JPH07222184A - 陰極線管画像表示装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 陰極線管画像表示装置に備えてある偏向ヨー
クの首振りを電気的に容易に変え、かつ安価にできるよ
うにし、コンバーゼンス、ラスター歪みの補正量を充分
提供できるようにする。 【構成】 互いに直列接続された垂直偏向コイル１，
２、もしくはＣＹコイル６，７にそれぞれ抵抗値の異な
った抵抗素子３，４あるいは８，９をそれぞれ並列接続
させ、垂直偏向コイル１，２、もしくはＣＹコイル６，
７に流れる電流量を変え、ミスコンバーゼンスＹ_H ，Ｙ
ｖ、ラスター歪み、並びに偏向ヨークの首振りを補正す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、テレビジョン受信機お
よびビデオディスプレイ装置等の陰極線管画像表示装置
に係り、特にそれに用いる偏向ヨークに関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】カラーテレビジョン受信機やビデオディ
スプレイ装置等の陰極線管画像表示装置に備えてある偏
向ヨークは、周知のように、水平偏向コイルと垂直偏向
コイルとを装着しているが、昨今においては、陰極線管
電子銃側近傍、あるいは、その周辺部に４極ないしは６
極などの磁界を発生させるコンバーゼンスヨーク（以下
ＣＹコイルと称す）を設けた偏向ヨークが広く使用され
ている。この１組のＣＹコイルは対向配置をなし、互い
に直列に接続され垂直偏向コイルと結線されている。

【０００３】従来の装置は、特開平３−７３６９３号公
報に記載のように、直列接続されたこの１組のＣＹコイ
ルの両端間に可変抵抗器が接続され、個々のＣＹコイル
に流れる電流量が容易に可変できる構造となっている。

【０００４】この構造により、個々のＣＹコイルに流れ
る電流量のバランスを調整することで、例えば、陰極線
管画面上のコンバーゼンスを首振りと称される陰極線管
と偏向ヨークの位置関係を調整することなく、容易に調
整できるようになる。

【０００５】また、前記と同じ効果を得るために、垂直
偏向コイルに流れる電流そのものを可変させる手段とし
て、互いに直列接続された垂直偏向コイルの両端間に可
変抵抗器を接続する手段が周知となっている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は、ＣＹ
コイルあるいは、垂直偏向コイルの各配線や可変抵抗器
の取り付け等、組立の作業が複雑化し、さらに、可変抵
抗器による電流量の調整をより効果的にスムーズに行う
ために、固定抵抗素子をさらに追加し、回路を構成して
いる場合が多く、部品点数が増え、より高価となってい
た。

【０００７】また、陰極線管画面上のラスター歪み、あ
るいは、コンバーゼンスの上下もしくは左右のバランス
調整をするため偏向ヨークの首振り（傾き）を故意的に
変更させる場合は、その手段として磁性材等の補正部品
を取り付ける等の手段が周知となっているが、この方法
も作業の複雑化は避けられず、また必要な補正量が得ら
れないという問題があった。

【０００８】本発明は、従来技術の欠点を解消し、偏向
ヨークの首振りを容易にすると共に、片寄ったラスター
歪みを改善できるようにし、さらに、コンバーゼンスを
含めこれらの補正に必要な補正量を充分確保し、安価な
偏向ヨークとした陰極線管画像表示装置を提供すること
を目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的は、ラッパ状を
したコアの内側に、一対のクラ型の水平偏向コイルと、
一対のクラ型もしくはトロイダル状に巻回され互いに直
列に接続された垂直偏向コイルとが配置された偏向ヨー
クを備えた陰極線管画像表示装置において、対向配置し
た第１垂直コイル半体に並列に接続される第１固定抵抗
の抵抗値と、第２垂直コイル半体に並列に接続される第
２固定抵抗の抵抗値とが互いに異なった値に設定されて
いる第１の手段により達成される。

【００１０】また、ラッパ状をしたコアの内側に、一対
のクラ型の水平偏向コイルと、一対のクラ型もしくはト
ロイダル状に巻回され互いに直列に接続された垂直偏向
コイルとが配置された偏向ヨークを備えた陰極線管画像
表示装置において、陰極線管の電子銃近傍もしくは周辺
に設置させた４極あるいは６極などの磁界を発生させる
１組のコンバーゼンスヨークのそれぞれに抵抗値の異な
った固定抵抗をそれぞれ互いに並列に接続させた第２の
手段により達成される。

【００１１】

【作用】本発明では、互いに直列接続された第１垂直コ
イル半体と第２垂直コイル半体に流れる偏向電流量を変
えるようにする。また、偏向ヨークの陰極線管電子銃近
傍に対向配置される１対のＣＹコイルのそれぞれに流れ
る電流量を変えるようにする。

