、0.4m
mを境として0.5mmになると欠陥が観察できるよう
になった。このことから、直径0.5mmの欠陥を直径
0.3mmまで圧縮するために必要な圧力pは、 p/p0 =(0.5/0.3)3 となる。ここで、p0 は、従来技術による成形圧力約7
kg/cm2 ・Gとするとpは少なくとも約30kg/
cmに・G以上の圧力が必要となる。一方、その上限圧
力としては、特に制限はなく表面欠陥防止の観点からは
高ければ高いほど好ましいのであるが、実用性の点から
は150kg/cm2 ・Gである。
【0120】なお、可撓性チューブの外周に筒状のフイ
ルムを挿入する理由は、繊維強化プラスチック製中空管
の成形後に、成形品が容易に可撓性チューブから引き抜
けるようにするためである。したがって、金型加熱時に
溶融しないようにするため、筒状フイルムの材質は、加
熱温度よりも融点が30〜40℃以上高い材料、例えば
ポリアミド、PET等の材質からなるフイルムを用いる
のが好ましい。
【0121】上記方法および装置の一実施態様を図面に
基づいて説明する。図35は、本発明方法に用いられる
可撓性チューブ101の全体斜視図であり、チューブ1
01が筒状のフイルム102の内部に差し込まれ、フイ
ルム102の外周には更に繊維強化シート103(プリ
プレグ)が巻きつけられた状態を示している。かかるフ
イルム102の外周にプリプレグ103が巻きつけられ
たものが成形基材104(プリフォーム)である。
【0122】本発明方法の実施に際し、まず前準備とし
て図35の状態にしなければならないのであるが、その
具体的工程は以下のとおりである。まず、図示しない例
えば、木材、竹、プラスチックなどの芯材を、材質がポ
リアミドからなる筒状のフイルム102の中に挿入す
る。次いでフイルム102の外周に熱硬化性樹脂である
エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の成形すべき用途に応
じた熱硬化性樹脂が予め含浸された繊維強化シート10
3(プリプレグ)を所定回数、捲回して積層し、しかる
後に芯材を抜き取り、上記可撓性チューブ101を挿入
するのである。
【0123】本実施態様では上記芯材上の筒状フイルム
102には、肉厚0.1mmのポリアミドフイルムを使
用した。繊維強化シート103は、いわゆるプリプレグ
と呼ばれるもので、本実施態様では強化繊維である炭素
繊維にエポキシ樹脂を含浸させたものである。
【0124】可撓性チューブ101は、図36に全体図
を示すように、外形が13mmで硬度40(JISA)
のシリコンゴムチューブを長さ1800mmに切断し、
その右端部を接着することにより閉塞し、左端部は図示
しない外部加圧装置と連結できるように市販のワンタッ
チカップラー継手のオス側継手106を接続した。すな
わち、継手106の拡大部分断面図である図37に示す
ように、可撓性チューブ101の左端部を、チューブ1
01からの液体漏れ防止と剛性向上のためにチューブ内
周面に補強リング114を固定して二重構造とし、そし
てこの二重構造のチューブ端部の外周をかしめリング1
13により、かしめ後のチューブ肉厚がかしめ前の肉厚
の55%となるように加工した。
【0125】次に、以上に説明した可撓性チューブ10
1を用いて中空の曲がり管、具体的にはラケットフレー
ムを製造する手順を図38に基づいて説明する。図38
において、115は、上記可撓性チューブ101のオス
側継手106と耐圧ホース112を介して接続される外
部加圧装置で、2本の油圧シリンダ117、118内に
1本のロッド119の両端部に固定されたピストン12
0、121が進退する、いわゆるデュアルタイプのシリ
ンダ/ピストン装置である。この加圧装置115は、油
圧ポンプ122によって製造された圧力油が配管123
および切替弁109を経てシリンダ117内に充填され
ると、共通ロッド119が右方向に移動し、シリンダ1
18内のタービン油105がピストン121によってバ
ルブ110、耐圧ホース112、継手106を経てチュ
ーブ101内に充填され、チューブ101を膨張させる
ようになっている。また、チューブ101をフイルム1
02から引き抜く際には、前もって共通ロッド119を
左方向に移動させ、収縮させてから引き抜くようになっ
ている。なお、111は、充填圧力確認のための圧力計
である。
【0126】本実施態様では、金型107は、図に示す
ようにキャビティがラケットフレームの形状をした下型
107aと、この下型の上部に固定する上型107bと
からなる金型を用いた。まず、図35の状態の成形基材
104を可撓性チューブ101と共に図38に示すよう
に下型107aのキャビティに沿って曲げながら装着し
たのち、ヨーク108を装着した。なお、チューブ10
1の一方の端部は、キャビティからはみ出させ、図に示
すように下型の合わせ面に乗せた。この場合、予め金型
温度を40〜60℃に保温しておくと繊維強化シート1
03が軟化するため装着が非常に容易になる。次いで上
下金型107a、107bを図示しないホットプレス機
で型締めすることにより、金型107a、107bを一
体化せしめるとともに、両型の合わせ面によりチューブ
先端116を圧塞した。しかる後に外部加圧装置115
からタービン油を送り出すと共に100kg/cm2
Gの圧力まで加圧して、成形基材104をフイルム10
2と共に金型のキャビティ内で膨らませ、キャビティの
内壁面に強く圧着させた。
【0127】次いで、金型107を150℃まで加熱し
てエポキシ樹脂を硬化させた後、タービン油を外部に抜
き出して圧力を解放した後成形品を金型107から取り
出した。そして最後に、成形品から可撓性チューブ10
1を引き抜くことにより、目的のFRP製ラケットフレ
ームを得た。
【0128】このような製造方法によれば、従来にない
高い内圧力を有する非圧縮性流体により、可撓性チュー
ブから漏れが発生しない状態で成形できることから、繊
維強化シートの金型内壁面への圧接不良に起因する表面
欠陥のない品質の優れたFRP製曲がり管やラケットフ
レームを製造することができる。
【0129】なお、上記高圧成形法における可撓性チュ
ーブの継手部の構造として、図37に示した以外、図3
9に示すように、継手106との接続部分124におい
て可撓性チューブ125を肉厚構造にしておく構成でも
よい。そして、接続部分124のチューブ肉厚tと、上
記接続部以外に係る部分のチューブ125の肉厚t0と
が、t>t0になる関係を有し、好ましくはかしめ加工
後のチューブの肉厚をt′とすると、0.4<(t−
t′)/t<0.7なる構成を採ることが望ましい。以
下、[(t−t′)/t]×100をかしめ率と呼ぶ。
【0130】可撓性チューブの上記端部は、かしめ部分
のチューブを二重構造あるいは上記のような肉厚構造と
することによりかかる部分の剛性を向上させると共に、
かしめ率40〜70%、より好ましくは50〜60%に
なるようにするのが好ましい。二重構造とするための補
強部材としては、シリコンゴム、フッ素ゴム、硬質ゴ
ム、金属性ブレード等が好ましい。
【0131】上記の方法は、いわゆる高圧成形法につい
て説明したが、本発明に係る不織布層を有するFRP製
曲がり管やラケットは、通常の内圧成形法、つまり、比
較的低圧の内圧を負荷する方法でも製造可能である。
【0132】すなわち、本発明に係るFRP製曲がり管
あるいはラケットの製造方法は、筒状フイルムを強化繊
維のプリプレグで被覆し、さらにそのプリプレグの上
に、単糸径が20μm以下で、目付が100g/m2
下の不織布を巻きつけてなる成形基材を金型のキャビテ
ィに入れ、金型を加熱するとともに前記筒状フイルム内
を加圧して前記成形基材を金型に圧接することを特徴と
する方法からなる。
【0133】上記方法においては、不織布も、プリプレ
グ化しておくことが好ましい。
【0134】このような通常の内圧成形法であっても、
成形基材の外層に上記のような特定の不織布層を設けて
おくことにより、前述の如く、成形の際の樹脂の良好な
流動性と脱気性とが確保され、ボイドやピンホール、樹
脂流れの不良箇所のない表面品位の良好な成形品を得る
ことができる。
【0135】上記のような高圧成形法あるいは通常の内
圧成形法においては、成形の容易性、脱型の容易性を向
上するために、上下分割型の金型および分割自在に構成
された中子を内包する金型を用いることが好ましい。す
なわち、本発明に係る繊維強化プラスチック製曲がり管
あるいはラケットの製造装置は、筒状フイルムを強化繊
維のプリプレグで被覆してなる成形基材が入れられるキ
ャビティを有する上下分割型の金型と、前記筒状フイル
