JP3588744B2 - 静電荷像現像用トナーとそれを用いた画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタ等に用いられる静電荷像現像用トナーとそれを用いた画像形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、一般的に用いられている静電荷像現像用トナーは各種重合法で得られるポリマーに、カーボンブラック等の着色剤、帯電制御剤及び/又は磁性体を適宜乾式混合を行い、その後押出機等により溶融混練し、次いで粉砕、分級することで製造されている。
【0003】
別の方法として、懸濁重合法等により直接トナーを製造する方法が提案されている。又乳化重合法により生成した粒子を用いる方法も提案(特開昭60−220358号公報、特開平4−284461号公報)されている。
【0004】
しかしながら、上記の様な溶融混練粉砕法により得られるトナーは、トナー粒径の制御に限界があり小粒径のトナーを収率良く製造することが困難である。又、トナーを形成する成分の分散が不均一で、帯電量分布がブロードになり易いという欠点を有している。
【0005】
又、懸濁重合法で直接製造する方法も、小粒径化が困難であるばかりでなく、その粒度分布は広いものになるという欠点を有している。更に、この方法で製造されるトナーは基本的に真球状であり、画像形成プロセス中で行われる残留トナーのクリーニングが困難であるという欠点を有している。
【0006】
一方、特開昭60−220358号公報及び特開平4−284461号公報に開示された方法は、上記のごとく真球状のトナーではなく表面に凸凹のある非球形粒子を得ることが可能であるが、粒径、粒度分布を制御することが困難であり、反応終了後所望の粒径、粒度分布にする為、分級をする必要がある。
【0007】
更に、特開平4−284461号公報に開示された方法では着色剤と重合体粒子のゼータ電位を微妙に調節する必要がある。この事が生産性の向上を困難としているばかりでなく、着色剤等が生成したトナー粒子内で局在化しやすく、また分子量の異なる樹脂粒子を用いた場合トナー粒子中に均一に混在するため、生成したトナー粒子の十分な機械的強度を持ち得ないという欠点を有している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、トナーにおいて分子量の異なる樹脂をトナー粒子中で局在化させて、トナー粒子の機械的強度を改善することである。また、小粒径で粒度分布の狭いトナー粒子を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記構成を採ることにより達成される。
【0010】
(1) GPCによる分子量分布測定で重量分子量が1,000〜50,000の間にピークを有する低分子量成分樹脂ラテックス、重量分子量が80,000〜700,000の間にピークを有する高分子量成分樹脂ラテックス、着色剤及び定着改良剤を混合し、凝集・融着する事により生成される静電荷像現像用トナーにおいて、該低分子量成分樹脂ラテックス表面に存在するカルボキシル基量をA[mol/g]、該高分子量成分樹脂ラテックス表面に存在するカルボキシル基量をB[mol/g]としたとき、下記の式(1)が成り立つことを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【0011】
0.6×10-4≦A≦3.5×10-4
0.8×10-4≦B≦4×10-4
1×10-6≦|A−B|≦2×10-4 式(1)
(2) GPCによる分子量分布測定で重量分子量が1,000〜50,000の間にピークを有する低分子量成分樹脂ラテックス、重量分子量が80,000〜700,000の間にピークを有する高分子量成分樹脂ラテックス、着色剤及び定着改良剤を混合し、凝集・融着する事により生成される静電荷像現像用トナーにおいて、該低分子量成分樹脂ラテックス表面に存在するカルボキシル基量をA[mol/g]、該高分子量成分樹脂ラテックス表面に存在するカルボキシル基量をB[mol/g]としたときに以下の式(2)が成り立つことを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【0012】
0.6×10−4≦A≦3.5×10−4
0.8×10−4≦B≦4×10−4
1×10−6≦B−A≦2×10−4 式(2)
(3) 上記低分子量樹脂ラテックス、高分子量樹脂ラテックスが、カルボキシル基を持つイオン性単量体ユニットを含有することを特徴とする(1)又は(2)記載の静電荷像現像用トナー。
【0013】
(4) 感光体上に形成された静電荷潜像を顕像化しトナー像とする画像形成方法において、前記トナーが(1)又は(2)記載の静電荷像現像用トナーであることを特徴とする画像形成方法。
【0014】
(5) 感光体上に形成されたトナー像を転写する画像形成方法において、前記トナーが(1)又は(2)記載の静電荷像現像用トナーであることを特徴とする画像形成方法。
【0015】
(6) 感光体上に形成されたトナー像を転写材上に転写した後、該感光体上に残留したトナーをクリーニングする画像形成方法において、前記トナーが(1)又は(2)記載の静電荷像現像用トナーであることを特徴とする画像形成方法。
【0016】
上記構成により本発明の効果が得られる理由については、下記のごとく考えられる。
【0017】
低分子量成分樹脂ラテックス(A)及び高分子量成分樹脂ラテックス(B)の表面カルボキシル基量を調整することにより、ラテックス粒子を凝集させた粒子(トナー粒子)中のAとBの存在位置が制御できる。即ち、ラテックス表面のカルボキシル基量を多くすることにより、凝集しにくくなるためトナー粒子表面に集まりやすくなる。又、表面カルボキシル基量が少ないと逆にトナー粒子内部に集まり易くなる。このように表面カルボキシル基量を変えることによりトナー粒子中に局在化させることが可能になる。
【0018】
