JPH0717647B2 - テトラヒドロピリジン誘導体 - Google Patents

テトラヒドロピリジン誘導体

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JPH0717647B2
JPH0717647B2 JP63257095A JP25709588A JPH0717647B2 JP H0717647 B2 JPH0717647 B2 JP H0717647B2 JP 63257095 A JP63257095 A JP 63257095A JP 25709588 A JP25709588 A JP 25709588A JP H0717647 B2 JPH0717647 B2 JP H0717647B2
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pyridine
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tetrahydro
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昭和 植木
弘 川久保
勝也 岡崎
忠 長谷
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旭化成工業株式会社
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、哺乳動物の中枢神経に影響し、抗不安効果、
学習改善効果を有する向精神薬として有用な下記の一般
式(I)で示されるテトラヒドロピリジン誘導体および
その塩に関するものである。
(式中、Aはイオウ原子または酸素原子、R1は炭素数1
〜10個のアルコキシ基、ベンジルオキシ基、アミノ基、
シクロヘキシルアミノ基、アミノ;ジ低級アルキルアミ
ノ;カルボキシもしくは低級アルコキシカルボニル基で
置換されていてもよい炭素数1〜3個のアルキル基で置
換されたアミノ基、ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピ
ノ基、モルホリノ基、4−ピリミジニルピペラジノ基、
モルホリノアミノ基またはN,N−ジシクロヘキシルウレ
イド基、R2およびR3はハロゲン原子、低級アルキル基、
低級アルケニル基、フェニル基、アミノ基を有していて
もよい脂肪族アシル基、ハロゲン原子もしくは低級アル
コキシ基で置換されていてもよいベンゾイル基または低
級アルコキシ基もしくはニトロ基で置換されていてもよ
いベンジル基を表し、mおよびnは0〜4の整数であ
り、mおよびnが2以上の場合、R2およびR3はそれぞれ
同一でも異なってもよく、R1が炭素数1〜10個のアルコ
キシ基である場合は、R2およびR3のうち少なくとも一方
は、水素原子ではない。) (従来の技術) 下記の一般式で示されるβ−カルボリン−3−カルボン
酸誘導体が抗攻撃作用を有する精神病医薬として有用で
あることは知られている(特開昭56−43283)。
また、下記の一般式で示される1,2,3,4−テトラヒドロ
ベンゾチエノ〔2,3−c〕ピリジン誘導体が中枢神経系
抑制剤、精神安定剤として有用であることは知られてい
る(特公昭50−2519)。
さらに、下記の一般式で示されるピリジン誘導体が向精
神作用を有することも知られている(特開昭61−23677
9)。
また、1,2,3,4−テトラヒドロベンゾ〔b〕チエノ〔2,3
−c〕ピリジンまたはその誘導体の合成研究および脳に
対する生化学的研究は、ゲルハルト・ウォルフ,フェリ
ックス・チモールコブスキー,アーチブ・ベア・ファー
マジィ(Gerhard Wolf and Felix Zymalkowski,arc
h.Pharm.),279,309(1976)、およびクリネシュミット
・ブラッドレイ・ブイ,レイス・デュアーネ・アール,
ペチボーン・ドゥグラス・ジェー,ロビンソン・ジャネ
ット・エル,ジャーナル・オブ・ファマコロジー・アン
ド・エクスペリメンタル・ゼラペウティクス(Brandley
V Clineschmidt,Duane R.Reiss,Douglas J.Petti
bone and Janet L.Robinson,J.Pharmacol.Exp.The
r.),696−708,235(3)(1985)などにも記載されて
いる。しかし、一般式(I)で示されるテトラヒドロピ
リジン誘導体については知られておらず、その薬効にに
ついても知られていない。
(発明が解決しようとする課題) 本発明者らは、一般式(I)で示されるテトラヒドロピ
リジン誘導体の製造およびその有用性を鋭意研究し、抗
不安作用および学習改善作用を有する医薬として有用な
新規なテトラヒドロピリジン誘導体を提供することを目
的としている。
(課題を解決するための手段) 本発明は、下記の一般式(I) で示されるテトラヒドロピリジン誘導体およびそれらの
塩を提供するものである。
上記一般式(1)において、Aはイオウ原子または酸素
原子である。R1は炭素数1〜10個のアルコキシ基、ベン
ジルオキシ基、アミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ア
ミノ;ジ低級アルキルアミノ;カルボキシもしくは低級
アルコキシカルボニル基で置換されていてもよい炭素数
1〜3個のアルキル基で置換されたアミノ基、ヘキサヒ
ドロ−1H−1,4−ジアゼピノ基、モルホリノ基、4−ピ
リミジニルピペラジノ基、モルホリノアミノ基またはN,
N−ジシクロヘキシルウレイド基等が挙げられる。具体
的なR1として、R1の一例を挙げれば、メトキシ基、エト
キシ基、プロピルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ベンジ
ルオキシ基、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ
基、2−アミノエチルアミノ基、3−アミノプロピルア
ミノ基、N−ジメチルアミノエチルアミノ基、ヘキサヒ
ドロ−1H−1,4−ジアゼピノ基、モルホリノ基、4−ピ
リミジニルピペラジノ基、N,N−ジシクロヘキシルウレ
イド基、シクロヘキシルアミノ基、モルホリノアミノ
基、酪酸エチルエステル基、酪酸基である。R2およびR3
は、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルケニル
基、フェニル基、アミノ基を有していてもよい脂肪族ア
シル基、ハロゲン原子もしくは低級アルコキシ基で置換
されていてもよいベンゾイル基または低級アルコキシ基
もしくはニトロ基で置換されていてもよいベンジル基等
が挙げられる。具体的なR2およびR3として、R2およびR3
の一例を挙げれば、塩素原子、2−クロロベンゾイル
基、アセチル基、4−アミノブチロイル基、4−メトキ
シベンジル基、メチル基、アリル基、ベンジル基、4−
ニトロベンジル基である。mおよびnは0〜4の整数で
ある。mおよびnが2以上の場合、R2およびR3はそれぞ
れ同一でもよいし、異なってもよい。
本発明のテトラヒドロピリジン誘導体の一例を以下に示
す。
(1)2−(2−クロロベンゾイル)−1,2,3,4−テト
ラヒドロ−ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−
3−カルボン酸エチルエステル (2)2−アセチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ
〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カルボン酸エ
チルエステル (3)2−(4−メトキシベンゾイル)−1,2,3,4−テ
トラヒドロ−ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン
−3−カルボン酸エチルエステル (4)2−(4−アミノブチロイル)−1,2,3,4−テト
ラヒドロ−ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−
3−カルボン酸エチルエステル (5)2−(4−メトキシベンジル)−1,2,3,4−テト
ラヒドロ−ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−
3−カルボン酸エチルエステル (6)2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ
〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カルボン酸エ
チルエステル (7)2−アリル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ
〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カルボン酸エ
チルエステル (8)2−ベンジル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ
〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カルボン酸エ
チルエステル (9)2−(4−ニトロベンジル)−1,2,3,4−テトラ
ヒドロ−ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−3
−カルボン酸エチルエステル (10)1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ〔b〕チエノ
〔2,3−c〕ピリジン−3−カルボン酸エチルエステル (11)1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ
〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カルボン酸エ
チルエステル (12)4−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ
〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カルボン酸エ
チルエステル (13)6−クロロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ
〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カルボン酸エ
チルエステル (14)ヘキサヒドロ−1−(1,2,3,4−テトラヒドロ−
ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カルボ
ニル)−1H−1,4−ジアゼピン (15)N−(2−アミノエチル)−1,2,3,4−テトラヒ
ドロ−ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−3−
カルボアミド (16)ヘキサヒドロ−1−(4−メチル−1,2,3,4−テ
トラヒドロ−ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン
−3−カルボニル)−1H−1,4−ジアビピン (17)ヘキサヒドロ−1−(1−フェニル−1,2,3,4−
テトラヒドロ−ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジ
ン−カルボニル)−1H−1,4−ジアゼピン (18)ヘキサヒドロ−1−(6−クロロ−1,2,3,4−テ
トラヒドロ−ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン
−3−カルボニル)−1H−1,4−ジアゼピン (19)N−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ
〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カルボアミド (20)N−エチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ
〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カルボアミド (21)4−(1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ〔b〕チ
エノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カルボニル)−モルホ
リン (22)N−(4−モルホリノ)−1,2,3,4−テトラヒド
ロ−ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カ
ルボアミド (23)1−(1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ〔b〕チ
エノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カルボニル)−4−ピ
リミジニルピペラジン (24)4−(1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ〔b〕チ
エノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カルボアミノ)酪酸エ
チルエステル (25)4−(1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ〔b〕チ
エノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カルボアミノ)酪酸 (26)4−(2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ベ
ンゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−カルボニル)
−モルホリン (27)N−(1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ〔b〕チ
エノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カルボニル)−N,N′−
ジシクロヘキシルウレア (28)N−シクロヘキシル−1,2,3,4−テトラヒドロ−
ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カルボ
アミド 本発明の前記一般式(I)で示される化合物は、下記の
合成法により得ることができる。
1) 方法1 式中、A,R1,R2,R3,mおよびnは前記と同じ意味であり、
R4,R4′はHまたはR2、R4″はR2を表し、X1およびX2
ハロゲン原子、メタンスルホン基、4,6−ジメチルピリ
ミジニルメルカプト基などのように、水素原子と結合し
て酸になるものか、あるいは脱離基として優れたものを
表す。
化合物(II)から化合物(III)を得る方法は、エッチ
・アール・シナイダー,ドナルド・エス・マターソン,
ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミストリー・ソサイ
アティ(H.R.Snyder and Donald S.Matteson,J.Am.C
hem,Soc.),79,2217(1957)を参考にした。
化合物(II)から化合物(III)を合成する方法におい
て用いられる溶媒は、酢酸、ジメチルホルムアミド等の
極性溶媒とベンゼン、トルエン等の無極性溶媒の混合溶
媒であり、好ましくは化合物(II)を酢酸に溶解した溶
液にアルキルデンイソプロピルアミンのベンゼン溶液を
滴下するのがよい。アルキルデンイソプロピルアミンは
一般に1〜3当量用いられ、好ましくは1.1〜1.5当量で
ある。また、アルキルデンイソプロピルアミンに換え
て、アルキルデンターシャリーブチルアミン等を用いて
もよい。反応触媒として塩酸、硫酸等を加えてもよい。
反応温度は−20〜50℃で行われ、好ましくは0〜10℃で
ある。一般には10〜70時間で終了する。
化合物(III)から化合物(IV)および(V)を得る方
法は、ディー・エー・リトル,ディー・アイ・ウェイス
ブレート,ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミストリ
ー・ソサイアティ(D.A.Little and D.I.Wesblat,J.A
m.Chem.Soc.),69,2118(1947)を参考にした。
化合物(III)から化合物(IV)を合成する方法におい
て用いられる溶媒は、キシレン,トルエン等であり、好
ましくはキシレンである。この反応温度は50〜150℃で
行われ、好ましくは90〜100℃である。一般には1〜12
時間で終了する。アルキルニトロアセテートは1〜3当
量用いる。
化合物(IV)から化合物(V)を合成する方法において