ム内に加圧媒体を供給する加圧媒体供給手段とを有し、
かつ、下側の金型が分割自在に構成された中子を内包し
ていることを特徴とするものからなる。このような装置
は、後述のRTM法でも適用できる。
【0136】また、本発明に係るFRP製曲がり管やラ
ケットは、筒状フイルムの外周に強化繊維シートを捲回
し、それを型内に装着した後樹脂を注入する、いわゆる
Resin Transfer Molding法(以下、RTM法と略称する
こともある。)によっても製造可能である。
【0137】すなわち、本発明に係るFRP製曲がり管
あるいはラケットの製造方法は、筒状フイルムを強化繊
維で被覆し、さらにその強化繊維の被覆層の上に、単糸
径が20μm以下で、目付が100g/m2 以下の不織
布を巻きつけてなる成形基材を金型のキャビティに入
れ、金型を加熱し、前記筒状フイルム内を加圧するとと
もに前記キャビティ内を減圧しながらそのキャビティ内
に樹脂を注入することを特徴とする方法からなる。
【0138】この方法においては、成形基材の強化繊維
層は樹脂が含浸されるのでプリプレグ化しておく必要は
ないが、不織布をプリプレグ化しておくことはさしつか
えない。
【0139】この方法は、より具体的には、たとえば、
強化繊維を筒状に形成したプリフォームとその内層に可
撓性チューブを配置した成形基材を成形温度に昇温した
金型にセットし、可撓性チューブを与圧し同時にキャビ
ティを減圧しながら、注入速度1〜7g/秒、注入圧力
2〜15kgf/cm2 で金型内に樹脂を注入し、5分
以上20分以下で硬化させる方法である。
【0140】この方法においては、プリフォームがフィ
ラメントワインディングによるものまたは編組からなる
ことが好ましく、内層に可撓性チューブを配置した成形
基材が用いられる。上記成形基材を、所望の曲がり管形
状、たとえばラケットフレームの形状をしたキャビティ
を有する下金型に曲げながら入れる。このとき、後のチ
ューブ内の与圧の必要から、チューブの一端部を緊縛す
るなどして閉塞すると共に、他端部に圧力空気等の加圧
媒体導入用のカプラーをとりつけておく。次に、上金型
を閉じ、可撓性チューブ内に0.5〜2kgf/cm2
の圧力空気を導入しながら樹脂注入する。
【0141】成形基材をセットする金型は、あらかじめ
成形温度近くに昇温しておくことにより成形サイクルが
短縮でき成形コストの低減ができる効果と、注入した樹
脂粘度が下がり含浸性を上げる効果がある。さらに成形
基材を下型にセットし上金型を閉じた金型のキャビティ
内を減圧することにより、注入した樹脂の基材への含浸
性や成形物の表面性が良好となる。減圧の方法としては
キャビティを真空ポンプで引きながら樹脂注入しても良
いし、キャビティを真空ポンプで引き、ついで金型の減
圧口を閉じキャビティ内が減圧状態のところへ樹脂を注
入する方法のいずれでもよい。但し、キャビティ内の減
圧状態が真空ポンプで引かずまた樹脂も注入しない状態
で300Torr以下を保持する時間が3分以上である
シール性を有していることが好ましい。3分以内である
と樹脂注入時に泡を巻き込みやすく、表面性や樹脂含浸
性が低下する。
【0142】使用する樹脂は、エポキシ樹脂や不飽和ポ
リエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂
等の熱硬化性樹脂が挙げられる。これらの樹脂の粘度は
注入時の温度状態で50センチポイズ以上10ポイズ以
下であることが好ましい。10ポイズを越えると、注入
時に成形基材による流動抵抗が大きく含浸性や取扱い性
が低下する。一方50センチポイズ未満であると、金型
からの樹脂漏れをひきおこす原因となり好ましくない。
注入樹脂温度としては室温である25℃から70℃の間
であることが好ましい。70℃以上では硬化反応のため
粘度上昇をおこしやすくなる。但し、硬化剤の種類によ
り差があるので適正な温度を選ぶことが必要である。
【0143】上記の樹脂注入に要する時間は1〜5分で
あることが好ましい。1分以下では注入圧力が高くなり
成形基材の配列乱れや金型からの樹脂漏れ、および含浸
不良を起こしやすくなる。5分以上では注入樹脂の硬化
反応が進み高粘度になり好ましくない。注入方法として
は連続して注入しても良いし断続して注入しても良い。
断続する場合注入開始から終了するまでの時間を注入時
間とする。この時の樹脂注入圧力は2〜15kgf/c
2 であることが好ましい。さらに、成形時に可撓性チ
ューブ内の圧力を5〜6kgf/cm2 に上げると、過
剰の脂肪を絞り出すことができて補強繊維の含有率が上
がったり、肉厚の均一性が向上して物性のより優れた曲
がり管を得ることができるようになる。
【0144】プリフォームとしては、フィラメントワイ
ンディングによるものかもしくは編組を使用する。フィ
ラメントワインディングによるものは、マンドレルに可
撓性チューブ、たとえばゴムチューブやナイロンチュー
ブをかぶせ、そのチューブ周りに、フィラメントワイン
ディング法を用いて強化繊維束、たとえば炭素繊維、ガ
ラス繊維、ポリアラミド繊維からなる繊維束を、その方
向がマンドレルの軸方向に対して好ましくは±7〜75
°の範囲になるようにヘリカル巻し、任意の厚みのヘリ
カル巻層を形成する。強化繊維束は、ストランドの形態
であってもよく、テープの形態であってもよい。また、
巻角度が7°よりも小さいと強化繊維束の配列の安定性
が低下し、また、75°を越えると締め付け力が強くな
って後のマンドレルの引き抜きが難しくなる。さらに、
強化繊維束は50〜200gの力を加えながら巻きつけ
るのがよい。また編組は上記の強化繊維束を筒状に編ん
だものでありその内層には上記の可撓性チューブを配置
している。可撓性チューブを配置する方法は固定したマ
ンドレルにチューブをかぶせ、ついで予定の厚みになる
ように編組を重ねてかぶせて形成する。この際強化繊維
束の配列はキャビティ内でチューブに圧力をかけ膨らま
せた状態で20〜30°の角度になるように編組の編み
角度を設定する。
【0145】上記の成形基材を下金型のキャビティにセ
ットする際に強化繊維を用いたクロスを追加セットして
部分的に補強し剛性を向上することも良い。特にテニス
ラケットフレームのようにガットを張るものについては
穴周辺等の補強はガット穴の陥没を防ぐためにも好まし
い。またラケットフレームのヨーク部との接合部やフレ
ームからグリップ部に至る2本の成形基材が合流する部
分では成形基材の乱れのため成形品の表面が悪くなりや
すい。この部分に強化繊維からなるクロスを巻いて追加
セットすることも好ましい。
【0146】成形物の耐熱性としては、Tg(ガラス転
移温度)が130℃以上であることが必要である。これ
は高温下における変形を防止するために重要である。こ
のために、成形を終了して脱型した成形物のTgは11
0℃以上であることが好ましい。110℃以下であると
テニスラケットフレームとして必要な130℃以上のT
gをアフターキュアで得ることが困難となる。
【0147】上記のようなRTM法においては、通常、
注入した樹脂を強化繊維に充分含浸させるために、注入
する樹脂は低粘度のものを使用することが一般的であ
る。しかし、低粘度になると、金型のパーティング面か
ら樹脂漏れをおこし易くなるという問題点がある。注入
時の樹脂漏れは成形品の品位を損なうばかりか周囲の作
業環境を悪化させる原因となる。また樹脂注入時にキャ
ビティを真空引きすることにより樹脂含浸性向上や注入
圧を下げる効果があるが、その時にパーティング面や注
入口のシール性が悪いと外気がキャビティ内に漏れ込み
ボイド発生の原因になるという問題点があった。
【0148】そこで、樹脂漏れのない、また真空引きし
た時のシール性に優れた、しかも成形性、脱型の容易性
に優れた金型を使用することが望ましい。この要望を満
たすために、本発明に係るFRP製曲がり管あるいはラ
ケットの製造装置は、筒状フイルムを強化繊維で被覆し
てなる成形基材が入れられるキャビティを有する上下分
割型の金型と、前記筒状フイルム内に加圧媒体を供給す
る加圧媒体供給手段と、前記キャビティ内を減圧する減
圧手段と、前記キャビティ内に樹脂を注入する樹脂注入
手段とを有し、かつ、下側の金型が分割自在に構成され
た中子を内包していることを特徴とするものからなる。
また、上記キャビティの周囲にはシール材が配置される
ことが好ましい。さらに、キャビティの片側または両側
に樹脂溜まりを有することが好ましい。
【0149】すなわち、上下分割型および分割自在に構
成された中子を内包する構成により、成形性、脱型の容
易性が向上され、シール材の配設により、樹脂漏れが防