上記性質を利用して、例えば高分子量ラテックスの表面カルボキシル基量を低分子量ラテックスの表面カルボキシル基量より多くするとトナー粒子表面に高分子量成分が局在化するためにトナーの機械的強度が向上する。一方、ラテックスA,Bの表面カルボキシル基量の差が大きくなると、凝集性の差も大きくなりトナー粒子の粒度分布が広がる原因になる。これらのバランスがトナーとして最も良いのが、上記本発明の構成なのであろうと推定される。
【0019】
尚、本発明において分子量のピークとは、GPCで分子量分布を測定したときに検出器で検出された電圧のピークになるところを示す。又、単量体ユニットとは、本発明のラテックスは単量体単位のものを重合して得られるものであり、その単量体単位を指すものである。
【0020】
(ラテックス表面カルボキシル基量)
低分子量成分樹脂ラテックスの表面のカルボキシル基量が0.6×10−4mol/g未満、高分子量成分樹脂ラテックスの表面のカルボキシル基量が0.8×10−4mol/g未満であると、粒度分布が狭く、小粒径のトナーの生成が困難になる。また、トナーに機械的強度を持たせることができない。また、それぞれの表面カルボキシル基量が3.5×10−4mol/gあるいは4×10−4mol/gを越えるとトナー粒子の親水性が強くなり帯電量が不安定になる。
【0021】
低分子量成分樹脂ラテックスと高分子量成分樹脂ラテックスの表面カルボキシル基量の差の絶対値を1×10−6≦|A−B|≦2×10−4の範囲に調整することにより粒度分布の狭いトナー粒子を生成することができる。
【0022】
また、低分子量成分樹脂ラテックスを高分子量樹脂ラテックスの表面カルボキシル基量を1×10−6≦B−A≦2×10−4の範囲に調整することによりトナー粒子表面に高分子量成分が局在化してトナーの機械的強度を持たせることができる。
【0023】
(ラテックス表面カルボキシル基量の調整法)
ラテックス表面のカルボキシル基量の調整は、重合時に添加するモノマー中のカルボキシル基を有するモノマーの比率を変化させることにより可能である。また、重合時のモノマー添加量と水添加量を変化させることによっても可能である。
【0024】
モノマー中のカルボキシル基を有するモノマー比率は、好ましくは1〜12重量部、より好ましくは2〜10重量部である。
【0025】
モノマー添加量/水添加量は任意に変化させることが可能であるが、モノマー添加量が水添加量より多くなると重合が進行しない。好ましい範囲は重量比にて40/60〜3/97であり、より好ましい範囲は35/65〜5/95の範囲で変化させることが好ましい。
【0026】
(ラテックス表面カルボキシル基量の測定)
ラテックス粒子表面のカルボキシル基量は、滴定によって測定できる。滴定方法は、滴定試薬としては強塩基溶液、例えば水酸化ナトリウム水溶液を用いて電気的特性、例えば電導度、pH等を測定して滴定曲線より求める。ラテックス粒子表面のカルボキシル基量は、滴定で求めたカルボキシル基量をラテックス粒子の重量で割った値、即ち単位ラテックス重量当たりのカルボキシル基量として表す。
【0027】
(カルボキシル基を有するモノマー)
カルボキシル基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、テトラヒドロテレフタル酸、α−アルキル置換アクリル酸(置換アルキルは炭素数1〜4)、モノアルキルイタコン酸(置換アルキルは炭素数1〜4)、モノアルキルマレイン酸(置換アルキルは炭素数1〜4)等が挙げられる。
【0028】
(樹脂ラテックス)
樹脂ラテックスは、一般に、乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法、沈澱重合法、界面重合法、合成樹脂の粉砕微粉等を用いることが可能であるが、好ましくは乳化重合法により製造される樹脂ラテックスが用いられる。
【0029】
本発明に係る固体成分(静電荷像現像用トナーに必要なバインダ樹脂以外の成分)を樹脂ラテックスと複合化させる為には、本発明に係る固体成分を所望の単量体中に分散するか、又は固体成分が溶解可能であれば、単量体中に溶解させた後に分散液中に分散し、重合することで合成可能である。
【0030】
特に好ましくは、本発明に係る樹脂ラテックスは、臨界ミセル形成濃度(CMC)以上の濃度の界面活性剤の存在下で本発明に係る固体成分を分散し、この固体成分分散液が含有する界面活性剤がCMC以下になるように希釈を行い、ラジカル重合性単量体及びラジカル重合開始剤を添加し、所定の温度で重合を行うことにより得られる。
【0031】
これらの樹脂ラテックスの粒径は目的とする非球状粒子の粒径以下であれば任意のものを用いることが可能であるが、一般的に用いられる樹脂ラテックスの粒径としては0.01〜10μmの範囲のものが好ましい。
【0032】
(単量体)
本発明の樹脂ラテックスを得る為には、疎水性単量体が用いられる。
【0033】
本発明の疎水性単量体の例としては、スチレン誘導体、例えばスチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−クロルスチレン、o−クロルスチレン、p−メトキシスチレン、o−メトキシスチレン、p−エトキシスチレン、p−ブトキシスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4−ジクロルスチレン、p−クロルメチルスチレン、o−クロルメチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、o−ヒドロキシスチレン等が挙げられる。又、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル等の(メタ)アクリル酸エステル類も挙げられる。更にアクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル系単量体、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル系単量体、酢酸ビニルや酪酸ビニル等のビニルエステル系単量体、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン系単量体、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、ジメチルブタジエン等の共役ジエン類等も挙げられる。これらは必要に応じて単独又は二種以上で用いられる。
