JPH07179538A - 新規ブロック重合体およびその製造方法 - Google Patents

新規ブロック重合体およびその製造方法

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JPH07179538A
JPH07179538A JP32895493A JP32895493A JPH07179538A JP H07179538 A JPH07179538 A JP H07179538A JP 32895493 A JP32895493 A JP 32895493A JP 32895493 A JP32895493 A JP 32895493A JP H07179538 A JPH07179538 A JP H07179538A
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雅年 吉田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 種々の用途に有効に利用できる安価な新規ブ
ロック重合体を提供する。 【構成】 この発明の新規ブロック重合体は、多価メル
カプタン部分を中心として複数の重合体部分が放射状に
伸びた構造を備え、数平均分子量が2,000〜1,0
00,000であり、前記複数の重合体部分が2以上の
異なる組成を有する。このブロック重合体は、多価メル
カプタンを重合開始剤として用いて、異なる組成の重合
性単量体成分のラジカル重合を2段以上行うことにより
作られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、新規なブロック重合
体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ある重合体にこれと異なる組成を有する
重合体部分(または重合体ブロック)を導入して別の物
性を付与した星型ブロック重合体が種々提案されてい
る。従来の星型ブロック重合体は、縮合重合体からなる
交さ結合型コアと、このコアに結合した鎖の末端に官能
基を有するアクリル系ブロック重合体連鎖からなる、コ
アに結合した少なくとも5つのアームからなるハイブリ
ッド星形重合体(特開昭63−132914号公報参
照)、ジフェニルエチレン誘導体を中心として重合によ
り生成した3つの重合体部分が放射状に伸びた構造を有
する星型共重合体(特開平3−190911号公報参
照)、重合性二重結合を少なくとも2つ有する多官能性
架橋剤を中心として重合により生成した2以上の重合体
部分が放射状に伸びた構造を有する星形共重合体(特表
平5−500827号公報参照)、ジチオカルバメート
基を利用した光開始ラジカル重合により生成した星型ブ
ロック重合体(Poly. J., 16, 511(1984) 参照)、重合
体末端に導入したトリフェニルメチル基を利用した熱開
裂ラジカル重合により生成した星型ブロック重合体(Po
ly. Bull., 16, 277(1985) 参照)などである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の星型ブロッ
ク重合体は、放射状構造の中心となる部分が縮合重合
体、ジフェニルエチレン誘導体、多官能性架橋剤、多官
能重合開始剤などに由来するので、重合体部分の組み合
わせが限定されたり、重合体部分が単独重合体に由来す
るものに限られたり、重合体部分を構成する単量体単位
の種類が限られたり、あるいは、光(紫外線)を照射す
る必要があり、単量体の深さ方向への浸透力が弱く工業
的に多量生産するには好ましくないという問題が生じて
いた。このため、従来の星型ブロック重合体は、工業的
に利用可能な分野が非常に限られ、高価であった。
【0004】この発明は、成形用樹脂、ホットメルト接
着剤、ホットメルト粘着剤、熱可塑性エラストマー、ト
ナー用樹脂、高強度両面粘着テープの支持体、水溶性粘
着剤、耐衝撃性改良樹脂、相溶化剤、タッキファイヤ
ー、分散剤など種々の用途に有効に利用できる安価な新
規ブロック重合体を提供することを課題とする。この発
明は、また、そのような新規ブロック重合体を工業的に
安価なラジカル重合方法により容易に製造する方法を提
供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記課題を
解決するための手段を種々検討した結果、重合開始剤と
して多価メルカプタンを使うと、高確率で重合体部分が
導入でき、物性付与できることを見いだした。従って、
この発明は、多価メルカプタン部分を中心として複数の
重合体部分が放射状に伸びた構造を備え、数平均分子量
が2,000〜1,000,000であり、前記複数の
重合体部分が2以上の異なる組成を有する新規ブロック
重合体を提供する。
【0006】この発明は、また、多価メルカプタン存在
下に、前記多価メルカプタンの有するメルカプト基を発
端として重合性単量体成分のラジカル重合を行う第1工
程、先に行われたラジカル重合による生成物の存在下
に、先に行われたラジカル重合に用いた重合性単量体成
分とは異なる組成を有する重合性単量体成分のラジカル
重合を行う第2工程を備えた新規ブロック重合体の製造
方法を提供する。
【0007】この発明では、2個の重合体部分が多価メ
