JPH0717413U - シャンク付回転工具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 木工及びこれに類する被加工物上下表面と切
削面の交線の加工品質を損ねることがなく、穿孔時でも
切屑排出能が良好で、再研磨が容易なシャンク付回転工
具を提供する。 【構成】 切刃領域全長にわたりフルート１と刃体２と
の組が円周上等分に３組螺設され、刃体３のシャンク４
側に刃先線が回転時に後方に後退するような窪み５を設
けて、その周辺に副切刃６が設けられており、ルータ加
工時には主切刃３と副切刃６により被加工物の上下両表
面部分を押さえ込むように切削が行われる。また穿孔時
にはフルートが切刃領域全長にわたっているので切屑排
出がよい。また再研磨時には副切刃がフルート１の延長
線上にないので、副切刃に関係なく主切刃の再研磨がで
き、副切刃の再研磨は軸付小径砥石等を軽く当てるだけ
でよい。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案はルータ加工用のシャンク付回転工具に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、木工及びこれに類する被加工物のルータ加工用シャンク付回転工具にお いて、切削面の上下両表面との両交線部分をきれいに仕上げる目的で開発された 特開昭５４−１１９１９８号及び特公昭５９−２７２８７号又は特公昭５９−２ ７２８８号で公知の技術がある。図６は特開昭５４−１１９１９８号のルータ工 具、図７は特公昭５９−２７２８７号又は特公昭５９−２７２８８号のルータビ ットで両者とも正切刃１０１Ａ，１０１Ｂと、これと捻じれ角が反対の逆切刃１ ０２Ａ，１０２Ｂとを有し、切削面の上下両表面との両交線部分を内側に押さえ 込むような切削力が作用するようにしたものである。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

従来の技術は両者ともに刃数が多いほど、刃長が長いほど、また大きな捻じれ 角を要する場合ほど、再研磨時に砥石ストロークや砥石径等を十分管理しないと 、研磨していない側の切刃を砥石で損傷する恐れを有するため再研磨が困難であ るという問題を有し、更に穿孔加工においては正フルートで巻き上げて排出しよ うとする切屑が、逆フルートにより押さえ込まれて排出不良になり易い等の問題 点を有している。 本考案は従来の技術の有するこのような問題点に鑑みなされたものであり、そ の目的するところは従来の正・逆切刃及び正・逆フルートとは異なり、外見上主 切刃と副切刃とが連続して形成され、穿孔加工時の切角の排出を良くし再研磨が 楽なシャンク付工具を提供しようとするものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために本考案におけるシャンク付回転工具は、切刃領域に 回転方向において先端側が前方でシャンク側が後方となるねじれ角を有する主切 刃を一つ以上設けたシャンク付回転工具において、前記主切刃の刃体のシャンク 側又はその近くに刃先線が回転時に後方に後退するような窪みを設け、該窪みの 周辺に副切刃を形成してなるものである。

【０００５】

【作用】

ルータ加工時に主切刃と副切刃によって被加工物の上下両表面とも跳ねだすよ うな切削にならないのでバリ等が出ない。 穿孔加工時には正方向のねじれ角を有するフルートが切刃領域の全域に通じて いるので切屑が円滑に排出する。 再研磨は、主切刃の場合は、副切刃がフルートの延長線上にないので、砥石を フルートに沿って揺動させても副切刃を損傷する危険がなく、副切刃の場合は、 小径砥石を軽く当てるだけでよい。

【０００６】

【実施例】

以下実施例について図面にもとづいて説明する。 実施例１ 本実施例のルータ加工用シャンク付回転工具は、図１に示すように切刃領域全 体にわたり回転方向において先端側が前方でシャンク４側が後方となる正方向の ねじれ角を有するフルート１と刃体２の組が３組円周上ほぼ等分に螺設されてい る。刃体２のすくい面２ａと外周面との交線に沿って主切刃３が設けられており 、刃体２のシャンク４側又はその近くに刃先線が回転時に後方に後退するような 窪み５を設け、この窪み５と外周面の交線に沿って副切刃６が形成されている。