止され、減圧時のシール性が向上される。また、樹脂溜
まりを設けることにより、キャビティ(キャビティ)内
の気泡が樹脂とともに樹脂溜まりに移動し、成形に供さ
れる樹脂中の気泡を減少してボイド等の発生を防止する
ものである。
【0150】たとえば、金型が上型と下型の分割型であ
り樹脂注入口と減圧口を合わせて2箇所以上設け、さら
に曲がり管の一端部にはキャビティに配置したチューブ
に加圧気体例えば加圧空気を吹き込む口を1箇所設けた
ものである。この金型のキャビティの外周には連続した
シール材を配置することが好ましい。シール材は150
℃の高温に耐えるシリコーン樹脂製またはフッ素樹脂製
であり、さらに断面が円形または偏平であることが好ま
しい。上型か下型のどちらか一方のパーティング面に溝
を設けるかそのまま置いて型閉じした時の締めつけ力で
シールする。この場合シール性が良好であると注入した
樹脂の気泡がキャビティの外に出なくなるという問題が
考えられ、このためにキャビティとシール材の間に樹脂
溜まり用の溝を設けると、キャビティ内の泡が樹脂溜ま
りに移動し樹脂中の泡を減らす効果がある。溝の大きさ
はキャビティに沿って幅5〜15mm、深さ1〜5mm
を外周側に、さらに好ましくは内周側にも設けることが
好ましい。
【0151】樹脂注入口と減圧口は合わせて2箇所以上
設けることが好ましく減圧口は樹脂の抜き出し口を兼ね
るものである。いずれの口もキャビティにスリット状に
設置し成形品の表面に跡が目だたなくすることが好まし
い。また条件により注入口と減圧口は互いに変更でき、
さらに3箇所以上の口であれば組み合わせて使うことに
より成形条件の最適化が可能である。
【0152】樹脂注入口および減圧口からキャビティに
通ずる間に樹脂溜まりが設けられることが好ましい。樹
脂溜まりからキャビティへはスリットゲートを設け、こ
のゲートからキャビティに樹脂を注入し、または減圧す
る。減圧口は注入した樹脂が抜ける口でもあるので、注
入口と同様な樹脂溜まりが好ましい。このような樹脂溜
まりを設けることによりキャビティに通ずる口にスリッ
トゲートを設置しやすくなり硬化後の成形品の表面にゲ
ート跡が目だたなくすることができる。樹脂溜まりは型
開きした時に同時に樹脂が金型から抜けるように3°〜
15°の抜け勾配をつけることが好ましい。注入口およ
び減圧口に取り付けるプラグは樹脂を硬化した後プラグ
を回転させることにより剪断力が硬化樹脂に伝わりねじ
切ることができる断面形状であることが好ましい。
【0153】本発明に係る曲がり管の端部、例えばラケ
ットフレームであればグリップ部に相当する部分に内圧
負荷用の圧縮気体吹き込み口を有する。内圧負荷は伸張
性のチューブを強化繊維からなる中間基材(プリフォー
ム)のコア部に配置して吹き込み口のノズル口より空気
等の圧縮空気を吹き込むことにより行う。チューブを介
して圧縮気体をキャビティに吹き込むので気体がキャビ
ティ内に漏れなくすることが必要である。このために、
テーパーをつけたノズルにチューブをかぶせこれを同じ
テーパーのフランジに挿入してシールする吹き込み用ノ
ズルを設けることが好ましい。この時のノズル径はチュ
ーブ径の±5%になるテーパー径であることが好まし
い。またキャビティ側の吹き込み口部分はチューブがキ
ャビティの容積に伸張する割合が大きいため内圧負荷し
た時に破裂しやすくなる。破裂を防ぐためにキャビティ
側にテーパーをつけ、フランジ穴の径より徐々にキャビ
ティの径になるテーパーをつける。テーパーの長さは1
〜5cmが好ましい。
【0154】上記のような機構を有していれば、容易に
性能としてキャビティ内の減圧状態が真空ポンプで引か
ずまた樹脂も注入しない状態で−500Torr以下を
保持する時間が3分以上であるシール性を有することが
できる。3分以内であると樹脂注入時に泡を巻き込みや
すく、表面性や樹脂含浸性が低下する。さらにキャビテ
ィのシール性としては、密閉状態で−500Torr以
下を5分以上保つシール性であることが好ましい。
【0155】図面を参照してより具体的に説明するに、
図40、図41は上型131、下型132からなる金型
130を示しており、樹脂注入口133、給気口13
4、減圧口135が設けられている。金型130のシー
ルのために、キャビティ136の外周にシール用Oリン
グ137が配置されている。高いシール性を付与するた
めには、キャビティ136周辺を切れ目なくシール材1
37で囲むことが必要である。
【0156】樹脂注入口133と減圧口135および給
気口134は、計3箇所以上の口が配置され、注入口と
減圧口は任意に交替できるようになっている。減圧口1
35は樹脂の抜き出し口でもある。
【0157】樹脂注入口133また減圧口135は、た
とえば図42のように構成され、スリットゲート138
を通してキャビティ136に連通している。139は置
中子、140はスライド中子を示している。スライド中
子140は、キャビティ136の外周に設置され、アン
ダーカット部分(テニスラケットのガット部分)の脱型
のため、および、嵩高い基材を噛み込まれないように収
納させるために設けられている。
【0158】泡抜き用樹脂溜まりとして、キャビティ1
36の片側または両側に溢流樹脂の樹脂溜まり141が
設置されている。これによって樹脂注入後溢れ出た樹脂
を溜めることができ、樹脂が気泡とともに溢れ出るので
成形品のボイドを減少することができる。キャビティ外
周のシール材を外に出しにくくしているので効果があ
る。
【0159】また、図42に示すように、ゲート用樹脂
溜まり142を、注入口及び減圧口からゲートの間に設
置しておくことも効果がある。樹脂溜まり142を設け
ることにより、スリットゲート方式の注入口133に注
入用プラグを取付けやすくなる。また、外から供給され
る樹脂の注入圧が変動しても緩衝されてキャビティ13
6に伝わりにくい。樹脂溜まり142に図示の如く抜き
勾配を付けることにより、この中の硬化樹脂の除去は簡
単である。
【0160】樹脂注入口133および減圧口135に
は、図43に示したようなプラグ143が使用される。
プラグ143内の硬化樹脂と樹脂溜まりの硬化樹脂は剪
断力でねじ切られる。プラグ143をその中心軸144
周りに回すことにより、平面145に発生する剪断力に
よって硬化樹脂がねじ切られる。
【0161】この剪断力を発生させやすいように、図4
3のA方向からみた管部の形状が、通常の単なる円管の
他、図44に示す楕円形の口を有する管形状146、図
45に示す多角形の口を有する管形状147、図46に
示す正方形の口を有する管形状148、図47に示す長
方形の口を有する管形状149、図48に示す半円形の
口を有する管形状150、図49に示す偏心口を有する
管形状151、図50に示す2つの半円形口に区分けさ
れた口を有する管形状152等であってもよい。また、
これらの管形状が、プラグの口部のみで形成されていて
もよく、プラグ全長にわたって形成されていてもよい。
【0162】また、内圧吹き込み口(給気口134)に
関しては、図51に示すように、内圧吹き込み口134
が金型の一端部に1箇所設置される。そして、曲がり管
の一端部からチューブ内に圧空を吹き込むためのノズル
153と取り付け用フランジ154が設けられる。内圧
負荷用のチューブをノズル153にかぶせそのままフラ
ンジ154に挿入しノズル153とフランジ154に設
けた勾配で圧着させ、その状態で金型130に固定す
る。この内圧吹き込み口134のキャビティの入口付近
ではチューブの伸張が大きく破裂し易いので、図52に
示すようにキャビティに勾配155をつけて、キャビテ
ィ内容積をテーパー状に変化させることが好ましい。
【0163】さらに、前述のスライド中子140と置中
子139との関係は図53〜図55(型合せ時の動作順
に示してある)に示すような関係にあり、キャビティ1
36に装着された成形基材156が噛み込まないように
収納するとともに、アンダーカット部分(ラケットのガ
ット張設部分)についても容易に脱型できるようになっ
ている。
【0164】本発明に係るFRP製曲がり管あるいはラ
ケットは、成形時に余分な樹脂とキャビティ内の空気と
を自然に追い出す、いわゆるエアーベント成形法によっ
ても成形できる。
【0165】たとえば、筒状フイルムの外周にプリプレ
グを巻きつけ、該プリプレグの外周に単糸径が20μm
以下、目付が100g/m2 以下のの不織布を巻きつけ
た成形基材を金型のキャビティ内に装着し、金型を加熱
するとともに、前記筒状フイルム内を加圧し前記成形基
材を膨張させて金型に圧接し、該圧接に際し、成形基材
の余分な樹脂とキャビティ内の空気とをキャビティ外に