ルカプタンを中心にして2方向に伸びている場合(直線
状に伸びている場合も含む)も放射状と言う。前記多価
メルカプタン部分とは、多価メルカプタンから複数のメ
ルカプト基のプロトンが解離した残りの部分を言う。ま
た、前記重合体部分とは、重合性単量体が、重合してな
る、好ましくはラジカル重合してなる、単独重合体また
は共重合体の構造を有する部分である。ラジカル重合し
て得られる重合体部分は、アニオン重合などのイオン重
合により生成した重合体部分よりも組成の種類が多様で
あり、使用される単量体の種類もラジカル重合可能であ
ること以外は特に制限されないし、共重合体であること
も可能である。重合体部分の一端の炭素原子は多価メル
カプタン部分のメルカプト基に由来するイオウ原子に結
合している。
【0008】この発明に用いられる多価メルカプタンと
は、1分子あたり2個以上のメルカプト基を有する化合
物であり、1分子あたりのメルカプト基の個数が2、
3、…であるメルカプタンを、それぞれ、2価のメルカ
プタン、3価のメルカプタン、…と言う。多価メルカプ
タンとしては、たとえば、エチレングリコールや1,4
−ブタンジオールのようなジオールとカルボキシル基含
有メルカプタン類のジエステル;トリメチロールプロパ
ン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールな
ど水酸基を3個以上有する化合物とカルボキシル基含有
メルカプタン類のポリエステル化合物;トリチオグリセ
リンなどのメルカプト基を3個以上有する化合物;2−
ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−S−ト
リアジン、2,4,6−トリメルカプト−S−トリアジ
ンなどのトリアジン多価チオール類;多価エポキシ化合
物の複数のエポキシ基に硫化水素を付加させて複数のメ
ルカプト基を導入してなる化合物;多価カルボン酸の複
数のカルボキシル基とメルカプトエタノールをエステル
化してなるエステル化合物などを挙げることができ、そ
れらのいずれかを単独で、または、2以上を合わせて使
用することができる。ここで、カルボキシル基含有メル
カプタン類とは、チオグリコール酸、メルカプトプロピ
オン酸、チオサリチル酸など、1個のメルカプト基と1
個のカルボキシル基を有する化合物である。
【0009】この発明に用いられる多価メルカプタン
は、効率良くブロック重合体を製造する観点から、ま
た、得られる重合体を同一中心から放射状に伸びた構造
を導入することでより高性能にする観点から、好ましく
は2〜10個のメルカプト基を有する化合物(すなわ
ち、2〜10価のメルカプタン)、より好ましくは3〜
6個のメルカプト基を有する化合物(すなわち、3〜6
価のメルカプタン)である。メルカプト基を1個だけ有
するメルカプタンは重合体部分が放射状に伸びた構造を
与えない。メルカプト基を10個より多く有するメルカ
プタンは、同一中心から放射状に伸びた構造とはならな
いため、得たい物性が発現しないおそれがある。
【0010】この発明では、多価メルカプタン部分とし
ては、3〜6価のメルカプタンである、トリメチロール
プロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパ
ントリチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテト
ラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラ
キスチオプロピオネート、ジペンタエリスリトールヘキ
サキスチオグリコレート、ジペンタエリスリトールヘキ
サキスチオプロピオネートから選ばれる少なくとも1つ
の化合物に由来するものであることが好ましい。この理
由は、生成するブロック重合体が同一中心から放射状に
星型の構造をとるため、重合体鎖間のからみによる効果
(たとえば、高凝集力)や相分離構造の形態変化が期待
できるという利点があるからである。
【0011】この発明では、放射状に伸びた複数の重合
体部分は、2以上の異なる組成を有する。この組成の違
いは、単独重合体に由来する場合には、重合体を構成す
る単量体単位の違い、重合体の数平均分子量、または、
共重合体に由来する場合には、単量体単位の違い、重合
体の数平均分子量、単量体単位の割合の違いなどにより
得られる。前記重合体部分は、通常、数平均分子量が、
1,000〜500,000、好ましくは5,000〜
200,000、より好ましくは10,000〜10
0,000である。重合体部分の数平均分子量が前記範
囲を下回るとこの発明の新規ブロック重合体に重合体部
分に基づく特性を導入することができないおそれがあ
り、上回ると製造時の粘度が高くなり、生産性の点で好
ましくないおそれがある。
【0012】この発明のブロック重合体において、異な
る組成を有する重合体部分の組み合わせは、ブロック重
合体に求められる性能(または用途)により違ってく
る。基本的に重合体部分の組み合わせとしては、ガラス
転移温度(Tg)の異なる重合体に由来する重合体部分
の組み合わせ、相溶性の異なる重合体に由来する重合体
部分の組み合わせ、溶解性の異なる重合体に由来する重
合体部分の組み合わせ、活性水素含有の有無からなる重
合体に由来する重合体部分の組み合わせなどがある。
