JPH07218696A - 原子炉圧力容器の新替え方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 圧力容器の撤去から新替えに至る作業の簡素
化、工期の短縮化を達成することを可能とする。 【構成】 原子炉建屋躯体１内の格納容器２内に原子炉
遮蔽壁３で囲まれて収容された原子炉圧力容器４を新替
えするために圧力容器４を躯体１の上方に撤去するに際
し、上記遮蔽壁３を貫通して圧力容器４に接続される配
管８を圧力容器４と遮蔽壁３との間で切断して切り離
し、基礎１３上に据え付けられた圧力容器４の固定を解
除した後、圧力容器４を上方に開放された格納容器２お
よび躯体１外に吊り上げて撤去するようにしたことを特
徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は原子炉圧力容器を新替え
するために、原子炉圧力容器を撤去するに際し、特に圧
力容器の周辺の構造物に与える影響を少なくすることの
できる原子炉圧力容器の新替え方法に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】原子力発電所等においては原子炉建屋躯
体内に格納容器が収容され、その格納容器内には遮蔽壁
で囲まれた原子炉圧力容器が設置されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、原子炉も所
定耐用年数を経過すると廃炉となる。廃炉となった場
合、最も傷む原子炉圧力容器を撤去して新規な圧力容器
に新替えすることになるが、使用済みの圧力容器を撤去
する際、圧力容器の周辺の構造物をそのまま残せれば、
新替えに伴う撤去範囲も少なくなる。また、原子炉圧力
容器には各種配管が接続されると共にその配管も圧力容
器の周囲に狭い隙間を隔てて形成される遮蔽壁を貫通し
て配設されていることから、圧力容器の撤去から新替え
に至る工事の簡素化、工期の短縮化を考慮すると、圧力
容器の周囲の構造物に影響を与えないことが望まれる。

【０００４】本発明は上記事情を考慮して創案されたも
のである。本発明は圧力容器の撤去から新替えに至る工
事の簡素化、工期の短縮化を達成することのできる原子
炉圧力容器の新替え方法を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】第１の発明にあっては原
子炉建屋躯体内の格納容器内に原子炉遮蔽壁で囲まれて
収容された原子炉圧力容器を新替えするために圧力容器
を躯体外に撤去する方法において、上記遮蔽壁を貫通し
て圧力容器に接続される配管を遮蔽壁の内側の位置で切
断して切り離し、基礎上に据え付けられた圧力容器の固
定を解除した後、圧力容器を上方に開放された格納容器
および躯体外に吊り上げて撤去するようにしたものであ
る。

【０００６】また、第２の発明は原子炉建屋躯体内の格
納容器内に原子炉遮蔽壁で囲まれて収容された原子炉圧
力容器を新替えするために圧力容器を躯体外に撤去する
方法において、上記遮蔽壁を貫通して圧力容器に接続さ
れる配管を上記遮蔽壁の内側および外側の位置でそれぞ
れ切断して撤去すると共に格納容器から圧力容器に向け
て水平に延出されるバルクヘッドを格納容器側に一部を
残存させつつ遮蔽壁の外側の位置で切断して上方に開放
された圧力容器外に吊り上げ撤去し、基礎上に据え付ら
れた圧力容器および遮蔽壁の固定を解除した後、これら
圧力容器および遮蔽壁を上方に吊り上げて撤去するよう
にしたものである。

【０００７】

【作用】第１の発明においては遮蔽壁を貫通して圧力容
器に接続される配管が圧力容器を撤去するうえで障害と
なることから、配管を圧力容器とこれを覆う遮蔽壁との
間の位置で切断するようにしたものである。したがっ
て、遮蔽壁を残存させておいて圧力容器を撤去すること
を可能にしたものである。

【０００８】第２の発明においては圧力容器の撤去に伴
ってこれを覆う遮蔽壁を撤去するには遮蔽壁を貫通して
圧力容器に接続される配管および遮蔽壁の上方に格納容
器から水平に延出されるバルクヘッドが障害となる。こ
のため、配管を遮蔽壁の内側および外側の位置でそれぞ
れ切断すると共に、バルクヘッドを格納容器に一部を残
存させて遮蔽壁の外側の位置で切断して圧力容器から切
り離すようにしたものである。圧力容器および遮蔽壁を
撤去しても格納容器にはバルクヘッドの一部が残るた
め、新替え時においてその切断部に切り離されて撤去さ
れたバルクヘッドを取り付ければ、バルクヘッドの再利
用が可能となる。

【０００９】

【実施例】以下、本発明の一実施例を添付図面に基づい
て詳述する。

【００１０】図１および図２に示すように、原子力発電
所などの原子炉建屋躯体１内に原子炉格納容器２が収容
され、この原子炉格納容器２内には原子炉遮蔽壁３で覆
われた原子炉圧力容器４が格納されている。この原子炉
圧力容器４の使用が所定年数を経過して寿命に達する
と、新替えするために、その使用済みの原子炉圧力容器
４を躯体１外に撤去することになる。