用いられる溶媒は、メチルアルコール、エチルアルコー
ル等の極性溶媒と水の混合溶媒がよい。この反応温度は
10〜120℃で行われ、好ましくは60〜80℃である。一般
には10〜120分間で終了する。鉄粉は1〜10当量用い、
塩化水素1〜20当量用いる。また、鉄粉の換りに亜鉛等
の金属を用いてもよく、あるいはラネーニッケル、パラ
ジウム−活性炭等の触媒存在下での水素による還元を行
ってもよい。
化合物(V)から化合物(VI)(VII)を合成する方法
は、ゲルハルト・ウォルフ,フェリックス・チモールコ
ブスキー,アーチブ・ベア・ファーマジィ(Gerhard W
olf and Felix Zymalkowski,arch.Pharm.),279,309
(1976)を参考にした。
化合物(V)から化合物(VI)を合成する方法において
用いられる溶媒は、エタノール、ベンゼン等の有機溶媒
である。この反応温度は50〜150℃で行われ、一般には
1〜12時間で終了する。
化合物(VI)から化合物(VII)を合成する方法におい
て用いられる溶媒は、メタノール、エタノール、水等が
用いられ、好ましくは水である。この反応温度は50〜12
0℃で行われ、一般には10分間〜2時間で終了する。ま
た、反応触媒として10〜100当量の塩酸、硫酸、p−ト
ルエンスルホン酸等の酸を用いる。
化合物(VII)から化合物(I)を得る方法は、エヌ・
ボオートニックら,ジャーナル・オブ・アメリカン・ケ
ミストリー・ソサイアティ(B.Bortnick,et.al,J.Am.Ch
em.Soc.),78,4039(1956)を参考にした。
化合物(VII)から化合物(I)を合成する方法におい
て用いられる溶媒は、クロロホルム、エタノール等の有
機溶媒であり、好ましくはクロロホルムである。この反
応温度は0〜100℃で行われ、好ましくは30〜60℃であ
る。一般には1〜12時間で終了する。化合物(VII)のH
X1を中和するために、トリエチルアミン、N−メチルモ
ルホリン、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕−7−ウンデ
セン等の3級アミンが用いられる。なお、2位の窒素に
置換基を導入しない場合は、この反応においてR4″X2
添加せず、炭に中和反応だけを行えばよい。
2) 方法2 R1がアミノ基の場合は、前記(VII)式において、R1
アルコキシ基である物質を出発原料として、下記の方法
で行ってもよい。
式中、A,R1,R2,R3,R4,R4′,R4″は前記と同じ意味であ
り、R′はメチル基、エチル基などの炭素数1から6個
までのアルキル基である。R11およびR12はそれぞれ水素
原子、アミノ、ジ低級アルキルアミノ、カルボキシもし
くは低級アルコキシカルボニル基で置換されていてもよ
い炭素数1〜3個のアルキル基、またはR11およびR12
共同してシクロヘキシルアミノ基、ヘキサヒドロ−1H−
1,4−ジアゼピノ基、モルホリノ基、4−ピリミジニル
ピペラジノ基、モルホリノアミノ基、または、N,N−ジ
シクロヘキシルウレイド基を形成する。Bocはターシャ
リーブトキシカルボニル基であり、X1,X2,X3,X4はハロ
ゲン原子、メタンスルホン基、4,6−ジメチルピリミジ
ニルメルカプト基などのように、水素原子と結合して酸
になるものか、あるいは脱離基として優れたものを表
す。
化合物(VII)から化合物(VIII)を得る方法は、ティ
ー・ナカガワ,ケー・クロイワ,ケー・ナリタ,ワイ・
イソワ,ブルテン・オブ・ザ・ケミカル・ソサイアティ
ー・オブ・ジャパン(T.Nakagawa,K.Kuroiwa,K.Narita,
Y.Isowa,Bull,Chem.Soc.Japan),1269,46(1973)を参
考にした。化合物(VII)から化合物(VIII)を合成す
る方法において用いられる溶媒は、クロロホルム、塩化
メチレン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド
等の有機溶媒である。この反応は0〜100℃で行われ、
一般には1〜48時間で終了する。化合物(VII)のHX1
中和するために、トリエチルアミン、N−メチルモルホ
リン等の3級アミンが用いられる。また、ターシャリー
ブトキシカルボニル基(Boc基)を導入する方法とし
て、Boc−アジド等のBoc化剤を用いてもよい。あるいは
Boc基の代わりにベンジルオキシカルボニル等の他のア
ミノ基の保護基を用いてもよい。
化合物(VIII)から化合物(IX)を得る方法は、イー・
ブランド,ビー・エフエルランガー,エッチ・サック
ス,ジェー・ポラトニック,ジャーナル・オブ・アメリ
カン・ケミストリー・ソサイアティ(E.Brand,B.F.Erla
nger,H.Sacks,J.Polathick,J.Am.Chem.Soc.),73,3510
(1951)を参考にした。化合物(VIII)から化合物(I
X)を合成する方法において用いられる溶媒は、メタノ
ール、エタノール等のアルコールが水である。この反応
は0〜80℃で行われ、一般には1〜48時間で終了する。
水酸化ナトリウムは1〜3当量用いられる。また、水酸
化ナトリウムの代わりに水酸化カリウム等を用いてもよ
い。アルカリを中和する酸としては、クエン酸、酢酸が
用いられる。
化合物(X)から化合物(XI)を得る方法は、ジィー・
ダブリュー・アンダーソン,エー・シー・マクレガー,
ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミストリー・ソサイ
アティ(G.W.Anderson,A.C.Mcgregor,J.Am.Chem.So
c.),79,6180(1957)を参考にした。化合物(X)か
ら化合物(XI)を合成する方法において用いられる溶媒
は、酢酸エチル、ジオキサン等である。この反応は−20
〜100℃で行われ、一般には10分〜5時間で終了する。
用いられ塩酸は1〜20当量用である。また、塩酸の代わ
りにドリフルオロ酢酸、臭化水素、フッ化水素、メタン
スルホン酸等を用いてもよい。
化合物(XI)から化合物(I)を合成する方法において
用いられる溶媒は、クロロホルム、ジオキサン、エタノ
ール等の有機溶媒であり、好ましくはクロロホルムであ
る。この反応温度は0〜150℃で行われ、好ましくは30
〜60℃である。一般には1〜24時間で終了する。一般式
R4″X4はメチルブロマイド、塩化アセチル等であり、通
常は1〜3当量用いられる。副生するHX4を中和するた
めに、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、1,8
−ジアザビシクロ〔5,4,0〕−7−ウンデセン等の3級
アミンが用いられる。
3) 方法3 式(V)においてR1がアルコキシ基である物質を出発原
料として、次式のルートにしがってもよい。
4) 方法4 また、他のアミド化の方法として、次式のように、エス
テルより直接アミドにしてもよい。この場合は、フェニ
ルリチウム等の触媒を用いてもよい。
また、前記一般式(I)で示される化合物は、薬理上許
容される酸または塩基付加塩の形にすることができる。
薬理上許容される酸付加塩としては、例えば、塩酸、硫
酸、リン酸等の無機酸、または酢酸、p−トルエンスル
ホン酸、マレイン酸等の有機酸と酸付加塩を挙げること
ができる。また、塩基付加塩としては、例えば、水酸化
ナトリウム、水酸化カルシウム等の無機塩基、またはア
ンモニア、トリエチルアミン等の有機塩基との塩基付加
塩を挙げることができる。
本発明化合物をヒトに投与する際、中枢神経系疾患の場
合、経口剤または静脈内注射により投与される。その投
与量は、成人1日あたり10ないし300mgを、1ないし3
回にわけて投与する。投与時間は数日ないし6ヶ月の連
日投与であるか、患者の状態により、1日投与量、投与
期間ともに増減はある。
また、本発明化合物は、患者の状態に応じて他剤と併用
してもよい。例えば、中枢神経系疾患では抗不安薬、抗
うつ薬、脳代謝賦活薬、脳循環改善薬等と併用される。
(実施例) 以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、
本発明は、これに限定されるものではない。
参考例 1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−
c〕ピリジン−3−カルボン酸エチルエステルは、以下
の方法により得た。
ベンゾ〔b〕チオフェン33.6gを氷酢酸150mlに溶解し、
氷冷下メチリデンイソプロピルアミン19.6gのベンゼン5
