JPH07186156A - 合成樹脂材等の成型用金型 - Google Patents

合成樹脂材等の成型用金型

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JPH07186156A
JPH07186156A JP33340593A JP33340593A JPH07186156A JP H07186156 A JPH07186156 A JP H07186156A JP 33340593 A JP33340593 A JP 33340593A JP 33340593 A JP33340593 A JP 33340593A JP H07186156 A JPH07186156 A JP H07186156A
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JP
Japan
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mold
plating
particles
fluororesin
fluororesin particles
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JP33340593A
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English (en)
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Naoki Matsubara
直樹 松原
Yoichi Sugiyama
洋一 杉山
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Mitsui Engineering and Shipbuilding Co Ltd
Original Assignee
Mitsui Engineering and Shipbuilding Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目 的】 無電解分散メッキ法による被膜を用いて離
型性、撥水・撥油性、潤滑性等を改善した被膜を有する
成型用金型を提供する。 【構 成】 特徴的な形状、寸法を持つフッ素樹脂粒子
を分散させたメッキ浴に金型基材を浸漬し、無電解メッ
キすることにより前記金型基材の表面に前記フッ素樹脂
粒子を共析させたことを特徴とする合成樹脂材等の成型
用金型。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は合成樹脂材等の成型用金
型、より詳しくはシリコンゴム,ウレタン,エポキシ,
ABS等の合成樹脂材等の成型に用いられる成型用金型
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、シリコンゴム,ウレタン,エポキ
シ,ABS等の合成樹脂材を成型する場合に使用される
金型の表面には一般的に硬質なクロムメッキが施されて
いる。この硬質クロムメッキは、皮膜硬度が高く、耐摩
耗性に優れている反面、コストが高くなるばかりでなく
形状によっては均一電着性に劣り、成型製品の成型製品
の精度が低いという問題がある。また、離型性に乏し
く、そのため毎日離型剤を塗布する必要があり、作業効
率の低下や製品への悪影響がある上に、離型剤中に含ま
れるフロンによるオゾン層の破壊なども問題などもあっ
た。
【0003】このような背景から離型性を向上させ、か
つ作業効率を向上させる方法としてフッ素樹脂系離型剤
を用いて金型表面に被膜を形成することが考えられ、そ
の被膜形成方法としてフッ素樹脂系の離型剤を均一に塗
装し焼き付ける方法、あるいは平均粒径1μm以下のフ
ッ素樹脂系の微粒子を分散させたメッキ浴を用いた分散
メッキ法等が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで前記フッ素樹
脂系の離型剤の塗装、焼き付ける方法においては離型性
は改善するものの耐久性に問題がある。即ち、数十ショ
ット程度の成型で離型不良となり生産性が低下すること
となっている。一方、後者の分散メッキ法による場合に
おいても前者に比し多少耐久性は向上するものの数百シ
ョット程度で離型性不良となり実用に供することができ
ないという問題があった。
【0005】
【課題をを解決するための手段】本発明は前記従来技術
の問題点を解決するためになされたものであって、フッ
素樹脂粒子を分散させたメッキ浴に基材を浸漬し、無電
解メッキすることにより前記基材の表面に前記フッ素樹
