JPH07187221A - 多層・多機能包装材料とその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 水や液体物質に対する高い吸収活性および酸素と二酸化
炭素のような気体に対するバリヤー性を有する多層包装
材料が、多層・多機能ポリマー系を熱成形することによ
って製造される。この多層包装材料は、内側多孔質層、
中間吸収層、および気体に対して高いバリヤー性を有す
る外側層で構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、熱成形された多層・
多機能の包装材料およびその製造方法に関する。詳しく
はこの発明は、液体の水性物質に対する高い吸収活性
と、酸素と二酸化炭素のような気体に対するバリヤー性
とを有し、多層・多機能のポリマー系を熱成形すること
によって製造される包装材料に関する。さらに、この発
明は上記の熱成形された包装材料の製造方法に関する。
詳しくは、接着剤および溶剤に分散された結合剤を使用
しない製造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】現在、従来の製品は通常、同時押出もし
くは吹込成形された熱可塑性シートを出発原料として熱
成形する方法で得ることができる。そして、これらの製
品は液体や水性物質を吸収する活性はほとんどなく、他
の方法によって、吸収層が包装中に導入されている。上
記の吸収層は、通常、高い液体吸収性を有するセルロー
ス繊維製であり、ときには、貫通孔を有するプラスチッ
ク材料製の薄い不透過性の液排出層を結合させることも
ある。

【０００３】しかし、上記の包装系にはいくつかの欠点
がある。その１つは、再生使用するということがほとん
どないことである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】この発明によれば、気体
に対して高いバリヤー性を有する外側層に中間吸収層と
多孔質の内側層を結合させてなり、気体に対する高いバ
リヤー性と水および液体物質に対し高い吸収性が賦与さ
れたことを特徴とする熱成形された熱可塑性材料製の多
層・多機能な包装材料を提供する。とくに、中間吸収層
が、アクリル樹脂類、メタクリル樹脂類、ポリプロピレ
ン、発泡ポリプロピレン、ポリプロピレン繊維、および
発泡ポリプロピレン繊維からなる群から選択された熱可
塑性ポリマー材料製であることが望ましく、外側層が、
包装材料の製造に用いられる他のポリマーと相容性であ
る１つ以上の熱可塑性ポリマー製のシートまたは集成体
であり、０．２〜５mmの範囲の平均厚みを有することが
望ましい。

【０００５】ここで、本願の明細書と特許請求の範囲に
用いられる熱成形されたという用語は、包装分野の、特
にコンテナ類、カバー類、例えば食肉、野菜類、果物も
しくはチーズを包装するトレイもしくは箱のような“食
品グレード”のパネルなどに用いられる材料であって構
成的もしくは構造的でないもの、硬質もしくは可撓性の
もの、円形もしくは多角形のものいずれも意味する。

【０００６】この発明では、コンテナの底部と、包装食
料製品と接触する多孔質の液排出層との間に吸収層が導
入される。食料製品から出る液体は、上記多孔質層を通
過して、下に横たわる吸収層によって一様に吸収される
ので、繊維の残留液はなくなる。この発明の多層・多機
能包装材料は、水や液体物質に対する高い吸収性と、酸
素と二酸化炭素のような気体に対する高い不透過性の両
方を有する。

【０００７】この発明の包装材料の製造方法は、単独の
層を結合するのに接着剤および溶媒に分散させた結合剤
を使用せず、また包装中に吸収層を導入しなくてもよ
い。この発明の包装材料の製造方法は、伝統的なセルロ
ース繊維層の製造装置と比べて、コンテナの生産性と再
生利用が高い。さらにその多層包装材料は、吸収層と液
排出層で構成された二層体を高いバリヤー性を有する多
重層と熱結合することによる独得の（インライン式）方
法で製造することができる。

【０００８】この発明の包装材料の再生利用性が優れて
いるのは、熱可塑性材料を使っているので、化学的に高
度に適合性があり、その製造時のスクラップと使用後の
残留物を再利用することができるからである。逆に、セ
ルロース繊維層を使用した場合、その使用材料が、異種
類のものであるためにその再生利用は非常に困難であ
る。この発明の、熱成形された熱可塑性材料製の多層・
多機能の包装材料は、気体に対する高いバリヤー性と水
や液体物質に対する高い吸収性を有し、気体に対する高
いバリヤー性を有する外側層および内側の多孔質層に結
合された中間の吸収層で構成されている。吸収性熱可塑
性層は、適切な発泡形態のものおよび／またはニードル
パンチ不織布のような繊維質のもので吸収性を付与され
た成形シートで構成されていてもよい。いずれの熱可塑
性ポリマーもこの吸収層用に使用するのに適している。
好ましいポリマーは、アクリルおよび／またはメタクリ
ル樹脂、ポリプロピレン、耐衝撃性ポリプロピレンおよ
びその誘導体である。