【００１２】すなわち、互いに直列接続された垂直偏向
コイルそれぞれに並列に接続される抵抗素子において、
常に、いずれか一方の垂直偏向コイルに接続する抵抗の
抵抗値をもう一方の抵抗値よりも大きくし、双方の垂直
偏向コイルに流れる偏向電流を変えることで、陰極線管
画面上のラスター歪みを改善することができる。さら
に、ミスコンバーゼンスや偏向ヨークの首振り特性にお
いても改良効果がある。抵抗素子は安価な固定抵抗でよ
く、また、予め抵抗素子が垂直偏向コイルに並列に接続
されている場合は、部品点数を増やすことがない。さら
に、垂直偏向コイルに流れる電流そのものを操作するた
め、ＣＹコイルを設けていない偏向ヨークにおいてもラ
スター歪みや偏向ヨークの首振りを補正することが可能
となる。また、垂直偏向コイル各々に並列接続される抵
抗素子の抵抗値の差を調整することで補正量が調整で
き、必要な補正量の提供が可能となる。

【００１３】

【実施例】以下、本発明に係る陰極線管画像表示装置の
各実施例を図面を用いて詳細に説明する。

【００１４】図１は第１の実施例に係る偏向ヨークの垂
直偏向コイル部概略回路図を示す。互いに直列接続され
た垂直偏向コイル（第１垂直コイル半体、第２垂直コイ
ル半体）１，２には固定抵抗（第１固定抵抗、第２固定
抵抗）３，４がそれぞれ並列に接続されている。

【００１５】ここで、第１垂直偏向コイル１に接続され
た固定抵抗３の抵抗値をＲ３、第２垂直偏向コイル２に
接続される固定抵抗４の抵抗値をＲ４とし、常にＲ３＞
Ｒ４の関係であるとすれば、各々垂直偏向コイル１，２
に流れる電流ｉ₁ ，ｉ₂ はｉ₁ ＜ｉ₂ の関係になる。

【００１６】この関係は、例えば垂直偏向コイルがクラ
型の場合、第１垂直偏向コイル１は陰極線管画面から見
て左側、第２垂直偏向コイル２は陰極線管画面から見て
右側に位置し、常に右側の垂直偏向コイル２の方が陰極
線管により近い位置になるのと等価となる。

【００１７】従って、偏向コイルの左右のアンバランス
や、偏向ヨークの片寄った首振りによって生じる図２に
示すような画面上のラスター歪みを容易に対策すること
が可能となる。

【００１８】上記とは逆に、Ｒ３，Ｒ４が常にＲ３＜Ｒ
４の関係であるとすれば、各々垂直偏向コイル１，２に
流れる電流はｉ₁ ＞ｉ₂ の関係となる。つまり、図２と
は逆パターンの図３のようなラスター歪みを改善するこ
とができる。

【００１９】さらに、前述と同様に、垂直偏向コイル
１，２に並列接続する固定抵抗を互いに異なった抵抗値
とすることで、陰極線管画面上でのブルー（Ｂ）のビー
ムとレッド（Ｒ）のビームとの垂直方向のずれによるＹ
ｖと称される図４、図５に示すようなミスコンバーゼン
スを対策することが可能となる。

【００２０】次に、第２の実施例として垂直偏向コイル
１，２の両端間に可変抵抗器５を取り付けた場合の垂直
偏向コイル部概略回路図を図６に示す。この可変抵抗器
５の摺動端子５ａは垂直偏向コイル１，２の間に接続さ
れており、垂直偏向電流ｉ₁，ｉ₂ を調整できるように
取り付けられている。

【００２１】ここで、固定抵抗３，４の抵抗値Ｒ３，Ｒ
４がＲ３＜Ｒ４の関係のときで、可変抵抗器５の摺動端
子５ａを固定抵抗３側に調整した場合、垂直偏向コイル
１，２に流れる垂直偏向電流ｉ₁ ，ｉ₂ はｉ₁ ≪ｉ₂ と
なる。

【００２２】逆に、Ｒ３＞Ｒ４の関係のときで可変抵抗
器５の摺動端子５ａを固定抵抗４側に調整した場合、垂
直偏向電流ｉ₁ ，ｉ₂ はｉ₁ ≫ｉ₂ となり、Ｒ３，Ｒ４
の差が大きいほどこの関係が強調されることになる。

【００２３】つまり、前述した図２、図３のようなラス
ター歪みや図４、図５のようなミスコンバーゼンスＹｖ
の補正量を充分確保できることになる。また、上記のｉ
₁ ＜ｉ₂ 、ｉ₁ ≪ｉ₂ 、あるいは、ｉ₁ ＞ｉ₂ 、ｉ₁ ≫
ｉ₂ の関係は陰極線管に対する偏向ヨークの傾きである
首振りを変えることができ、偏向ヨーク生産上でのばら
つきや、さらには陰極線管製造上のばらつきの傾向を把
握することでこれらを容易に対策することが可能とな
る。垂直偏向コイル１，２に並列接続するそれぞれの固
定抵抗３，４は、高周波成分を除去するためダンピング
として予め付加されている場合が多く、部品点数を増や
し、組立作業を複雑化させることなく安価に対応でき
る。

