JPH07166348A - マグネトロンスパッタリング方法および装置 - Google Patents

マグネトロンスパッタリング方法および装置

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JPH07166348A
JPH07166348A JP17816194A JP17816194A JPH07166348A JP H07166348 A JPH07166348 A JP H07166348A JP 17816194 A JP17816194 A JP 17816194A JP 17816194 A JP17816194 A JP 17816194A JP H07166348 A JPH07166348 A JP H07166348A
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magnetic field
sputtered
discharge
magnetic
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JP17816194A
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Stanislav Kadlec
スタニスラフ カドレッツ
Jindrich Musil
イィンドリッフ ムジル
Antonin Rajsky
アントニン ライスキー
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INST OF FUIJIKUSU OF JI AKAD O
INST OF FUIJIKUSU OF JI AKAD OF SAIENSUIZU OF CHIETSUKO RIPABURITSUKU
INST OF PHYSICS OF ACAD OF SCIENCES OF CZECHO REPUBLIC
Original Assignee
INST OF FUIJIKUSU OF JI AKAD O
INST OF FUIJIKUSU OF JI AKAD OF SAIENSUIZU OF CHIETSUKO RIPABURITSUKU
INST OF PHYSICS OF ACAD OF SCIENCES OF CZECHO REPUBLIC
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 カソード表面積の広い領域にわたって、マグ
ネトロンスパッタリングを行なうことである。 【構成】 マグネトロンスパッタリング方法において、
スパッタリングされるカソード表面上の体積は磁界によ
り左右され、カソード表面と2回交わる上記磁界の磁力
線は、カソード表面積全体の80%より大きい領域に広
がる。放電開始圧力は、3×10−2Pa以上の値をも
ち、放電停止圧力は、1.5×10−2Pa以上の値を
もつ。本方法は、スパッタリングされるカソード表面全
体の少なくとも80%を占める有効カソード領域と、中
央カソード領域と、周辺カソード領域からなる、領域を
定められたスパッタリングされるカソード表面を備えた
マグネトロンスパッタリング装置において達成される。
カソードの形状と磁界供給源として、種々のものが説明
されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マグネトロンスパッタ
リング方法および装置に関し、マグネトロン放電の放電
特性、特に放電開始圧力および/または放電停止圧力の
調節の問題を解決するものである。
【0002】
【従来の技術】直流グロー放電におけるカソードスパッ
タリングは、たとえば薄膜の形成に用いられる公知のプ
ロセスである。カソードとアノード間のグロー放電にお
ける従来の二極型スパッタリングでは、10〜100P
a程度の高圧のプロセスガスが必要であり、効果的では
なかった。より低い動作圧力を達成するために、さまざ
まな方法が用いられている。最も一般的に用いられてい
るのは、米国特許第3878085号(1975年)お
よび米国特許第4166018号(1979年)に開示
されたマグネトロン原理に基づくものである。平板マグ
ネトロンスパッタリングにおいて、カソード上の磁界