【０００９】外側層については、熱可塑性ポリマー製で
あることを除いて特別の制限はない。このポリマーの例
としては、ポリスチロール、耐衝撃性ポリスチロール、
ＡＢＳ、ＳＡＮなどのようなスチレンのポリマーアロ
イ、ポリ塩化ビニル、高密度、中密度および低密度のポ
リエチレン、ポリプロピレン、耐衝撃性ポリプロピレ
ン、結晶性コポリマー類、エチレン／プロピレンコポリ
マー類、アクリルおよび／またはメタクリル樹脂、ポリ
メタクリレート類、ＰＥＴ、ＰＢＴのようなポリエステ
ル樹脂などがある。好ましいポリマーは、ポリスチロー
ル、耐衝撃性ポリスチロール、スチレンのポリマーアロ
イ類、ポリプロピレンおよび耐衝撃性ポリプロピレンで
ある。液排出用の内側の薄い高多孔質層については、い
ずれの熱可塑性ポリマーでも製造することができる。

【００１０】さらに、（ａ）気体に対して高いバリヤー
性を有する熱可塑性材料製の外側層の上に、水や液体物
質に対して高い吸収活性を有する熱可塑性材料製の中間
層を結合させ、（ｂ）前記中間層の上に、液排出のため
の熱可塑性材料製の内側多孔質層を結合させて熱可塑性
多重層を得て、（ｃ）前記熱可塑性多重層をその軟化点
と同じかもしくはわずかに高い温度で加熱し、（ｄ）前
記熱可塑性多重層を通常の方法によって熱成形する、工
程からなる熱成形された包装材料の製造方法に関する。
ここで、前記熱可塑性多重層の平均厚みは０．２〜５mm
の範囲であり、工程（ｃ）の温度が１００℃より高く、
さらに、１２０〜２００℃の範囲であることがより好ま
しい。

【００１１】この熱成形法において、製造された包装材
料のリムは、食料製品が一旦包装されてから、気体に対
して高いバリヤー性を有する別の薄いフィルムを食品の
上に置いてリムに対して熱成形できるように、適切に仕
上げ処理をしなければならない。熱成形を行うために、
上記の多層熱可塑性シートは、０．２〜５mmの範囲の平
均厚を有し、公知の方法、例えば赤外線照射法または電
気加熱板によってその軟化点に近い温度に加熱される。
前記温度の選択は、使用されるポリマーによってきま
り、一般に１００℃により高く、１２０〜２００℃の範
囲が好ましい。

【００１２】前記の多層熱可塑性シートの熱成形は各種
の従来の方法で行うことができる。例えばそのシートの
圧伸比が低い場合、またはこのシートの成形に寄与する
カウンターモールドを用いることができる場合にはモー
ルドに減圧をかけることができる。

【００１３】この発明の方法は、図面とこの発明の詳細
な説明から明らかであろう。中間吸収層２が、高いバリ
ヤー性を有する外側層３および高多孔質の薄い内側層１
と結合させて多重層が得られ、次いで熱成形される。

【００１４】

【実施例】

実施例１ イタリアのモプレファン社製の供試プロピレン フェル
トは約220g/dm²で約４mmの厚さであり、これを３本カレ
ンダーを通過させることで、約35μｍのポリプロピレン
フィルム上に、水および液体物質を高吸収させる力を
賦与した。このポリプロピレン フィルムはキャスト押
出し工程における高温ニードルの機械的な作用による微
細穿孔によって、十分ポーラスになっている。この実施
例に使われるフィルムは１インチあたり36の微細穿孔さ
れ、その直径は約400μｍである。微細穿孔フィルムは
ハイファックス7036であり、ポリプロピレンはハイモン
ト社製のものである。この微細穿孔フィルムとポリプロ
ピレンを結合する方法は３本カレンダー によって行わ
れる。