0ml溶液を滴下した。室温に戻し、2日間撹拌した後、5
00mlの水に反応液を入れ、エーテル100mlで3回洗浄し
た。5N水酸化ナトリウムにより水層をpH10.0にし、酢酸
エチル100mlで4回抽出した。酢酸エチル層を飽和食塩
水により洗浄し、芒硝で乾燥した後、減圧乾燥し、シリ
カゲルカラムクロマトグラフィーで(ベンゾ〔b〕チオ
フェン−3−イルメチル)イソプロピルアミン30.8g
(収率60%)を得た。
IR(νmax,cm-1):3300,2960,2870,1550,1440,760,740 NMR(δ,CDCl3):1.10(d,J=6Hz,6H),2.50〜2.90(m,
1H),3.80(s,2H),7.20〜7.50(m,3H),7.60〜7.90
(m,2H) (ベンゾ〔b〕チオフェン−3−イルメチル)イソプロ
ピルアミン10.97gとエチルニトロアセテート13.3gをド
ライキシレン50mlに溶解し、窒素気流下、撹拌しながら
100℃に昇温した。5時間後、不溶物を濾過し、溶媒を
減圧留去した。残渣を酢酸エチル500mlに溶解し、5%
クエン酸水溶液100mlで3回、5%炭酸水素ナトリウム
水溶液100mlで3回、飽和食塩水100mlで2回洗浄し、硫
酸ナトリウムで乾燥した後、酢酸エチルを減圧留去し
た。過剰のエチルニトロアセテートを真空ポンプで除去
したのち、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで(ベ
ンゾ〔b〕チオフェン−3−イル)−2−ニトロプロピ
オン酸エチルエステル11.17g(収率80%)得た。
IR(νmax,cm-1):2960,2870,1730,1550,1370,1250,76
0,740 NMR(δ,CDCl3):1.10(T,J=6Hz,3H),3.15(dd,2H),
3.50〜3.80(m,1H),4.00(q,2H),7.10〜7.50(m,3
H),7.50〜7.90(m,2H) (ベンゾ〔b〕チオフェン−3−イル)−2−ニトロプ
ロピオン酸エチルエステル2.79gと鉄粉3.5gを、水7.5m
l、エタノール7.5ml、12N塩酸10mlの混合溶液に入れ
た。室温で1時間反応を行った。過剰の鉄粉を濾過した
後、濾液に水200ml入れ、炭酸水素ナトリウムでpHを9
〜10に調節し、クロロホルム50mlで3回抽出した。クロ
ロホルム層は水200mlで2回、飽和食塩水100mlで2回洗
浄したのち、硫酸マグネシウムで乾燥し、クロロホルム
を減圧留去した。残渣を酢酸エチルに溶解し、1N塩酸/
酢酸エチル溶液10mlを入れ、析出する結晶を濾取し、2
−アミノ−(ベンゾ〔b〕チオフェン−3−イル)−プ
ロピオン酸エチルエステル・塩酸塩1.14g(収率40%)
を得た。
IR(νmax,cm-1):3420,3050,2970,1740,1570,1480,124
0,760,740 NMR(δ,CDCl3)(free体):1.10(t,J=6Hz,3H),1.50
(s,2H),3.15(dd,2H),3.50〜3.80(m,1H),4.00(q,
2H),7.10〜7.50(m,3H),7.50〜7.90(m,2H) 2−アミノ−(ベンゾ〔b〕チオフェン−3−イル)−
プロピオン酸エチルエステル・塩酸塩23.24gとホルマリ
ン10.2mlを、エタノール200mlと水200mlの混合溶液に溶
解し、撹拌しながら3時間還流した。反応液を約半分に
濃縮し、炭酸水素ナトリウムpHを9〜10に調製した後、
クロロホルム300mlで3回抽出した。クロロホルム層は
飽和食塩水100mlで2回洗浄した後、硫酸マグネシウム
で乾燥し、クロロホルムを減圧留去した。残渣をクロロ
ホルム/エーテルより再結晶し、1,2,3,4−テトラヒド
ロ−ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カ
ルボン酸エチルエステル14.84g(収率69%)を得た。
IR(νmax,cm-1):2970,2900,1720,1430,1195,760,740 NMR(δ,CDCl3):1.35(t,J=6Hz,3H),2.25(s,2H),
3.10(dd,2H),3.70〜4.00(m,1H),4.30(q,2H),7.30
〜8.00(m,4H) 実施例1 2−(2−クロロベンゾイル)−1,2,3,4−テトラヒド
ロ−ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カ
ルボン酸エチルエステルは、以下の方法により得た。
参考例で合成した1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ
〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カルボン酸エ
チルエステル0.60g、トリエチルアミン0.64ml、2−ク
ロロベンゾイルクロライド523mgをクロロホルム30ml中
に加え、1時間室温にて撹拌した。反応液を水30mlで洗
浄後、pH9.0の炭酸水素ナトリウム水30mlで洗浄し、さ
らに水30mlで洗浄した。クロロホルム層は芒硝で乾燥
し、減圧留去後、2−(2−クロロベンゾイル)−1,2,
3,4−テトラヒドロ−ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピ
リジン−3−カルボン酸エチルエステル614mg(収率67
%)を得た。
IR(νmax,cm-1):1712,1638,1420,1200,1025, NMR(δ,CDCl3):1.17(t,J=6Hz,3H),3.52(m,2H),
4.11(m,3H),4.50(bs,2H),7.46(m,8H) Mass(m/e):401,399,260,196,141,139,115,111 実施例2 2−アセチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ〔b〕
チエノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カルボン酸エチルエ
ステルおよび2−4−メトキシベンゾイル)−1,2,3,4
−テトラヒドロ−ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリ
ジン−3−カルボン酸エチルエステルは、1,2,3,4−テ
トラヒドロ−ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン
−3−カルボン酸エチルエステルを出発原料として、実
施例1の2−クロロベンゾイルクロライド614mgの代わ
りに無水酢酸324mg、4−メトキシベンゾクロライド510
mgを用いる以外は、実施例1と全く同様にして合成でき
た。結果を表1−1、分析結果を表1−2に示した。
実施例3 2−(4−アミノブチロイル)−1,2,3,4−テトラヒド
ロ−ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カ
ルボン酸エチルエステル・塩酸塩は、以下の方法で合成
することができた。
1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−
c〕ピリジン−3−カルボン酸エチルエステル392mg、
p−メトキシベンジルオキシカルボニルアミノブチリッ
クアシッド441mgをジメチルホルムアミド5mlに加え、さ
らにシアノリン酸ジエチル269mg、トリエチルアミン251
μを加え、50℃で2時間撹拌した。酢酸エチル100ml
を反応終了後加え、水100mlで3回洗浄した。酢酸エチ
ル層は減厚濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィ
ー(展開溶媒クロロホルム:メタノール=50:1)で2−
〔4−(p−メトキシベンジル)オキシカルボニルアミ
ノブチロイル〕−1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ
〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カルボン酸エ
チルエステルを得、引き続き、この生成物に1N塩酸/酢
酸エチル5mlを加え、50℃で1時間撹拌し、冷却後、2
−(4−アミノブチロイル)−1,2,3,4−テトラヒドロ
−ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カル
ボン酸エチルエステル・塩酸塩315mgを得た収率54
%)。
