JPH07181715A - 顔料含有複合体粒子を用いたトナー組成物およびその製造方法 - Google Patents

顔料含有複合体粒子を用いたトナー組成物およびその製造方法

Info

Publication number
JPH07181715A
JPH07181715A JP5324900A JP32490093A JPH07181715A JP H07181715 A JPH07181715 A JP H07181715A JP 5324900 A JP5324900 A JP 5324900A JP 32490093 A JP32490093 A JP 32490093A JP H07181715 A JPH07181715 A JP H07181715A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pigment
toner
particles
containing composite
monomer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP5324900A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenji Hayashi
健司 林
Mikio Kamiyama
幹夫 神山
Tomoe Kikuchi
智江 菊地
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP5324900A priority Critical patent/JPH07181715A/ja
Publication of JPH07181715A publication Critical patent/JPH07181715A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Developing Agents For Electrophotography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 環境依存性が少なく、帯電性が安定し、クリ
ーニング不良やトナーフィルミングを起こさないトナー
組成物を提供すること。 【構成】 少なくとも1種以上の疎水性モノマーと少な
くとも1種以上の水溶性モノマーを顔料共存下で水系析
出重合してなる顔料含有複合体粒子を用い、会合、融着
させた非球状トナーと外部添加剤として少なくとも1種
以上のフラーレンまたはナノチューブとを含有するトナ
ー組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真法、静電印刷
法、磁気記録法に用いられるトナー組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来行われている電子写真法としては、
米国特許第2,976,921号及び特公昭42-23910号等に記載
されているように多数の方式が知られている。一般的に
は、光電性感光体上に潜像を形成し、次いで該潜像をト
ナーを用いて現像し、紙等の被転写材にトナー画像を転
写した後に、加熱、圧力等により定着し複写物を得る。
転写終了後に感光体上に残存したトナーを除去するため
のクリーニング工程が設けられ、再び複写物を得るため
の工程を繰り返す。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記したクリ
ーニングはブレート法、ブラシ法、ウェブ法等様々な方
法で行われるが、複写を繰り返すにつれて現行のクリー
ニング法では除去できないトナーが徐々に感光体表面に
蓄積され、クリーニング不良やトナーフィルミングを起
こす。この様な現像を改善するために、例えば特公昭48
-8141号、特開昭50-120631号、特開昭52-84741号等でト
ナーに外部添加剤を添加する方法が提案されている。こ
れらの方法はクリーニング不良やトナーフィルミングに
対しては有用な方法ではあるが、環境依存性が大きく、
特に高温高湿ではその現象が顕著であり、複写を繰り返
すにつれてトナーの帯電量の低下を起こし、画像濃度の
低下、カブリやトナー飛散等を引き起こす。
【0004】本発明は以上のような事情に基づいてなさ
れたものであって、本発明の目的は、環境依存性が少な
く、帯電性が安定し、クリーニング不良やトナーフィル
ミングを起こさないトナー組成物を提供することであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、前記した
目的を達成するために、外部添加剤としてフラーレンと
ナノチューブを使用した。すなわち、フラーレンとナノ
チューブは、導電性、親水性、疎水性等の種々の基を誘
導することができるため、トナーの性能、例えば流動
性、耐湿性、帯電性等を高めることができる。また、フ
ラーレンやナトノチューブは、公知の表面流動性添加
剤、例えばアエロジル R972(商標)等のコロイダル
シリカ等の表面に堆積し電荷添加剤として使用すること
ができる。
【0006】このような知見に基づいて、外部添加剤と
して少なくとも1種以上のフラーレンまたはナノチュー
ブと、少なくとも1種以上の疎水性モノマーと少なくと
も1種以上の水性モノマーを顔料共存下で水系析出重合
してなる顔料含有複合体粒子を用い、会合、融着させた
トナーを含有するトナー組成物を提供することにより上
記目的を達成した。
【0007】
【作用】以下に本発明を詳細に説明する。
【0008】本発明で使用される外部添加剤としては、
フラーレンまはたナノチューブが用いられる。フラーレ
ンまたはナノチューブとしては、特に限定するものでは
なく従来公知のものを用いることができる。