【0034】
これら上記各種単量体は、目的に応じ、例えば所望のガラス転移温度、溶融温度等にしたがって選択される。
【0035】
(ラジカル重合開始剤)
本発明の樹脂ラテックスを合成する際には、その重合方法に従ってラジカル重合開始剤の選択がなされる。即ち、懸濁重合法の場合、油溶性ラジカル重合開始剤が用いられ、乳化重合法の場合、水溶性ラジカル重合開始剤が用いられる。更に、分散重合の場合、用いられる分散媒によって適宜選択されるが、非水溶媒を用いる場合及び水混和性有機溶媒と水の混合溶媒を用いる際は、水溶性ラジカル重合開始剤を用いることが可能である。
【0036】
水溶性ラジカル重合開始剤の例として過硫酸塩、例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等、水溶性アゾ化合物、例えばアゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸及びその塩等、水溶性過酸化物、例えば過酸化水素等が挙げられる。
【0037】
油溶性ラジカル重合開始剤の例としては、油溶性過酸化物、例えばベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等が挙げられる。油溶性アゾ系重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスバレロニトリル等が挙げられる。これらは目的とする樹脂ラテックスの分子量等にしたがって添加量を決定する事が可能である。更には、必要に応じて、分子量調節剤、例えばチオール化合物に代表される連鎖移動剤、例えばドデカンチオール、オクチルチオール等を挙げることが可能である。
【0038】
本発明に係る樹脂ラテックスは、そのTgが−10〜120℃の範囲にあれば良く、更に好ましくは0〜90℃である。又、軟化点は80〜220℃の範囲である。上記樹脂ラテックスの単量体組成はこの範囲を満足するものであり、かつ、解離性基を有する重合体単位を重合体に対し0.1〜20重量%含有されておれば良く、その他の共重合モノマーの種類及び組成は問わない。
【0039】
本発明に係る樹脂ラテックスの分子量分布は重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mnと略記する)で1.5〜100、好ましくは1.8〜50である。
【0040】
(固体成分)
本発明に係る樹脂ラテックスは、前述の如く固体成分と複合することができる。固体成分として一般的なものは着色剤としての顔料、染料等である。その他の定着性改良剤(離型剤)、帯電制御剤等を挙げることができる。これらは単独又は併用して複合することができる。
【0041】
顔料としては、無機顔料、有機顔料が挙げられる。無機顔料としてはカーボンブラック、グラフト化カーボン、ファーネスブラック、サーマトミックカーボン等のカーボン系顔料、マグネタイト、フェライト、ベンガラ、酸化チタン、亜鉛華、シリカ、酸化クロム、コバルトブルー、ウルトラマリーン、セルリアンブルー、ミネラルバイオレット、四酸化三鉛等の金属酸化物系顔料、亜鉛粉、鉄粉、銅粉等の金属粉系顔料、硫化亜鉛、カドミウムレッド、硫化水銀、セレンレッド、カドミウムイエロー等の硫化物系顔料、モリブデンレッド、バリウムイエロー、スチロンチウムイエロー、クロムイエロー等のクロム酸塩系顔料、ミロリブルー等のフェロシアン化塩系顔料などが一例として挙げられる。
【0042】
特に、無機顔料としてはカーボンブラック、ファーネスブラック等が好ましい。
【0043】
有機顔料としては、カラーインデックス等に記載されているような化合物が挙げられる。例えば、シアン又はグリーン顔料として、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
【0044】
マゼンタ又はレッド顔料としてC.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
【0045】
イエロー又はオレンジ顔料としてはC.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー180等が挙げられる。
【0046】
一般的には、シアン有機顔料としてはC.I.ピグメントブルー15:3として知られる銅−フタロシアニンが、マゼンタ有機顔料としてはC.I.ピグメントレッド122として知られるジメチルキナクリドンが、イエロー有機顔料としてはC.I.ピグメントイエロー17として知られるジスアゾイエローが用いられる。
【0047】
更に、例えば低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、酸化処理されたポリエチレン、酸化処理されたポリプロピレン、酸変性処理されたポリエチレン、酸変性処理されたポリプロピレン、ポリオレフィン系ワックス(例えば、東邦化学工業社製のハイテック)等の定着性改良剤を用いることが出来る。
【0048】
又、ニグロシン染料、第4級アンモニウム塩、アルキルアミドなどのプラスの帯電制御剤や、アゾ系金属錯体、塩素化パラフィン、塩素化ポリエステル、銅フタロシアニンのスルホニルアミン等のマイナスの帯電制御剤を用いることが出来る。
【0049】
これらは各々重合体に対し0.1〜25重量%含有させることができる。
【0050】
(凝集・融着)
重合工程によって生成された樹脂ラテックスを用いて、凝集、融着を行いトナーを生成する。融着・会合方法としては、様々な方法例えば特開昭60−220358号、特開平4−284464号等がある。しかし、これらは所望の粒径、粒度分布を制御することがかなり困難である。そこで、本発明者らは特開平5−115572号の方法、即ち、樹脂ラテックスの臨界凝集濃度以上の凝集剤及び水に無限溶解する有機溶媒を添加する方法を用いてトナーを生成した。
【0051】