は、2つの同心状に配置された磁極間の磁力線による閉
トンネルの形で発生する。交差した電界と磁界における
電子ドリフトの結果として、電子の軌道はかなり長くな
る。通常5×10−1Pa〜10Paの放電開始圧力に
少なくとも等しい圧力において、通常約500V〜10
00Vの電圧をカソードと真空室との間に与えると、安
定したグロー放電が開始され、次いで、動作圧力を、放
電が自然停止する放電停止圧力よりも大きい値に調節す
る。マグネトロンスパッタリングにおける放電停止圧力
は、通常2×10−1〜1Paの範囲にある。例外とし
て、J.L.VossenおよびW.Kern編「Th
in Film Processes(薄膜プロセ
ス)」(アカデミック・プレス、ニューヨーク、197
8年発行)によれば、マグネトロングロー放電は、約1
−1Paより低い動作圧力において安定であり、下限
は約5×10 Paである。
【0003】上述した従来の平衡マグネトロンのほか
に、非平衡マグネトロンも開発されており、「Jour
nal of Vacuum Science and
Technology」A4(1986年発行)の1
96頁に掲載されたB.WindowおよびN.Sav
videsの論文、および、「Journal ofV
acuum Science and Technol
ogy」A9(1991年発行)の1171頁に掲載さ
れたJ.Musil、S.Kadlec、W.D.Mu
nzの論文などに記載されている。平衡マグネトロンと
非平衡マグネトロンの差異は、平衡マグネトロンにおい
てはカソード中心部の磁界が周縁部と同程度の強さをも
つのに対し、非平衡マグネトロンにおいては、中心部
(非平衡マグネトロン1型)もしくは周縁部(非平衡マ
グネトロン2型)のいずれかにおける磁界がより強くな
っていることである。非平衡マグネトロン2型において
は、中心軸における磁界の方向が、カソードから特定の
距離のところで反転し、ここで外側磁極の磁界は内側磁
極の磁界よりも優勢になる。実際のところ、「非平衡マ
グネトロン」という名称は、非平衡マグネトロン2型に
対して用いられはじめたものである。これは、平衡マグ
ネトロンおよび非平衡マグネトロン1型の両者に比べ
て、非平衡マグネトロン2型では、基板近傍におけるプ
ラズマ密度が高いからである。これらすべての型のマグ
ネトロンでは、カソード近傍の磁界は、2つの同心磁極
のあいだの磁力線の閉トンネルの形をした、同様な磁界
形状を有している。したがって、これらのマグネトロン
の磁界を「マグネトロン型の磁界」と呼ぶことができ
る。ところで、非平衡マグネトロンにおいてさえ、従来
のものよりも低い放電停止圧力は知られていない。
【0004】磁界および電界の組合せを用い、マグネト
ロンカソードにおいて特に例外的に良好なプラズマ閉じ
込めを可能とした場合においては、ほぼ2×10−2
aの放電停止圧力値が得られた。このようなシステムの
1つとして、互いに反対向きにならべた複数個の磁石を
備えた、同じ大きさの2つの円形マグネトロンの組合せ
がある。「IEEE Transactions on
Magnetics」16(5)号(1980年発
行)の646頁に掲載されたM.Naoe、S.Yam
anaka、Y.Hoshiによる論文を参照された
い。チェコ特許出願第PV4804−89号には、マグ
ネトロンスパッタリングにおいて低い放電停止圧力を達
成するための別の方法が記載されており、これは、従来
のまたは非平衡マグネトロンの磁界を多極磁界に組合せ
たものを利用している。これらのシステムは、しかしな
がら、従来のマグネトロンよりもかなり複雑である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、先行
技術の欠点を解決し、できるかぎり低い動作圧力でマグ
ネトロンスパッタリングを行なうことである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によるマグネトロ
ンスパッタリング方法では、スパッタリングされるカソ
ードに、高周波電源または直流電源を印加して、アノー
ドおよび/または真空室に対してカソードをマイナスに
分極し、上記カソード上の磁力線のつくる閉トンネルの
磁界を上記カソード上に形成し、つぎに、放電開始圧力