【0009】具体的には、フラーレンとしてはC60のバ
ックミンスターフラーレンやC70,C82更に高分子量の
フラーレンなどを使用することができる。また、種々の
基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、等の炭
素原子数1〜約25のアルキル基、フェニル、ナフチル等
の炭素原子数6〜約24のアリール基、エチレンジアミ
ン、ヒドロキシ、カルボキシ、カルボニル、アミノ、ア
ミド、オスミラト、オキソ、ジオキソ、ケト、メルカプ
ト、アルコキシ、イミノ、アリル、エチニル、アゾ、ニ
トロソ、ホルミル、ハロ、シアノ、カルボキサミド、ア
ルコキシカルボニル、ニトロ、ビニル、パーオキシ等を
含む誘導フラーレン類を使用することができる。
【0010】また、フラーレンとナノチューブにおい
て、内部空間に金属、例えばLa、Y、Sc等を内包したも
のも使用できる。
【0011】これらのフラーレン、ナノチューブは、単
独であるいは2種類以上を組み合わせたり、あるいは、
従来公知の外部添加剤と併用して使用することができ
る。
【0012】現像剤に於けるフラーレンやナノチューブ
の含有割合としては、トナー100重量部に対して0.1〜10
重量部とされ、好ましくは1〜8重量部とされる。
【0013】〈単量体成分〉本発明の顔料含有重合体粒
子を得るための単量体成分としては、疎水性モノマーを
必須の構成成分とし、必要に応じて親水性モノマー、架
橋性モノマーが用いられる。
【0014】(1)疎水性モノマー 単量体成分を構成する疎水性モノマーとしては、特に限
定されるものではなく従来公知のモノマーを用いること
ができる。
【0015】具体的には、ビニル芳香族系、(メタ)ア
クリル酸エステル系、ビニルエステル系、ビニルエーテ
ル系、モノオレフィン系、ジオレフィン系、ハロゲン化
オレフィン系、ポリビニル系などのラジカル重合性モノ
マーを好ましく用いることができる。
【0016】ここに、ビニル芳香族系モノマーとして
は、例えばスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチ
レン、p-メチルスチレン、p-メトキシスチレン、p-フェ
ニルスチレン、p-クロロスチレン、p-エチルスチレン、
p-n-ブチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-n-ヘ
キシルスチレン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルス
チレン、p-n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレン、
2,4-ジメチルスチレン、3,4-ジクロロスチレンなどのス
チレン系モノマーおよびその誘導体が挙げられる。
【0017】(メタ)アクリル酸エステル系モノマーと
しては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、
アクリル酸ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、ア
クリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタク
リル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチ
ル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸-2-エチルヘ
キシル、β-ヒドロキシアクリル酸エチル、γ-アミノア
クリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリ
ル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミ
ノエチルなどが挙げられる。
【0018】ビニルエステル系モノマーとしては、例え
ば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル
などが挙げられる。
【0019】ビニルエーテル系モノマーとしては、例え
ばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニ
ルイソブチルエーテル、ビニルフェニルエーテルなどが
挙げられる。
【0020】モノオレフィン系モノマーとしては、例え
ばエチレン、プロピレン、イソブチレン、1-ブテン、1-
ペンテン、4-メチル-1-ペンテンなどが挙げられる。
【0021】ジオレフィン系モノマーとしては、例えば
ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどが挙げられ
る。
【0022】これらの疎水性モノマーは、単独であるい
は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0023】(2)親水性モノマー 単量体成分を構成する親水性モノマーも特に限定される
ものではないが、例えばカルボキシル基含有モノマー、
スルホン基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、第1
級アミン、第2級アミン、第3級アミン、第4級アンモ
ニウム塩などであって、得られる重合体の側鎖に極性基
を導入しうるモノマーを好ましく用いることができる。
【0024】カルボキシル基含有モノマーとしては、例
えばアクリル酸、メタクリル酸、フマール酸、マレイン
酸、イタコン酸、ケイ皮酸、マレイン酸モノブチルエス
テルマレイン酸モノオクチルエステルなどが挙げられ
る。
【0025】スルホン基含有モノマーとしては、例えば