次にこれに限定されるものではないが、図1にデジタル複写機の例をあげ、本発明に係わる画像形成方法を説明する。
【0052】
既に述べてきたように本発明に係わる画像形成プロセスはプリンタ、デジタル複写機等の反転現像を含む画像形成方法において、特にその効果を発揮する。
【0053】
図1の画像形成装置において、図中に記載はないが、原稿に光源からの光を当てて、反射光を画像読み取り部にて電気信号に変え、この画像データを画像書き込み部1〜3に送っている(1はレーザー光源、2はポリゴンミラー、3がfθレンズである)。
【0054】
一方、像形成を担う感光体ドラム4は帯電ユニット5でコロナ放電により均一に帯電され、続いて画像書き込み部のレーザー光源1から像露光光が感光体ドラム4上に照射される。そして次の現像ユニット6で反転現像され、転写極7で記録紙(転写材)8に転写される。記録紙8は分離極9により、感光体ドラムから分離され、定着器10で定着される。一方感光体ドラム4は、クリーニング装置11により清掃される。また、12は帯電前露光ランプであり、これは分離極9の後で、クリーニング装置11の前にあっても良い。
【0055】
トナー像を転写材に転写した後、感光体上に残留したトナーはクリーニングにより除去され、感光体は次の画像形成プロセスに繰り返し使用される。
【0056】
クリーニングする機構は、いわゆる弾性体ゴムブレードを用いたブレードクリーニング方式が望ましい。13は弾性体ゴムブレードを示す。
【0057】
弾性体ゴムブレード13を構成する材料としては、シリコーンゴム、ウレタンゴムなどの弾性体を使用することができる。
【0058】
上記においては単色によるプロセスについて説明したが、場合によっては2色など複数色での像でもよい。画像読み取り時に色分解された各分解色ごとの信号を、帯電、レーザー光露光による画像書き込みとそれに対応するカラートナーが現像されるというプロセスを繰り返し、イエロー、マゼンタ、シアン、黒トナーの4色トナー像が、感光体上に形成され一括して記録紙に転写されるものでも良い。
【0059】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0060】
[定着性改良剤乳化分散液の製造]
低分子量ポリプロピレン120g(数平均分子量=3300、分子量分布(Mw/Mn)=4.5)に常法に従って、無水マレイン酸5.7gを用い変性させ、溶融粘度を測定後、本発明の定着性改良剤は塩酸を溶解したノニルフェノキシエタノール(エトキシユニット付加モル数=20、HLB=16.0)水溶液280gに添加し、水酸化カリウムを用いてpHを9に調整し、加圧、昇温し変性ポリプロピレンの軟化点以上で乳化分散した。この変性ポリプロピレン分散粒径を光散乱電気永動粒径測定装置(ELS−800:大塚電子工業社製)で測定した結果、182nmであった。この定着性改良剤乳化分散液を定着改良剤乳化分散液とする。
【0061】
[顔料分散液1の製造]
カーボンブラック(リーガル330R、キャボット社製)80.0gをイオン交換水530mlにドデシル硫酸ナトリウム36.78gを添加し、超音波ホモジナイザーと加圧型分散機を用い分散を行った。分散液中のカーボンブラックの平均粒径を光散乱電気永動粒径測定装置(ELS−800:大塚電子工業社製)で測定した結果、95nmであった。
【0062】
[顔料分散液2・3・4の製造]
顔料分散液1の製造例のカーボンブラックの代わりに顔料であるC.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントブルー15:3をそれぞれ使用した以外は顔料分散液1の製造例と同様に作製した。分散液中の顔料の平均粒径を光散乱電気永動粒径測定装置(ELS−800:大塚電子工業社製)で測定した結果、それぞれ148nm、133nm、105nmであった。
【0063】
[高分子量成分樹脂ラテックス1の合成例]
冷却管、温度計、撹拌装置、窒素導入管を付けた2lの4頭フラスコに、蒸留水1080mlを添加し、そこにスチレン246.4g、n−ブチルアクリレート48g、メタクリル酸25.6g、tert−ドデシルメルカプタン0.30g、更に定着改良剤乳化分散液64gを添加し、攪拌速度250rpmで攪拌し且つ窒素を流しつつフラスコ内温を70℃になるまで加熱した。70℃に内温を維持しつつ、過硫酸カリウム3.28gを純水200mlに溶解した重合開始剤水溶液を添加し、窒素気流下、内温70℃、攪拌速度250rpmを維持しつつ6時間重合を行った。重合終了後室温まで内温を低下させた後、一部分取しゲルパーミュエーションクロマトグラフィ(以下GPCと略す)を用い分子量を測定した。
なお、高分子量成分樹脂ラテックスを誤解の生じない範囲で高分子量成分ラテックスと略すことがある。
【0064】
上記高分子量成分ラテックスの表面カルボキシル基量を電導度滴定で測定した。
【0065】
電導度滴定は、上記ラテックスを固形分濃度5重量%に希釈し、0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液を15秒間隔で0.5mlづつ滴下し、電導度と水酸化ナトリウム水溶液添加量を用いて滴定曲線を作る。滴定曲線より変極点を求めラテックスの表面カルボキシル基量を求めた。
【0066】
[高分子量成分ラテックス2の合成例]
高分子量成分ラテックス1の合成例のモノマー添加量をスチレン259.2g、n−ブチルアクリレート48g、メタクリル酸12.8gに変更した以外は同一として作製した。
【0067】
[高分子量成分ラテックス3の合成例]
冷却管、温度計、攪拌装置、窒素導入管を付けた2lの4頭フラスコに、蒸留水1240mlを添加し、そこにスチレン123.2g、n−ブチルアクリレート24g、メタクリル酸12.8g、tert−ドデシルメルカプタン0.15g、更に定着改良剤乳化分散液32gを添加し、撹拌速度350rpmで撹拌し且つ窒素を流しつつフラスコ内温を70℃になるまで加熱した。70℃に内温を維持しつつ、過硫酸カリウム1.64gを純水100mlに溶解した重合開始剤水溶液を添加し、窒素気流下、内温70℃、撹拌速度250rpmを維持しつつ6時間重合を行った。