脂粒子を共析させた合成樹脂材等の成型用金型を提供せ
んとするものである。
【0006】そしてフッ素樹脂粒子としては分子量80
00〜2万で、かつメジアン径1〜30μmの非球形、
好ましくは短繊維形状が用いられその分散量は50g/
リットル〜500g/リットルとなるよう調整される。
【0007】
【作 用】前記構成の合成樹脂材等の成型用金型によれ
ば、被膜上に突起するフッ素樹脂粒子はメッキ金属によ
って十分強固に固定されるため長期間にわたり離型性が
保持される。
【0008】
【実 施 例】本発明で用いられる無電解メッキ液とし
ては、好ましくは無電解ニッケルメッキ浴が使用できる
が、その他無電解銅メッキ液、無電解錫メッキ液等、無
電解複合メッキ可能なものであれば特に限定されないこ
とは言うまでもない。又、金型基材としては特に限定さ
れず、鉄鋼、銅、ステンレス鋼,アルミニウム、マグネ
シウム、鋳鉄、亜鉛及びこれら金属の合金、及び触媒付
与された樹脂、セラミックス等が使用できる。
【0009】本発明において用いられるフッ素樹脂粒子
にはポリテトラフルオロエチレン粒子が好適に使用され
るが、フッ素原子を表面に持つ樹脂の粒子であれば特に
限定されないことは言うまでもない。又、高密度に共析
させるための条件として、フッ素樹脂粒子の分子量は高
分子としての8000〜20万の範囲がよく、特に1万
〜5万のものが好適に使用される。
【0010】又、フッ素樹脂粒子のメジアン径は1μm
〜30μmである必要があり、特に1μm〜10μmの
ものが好適に使用される。又、フッ素樹脂粒子の形状は
非球形の不定形状であるか、円柱状である必要はないに
しても短繊維状のやや細長い形状であることが好まし
く、共析時の各粒子は各粒子を覆う界面活性剤の極性の
作用で相互に反発しながら表面へ引きつけられることに
なり、その結果、粒子は表面に対して植毛されたように
立った状態で被膜に取り込まれていくことになる。
【0011】その結果、粒子は高密度に共析させられる
ことになり、マトリックス金属への密着性が向上する
上、後述の熱処理による流動性を持つ部分が表面に多く
なり、表面の樹脂層が厚くなるため耐久性が向上する等
の効果を持つことになるので、非球形、特に短繊維状の
粒子形状であることは重要である。本発明において無電
解メッキ浴へのフッ素樹脂粒子の添加量は、液1リット
ル当たり50g以上の量で分散させる必要があり、特
に、100g/リットル以上の条件で著しくその離型
性、撥水・撥油性等の効果が大きくなる。ただし、添加
量はあまり多過ぎてもそれほど効果は増大せず、コスト
やメッキ浴作製時の作業を考慮すれば、多くても500
g/リットル迄が実用上限界であり、添加量は100g
/リットル〜200g/リットルの条件が好ましく使用
される。
【0012】又、フッ素樹脂粒子は撥水性が高いので、
その粒子をメッキ浴に均一に分散させるためには、常法
に従ってカチオン系の界面活性剤を使用する。この様な
公知の界面活性剤として特に限定されるものではない
が、第4級アンモニウム塩、第2・第3アミン類、イン
ダゾリン類、ポリオキシエチレン系、ポリエチレンイミ
ン系、エステル系、カルボン酸系、スルホン酸系等が例
示される。
【0013】本発明における熱処理は、無電解メッキに
よって得られた被膜の離型性、撥水撥油性等の効果をよ
り向上させるために好ましい工程である。300℃以上
の熱処理によって表面のフッ素樹脂粒子が流動性を持
ち、粒子自身が広がり、お互いに重なり合うことによ
り、表面はより高密度にフッ素樹脂によって覆われるこ
とになる。
【0014】この現象のためには、300℃以上400
℃以下の熱処理が必要であるが、処理温度が高くなると
表面のフッ素樹脂の蒸発による消失量が多くなるので、
好ましくはフッ素樹脂のガラス転移点である320℃以
上、350℃以下の範囲においての不活性雰囲気での熱
処理が好適に使用される。又、被膜製造に無電解ニッケ
ルメッキ浴を使用した場合、その被膜は熱処理によって
ビッカース硬度がHv600程度に上昇するので、成型
加工機械部品及び金型への適用にはより効果的である。
【0015】次に本発明者が行った実験例を示す。 実験例(1〜3) 下記組成のニッケルメッキ浴をベース組成とした。 塩化ニッケル : 30g/リットル 次亜リン酸ナトリウム : 10g/リットル ヒドロキシ酸ナトリウム: 50g/リットル 水 : 残部 上記調整したメッキ浴中にポリテトラフルオロエチレン
粒子(メジアン径6μm以下PTFE粒子という)を50,
130,200(g/リットル)の濃度で添加し、カチ
オン系界面活性剤(第4給アンモニウム塩系)をPTFE粒