スチレンスルホン酸、2-アクリルアミドプロピルスルホ
ン酸などが挙げられる。
【0026】アミン系の化合物としては、例えばジメチ
ルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメ
タクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジ
エチルアミノエチルメタクリレート、3-ジメチルアミノ
フェニルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-メタクリルオ
キシプロピルトリメチルアンモニウム塩などが挙げられ
る。
【0027】これらの親水性モノマーは、単独であるい
は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0028】単量体成分として親水性モノマーが含まれ
ていることにより、 水系析出重合時における重合速
度が大きくなり、 重合体の分子量制御が容易とな
る。更に、 重合体中に極性基が導入される結果、電
子写真用トナーとして用いる場合において、荷電制御剤
などを添加しなくても帯電性の制御を図ることができ
る。
【0029】ここに、単量体成分中における親水性モノ
マーの割合としては、0.1〜15重量%であることが好ま
しく、更に好ましくは0.5〜12重量%とされる。親水性
モノマーの割合が0.1重量%未満では、上記の効果を十
分に達成することができず、一方、この割合が15重量%
を超えると、親水性モノマーのみの重合が進行し、ホモ
ポリマー生成が起こるので好ましくない。
【0030】(3)架橋性モノマー 架橋性モノマーとしては、例えばジビニルベンゼン、ジ
ビニルナフタレン、ジビニルエーテル、ジエチレングリ
コールメタクリレート、エチレングリコールジメタクリ
レート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、フ
タル酸ジアリル等の不飽和結合を2個以上有するものが
挙げられる。
【0031】単量体成分として架橋性モノマーが含まれ
ていることにより、得られる顔料含有重合体粒子におい
て、強度などの特性を向上させることができる。
【0032】(4)連鎖移動剤 重合体粒子の分子量及び分子量分布の制御には、重合反
応系への連鎖移動剤の添加により任意に達成される。連
鎖移動剤としては、一般的にチオール化合物、例えばド
デカンチオール等が用いられるが、用いる単量体に対す
る連鎖移動定数により適宜選択する事が可能である。
【0033】〈顔料粒子〉本発明の顔料含有重合体粒子
は、顔料粒子(有機顔料または無機顔料)が分散された
水系内において、単量体成分を水系析出重合することに
より得られたものである。
【0034】ここに、顔料含有重合体粒子における顔料
の含有割合としては、重合体成分100重量部に対して2
〜20重量部とされ、好ましくは3〜15重量部とされる。
【0035】(1)有機顔料粒子 顔料含有重合体粒子を構成する有機顔料粒子としては特
に限定されるものではなく、従来公知の有機顔料からな
る粒子を用いることができる。
【0036】ここに、有機顔料の具体例としては、C.
I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド
3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメント
レッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグ
メントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.
I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッ
ド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.
ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、
C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレ
ッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグ
メントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.
I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド2
22等のマゼンタ用顔料またはレッド用の顔料;C.I.
ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43
等のオレンジ用顔料;C.I.ピグメントイエロー12、
C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイ
エロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピ
グメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、
C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイ
エロー138等のイエロー用顔料;C.I.ピグメントブ
ルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピ
グメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、
C.I.ピグメントブルー60等のシアン用顔料;C.