【0068】
また、高分子量成分ラテックス1の合成例と同様な方法で分子量とラテックス表面カルボキシル基量を測定した。
【0069】
[高分子量成分ラテックス4の合成例]
冷却管、温度計、攪拌装置、窒素導入管を付けた2lの4頭フラスコに、蒸留水1080mlを添加し、そこにスチレン270.4g、n−ブチルアクリレート48g、メタクリル酸1.6g、tert−ドデシルメルカプタン0.30g、更に定着改良剤乳化分散液64gを添加し、撹拌速度350rpmで撹拌し且つ窒素を流しつつフラスコ内温を70℃になるまで加熱した。70℃に内温を維持しつつ、過硫酸カリウム3.23gを純水100mlに溶解した重合開始剤水溶液を添加し、窒素気流下、内温70℃、撹拌速度250rpmを維持しつつ6時間重合を行った。
【0070】
また、高分子量成分ラテックス1の合成例と同様な方法で分子量とラテックス表面カルボキシル基量を測定した。
【0071】
[高分子量成分ラテックス5の合成例]
冷却管、温度計、攪拌装置、窒素導入管を付けた2lの4頭フラスコに、蒸留水1320mlを添加し、そこにスチレン63.2g、n−ブチルアクリレート12g、メタクリル酸4.8g、tert−ドデシルメルカプタン0.08g、更に定着改良剤乳化分散液16gを添加し、撹拌速度250rpmで撹拌し、且つ窒素を流しつつフラスコ内温を70℃になるまで加熱した。70℃に内温を維持しつつ、過硫酸カリウム0.82gを純水100mlに溶解した重合開始剤水溶液を添加し、窒素気流下、内温70℃、撹拌速度250rpmを維持しつつ6時間重合を行った。
【0072】
また、高分子量成分ラテックス1の合成例と同様な方法で分子量とラテックス表面カルボキシル基量を測定した。
【0073】
[低分子量成分樹脂ラテックス1の合成例]
冷却管、温度計、撹拌装置、窒素導入管を付けた2lの4頭フラスコに、蒸留水1080mlを添加し、そこにスチレン256.0g、n−ブチルアクリレート48g、メタクリル酸16.0g、tert−ドデシルメルカプタン11.0g、更に定着改良剤乳化分散液64gを添加し、攪拌速度350rpmで攪拌し且つ窒素を流しつつフラスコ内温を70℃になるまで加熱した。70℃に内温を維持しつつ、過硫酸カリウム3.26gを純水100mlに溶解した重合開始剤水溶液を添加し、窒素気流下、内温70℃、攪拌速度350rpmを維持しつつ6時間重合を行った。
なお、低分子量成分樹脂ラテックスを誤解の生じない範囲で低分子量成分ラテックスと略すことがある。
【0074】
また、高分子量成分ラテックス1の合成例と同様な方法で分子量とラテックス表面カルボキシル基量を測定した。
【0075】
[低分子量成分ラテックス2の合成例]
低分子量成分ラテックス1の合成例のモノマー添加量をスチレン249.6g、n−ブチルアクリレート48g、メタクリル酸22.4gに変更した以外は同一にして作製した。
【0076】
また、高分子量成分ラテックス1の合成例と同様な方法で分子量とラテックス表面カルボキシル基量を測定した。
【0077】
[低分子量成分ラテックス3の合成例]
冷却管、温度計、攪拌装置、窒素導入管を付けた1lの4頭フラスコに、蒸留水920mlを添加し、そこにスチレン384.0g、n−ブチルアクリレート72g、メタクリル酸24.0g、tert−ドデシルメルカプタン16.5g、更に定着改良剤乳化分散液96gを添加し、撹拌速度250rpmで撹拌し且つ窒素を流しつつフラスコ内温を70℃になるまで加熱した。70℃に内温を維持しつつ、過硫酸カリウム4.90gを純水100mlに溶解した重合開始剤水溶液を添加し、窒素気流下、内温70℃、撹拌速度250rpmを維持しつつ6時間重合を行った。
【0078】
また、高分子量成分ラテックス1の合成例と同様な方法で分子量とラテックス表面カルボキシル基量を測定した。
【0079】
[低分子量成分ラテックス4の合成例]
冷却管、温度計、攪拌装置、窒素導入管を付けた1lの4頭フラスコに、蒸留水1320mlを添加し、そこにスチレン64.8g、n−ブチルアクリレート12g、メタクリル酸3.2g、tert−ドデシルメルカプタン2.74g、更に定着改良剤乳化分散液16gを添加し、撹拌速度250rpmで撹拌し且つ窒素を流しつつフラスコ内温を70℃になるまで加熱した。70℃に内温を維持しつつ、過硫酸カリウム0.81gを純水100mlに溶解した重合開始剤水溶液を添加し、窒素気流下、内温70℃、撹拌速度350rpmを維持しつつ6時間重合を行った。
【0080】
また、高分子量成分ラテックス1の合成例と同様な方法で分子量とラテックス表面カルボキシル基量を測定した。
【0081】
[低分子量成分ラテックス5の合成例]
冷却管、温度計、攪拌装置、窒素導入管を付けた1lの4頭フラスコに、蒸留水920mlを添加し、そこにスチレン405.6g、n−ブチルアクリレート72g、メタクリル酸2.4g、tert−ドデシルメルカプタン16.3g、更に定着改良剤乳化分散液96gを添加し、撹拌速度250rpmで撹拌し且つ窒素を流しつつフラスコ内温を70℃になるまで加熱した。70℃に内温を維持しつつ、過硫酸カリウム4.85gを純水100mlに溶解した重合開始剤水溶液を添加し、窒素気流下、内温70℃、撹拌速度350rpmを維持しつつ6時間重合を行った。
【0082】
また、高分子量成分ラテックス1の合成例と同様な方法で分子量とラテックス表面カルボキシル基量を測定した。
【0083】
【表1】
【0084】
[トナー合成例1]
低分子ラテックス表面カルボキシル基量A=2.11×10−4、高分子ラテックス表面カルボキシル基量B=2.16×10−4のラテックスの組み合わせのトナー製造例。
【0085】
低分子量成分ラテックス2を400g、高分子量成分ラテックス1を100g、顔料分散液1を65gとイオン交換水340mlを5N水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH=9.5に調整した後、撹拌装置、冷却管、温度センサーを装着した2lの4頭フラスコに入れ、250rpmで撹拌を行った。ここに、塩化ナトリウム59.4gを260mlの蒸留水に溶解した電解質水溶液を添加し、更にイソプロピルアルコール88ml、トリトンX−100を9.0gを蒸留水70mlに溶解したノニオン界面活性剤水溶液を順次添加した後、内温を85℃まで昇温し6時間反応を行った。