【００１１】原子炉圧力容器４は金属製保温材５（５ａ
〜５ｅ）で被覆されており、原子炉圧力容器４とこれを
覆うように原子炉格納容器２から水平に延出されるリン
グ状のバルクヘッド６との間にはベローズ７が介設され
ている。また、原子炉圧力容器４には各種配管８（８ａ
〜８ｅ）が接続されていることから、撤去するためには
これら保温材５、ベローズ７および配管８を撤去処理す
ることになる。

【００１２】先ず、図２に示すように原子炉圧力容器４
を覆う金属製保温材５を撤去すると共に、図１に示すよ
うに、原子炉格納容器２から原子力圧力容器４を覆うよ
うに延出されるバルクヘッド６と原子炉格納容器４との
間のベローズ７を切断して撤去する。次いで、原子炉圧
力容器４に接続される各種配管８を撤去する。これらの
配管８は原子炉圧力容器４を覆う遮蔽壁３を貫通するエ
ルボ１１を介して原子炉圧力容器２に形成されたノズル
部１２に接続されていることから、圧力容器４と遮蔽壁
３との間のノズル部１２を溶断して原子炉圧力容器４か
ら切り離される。また、原子炉圧力容器４は基礎となる
ペデスタル１３上にボルト（図示せず）で固定されてい
るので、このボルトを除去すれば、ペデスタル上１３の
原子炉圧力容器４の固定を解除することができる。

【００１３】一方、図３に示すように、原子炉圧力容器
４の上方の躯体１には天井クレーン１４が設置されてお
り、この天井クレーン１４で原子炉格納容器２の上蓋１
５を吊り上げて格納容器２を上方に開放する。吊り上げ
られた上蓋１５は躯体１内に形成された平坦な載置部１
６に仮置される。また、躯体１の上部には開口部１７を
開閉するスライド式仕切板１８が設けられ、この仕切板
１８を移動させれば、躯体１の上部が開放されるので、
原子炉圧力容器４を大型クレーン１９で吊り上げて躯体
１外に撤去する。なお、原子炉圧力容器４を吊り上げる
際には躯体１の上部のビーム２１上で原子炉圧力容器４
をシート状仮設エアロック２２で覆って撤去することに
なる。

【００１４】原子炉圧力容器４の撤去が完了した後、新
規な原子炉圧力容器は大型クレーン１９で躯体１上に吊
り上げられて格納容器２内に搬入されることなる。

【００１５】このように原子炉圧力容器４に接続される
配管８を圧力容器４と遮蔽壁３との間で切断すれば、圧
力容器４を撤去しても溶接構造の格納容器２に影響を与
えることなく、遮蔽壁３および各種配管８を存置したま
まで原子炉圧力容器４を撤去することが可能であり、新
替え後においてはこれら遮蔽壁３および配管８は再利用
することができる。特に、遮蔽壁３は鋼製型枠にコンク
リートを充填してなるものであることから、遮蔽壁３を
残存させておけば、原子炉圧力容器４の撤去が容易とな
ると共に撤去期間も短縮できる。

【００１６】次に第２の発明について説明する。

【００１７】第２の発明においては原子炉圧力容器４の
撤去に伴いこれを覆う遮蔽壁３も撤去するようにしたも
のである。他の構造物との取り合いや薄肉の遮蔽壁を採
用する場合には原子炉圧力容器４の撤去と共に遮蔽壁４
を撤去することが要請される場合がある。

【００１８】そこで、図１および図２において、上記第
１の発明と同様に金属製保温材５を撤去すると共に遮蔽
壁３を貫通して原子炉圧力容器４に接続される各種配管
８を遮蔽壁３の内側および外側の位置でそれぞれ切断し
てエルボ（図中斜線部）１１を撤去する。また、原子炉
遮蔽壁３を覆うように原子炉格納容器２から水平に延出
されるバルクヘッド６が遮蔽壁３を上方に撤去するうえ
で障害となることから、図４に示すように、バルクヘッ
ド６と原子炉圧力容器４との間を切断撤去することにな
る。すなわち、バルクヘッド６にはベローズ７の上部が
取り付けられ、このベローズ７の下端部は原子炉圧力容
器４から水平に延出されるリング状の取合部２３に取り
付けられているため、ベローズ６の上部（図中Ａ）を切
断すると共に取合部２３を原子炉圧力容器４のフランジ
部２４の径内（図中Ｂ）で切断して撤去する。