子の量に応じて適量使用して分散させた。
【0016】簡易な剥離試験用のテスト金型として、材
質S45C、寸法縦100mm、横100mm、厚さ20mm
の平板を用い、上記調整した3種類のメッキ液で無電解
メッキ処理を施し、比較のため同様の平板に市販のPTFE
含有無電解メッキ液(日本カニゼン社製:カニフロン)
を用いてメッキ処理を施し、比較用金型を作製した。無
電解メッキの処理としては、まず前処理として、テスト
金型に予め溶剤脱脂及びアルカリ脱脂(50℃×5分)
を行い、次いでスケール除去のために10Vol %の塩酸
(常温×2分)を用いて表面の活性化を行った。次にス
テンレスパット中にメッキ液10リットルを入れ、攪拌
機でメッキ液を攪拌させながら浴温90°で1時間浸漬
して無電解メッキ処理した。
【0017】剥離試験の方法としては、まず上記3種の
テスト金型と比較用金型の間に、寸法縦50mm、横50
mm、厚さ2mmの加硫したシリコンゴムを鋏、150℃〜
180℃に加熱し、プレスを行い、冷却後金型を開き、
シリコンゴムがどちら側に付着したかを確認した。上記
剥離試験を、上記3種の金型について繰り返し各200
回繰り返し各200回試行し、その結果を表1に示す。
【0018】実験例(4〜20) 次に分散濃度を決定する試験として、上記実験例1〜3
と同様に、メッキ浴中にPTFE粒子をO,20,40,5
0,60,90,100,110,130,150,1
70,190,200,250,300,400及び5
00 (g/リットル)の濃度で添加し、分散させた。ま
た、被メッキ用のテスト金型としては、材質S45C、
寸法縦250mm、横250mm、厚さ30mmの同一形状の
ものを用い、上記実験例1〜3と同様に無電解メッキ処
理した。
【0019】こうして得られたテスト金型表面につい
て、離型性、水との接触角(以下接触角という)測定し
た結果をメッキ条件と併せて表2に示す。なお、離型性
はシリコンゴムの成型において離型不良を起こすまでの
回数を計測した。又接触角は接触角測定装置を用いて室
温にて測定した。 比較例1 比較例として上記市販のPTFE含有無電解メッキ液を用い
てメッキ処理を施し、比較用金型を作製し、同様の試験
を行った。なお、その結果を表1に併記する。
【0020】実験例(21〜31) 上記実験例8で使用したPTFE粒子の配合濃度130g/
リットルのメッキ浴について、メッキ浴温度を90℃、
85℃、80℃及び75℃に変化させてメッキを施し
た。また、メッキ時間は0.5、1及び2時間であっ
た。得られたテスト金型表面について、上記実験例4〜
20と同様に離型製及び接触角を測定した。測定結果を
表3に示す。
【0021】また,上記実験例8,12,15及び19
の条件で作製したテスト金型について熱処理を行い、硬
度、離型性及び接触角を測定した。なお、熱処理温度は
320℃及び350℃であった。それらの実験結果をメ
ッキ条件と併せて表3に示しており、又、硬度はマイク
ロピッカース硬度計により荷重20gで計測した。表1
より本手法による表面の離型性の優位を明らかであっ
た。
【0022】又、表2より明らかなようにPTFE添加量が
50g/リットルを越すとショット数の改善がみられ、
100g/リットルを越えると撥水性が飛躍的に増大
し、離型性も従来の無電解メッキ表面の600ショット
程度を遙に凌ぐ結果が得られた。又、表3から明らかな
ように浴温度は被膜の成長速度には影響するが、被膜の
特性には大きな影響がないという結果が得られた。
【0023】又、熱処理については表4から明らかなよ
うに、硬度、ショット数は320℃より350℃での熱
処理の法がより改善されるが、撥水性については320
℃での熱処理がよく、350℃の熱処理では著しく劣化
するという結果が得られた。
【0024】
【発明の効果】本発明によれば、下記のごとき顕著な効
果が達成される。 (1) 無電解メッキ被膜上の突起上に存在するフッ素
樹脂粒子は、その一部をメッキ金属によって十分強固に
固定されているため、従来の樹脂コーティングに比べて
はるかに密着性の良好な被膜が得られ、長期間にわたり
離型性、撥水・撥油性等の効果が持続する。従って、従
来の合成樹脂成形用金型に比較して著しく多数回の成形
が可能であった。
【0025】(2) 被膜形成に無電解メッキを利用し
ており、無電解メッキの持つ特徴をそのまま生かしてい
るため、金型基材の形状に影響されることなく膜厚の均
一な被膜を形成することが出来、離型性の優れた金型を
得ることができる。 (3) 熱処理を行うことによって被膜表面はより高密
度にフッ素樹脂に覆われ、離型剤、撥水・撥油性等の効