【0086】
反応液を濾過後、蒸留水を加え再分散し、5Nの水酸化ナトリウム水溶液を用いpH=13に調整し水洗、濾過を繰り返し、界面活性剤及び電解質を除去した後、乾燥を行った。乾燥後粒径をコールターカウンターを用い測定した。トナーの変動係数(CV)は標準偏差σを体積平均粒径d50で割った値である。このトナーをトナー1とする。
【0087】
[トナー合成例2]
低分子ラテックス表面カルボキシル基量A=1.02×10−4、高分子ラテックス表面カルボキシル基量B=1.17×10−4のラテックスの組み合わせのトナー製造例。
【0088】
低分子量成分ラテックス3を267g、高分子量成分ラテックス2を100g、顔料分散液1を65gとイオン交換水473mlを5N水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH=9.5に調整した後、撹拌装置、冷却管、温度センサーを装着した2lの4頭フラスコに入れ、250rpmで撹拌を行った。ここに、塩化ナトリウム46.9gを260mlの蒸留水に溶解した電解質水溶液を添加し、更にイソプロピルアルコール77ml、トリトンX−100を9.0gを蒸留水70mlに溶解したノニオン界面活性剤水溶液を順次添加した後、内温を85℃まで昇温し6時間反応を行った。
【0089】
反応液を濾過後、蒸留水を加え再分散し、5Nの水酸化ナトリウム水溶液を用いpH=13に調整し水洗、濾過を繰り返し、界面活性剤及び電解質を除去した後、乾燥を行った。乾燥後粒径をコールターカウンターを用い測定した。このトナーをトナー2とする。
【0090】
[トナー合成例3]
低分子ラテックス表面カルボキシル基量A=1.02×10−4、高分子ラテックス表面カルボキシル基量B=2.78×10−4のラテックスの組み合わせのトナー製造例。
【0091】
低分子量成分ラテックス3を267g、高分子量成分ラテックス3を200g、顔料分散液1を65gとイオン交換水373mlを5N水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH=9.5に調整した後、撹拌装置、冷却管、温度センサーを装着した2lの4頭フラスコに入れ、250rpmで撹拌を行った。ここに、塩化ナトリウム53.2gを260mlの蒸留水に溶解した電解質水溶液を添加し、更にイソプロピルアルコール88ml、トリトンX−100を9.0gを蒸留水70mlに溶解したノニオン界面活性剤水溶液を順次添加した後、内温を85℃まで昇温し6時間反応を行った。
【0092】
反応液を濾過後、蒸留水を加え再分散し、5Nの水酸化ナトリウム水溶液を用いpH=13に調整し水洗、濾過を繰り返し、界面活性剤及び電解質を除去した後、乾燥を行った。乾燥後粒径をコールターカウンターを用い測定した。このトナーをトナー3とする。
【0093】
[トナー合成例4]
低分子ラテックス表面カルボキシル基量A=2.11×10−4、高分子ラテックス表面カルボキシル基量B=2.16×10−4のラテックスの組み合わせのトナー製造例。
【0094】
低分子量成分ラテックス2を267g、高分子量成分ラテックス1を100g、顔料分散液2を65gとイオン交換水473mlを5N水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH=9.5に調整した後、撹拌装置、冷却管、温度センサーを装着した2lの4頭フラスコに入れ、250rpmで撹拌を行った。ここに、塩化ナトリウム62.5gを260mlの蒸留水に溶解した電解質水溶液を添加し、更にイソプロピルアルコール80ml、トリトンX−100を9.0gを蒸留水70mlに溶解したノニオン界面活性剤水溶液を順次添加した後、内温を85℃まで昇温し6時間反応を行った。
【0095】
反応液を濾過後、蒸留水を加え再分散し、5Nの水酸化ナトリウム水溶液を用いpH=13に調整し水洗、濾過を繰り返し、界面活性剤及び電解質を除去した後、乾燥を行った。乾燥後粒径をコールターカウンターを用い測定した。このトナーをトナー4とする。
【0096】
[トナー合成例5]
低分子ラテックス表面カルボキシル基量A=2.11×10−4、高分子ラテックス表面カルボキシル基量B=2.16×10−4のラテックスの組み合わせのトナー製造例。
【0097】
低分子量成分ラテックス2を267g、高分子量成分ラテックス1を100g、顔料分散液3を65gとイオン交換水473mlを5N水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH=9.5に調整した後、撹拌装置、冷却管、温度センサーを装着した2lの4頭フラスコに入れ、250rpmで撹拌を行った。ここに、塩化ナトリウム43.8gを260mlの蒸留水に溶解した電解質水溶液を添加し、更にイソプロピルアルコール77ml、トリトンX−100を9.0gを蒸留水70mlに溶解したノニオン界面活性剤水溶液を順次添加した後、内温を85℃まで昇温し6時間反応を行った。
【0098】
反応液を濾過後、蒸留水を加え再分散し、5Nの水酸化ナトリウム水溶液を用いpH=13に調整し水洗、濾過を繰り返し、界面活性剤及び電解質を除去した後、乾燥を行った。乾燥後粒径をコールターカウンターを用い測定した。このトナーをトナー5とする。
【0099】
[トナー合成例6]
低分子ラテックス表面カルボキシル基量A=2.11×10−4、高分子ラテックス表面カルボキシル基量B=2.16×10−4のラテックスの組み合わせのトナー製造例。
【0100】
