JPH07188620A - 表面保護フィルム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 初期粘着力、再剥離性に優れ、また、長期間
屋外に放置しても、被着体の表面を汚染することのない
表面保護フィルムの提供。 【構成】 ポリオレフィン系樹脂１００重量部に酸化チ
タン１０〜３０重量部及び紫外線吸収剤０．１〜５重量
部を配合し製膜してなるポリオレフィン系樹脂基材層の
片面に、粘着剤層が形成されてなることを特徴とする表
面保護フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、塗装を施した鋼板、合
成樹脂成形品、あるいは、自動車等の汚染防止及び外傷
防止の目的に使用する表面保護フィルムに関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】従来より、塗装を施した鋼板、ステンレ
ス板、アルミサッシ板、機械部品、金属製家庭用品、合
成樹脂成形品等の汚染や外傷を防止する為に（１）ポリ
エステル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂等の
基材に再剥離性を有するゴム系、アクリル系等の粘着剤
を塗布した積層体や、（２）ポリオレフィン系樹脂に酸
化チタン等の無機系微粒子を０．１〜１０重量％添加し
て波長３００〜３６０ｎｍの紫外線透過率を１０％以下
にしたポリオレフィン系樹脂フィルムに感圧性粘着剤を
塗布してなる表面保護用粘着テープ（特開平４−１５３
２８７）等が提案されている。

【０００３】しかし、塗装鋼板、合成樹脂成形品及び輸
出用自動車等は需要者の手にわたるまでに、屋外に数ケ
月〜１年にわたって一時保管される場合があり、このよ
うな場合には、（１）のような積層体を表面保護フィル
ムとして使用すると、一時保管の間に密着した部分とそ
うでない部分（気泡の入った部分）とで、塗面状態に差
が生じ、表面保護フィルムを剥がした後に光沢の異なる
模様となって現れるという問題を有している。又、
（２）の粘着テープを使用した場合には、紫外線および
可視光線の遮蔽が不十分で、粘着剤の熱劣化等がおこ
り、粘着テープを剥離した後の被着体の塗装表面に粘着
剤が糊残りするという問題があった。この（２）の場
合、無機系微粒子の添加量を増せば紫外線等の遮蔽性は
改善されるが、逆に微粒子が表面にブリードすることに
よる汚染等の新たな問題を生ずる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】屋外に長期間放置され
ても、基材および粘着剤の劣化がなく、被着体の塗装表
面に影響を及ぼすこともなく、また、配合剤がブリード
アウトすることもない表面保護フィルムの提供。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明者等は、ポリオレ
フィン系樹脂に特定量の酸化チタンおよび紫外線吸収剤
を配合することにより、上記課題を解決できることを見
出し、本発明を完成した。即ち、本発明の要旨とすると
ころは、ポリオレフィン系樹脂１００重量部に酸化チタ
ン１０〜３０重量部及び紫外線吸収剤０．１〜５重量部
を配合し製膜してなるポリオレフィン系樹脂基材層の片
面に、粘着剤層が形成されてなることを特徴とする表面
保護フィルム、に存する。

【０００６】以下、本発明について詳述する。本発明に
おいて用いられるポリオレフィン系樹脂としては、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン・ポリプロピ
レンブロックコポリマー、エチレン・酢酸ビニル共重合
体またはこれらの混合物等が挙げられる。酸化チタンと
しては、ルチル型酸化チタンがそれ自体の耐候性がよい
ので好ましく、酸化チタンは、ポリオレフィン系樹脂１
００重量部に対して１０〜３０重量部好ましくは１０〜
２０重量部配合する。酸化チタンが１０重量部より少な
いと、紫外線及び／または可視光線の遮蔽が十分でな
く、粘着剤の劣化がおこり、表面保護フィルム（以下、
「フィルム」という）の再剥離性、フィルム剥離後の塗
装表面汚染防止性が劣り、３０重量部より多いと酸化チ
タンがブリードアウトし、フィルムの初期粘着力が低下
し、また、剥離後の塗装表面汚染防止性も劣る。