流出させる方法である。この方法においても、上記不織
布の層はプリプレグ化されていることが好ましい。
【0166】また、上記のような方法は、次のような装
置によって実施できる。たとえば、筒状フイルムの外周
にプリプレグを巻きつけた成形基材を装着するキャビテ
ィを有する金型と、前記成形基材内に加圧媒体を供給す
る加圧媒体供給手段とを有し、かつ、前記金型に、前記
成形基材の余分な樹脂と前記キャビティ内の空気とをキ
ャビティ外に排出可能な、金型外に連通するスリット状
排出路が設けられている装置である。
【0167】このような方法および装置は、以下のよう
な従来の問題を解消しようとするものである。つまり、
従来、たとえば図56に示すように、上型161、下型
162によって形成されるキャビティ163に成形基材
164を装着し、スライド中子165等を配してFRP
成形品を内圧成形する場合(166は合せ面)、比較的
低圧(たとえば圧空8kg/cm2 )をかけるため、成
形基材164のキャビティへの密着不足が生じ、金型内
部の空気が完全に抜けないことがある(密着不良部16
7)。このような密着不良は、表面不良(凹部発生)や
ボイドの発生を招く。また、この不良発生箇所は、中空
管の形状により金型に応じ特徴的に発生する(特定箇所
に発生し易い)。
【0168】そこで、図57に示すように、空気が抜け
ないことによる不良発生箇所にスリット168を設ける
ことで、その部分にトラップされた空気を樹脂フローと
共に製品品質に影響の無い箇所(例えば金型外)に運び
去り、密着性を向上するものである。
【0169】スリット168の加工方法としては、エン
ドミル等による機械加工も可能だが、型彫り放電加工ま
たはワイヤーカット放電加工が好ましい。また、スリッ
ト168の幅としては、0.3〜0.7mmが好まし
い。0.3mm未満では、加工が困難で、樹脂が流れに
くく、0.7mmを超えると、成形後のバリが厚く、後
仕上加工が困難になり、また、スリット168から強化
繊維がはみ出すおそれがある。さらに、スリットは、打
ち抜かなくても良いが、打ち抜きにしたほうが好まし
い。これは、スリット部で硬化した樹脂を掃除するのに
分割構造にした方が作業性が良くなるからである。
【0170】スリット168を設ける位置としては、次
のような部位が好ましい。たとえば図58に成形基材1
64を金型(161、162)に装着した状態を示す
が、欠量は一般に3時及び9時部169と呼ばれる部分
やヨーク170との接合部に多く発生する。171は加
圧媒体導入方向を示している。欠量は、合せ面166か
ら樹脂フローしにくい箇所に空気がトラップされて生じ
る。そこで、図57に示したように空気がトラップされ
る箇所にスリット168を設けた。加工はワイヤー放電
加工方法によって行い、幅0.3mmのスリット168
を図59に示すようにラケットフレーム部全周に設け
た。その結果、トラップされた空気は樹脂フローと共に
スリット168を通り金型外部へ流れ、成形基材が金型
に完全密着し欠量の無い繊維強化プラスチック製ラケッ
トフレームが得られた。
【0171】なお、以上のような各種FRP製ラケット
の製造方法においては、各部を別成形しておき、フレー
ム成形基材と接合することもできる。
【0172】たとえば、ラケットのヨークやグリップを
予め別に成形若しくは加工しておき、前記成形基材とと
もに金型のキャビティ内に装着し、フレームの成形時に
一体化することもできる。
【0173】たとえばグリップ部の予備成形の効果につ
いてみる。従来のグリップ部の成形法は、フレームの成
形時にはグリップを所要寸法より小さく成形し、加工後
の工程で、所要寸法のグリップ金型にラケットをセット
し、ポリウレタンを流し込んで、加熱、発泡させグリッ
プ形状を得るようにしていた。この場合、必要な硬度の
グリップを得るためには約20〜25gのポリウレタン
が必要となり、超軽量(すなわちトップヘビー)のラケ
ットを製造する際に大きな妨げとなる。
【0174】また、従来法においては、一体成形法と呼
ばれる方法もある。つまり、超軽量ラケットを製造する
際に用いられる方法で、フレームを成形する金型のグリ
ップ部を、あらかじめ所要のグリップ形状に加工し、フ
レームの成形と同時に所要のグリップ形状を得る。ポリ
ウレタン発泡に比べて軽量化が可能であるが、打球時の
衝撃が直接プレーヤーに伝わるという欠点もある。ま
た、中空構造となるため、更なる軽量化を図る場合曲げ
剛性、強度が問題となる。また、グリップサイズ毎に金
型を用意する必要がある。
【0175】そこで、前述のように、グリップを予め所
要形状に成形若しくは加工し、前記成形基材とともに金
型のキャビティ内に装着し、フレームと一体化させる。
グリップの材質は何でもよいが、木材(圧縮に強い、加
工が容易、安価、衝撃吸収性良好)、中でも特に、バル
サ材を用いると軽量化も可能となる。
【0176】例えば、予め所要寸法に成形、もしくは加
工されたグリップの内部をくり抜き、これにフレームを
形成する前記成形基材を通したものを金型に装着し、加
熱、加圧(内圧)すれば、フレームの成形と、フレーム
とグリップの接着を同時に行うことができる。この場
合、グリップは一体であってもよいし、複数に分割され
ていてもよい。
【0177】
【実施例】上述の本発明に関し、具体的な各種実施例に
ついて以下に説明する。 実施例1、比較例1 まず、図1に示した構成のラケットフレームについて、
強化繊維2として炭素繊維を用い、炭素繊維不織布層5
を構成する炭素繊維不織布には、繊維径7μm、繊維長
12mmの炭素繊維短繊維を、繊維強化層4を構成する
マトリクス樹脂3と同一の樹脂を固着剤として不織布加
工したものを用いた。更に、かかる炭素繊維不織布5に
繊維強化層4を構成するマトリクス樹脂3と同一の樹脂
を繊維重量含有率30%になるよう含浸した。この不織
布層の目付は100g/m2 であった。更に、かかる樹
脂含浸された炭素繊維不織布5を、ナイロンチューブ1
に強化繊維2にマトリクス樹脂3を含浸んさせたプリプ
レグを巻きつけた予形の最外層に、ラケットフレーム全
表面積の60%を占めるように更に巻きつけ、金型に組
み込んだ後、チューブ内に圧力を付与し加熱硬化して成
形した。
【0178】その結果、従来のラケットフレームで必要
としたパテ埋め工程を省略可能な程度の優れた表面品位
が得ることができた。また、炭素繊維不織布層を設けな
かった場合(比較例1)のラケットフレームの重量及び
繊維体積含有率をそれぞれ100とすると本発明による
ラケットは重量で89、繊維体積含有率で113とな
り、軽量化、高繊維体積含有率化、すなわち高強度化を
実現することができた。成型後のパテ埋め工程を省略可
能とするため、コストダウンを図ることができ、更に、
繊維体積含有率も大きくとれるため、軽量かつ強度の高
いラケットフレームを効率よく提供することができた。
【0179】実施例2 エポキシ樹脂が含浸された繊維強化プリプレグシートを
38mm幅×1750mm長に裁断されたものを5層積
層し、プレスした積層体を、ナイロンチューブが被覆さ
れた芯材(断面が20mm×3mmの長方体)の周りに
捲回し、図2、図3に示したようなプリフォームを得
た。上記5層積層の内、外層体12、13の積層内容は
共に表1の通りであり、樹脂は全てエポキシ樹脂であ
る。用いた強化繊維のうち、炭素繊維は東レ(株)製”
トレカ”T700Sである。
【0180】
【表1】
【0181】上記構成のプリフォームを脱芯した後、テ
ニスラケットのフレーム形状をなす金型のキャビティ内
へ配置し、約150℃に加熱しながらナイロンチューブ
14(図2、図3)に約8kg/cm2 の圧空を封入し
て加圧成形し、テニスラケットフレームを20本成形し
た。表2に示す通り、殆どボイドがなく樹脂流れ不良部
分も少ない表面品位の良好な成形品が得られた。
【0182】比較例2 上記表1に示したプリプレグを図61に示した従来の一
層単位で10回(1〜5層を各2回)順次捲回したプリ
フォームを用いて、実施例2と同様の方法で金型により
成形し、20本のラケット成形品を得た。
【0183】上述の実施例1、2及び比較例2で成形し
たラケットを1本づつ表面品位及び強度について評価し
た。強度は、通常テニスラケットの強度評価尺度として
用いられるヘッドクランチ強度(ラケット頭部より荷重
を加え、クラックが生じる荷重の値)を調べた。それら
の結果を表2に示す。
【0184】実施例3 次に、エポキシ樹脂が含浸された繊維強化プリプレグシ
ートを38mm幅×1750mm長に裁断されたものを
5層積層し、プレスした積層体を、ナイロンチューブが