低分子量成分ラテックス2を267g、高分子量成分ラテックス1を100g、顔料分散液4を65gとイオン交換水473mlを5N水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH=9.5に調整した後、撹拌装置、冷却管、温度センサーを装着した2lの4頭フラスコに入れ、250rpmで撹拌を行った。ここに、塩化ナトリウム46.9gを260mlの蒸留水に溶解した電解質水溶液を添加し、更にイソプロピルアルコール80ml、トリトンX−100を9.0gを蒸留水70mlに溶解したノニオン界面活性剤水溶液を順次添加した後、内温を85℃まで昇温し6時間反応を行った。
【0101】
反応液を濾過後、蒸留水を加え再分散し、5Nの水酸化ナトリウム水溶液を用いpH=13に調整し水洗、濾過を繰り返し、界面活性剤及び電解質を除去した後、乾燥を行った。乾燥後粒径をコールターカウンターを用い測定した。このトナーをトナー6とする。
【0102】
[比較トナー合成例1]
低分子ラテックス表面カルボキシル基量A=0.26×10−4、高分子ラテックス表面カルボキシル基量B=2.78×10−4のラテックスの組み合わせのトナー製造例。
【0103】
低分子量成分ラテックス5を267g、高分子量成分ラテックス3を200g、顔料分散液1を65gとイオン交換水373mlを5N水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH=9.5に調整した後、撹拌装置、冷却管、温度センサーを装着した2lの4頭フラスコに入れ、250rpmで撹拌を行った。ここに、塩化ナトリウム43.8gを260mlの蒸留水に溶解した電解質水溶液を添加し、更にイソプロピルアルコール77ml、トリトンX−100を9.0gを蒸留水70mlに溶解したノニオン界面活性剤水溶液を順次添加した後、内温を85℃まで昇温し6時間反応を行った。
【0104】
反応液を濾過後、蒸留水を加え再分散し、5Nの水酸化ナトリウム水溶液を用いpH=13に調整し水洗、濾過を繰り返し、界面活性剤及び電解質を除去した後、乾燥を行った。乾燥後粒径をコールターカウンターを用い測定した。このトナーを比較トナー1とする。
【0105】
[比較トナー合成例2]
低分子ラテックス表面カルボキシル基量A=2.11×10−4、高分子ラテックス表面カルボキシル基量B=0.37×10−4のラテックスの組み合わせのトナー製造例。
【0106】
低分子量成分ラテックス2を400g、高分子量成分ラテックス4を100g、顔料分散液1を65gとイオン交換水340mlを5N水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH=9.5に調整した後、撹拌装置、冷却管、温度センサーを装着した2lの4頭フラスコに入れ、250rpmで撹拌を行った。ここに、塩化ナトリウム42.5gを260mlの蒸留水に溶解した電解質水溶液を添加し、更にイソプロピルアルコール77ml、トリトンX−100を9.0gを蒸留水70mlに溶解したノニオン界面活性剤水溶液を順次添加した後、内温を85℃まで昇温し6時間反応を行った。
【0107】
反応液を濾過後、蒸留水を加え再分散し、5Nの水酸化ナトリウム水溶液を用いpH=13に調整し水洗、濾過を繰り返し、界面活性剤及び電解質を除去した後、乾燥を行った。乾燥後粒径をコールターカウンターを用い測定した。トナーの変動係数(CV)は標準偏差σを体積平均粒径d50で割った値である。このトナーを比較トナー2とする。
【0108】
[比較トナー合成例3]
低分子ラテックス表面カルボキシル基量A=1.84×10−4、高分子ラテックス表面カルボキシル基量B=0.37×10−4のラテックスの組み合わせのトナー製造例。
【0109】
低分子量成分ラテックス1を400g、高分子量成分ラテックス4を100g、顔料分散液1を65gとイオン交換水340mlを5N水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH=9.5に調整した後、撹拌装置、冷却管、温度センサーを装着した2lの4頭フラスコに入れ、250rpmで撹拌を行った。ここに、塩化ナトリウム38.8gを260mlの蒸留水に溶解した電解質水溶液を添加し、更にイソプロピルアルコール77ml、トリトンX−100を9.0gを蒸留水70mlに溶解したノニオン界面活性剤水溶液を順次添加した後、内温を85℃まで昇温し6時間反応を行った。
【0110】
反応液を濾過後、蒸留水を加え再分散し、5Nの水酸化ナトリウム水溶液を用いpH=13に調整し水洗、濾過を繰り返し、界面活性剤及び電解質を除去した後、乾燥を行った。乾燥後粒径をコールターカウンターを用い測定した。このトナーを比較トナー3とする。
【0111】
[比較トナー合成例4]
低分子ラテックス表面カルボキシル基量A=0.26×10−4、高分子ラテックス表面カルボキシル基量B=0.37×10−4のラテックスの組み合わせのトナー製造例。
【0112】
高分子量成分ラテックス5を267g、低分子量成分ラテックス4を100g、顔料分散液1を65gとイオン交換水473mlを5N水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH=9.5に調整した後、撹拌装置、冷却管、温度センサーを装着した1lの4頭フラスコに入れ、250rpmで撹拌を行った。ここに、塩化ナトリウム25.0gを260mlの蒸留水に溶解した電解質水溶液を添加し、更にイソプロピルアルコール57ml、トリトンX−100 9.0gを蒸留水70mlに溶解したノニオン界面活性剤水溶液を順次添加した後、内温を85℃まで昇温し6時間反応を行った。
【0113】
反応液を濾過後、蒸留水を加え再分散し、5Nの水酸化ナトリウム水溶液を用いpH=13に調整し水洗、濾過を繰り返し、界面活性剤及び電解質を除去した後、乾燥を行った。乾燥後粒径をコールターカウンターを用い測定した。このトナーを比較トナー4とする。
【0114】
[比較トナー合成例5]
低分子ラテックス表面カルボキシル基量A=4.25×10−4、高分子ラテックス表面カルボキシル基量B=4.31×10−4のラテックスの組み合わせのトナー製造例。
【0115】