I.ピグメントグリーン7等のグリーン用顔料などを挙
げることができ、これらは単独であるいは2種以上組み
合わせて用いることができる。
【0037】(2)無機顔料粒子 顔料含有重合体粒子を構成する無機顔料粒子も特に限定
されるものではなく、従来公知の無機顔料からなる粒子
を用いることができる。
【0038】ここに、好ましい無機顔料の具体例として
は、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラッ
ク、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブ
ラックなどのカーボンブラック、フェライトやマグネタ
イトなどの磁性粉を挙げることができ、これらは単独で
あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0039】(3)無機顔料粒子の表面改質 顔料含有重合体粒子を構成する無機顔料粒子は、表面改
質剤によって表面処理されていることが好ましい。
【0040】斯かる表面改質剤としては、従来公知のも
のを用いることができ、特に、シラン化合物、チタン化
合物、アルミニウム化合物などを好ましく用いることが
できる。
【0041】シラン化合物としては、例えばメチルトリ
メトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチル
フェニルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラ
ン、等のアルコキシシラン、ヘキサメチルジシロザン等
のシリザン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、
ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、
ビニルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピ
ルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリ
メトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシ
シラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-ウ
レイドプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0042】チタン化合物としては、例えば「プレンア
クトTTS」「プレンアクト9S」「プレンアクト38
S」「プレンアクト41B」「プレンアクト46B」「プレ
ンアクト55」「プレンアクト138S」「プレンアクト238
S」〔以上、味の素(株)製〕、「A−1」、「B−
1」、「TOT」、「TST」、「TAA」、「TA
T」、「TLA」、「TOG」、「TBSTA」、「A
−10」、「TBT」、「B−2」、「B−4」、「B−
7」、「B−10」、「TBSTA−400」、「TT
S」、「TOA−30」、「TSDMA」、「TTA
B」、「TTOP」〔以上、日本曹達(株)製〕などが挙
げられる。
【0043】アルミニウム化合物としては、例えば「プ
レンアクトAL−M」〔味の素(株)製〕などが挙げられ
る。
【0044】これらの表面改質剤の使用量は、無機顔料
粒子に対して0.1〜20重量%とされ、好ましくは1〜15
重量%とされる。
【0045】〈顔料含有重合体粒子の製造方法〉本発明
の製造方法は、顔料分散時および水系析出重合反応時の
それぞれにおいて、水系内に存在する界面活性剤の濃度
を制御しながら行われる。
【0046】具体的には、以下に説明する顔料分散工
程、希釈工程および重合工程によって本発明の顔料含有
重合体粒子を好適に製造することができる。
【0047】(1)顔料分散工程 臨界ミセル形成濃度(CMC)以上の界面活性剤の存在
下で、顔料粒子を水系中に分散させて顔料分散液を調製
する。
【0048】界面活性剤としては、アニオン性界面活性
剤、カチオン性界面活性剤等の中から適宜選択される。
例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンス
ルホン酸ナトリウム、ドデシルトリメチルアンモニウム
クロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロ
ライド等が上げられる。好ましくはドデシル硫酸ナトリ
ウムが挙げられる。
【0049】分散方法としては、サンドグラインダー等
による機械的撹拌処理、超音波等による音波処理、マン
トンゴーリン等による加圧分散処理などを挙げることが
できる。
【0050】顔料粒子は、一次粒子レベルまで分散させ