【０００７】 副切刃６は図２の拡大図に示すように、シャンク４に近いＡ部の刃先線は軸線 に対して平行か又は主切刃３の刃先線とは逆のねじれとなるように形成されてお り、副切刃６の切削径は主切刃３と同じである。 尚、副切刃は、切削領域を長くするために、図３の展開図に示すように副切刃 ６のＡ部が回転位置で重複一致しないように、その位置を刃体相互間でずらすこ ともできる。その際には副切刃６のＡ部に重複するＢ部（ａ−３，ｂ−２）及び 主切刃の該当部分（ａ−２，ｂ−４，ｃ−３，ｃ−４）の切削径を必要により小 さくしてもよい。

【０００８】 このように構成されているシャンク付回転工具によりルータ加工を行えば主切 刃３と副切刃６のＡ部により、被加工物の上下両表面部分を押さえ込むように切 削が行われる。 また再研磨の際は、フルート１に沿って砥石を揺動させて主切刃３の再研磨を 行い、小径の軸付砥石を窪み５に軽く押し当てて副切刃６の再研磨を行うだけで よく、再研磨が容易である。またフルート１が切刃領域の全域にわたって通じて いるので穿孔加工時の切屑排出能も良好である。

【０００９】 実施例２ 本実施例の実施例１と異なるところは、図４に示すように切削抵抗を軽減する ために各切刃を小切刃に分割する溝７を設け、窪み８が各刃ともに２個所ずつ設 けられているところのみであり、同一個所の説明は省略する。 溝７は１回転で削り残りが出ないよう相互に位置がずらしてあり、図５に示す ように副切刃９のＢ部が溝７の位置にくるように各刃とも窪み８の位置が変えて ある。 このように構成されている切刃を小切刃に分割した仕様のシャンク付回転工具 は、切削抵抗を下げることができ重切削に用いることができる。また窪み８の部 分については副切刃９のＡ部にのみ切刃線が存在するから、再研磨は薄手の皿型 砥石の側面を軽く当てるだけでもよい。

【００１０】

【考案の効果】

本考案は上述の通り構成されているので、次に記載する効果を奏する。 主切刃と副切刃で被加工物の上下両表面部分を押さえ込むように切削するので 、上下表面を跳ね上げるような切削分力が作用しないため、上下表面と切削面と の交線部分の加工品質を損ねることがない。 また、ねじれ角が正方向のフルートが切刃領域全長にわたって通じているので 、穿孔加工時の切屑排出能力が大幅に向上する。 また主切刃を再研磨する際は、副切刃を気にすることなくフルートに沿って砥 石を揺動させるだけでよく、副切刃を再研磨する際は、小径の軸付砥石等を窪み に軽く押し当てるだけでよいので、極めて容易である。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例１のシャンク付回転工具の正面図であ
る。

【図２】図１の副切刃部分の拡大図である。

【図３】窪みの位置をずらして副切刃の切削領域を長く
した場合の各副切刃部分の展開図である。

【図４】実施例２の各切刃に溝を設けたシャンク付回転
工具の正面図である。

【図５】図４の副切刃部分の拡大図である。

【図６】（ａ）は従来の技術のルータ工具の正面図、
（ｂ）はその側面図である。

【図７】従来の技術のルータビットの正面図である。

【符号の説明】

１ フルート ２ 刃体 ３ 主切刃 ４ シャンク ５，８ 窪み ６，９ 副切刃

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 切刃領域に回転方向において先端側が前
   方でシャンク側が後方となるねじれ角を有する主切刃を
   一つ以上設けたシャンク付回転工具において、前記主切
   刃の刃体のシャンク側又はその近くに刃先線が回転時に
   後方に後退するような窪みを設け、該窪みの周辺に副切
   刃を形成してなることを特徴とするシャンク付回転工
   具。