果はさらに持続することになる上に、無電解ニッケルメ
ッキ浴を使用して熱処理によりマトリックス金属の硬度
がHv600程度に上昇する。この被膜は、たとえば成
型加工機械部品及び金型に好適に使用できることにな
る。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】
【表4】
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年7月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 合成樹脂材等の成型用金型
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は合成樹脂材等の成型用金
型、より詳しくはシリコンゴム,ウレタン,エポキシ,
ABS等の合成樹脂材等の成型に用いられる成型用金型
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、シリコンゴム,ウレタン,エポキ
シ,ABS等の合成樹脂材を成型する場合に使用される
金型の表面には一般的に硬質クロムメッキが施されてい
る。この硬質クロムメッキは、膜硬度が高く、耐磨耗
性に優れている反面、コストが高くなるばかりでなく形
状によっては均一電着性に劣り、成型製品の精度が低い
という問題がある。また、離型性に乏しく、そのため
ぼ毎回離型剤を塗布する必要があり、作業効率の低下や
製品への悪影響がある上に、離型剤スプレー中に含まれ
るフロンによるオゾン層の破壊など題もあった。
【0003】このような背景から離型性を向上させ、か
つ作業効率を向上させる方法としてフッ素樹脂系離型剤
を用いて金型表面に被膜を形成することが考えられ、そ
の被膜形成方法としてフッ素樹脂系の離型剤を均一に塗
装し焼き付ける方法、あるいは平均粒径1μm以下のフ
ッ素樹脂系の微粒子を分散させたメッキ浴を用いた分散
メッキ法等が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで前記フッ素樹
脂系の離型剤の塗装、焼き付ける方法においては離型性
は改善するものの耐久性に問題がある。即ち、数十ショ
ット程度の成型で離型不良となり生産性が低下すること
となっている。一方、後者の分散メッキ法による場合に
おいても前者に比し多少耐久性は向上するものの数百シ
ョット程度で離型性不良となり実用に供することができ
ないという問題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は前記従来技術の
問題点を解決するためになされたものであって、特徴的
な形状、寸法を持つフッ素樹脂粒子を分散させたメッキ
浴に基材を浸漬し、無電解メッキすることにより前記基
材の表面に前記フッ素樹脂粒子を共析させた合成樹脂材
等の成型用金型を提供せんとするものである。
【0006】そしてフッ素樹脂粒子としては分子量80
00〜20万で、かつメジアン径1〜30μmの非球
形、好ましくは短繊維形状が用いられその分散量は50
g/リットル〜500g/リットルとなるよう調整され
る。
【0007】
【作 用】前記構成の合成樹脂材等の成型用金型によれ
ば、被膜上に突起するフッ素樹脂粒子はメッキ金属によ
って十分強固に固定されるため長期間にわたり離型性が
保持される。
【0008】本発明で用いられる無電解メッキ液として
は、好ましくは無電解ニッケルメッキ浴が使用できる
が、その他無電解銅メッキ液、無電解錫メッキ液等、無
電解複合メッキ可能なものであれば特に限定されないこ
とは言うまでもない。又、金型基材としては特に限定さ
れず、鉄鋼、銅、ステンレス鋼、アルミニウム、マグネ
シウム、鋳鉄、亜鉛及びこれら金属の合金、及び触媒付
与された樹脂、セラミックス等が使用できる。
【0009】本発明において用いられるフッ素樹脂粒子
にはポリテトラフルオロエチレン粒子が好適に使用され
るが、フッ素原子を表面に持つ樹脂の粒子であれば特に
限定されないことは言うまでもない。又、高密度に共析
させるための条件として、フッ素樹脂粒子の分子量は高
分子としての8000〜20万の範囲がよく、特に1万
〜5万のものが好適に使用される。
【0010】又、フッ素樹脂粒子のメジアン径は1μm
〜30μmである必要があり、特に1μm〜10μmの
ものが好適に使用される。又、フッ素樹脂粒子の形状は
非球形の不定形状であるか、円柱状である必要はないに
しても短繊維状のやや細長い形状であることが好まし
く、共析時の各粒子はメッキ浴の粒子濃度と各粒子を覆