以上の圧力において、上記カソードと、上記アノードお
よび/または上記真空室との間に安定したグロー放電を
開始し、つぎに、プロセスガスの動作圧力を放電停止圧
力よりも大きい値に調節する。本発明の本質は、スパッ
タリングされるカソード表面上の体積が、上記カソード
の形状に対応する形状をもつ磁界により左右されること
にある。上記カソード表面と2回交わる上記磁界の上記
磁力線は、できるだけ広いカソード領域に、特に、カソ
ード表面積全体の80%より大きい領域に広がる。上記
カソード表面と2回交わる上記磁界の上記磁力線は、上
記カソードの中心近傍から発生し、中心から離れた位置
でふたたび上記カソードと交わる。あるいはその逆とな
る。すなわち、磁界は、カソード周縁部から生じる磁力
線の大多数がカソードの中心部と交わり、同様に、カソ
ードの中心部から生じる磁力線の大多数がカソード周縁
部と交わるという形状を有している。
【0007】用途によっては、放電をできるかぎり低圧
で開始させることが重要となる。放電開始圧力は、たと
えば、3×10−2Pa〜10−1Paの範囲に調節さ
れる。ここで、上限はもっと高くてもよく、下限は、た
とえば、カソードの大きさおよび使用するプロセスガス
の種類に依存する。この範囲内で、カソードに接続され
る電圧を用いて放電開始圧力を最小にすることが可能で
ある。この電圧の値は、たとえば、200Vよりも高
く、通常500V〜900Vの範囲において最小放電開
始圧力に達する。
【0008】また、その他の用途の中には、できるかぎ
り低い動作圧力において安定したスパッタリングを達成
すること、すなわち、放電の開始後、できるかぎり低い
放電停止圧力に到達することを目標とするものがある。
放電停止圧力は、たとえば、1.5×10−2Pa〜5
×10−2Paの範囲に調節される。もちろん、上限は
さらに高くてもよく、下限は、やはり、たとえばカソー
ドの大きさおよび使用するプロセスガスの種類に依存す
る。
【0009】カソード上の磁界の形が維持されていると
きには、カソード表面における磁束密度を調節すること
は依然として可能である。すなわち、まず第一に最小放
電停止圧力を調整することができるだけではなく、放電
開始圧力および放電電圧および/または放電電流をも調
節することができる。通常250G〜1000Gの範囲
において最小放電停止圧力に達するにもかかわらず、磁
力線トンネルの中央における磁束密度は50Gよりも高
い値をもつ。マグネトロンの動作は、得られる磁界の方
向、すなわち、磁界のN極がマグネトロンの中央にある
かその周縁にあるかということには依存しない。
【0010】最小放電停止圧力は、放電電流を用いても
調節することができる。通常、低い値の放電電流におい
て最小放電停止圧力に到達する。但し、極めて低い電流
値は除く。カソードにおける最適電流密度は通常0.2
〜20mA/cmの範囲にある。
【0011】マグネトロンスパッタリング装置は、ガス
導入口とガス排気口を設けた真空室と、スパッタリング
される物質で表面を形成した少なくとも1つの平板カソ
ードと、カソードと真空室との間および/または、カソ
ードと、真空室から絶縁されるとともに真空室内に配置
された特殊アノードとの間に接続された高周波電源また
は直流電源から構成され、さらに、カソード冷却水路を
備えている。本発明の本質は、スパッタリングされるカ
ソードの形状および寸法に関連する磁界の空間的分布を
限定することにある。スパッタリングされるカソード表
面は、カソード表面と2回交わる磁力線により限定され
た有効カソード領域と、該有効カソード領域の内側に位
置しかつ限定された中央カソード領域と、該有効カソー
ド領域の外側に位置しかつ限定された周辺カソード領域
からなる。本発明による有効カソード領域は、できるか
ぎり大きく、スパッタリングされるカソード表面全体の
少なくとも80%を占める。また、中央カソード領域、
もしくは、周辺カソード領域、または、その両方はゼロ
であってもよい。
【0012】カソードは、円形または略円形の形状をも
ち、この場合、中央カソード領域はスパッタリングされ
るカソード表面全体の2%以下、周辺カソード領域はス
パッタリングされるカソード表面全体の20%以下がの
ぞましい。ここで、両者の合計は20%以下がのぞまし
い。
【0013】また、カソードは、たとえば、長方形や楕