ることは困難であるため、通常は、一次粒子が凝集して
なる凝集粒子の状態で水系中に分散される。
【0051】分散されている顔料粒子の粒径としては、
有機顔料粒子の場合にあっては、一次粒子径の10倍以下
であることが好ましく、更に好ましくは8倍以下とされ
る。また、無機顔料粒子の場合にあっては、一次粒子径
の20倍以下であることが好ましく、更に好ましくは15倍
以下とされる。
【0052】顔料粒子の粒径が過大である場合には、目
的とする小粒径の顔料含有重合体粒子を製造することが
できなくなり、また、粒径の大きい顔料粒子が反応系外
に移行して、顔料と重合体との複合化を十分に達成する
ことができない。
【0053】顔料分散工程において、水系内に存在する
界面活性剤の濃度は、臨界ミセル形成濃度(CMC)以
上であることが必要である。
【0054】界面活性剤の濃度が臨界ミセル形成濃度
(CMC)以上であることによって初めて、0.05〜1μ
m程度の顔料粒子の分散が好適に行われる。
【0055】(2)希釈工程 顔料分散工程によって調製された顔料分散液を、界面活
性剤の濃度が臨界ミセル形成濃度(CMC)未満となる
まで希釈して希釈分散液を調製する。
【0056】(3)重合工程 希釈工程によって調製された希釈分散液に、単量体成分
と重合開始剤とを添加して水系析出重合を行う。
【0057】水系析出重合反応を開始するために用いる
重合開始剤としては、水溶性のラジカル重合開始剤、例
えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸
塩;4,4′-アゾビス4-シアノ吉草酸およびその塩、2,
2′-アゾビス(2-アミノジプロパン)塩等のアゾ系化合
物;パーオキサイド化合物などを好適に用いることがで
きる。また、上記の重合開始剤と還元剤と組み合わせ、
重合活性の大きいレドックス系の重合開始剤として用い
てもよい。レドックス系の重合開始剤を用いることによ
り、低温下での重合反応が可能となり、更に重合時間の
短縮が期待できる。
【0058】水系析出重合の反応系における重合開始剤
の濃度としては、有機顔料粒子を用いる場合と無機顔料
粒子を用いる場合とで好ましい範囲が異なる。
【0059】 有機顔料粒子を用いる場合 有機顔料粒子を用いる場合にあっては、重合開始剤の濃
度が0.001〜0.03モル/lであることが好ましく、更に
好ましくは0.003〜0.025モル/lとされる。
【0060】また、重合開始剤の濃度をa(モル/
l)、単量体成分の濃度をb(モル/l)とするとき、
「a/b」の値が0.004〜0.10の範囲にあることが好ま
しい。重合開始剤の濃度が過少である場合には、ラジカ
ル生成量が少ないため、重合反応が完了せずモノマーが
残存する。一方、重合開始剤の濃度が過大である場合に
は、ソープフリー重合が起こり、顔料を含有しない重合
体が生成し、重合体と有機顔料との相分離が起こるので
好ましくない。
【0061】 無機顔料粒子を用いる場合 無機顔料粒子を用いる場合にあっては、重合開始剤の濃
度が0.002〜0.02モル/lであることが好ましく、更に
好ましくは0.005〜0.015モル/lとされる。また、重合
開始剤の濃度をc(モル/l)、単量体成分の濃度をd
(モル/l)とするとき、「c/d」の値が0.005〜0.1
0の範囲にあることが好ましい。重合開始剤の濃度が過
少である場合には、ラジカル生成量が少ないため、重合
反応が完了せずモノマーが残存する。一方、重合開始剤
の濃度が過大である場合には、ソープフリー重合が起こ
り、顔料を含有しない重合体が生成し、重合体と無機顔
料との相分離が起こるので好ましくない。
【0062】重合反応温度としては、重合開始剤の最低
ラジカル生成温度以上であればどの温度を選択してもよ
いが、通常は50〜80℃の範囲とされる。また、常温開始
の重合開始剤、例えば過酸化水素とアスコルビン酸など
の還元剤とを組み合わせてなる重合開始剤を用いること
により、常温下において重合反応させることもできる。
【0063】既述したように、本発明においては、界面
活性剤の濃度が臨界ミセル形成濃度(CMC)未満とな
る状態下で水系析出重合反応を行わせる点に特徴を有し
ている。
【0064】臨界ミセル形成濃度(CMC)以上となる
状態で水系析出重合反応を行わせると、水系中に存在す
るミセル内において単量体成分の乳化重合が行われ、顔
料を含有しない重合体粒子が生成されてしまう。
【0065】(4)会合融着工程 重合工程によって生成された顔料含有複合体粒子を用い
て会合、融着を行い非球状トナーを生成する。
【0066】会合融着方法としては、様々な方法、例え
ば特開昭60-220358号、特開平4-284461号等がある。し
かし、これらの方法では、所望の粒径、粒径分布を制御
することがかなり困難である。そこで本発明者等は、特