【００２４】次に、第３の実施例として偏向ヨークの陰
極線管電子銃近傍等に設置される４極などの数極の磁界
を発生させるＣＹコイルを取り付けた場合の概略回路図
を図７に示す。このＣＹコイル６，７は陰極線管管軸に
対し左右方向（Ｘ方向）、あるいは上下方向（Ｙ方向）
にそれぞれ対向配置されている。例えば、図７の中でＣ
Ｙコイル６，７に流れる電流をそれぞれｉ₆ ，ｉ₇ と
し、ＣＹコイル６，７各々に並列接続された固定抵抗
８，９の抵抗値をＲ８，Ｒ９とすれば、前述した垂直偏
向コイル１，２の例と同様に次の関係となる。

【００２５】Ｒ８＞Ｒ９→ｉ₆ ＜ｉ₇ Ｒ８＜Ｒ９→ｉ₆ ＞ｉ₇ この関係は、図３、図４に示した陰極線管画面上のミス
コンバーゼンスＹｖの他に、ＣＹコイル６，７から発生
する磁界によってブルー（Ｂ）のビームとレッド（Ｒ）
のビームとの水平方向のずれによるＹ_H と称される図
９、図１０のようなミスコンバーゼンスを補正すること
ができる。さらに、ｉ₆ ＞ｉ₇ あるいはｉ₆ ＜ｉ₇ の関
係で、固定抵抗８，９の抵抗値Ｒ８，Ｒ９の差を大きく
するか、または、第４の実施例に係る図８のように固定
抵抗１０を取り付けることで充分な補正量を確保するこ
とができる。

【００２６】

【発明の効果】本発明によれば、互いに直列接続された
垂直偏向コイル、もしくはＣＹコイルに流れるそれぞれ
の電流量を、並列に設けた固定抵抗の抵抗値を互いに異
なるものとすることで、部品を追加することなく安価
に、かつ組立作業を複雑化させることなく容易に変える
ことができ、偏向ヨークの首振りや、Ｙ_H ，Ｙｖのミス
コンバーゼンス、およびラスター歪みに対し必要な補正
量を確保することが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による陰極線管画像表示装置の第１の実
施例を示す偏向ヨーク垂直偏向コイル部の概略回路図で
ある。

【図２】ラスター歪みのパターンの一例を示す説明図で
ある。

【図３】ラスター歪みのパターンの他の例を示す説明図
である。

【図４】ミスコンバーゼンスＹｖのパターンの一例を示
す説明図である。

【図５】ミスコンバーゼンスＹｖのパターンの他の例を
示す説明図である。

【図６】本発明による陰極線管画像表示装置の第２の実
施例を示す偏向ヨーク垂直偏向コイル部の概略回路図で
ある。

【図７】本発明による陰極線管画像表示装置の第３の実
施例を示す偏向ヨーク垂直偏向コイル部の概略回路図で
ある。

【図８】本発明による陰極線管画像表示装置の第４の実
施例を示す偏向ヨーク垂直偏向コイル部の概略回路図で
ある。

【図９】ミスコンバーゼンスＹ_H のパターンの一例を示
す説明図である。

【図１０】ミスコンバーゼンスＹ_H のパターンの他の例
を示す説明図である。

【符号の説明】

１ 第１垂直偏向コイル ２ 第２垂直偏向コイル ３ 第１固定抵抗 ４ 第２固定抵抗 ５ 可変抵抗器 ６ 第１ＣＹコイル ７ 第２ＣＹコイル ８ 第１固定抵抗 ９ 第２固定抵抗 １０ 可変抵抗器

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ラッパ状をしたコアの内側に、一対のク
   ラ型の水平偏向コイルと、一対のクラ型もしくはトロイ
   ダル状に巻回され互いに直列に接続された垂直偏向コイ
   ルとが配置された偏向ヨークを備えた陰極線管画像表示
   装置において、 対向配置した第１垂直コイル半体に並列に接続される第
   １固定抵抗の抵抗値と、第２垂直コイル半体に並列に接
   続される第２固定抵抗の抵抗値とが互いに異なった値に
   設定されていることを特徴とする陰極線管画像表示装
   置。
2. 【請求項２】 ラッパ状をしたコアの内側に、一対のク
   ラ型の水平偏向コイルと、一対のクラ型もしくはトロイ
   ダル状に巻回され互いに直列に接続された垂直偏向コイ
   ルとが配置された偏向ヨークを備えた陰極線管画像表示
   装置において、 陰極線管の電子銃近傍もしくは周辺に設置させた４極あ
   るいは６極などの磁界を発生させる１組のコンバーゼン
   スヨークのそれぞれに抵抗値の異なった固定抵抗をそれ
   ぞれ互いに並列に接続させたことを特徴とする陰極線管
   画像表示装置。