円形などの長形でもよい。この場合には、中央カソード
領域はスパッタリングされるカソード表面全体の10%
以下、周辺カソード領域はスパッタリングされるカソー
ド表面全体の15%以下がのぞましい。ここでも、両者
の合計は20%以下とする。
【0014】上記の領域の相対的限度は、厳密なもので
はなく、これらの限度を少しぐらい越えても、たとえ
ば、放電停止圧力の低減などにおいて、ある程度の効果
は達成される。しかし、最大の効果を上げるには、実際
の要件はなおいっそう厳密でなければならない。
【0015】このような厳密な要件は、本発明の装置の
別の変形によって満足される。ここでは、カソードの形
状は、カソードの有効領域を画定する曲線の形状により
定められる。たとえば、磁界が軸対称であれば、カソー
ドは円形となる。矩形磁気回路により発生する磁界の場
合には、カソードは通常矩形とはならず、有効カソード
領域の形状および寸法で定められる形状、たとえば角を
丸めた長形となる。
【0016】装置のさらに別の変形によれば、カソード
は矩形を有し、カソードの周辺部は、非磁性の電導体に
より構成されたシールドカバーで被覆されている。シー
ルドカバーはカソードから電気的に絶縁され、その内寸
は、カソードの有効領域の寸法に対応する。このシール
ドカバーは、アノードまたは真空室に電気的に接続して
もよいし、あるいは、プラズマにおける浮動電位を含む
選択された電位に維持してもよい。この場合、放電はシ
ールドカバーとカソード周辺部の間の空間では開始され
ず、有効カソード領域に閉じ込められる。
【0017】磁界供給源が、基本的に、スパッタリング
されるカソード領域全体の10%を越える中央カソード
領域をもつ従来のマグネトロンの磁界供給源と同一の場
合には、軟磁性材で構成されたフレームを、カソードの
外縁部の上方に配置し、カソードに電気的に接続する。
これは、カソード中心から発生される磁力線を引きつ
け、有効カソード領域を広げるものである。
【0018】装置のこれらの変形には、たとえばカソー
ドの裏側に配置されるとともに、たとえば複数個の永久
磁石または1つの電磁石から構成された磁気回路を利用
できる。別の変形は、より柔軟なレイアウトを述べてお
り、有効カソード領域と、中央カソード領域と、周辺カ
ソード領域の面積を最適に調節することを可能とする。
この変形の本質は、得られる磁界が、少なくとも2つの
独立した磁界供給源、すなわち、カソード表面に垂直な
中心軸と同軸的にカソードの裏側に配置されたマグネト
ロン型の磁界供給源と、カソード表面に垂直な中心軸と
同軸的にカソードの裏側に配置された非平衡磁界の供給
源の磁界から構成されることにある。ここで、両供給源
の少なくとも一方は、電磁石である。マグネトロン型の
磁界供給源として、カソード表面に垂直な中心軸と同軸
的にカソードの裏側に配置されるとともに第1の電流供
給源に接続された第1のコイルを用いることができ、第
1のコイルの内側には、軟磁性材からなる第1のコアを
配置する。非平衡磁界の供給源として、概ねカソードよ
りも大きい第2のコイルを用いることができ、この第2
のコイルは、カソード表面に垂直な中心軸と同軸的にカ
ソードの裏側に配置され、第2の電流供給源に接続され
る。カソードの裏側には、第1のコイルのまわりに、透
磁率の高い材料から形成されたリング状の第2のコアが
配置される。第2のコイルは第2のコア上に配置され、
第1のコアは第2のコアとともに、透磁率の高い材料か
ら形成されたプレートを用いて、第1のコイルの裏側に
接続される。
【0019】
【実施例】実施例1 図1を参照すると、真空室1には、ガス導入口2および
ガス排気口3が設けられ、真空室1の内部には電気的に
絶縁された平板円形カソード4が配置されている。直流
電源5がカソード4と真空室1の間に接続されている。
冷却水路6は、冷却液を流通させる。2つの電磁石から
なる磁界供給源がカソード4の裏側に配置されている。
マグネトロン型の磁界供給源として、第1のコイル7
が、第1の電源8に接続されている。第1のコイル7の
内側には、磁性材料からなる第1のコア9が配置されて
いる。非平衡磁界の供給源として、カソードとほぼ同じ
大きさをもつ第2のコイル11が、第2の電源12に接
続されている。カソード4の裏側には、第1のコイル7