【０００７】紫外線吸収剤としては、波長２９０〜３８
０ｎｍに吸収極大のあるものであればいずれでもよく、
従来公知の紫外線吸収剤、例えば、２−ヒドロキシ−４
−メトキシベンゾフェノン、２−ヒドロキシ−４−ｎ−
オクチルオキシベンゾフェノン、２−ヒドロキシ−４−
ｎ−ドデシルオキシベンゾフェノン、２，２’，４，
４’−テトラヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェ
ノン系紫外線吸収剤；２−（２’−ヒドロキシ−３’−
メチルフェニル）ベンゾトリアゾール、２−（２’−ヒ
ドロキシ−３’−ｔｅｒｔ−ブチルフェニル）ベンゾト
リアゾール、２−（２’−ヒドロキシ−３’，５’−ジ
−ｔｅｒｔ−ブチルフェニル）−５−クロロベンゾトリ
アゾール、２−（２’−ヒドロキシ−３’−ｔｅｒｔ−
ブチル−５’−メチルフェニル）−５−クロロベンゾト
リアゾール、２−（２’−ヒドロキシ−３’−メチルフ
ェニル）−５−ブトキシカルボニルベンゾトリアゾール
等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤；フェニルサリ
シレート、ｐ−ｔｅｒｔ−ブチルフェニルサリシレー
ト、ｐ−メチルフェニルサリシレート、ｐ−オクチルフ
ェニルサリシレート等のサリチル酸エステル系紫外線吸
収剤等が挙げられるが、ポリオレフィン系樹脂と相溶性
が良く塗装鋼板等への汚染性が少ないという点からベン
ゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましい。紫外線吸収剤
は、ポリオレフィン系樹脂１００重量部に対して０．１
〜５重量部好ましくは０．２〜３重量部配合する。

【０００８】紫外線吸収剤が０．１重量部より少ない場
合には紫外線の遮蔽が十分でなく、粘着剤の劣化等が起
こり、フィルムの再剥離性、剥離後の塗装表面汚染防止
性が劣る。また５重量部より多いと紫外線吸収剤がブリ
ードアウトする恐れがある。酸化チタンと紫外線吸収剤
の両者あるいは片方が配合されていなかったり、所定の
配合量に満たなかった場合、耐候性が十分でなくなり、
屋外使用後表面保護フィルムを剥がした際、劣化した粘
着剤が塗装鋼板等に残る恐れがある。また、所定の配合
量を超えた場合、フィルムを剥がした際、塗装鋼板等が
汚染されていて、光沢が落ちるという問題がある。

【０００９】ポリオレフィン系樹脂に上記した酸化チタ
ン及び紫外線吸収剤を配合した後、従来公知の方法、例
えばＴダイ及びインフレーション装置等の通常使用され
る押出し機により成膜し、ポリオレフィン系樹脂基材層
（以下、「基材層」という）とする。基材層の厚さは、
配合物、用途に応じて適宜決めればよいが、通常２０〜
１５０μｍ程度とする。厚さが２０μｍ未満では外傷に
対する抵抗力に劣る場合があり、また、１５０μｍを超
えるとラッピング性に劣る場合や、経済性にも劣る場合
があるので好ましくない。

【００１０】本発明の基材層の光線透過率は、紫外部
（３００〜３６０ｎｍ）の透過率が５％以下となるもの
であり、好ましくは２％以下、特に好ましくは１％以下
となるのが良く、また、可視部（４００〜７００ｎｍ）
の透過率は５０％以下となるものであり、好ましくは３
０％以下、更に好ましくは２０％以下が良い。

【００１１】本発明において用いる粘着剤としては、再
剥離性がよく、糊残りもしにくいという点で、ゴム系粘
着剤が好ましく、天然ゴム系、合成ゴム系糊着剤が使用
できる。合成ゴム系粘着剤としては、イソブチレン−イ
ソプレン共重合体やポリイソブチレンよりなる粘着剤が
挙げられる。基材層に粘着剤層を形成するには、粘着剤
をトルエン等の可溶な溶剤液に溶解させた塗布液を、リ
バースコート法等の通常の方法により基材層上に塗布
し、乾燥すればよい。また、本発明の目的を損なわない
範囲内で、基材層及び／又は粘着剤層に公知の酸化防止
剤、光安定剤、ブロッキング防止剤、滑剤等の添加剤を
配合することができる。

【００１２】

【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明
するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の例に
限定されるものではない。