【0013】たとえば、Tgの異なる重合体に由来する
重合体部分を組み合わせることで、Tgの高い重合体に
由来する重合体部分が連続相を形成した場合には、高耐
熱性・高耐衝撃性の成形材料やトナー用樹脂に好ましい
ブロック重合体が、Tgの低い重合体に由来する重合体
部分が連続相を形成した場合には、高強度・高伸び率の
フィルム(支持体、塗膜)、ホットメルト粘着剤・接着
剤、熱可塑性エラストマーなどに好ましいブロック重合
体が得られる。このようなブロック重合体の一例として
は、Tgの高い重合体としてポリメチルメタクリレート
(PMMA)、Tgの低い重合体としてポリブチルアク
リレート(PBA)の組み合わせが挙げられる。この組
み合わせの場合、PMMAの数平均分子量は5,000
〜200,000が好ましく、PBAの数平均分子量は
10,000〜150,000が好ましく、PMMA/
PBAの重量比は10/90〜90/10の範囲が好ま
しい。これらの範囲を外れると十分な性能が得られない
おそれがある。なお、Tgの高い重合体に由来する重合
体部分が連続相を形成するためには、Tgの高い重合体
の割合を増すか、または、Tgの高い重合体の溶融粘度
を下げる必要があり、Tgの低い重合体に由来する重合
体部分が連続相を形成するためには、Tgの低い重合体
の割合を増すか、または、Tgの低い重合体の溶融粘度
を下げる必要がある。
【0014】相溶性の異なる重合体の組み合わせ例とし
ては、アクリロニトリル−スチレン共重合体〔P(AN
/St)〕とポリブタジエン(PBd)が挙げられ、A
S樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合体)へのP
Bdゴムの分散剤、耐衝撃性改良樹脂などとして好まし
く使用できる。この組み合わせの場合、P(AN/S
t)の数平均分子量は10,000〜100,000が
好ましく、PBdの数平均分子量は3,000〜10
0,000が好ましく、〔P(AN/St)〕/PBd
の重量比は10/90〜90/10の範囲が好ましく、
P(AN/St)のアクリロニトリル/スチレンの重量
比は1/99〜50/50の範囲が好ましい。これらの
範囲を外れると十分な物性が得られなかったり、取り扱
いが困難になるおそれがある。
【0015】溶解性の異なる重合体の組み合わせ例とし
ては、ポリアクリル酸(PAA)とブチルアクリレート
−エチルアクリレート共重合体〔P(BA/EA)〕が
好ましく挙げられ、PAAの水溶性とP(BA/EA)
の粘着性・水不溶性が両立した、水再分散性の粘着剤が
得られる。この組み合わせの場合、P(BA/EA)の
数平均分子量は10,000〜150,000が好まし
く、PAAの数平均分子量は1,000〜50,000
が好ましく、〔P(BA/EA)〕/PAAの重量比は
95/5〜50/50の範囲が好ましく、P(BA/E
A)のブチルアクリレート/エチルアクリレートの重量
比は0/100〜100/0の範囲(すなわち、ブチル
アクリレートの単独重合体、エチルアクリレートの単独
重合体および両単独重合体の間の任意の比率の共重合
体)が好ましい。これらの範囲を外れると水分散性(あ
るいは水溶解性)と粘着性のバランスが悪くなるおそれ
がある。
【0016】この発明のブロック重合体では、多価メル
カプタン部分が3〜6価のメルカプタンの残基であり、
複数の重合体部分が2つの異なる組成を有し、下記一般
式(I):
【0017】
【化2】
【0018】で表される重合体が可能である。上記
(I)式中、PAとPBとは異なる組成を持つ重合体部
分、たとえば、下記の組み合わせが可能である。 PA : PB PMMA : PBA 〔P(AN/St)〕: PBd 〔P(BA/EA)〕: PAA 上記(I)式において、下式:
【0019】
【化3】
【0020】で表される部分は3〜6価のメルカプタン
の残基である。上記(I)式中、n+mは、3以上、か
つ、前記メルカプタンの残基の価数以下の数、nは0.
1以上、好ましくは0.5以上の数、mは0.1以上、
好ましくは0.5以上の数である。nまたはmが前記値
を下回ると希望する十分な性能が得られないおそれがあ
る。
【0021】この発明のブロック重合体では、3以上の
異なる組成を有する重合体部分を組み合わせてさらに多
様な性能を持たせることも可能である。この発明で前記
重合体部分を構成するのに使用できる単量体としては、
ラジカル重合により単独重合体あるいは共重合体を生成
するものであれば、いずれの単量体も使用可能である。
たとえば、(メタ)アクリル酸;炭素原子数1〜30の
アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリ
レート、グリシジル(メタ)アクリレート、メトキシエ
チル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)ア
クリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレ
ートなどに代表される(メタ)アクリレート類;α−メ
チルスチレン、ビニルトルエン、スチレンなどに代表さ
れるスチレン系単量体;メチルビニルエーテル、エチル
ビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルなどに代表