被覆された芯材(断面が20mm×3mmの長方体)の
周りに捲回し、図5に示したようなプリフォームを得
た。上記5層積層の内、外層体23、24の積層内容は
共に表1の通りであり、樹脂は全てエポキシ樹脂であ
る。用いた強化繊維のうち、炭素繊維は東レ(株)製”
トレカ”T700Sである。図9に示した構成のラケッ
トフレームにおいて、強化繊維層として内、外層体2
3、24から構成される上記プリフォームを用い、炭素
繊維不織布層5を構成する炭素繊維不織布には、実施例
1と同様に繊維径7μm、繊維長12mmの炭素繊維短
繊維を、上記繊維強化層を構成するマトリクス樹脂と同
一の樹脂を固着剤として不織布加工したものを用いた。
更に、かかる炭素繊維不織布5に上記繊維強化層を構成
するマトリクス樹脂と同一の樹脂を繊維重量含有率30
%になるよう含浸した。この不織布層の目付は100g
/m2 であった。更に、かかる樹脂含浸された炭素繊維
不織布5を、ナイロンチューブ21に巻きつけた上記プ
リフォームの最外層に、ラケットフレーム全表面積の6
0%を占めるように更に巻きつけ、金型に組み込んだ
後、チューブ内に約8kg/cm2 の圧空を封入し加熱
硬化して成形した。上記方法で20本のラケットフレー
ムを成形し、表面品位と強度を評価した結果を表2に示
す。この実施例3では、表面品位および強度共に殆ど問
題なく、良品であった。
【0185】
【表2】
【0186】表2から明らかなように、従来方法による
比較例2に対し、本発明による実施例1〜3の方が、表
面品位、強度共にばらつきが小さく、また、不合格品が
生じていないことが判る。
【0187】実施例4 前記表1に示す構成のプリプレグシート(幅760mm
×長さ1800mm)を1〜5層まで表1の構成順序に
従って積層し、積層体を保護用金属プレートでサンドウ
ィッチした状態でプレスした(荷重:100ton)。
しかる後、裁断機で幅38mmに20等分した。裁断後
のプリプレグ積層体を前記実施例2に従って10本のラ
ケット用プリフォームを作成し、前記と同様の方法で金
型成形して10本のラケットを製作した。製作したラケ
ッットの表面品位及び強度の評価を実施例2と同様に行
った結果、表2の実施例とほぼ同様の結果が得られた。
ここで、プリプレグシートの積層から裁断及びラケット
プリフォームの作成までに要した時間は、作業者2名で
10本作成するのに約12分であった。
【0188】比較例3 同様に前記表1に示す構成のプリプレグシート(幅76
0mm×長さ1800mm)を1〜5層まで表1の構成
順序に従って積層した。但し、各層が接着しないように
両面離型紙を各層間に配置した。その後は実施例4の手
順で幅38mmに20等分した。裁断後のプリプレグシ
ートは各々の離型紙を剥がし、比較例2と全く同様の方
法で10本のラケットプリフォームを作成した。この間
に要した時間は実施例4と同一人物の2名が行い、約4
5分かかった。即ち、従来の作業方法に対し、本発明に
よる作業方法ではプリフォーム作成時間が約1/4に短
縮できた。
【0189】実施例5 また、実施例2及び実施例3において、内積層体(内側
のプリプレグシート)と外積層体(外側のプリプレグシ
ート)の重ね合せ部分(オーバラップ領域)をガット穴
の位置に合わせて成形した場合、ガット張力をハイテン
ション試験値の40kgにしてガットを張っても20本
中全てガット穴周りにクラックは生じなかったが、逆に
ガット穴の位置を内、外積層体の重ね合せ部分以外のと
ころに設けた場合、20本中6本がハイテンション試験
値の40kgでガットを張った際にガット穴周りにクラ
ックが生じた。このように、オーバラップ領域をガット
張設部位に位置させることは極めて有効であることが判
る。
【0190】上述の如く、いわゆる2分割構成のプリフ
ォームとすることにより、加圧成形時にプリフォームが
金型表面までスムーズに移動し易いことから、成形品の
表面品位や強度が良好で、またそれらのばらつきを小さ
くすることができる。また、プリプレグの積層によるプ
リフォームの成形時間を、従来方法に比べ大幅に短縮す
ることができる。これはプリフォーム積層工程が簡素化
されたことによるものであり、また、それによってプリ
フォーム製造工程の機械化(自動化)を容易に行うこと
ができる。
【0191】実施例6 48打丸紐編組機を三重連で用い、ナイロン製の厚さ5
0μm、折り幅27mmの気密性膨張管と炭素繊維束
(東レ(株)製 トレカT700S−12000)2本
の上に炭素繊維束(東レ(株)製 トレカT300−6
000−50A)を3層とも編組角度30°で編組し、
エポキシ樹脂液に浸漬、プリプレグ重量比で40%の樹
脂を含浸乾燥後、炭素繊維不織布テープ(東レ(株)製
トレカT300、繊維長12mm、坪量30g/
2 、樹脂量50%片面塗布プリプレグ、テープ幅25
mm)を上下両面にカレンダー加圧により貼付し巻きと
った。該編組プリプレグを用いてテニスラケットの金型
にセットした後、管内に8kg/cm2 の空気圧をかけ
金型温度150℃で20分間保持して成形した。編組プ
リプレグは中芯にナイロン製気密膨張管と炭素繊維束
(東レ(株)製 トレカT700S−12000)2本
同時に入っているため、編組組織の伸びがなく編組幅2
5mmが安定して保持された。また表面に片面のみ樹脂
を塗布した不織布を貼付しているため、粘着性が全くな
く作業性が極めて良好で、かつ成形品は外観欠陥のない
良好な品質が得られた。
【0192】実施例7 図38に示した成形法により、可撓性チューブへの加圧
力を15kg/cm2・Gから順次上げて複数のラケッ
トフレームを製造し、得られたフレームの表面をラケッ
トフームにおいて最も表面欠陥が発生し易い箇所の一つ
であるヨークの近辺部において肉眼観察した。
【0193】その結果、約30kg/cm2 ・Gの加圧
力でフレーム表面に肉眼で観察可能な大きさの表面凹凸
がなくなり、100kg/cm2 ・Gで成形したフレー
ムの表面には、微小ボイドの改善に効果がみられ、いず
れも欠陥のない品質の優れたものが得られた。また、製
造過程においては、可撓性チューブからのタービン油の
漏れは皆無であった。
【0194】比較例4 一方、比較のため25kg/cm2 ・Gの圧縮空気を用
いて前述の従来方法で製造し、上記方法でヨーク近辺部
を肉眼観察したところ、従来方法で製造したフレームに
は、圧接圧力の不足に起因すると思われる表面凹凸が大
小4箇所存在し、表面品位の劣るものであった。
【0195】実施例8 実施例3と全く同様のプリフォームを用い、実施例7の
要領で約50kg/cm2 ・Gの加圧力で20本成形し
た。その結果は、表面品位は20本とも最高の品位を、
強度も20本とも180〜200kgfであり、全て良
品であった。
【0196】実施例9 図39に示した可撓性チューブを次のように作製した。
外径が13mm、内径10mm、肉厚1.5mmで硬度
40(JISA)のフロロシリコンゴムチューブを長さ
1,800mmに切断し、端部を外径13mm、内径5
mm、長さ30mmである同材質のシリコンチューブと
突き合わせ、その後、両チューブ間の未加硫フロロシリ
コンを金型内で加硫することにより一体化して肉厚部分
を形成した。継手106に挿入後外部筒状体113をい
わゆるかしめ加工により、かしめ率55%となるよう外
部筒状体113の径を減少せしめた。なお、本実施例に
おいては継手106を市販のワンタッチカプラー継手の
オス側継手とすることにより、外部加圧装置と簡易に連
結できる構成とした。外部加圧装置により加圧油を可撓
性チューブ内に供給して内圧を負荷したところ、70k
g/cm2 まで油の漏れは発生せず、さらに繰り返し使
用しても油のリークは発生しなかった。
【0197】比較例5 これに対し、外径13mm、内径10mm、肉厚1.5
mmのフロロシリコンゴムチューブ(肉厚部分なし)を
長さ1,800mmに切断し、一方の端部をかしめ率4
0%でかしめ加工した後他方の端部を閉塞し、外部加圧
装置から温度150℃のタービン油#32をチューブ内
部に送るとともに増圧しリークテストを実施したとこ
ろ、20kg/cm2 で油の漏れが発生した。そこで、
かしめ率を70%としたところチューブが切断した。
【0198】実施例10 RTM法により、以下のようにFRP製ラケットを作製
した。太さ5mm、長さ2,000mmのCFRP(炭
素繊維強化プラスチック)線材8本を集束してなるマン
ドレルにナイロンチューブをかぶせ、そのナイロンチュ
ーブの周りにフィラメントワインディング法を用いて炭
素繊維のヘリカル巻層(内層:±15°層×3層、外
層:60°×1層)を形成した後、マンドレルを引き抜