う界面活性剤の極性の作用で相互に反発しながら表面へ
引きつけられることになり、その結果、粒子の多くは表
面に対して植毛されたように立った状態で被膜に取り込
まれていくことになる。
【0011】その結果、粒子は高密度に共析させられる
ことになり、マトリックス金属への密着性が向上する
上、後述の熱処理による流動性を持つ部分が表面に多く
なり、表面の樹脂層が厚くなるため耐久性が向上する等
の効果を持つことになるので、非球形、特に短繊維状の
粒子形状であることは重要である。本発明において無電
解メッキ浴へのフッ素樹脂粒子の添加量は、液1リット
ル当たり50g以上の量で分散させる必要があり、特
に、100g/リットル以上の条件で著しくその離型
性、撥水・撥油性等の効果が大きくなる。ただし、添加
量はあまり多過ぎてもそれほど効果は増大せず、コスト
やメッキ浴作製時の作業を考慮すれば、多くても500
g/リットル迄が実用上限界であり、添加量は100g
/リットル〜200g/リットルの条件が好ましく使用
される。
【0012】又、フッ素樹脂粒子は撥水性が高いので、
その粒子をメッキ浴に均一に分散させるためには、常法
に従ってカチオン系の界面活性剤を使用する。この様な
公知の界面活性剤として特に限定されるものではない
が、第4級アンモニウム塩、第2・第3アミン類、イ
ダゾリン類、ポリオキシエチレン系、ポリエチレンイミ
ン系、エステル系、カルボン酸系、スルホン酸系等が例
示される。
【0013】本発明における熱処理は、無電解メッキに
よって得られた被膜の離型性、撥水撥油性等の効果を
より向上させるために好ましい工程である。300℃以
上の熱処理によって表面のフッ素樹脂粒子が流動性を持
ち、粒子自身が広がり、お互いに重なり合うことによ
り、表面はより高密度にフッ素樹脂によって覆われるこ
とになる。
【0014】この現象のためには、300℃以上400
℃以下の熱処理が必要であるが、処理温度が高くなると
表面のフッ素樹脂の蒸発による消失量が多くなるので、
好ましくはフッ素樹脂のガラス転移点である320℃以
上、350℃以下の範囲においての不活性雰囲気での熱
処理が好適に使用される。又、被膜製造に無電解ニッケ
ルメッキ浴を使用した場合、その被膜は熱処理によって
ビッカース硬度がHv600程度に上昇するので、成型
加工機械部品及び金型への適用にはより効果的である。
【0015】
【実施例】 次に本発明者が行った実施例を示す。 実験例(1〜3) 下記組成のニッケルメッキ浴をベース組成とした。 塩化ニッケル : 30g/リットル 次亜リン酸ナトリウム : 10g/リットル ヒドロキシ酸ナトリウム: 50g/リットル 水 : 残部 上記調整したメッキ浴中にポリテトラフルオロエチレン
粒子(メジアン径6μm以下PTFE粒子という)を5
0,130,200(g/リットル)の濃度で添加し、
カチオン系界面活性剤(第4級アンモニウム塩系)をP
TFE粒子の量に応じて適量使用して分散させた。
【0016】簡易な剥離試験用のテスト金型として、材
質S45C、寸法縦100mm、横100mm、厚さ2
0mmの平板を用い、上記調整した3種類のメッキ液で
無電解メッキ処理を施し、比較のため同様の平板に市販
のPTFE含有無電解メッキ液(日本カニゼン社製:カ
ニフロン)を用いてメッキ処理を施し、比較用金型を作
製した。無電解メッキの処理としては、まず前処理とし
て、テスト金型に予め溶剤脱脂及びアルカリ脱脂(50
℃×5分)を行い、次いでスケール除去のために10V
ol%の塩酸(常温×2分)を用いて表面の活性化を行
った。次にステンレスット中にメッキ液10リットル
を入れ、攪拌機でメッキ液を攪拌させながら浴温90
で1時間浸漬して無電解メッキ処理した。
【0017】剥離試験の方法としては、まず上記3種の
テスト金型と比較用金型の間に、寸法縦50mm、横5
0mm、厚さ2mmの加硫したシリコンゴムを挟み、1
50℃〜180℃に加熱し、プレスを行い、冷却後金型
を開き、シリコンゴムがどちら側に付着したかを確認し
た。上記剥離試験を、上記3種の金型について繰り返し
各200回試行し、その結果を表1に示す。
【0018】実験例(4〜20) 次に分解濃度を決定する試験として、上記実験例1〜3
と同様に、メッキ浴中にPTFE粒子を,20,4
0,50,60,90,100,110,130,15
0,170,190,200,250,300,400
及び500(g/リットル)の濃度で添加し、分散させ
た。また、被メッキ用のテスト金型としては、材質S4
5C、寸法縦250mm、横250mm、厚さ30mm
の同一形状のものを用い、上記実験例1〜3と同様に無
電解メッキ処理した。