されるビニルエーテル系単量体;フマル酸、フマル酸の
モノアルキルエステル、フマル酸のジアルキルエステ
ル;マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル、
マレイン酸のジアルキルエステル;イタコン酸、イタコ
ン酸のモノアルキルエステル、イタコン酸のジアルキル
エステル;(メタ)アクリロニトリル、ブタジエン、イ
ソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、
ビニルケトン、ビニルピリジン、ビニルカルバゾールな
どを挙げることができ、いずれかを単独で、または、2
以上合わせて使用することができる。
【0022】この発明の新規ブロック重合体の数平均分
子量は、2,000〜1,000,000、好ましくは
10,000〜400,000、より好ましくは20,
000〜200,000である。数平均分子量が前記範
囲を下回るとブロック重合体としての性質が発現しない
おそれがあり、上回ると粘度が高く取り扱い性が悪くな
るおそれがある。
【0023】この発明の新規ブロック重合体は、後述す
る第1工程および第2工程を経て作られると2以上の異
なる組成を有する複数の重合体部分を有し、また、第2
工程が2回以上繰り返して行われることにより、3以上
の異なる組成を有する複数の重合体部分を有することが
可能である。第1工程では、メルカプタン存在下に、前
記多価メルカプタンの有するメルカプト基を発端として
重合性単量体成分のラジカル重合を行う。このラジカル
重合により、前記多価メルカプタンの各分子において、
1個または複数個のメルカプト基のイオウ残基に1つの
組成を有する重合体部分の一端が結合した生成物が得ら
れる。この生成物は、未反応のメルカプト基を有してい
る。イオウ残基に効率良く重合体部分の一端を結合させ
るためには、重合体系中に必要以上の重合開始剤を添加
しないことが好ましい。
【0024】第2工程では、先に行われたラジカル重合
による生成物の存在下に、先に行われたラジカル重合に
用いた重合性単量体成分とは異なる組成を有する重合性
単量体成分のラジカル重合を行う。必要ならば、先に行
われたラジカル重合による生成物を含む反応混合物から
未反応の単量体成分を除去することもできるし、あるい
は、未反応の単量体成分を除去せず残しておき次に行わ
れるラジカル重合に用いることもできる。この後のラジ
カル重合は、前記多価メルカプタンのうちの残存してい
るメルカプト基の全部または一部を発端として行われ
る。この発端となるメルカプト基のイオウ残基に別の組
成を有する重合体部分の一端が結合した生成物が得られ
る。この生成物は、未反応のメルカプト基を有していて
もよい。この場合には、第2工程を2回繰り返すことに
より、第3の異なる組成を有する重合体部分を導入し、
第2工程を3回繰り返すことにより、第3および第4の
異なる組成を有する重合体部分を導入し、第2工程の繰
り返し数を増すごとにさらに異なる組成を有する重合体
部分を導入することができる。
【0025】この発明では、ラジカル重合は、通常のラ
ジカル重合方法である塊状重合、溶液重合、懸濁重合、
乳化重合などで行うことができる。安価な重合体を得る
ためには、余分な揮発成分を含まない塊状重合方法が好
ましい。重合温度は、30〜200℃が好ましく、より
好ましくは重合開始剤を使用しないで安定に塊状重合で
きる100〜150℃である。
【0026】この発明では、重合に通常のラジカル重合
開始剤(たとえば、2,2′−アゾビスイソブチロニト
リル、2,2′−アゾビスシクロヘキサンカーボニトリ
ルなどのアゾ系重合開始剤;過酸化ベンゾイルなどの過
酸化物系重合開始剤など)を使用できるが、重量比で、
通常、多価メルカプタンの1/3以下、好ましくは1/
10以下、より好ましくは使用しない。重合開始剤を前
記比率よりも多量に使用すると、ブロック重合体を与え
る多価メルカプタンから伸びた重合体部分以外に、重合
開始剤から伸びた重合体が多量に生成し、ブロック重合
体の生成効率が低下してしまい、また、工業的に安価な
製造方法である塊状重合の重合安定性が悪くなり、暴走
反応が起こり、最悪の場合は爆発の危険性が伴う。
【0027】製造の手順としては、多価メルカプタン存
在下に第1の重合性単量体成分のラジカル重合を行い、
重合率が50%以上、好ましくは80%以上になってか
ら、第2の重合性単量体成分を加えて重合することによ
り、新規ブロック重合体を得ることができる。先に行う
ラジカル重合の重合率を50%以上とするのは、重合後
残存している重合性単量体を除去せずに次の重合を行っ
たとしても、ブロックを形成する重合体の性質をできる
だけ異なるようにするためである。そのために第1の重
合後、重合性単量体を揮発除去することも可能である。
また、各ラジカル重合は、重合禁止剤の添加により終了
させるようにすれば、生成した重合体部分の先端に、後
のラジカル重合体により別の組成の重合体部分がつなが
るのを防ぐことができる。
【0028】重合を上述したようにさらに多段に行え
ば、3種以上の重合体の組み合わせからなる新規ブロッ
ク重合体を得ることができる。
【0029】
【作用】この発明の新規ブロック重合体は、従来の星型
ブロック重合体とは、複数の重合体部分が放射状に伸び