いてプリフォームを得、成形基材とした。
【0199】次に、この成形基材を、あらかじめ成形温
度付近に昇温したラケットフレームの形状をしたキャビ
ティを有する割金型に入れ、上金型を閉じ、ナイロンチ
ューブ内に1kgf/cm2 の圧力空気を導入してその
ナイロンチューブ内を与圧し、かつ、上金型に設けた吸
引口から吸引して50Torrに減圧しながら、次に2
液混合ピストン型樹脂注入機((株)ナカリキッド社
製)で予熱した樹脂と硬化剤を混合し樹脂注入口から注
入速度を変更して注入した(表3)。樹脂が吸引口に達
した時点で吸引と注入を止め、ナイロンチューブ内の与
圧を6kgf/cm2 に上げ余分の樹脂がキャビティか
ら出るように注入口と吸引口を解放した。さらにそのま
ま15分置いて樹脂を硬化させた後脱型し、さらに13
0℃で2時間アフターキュア処理を施してラケットフレ
ームを得た。その結果、樹脂の注入時の注入速度と注入
圧力を適正化することにより表面性の良好なラケットフ
レームが得られた。粘度測定はB型粘度計、Tg測定は
DSCで窒素中において40℃/分の昇温速度でそれぞ
れ測定した。
【0200】
【表3】
【0201】実施例11 固定した直径16mm、長さ2,000mmのマンドレ
ルにナイロンチューブをかぶせそのナイロンチューブの
周りにフィラメント数が6,000本の炭素繊維束で4
8打ちのブレードを2層重ねた。さらにその上にフィラ
メント数が3,000本炭素繊維束で48打ちの編組を
1層重ね、次いでマンドレルを引き抜いてプリフォーム
とし、成形基材とした。
【0202】次に、樹脂をエポコート827(油化シェ
ル(株)製)、硬化剤をエピキュア113(油化シェル
(株)製)を用いて(混合後の粘度が50℃で400セ
ンチポイズ)、注入温度を50℃で2分間で注入した以
外は実施例10と同条件で成形を行った。得られたラケ
ットフレームの表面は良好であった。またTgは132
℃であった。
【0203】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の曲がり管
およびラケットによれば、強化繊維層の外側に特定の不
織布層を配置したので、成形の際樹脂の流れを良くする
とともに脱気性を向上でき、表面欠陥がなく、かつ優れ
た強度特性を有するFRP成形品が得られる。
【0204】また、本発明に係るFRP製曲がり管およ
びラケットの製造方法および装置によれば、表面特性に
優れるとともに強度特性に優れ、しかも安定した品質の
FRP成形品が得られる。
【0205】さらに、本発明に係るプリフォームおよび
その製造方法によれば、上記のような優れた品質のFR
P成形品を得るための成形基材を、効率よくかつ安価に
製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る曲がり管の部分斜視図
である。
【図2】本発明の一実施例に係るプリフォームの断面図
である。
【図3】図2のプリフォームの部分斜視図である。
【図4】本発明の一実施例に係るラケット用プリフォー
ムの部分斜視図である。
【図5】本発明の別の実施例に係るプリフォームの断面
図である。
【図6】プリフォーム作製のためのプリプレグ積層を示
す斜視図である。
【図7】積層プリプレグの裁断を示す斜視図である。
【図8】図7のプリプレグを用いて作製したプリフォー
ムの部分斜視図である。
【図9】図5のプリフーム上に不織布層を設けたプリフ
ォームの断面図である。
【図10】本発明の一実施例に係るプリフォームの製造
方法を示す概略構成図である。
【図11】図10の次の工程を示す概略構成図である。
【図12】図11の次の工程を示す概略構成図である。
【図13】図12の次の工程を示す概略構成図である。
【図14】図13の次の工程を示す概略構成図である。
【図15】図14の次の工程を示す概略構成図である。
【図16】図15の次の工程を示す概略構成図である。
【図17】図16の次の工程を示す概略構成図である。
【図18】図17の次の工程を示す概略構成図である。
【図19】図18の次の工程を示す概略構成図である。
【図20】図19の次の工程を示す概略構成図である。
【図21】本発明の一実施例に係るプリフォームの製造
方法を示す概略構成図である。
【図22】ハニカム体埋設ラケットフレームの一例を示
す断面図である。
【図23】ハニカム体埋設ラケットフレームの別の例を
示す断面図である。
【図24】ハニカム体埋設ヨーク部の一例を示す断面図
である。
【図25】ハニカム体埋設ヨーク部の別の例を示す断面
図である。
【図26】プリフォームの賦形方法を示す斜視図であ
る。
【図27】プリフォームの自動賦形機の概略平面図であ
る。
【図28】図27の次の工程を示す概略平面図である。
【図29】図28の次の工程を示す概略平面図である。
【図30】図29の次の工程を示す概略平面図である。
【図31】図30の次の工程を示す概略平面図である。
【図32】図31の次の工程を示す概略平面図である。
【図33】図27の自動賦形機の張力保持機構部の概略
構成図である。
【図34】賦形時のヨーク部近傍の概略平面図である。
【図35】本発明の一実施例に係る成形基材の斜視図で
ある。
【図36】図35の可撓性チューブの部分断面表示側面
図である。
【図37】図35の可撓性チューブの継手部の拡大断面
図である。
【図38】図35の成形基材を用いてラケットを成形す
る際の概略構成図である。
【図39】図37とは別の例に係る可撓性チューブ継手
部の断面図である。
【図40】本発明の一実施例に係るFRP製ラケットの
製造装置の概略縦断面図である。
【図41】図40の装置の下型の平面図である。
【図42】図40の装置の樹脂注入口周りの拡大断面図
である。
【図43】図40の装置の樹脂注入口および減圧口のプ
ラグの拡大断面図である。
【図44】プラグの口部形状の一例を示す正面図であ
る。
【図45】プラグの口部形状の別の例を示す正面図であ
る。
【図46】プラグの口部形状のさらに別の例を示す正面
図である。
【図47】プラグの口部形状のさらに別の例を示す正面
図である。
【図48】プラグの口部形状のさらに別の例を示す正面
図である。
【図49】プラグの口部形状のさらに別の例を示す正面
図である。
【図50】プラグの口部形状のさらに別の例を示す正面
図である。
【図51】図40の装置の給気口部の拡大断面図であ
る。
【図52】給気口部の別の例を示す断面図である。
【図53】図40の装置の中子部の拡大正面図である。
【図54】図53の次の状態を示す正面図である。
【図55】図54のさらに次の状態を示す正面図であ
る。
【図56】従来の成形状態を示す金型の部分縦断面図で
ある。
【図57】本発明の一実施例に係る金型の部分縦断面図
である。
【図58】ラケットフレーム成形を示す斜視図である。
【図59】図57のスリット配設位置を示す金型の平面
図である。
【図60】従来のプリフォームの部分斜視図である。
【図61】図60のプリフォームの断面図である。
【図62】従来の曲がり管の成形状態を示す金型の部分
断面図である。
【図63】従来の表面欠陥が発生した曲がり管の部分斜
視図である。
【図64】従来のプリフォームの断面図である。
【符号の説明】
1 筒状フイルム 2 強化繊維 3 マトリクス樹脂 4 強化繊維層 5 不織布層 11、12、23、24 プリプレグ 13、22、29 芯材 14、21、28 筒状フイルム 15、25 プリフォーム 16 ガット穴 26 プリプレグ 27 積層体 30 第1のプリプレグ 31 開口部 32 第2のプリプレグ 41、42、43、44、45、46 プレス板 47 芯材 48、49 プリプレグ 51、52、53 編組機 54 気密性膨張管 55 繊維束 56 多重編組 57 樹脂液 58、61 加熱乾燥装置 59、60、62 水冷ターンロール 63 不織布 64 カレンダー装置 65 多重編組プリプレグ 66 テープ状布帛 71、72 フレーム 73、74 ハニカム体 75、76 ヨーク部 77、78 ハニカム体 79、80 ガット 81 筒状フイルム 82 強化繊維シート 83 プリフォーム 84 ヨーク 85 凸部 86 型 91 ガイド 92 張力保持機構 93 押し付けローラ 94 シリンダ 95 グリップ部 96 機軸 97 固定ローラ 98 移動ローラ 99 エアシリンダ 100 バンドブレーキ 101 可撓性チューブ 102 筒状フイルム 103 プリプレグ 104 成形基材 105 タービン油 106 継手 107a 上型 107b 下型 108 ヨーク部 109 切替弁 110 バルブ 111 圧力計 112 耐圧ホース 115 外部加圧装置 116 チューブ先端 117、118 シリンダ 119 共通ロッド 120、121 ピストン 122 油圧ポンプ 123 配管 124 接続部分 125 可撓性チューブ 130 金型 131 上型 132 下型 133 樹脂注入口 134 給気口 135 減圧口 136 キャビティ 137 シール材 138 ゲート 139 置中子 140 スライド中子 141、142 樹脂溜まり 143 プラグ 144 中心線 145 剪断面 146、147、148、149、150、151、1