の周囲で且つ第2のコイル11の内側に、軟質磁性材料
から構成されたリング状の第2のコア13が配置されて
いる。第1のコア9は第2のコア13とともに、透磁率
の高い材料からなるプレート14を用いて、第1のコイ
ル7の裏側に磁気的に接続されている。この実施例にお
いて、カソード4の大きさと磁界の形状の関係は、つぎ
のとおりである。すなわち、磁力線301により限定さ
れる有効カソード領域15が、カソード表面のほぼ全体
をもって構成され、中央カソード領域16はスパッタリ
ングされるカソード表面4全体のわずかに約0.05%
を占めるにすぎず、周辺カソード領域17はない。磁力
線302は有効カソード領域15を画定する。中央カソ
ード領域16と、周辺カソード領域17と、有効カソー
ド領域15とは、電流比I/Iを利用して調節する
ことができる。ここでIは第1の電源8から第1のコ
イル7への電流、Iは第2の電源12から第2のコイ
ル11への電流である。
【0020】実施例2 図2は、図1に示す装置における放電開始圧力と放電停
止圧力とを、非平衡磁界とマグネトロン型磁界の強さの
比の関数として示すグラフである。この装置は、銅およ
び亜鉛の合金から形成された直径124mmの円形カソ
ードを備えている。プロセスガスにはアルゴンを用い
た。放電電流は1A、放電開始電圧は1000Vであっ
た。電流比I/Iは、両磁界の比率の尺度である。
ここでIは第1の電流供給源8から第1のコイル7へ
の電流、Iは第2の電源12から第2のコイル11へ
の電流である。電流比I/Iの関数として、曲線2
01は放電開始圧力を示し、曲線202は放電停止圧力
を示す。両曲線201および202は、電流比I/I
=2.13に対応する点Bにおいて明らかな最小値を
示す。この比率は図4に示す磁界形状に対応する。A点
は、電流比I/I=1.25に対応し、図3に示す
磁界形状に対応する。C点は、電流比I/I=5.
0に対応し、図5に示す磁界形状に対応する。図3、図
4、図5は、カソード中心軸を含む平面で切った円形マ
グネトロンの断面の半分における磁力線の形状を示す。
磁力線301はカソード表面4と2回交わり、磁力線3
02はこのような磁力線のうちでもっとも遠くにある。
すなわち、磁力線302とカソード表面4との交差部に
より、有効カソード領域15が画定される。図3の磁力
線303は、中央カソード領域16から発生し、カソー
ド4とは2回交わらないが、これらはたとえばカソード
4の外側の真空室1と交わる。同様に、図5の磁力線3
04は周辺カソード領域17から発生し、カソード4と
2回交わることはない。図4において、中央カソード領
域16と周辺カソード領域17は、ほとんど存在せず、
磁力線302は、カソード4の中心点とその周縁とをぴ
ったり接続している。すなわち、有効カソード領域15
は、スパッタリングされるカソード表面4の全体を実質
的に占め、まさにこの構成において、マグネトロンカソ
ード4において、最高のプラズマ閉じ込めと最小の放電
開始圧力および放電停止圧力とを達成できる。
【0021】実施例3 銅で形成した直径100mmの円形カソードと、チタニ
ウムで形成した別のカソードをそれぞれ備えたマグネト
ロンにおいても、実施例2と同様に、カソード上の磁界
形状と最小の放電開始圧力および放電停止圧力の相互関
係について同一の結論が得られた。
【0022】実施例4 電流比I/I=2.13で、実施例1と同一の構成
において、放電を開始させるためにカソードに導かれる
400V〜1000Vの範囲の電圧の関数として、放電
開始圧力を測定した。放電開始圧力は3×10−2Pa
〜8×10−2Paの範囲にあり、最小値は700V〜
750Vの範囲において観察された。
【0023】実施例5 電流比I/I=2.0および放電電流175mA
で、実施例1と同様な構成において、磁力線トンネルの
中心のカソード表面における160G〜600Gの範囲
の磁束密度値の関数として、放電停止圧力を測定した。
放電停止圧力は1.5×10−2Pa〜2.3×10
−2Paの範囲であった。最小値は、約400Gの磁束
密度において観察された。本実施例を実施例2と比較す
ると、磁束密度よりも、磁界形状と有効カソード領域
が、放電停止圧力値に対してより顕著な効果を与えるこ
とがわかる。