ている中心が多価メルカプタン部分である点で異なって
いる。この相違点により、この発明の新規ブロック重合
体は、従来の星型ブロック重合体にはなかった、官能基
の導入や様々な共重合体同士のブロック重合体を可能と
し、それ故、後架橋反応(生成した重合体を架橋剤によ
り架橋するか、または、自己架橋する反応)可能である
など様々な特性を有する。また、多価メルカプタンは、
従来の星型ブロック重合体を作るのに使用された重合開
始剤に比べて安価である。
【0030】この発明の新規ブロック重合体の製造方法
は、多価メルカプタン存在下にメルカプト基を発端とし
て重合性単量体のラジカル重合を行うので、多価メルカ
プタンの全メルカプト基のうちの一部のもののイオウ残
基に重合体部分の一端が結合し、他のメルカプト基がこ
のラジカル重合の発端とならずに残る。このラジカル重
合により得られた生成物の存在下に残部の単量体成分に
ついて一時にまたは順次にラジカル重合を行うことによ
り、多価メルカプタンの残ったメルカプト基を発端とし
て異なる組成の重合性単量体がラジカル重合され、異な
る組成の重合体部分が生成する。しかも、工業的に多量
生産が容易である。
【0031】この発明の方法では、ラジカル重合を行う
ので、効率良く重合を行うことができ、しかも、イオン
重合の際には厳密に行う必要がある重合容器の洗浄も厳
密さを要求されないし、原料の精製や触媒が不要なので
コストが低減する。また、重合体部分は、イオン重合に
よるものとは違って、共重合体に由来するものが可能で
あり、活性水素含有単量体(たとえば、不飽和カルボン
酸、不飽和ジカルボン酸モノエステル、ヒドロキシル基
含有(メタ)アクリレートなど)を用いた重合体に由来
するものも可能である。
【0032】この発明の方法において、ラジカル重合を
塊状重合により行う場合には、イオン重合の際用いる溶
剤が不要であり、溶剤の除去が不要であり、生産性が良
く、安価に高機能性を有するブロック重合体を製造でき
る。
【0033】
【実施例】以下に、この発明の実施例と、この発明の範
囲を外れた比較例とを示すが、この発明は下記実施例に
限定されない。以下では、「%」は「重量%」、「部」
は「重量部」のことである。なお、数平均分子量(M
n)、分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーシ
ョンクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン
換算値で求めた。
【0034】ガラス転移温度(Tg)は、パーキン・エ
ルマー(Perkin Elmer)社製示差走査熱量計「DSC−
7」により求めた。 (実施例1)窒素導入管、滴下ロート、温度計、冷却管
を装備したマックスブレンド翼(住友重機械工業(株)
製)を備えた1リットルの4つ口フラスコにスチレン3
00g、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレ
ート1.8gを加え、窒素雰囲気下140℃で重合を行
った。2時間後、スチレンの重合率は95%に達し、生
成した重合体の数平均分子量Mnは2.1×104 、分
子量分布(Mw/Mn)9.3、ガラス転移温度Tgは
93℃であった。生成した反応混合物は、スチレン15
g、ポリスチレン285gを含んでいた。得られたポリ
スチレンについて残存メルカプト基の量をジメチルホル
ムアミド溶剤のElleman 法で測定した結果、残存メルカ
プト基15%であった。この測定結果から、用いたペン
タエリスリトールテトラキスチオグリコレートから1分
子あたり平均3.4個のメルカプト基が消失しているこ
とになる。つまり、得られたポリスチレンは、ペンタエ
リスリトールテトラキスチオグリコレート部分を中心と
して平均3.4個のポリスチレン部分が放射状に伸びた
構造を有する。
【0035】この反応混合物に滴下ロートからブチルア
クリレート361g、アクリル酸19gを一括投入し
た。しばらくして、内温が上昇してくると反応混合物
(重合系)が白濁して2段目の重合が開始されたことが
わかった。モノマーの還流温度にて8時間反応させた
後、重合禁止剤であるメトキシフェノール0.136g
をトルエン100gに溶解してなる溶液を反応混合物に
加えて重合を停止した。
【0036】こうして得られた反応混合物からトルエン
および残存単量体を二軸押し出し機を用いて揮発除去し
て、乳白色の固体の重合体を得た。得られた重合体の残
存メルカプト基は0.6%であった。得られた重合体
は、ゴム状で復元力があり、良く伸びる性質を有してお
り、Mn=3.9×104 、分子量分布8.1、Tg=
−35℃と90℃であった。
【0037】このように、2段目の重合で得られた重合
体は、1段目の重合で得られた重合体に比べて分子量の
増大が認められたこと、および、メルカプト基の残存量
変化から、PA(ポリスチレン)、PB(ポリ(ブチル
アクリレート/アクリル酸/スチレン))、n=3.
4、m=0.6で表されるブロック重合体であると推測
された。
【0038】この重合体がブロック構造を有することを
確認するため、ランダム共重合体であるポリ(ブチルア
クリレート/アクリル酸/スチレン)が選択的に溶解す
る溶剤(アセトニトリル使用)と、単独重合体であるポ
