JPH0721554Y2 - 石けん及び石けん類似物品の成形装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、石けん、粉末洗剤、浴剤、芳香剤等の石け
ん及び石けん類似物品を一定の形状に成形し、外面に所
望の凹凸模様を付与させるための成形装置に関する。

（従来の技術） 従来、石けん若しくは石けん類似物品を偏平な方形の立
方体形状に成形する場合、第16図に示すように、上下に
貫通した筒状の固定型枠（１）と上型（２）、下型
（３）の３つの型枠を用いて、棒状原材料から切断した
塊状の原料素材を固定型枠（１）内に投入し、上下型
（２）（３）で上下からプレスして所望の形状に成形す
る方法が一般的であり、例えば実公昭52−39093号公報
に開示されている。

しかしながら、かかる成形手段による場合、上下の型
（２）（３）に模様や文字等を設けて成形された石けん
の上面並びに下面に凹凸状の模様や文字を刻印すること
は可能であるが、石けんの側面に凹凸状の模様や文字を
形成すると、凹凸分だけ型枠内寸法より石けんが大きく
なり固定型枠から石けんを取り出すことが不可能となる
為、実際上石けんの側面に凹凸状の模様や文字を刻印す
ることが出来なかった。

このような製造上の制約により、模様や文字を石けんの
上面又は下面から側面へ、或は全面に亙って連続させる
ことが出来ず、石けんの装飾や広告・宣伝のためのデザ
インが制限される不便さがあった。

（考案が解決しようとする問題点） この考案は、従来の石けん及び石けん類似物品の成形に
見られた前記欠点を解消し、物品の隣接する複数の面、
或は全面に亙って同時に凹凸状の模様や文字を刻印する
ことが可能な成形装置を提供せんとするものである。

（問題点を解決するための手段） 上記問題点を解決するために、この考案が採った手段
は、閉じた状態で外周面かが円筒形状を成し水平方向に
開閉自在な複数の割型枠（14）の開閉方向と直交する上
下方向に移動する上下型（15）（16）と、割型枠（14）
の外周面に着脱自在に挿着され割型枠（14）を閉じた状
態に保持する円形の固定リング（17）と、径方向に対し
て傾斜して延びるカム孔（20）を有する回動リング（1
9）と割型枠（14）に固着されカム孔（20）に係入する
カムピン（21）とからなる割型枠（14）の開閉機構から
なり、割型枠（14）の内面並びに上下型（15）（16）に
連続する刻印パターン（18）を形成したことを特徴とす
る。

（作用） 円形の固定リングを外して割型枠を開閉機構により開放
し、石けん素材を投入する。投入後割型枠を回動リング
の回動によりカム孔でカムピンを作動させて割型枠を閉
じ、固定リングを外周面を円筒形とした割型枠に挿嵌し
て固定した後、上下型でプレスして石けんを成形し、凹
凸模様を刻印する。割型枠の開閉により割型枠内面に凹
凸模様パターンを形成してあっても、石けんの上下面か
ら側面に連続した凹凸模様の刻印が可能で、その取り出
しにも支障がない。

（考案の効果） この考案の成形装置によれば、石けん及び石けん類似物
品の成形に際して、従来不可能であった上面若しくは下
面から側面、或は全面に亙って連続した凹凸状模様を有
する石けん及び石けん類似物品を効率良く大量に製造す
ることが可能となる。

（実施例） 以下に図面を参照しつつ、この考案の好ましい実施例を
説明する。第１、２図はこの考案の成形装置によって成
形された石けん（10）を示し、石けん（10）の側面（1
1）から上面（12）にまたがって連続した凸模様（13）
が形成される。

第３〜８図を参照して、この考案に係る成形装置は、石
けんの側面を成形する割型枠（14）と上型（15）並びに
下型（16）の型部材と、割型枠（14）を閉じた状態に固
定する固定リング（17）並びに割型枠（14）を開閉する
開閉機構とからなる。割型枠（14）は図示の実施例にあ
っては、４個の型枠からなり内面に前記石けん（10）の
側面に形成された凹凸模様を形成するための刻印パター
ン（18）が刻設され、上型（15）、下型（16）のプレス
面にも同様に刻印パターン（18）が刻設される。

割型枠（14）の分割数は特に４個に限定されるものでは
なく、いくつに分割しても良い。割型枠（14）の外周面
は好ましくは円筒形に形成され、円形の固定リング（1
7）が挿嵌される。固定リング（17）の嵌挿により割型
枠（14）の外方への移動が阻止され、上下型によるプレ
ス時に圧力で緩んで来るのが防止される。