【0024】実施例6 電流比I/I=2.13で、実施例1と同様な構成
において、50mA〜3Aの範囲内の放電電流の関数と
して、放電停止圧力を測定した。放電停止圧力は1.5
×10−2Pa〜3×10−2の範囲にあった。最小値
は約175mAの放電電流において観察された。これ
は、約1.5mA/cmの放電電流密度に対応する。
【0025】実施例7 本発明による別の実施例を図6に示す。図6aは、先行
技術による従来のマグネトロンのカソード4および磁気
回路602の概略断面図である。図6bは、本発明によ
る装置の例を示し、図6aと比較すると、軟磁性材から
形成されたフレーム601がカソード4の外縁部上に追
加されており、このフレーム601はカソード4に電気
的に接続されている。フレーム601は、非常に効果的
に磁力線を引きつけ、有効カソード領域15を拡大し、
スパッタリングされるカソード4の上部に、より優れた
磁界閉じ込めを構成する。この設計により放電停止圧力
はかなり低減する。
【0026】実験的に次のことが確認された。直径10
0mmのTi製カソードを備えた従来のマグネトロン
は、放電電流0.5Aにおいて8.2×10−2Paの
最小放電停止圧力を示し、同じマグネトロンにフレーム
601を追加した場合には、その放電停止圧力は、4.
3×10−2Paまで、すなわち、約半分にまで低減さ
れる。さらに別の利点は、Fe製フレーム601を用い
た場合には、放電停止圧力を最小にするために必要なコ
イル電流が1.4Aから0.9Aに低下することであ
る。
【0027】実施例8 図7は、矩形磁気回路701により磁界が発生される設
計の例を示す。磁力線302は有効カソード領域15の
周縁を画定する。カソード4の形状は、有効カソード領
域15の外縁により定められる。すなわち、カソード4
は、角を丸めた長形を有する。したがって、周辺カソー
ド領域はなくなり、小さな中央カソード領域16だけが
残されている。
【0028】実施例9 図8は、磁気回路801を備えたカソード4の断面図で
ある。カソード4の周辺はシールドカバー802で被覆
されている。シールドカバー802の内寸は、有効カソ
ード領域15の外縁により定められる。シールドカバー
802は非磁性の導体から形成され、カソード4からは
電気的に絶縁されている。シールドカバー802は、絶
縁部803を介して真空室1に機械的に固定されてい
る。したがって、これは電位的に浮いた状態に保たれ
る。このシールドカバー802は、放電アノードを形成
してもよいし、真空室に電気的に接続されてもよい。こ
の場合、放電はシールドカバー802とカソード4の周
辺部の間の空間においては開始されず、有効カソード領
域15に閉じ込められる。したがって、この設計におい
ては、シールドカバー802で被覆された周辺カソード
領域17がどのくらい大きいかは重要ではない。
【0029】
【発明の効果】本発明は、特に、約1.5×10−2
aの値までの、非常に低い圧力におけるマグネトロング
ロー放電の開始と維持に利用することができる。このよ
うなマグネトロン放電は、動作パラメータをより広い範
囲にできるという利点をもつ。薄膜形成に用いた場合、
プロセスガスの種類によって起こる膜汚染を低減させ、
形成される膜の特性の範囲を広げ、スパッタリングされ
た原子とガスとの衝突の確率を下げ、これにより原子の
熱上昇を減少させ、粒子の直線的移動が可能となる。本
発明の方法は、いわゆるリフトオフ技術のための膜形成
や、ステップ高とステップ幅の比率が大きいステップ状
構造の被覆や、深さ/直径比が大きい穴の充填などに応
用できる。しかしながら、本発明の用途は必ずしも薄膜
形成だけに限定されるものではなく、たとえば低圧エッ
チングなどにも用いることができることはいうまでもな
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるマグネトロンスパッタリング装置
の1実施例の概略図である。
【図2】電流比I/Iの関数として、図1に示す装
置における放電開始圧力と放電停止圧力を示すグラフで
ある。
【図3】カソード中心軸を含む平面で切った、円形マグ
ネトロンの断面の半分における磁力線の形状を示す図で
あり、図2の点Aに対応し、電流比I/I=1.2
5に対応する。
【図4】図2の点Bに対応し、電流比I/I=2.