【0019】こうして得られたテスト金型表面につい
て、離型性、水との接触角(以下接触という)測定し
た結果をメッキ条件と併せて表2に示す。なお、離型性
はシリコンゴムの成型において離型不良を起こすまでの
回数を計測した。又接触角は接触角測定装置を用いて室
温にて測定した。 比較例1 比較例として上記市販のPTFE含有無電解メッキ液を
用いてメッキ処理を施し、比較用金型を作製し、同様の
試験を行った。なお、その結果を表に併記する。
【0020】実験例(21〜31) 上記実験例12で使用したPTFE粒子の配合濃度13
0g/リットルのメッキ浴について、メッキ浴温度を9
0℃、85℃、80℃及び75℃に変化させてメッキを
施した。また、メッキ時間は0.5、1及び2時間であ
った。得られたテスト金型表面について、上記実験例4
〜20と同様に離型及び接触角を測定した。測定結果
を表3に示す。
【0021】また,上記実験例8,12,16及び19
の条件で作製したテスト金型について熱処理を行い、硬
度、離型性及び接触角を測定した。なお、熱処理温度は
320℃及び350℃であった。それらの実験結果をメ
ッキ条件と併せて表に示しており、又、硬度はマイク
ッカース硬度計により荷重20gで計測した。表1
より本手法による表面の離型性の優位明らかであっ
た。
【0022】又、表2より明らかなようにPTFE添加
量が50g/リットルを越すとショット数の改善がみら
れ、100g/リットルを越えると撥水性が飛躍的に増
大し、離型性も従来の無電解メッキ表面の600ショッ
ト程度を遥に凌ぐ結果が得られた。又、表3から明らか
なように浴温度は被膜の成長速度には影響するが、被膜
の特性には大きな影響がないという結果が得られた。
【0023】又、熱処理については表4から明らかなよ
うに、硬度、ショット数は320℃より350℃での熱
処理のがより改善されるが、撥水性については320
℃での熱処理がよく、350℃の熱処理では著しく劣化
するという結果が得られた。
【0024】
【発明の効果】本発明によれば、下記のごとき顕著な効
果が達成される。 (1) 無電解メッキ被膜上の突起に存在るフッ素樹
脂粒子は、その一部をメッキ金属によって十分強固に固
定されているため、従来の樹脂コーティングに比べては
るかに密着性の良好な被膜が得られ、長時間にわたり離
型性、撥水・撥油性等の効果が持続する。従って、従来
の合成樹脂成型用金型に比較して著しく多数回の成型
可能であった。
【0025】(2) 被膜形成に無電解メッキを利用し
ており、無電解メッキの持つ特徴をそのまま生かしてい
るため、金型基材の形状に影響されることなく膜厚の均
一な被膜を形成することが出来、離型性の優れた金型を
得ることができる。 (3) 熱処理を行うことによって被膜表面はより高密
度にフッ素樹脂に覆われ、離型剤、撥水・撥油性等の効
果はさらに持続することになる上に、無電解ニッケルメ
ッキ浴を使用する場合には熱処理によりマトリックス金
属の硬度がHv600程度に上昇する。この被膜は、た
とえば成型加工機械部品及び金型に好適に使用できるこ
とになる。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】
【表4】

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フッ素樹脂粒子を分散させたメッキ浴に
    金型基材を浸漬し、無電解メッキすることにより前記金
    型基材の表面に前記フッ素樹脂粒子を共析させたことを
    特徴とする合成樹脂材等の成型用金型。
  2. 【請求項2】 分子量8,000〜20万でかつメジア
    ン径1〜30μmの非球形である請求項1記載のフッ素
    樹脂粒子。
  3. 【請求項3】 1リットル当り50グラム〜500グラ
    ムをフッ素樹脂を分散させてなる請求項1記載のメッキ
    浴。
  4. 【請求項4】 フッ素樹脂粒子を分散させたメッキ浴に
    金型基材を浸漬し、無電解メッキすることにより前記基
    材の表面に前記フッ素樹脂粒子を共析させた後、該金型
    基材表面を300℃〜400℃に加熱して熱処理するこ
    とを特徴とする合成樹脂材等の形成用金型の製造方法。
JP33340593A 1993-12-27 1993-12-27 合成樹脂材等の成型用金型 Withdrawn JPH07186156A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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