リスチレンが選択的に溶解する溶剤(シクロヘキサン使
用)とで順次にソックスレー抽出を行い、その後、トル
エン抽出した。
【0039】抽出された各重合体のポリスチレン部分/
ポリ(ブチルアクリレート/アクリル酸/スチレン)ラ
ンダム共重合体部分の重量比をスチレン/ブチルアクリ
レート特性吸収のFT−IRデータから算出した。な
お、抽出された各重合体の重量比(抽出された重合体の
合計重量に対する比率)、数平均分子量および分子量分
布も測定した。それらの結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】表1にみるように、実施例1で得られた
(上記2段目の重合により生成した)重合体のほとんど
はトルエンに抽出された。トルエン抽出層の重合体は、
ポリスチレン単独重合体とポリ(ブチルアクリレート/
アクリル酸/スチレン)ランダム共重合体が除去されて
いるので、ポリ(ブチルアクリレート/アクリル酸/ス
チレン)ランダム共重合体部分とポリスチレン部分とを
ほぼ同量有するブロック重合体であることが確認され
た。
【0042】アセトニトリル抽出層の重合体は、重合体
部分の重量比から、ポリ(ブチルアクリレート/アクリ
ル酸/スチレン)ランダム共重合体、および、前記ラン
ダム共重合体部分とポリスチレン部分とを有し前記ラン
ダム共重合体部分の割合が多いブロック重合体の混合物
であることが確認された。シクロヘキサン抽出層の重合
体は、重合体部分の重量比から、単独重合体であるポリ
スチレン、および、前記ランダム共重合体部分とポリス
チレン部分とを有しポリスチレン部分の割合が多いブロ
ック重合体の混合物であることが確認された。
【0043】重合体部分の重量比が一方に大きく偏って
いるブロック重合体では、その偏っている方の重合体部
分(たとえば、ポリスチレン部分の割合が多いブロック
重合体ではポリスチレン部分)の性質が大きく寄与して
ソックスレー抽出されたと考えられる。これらの分析結
果から、実施例1で得られた重合体のうち、少なくとも
88%(すなわち、トルエンで抽出された重合体)は、
ポリ(ブチルアクリレート/アクリル酸/スチレン)ラ
ンダム共重合体とポリスチレン単独重合体の混合物では
なく、ブロック構造を有することが証明された。
【0044】実施例1で得られた重合体に対して、上記
で行った残存メルカプト基の定量、FT−IR、ソック
スレー抽出、GPC分析の結果、同重合体は、ペンタエ
リスリトールテトラキスチオグリコレート部分を中心と
して異なる組成を有する重合体部分PAとPBが放射状
に伸びた下式の構造を有することが分かった。
【0045】
【化4】
【0046】上式中、
【0047】
【化5】
【0048】で表される部分は、ペンタエリスリトール
テトラキスチオグリコレートの4個のメルカプト基から
プロトンが解離したメルカプタンの残基;PAは数平均
分子量0.6×104 のポリスチレン部分;PBは、ス
チレン単位5.1%、ブチルアクリレート単位90.4
%、アクリル酸単位4.1%が直鎖状にランダムに結合
した数平均分子量3.0×104 の共重合体部分;n=
3.4;m=0.6であった。ここで、PAの数平均分
子量は、1段目の重合で生成した重合体の数平均分子量
2.1×104 を、メルカプタン1分子あたりの反応メ
ルカプト基数3.4で除することにより計算され、PB
の数平均分子量は、2段目の重合で生成した重合体の数
平均分子量3.9×104 から1段目の重合で生成した
重合体の数平均分子量2.1×104 を減じた差1.8
×104 を残存メルカプト基数0.6で除することによ
り計算された。
【0049】(実施例2)実施例1と同様の重合容器
に、メチルメタクリレート200g、トリメチロールプ
ロパントリメルカプトプロピオネート1.0g、酢酸エ
チル200g、アゾビスシクロヘキサンカーボニトリル
0.05gを仕込み、窒素雰囲気下82℃で重合を行っ
た。2時間後、メチルメタクリレートの重合率は95
%、Mn=5.3×104 、分子量分布2.1、ガラス
転移温度Tg=95℃であった。生成した反応混合物
は、メチルメタクリレート10g、ポリメチルメタクリ
レート190gを含んでいた。得られたポリメチルメタ
クリレートについて残存メルカプト基の量をジメチルホ
ルムアミド溶剤のElleman 法で測定した結果、残存メル
カプト基20%であった。この測定結果から、用いたト
リメチロールプロパントリメルカプトプロピオネートか
ら1分子あたり平均2.4個のメルカプト基が消失して
いることになる。つまり、得られたポリメチルメタクリ
レートは、トリメチロールプロパントリメルカプトプロ
ピオネート部分を中心として平均2.4個のポリメチル
メタクリレート部分が放射状に伸びた構造を有する。
【0050】この反応混合物に、滴下ロートからブチル
アクリレート122g、エチルアクリレート60g、ス
チレン12g、アクリロニトリル6gからなる単量体混
合物のうちの60gを投入し、単量体混合物の残部を2
時間かけて滴下した。その間、重合温度を85℃に保
ち、さらに1時間重合してから、重合禁止剤である6−
t−ブチル−2,4−キシレノール0.136gをトル
エン100gに溶解してなる溶液を反応混合物に加えて
重合を停止した。
【0051】このようにして得られた反応混合物から揮
発成分を二軸押し出し機で留去して、無色透明の固体の