【００１３】実施例１ ポリプロピレン（三菱化成（株）製、ＰＦ３４１）１０
０重量部に酸化チタン（石原産業（株）製、Ｒ−８３
０）１５重量部、紫外線吸収剤（ベンゾフェノン系、ア
メリカンシアナミド社製、ＵＶ−５３１）１重量部を配
合してなる樹脂組成物をＴダイ法にて厚さ５０μｍのフ
ィルムになるように成膜し、基材層フィルムとした。こ
の基材層フィルムにブチルゴム粘着剤（エクソン化学
（株）製、ＩＩＲ：１００重量部、ビスタネックスＬ
Ｍ：５０重量部、トルエン４５０重量部からなる）をリ
バースコート法により、乾燥後１０μｍ厚になるように
塗布し、表面保護フィルムを得た。

【００１４】実施例２ ポリプロピレン（ＰＦ３４１）９０重量部、低密度ポリ
エチレン（三菱化成（株）製、Ｆ１４１）１０重量部に
酸化チタン（Ｒ−８３０）１８重量部、紫外線吸収剤
（ＵＶ−５３１）０．６重量部を配合してなる樹脂組成
物をＴダイ法にて厚さ４０μｍのフィルムになるように
成膜し、基材層フィルムとした。この基材層フィルムに
ポリイソブチレン粘着剤（トーネックス社製、ＬＭ−Ｍ
Ｈ−ＬＣ：１００重量部とエクソン化学（株）製、ビス
タネックスＬＭ：５０重量部、トルエン４５０重量部か
らなる）をリバースコート法により、乾燥後１５μｍ厚
になるように塗布し、表面保護フィルムを得た。

【００１５】比較例１〜６ 実施例１において、酸化チタン（Ｒ−８３０）と紫外線
吸収剤（ＵＶ−５３１）を表−１に示した配合量とする
以外は実施例１と同様にして、表面保護フィルムを得
た。

【００１６】比較例７ 実施例１と同様にして基材層フィルムを成膜し、これに
アクリル系粘着剤（綜研化学社製、ＳＫダイン１４９１
Ｈ）を乾燥後１０μｍ厚になるように塗布し、表面保護
フィルムを得た。

【００１７】上記実施例および比較例で得た基材層フィ
ルムの（平均）光線透過率を測定し、表面保護フィルム
については初期粘着力、再剥離性及び剥離後の塗装表面
汚染防止性を評価し、結果を表−２に示した。なお、評
価方法は以下の通りである。 （１）初期粘着力 塗装鋼板（塗料；アクリル−メラミン樹脂）に、得られ
た表面保護フィルムを貼り付け、ＪＩＳ Ｋ６８５４に
準じ１８０°剥離強度にて評価した。 （２）再剥離性及び剥離後の塗装表面汚染防止性 表面保護フィルムを塗装鋼板に貼り付け、屋外に６ケ月
間さらした後、フィルムを剥がし、その時の再剥離性及
び塗装表面への汚染防止性を評価した。評価基準は次の
通りである。

【００１８】再剥離性 ○・・・良好（粘着剤残りなし） △・・・わずかに粘着剤残り有り ×・・・粘着剤残り大 塗装表面汚染防止性 ○・・・良好（外観変化なし） △・・・微少な外観変化有り ×・・・著しい外観変化有り −・・・粘着剤残りのため評価できず

【００１９】

【発明の効果】本発明の表面保護フィルムは、初期粘着
力、再剥離性に優れ、また、長期間屋外に放置されて
も、被着体の塗装表面を汚染することなく、塗装を施し
た鋼板、合成樹脂成形品、あるいは自動車等の表面保護
フィルムとして極めて有用である

【００２０】

【表１】

【００２１】

【表２】

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｂ３２Ｂ 27/32 Ｚ 8115−4Ｆ // Ｃ０８Ｋ 3/22 Ｃ０８Ｌ 23/02 ＫＥＣ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ポリオレフィン系樹脂１００重量部に酸
   化チタン１０〜３０重量部及び紫外線吸収剤０．１〜５
   重量部を配合し製膜してなるポリオレフィン系樹脂基材
   層の片面に、粘着剤層が形成されてなることを特徴とす
   る表面保護フィルム。
2. 【請求項２】 粘着剤がゴム系粘着剤である請求項１記
   載の表面保護フィルム。