13に対応する、図3と同様な図である。
【図5】図2の点Cに対応し、電流比I/I=5.
00に対応する、図3と同様な図である。
【図6】従来のマグネトロンのカソードと磁界の形状
と、軟磁性材から形成したフレームを備えた本発明の設
計とを比較して示す図である。
【図7】有効領域の形状をもって定められる形状をもつ
カソードを詳細に示す図である。
【図8】シールドカバーを備えたカソードを詳細に示す
図である。
【符号の説明】
1 真空室 2 ガス入口 3 ガス出口 4 カソード 5 電圧電流供給源 6 冷却回路 7 第1のコイル 8 第1の電流供給源 9 第1のコア 11 第2のコイル 12 第2の電流供給源 13 第2のコア 14 プレート 15 有効カソード領域 16 中央カソード領域 17 周辺カソード領域 301 磁力線 302 磁力線 303 磁力線 304 磁力線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ライスキー アントニン チェッコ,プラハ 3,コネヴォヴァ 1728−118

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スパッタリングされるカソードに、高周
    波電源または直流電源を印加して、アノードおよび/ま
    たは真空室に対してカソードをマイナスに分極し、上記
    カソード上の磁力線のつくる閉トンネルの磁界を上記カ
    ソード上に形成し、つぎに、放電開始圧力以上の圧力に
    おいて、上記カソードと、上記アノードおよび/または
    上記真空室との間に安定したグロー放電を開始し、つぎ
    に、プロセスガスの動作圧力を放電停止圧力よりも大き
    い値に調節するマグネトロンスパッタリング方法におい
    て、スパッタリングされるカソード表面上の体積は磁界
    により左右され、上記カソード表面と2回交わる上記磁
    界の上記磁力線は、カソード表面積全体の80%より大
    きい領域に広がることを特徴とするマグネトロンスパッ
    タリング方法。
  2. 【請求項2】 上記放電開始圧力は、3×10−2Pa
    以上の値をもつことを特徴とする請求項1に記載の方
    法。
  3. 【請求項3】 上記放電停止圧力は、1.5×10−2
    Pa以上の値をもつことを特徴とする請求項1に記載の
    方法。
  4. 【請求項4】 上記カソードに接続される電圧を用い
    て、最小放電開始圧力を調節することを特徴とする請求
    項2に記載の方法。
  5. 【請求項5】 上記カソード表面における磁束密度を用
    いて、最小放電停止圧力を調節することを特徴とする請
    求項2に記載の方法。
  6. 【請求項6】 放電電流を用いて、最小放電停止圧力を
    調節することを特徴とする請求項3に記載の方法。
  7. 【請求項7】 ガス導入口およびガス排気口を設けた真
    空室と、スパッタリングされる物質で表面を形成し、上
    記真空室内に配置されるとともに冷却回路を備えた少な
    くとも1つの平板カソードと、上記カソードと上記真空
    室との間および/または、上記カソードと、上記真空室
    から絶縁されるとともに上記真空室内に配置された特殊
    アノードとの間に接続された高周波電源または直流電源
    とを備え、さらに、カソード上の磁力線の閉トンネルか
    ら構成される磁界の供給源を設けた、請求項1による方
    法を実行するマグネトロンスパッタリング装置におい
    て、スパッタリングされるカソード表面(4)は、上記
    カソード表面と2回交わる磁力線(301,302)に
    より限定される有効カソード領域(15)と、上記有効
    カソード領域(15)の内側に位置しかつ限定された中
    央カソード領域(16)と、上記有効カソード領域(1
    5)の外側に位置しかつ限定された周辺カソード領域