IR(νmax,cm-1):1735,1620,1435,1200,1025 NMR(δ,CDCl3):1.07(t,J=6Hz,3H),1.90(m,2H),
2.83(m,4H),3.37(m,1H),4.03(m,4H),5.20(m,2
H),7.53(m,6H) Mass(m/e):346,329,260,188,186,160 実施例4 2−(4−メトキシベンジル)−1,2,3,4−テトラヒド
ロ−ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カ
ルボン酸エチルエステル、2−メチル−1,2,3,4−テト
ラヒドロ−ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−
3−カルボン酸エチルエステル、2−アリル−1,2,3,4
−テトラヒドロ−ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリ
ジン−3−カルボン酸エチルエステル、2−ベンジル−
1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−
c〕ピリジン−3−カルボン酸エチルエステルおよび2
−(4−ニトロベンジル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−
ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カルボ
ン酸エチルエステルは、1,2,3,4−テトラヒドロ−ベン
ゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カルボン酸
エチルエステルを出発原料として、実施例1の2−クロ
ロベンゾイルクロライド614mgの代わりに4−メトキシ
ベンジルクロライド468mg、ヨウ化メチル798mg、アリル
ブロミド361mg、ベンジルブロミド511mgおよび4−ニト
ロベンジルブロミド646mg、また、トリエチルアミン0.6
4mlの代わりに1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕7−ウン
デセン700mgを用いる以外は、実施例1と全く同様にし
て合成できた。結果を表−1、分析結果を表2−2に示
した。
実施例5 1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−
c〕ピリジン−3−カルボン酸ベンジルエステルは、参
考例のエチルニトロアセテート13.3gの代わりにベンジ
ルニトロアセテート19.5gを用い以外は、中間体1,2,3,4
−テトラヒドロ−ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリ
ジン−3−カルボン酸エチルエステルの合成と全く同様
にして合成できた。
結果を表3−1,分析結果表3−2に示した。
実施例6 1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ〔b〕チ
エノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カルボン酸エチルエス
テルは、参考例のホルマリン10.2mlの代わりにアセトア
ルデヒド19.5gを用いる以外は、1,2,3,4−テトラヒドロ
−ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カル
ボン酸エチルエステルの合成と全く同様にして合成でき
た。
結果を表4−1,分析結果を表4−2に示した。
実施例7 4−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ〔b〕チ
エノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カルボン酸エチルエス
テルは、参考例のメチリデンイソプロピルアミン19.6g
の代わりにエチリデンイソプロピルアミン23.7gを用い
る以外は、1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ〔b〕チエ
ノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カルボン酸エチルエステ
ルの合成と全く同様にして合成できた。
結果を表5−1,分析結果を表5−2に示した。
実施例8 6−クロロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ〔b〕チ
エノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カルボン酸エチルエス
テルは、参考例のベンゾチオフェン33.6gの代わりに5
−クロロ−ベンゾチオフェン42.3gを用いる以外は、1,
2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕
ピリジン−3−カルボン酸エチルエステルの合成と全く
同様にして合成できた。
結果を表6−1,分析結果を表6−2に示した。
実施例9 ヘキサヒドロ−1−(1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ
〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−カルボニル)−1H
−1,4−ジアゼピン塩酸塩は、下記の方法によって得
た。
参考例と同様にして合成した1,2,3,4−テトラヒドロ−
ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カルボ
ン酸エチルエステル6gと2−(ターシャリーブトキシカ
ルボニルチオ)−4,6−ジメチルピリミジン6.63gを乾燥
クロロホルム20mlに溶解し、30分間還流した。クロロホ
ルムを減圧留去した後、残渣を酢酸エチル300mlに溶解
し、5%炭酸水素ナトリウム水溶液50mlで3回、5%ク
エン酸水溶液で2回、飽和食塩水で2回洗浄した後、硫
酸ナトリウムで乾燥した。酢酸エチルを減圧留去し、残
渣をクロロホルム−石油エーテルで再結晶し、2−tert
−ブトキシカルボニル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ベン
ゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カルボン酸
エチルエステル6.1gを得た。(収率76%) IR(νmax,cm-1):2970,1720,1695,1400,760,640 NMR(δ,CDCl3):1.10(t,J=6Hz,3H),1.50(s,9H),
3.40(m,2H),4.05(q,J=6Hz,2H),4.70(d,J=9Hz,2
H),5.10〜5.50(m,1H),7.10〜7.70(m,4H) 2−tert−ブトキシカルボニル−1,2,3,4−テトラヒド
ロ−ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カ
ルボン酸エチルエステル6gをメタノール30mlとクロロホ
ルム20mlの混合溶液に溶解し、5規定水酸化ナトリウム
水溶液4mlを入れ、5時間還流した。溶媒を減圧留去
し、5%クエン酸300mlとクロロホルム300mlを入れ、ク
ロロホルム層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで
乾燥した。クロロホルム層を減圧留去し、残渣をクロロ
ホルム−ヘキサンで再結晶し、2−tert−ブトキシカル
ボニル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ〔b〕チエノ
〔2,3−c〕ピリジン−3−カルボン酸4.15gをを得た。
(収率75%) IR(νmax,cm-1):2970,2860,1700,1695,1400,760,740 NMR(δ,CDCl3):1.50(s,9H),3.40(s,2H),4.60(d,
J=9Hz,2H),5.10〜5.50(m,1H),7.10〜7.70(m,4H) 2−tert−ブトキシカルボニル−1,2,3,4−テトラヒド
ロ−ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カ
ルボン酸0.32gとヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン0.