52 プラグ口形状 153 ノズル 154 フランジ 155 テーパー部 156 成形基材 161 上型 162 下型 163 キャビティ 164 成形基材 165 スライド中子 166 合わせ面 167 密着不良部 168 スリット 169 3時及び9時部 170 ヨーク 171 加圧媒体導入方向
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29C 70/10 B32B 1/08 Z 7415−4F 5/26 7421−4F C08J 5/24 7310−4F F16L 11/08 Z // B29K 105:08 B29L 23:00 31:52 (72)発明者 西村 一彦 滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株 式会社滋賀事業場内 (72)発明者 吉村 康輔 滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株 式会社滋賀事業場内 (72)発明者 礒井 伸也 滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株 式会社滋賀事業場内 (72)発明者 尾原 春夫 愛媛県伊予郡松前町大字筒井1515番地 東 レ株式会社愛媛工場内

Claims (53)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内側に強化繊維層を配し、その強化繊維
    層の外側に、単糸径が20μm以下で、目付が100g
    /m2 以下の不織布層を配してなることを特徴とする繊
    維強化プラスチック製曲がり管。
  2. 【請求項2】 前記強化繊維層が、強化繊維の一方向引
    揃え体、織物および/または編組を含んでいる、請求項
    1の曲がり管。
  3. 【請求項3】 4組を超えない範囲の強化繊維層を有
    し、各強化繊維層は複数枚の強化繊維材の積層構成を有
    しているとともに横断面がC字状をしており、かつ、下
    層の強化繊維層の開口部を上層の強化繊維層が覆ってい
    る、請求項1の曲がり管。
  4. 【請求項4】 前記不織布層の不織布を構成している繊
    維が、繊維長1〜30mmの短繊維である、請求項1な
    いし3のいずれかに記載の曲がり管。
  5. 【請求項5】 前記不織布層が、曲がり管の長さ方向全
    長にわたって配されている、請求項1ないし4のいずれ
    かに記載の曲がり管。
  6. 【請求項6】 前記不織布層が、曲がり管の周方向全周
    にわたって配されている、請求項1ないし5のいずれか
    に記載の曲がり管。
  7. 【請求項7】 4組を超えない範囲の強化繊維層を有
    し、各強化繊維層は複数枚の強化繊維材の積層構成を有
    しているとともに横断面がC字状をしており、かつ、下
    層の強化繊維層の開口部を上層の強化繊維層が覆ってい
    ることを特徴とする曲がり管。
  8. 【請求項8】 強化繊維材が、強化繊維の一方向引揃え
    体または織物である、請求項7の曲がり管。
  9. 【請求項9】 4組を超えない範囲の強化繊維層を有
    し、各強化繊維層は複数枚の強化繊維材の積層構成を有
    しているとともに横断面がC字状をしており、かつ、下
    層の強化繊維層の開口部を上層の強化繊維層が覆ってい
    ることを特徴とする、繊維強化プラスチック製曲がり管
    成形用プリフォーム。
  10. 【請求項10】 外側に不織布層が配されている、請求
    項9のプリフォーム。
  11. 【請求項11】 強化繊維層がプリプレグ化されてい
    る、請求項9または10のプリフォーム。
  12. 【請求項12】 強化繊維からなる編組層と、この編組
    層の外側に配した不織布層とを有していることを特徴と
    する、繊維強化プラスチック製曲がり管成形用プリフォ
    ーム。
  13. 【請求項13】 編組層がプリプレグ化されている、請
    求項12のプリフォーム。
  14. 【請求項14】 前記不織布層の不織布を構成している
    繊維の単糸径が20μm以下で、目付が100g/m2
    以下である、請求項10ないし13のいずれかに記載の
    プリフォーム。
  15. 【請求項15】 芯材に被せた筒状フイルムの上に、少
    なくとも、その筒状フイルムの全周長よりも短い幅の第
    1の強化繊維シートを捲回し、この第1の強化繊維シー
    トの上に、第2の強化繊維シートを、捲回された前記第
    1の強化繊維シートの開口部を覆うように捲回すること
    を特徴とする、繊維強化プラスチック製曲がり管成形用
    プリフォームの製造方法。
  16. 【請求項16】 前記第1の強化繊維シートおよび第2
    の強化繊維シートが、複数枚の強化繊維材の積層構成を
    有している、請求項15のプリフォームの製造方法。
  17. 【請求項17】 前記第1の強化繊維シートおよび第2
    の強化繊維シートがプリプレグ化されている、請求項1
    5または16のプリフォームの製造方法。
  18. 【請求項18】 筒状フイルムに強化繊維の編組を被
    せ、さらにその編組の上に不織布を捲回することを特徴
    とする、繊維強化プラスチック製曲がり管成形用プリフ
    ォームの製造方法。
  19. 【請求項19】 編組がプリプレグ化されている、請求
    項18のプリフォームの製造方法。
  20. 【請求項20】 筒状フイルムを被せた芯材とその芯材
    上に設けた強化繊維のプリプレグシートとを保持すると
    ともに、プリプレグシートを芯材の外形に沿って芯材の
    上下面に押圧する、上下方向に移動可能な上下一対の第
    1のプレス手段と、プリプレグシートを芯材の外形に沿
    って折り曲げ、折り曲げられたプリプレグシートを芯材
    の側面に押圧する、左右方向に移動可能な左右一対の第
    2のプレス手段とを有していることを特徴とする、繊維
    強化プラスチック製曲がり管成形用プリフォームの製造
    装置。
  21. 【請求項21】 筒状フイルムを被せた可撓性チューブ
    を強化繊維のプリプレグで被覆してなる成形基材を金型
    のキャビティに入れ、金型を加熱するとともに前記可撓
    性チューブ内を30kg/cm2 ・G以上に加圧して前
    記成形基材を金型に圧接することを特徴とする、繊維強
    化プラスチック製曲がり管の製造方法。
  22. 【請求項22】 プリプレグの上に、単糸径が20μm
    以下で、目付が100g/m2 以下の不織布を巻きつけ
    る、請求項21の繊維強化プラスチック製曲がり管の製
    造方法。
  23. 【請求項23】 筒状フイルムを強化繊維のプリプレグ
    で被覆し、さらにそのプリプレグの上に、単糸径が20
    μm以下で、目付が100g/m2 以下の不織布を巻き
    つけてなる成形基材を金型のキャビティに入れ、金型を
    加熱するとともに前記筒状フイルム内を加圧して前記成
    形基材を金型に圧接することを特徴とする、繊維強化プ
    ラスチック製曲がり管の製造方法。
  24. 【請求項24】 筒状フイルムを強化繊維で被覆し、さ
    らにその強化繊維の被覆層の上に、単糸径が20μm以
    下で、目付が100g/m2 以下の不織布を巻きつけて
    なる成形基材を金型のキャビティに入れ、金型を加熱
    し、前記筒状フイルム内を加圧するとともに前記キャビ
    ティ内を減圧しながらそのキャビティ内に樹脂を注入す
    ることを特徴とする、繊維強化プラスチック製曲がり管
    の製造方法。
  25. 【請求項25】 可撓性チューブに被せた筒状フイルム
    を強化繊維のプリプレグで被覆してなる成形基材が入れ