【００１５】詳しくは接着はカレンダー の下部通路で
行われ、約25℃の室温で実施される。中部のカレンダー
は約135℃に加熱される。この吸収フェルトと微細穿孔
フィルムの２重層は水および液体物質の通過を妨害する
能力がある。この多重層上の防御層の形成は共押出し工
程で多重層を製造することからできる。さらに詳しく
は、ａ）ハイモント社製のモプレン EP2530B(ランダム
ポリプロピレン) とb)クラレンＲ−20 EVOH(エチレン−
ビニル アルコール共重合体) およびc)ポリオレフィン
接着剤ポリマーがコリンズ社製の共押出し工程、即ち、
クロレン社製３本押出しシステムにより製造された。こ
の多重層シートはPP/ 接着剤/EVOH/接着剤/PP からな
り、その厚さは各350/15/25/15/350μｍであり、200℃
に熱せられた1000×1.0mmの矩形スリットのヘッドより
押出され、このシートを冷却するため、3 本カレンダー
システム に搬送される。この冷却工程の前に、フェル
ト/ 微細穿孔フィルムの２重層は、３本カレンダーシステム
に導入されることで、多重層シートと接着される。接着
はシート上のフェルト外層を溶融することでなされる。
吸収ポリプロピレンフェルトの過剰な溶融を避けるた
め、接触時間は短い。高温でのこの接触時間を調整をす
る最も通常の方法は、このシートの冷却速度を決めてい
る3 本カレンダー の温度を制御することを基にしてい
る。3 本カレンダー の温度は次の条件、即ち、下シリ
ンダーは約60℃、中シリンダーは約80℃、上シリンダー
は約60℃である。押出し工程の終了すると、気体不透
過のシートを含む多重層と吸収フェルトと微細穿孔フィ
ルムはボビンに巻かれる。

【００１６】多重層シートの成形は非連続、実験室成形
機VEM(550×450mm)を使用し、大きさ235 ×175mm 、深
さ40mmのトレイモールドによって行われた。このトレイ
の計算容量は1,650cm³であった。多重層の加熱は高気体
不透過層(トレイの外層) のあるシート側からのみ行わ
れ、350 ℃の赤外線放射パネルによって、シートから約
15cmの距離から行われた。層は約145℃で25秒加熱さ
れ、カウンターモールドを使用して成形され、モールド
中の穴から脱気された。切断後、図１に外形を示した熱
成形トレイは吸収力と透過性がテストされた。結果は次
のとおりである。

【００１７】

【表１】

【００１８】

【発明の効果】この発明によれば、包装材料が液体の水
性物質に対する高い吸収活性と、酸素と二酸化炭素のよ
うな気体に対するバリヤー性とを有するため、製品とし
ての有用性が優れる。さらに、この発明は上記の熱成形
された包装材料の製造方法であり、詳しくは、接着剤お
よび溶剤に分散された結合剤を使用しない製造方法であ
るため、公害等の環境問題を提起しない方法である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の熱成形包装品の製造を表す工程の断面
模式図である。

【符号の説明】

１ 高多孔質の薄い内側層 ２ 中間吸収層 ３ 高いバリヤー性を有する外側層

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 アッニバレ ヴェッゾリ イタリア国 コモ，カルゴ， 22060 ピ アベ ヴィァ １／Ａ, (72)発明者 ギアンルイギ ベストルッチ イタリア国 ミラン， 20154 カステル ベルト ヴィァ 33,

Claims (9)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 気体に対して高いバリヤー性を有する外
   側層に中間吸収層と多孔質の内側層を結合させてなり、
   気体に対する高いバリヤー性と水および液体物質に対し
   高い吸収性が賦与されたことを特徴とする熱成形された
   熱可塑性材料製の多層・多機能な包装材料。
2. 【請求項２】 中間吸収層が、アクリル樹脂類、メタク
   リル樹脂類、ポリプロピレン、発泡ポリプロピレン、ポ
   リプロピレン繊維、および発泡ポリプロピレン繊維から
   なる群から選択された熱可塑性ポリマー材料製である請
   求項１記載の包装材料。
3. 【請求項３】 外側層が、包装材料の製造に用いられる
   他のポリマーと相容性である１つ以上の熱可塑性ポリマ
   ー製のシートまたは集成体である請求項１記載の包装材
   料。
4. 【請求項４】 外側層が０．２〜５mmの範囲の平均厚み
   を有する請求項１記載の包装材料。
5. 【請求項５】 熱成形された形体が食肉、野菜類、果物
   またはチーズを包装するトレイまたは箱の形体を有する
   請求項１記載の包装材料。
6. 【請求項６】 （ａ）気体に対して高いバリヤー性を有
   する熱可塑性材料製の外側層の上に、水や液体物質に対
   して高い吸収活性を有する熱可塑性材料製の中間層を結
   合させ、 （ｂ）前記中間層の上に、液排出のための熱可塑性材料
   製の内側多孔質層を結合させて熱可塑性多重層を得て、 （ｃ）前記熱可塑性多重層をその軟化点と同じかもしく
   はわずかに高い温度で加熱し、 （ｄ）前記熱可塑性多重層を通常の方法によって熱成形
   する、工程からなる熱成形された包装材料の製造方法。
7. 【請求項７】 熱可塑性多重層の平均厚みが０．２〜５
   mmの範囲である請求項６記載の方法。
8. 【請求項８】 工程（ｃ）の温度が１００℃より高い請
   求項６記載の方法。
9. 【請求項９】 前記温度が１２０〜２００℃の範囲内に
   ある請求項８記載の方法。