2gをジメチルホルムアミド5mlに溶解し、ジフェニルホ
スホリルアジド0.33gのジメチルホルムアミド3ml溶液を
加え、一晩撹拌した。反応液に酢酸エチル50mlを入れ、
5%炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、飽和食塩水で2
回洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリ
ウムを濾過し、1規定塩酸−酢酸エチル溶液5mlを入
れ、50℃で1時間加温した。酢酸エチルを減圧留去した
後、残渣を水30mlに溶解し、エチルエーテル10mlで3回
洗浄した。水層を5規定水酸化ナトリウムによりpHを12
に調製し、1gの食塩を入れ、クロロホルムで3回抽出し
た。クロロホルム層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、
残渣をシリカゲル薄層クロマトグラフィー(溶媒 酢酸
エチル:メタノール=10:1)で精製し、1規定塩酸−酢
酸エチル2mlを入れ、析出する結晶を濾取し、ヘキサヒ
ドロ−1−(1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ〔b〕チ
エノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カルボニル)−1H−1,4
−ジアゼピン・塩酸塩0.24gを得た。(収率62%)(表
7−1,表8−1) 同様な方法により−tert−ブトキシカルボニル−1,2,3,
4−テトラヒドロ−ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリ
ジン−3−カルボン酸0.32gとエチレンジアミンを出発
原料として、N−(2−アミノエチル)−1,2,3,4−テ
トラヒドロ−ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン
−3−カルボアミド・2塩酸塩0.19gを得た。(収率54
%)(表9−1,表10−1) また、メチリデンイソプロピルアミンの代わりにエチリ
デンイソプロピルアミンを用い、同様な方法によりヘキ
サヒドロ−1−(1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ
〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カルボニル)
−1H−1,4−ジアゼピン・2塩酸塩0.26gを得た。(収率
65%)(表7−1,表8−1) また、ホルマリンの代わりにベンズアルデヒドと50当量
の塩化水素を用い、同様な方法によりヘキサヒドロ−1
−(1,2,3,4−テトラヒドロ−1−フェニル−ベンゾ
〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カルボニル)
−1H−1,4−ジアゼピン・2塩酸塩0.33gを得た。(収率
71%)(表9−1,表10−1) また、ベンゾ〔b〕チオフェンの代わりに5−クロロベ
ンゾ〔b〕チオフェンを用い、同様な方法によりヘキサ
ヒドロ−1−(1,2,3,4−テトラヒドロ−6−クロロ−
ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カルボ
ニル)−1H−1,4−ジアゼピン・2塩酸塩0.22gを得た。
(収率53%)(表9−1,表10−1) 実施例10 N−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ〔b〕チ
エノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カルボアミド・塩酸塩
は、下記の方法によって得ることができた。2−tert−
ブトキシカルボニル−1,2,3,4−テトロヒドロ−ベンゾ
〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カルボン酸0.3
2gとメチルアミン・塩酸塩0.08gとトリエチルアミン0.1
7mlをジメチルホルムアミド5mlに溶解し、氷冷下ジフェ
ニルホスホリルアジド0.33gのジメチルホルムアミド5ml
溶液を滴下し、さらに、トリエチルアミン0.17mlのジメ
チルホルムアミド2ml溶液を滴下した後、室温下2時間
撹拌した。反応液に酢酸エチル50mlを加え、5%クエン
酸水溶液10mlで3回、5%炭酸水素ナトリウム水溶液で
3回、飽和食塩水で2回洗浄した後、硫酸ナトリウムで
乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過し、1規定塩酸−酢酸
エチル溶液5mlを入れ、50℃で1時間加温した。一夜、
冷蔵庫に静置した後、析出し結晶を濾取し、N−メチル
−1,2,3,4−テトロヒドロ−ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−
c〕ピリジン−3−カルボアミド・塩酸塩0.23gを得
た。(収率65%) IR(νmax,cm-1):3300,3210,3060,2920,1650 同様な方法により2−tert−ブトキシカルボニル−1,2,
3,4−テトロヒドロ−ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピ
リジン−3−カルボン酸を出発原料として、N−エチル
−1,2,3,4−テトロヒドロ−ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−
c〕ピリジン−3−カルボアミド・塩酸塩、4−(1,2,
3,4−テトロヒドロ−ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピ
リジン−3−カルボニル)モルホリン・塩酸塩、N−
(4−モルホリノ)−1,2,3,4−テトロヒドロ−ベンゾ
〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カルボアミド
・塩酸塩、1−(1,2,3,4−テトロヒドロ−ベンゾ
〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カルボニル)
ピリミジニルピペラジン・塩酸塩、4−(1,2,3,4−テ
トロヒドロ−ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン
−3−カルボンアミノ)−酪酸エチルエステル・塩酸塩
を得た。(表9,表10) 実施例11 4−(1,2,3,4−テトロヒドロ−ベンゾ〔b〕チエノ
〔2,3−c〕ピリジン−3−カルボアミノ)−酪酸は、
下記の方法で得た。4−(1,2,3,4−テトラヒドロ−ベ
ンゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カルボア
ミノ)−酪酸エチルエステル400mgを2mlエタノールに溶
解し、1規定水酸化ナトリウム水溶液1.5mlを入れ、室
温下5時間撹拌した。エタノールを減圧留去し水100ml
を入れ、1規定塩酸によりpHを5に調整し、一夜撹拌し
た。析出物を濾取し、4−(1,2,3,4−テトロヒドロ−
ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カルボ
アミノ)−酪酸305mgを得た。(収率82%) IR(νmax,cm-1):3430,3250,3100,2920,1660,1570,143
0 NMR(δ,CDCl3):1.50〜2.00(br,2H),2.00〜2.60(b
r,2H),4.00(s,2H),5.80〜6.50(br,2H),7.20〜7.50
(m,2H),7.50〜8.00(m,2H) 実施例12 4−(2−メチル−1,2,3,4−テトロヒドロ−ベンゾ
〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カルボニル)
−モルホリン塩酸塩は、下記の方法で合成した。
4−(1,2,3,4−テトロヒドロ−ベンゾ〔b〕チエノ
〔2,3−c〕ピリジン−3−カルボニル)−モルホリン
・塩酸塩0.34gとトリエチルアミン0.31mlとメチルブロ
ミド0.11gをクロロホルム5mlに溶解し、30分還流した。
クロロホルムを減圧留去し、5%炭酸水素ナトリウム水
溶液20mlと酢酸エチル50mlを入れ、酢酸エチル層を飽和
食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。酢酸エチ
ルを減圧留去し、残渣をシリカゲル薄層クロマトグラフ
ィーにより精製し、1規定塩酸−酢酸エチル1mlを入
れ、析出する結晶を濾取し、4−(2−メチル−1,2,3,
4−テトロヒドロ−ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリ
ジン−3−カルボニル)−モルホリン・塩酸塩0.29gを
得た。(収率82%) IR(νmax,cm-1):3400,2970,2900,1655,1420,1110,76
0,740 NMR(δ,CDCl3,フリー体):2.80(d,J=7Hz,2H),2.90
(s,8H),3.60(s,8H),3.70〜3.90(m,1H),4.05(s,1
H),7.0〜7.70(m,4H) 実施例13 実施例1で合成した1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ
〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カルボン酸エ
チルエステル6gと2−(ターシャリーブトキシカルボニ
ルチオ)−4,6−ジメチルピリミジン6.63gを乾燥クロロ
ホルム20mlに溶解し、30分間還流した。クロロホルムを
減圧留去した後、残渣を酢酸エチル300mlに溶解し、5
%炭酸水素ナトリウム水溶液50mlで3回、5%クエン酸
水溶液で2回、飽和食塩水で2回洗浄した、硫酸ナトリ
ウムで乾燥した。酢酸エチルを減圧留去し、残渣をクロ
ロホルム−石油−エーテル(1:1)100mlで再結晶し、6.