願平5-115572号の方法、すなわち、重合体微粒子分散液
の臨界凝集濃度以上の凝集剤及び水に対して無限溶解す
る有機溶媒を添加する方法で非球状粒子を生成した。
【0067】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明するが、本発明
はこれらに限定されるものではない。
【0068】なお、顔料分散液中に分散されている顔料
粒子の粒径、得られた顔料含有重合体粒子の粒径は、電
気泳動光散乱光度計「ELS−800」〔大塚電子(株)
製〕を用いて測定した。また、顔料含有重合体粒子の分
子量は、GPC「HLC−8020」〔東ソー(株)製〕を用
いて測定した。
【0069】実施例−1 (1)顔料分散液の調整 イオン交換水50mlにドデシル硫酸ナトリウム0.346gを
溶解した水溶液に、顔料1.62gを加え、超音波ホモジナ
イザーModel US−150T((株)日本精機製作所製)を行
い顔料分散液の調整をした。前記方法を用い顔料を変え
分散した顔料分散液(D−1〜4)の顔料分散粒径を表
1に示す。
【0070】
【表1】
【0071】(2)顔料含有重合体粒子の合成 前記分散液(D−1〜4)を500mlの冷却管、温度計、
撹拌装置、窒素導入管を付けた四頭フラスコに入れ、脱
気済みイオン交換水150mlと、スチレンモノマー25g、n
-ブチルアクリレートモノマー4.9g、メタクリル酸モノ
マー1.6gを添加し、窒素気流下で撹拌速度500rpmで撹
拌しつつ、内温70℃に昇温した。70℃において脱気済み
イオン交換水50mlに過硫酸カリウム1.125gを溶解した
重合開始剤水溶液を添加し、7時間重合を行った後内温
を室温まで下げ、No.3ガラスフィルターでろ過を行っ
た。生成された顔料含有重合体粒子(P−1〜4)の平
均粒径、分子量、分子量分布を表2に示す。
【0072】
【表2】
【0073】(3)非球状トナーの合成 前記顔料含有重合体粒子P−1〜4を用い、これを1N-
水酸化ナトリウム水溶液を用い、電導度測定装置で重合
体粒子中のメチルメタアクリレート成分が一定量のナト
リウム塩になるように調整した。この時の解離の程度を
75%にした。この時の塩化カリウムによる臨界凝集濃度
を測定したところ、P−1は0.07mol/l、P−2〜4
はは0.09mol/lであった。この後、撹拌装置、冷却
管、温度計付き四頭フラスコに各顔料含有重合体粒子分
散液を100mlを入れ、室温下で250rpmの速度で撹拌しつ
つ塩化カリウム6.04gを水50mlに溶解した金属塩水溶液
を添加し、iso-プロパノール50mlを加え、更に水250ml
を添加した後、85℃で6時間加熱し、非球状トナー(P
R−1〜4)を得た。その非球状トナーの平均粒径(d
50)、粒度分布(CV)及び非球形化度を測定した。そ
の結果を下記表3に示す。
【0074】
【表3】
【0075】(4)現像剤の製造 前記した非球状トナーPR−1〜4の各々100重量部に
対してフラーレンC603重量部添加混合し、この外添処
理トナー5重量部とメタクリル酸メチル/スチレン共重
合体(MAA/St=7/3重量比)で表面被覆したフェ
ライト粒子(キャリア、平均粒径60μm)95重量部を混
合し、現像剤−1〜4を調整した。
【0076】また、比較として、非球状トナーPR−1
を100重量部に対してシリカ微粒子「R−972」を2重量
部、酸化チタン微粒子「T−805」を1重量部添加し、
前記キャリアと混合した比較現像剤を調整した。
【0077】実施例−2 顔料分散液D−1を用い、分子量制御のため重合時に連
鎖移動剤であるt-ドデシルメルカプタン0.2gを添加し
た以外は実施例−1と同様に重合を行い顔料含有重合体
粒子(P−5)を得た。P−5の平均粒径、分子量(M
W)、MW/MNは表2に併記した。
【0078】この顔料含有重合体粒子(P−5)を用
い、実施例−1と同様に非球状トナー(PR−5)得
た。PR−5の平均粒径、CV値、非球形化度は表3に
併記した。
【0079】この非球状トナー(PR−5)を用いて、
実施例−1と同様に現像剤(現像剤−5)を調整した。
【0080】上記現像剤−1〜5、比較現像剤を熱ロー
ラ定着器とクリーニングブレードを備えた電子写真複写
機「U−BIX−3028」を用い、帯電量、クリーニング
性、カブリを低温低湿(LL、10℃、相対湿度20%)常
温常湿(NN、20℃、相対温度55%)高温高湿(HH、
30℃、相対湿度85%)の環境下で評価した。
【0081】評価方法は次の通りである。
【0082】(1)帯電量 初期と5万コピー後の帯電量をブローオフ法で測定し
た。
【0083】(2)カブリ 連続して形成されたコピー画像を「サクラデンシトメー
ターPDA−60」(コニカ(株)製)により白地部分の各
色の反射濃度を測定し、当該反射濃度が0.02を超えた時
点のコピー枚数でカブリを判定した。