    (17)からなり、上記有効カソード領域(15)は上
    記スパッタリングされるカソード表面(4)全体の少な
    くとも80%を占めることを特徴とするマグネトロンス
    パッタリング装置。
  8. 【請求項8】 上記カソード(4)は円形であり、上記
    中央カソード領域(16)は上記スパッタリングされる
    カソード表面(4)全体の2%以下、上記周辺カソード
    領域(17)は、上記スパッタリングされるカソード表
    面(4)全体の20%以下であり、両者の合計は20%
    以下であることを特徴とする請求項7に記載の装置。
  9. 【請求項9】 上記カソード(4)は、たとえば矩形ま
    たは楕円形などの長形を有し、上記中央カソード領域
    (16)は上記スパッタリングされるカソード表面
    (4)全体の10%以下、上記周辺カソード領域(1
    7)は上記スパッタリングされるカソード表面(4)全
    体の15%以下であり、両者の合計は20%以下である
    ことを特徴とする請求項7に記載の装置。
  10. 【請求項10】 上記カソード(4)の形状は、上記カ
    ソード(4)の上記有効領域(15)を画定する曲線の
    形状により定められることを特徴とする請求項7に記載
    の装置。
  11. 【請求項11】 上記カソード(4)の周辺部は、非磁
    性の電導体からなるシールドカバー(802)で被覆さ
    れ、上記シールドカバーは上記カソード(4)から電気
    的に絶縁され、その内寸は、上記カソード(4)の上記
    有効領域(15)の寸法に対応することを特徴とする請
    求項7に記載の装置。
  12. 【請求項12】 軟磁性材から形成されたフレーム(6
    01)を、上記カソード(4)の外縁部の上方に配置
    し、上記フレームを上記カソード(4)に対して電気的
    に接続したことを特徴とする請求項7に記載の装置。
  13. 【請求項13】 上記磁界供給源は、少なくとも2つの
    独立した磁界供給源、すなわち、上記カソード表面に垂
    直な中心軸と同軸的に上記カソードの裏側に配置された
    マグネトロン型の磁界供給源と、上記カソード表面に垂
    直な中心軸と同軸的に上記カソードの裏側に配置された
    非平衡磁界の供給源からなり、これら供給源の少なくと
    も1つは電磁石であることを特徴とする請求項7に記載
    の装置。
  14. 【請求項14】 上記マグネトロン型の磁界供給源は、
    上記カソード(4)表面に垂直な中心軸と同軸的に上記
    カソード(4)の裏側に配置されるとともに第1の電流
    供給源(8)に接続された第1のコイル(7)であり、
    上記第1のコイル(7)の内側には、軟磁性材からなる
    第1のコア(9)を配置し、上記カソード(4)の裏側
    の第1のコイル(7)のまわりに、透磁率の高い材料か
    らなるリング状の第2のコア(13)を配置し、上記非
    平衡磁界の供給源は、概ね上記カソード(4)よりも大
    きい第2のコイルであり、上記第2のコイルは、上記カ
    ソード(4)表面に垂直な中心軸と同軸的に上記カソー
    ド(4)の裏側に配置され、第2の電流供給源(12)
    に接続され、上記第2のコア上に配置され、上記第1の
    コア(9)は上記第2のコア(13)とともに、透磁率
    の高い材料から形成されたプレート(14)を用いて上
    記第1のコイル(7)の裏側に磁気的に接続されている
    ことを特徴とする請求項7に記載の装置。
JP17816194A 1993-07-29 1994-07-29 マグネトロンスパッタリング方法および装置 Withdrawn JPH07166348A (ja)

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