【００１９】次いで、図３および図４に示すように、原
子炉格納容器２を上部の開放すべく、天井クレーン１４
で原子炉格納容器２の上蓋１５を吊り上げて躯体１に形
成された載置部１６に仮置し、バルクヘッド６に吊上げ
用ピース２５を取り付け、バルクヘッド６を吊上げ用ピ
ース２５を介して天井クレーン１４で保持しつつ、バル
クヘッド６を原子炉遮蔽壁３の外径外で切断する。この
切断によりバルクヘッド６は格納容器２に基端部２６を
残存させつつ切り離されて天井クレーン１４から吊り下
げられた状態となる。吊り下げられたバルクヘッド６は
天井クレーン１４で躯体１の載置部１６に仮置される。

【００２０】原子炉遮蔽壁３はベデスタル１３上にボル
ト（図示せず）で固定されているので、このボルトを取
り外して、原子炉遮蔽壁３の固定を解除する。

【００２１】この後、上記第１の発明と同様に原子炉圧
力容器４は大型クレーン１９で吊り上げてエアロック２
２で覆われて躯体１外に撤去することになるが、原子炉
遮蔽壁３は原子炉圧力容器４の撤去の後あるいは原子炉
圧力容器４と一体的に大型クレーン１９で撤去されるこ
とになる。

【００２２】原子炉圧力容器４および原子炉遮蔽壁３の
撤去後、新規な原子炉圧力容器およい遮蔽壁が大型クレ
ーン１９で格納容器２内に搬入されることになる。この
場合、載置部１６に仮置されていたバルクヘッド６は天
井クレーン１４で吊り上げられて格納容器２内に残され
た基端部２６に取り付けられて再利用される。

【００２３】このように第２の発明にあっては原子炉圧
力容器４の撤去に際し、原子炉遮蔽壁３を撤去しても、
遮蔽壁３を撤去するうえで障害となるバルクヘッド６を
格納容器２に一部を残存させつつ遮蔽壁３の外側の位置
で切断するので、溶接構造の格納容器２に与える影響が
なく、工事の簡素化、工期の短期化を達成できる。ま
た、新替え時においてはバルクヘッド６の再利用も可能
となる。

【００２４】

【発明の効果】以上要するに本発明によれば、次の如き
優れた効果を発揮する。

【００２５】(1) 請求項１においては原子炉圧力容器に
接続される配管を原子炉圧力容器とこれを覆う原子炉遮
蔽壁との間で切断するので、原子炉圧力容器を撤去して
も格納容器に与える影響が少なく、しかも遮蔽壁を残存
させておくことができるので、撤去作業の簡素化を図る
ことができる。

【００２６】(2) 請求項２においては格納容器から原子
炉圧力容器に延出されるバルクヘッドを格納容器側に一
部を残存させつつ遮蔽壁の外側の位置で切断撤去するの
で、圧力容器および遮蔽壁を撤去しても格納容器に与え
る影響がなく、工事の簡素化、工期の短期化を達成でき
ると共にバルクヘッドの再利用も可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】原子炉圧力容器の格納状態を示す断面図であ
る。

【図２】原子炉圧力容器の周辺構造を示す断面図であ
る。

【図３】原子炉圧力容器の撤去状態を示す断面図であ
る。

【図４】第２の発明を示すための説明図である。

【符号の説明】

１ 躯体 ２ 格納容器 ３ 原子炉遮蔽壁 ４ 原子炉圧力容器 ６ バルクヘッド ８ 配管 １３ 基礎となるペデスタル

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 原子炉建屋躯体内の格納容器内に原子炉
   遮蔽壁で囲まれて収容された原子炉圧力容器を新替えす
   るために圧力容器を躯体外に撤去する方法において、上
   記遮蔽壁を貫通して圧力容器に接続される配管を遮蔽壁
   の内側の位置で切断して切り離し、基礎上に据え付けら
   れた圧力容器の固定を解除した後、圧力容器を上方に開
   放された格納容器および躯体外に吊り上げて撤去するよ
   うにしたことを特徴とする原子炉圧力容器の新替え方
   法。
2. 【請求項２】 原子炉建屋躯体内の格納容器内に原子炉
   遮蔽壁で囲まれて収容された原子炉圧力容器を新替えす
   るために圧力容器を躯体外に撤去する方法において、上
   記遮蔽壁を貫通して圧力容器に接続される配管を上記遮
   蔽壁の内側および外側の位置でそれぞれ切断して撤去す
   ると共に、格納容器から圧力容器に向けて水平に延出さ
   れるバルクヘッドを格納容器側に一部を残存させつつ遮
   蔽壁の外側の位置で切断して上方に吊り上げ撤去し、基
   礎上に据え付られた圧力容器および遮蔽壁の固定を解除
   した後、これら圧力容器および遮蔽壁を上方に開放され
   た躯体外に吊り上げて撤去するようにしたことを特徴と
   する原子炉圧力容器の新替え方法。