上下型（15）（16）は従来と同様にカラム等の上下動機
構に連結されており、割型枠（14）内に投入された石け
ん素材に所要のプレス圧を負荷することが出来る。

割型枠（14）を開閉する機構は、回動リング（19）と該
回動リング（19）に形成され径方向に対して傾斜して延
びるカム孔（20）と、該カム孔（20）に係入し割型枠
（14）に固着されたカムピン（21）からなり、回動リン
グ（19）を回動するとき、カム孔（20）とこれに係入し
たカムピン（21）との相対的移動により、各割型枠（1
4）が径方向に移動され、割型枠（14）の開閉が行われ
る。

各割型枠（14）は、径方向外方へ延び出すスライド板
（22）を有し、該スライド板（22）はスライドガイド
（23）に案内されており、このスライド板（22）に前記
ガイドピン（21）が植立されている。第８図に示すよう
に、回動リング（19）は、円周方向に延びるガイド孔
（24）に係入するガイドピン（25）によって円周方向の
移動が正確に案内されている。（26）は回動リング（1
9）を回転駆動するレバーであり、所要の駆動源に連結
される。

次に、第９〜15図を参照しつつ、この考案の成形装置に
よって石けんを成形する過程を説明する。

先ず固定リング（17）を外して割型枠（14）を開放した
状態で、下型（16）をセットした割型枠内に石けん素材
（27）をセットする（第９図）。次に、割型枠（14）を
閉じ固定リング（17）を挿着する（第10図）。しかる
後、上型（15）を下動させて素材（27）をプレスする
（第11、12図）。次に固定リング（17）を外し（第13
図）割型枠（14）を開放した後（第14図）、上型を上昇
させてから（第15図）、成形された石けん（10）を取り
出す。

割型枠（14）の開放により、割型枠（14）の内周寸法よ
り石けん（10）の外周寸法が大きくても支障なく石けん
（10）の取り出しが出来、第１、２図に示すように、石
けん（10）の底面、側面、上面に連続した凹凸模様（1
3）を形成することが出来る。

尚、以上の説明は石けんについて述べたが、これに限ら
れるものではなく粉末洗剤、浴剤、芳香剤等の石けん類
似物品を同様に成形可能であることは当業者に容易に理
解されるであろう。また、割型枠（14）を開閉する機構
は、図示の構造に限られるものではなく、同様の目的を
達し得る他の機構を用いても良いことは勿論である。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案によって形成した石けんの斜視図、第
２図は第１図II−II線に沿った断面図、第３〜５図は要
部の分解斜視図、第６図は平面図、第７図は第６図VII
−VII線に沿った断面図、第８図は開閉機構の詳細を示
す一部の斜視図、第９〜15図はこの考案による成形過程
を示す断面図、第16図は従来の成形型を示す斜視図であ
る。 （10）…石けん、（11）…側面 （12）…上面、（13）…模様 （14）…割型枠、（15）…上型 （16）…下型、（17）…固定リング （18）…刻印パターン、（19）…回動リング （20）…カム孔、（21）…カムピン （22）…スライド板、（23）…スライドガイド （24）…ガイド孔、（25）…ガイドピン （26）…レバー、（27）…石けん素材

フロントページの続き (72)考案者 寺前 肇 大阪府茨木市三島丘１丁目５番13号 資生 堂ホネケーキ工業株式会社内 (72)考案者 亀川 徳彦 大阪府茨木市三島丘１丁目５番13号 資生 堂ホネケーキ工業株式会社内 (72)考案者 浜地 協 大阪府茨木市三島丘１丁目５番13号 資生 堂ホネケーキ工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭59−38300（ＪＰ，Ａ) 特開 昭49−34553（ＪＰ，Ａ)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】閉じた状態で外周面が円筒形状を成し水平
   方向に開閉自在な複数の割型枠（14）と、該割型枠（1
   4）と協働して、割型枠（14）の開閉方向と直交する上
   下方向に移動する上下型（15）（16）と、割型枠（14）
   の外周面に着脱自在に挿着され割型枠（14）を閉じた状
   態に保持する円形の固定リング（17）と、径方向に対し
   て傾斜して延びる複数のカム孔（20）を有する回動リン
   グ（19）と割型枠（14）に固着されカム孔（20）に係入
   するカムピン（21）とからなる割型枠（14）の開閉機構
   とからなり、割型枠（14）の内面並びに上下型（15）
   （16）に連続する刻印パターン（18）を形成したことを
   特徴とする石けん及び石けん類似物品の成形装置。