18gの生成物を得た。この生成物のNMR、IRデーターは、
以下に示すとおりであり、この生成物は、2−tert−ブ
トキシカルボニル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ
〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カルボン酸エ
チルエステルであることを確認した。(収率76%) IR(νmax,cm-1):2970,1720,1695,1400,760,740 NMR(δ,CDCl3):1.10(t,J=6Hz,3H),1.50(s,9H),
3.40(m,2H),4.05(q,J=6Hz,2H),4.70(d,J=9Hz,2
H),5.10〜5.50(m,1H),7.10〜7.70(m,4H) 2−tert−ブトキシカルボニル−1,2,3,4−テトラヒド
ロ−ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カ
ルボン酸エチルエステル6gをメタノール30mlとクロロホ
ルム20mlの混合溶液に溶解し、5規定水酸化ナトリウム
水溶液4mlを入れ、5時間還流した。溶媒を減圧留去
し、5%クエン酸300mlとクロロホルム300mlを入れ、ク
ロロホルム層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで
乾燥した。クロロホルム層を減圧留去し、残渣をクロロ
ホルム−ヘキサンで再結晶し、4.15gの生成物を得た。
この生成物のNMR,IRデーターは、以下に示すとおりであ
り、この生成物は、2−tert−ブトキシカルボニル−1,
2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕
ピリジン−3−カルボン酸であるとを確認した(収率75
%)。
IR(νmax,cm-1):2970,2860,1700,1695,1400,760,740 NMR(δ,CDCl3):1.50(s,9H),3.40(s,2H),4.60(d,
J=9Hz,2H),5.10〜5.50(m,1H),7.10〜7.70(m,4H) ジシクロヘキシルカルボジイミド7.23gをジメチルアミ
ド100mlに溶解し80℃に保ち、2−tert−ブトキシカル
ボニル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ〔b〕チエノ
〔2,3−c〕ピリジン−3−カルボン酸10gとジメチルホ
ルムアミド50mlを加え30分間撹拌した。その後、酢酸エ
チル500mlと水300mlを加え分液した。さらに、氷水200m
lで2回、飽和食塩水200mlで2回、酢酸エチル層を洗浄
した。少量生じるN,N′−ジシクロヘキシルウレアを濾
取し、酢酸エチルを減圧留去し、石油エーテル200mlを
加え析出し、12.22gの生成物を得た。この生成物のNMR,
IRデーターは、以下に示すとおりであり、この生成物
は、N−〔2−tert−ブトキシカルボニル−1,2,3,4−
テトラヒドロ−ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジ
ン−3−カルボニル〕−N,N′−ジシクロヘキシルウレ
アであることを確認した(収率75%)。
NMR(δ,CD3OD):0.83〜2.33(m,31H),3.00〜4.00(m,
3H),4.17(s,2H),4.87(s,1H),7.20〜8.03(m,4H) N−〔2−tert−ブトキシカルボニル−1,2,3,4−テト
ラヒドロ−ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−
3−カルボニル〕−N,N′−ジシクロヘキシルウレア12.
22gを酢酸エチル50ml、クロロホルム10mlに加え、5N塩
酸/酢酸エチル14mlを加を50℃で3時間撹拌すると、結
晶が析出し、濾取後、エーテル30mlで洗浄し、6.5gの生
成物を得た。この生成物のNMR,IRデーターは、以下に示
すとおりであり、この生成物は、N−(1,2,3,4−テト
ラヒドロ−ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−
3−カルボニル〕−N,N′−ジシクロヘキシルウレア・
塩酸塩であることを確認した(収率60%)。
IR(νmax,cm-1):2940,1715,1665,1430,750,730 NMR(δ,d4−DMSO):0.80〜2.26(m,22H),3.00〜4.37
(m,5H),4.53(s,2H),7.20〜8.70(m,4H) Mass(m/e):340,314,188,172,161 実施例14 実施例13で合成した2−tert−ブトキシカルボニル−1,
2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕
ピリジン−3−カルボン酸12.3gを乾燥ジメチルホルム
アミド50mlに溶解し、シクロヘキシルアミン4.02gをさ
らに加え、30分間撹拌した。ジフェニルホスホスリルア
ジド12.17g/乾燥ジメチルホルムアミド10ml溶液、トリ
エチルアミン6.7mlをさらに加え、1日室温で撹拌し
た。ジメチルホルムアミドを減圧留去した後、残渣を酢
酸エチル300mlに溶解し、5%炭酸水素ナトリウム水溶
液50mlで3回、5%クエン酸水溶液で2回、飽和食塩水
で2回洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥した。酢酸エ
チルを減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグ
ラフィー(展開溶媒クロロホルム)で分離精製し、9.17
g生成物を得た。この生成物のNMR,IRデーターは、以下
に示すとおりであり、この生成物は、N−シクロヘキシ
ル−2−tert−ブトキシカルボニル−1,2,3,4−テトラ
ヒドロ−ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−3
−カルボアミドであることを確認した(収率60%)。
IR(νmax,cm-1):2970,1720,1620,1400,760,740 NMR(δ,CCl4):1.47(m,19H),1.47〜3.10(m,1H),3.