重合体を得た。得られた重合体の残存メルカプト基は
0.8%であった。得られた重合体は、透明性良好で、
Mn=11.5×104 、分子量分布3.5、Tg=−
30℃および94℃であった。
【0052】このように、2段目の重合で得られた重合
体は、1段目の重合で得られた重合体に比べて分子量の
増大が認められたこと、および、メルカプト基の残存量
変化から、PA(ポリメチルメタクリレート)、PB
(ポリ(ブチルアクリレート/エチルアクリレート/ス
チレン/アクリロニトリル/メチルメタクリレー
ト))、n=2.4、m=0.6で表されるブロック重
合体であると推測された。
【0053】この重合体がブロック重合体であることを
確認するため、単独重合体であるポリメチルメタクリレ
ートが選択的に溶解する溶剤(エタノール使用)と、ラ
ンダム共重合体であるポリ(ブチルアクリレート/エチ
ルアクリレート/スチレン/アクリロニトリル/メチル
メタクリレート)が選択的に溶解する溶剤(シクロヘキ
シルアセテート使用)とで順次にソックスレー抽出を行
い、その後、トルエン抽出した。
【0054】抽出された各重合体のポリメチルメタクリ
レート部分/ポリ(ブチルアクリレート/エチルアクリ
レート/スチレン/アクリロニトリル/メチルメタクリ
レート)ランダム共重合体部分の重量比を熱分解ガスク
ロマトグラフィーのスチレン/メチルメタクリレート比
から算出した。なお、抽出された各重合体の重量比(抽
出された重合体の合計重量に対する比率)、数平均分子
量および分子量分布も測定した。それらの結果を表2に
示す。
【0055】
【表2】
【0056】表2にみるように、実施例2で得られた
(上記2段目の重合により生成した)重合体の50%は
トルエンに抽出された。トルエン抽出層の重合体は、ポ
リメチルメタクリレート単独重合体とポリ(ブチルアク
リレート/エチルアクリレート/スチレン/アクリロニ
トリル/メチルメタクリレート)ランダム共重合体が除
去されているので、ポリメチルメタクリレート部分とポ
リ(ブチルアクリレート/エチルアクリレート/スチレ
ン/アクリロニトリル/メチルメタクリレート)ランダ
ム共重合体部分とをほぼ同量有するブロック重合体であ
ることが確認された。
【0057】また、熱分解ガスクロマトグラフィーによ
る組成分析結果から、エタノール抽出層には、ポリメチ
ルメタクリレート単独重合体だけでなく、ポリメチルメ
タクリレート部分とポリ(ブチルアクリレート/エチル
アクリレート/スチレン/アクリロニトリル/メチルメ
タクリレート)ランダム共重合体部分とを有しポリメチ
ルメタクリレート部分の割合が多いブロック重合体も含
まれており、シクロヘキシルアセテート抽出層には、ポ
リ(ブチルアクリレート/エチルアクリレート/スチレ
ン/アクリロニトリル/メチルメタクリレート)ランダ
ム共重合体だけでなく、ポリメチルメタクリレート部分
とポリ(ブチルアクリレート/エチルアクリレート/ス
チレン/アクリロニトリル/メチルメタクリレート)ラ
ンダム共重合体部分とを有し前記ランダム共重合体部分
の割合が多いブロック重合体も含まれていることが確認
された。
【0058】これらの分析結果から、実施例2で得られ
た重合体のうち、少なくとも50重量%(すなわち、ト
ルエンで抽出された重合体)は、ポリメチルメタクリレ
ート単独重合体とポリ(ブチルアクリレート/エチルア
クリレート/スチレン/アクリロニトリル/メチルメタ
クリレート)ランダム共重合体の混合物ではなく、ブロ
ック構造を有することが証明された。
【0059】実施例2で得られた重合体に対して、上記
で行った、残存メルカプト基の定量、FT−IR、ソッ
クスレー抽出、GPC分析の結果、同重合体は、トリメ
チロールプロパントリメルカプトプロピオネート部分を
中心として異なる組成を有する重合体部分PAとPBが
放射状に伸びた下式の構造を有することが分かった。
【0060】
【化6】
【0061】上式中、
【0062】
【化7】
【0063】で表される部分は、トリメチロールプロパ
ントリメルカプトプロピオネートの3個のメルカプト基
からプロトンが解離したメルカプタンの残基;PAは数
平均分子量2.2×104 のポリメチルメタクリレート
部分;PBは、メチルメタクリレート単位4.8%、ブ
チルアクリレート単位58.0%、エチルアクリレート
単位28.6%、スチレン単位5.7%、アクリロニト
リル単位2.9%が直鎖状にランダムに結合した数平均
分子量10.3×104 の共重合体部分;n=2.4;
m=0.6であった。ここで、PAの数平均分子量は、
1段目の重合で生成した重合体の数平均分子量5.3×
104 を、メルカプタン1分子あたりの反応メルカプト
基数2.4で除することにより計算され、PBの数平均
分子量は、2段目の重合で生成した重合体の数平均分子
量11.5×104 から1段目の重合で生成した重合体
の数平均分子量5.3×104 を減じた差6.2×10
4 を残存メルカプト基数0.6で除することにより計算
された。
【0064】(比較例1)実施例1において、ペンタエ
リスリトールテトラキスチオグリコレートの代わりにメ
ルカプトエタノールを使用した以外は実施例1と同様の
方法で重合を行った。2時間後のスチレン重合率は96
%、重合体のMn=1.5×104 、分子量分布7.