【0084】(3)クリーニング性 感光体表面を目視で観察し、クリーニング不良が発生し
た時点のコピー回数で評価した。
【0085】その結果を下記表4に示す。表4の結果か
ら、本発明の現像剤−1〜5は優れた諸特性を有するも
であることがわかる。
【0086】実施例−3 非球状トナーPR−1を100重量部に対してナノチュー
ブ3重量部添加混合し、更に前記キャリアと混合し現像
剤−6を調整し、前記と同様な評価を行った結果を表4
に示す。この結果より、本発明の現像剤−6は優れた諸
特性を有するものであることがわかる。
【0087】実施例−4 非球状トナーPR−1を100重量部に対してフラーレン
602重量部、ナノチューブ1重量部添加混合し、更に
前記キャリアと混合し現像剤−7を調整し、前記と同様
な評価を行った結果を表4に示す。この結果より、本発
明の現像剤−7は優れた諸特性を有するものであること
がわかる。
【0088】実施例−5 非球状トナーPR−1を100重量部に対してシリカ微粒
子「R−972」を1重量部、酸化チタン微粒子「T−80
5」を1重量部、フラーレンC601重量部添加混合し、
更に前記キャリアと混合し現像剤−8を調整し、前記と
同様な評価を行った結果を表4に示す。この結果より、
本発明の現像剤−8は優れた諸特性を有するものである
ことがわかる。
【0089】実施例−6 非球状トナーPR−1を100重量部に対してシリカ微粒
子「R−972」を1重量部、酸化チタン微粒子「T−80
5」を1重量部、ナノチューブ1重量部添加混合し、更
に前記キャリアと混合し現像剤−9を調整し、前記と同
様な評価を行った結果を表4に示す。この結果より、本
発明の現像剤−9は優れた諸特性を有するものであるこ
とがわかる。
【0090】
【表4】
【0091】
【発明の効果】本発明のトナー組成物は、外部添加剤と
して導電性、親水性、疎水性等の種々の基を誘導するこ
とにより、流動性、耐湿性、帯電性等を高めることがで
きるフラーレンとナノチューブを使用しているため、環
境依存性が少なく、帯電性が安定し、クリーニング不良
やトナーフィルミングを起こさないトナー組成物を提供
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G03G 9/08 361 384

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1種以上の疎水性モノマーと
    少なくとも1種以上の水溶性モノマーを顔料共存下で水
    系析出重合してなる顔料含有複合体粒子を用い、会合、
    融着させた非球状トナーと外部添加剤として少なくとも
    1種以上のフラーレンまたはナノチューブとを含有する
    顔料含有複合体粒子を用いたトナー組成物。
  2. 【請求項2】 会合、融着工程が、重合体微粒子分散液
    の臨界凝集濃度以上の凝集剤及び水に対して無限溶解す
    る有機溶媒を添加する方法で、非球状粒子を生成させる
    ことを特徴とする請求項1記載の顔料含有複合体粒子を
    用いたトナー組成物。
  3. 【請求項3】 少なくとも疎水性モノマーとしてアクリ
    ル酸エステル又はメタクリル酸エステルと、少なくとも
    水溶性モノマーとしてアクリル酸又はメタクリル酸を用
    い、顔料共存下で水系析出重合してなる顔料含有複合体
    粒子を用い、会合、融着させた非球状トナーと、外部添
    加剤として少なくとも1種以上のフラーレンまたはナノ
    チューブを含有する顔料含有複合体粒子を用いたトナー
    組成物の製造方法。
JP5324900A 1993-12-22 1993-12-22 顔料含有複合体粒子を用いたトナー組成物およびその製造方法 Pending JPH07181715A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5324900A JPH07181715A (ja) 1993-12-22 1993-12-22 顔料含有複合体粒子を用いたトナー組成物およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5324900A JPH07181715A (ja) 1993-12-22 1993-12-22 顔料含有複合体粒子を用いたトナー組成物およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07181715A true JPH07181715A (ja) 1995-07-21

Family

ID=18170886