16〜3.80(m,2H),4.63(d,J=16Hz,2H),4.87〜5.20
(m,1H),69.16(d,J=8Hz,1H),7.00〜7.83(m,4H) N−シクロヘキシル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ
〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−カルボアミド9.17g
を酢酸エチル30mlに加え、これに5N塩酸/酢酸エチル1
3.3mlを加え、50℃で2時間撹拌すると、N−シクロヘ
キシル−2−tert−ブトキシカルボニル−1,2,3,4−テ
トラヒドロ−ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン
−カルボアミド塩酸塩が析出し、濾取後、エーテル30ml
で洗浄し、6.37gの生成物を得た。この生成物のNMR,IR
データーは、以下に示すとおりであり、この生成物は、
N−シクロヘキシル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ
〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−カルボアミド塩酸
塩であることを確認した(収率82%)。
IR(νmax,cm-1):2935,1720,1660,1430,750,730 NMR(δ,d4−DMSO):0.81〜2.25(m,10H),2.98〜4.35
m,5H),4.54(s,2H),7.20〜8.72(m,4H) Mass(m/e):314,188,172,161 (発明の効果) 本発明による化合物は、以下の特異的な抗不安作用、学
習改善作用を示す。
ウィスター雄性ラット(6週令)を用い、フォーゲル・
ジェー・アール,ベア・ビー,クローディー・ディー・
イー,サイコファルマコロジア(Vogel J.R.,Beer
B.,and Clody D.E.,Psychopharmacologia),1−7,2
1,(1971)を参考にしたウォーター・リック・コンフ
リクト・テスト(Waterlick conflict test)を用
い、本化合物の抗不安作用、学習改善作用を調べた。
本テストは絶水したラットを用い、ラットが水を飲む毎
に電気ショックがかかるようにして、ラットを葛藤(不
安)状態にして、それに対する薬物の作用を調べるもの
である。
(1) 抗不安作用 テスト前24時間絶水させたラットに飲水させる。4〜5
時間後に薬物を投与し、処理時間15分間をおいて試験を
開始した。被ショック数とは、ラットが水を飲み始めて
5分間に受けた電気ショックの数であり、飲水すると電
気ショックを被るという葛藤(不安)を抑えるか否かを
示すものである。すなわち、被ショック数が増加すると
いうことは、抗不安作用が増強されたことを意味する。
表−11に薬物無投与ラットを100とした時の値を示し
た。(n=5) (2) 学習改善作用 この試験系は、(1)の抗不安作用の測定と同時に行っ
たもので、絶水したラットが最初に水を飲み始めるまで
の潜時時間を測定するものである。
潜時時間が長いほど学習改善作用が増強されたと判断さ
れる。表12に薬物無投与ラットの平均値を100とした時
の値を示した。(n=5) 本化合物は、有意に潜時時間を延長し、学習改善作用を
有することが示された。このことは、本発明化合物が抗
不安薬、抗痴呆薬により得ることを示唆した。
(3) 本発明の有用性 従来技術との比較を行った。特開昭56−43283の代表化
合物であるβ−カルボリン−3−エチルエステル(β−
CCEと略す)、特公昭50−2510の代表化合物である6−
クロロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ〔b〕チエノ
〔2,3−c〕ピリジン(C−1と略す)、特開昭61−236
779の代表化合物であるベンゾチエノ〔2,3−c〕ピリジ
ン−3−カルボン酸エチルエステル(A−1と略す)、
本発明の代表化合物であるN−エチル−1,2,3,4−テト
ラヒドロ−ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−
3−カルボアミド・塩酸塩(A−2と略す)、N−シク
ロヘキシル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ〔b〕チ
エノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カルボアミド塩酸塩
(A−3と略す)、およびN−(1,2,3,4−テトラヒド
ロ−ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カ
ルボニル)−N,N′−ジシクロヘキシルウレア塩酸塩
(A−4と略す)の抗不安作用の比較試験を行た。試験
法は(1)抗不安作用の方法と全く同様にして行った。
試験結果を表13に示した。
表13の抗不安作用の試験結果より、本発明のN−エチル
−1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−
c〕ピリジン−3−カルボアミド塩酸塩、N−シクロヘ
キシル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ〔b〕チエノ
〔2,3−c〕ピリジン−3−カルボアミド塩酸塩、およ
びN−(1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ〔b〕チエノ
〔2,3−c〕ピリジン−3−カルボニル)−N,N′−ジシ
クロヘキシルウレア塩酸塩は、従来技術と比較して有意
に差があり、有用性は充分にあると思われる。
また、β−CCE、C−1、A−1、A−3および4−A
について精神賦活作用の比較試験を行った。
試験方法はエス・ノムラらヨーロピアン・ジャーナル・
ファーマコロジィー(S.Nomura et.al.Eur.J.Pharmaco
l.)1982,83,171−175の文献にしたがって実施した。以
下、試験方法を記述する。
各薬物のマウス強制水泳時に認められる無動に対する作
用を、水車回転法によって検討した。この試験方法の意
味することを以下記述する。マウスを強制的に水中遊泳
させた時に認められる無動は、狭い環境(装置)の中か
ら脱出不可能なことを学習した後に脱出することを諦め
た情報低下状態を示すもの考えられ、この無動は、抗う
つ薬やMAO阻害薬等の精神賦活作用を持つ薬物によって
短縮されることが知られている。すなわち、試験方法は
各薬物を傾向投与して40分後、マウスを25℃水温の水車
付水層に入れ、6分間の観察期間中に認められたマウス
による水車の回転数を測定する。(ただし、β−CCEは
皮下投与後15分で実施)。
その結果、表14から明らかなように、本発明の化合物で
あるA−3およびA−4は、他の薬物と比較して有意な
水車回転数の増加が認められた。この結果より、本発明
の化合物であるA−3およびA−4には、抗うつ薬やMA
O阻害薬同様の精神賦活作用があることが示唆された。
表16の精神賦活作用の試験結果より、本発明の化合物で
あるN−シクロヘキシル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ベ
ンゾ〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カルボア
ミド塩酸塩、N−(1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ
〔b〕チエノ〔2,3−c〕ピリジン−3−カルボニル)
−N,N′−ジシクロヘキシルウレア塩酸塩等は、従来技
術と比較して有意に差があり、精神賦活剤としても有用
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 31/55 AAE 9454−4C (56)参考文献 特開 昭63−96188(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(I) (式中、Aはイオウ原子または酸素原子、R1は炭素数1
    〜10個のアルコキシ基、ベンジルオキシ基、アミノ基、
    シクロヘキシルアミノ基、アミノ;ジ低級アルキルアミ
    ノ;カルボキシもしくは低級アルコキシカルボニル基で
    置換されていてもよい炭素数1〜3個のアルキル基で置
    換されたアミノ基、ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピ
    ノ基、モルホリノ基、4−ピリミジニルピペラジノ基、
    モルホリノアミノ基またはN,N−ジシクロヘキシルウレ
    イド基、R2およびR3はハロゲン原子、低級アルキル基、
    低級アルケニル基、フェニル基、アミノ基を有していて
    もよい脂肪族アシル基、ハロゲン原子もしくは低級アル
    コキシ基で置換されていてもよいベンゾイル基または低
    級アルコキシ基もしくはニトロ基で置換されていてもよ
    いベンジル基を表し、mおよびnは0〜4の整数であ
    り、mおよびnが2以上の場合、R2およびR3はそれぞれ
    同一でも異なってもよく、R1が炭素数1〜10個のアルコ
    キシ基である場合は、R2およびR3のうち少なくとも一方
    は、水素原子ではない。) で示されるテトラヒドロピリジン誘導体およびその塩。
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