5、Tg=92℃であった。二段目の重合が終了し揮発
成分を除去して得られた重合体は、実施例1のブロック
重合体とは異なり、伸びの大きいゴム状ではなく、伸び
の小さい粘着質であり、Mn=2.5×104 、分子量
分布6.5、Tg=−35℃および90℃であった。
【0065】得られた重合体がブロック重合体であるか
否かを調べるため、実施例1と同様にしてソックスレー
抽出を行って重合体の重量比と組成を測定した。結果を
表3に示す。
【0066】
【表3】
【0067】表3にみるように、比較例1で得られた重
合体は、実施例1の2段目の重合で得られた重合体とは
外観がかなり異なるように、ブロック重合体を含んでい
ないことが分かった。 (比較例2)実施例2において、トリメチロールプロパ
ントリメルカプトプロピオネートを使用せず、アゾビス
シクロヘキサンカーボニトリルの使用量を0.4gとし
た以外は同様の操作を行った。2時間後のメチルメタク
リレートの重合率は98%、Mn=7.2×104 、分
子量分布2.8、Tg=102℃であった。二段目の重
合後、揮発成分を除去して得られた重合体は、実施例2
のブロック重合体とは異なり、透明性がなくスリガラス
状で、Mn=8.5×104 、分子量分布3.8、Tg
=−30℃および+101℃であった。
【0068】得られた重合体がブロック重合体であるか
否かを調べるため、実施例2と同様にしてソックスレー
抽出を行って重合体の重量比と組成を測定した。結果を
表4に示す。
【0069】
【表4】
【0070】表4にみるように、比較例2で得られた重
合体は、実施例2の2段目の重合で得られた重合体とは
外観がかなり異なるように、ブロック重合体を含んでい
ないことが分かった。 (実施例3〜8)実施例1と同様の方法で、第1の重合
性単量体成分、第2の重合性単量体成分および多価メル
カプタン、重合条件を表5および6に示すものに変えた
以外は同様の操作を繰り返してブロック重合体を合成し
た。第2の重合性単量体成分は、1段目の重合により生
成した反応混合物(未反応単量体含有)に加えられたも
のである。
【0071】いずれの場合も、ブロック重合体の生成を
確認した。
【0072】
【表5】
【0073】
【表6】
【0074】なお、実施例3〜8で得られたブロック重
合体(2段目の重合で得られた重合体)について実施例
1〜2と同様にして重合体部分(PA、PB)、n、m
を調べて結果を表7に示した。
【0075】
【表7】
【0076】実施例3で合成したブロック重合体はゴム
弾性を有し、AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン共
重合体)との溶融混練で耐衝撃性に優れた成形体を得る
ことができた。実施例4、7、8で合成したブロック重
合体は高温での流動性に優れ、低温での耐ブロッキング
性を有するものであり、トナー用のベース樹脂として有
用なものであった。高温での流動性および低温での耐ブ
ロッキング性のバランスでは、実施例4、7、8で合成
したブロック重合体の順に優れていた。
【0077】実施例5で合成したブロック重合体は粘着
性と適度な凝集力を有し、アルカリ水もしくは温水に溶
解するものであった。実施例6で合成したブロック重合
体は粘着性と適度な凝集力を有し、熱流動性に優れるも
のであった。以上の性能はブロック重合体であることで
初めて発現するものであり、本願のブロック重合体およ
びその製造方法の有用性を確認することができた。
【0078】
【発明の効果】この発明の新規ブロック重合体は、2以
上の異なる組成を有する複数の重合体部分が放射状に伸
びる中心が多価メルカプタンであるので、成形用樹脂、
ホットメルト接着剤、ホットメルト粘着剤、熱可塑性エ
ラストマー、トナー用樹脂、高強度両面粘着テープの支
持体、水溶性粘着剤、耐衝撃性改良樹脂、相溶化剤、タ
ッキファイヤー、分散剤などに有効に利用でき、安価で
ある。
【0079】この発明の新規ブロック重合体の製造方法
は、多価メルカプタンを重合開始剤として用い、ラジカ
ル重合により行うので、そのような新規ブロック重合体
を工業的に安価なラジカル重合方法により容易に製造す
ることができる。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多価メルカプタン部分を中心として複数
    の重合体部分が放射状に伸びた構造を備え、数平均分子
    量が2,000〜1,000,000であり、前記複数
    の重合体部分が2以上の異なる組成を有する新規ブロッ
    ク重合体。
  2. 【請求項2】 複数の重合体部分の数が2〜10個であ
    る請求項1記載の重合体。
  3. 【請求項3】 多価メルカプタン部分が3〜6価のメル
    カプタンの残基であり、複数の重合体部分が2つの異な
    る組成を有し、下記一般式(I): 【化1】 で表される請求項1または2記載の重合体。
  4. 【請求項4】 多価メルカプタン部分が、トリメチロー
    ルプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロ
    パントリチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテ
    トラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテト
    ラキスチオプロピオネート、ジペンタエリスリトールヘ
    キサキスチオグリコレート、ジペンタエリスリトールヘ
    キサキスチオプロピオネートから選ばれる少なくとも1
    つの化合物に由来するものである請求項1から3までの
    いずれかに記載の重合体。
  5. 【請求項5】 重合体部分がラジカル重合により得られ
    たものである請求項1から4までのいずれかに記載の重
    合体。
  6. 【請求項6】 多価メルカプタン存在下に、前記多価メ
    ルカプタンの有するメルカプト基を発端として重合性単
    量体成分のラジカル重合を行う第1工程、先に行われた
    ラジカル重合による生成物の存在下に、先に行われたラ
    ジカル重合に用いた重合性単量体成分とは異なる組成を
    有する重合性単量体成分のラジカル重合を行う第2工程
    を備えた新規ブロック重合体の製造方法。
  7. 【請求項7】 第2工程を2回以上繰り返す請求項6記
    載の方法。
  8. 【請求項8】 先に行われたラジカル重合による単量体
    成分の重合率が50重量%以上になってから、得られた
    生成物を含む反応混合物に後の単量体成分を加えてラジ
    カル重合を行う請求項6または7記載の方法。
  9. 【請求項9】 ラジカル重合が、重合開始剤を含まない
    重合系において行われる請求項6から8までのいずれか
    に記載の方法。
  10. 【請求項10】 ラジカル重合が、塊状重合により行わ
    れる請求項6から9までのいずれかに記載の方法。
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