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5324900A Pending JPH07181715A (ja) 1993-12-22 1993-12-22 顔料含有複合体粒子を用いたトナー組成物およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07181715A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003057783A1 (en) * 2001-12-28 2003-07-17 Sun Chemical Corporation Solventless universal colorants
JP2014228866A (ja) * 2013-05-23 2014-12-08 ゼロックス コーポレイションXerox Corporation トナー組成物
KR20150035732A (ko) * 2012-07-23 2015-04-07 휴렛-팩커드 인디고 비.브이. 정전 잉크 조성물

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003057783A1 (en) * 2001-12-28 2003-07-17 Sun Chemical Corporation Solventless universal colorants
US7563835B2 (en) 2001-12-28 2009-07-21 Sun Chemical Corporation Solventless universal colorants
US8105428B2 (en) 2001-12-28 2012-01-31 Sun Chemical Corporation Solventless universal colorants
KR20150035732A (ko) * 2012-07-23 2015-04-07 휴렛-팩커드 인디고 비.브이. 정전 잉크 조성물
JP2015529835A (ja) * 2012-07-23 2015-10-08 ヒューレット−パッカード・インデイゴ・ビー・ブイHewlett−Packard Indigo B.V. 静電インク組成物
US9899124B2 (en) 2012-07-23 2018-02-20 Hewlett-Packard Indigo B.V. Electrostatic ink compositions
JP2014228866A (ja) * 2013-05-23 2014-12-08 ゼロックス コーポレイションXerox Corporation トナー組成物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5088317B2 (ja) 正帯電性静電荷像現像用現像剤及びその製造方法
JP2010217919A (ja) トナーの製造方法
JP2005062887A (ja) トナー製造プロセス
JP6503797B2 (ja) 静電荷像現像用負帯電トナー
JP2009237338A (ja) 静電荷像現像用トナー
JP2000098654A (ja) トナーおよびその製造法
JP2005004025A (ja) 静電荷像現像用トナーの製造方法
JP4111358B2 (ja) カラートナーとその製造方法
JPH07181715A (ja) 顔料含有複合体粒子を用いたトナー組成物およびその製造方法
JP2008077089A (ja) フッ素化ポリマー添加物を有するトナー組成物
JP3671701B2 (ja) 静電荷像現像用トナーとその製造方法
JP4089293B2 (ja) 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用トナーの製造方法及び二成分現像剤
JP2000292975A (ja) トナーおよびその製造法
JP3588744B2 (ja) 静電荷像現像用トナーとそれを用いた画像形成方法
JP3451514B2 (ja) 着色樹脂粒子の製造方法と静電潜像現像用トナー及び静電潜像現像剤
JP3780722B2 (ja) 静電荷像現像用トナーおよびその製造方法
JP2000122334A (ja) トナーおよびその製造方法
WO2021172517A1 (ja) トナーセット
JPH1069119A (ja) 静電荷像現像用トナー及び熱定着方法
JPH0710911A (ja) 顔料含有重合体粒子およびその製造方法
JP4151213B2 (ja) 画像形成方法
JP2002341586A (ja) 静電潜像現像用トナー及びその製造方法
JP2002091067A (ja) 静電荷像現像用トナー及び静電荷像現像用トナーの製造方法
JP3959893B2 (ja) 静電潜像を現像するためのトナーを用いた画像形成方法及び画像形成装置
JP4089502B2 (ja) 静電潜像現像用トナー及び画像形成方法