    られるキャビティを有する金型と、前記可撓性チューブ
    内に非圧縮性流体からなる30kg/cm2 ・G以上の
    加圧媒体を供給する加圧媒体供給手段とを有しているこ
    とを特徴とする、繊維強化プラスチック製曲がり管の製
    造装置。
  26. 【請求項26】 筒状フイルムを強化繊維のプリプレグ
    で被覆してなる成形基材が入れられるキャビティを有す
    る上下分割型の金型と、前記筒状フイルム内に加圧媒体
    を供給する加圧媒体供給手段とを有し、かつ、下側の金
    型が分割自在に構成された中子を内包していることを特
    徴とする、繊維強化プラスチック製曲がり管の製造装
    置。
  27. 【請求項27】 筒状フイルムを強化繊維で被覆してな
    る成形基材が入れられるキャビティを有する上下分割型
    の金型と、前記筒状フイルム内に加圧媒体を供給する加
    圧媒体供給手段と、前記キャビティ内を減圧する減圧手
    段と、前記キャビティ内に樹脂を注入する樹脂注入手段
    とを有し、かつ、下側の金型が分割自在に構成された中
    子を内包していることを特徴とする、繊維強化プラスチ
    ック製曲がり管の製造装置。
  28. 【請求項28】 繊維強化プラスチック製ラケットであ
    って、内側に強化繊維層を配し、その強化繊維層の外側
    に、単糸径が20μm以下で、目付が100g/m2
    下の不織布層を配してなることを特徴とするラケット。
  29. 【請求項29】 前記強化繊維層を構成している強化繊
    維が、炭素繊維、ガラス繊維およびポリアラミド繊維か
    ら選ばれたものである、請求項28のラケット。
  30. 【請求項30】 前記強化繊維層が、強化繊維の一方向
    引揃え体、織物および/または編組を含んでいる、請求
    項28または29のラケット。
  31. 【請求項31】 4組を超えない範囲の強化繊維層を有
    し、各強化繊維層は複数枚の強化繊維材の積層構成を有
    しているとともに横断面がC字状をしており、かつ、下
    層の強化繊維層の開口部を上層の強化繊維層が覆ってい
    る、請求項28ないし30のいずれかに記載のラケッ
    ト。
  32. 【請求項32】 前記不織布層の不織布を構成している
    繊維が、炭素繊維、ガラス繊維およびポリアラミド繊維
    から選ばれたものである、請求項28ないし31のいず
    れかに記載のラケット。
  33. 【請求項33】 前記不織布層の不織布を構成している
    繊維が、繊維長1〜30mmの短繊維である、請求項2
    8ないし32のいずれかに記載のラケット。
  34. 【請求項34】 前記不織布層が、ラケットのグリップ
    以外の部分に配されている、請求項28ないし33のい
    ずれかに記載のラケット。
  35. 【請求項35】 前記不織布層が、フレームのガット用
    溝部以外の部分に配されている、請求項28ないし34
    のいずれかに記載のラケット。
  36. 【請求項36】 フレームおよび/またはヨークの前記
    強化繊維層の内側に、少なくとも部分的に木材またはハ
    ニカム体が配されている、請求項28ないし35のいず
    れかに記載のラケット。
  37. 【請求項37】 グリップにおける強化繊維層が木材で
    覆われている、請求項28ないし36のいずれかに記載
    のラケット。
  38. 【請求項38】 4組を超えない範囲の強化繊維層を有
    し、各強化繊維層は複数枚の強化繊維材の積層構成を有
    しているとともに横断面がC字状をしており、かつ、下
    層の強化繊維層の開口部を上層の強化繊維層が覆ってい
    ることを特徴とする、繊維強化プラスチック製ラケット
    成形用プリフォーム。
  39. 【請求項39】 外側に不織布層が配されている、請求
    項38のプリフォーム。
  40. 【請求項40】 強化繊維層がプリプレグ化されてい
    る、請求項38または39のプリフォーム。
  41. 【請求項41】 強化繊維からなる編組層と、この編組
    層の外側に配した不織布層とを有していることを特徴と
    する、繊維強化プラスチック製ラケット成形用プリフォ
    ーム。
  42. 【請求項42】 編組層がプリプレグ化されている、請
    求項41のプリフォーム。
  43. 【請求項43】 前記不織布層の不織布を構成している
    繊維の単糸径が20μm以下で、目付が100g/m2
    以下である、請求項39ないし42のいずれかに記載の
    プリフォーム。
  44. 【請求項44】 フレームおよび/またはヨークを形成
    する部位の前記強化繊維層の内側に、少なくとも部分的
    に木材またはハニカム体が配されている、請求項38な
    いし43のいずれかに記載のプリフォーム。
  45. 【請求項45】 筒状フイルムを被せた可撓性チューブ
    を強化繊維のプリプレグで被覆してなる成形基材を金型
    のキャビティに入れ、金型を加熱するとともに前記可撓
    性チューブ内を30kg/cm2 ・G以上に加圧して前
    記成形基材を金型に圧接することを特徴とする、繊維強
    化プラスチック製ラケットの製造方法。
  46. 【請求項46】 プリプレグの上に、単糸径が20μm
    以下で、目付が100g/m2 以下の不織布を巻きつけ
    る、請求項45の繊維強化プラスチック製ラケットの製
    造方法。
  47. 【請求項47】 筒状フイルムを強化繊維のプリプレグ
    で被覆し、さらにそのプリプレグの上に、単糸径が20
    μm以下で、目付が100g/m2 以下の不織布を巻き
    つけてなる成形基材を金型のキャビティに入れ、金型を
    加熱するとともに前記筒状フイルム内を加圧して前記成
    形基材を金型に圧接することを特徴とする、繊維強化プ
    ラスチック製ラケットの製造方法。
  48. 【請求項48】 筒状フイルムを強化繊維で被覆し、さ
    らにその強化繊維の被覆層の上に、単糸径が20μm以
    下で、目付が100g/m2 以下の不織布を巻きつけて
    なる成形基材を金型のキャビティに入れ、金型を加熱
    し、前記筒状フイルム内を加圧するとともに前記キャビ
    ティ内を減圧しながらそのキャビティ内に樹脂を注入す
    ることを特徴とする、繊維強化プラスチック製ラケット
    の製造方法。
  49. 【請求項49】 前記成形基材を、金型のキャビティに
    入れる前に、前記キャビティの形状をした型に押し付け
    て賦形する、請求項45ないし48のいずれかに記載の
    繊維強化プラスチック製ラケットの製造方法。
  50. 【請求項50】 前記成形基材とともに、予め成形した
    ヨークおよび/またはグリップを金型のキャビティに入
    れる、請求項45ないし49のいずれかに記載の繊維強
    化プラスチック製ラケットの製造方法。
  51. 【請求項51】 筒状フイルムを被せた可撓性チューブ
    を強化繊維のプリプレグで被覆してなる成形基材が入れ
    られるキャビティを有する金型と、前記可撓性チューブ
    内に非圧縮性流体からなる30kg/cm2 ・G以上の
    加圧媒体を供給する加圧媒体供給手段とを有しているこ
    とを特徴とする、繊維強化プラスチック製ラケットの製
    造装置。
  52. 【請求項52】 筒状フイルムを強化繊維のプリプレグ
    で被覆してなる成形基材が入れられるキャビティを有す
    る上下分割型の金型と、前記筒状フイルム内に加圧媒体
    を供給する加圧媒体供給手段とを有し、かつ、下側の金
    型が分割自在に構成された中子を内包していることを特
    徴とする、繊維強化プラスチック製ラケットの製造装
    置。
  53. 【請求項53】 筒状フイルムを強化繊維で被覆してな
    る成形基材が入れられるキャビティを有する上下分割型
    の金型と、前記筒状フイルム内に加圧媒体を供給する加
    圧媒体供給手段と、前記キャビティ内を減圧する減圧手
    段と、前記キャビティ内に樹脂を注入する樹脂注入手段
    とを有し、かつ、下側の金型が分割自在に構成された中
    子を内包していることを特徴とする、繊維強化プラスチ
    ック製ラケットの製造装置。
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