低分子量成分ラテックス4を600g、高分子量成分ラテックス5を150g、顔料分散液1を25gとイオン交換水90mlを5N水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH=9.5に調整した後、撹拌装置、冷却管、温度センサーを装着した1lの4頭フラスコに入れ、250rpmで撹拌を行った。ここに、塩化ナトリウム79.4gを260mlの蒸留水に溶解した電解質水溶液を添加し、更にイソプロピルアルコール93ml、トリトンX−100 9.0gを蒸留水70mlに溶解したノニオン界面活性剤水溶液を順次添加した後、内温を85℃まで昇温し6時間反応を行った。
【0116】
反応液を濾過後、蒸留水を加え再分散し、5Nの水酸化ナトリウム水溶液を用いpH=13に調整し水洗、濾過を繰り返し、界面活性剤及び電解質を除去した後、乾燥を行った。乾燥後粒径をコールターカウンターを用い測定した。このトナーを比較トナー5とする。
【0117】
【表2】
【0118】
評価1
本発明のトナー1〜6及び比較トナー1〜5を用い、これら100重量部に対して疎水性シリカ2重量部、酸化チタン1重量部を添加混合し、この外添処理トナー5重量部とメタクリル酸メチル/スチレン共重合体(MAA/St=7/3重量比)で表面被覆したフェライト粒子(キャリア、平均粒径60μm)95重量部を混合し、本発明の現像剤1〜3及び比較現像剤1〜4とした。この現像剤を振とう機で60分振とうした時の帯電量をブローオフ法を用いて測定した。測定は低温低湿(LL)、高温高湿(HH)で行い、LLとHHの帯電量差を環境差とした。
【0119】
測定結果を表3に示した。
【0120】
【表3】
【0121】
この結果、低分子量成分ラテックスの表面カルボキシル基量が0.6×10−4以上、3.5×10−4以下、高分子量成分ラテックスの表面カルボキシル基量が0.8×10−4以上、4×10−4以下で|A−B|が発明規定内のトナーの帯電量は、環境差が非常に少ない。
【0122】
評価2
定着ローラー温度を180℃へ固定したものを用い、上記現像剤を使用し、コニカ製カラー複写機9028を改造してロングランを実施した。条件は下記に示す条件である。感光体としては積層型有機感光体を使用した。
【0123】
感光体表面電位=−550V
DCバイアス=−250V
ACバイアス=Vp−p:−50〜−450V
交番電界周波数=1800Hz
Dsd=300μm
押圧規制力=10gf/mm
押圧規制棒=SUS416(磁性ステンレス製)/直径3mm
現像剤層厚=150μm
現像スリーブ=20mm
環境条件は高温高湿(33℃/80%RH)にて実施し、5000枚毎にべた黒画像をプリントしながら、連続で画素率が1%の画像を10万枚の印字をし、画像汚れの発生の有無を比較した。
【0124】
画像汚れとは、トナーが現像器等に付着し、べた黒画像に白すじ等が発生する程度を評価した。
【0125】
測定結果を表4に示した。
【0126】
【表4】
【0127】
この結果から、本発明内のトナー1〜6に比して比較トナー1,2は、画像汚れが多いことが明白である。
【0128】
【発明の効果】
本発明により、トナーにおいて分子量の異なる樹脂粒子をトナー粒子中で局在化させて、トナー粒子の機械的強度を改善することが出来る。また、小粒径で粒度分布の狭いトナー粒子を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる画像形成方法を説明する概要断面図。
【符号の説明】
1 レーザー光源
4 感光体ドラム
5 帯電ユニット
6 現像ユニット
7 転写極
11 クリーニング装置
13 弾性体ゴムブレード
Claims (6)
- GPCによる分子量分布測定で重量分子量が1,000〜50,000の間にピークを有する低分子量成分樹脂ラテックス、重量分子量が80,000〜700,000の間にピークを有する高分子量成分樹脂ラテックス、着色剤及び定着改良剤を混合し、凝集・融着する事により生成される静電荷像現像用トナーにおいて、該低分子量成分樹脂ラテックス表面に存在するカルボキシル基量をA[mol/g]、該高分子量成分樹脂ラテックス表面に存在するカルボキシル基量をB[mol/g]としたとき、下記の式(1)が成り立つことを特徴とする静電荷像現像用トナー。
0.6×10-4≦A≦3.5×10-4
0.8×10-4≦B≦4×10-4
1×10-6≦|A−B|≦2×10-4 式(1) - GPCによる分子量分布測定で重量分子量が1,000〜50,000の間にピークを有する低分子量成分樹脂ラテックス、重量分子量が80,000〜700,000の間にピークを有する高分子量成分樹脂ラテックス、着色剤及び定着改良剤を混合し、凝集・融着する事により生成される静電荷像現像用トナーにおいて、該低分子量成分樹脂ラテックス表面に存在するカルボキシル基量をA[mol/g]、該高分子量成分樹脂ラテックス表面に存在するカルボキシル基量をB[mol/g]としたときに以下の式(2)が成り立つことを特徴とする静電荷像現像用トナー。
0.6×10-4≦A≦3.5×10-4
0.8×10-4≦B≦4×10-4
1×10-6≦B−A≦2×10-4 式(2) - 上記低分子量樹脂ラテックス、高分子量樹脂ラテックスが、カルボキシル基を持つイオン性単量体ユニットを含有することを特徴とする請求項1又は2記載の静電荷像現像用トナー。
- 感光体上に形成された静電荷潜像を顕像化しトナー像とする画像形成方法において、前記トナーが請求項1又は2記載の静電荷像現像用トナーであることを特徴とする画像形成方法。
- 感光体上に形成されたトナー像を転写する画像形成方法において、前記トナーが請求項1又は2記載の静電荷像現像用トナーであることを特徴とする画像形成方法。
- 感光体上に形成されたトナー像を転写材上に転写した後、該感光体上に残留したトナーをクリーニングする画像形成方法において、前記トナーが請求項1又は2記載の静電荷像現像用トナーであることを特徴とする画像形成方法。
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JPH11194541A (ja) | 1999-07-21 |
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